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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112365
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
E02F9/16 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014116
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】大金 宏
(72)【発明者】
【氏名】森 修平
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015EB01
(57)【要約】
【課題】コンソールの操作部材での操作の入力によって弁の作動状態を切替える構成において、コンソールボックスの内部の空間が有効に活用される建設機械を提供すること。
【解決手段】建設機械では、キャブボックスの内部の運転室にコンソールが設定され、コンソールは、外装を形成するコンソールボックスと、電磁弁の作動状態を切り替える操作を入力可能な操作部材と、を備える。コンソールボックスの内部には、弁コントローラが収納され、弁コントローラは、操作部材での操作の入力に対応させて操作部材から入力される信号に基づいて、電磁弁への電力の供給を制御し、電磁弁の作動を制御する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に運転室を形成するキャブボックスと、
電力の供給状態に対応して作動状態が変化する電磁弁と、
前記運転室に設置されるコンソールであって、外装を形成するコンソールボックスと、前記電磁弁の前記作動状態を切り替える操作を入力可能な操作部材と、を備えるコンソールと、
前記コンソールボックスの内部に収納され、前記操作部材での前記操作の入力に対応させて前記操作部材から入力される信号に基づいて、前記電磁弁への前記電力の供給を制御し、前記電磁弁の作動を制御する弁コントローラと、
を具備する、建設機械。
【請求項2】
前記コンソールボックスの外部に配置され、前記弁コントローラと通信可能なメインコントローラをさらに具備し、
前記コンソールは、前記操作部材とは別の電装部品を備え、
前記電装部品は、前記弁コントローラを間に介して前記メインコントローラへ信号を伝送するか、及び、前記弁コントローラを間に介して前記メインコントローラからの信号を受信するかの少なくとも一方を行う、
請求項1の建設機械。
【請求項3】
前記キャブボックスの幅方向について、前記コンソールに対して並んで前記運転室に配置されるシートをさらに具備し、
前記メインコントローラは、前記運転室において、前記コンソール及び前記シートに対して、前記キャブボックスの後方側に配置される、
請求項2の建設機械。
【請求項4】
前記キャブボックスと、前記キャブボックスが設置される旋回体フレームと、を備える上部旋回体と、
前記上部旋回体が旋回可能に鉛直上側から連結される下部走行体と、
をさらに具備する、請求項1乃至3のいずれか1項の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下部走行体に対して上部旋回体が旋回可能に連結される建設機械が開示され、この建設機械の上部旋回体では、旋回体フレームにキャブボックスが設置される。キャブボックスの内部には、運転室が形成され、運転室には、コンソールが設置される。コンソールは、外装を形成するコンソールボックス、及び、操作レバー等の操作部材を備える。建設機械には、パイロット油の供給状態に対応して作動状態が変化するパイロット弁が、設けられる。コンソールの操作部材での操作の入力に対応して、パイロット弁へのパイロット油の供給状態が変化し、パイロット弁の作動状態が切替わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/051609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のように、コンソールの操作部材での操作の入力によってパイロット弁の作動状態を切替える構成では、操作部材とパイロット弁との間がホース等で接続し、ホース等を介して操作部材からパイロット弁にパイロット油を供給する必要がある。このため、コンソールボックスの内部に形成される空間の大部分が、パイロット油を供給するホース等で占められる。コンソールの操作部材での操作の入力によってパイロット弁等の弁の作動状態を切替える建設機械では、コンソールボックスの内部の空間を有効に活用することが、求められている。そして、コンソールボックスの内部の空間を有効に活用することで、運転室に形成される限られた空間を有効に活用することが、求められている。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、コンソールの操作部材での操作の入力によって弁の作動状態を切替える構成において、コンソールボックスの内部の空間が有効に活用される建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のある態様の建設機械は、内部に運転室を形成するキャブボックスと、電力の供給状態に対応して作動状態が変化する電磁弁と、前記運転室に設置されるコンソールであって、外装を形成するコンソールボックスと、前記電磁弁の前記作動状態を切り替える操作を入力可能な操作部材と、を備えるコンソールと、前記コンソールボックスの内部に収納され、前記操作部材での前記操作の入力に対応させて前記操作部材から入力される信号に基づいて、前記電磁弁への前記電力の供給を制御し、前記電磁弁の作動を制御する弁コントローラと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンソールの操作部材での操作の入力によって弁の作動状態を切替える構成において、コンソールボックスの内部の空間が有効に活用される建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る油圧ショベルを示す概略図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る油圧ショベルにおいて、キャブボックスの内部構成を示す斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る油圧ショベルにおいて、運転室に設置されるコンソールの1つの構成を示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る油圧ショベルについて、図3に示すコンソール及びメインコントローラ等における、信号等を伝送する構成、及び、制御構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、建設機械の一例として、第1の実施形態に係る油圧ショベル1を示す。図1に示すように、油圧ショベル1は、下部走行体2及び上部旋回体3を備える。上部旋回体3は、下部走行体2の鉛直上側に連結される。上部旋回体3は、鉛直方向(矢印Z1及び矢印Z2に示す方向)に沿う旋回軸Pを中心として、下部走行体2に対して旋回可能である。
【0011】
上部旋回体3では、鉛直方向に対して交差する(直交又は略直交する)前後方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向(図1において紙面に対して直交又は略直交する方向)が規定される。また、下部走行体2でも、鉛直方向に対して交差する(直交又は略直交する)前後方向、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向が規定される。図1では、下部走行体2の前後方向が上部旋回体3の前後方向と一致又は略一致し、かつ、下部走行体2の幅方向が上部旋回体3の幅方向と一致又は略一致する状態を示す。また、図1では、下部走行体2の前方側が上部旋回体3の前方側(矢印X1側)と一致又は略一致する状態で、油圧ショベル1を示す。
【0012】
上部旋回体3は、旋回体フレーム5及びキャブボックス6を備える。キャブボックス6は、旋回体フレーム5に鉛直上側から設置される。また、上部旋回体3には、作業装置8が連結される。作業装置8は、上部旋回体3と一緒に、下部走行体2に対して旋回可能である。図1の一例では、作業装置8は、上部旋回体3の幅方向について、キャブボックス6に対して並んで配置される。また、作業装置8は、上部旋回体3の前方側へ、上部旋回体3から突出する。
【0013】
作業装置8は、ブーム11、アーム12及びバケット13を備える。作業装置8では、ブーム11の基端部が、上部旋回体3に連結され、アーム12の基端部がブーム11の先端部に連結され、バケット13がアーム12の先端部に連結される。また、図1の一例の油圧ショベル1では、アクチュエータとして、ブームシリンダー15、アームシリンダー16及びバケットシリンダー17が設けられる。ブームシリンダー15、アームシリンダー16及びバケットシリンダー17のそれぞれは、作動油によって作動され、作動油の供給状態に対応して、作動状態が変化する。
【0014】
ブームシリンダー15を伸長又は収縮することにより、すなわち、ブームシリンダー15を作動することにより、ブーム11が上部旋回体3に対して起きる又は伏せる。また、アームシリンダー16を伸長又は収縮することにより、すなわち、アームシリンダー16を作動することにより、アーム12がブーム11に対して起きる又は伏せる。そして、バケットシリンダー17を伸長又は収縮することにより、すなわち、バケットシリンダー17を作動することにより、バケット13がアーム12への連結位置を中心として回動する。作業装置8を用いた作業では、アクチュエータであるブームシリンダー15、アームシリンダー16及びバケットシリンダー17のそれぞれを前述のように作動することにより、土砂等を掘削する。
【0015】
また、油圧ショベル1では、アクチュエータとして旋回モータ(図示しない)が設けられる。油圧モータは、ブームシリンダー15等と同様に、作動油によって作動され、作動油の供給状態に対応して、作動状態が変化する。旋回モータを回転することにより、すなわち、旋回モータを作動することにより、上部旋回体3が下部走行体2に対して旋回する。
【0016】
図2は、キャブボックス6の内部構成を示す。図2等では、矢印Y1及び矢印Y2で示す方向が、上部旋回体3の幅方向となる。図2等に示すように、キャブボックス6の内部には、運転室7が形成される。このため、キャブボックス6によって、運転室7の外装が形成される。また、キャブボックス6(運転室7)では、鉛直方向に対して交差する(直交又は略直交する)前後方向、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向が、規定される。キャブボックス6の前後方向は、上部旋回体3の前後方向と一致又は略一致し、キャブボックス6の前方側は、上部旋回体3の前方側と一致又は略一致する。そして、キャブボックス6の幅方向は、上部旋回体3の幅方向と一致又は略一致する。
【0017】
キャブボックス6は、床板21及び後板22を備える。床板21は、鉛直下側から運転室7に隣接し、後板22は、キャブボックス6の後方側(上部旋回体3の後方側)から運転室7に隣接する。運転室7には、コンソール20A,20B及びシート23が設置される。シート23は、床板21に鉛直上側から取付けられる。ある一例では、シート23は、キャブボックス6の前後方向に床板21等に対して移動可能に、設置される。また、コンソール20Aは、シート23に対して、キャブボックス6の幅方向の一方側に並んで配置される。そして、コンソール20Bは、キャブボックス6の幅方向について、シート23に対して、コンソール20Aが位置する側とは反対側に並んで配置される。したがって、シート23は、キャブボックス6の幅方向について、コンソール20A,20Bのそれぞれに対して並んで運転室7に配置され、キャブボックス6の幅方向について、コンソール20A,20Bの間に配置される。
【0018】
また、図2等の一例では、キャブボックス6の後板22に、カバー部材25が取付けられる。そして、カバー部材25と後板22との間に形成される空間に、メインコントローラ26が収納される。図2等の一例では、メインコントローラ26は、運転室7において、コンソール20A,20B及びシート23に対して、キャブボックス6の後方側に配置される。そして、メインコントローラ26は、コンソール20A,20Bのそれぞれの外部に配置される。
【0019】
メインコントローラ26は、油圧ショベル1全体の制御を行う中央制御装置等である。メインコントローラ26は、コンピュータ等の処理装置から構成され、プロセッサ及び記憶媒体を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application specific integrated circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を備える集積回路又は回路構成(circuitry)等である。メインコントローラ26では、プロセッサは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。メインコントローラ26では、プロセッサによる処理は、プロセッサ又は記憶媒体に記憶されたプログラムに従って行われる。また、メインコントローラ26では、記憶媒体に、プロセッサで用いられる処理プログラム、及び、プロセッサでの演算で用いられるパラメータ、関数及びテーブル等が記憶される。
【0020】
図3は、運転室7に設置されるコンソール20A,20Bの1つであるコンソール20Aの構成を示す。また、図4は、図3に示すコンソール20A及びメインコントローラ26等における、信号等を伝送する構成、及び、制御構成を示す。図3等に示すように、コンソール20Aは、外装を形成するコンソールボックス31、及び、操作部材である操作レバー32が設けられる。操作レバー32は、電装部品であり、コンソールボックス31の外部に一部が露出する状態で、コンソールボックス31に取付けられる。コンソール20Aでは、コンソールボックス31の内部に、空間が形成される。
【0021】
コンソールボックス31の内部には、弁コントローラ30が収納される。図3の一例では、コンソールボックス31の内部にコンソールフレーム33が設けられ、コンソールフレーム33は、コンソールボックス31と一体に形成される、又は、コンソールボックス31に固定される。そして、弁コントローラ30は、ブラケット35を間に介して、コンソールフレーム33に取付けられる。
【0022】
弁コントローラ30は、メインコントローラ26とは別体の制御装置であり、コンピュータ等の処理装置から構成される。弁コントローラ30は、メインコントローラ26と同様に、プロセッサ及び記憶媒体を備える。弁コントローラ30では、プロセッサは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。弁コントローラ30では、プロセッサによる処理は、プロセッサ又は記憶媒体に記憶されたプログラムに従って行われる。また、弁コントローラ30では、記憶媒体に、プロセッサで用いられる処理プログラム等が記憶される。なお、ある一例では、弁コントローラ30は、プロセッサで用いられる処理プログラムを、メインコントローラ26の記憶媒体等からダウンロードしてもよい。
【0023】
図4等に示すように、油圧ショベル1には、電磁弁41が設けられる。電磁弁41の作動状態は、電磁弁41への電力の供給状態に対応して、変化する。油圧ショベル1では、電磁弁41の作動状態が変化することにより、油圧モータ及びブームシリンダー15等を含む前述したアクチュエータの対応する1つ以上において、作動油の供給状態が変化する。このため、電磁弁41の作動状態が変化することにより、対応するアクチュエータの作動状態が変化する。
【0024】
弁コントローラ30は、電磁弁41の作動を制御する。また、コンソール20Aの操作レバー32では、電磁弁41の作動状態を切替える操作、すなわち、電磁弁41に対応するアクチュエータの作動状態を切替える操作を、入力可能である。運転室7では、例えば、シート23に座った作業者等によって、コンソール20Aの操作レバー32で、操作が入力される。コンソール20Aでは、操作レバー32は、信号線等の電気配線を介して、弁コントローラ30に接続される。そして、コンソール20Aでは、操作レバー32での操作の入力に対応させて、操作信号となる信号(電気信号)が、操作レバー32から弁コントローラ30に入力される。
【0025】
また、コンソール20Aのコンソールボックス31の内部に配置される弁コントローラ30は、電気配線を介して、電磁弁41に接続される。弁コントローラ30は、電気配線を通して、電力を電磁弁41に供給する。そして、弁コントローラ30は、操作レバー32からの信号に基づいて、電磁弁41への電力の供給を制御し、電磁弁41の作動を制御する。これにより、電磁弁41に対応するアクチュエータの作動が制御される。なお、図4等の一例では、電磁弁41は、コンソール20Aの外部に設けられる。このため、弁コントローラ30と電磁弁41との間の電気配線は、コンソール20Aのコンソールボックス31の内部からコンソール20Aの外部へ、延出される。
【0026】
また、弁コントローラ30は、メインコントローラ26と通信可能である。図3及び図4等の一例では、弁コントローラ30は、信号線等の電気配線を介して、メインコントローラ26に接続される。そして、メインコントローラ26及び弁コントローラ30は、電気配線を通して、互いに対して信号等を伝送する。すなわち、メインコントローラ26及び弁コントローラ30は、有線によって、互いに対して通信する。ある一例では、CAN(Controller Area Network)に基づいた通信方式で、メインコントローラ26と弁コントローラ30との間で、通信が行われる。
【0027】
また、メインコントローラ26は、運転室7においてコンソール20Aの外部に配置され、コンソール20Aに対してキャブボックス6の後方側に配置される。このため、弁コントローラ30とメインコントローラ26との間の電気配線は、コンソール20Aのコンソールボックス31の内部からコンソール20Aの外部へ、延出される。そして、コンソール20Aの外部では、メインコントローラ26へ向かって、キャブボックス6の後方側へ、弁コントローラ30とメインコントローラ26との間の電気配線が延設される。
【0028】
なお、ある一例では、弁コントローラ30及びメインコントローラ26は、互いに対して無線で通信する。この場合、弁コントローラ30とメインコントローラ26との間を接続する電気配線等が、設けられない。そして、弁コントローラ30及びメインコントローラ26は、互いに対して、無線信号を伝送可能である。
【0029】
図3及び図4等に示すように、コンソール20Aは、操作レバー32以外の電装部品として電装部品42A~42Eを備える。図3及び図4等の一例では、コンソール20Aにおいて、操作レバー32の外表面に電装部品42Aが設置され、コンソールボックス31の外表面に電装部品42B~42Eが設置される。電装部品42A~42Cのそれぞれでは、作業者等によって操作を入力可能である。
【0030】
ある一例では、電装部品42Aは、モード切替えスイッチである。電装部品42Aでは、油圧ショベルの作業モードを切替える操作を入力可能であり、例えば、ハイパワーモードと通常モードとの間で作業モードを切替える操作が入力される。また、電装部品42Bは、スタータスイッチであり、例えば、エンジンを始動する操作、及び、エンジンを停止する操作等が入力される。そして、電装部品42Cは、アクセルダイヤルであり、例えば、エンジンの回転数を変化させる操作が入力される。
【0031】
コンソール20Aでは、電装部品42A~42Cのそれぞれは、信号線等の電気配線を介して、弁コントローラ30に接続される。そして、コンソール20Aでは、電装部品42A~42Cのそれぞれでの操作の入力に対応させて、操作信号となる信号(電気信号)が、操作が入力された電装部品(42A~42Cの対応するいずれか)から弁コントローラ30に入力される。
【0032】
弁コントローラ30は、電装部品42A~42Cのそれぞれでの操作の入力に対応した信号を、メインコントローラ26へ伝送する。このため、電装部品42A~42Cのそれぞれは、弁コントローラ30を間に介して、操作の入力に対応した信号をメインコントローラ26に伝送する。そして、メインコントローラ26は、電装部品42A~42Cのそれぞれから弁コントローラ30を間に介して伝送された信号、すなわち、電装部品42A~42Cのそれぞれでの操作の入力に対応した信号等に基づいて、エンジンの駆動、及び、前述したアクチュエータに供給される作動油を吐出するポンプの作動等を制御する。
【0033】
また、電装部品42D,42Eのそれぞれは、信号線等の電気配線を介して、メインコントローラ26に接続される。電装部品42D,42Eのそれぞれとメインコントローラ26との間の電気配線は、コンソール20Aのコンソールボックス31の内部からコンソール20Aの外部へ、延出される。
【0034】
ある一例では、電装部品42Dは、情報等を表示するインジケータであり、表示させる情報を含む信号(電気信号)が、指令信号(制御信号)として、メインコントローラ26から電装部品42Dに伝送される。そして、電装部品42Eは、リーダであり、タグを電装部品42Eに近接させることにより、電装部品42Eは、タグに記憶された情報を読取る。そして、電装部品42Eは、タグから読取った情報を含む信号(電気信号)を、メインコントローラ26に伝送する。なお、図3及び図4等一例では、電装部品42D,42Eのそれぞれは、弁コントローラ30との間では、信号等を伝送しない。
【0035】
なお、ある一例では、コンソール20Aにおいて、電装部品42D,42Eのそれぞれは、信号線等の電気配線を介して、弁コントローラ30に接続される。そして、電装部品42Eは、弁コントローラ30を間に介して、メインコントローラ26へ前述した信号を伝送する。また、メインコントローラ26は、弁コントローラ30を間に介して、電装部品42Dへ前述した信号を伝送する。
【0036】
また、ある一例では、コンソール20Aに、操作レバー32とは別の電装部品が設けられる。そして、その電装部品は、弁コントローラ30を間に介して、メインコントローラ26へ信号を伝送するとともに、弁コントローラ30を間に介して、メインコントローラ26からの信号を受信する。したがって、コンソール20Aでは、操作レバー32とは別の電装部品として、弁コントローラ30を間に介してメインコントローラ26へ信号を伝送するか、及び、弁コントローラ30を間に介してメインコントローラ26からの信号を受信するかの少なくとも一方を行う電装部品が設けられればよい。
【0037】
図3等の一例では、コンソール20Aのコンソールボックス31の内部からコンソール20Aの外部へ、ハーネス36が延出される。ハーネス36には、弁コントローラ30と電磁弁41との間を接続する電気配線、弁コントローラ30とメインコントローラ26との間を接続する電気配線、及び、電装部品42D,42Eのそれぞれとメインコントローラ26との間を接続する電気配線等が含まれる。
【0038】
コンソール20Bも、コンソール20Aと同様に、コンソールボックス51及び操作レバー52を備える。また、コンソール20Bのコンソールボックス51の内部には、弁コントローラ30と同様の弁コントローラが収納されてもよい。この場合、コンソール20Bでは、操作レバー52が、信号線等の電気配線を介して、弁コントローラに接続される。そして、コンソール20Bの内部に収納される弁コントローラは、操作レバー52での操作の入力に対応させて操作レバーから入力される信号(電気信号)に基づいて、電磁弁41とは別の電磁弁への電力の供給を制御し、その電磁弁の作動を制御する。また、コンソール20Bの内部に収納される弁コントローラも、有線又は無線によって、メインコントローラ26と通信可能である。
【0039】
ある一例では、コンソール20Bの内部に弁コントローラが収容されるとともに、コンソール20Bに操作レバー52とは別の電装部品が1つ以上設けられる。そして、1つ以上の電装部品の少なくとも1つは、電気配線を介して、弁コントローラに接続される。そして、コンソール20Bの内部の弁コントローラに接続される電装部品は、弁コントローラを間に介してメインコントローラ26へ信号(電気信号)を伝送するか、及び、弁コントローラを間に介してメインコントローラ26からの信号(電気信号)を受信するかの少なくとも一方を行う。
【0040】
本実施形態では、コンソール20Aのコンソールボックス31の内部に、弁コントローラ30が収納される。そして、操作部材である操作レバー32での操作の入力に対応させて操作レバー32から入力される信号に基づいて、弁コントローラ30は、電磁弁41への電力の供給を制御し、電磁弁41の作動を制御する。ここで、電磁弁41の代わりにパイロット弁が設けられ、操作レバー32での操作に対応させてパイロット弁へのパイロット油の供給状態を変化させる構成等では、操作レバー32からパイロット弁にホース等を用いてパイロット油を供給する。本実施形態では、前述のような構成であるため、パイロット油を供給するホース等を設ける必要がない。
【0041】
パイロット油を供給するホース等が設けられないため、コンソール20Aでは、コンソールボックス31の内部に、弁コントローラ30を配置する空間が十分に確保される。そして、コンソールボックス31の内部に弁コントローラ30が配置されることにより、コンソールボックス31の内部の空間が、有効に活用される。コンソール20Aにおいてコンソールボックス31の内部の空間が有効に活用されることにより、運転室7に形成される限られた空間が、有効に活用される。
【0042】
また、弁コントローラ30がコンソールボックス31の内部に設けられることにより、操作レバー32と弁コントローラ30との間を接続する電気配線を短くすることが可能になるとともに、操作レバー32と弁コントローラ30との間を接続する電気配線がコンソール20Aの外部に露出しない構成を実現可能となる。これにより、操作レバー32と弁コントローラ30との間の電気配線の損傷等が、有効に防止される。
【0043】
また、電磁弁41への電力の供給を制御する弁コントローラ30がメインコントローラ26とは別に設けられることにより、電磁弁41の作動の制御における精度が向上する。電磁弁41の作動の制御における精度が向上することにより、電磁弁41に対応するアクチュエータの作動の制御について、精度が向上する。
【0044】
また、電装部品42A~42C等のコンソール20Aに設けられる電装部品の少なくとも一部は、弁コントローラ30を間に介してメインコントローラ26へ信号を伝送するか、及び、弁コントローラ30を間に介してメインコントローラ26からの信号を受信するかの少なくとも一方を行う。弁コントローラ30を介してメインコントローラ26との間で信号を授受する電装部品については、弁コントローラ30に接続する電気配線が設けられればよく、メインコントローラ26へ接続する配線を設ける必要はない。このため、本実施形態では、コンソール20Aに設けられる全ての電装部品がメインコントローラ26に接続される構成等に比べて、コンソール20Aとメインコントローラ26との間の電気配線の数が、大幅に削減される。これにより、コンソール20Aとメインコントローラ26との間において、電気配線の損傷等が適切に防止される。
【0045】
特に、運転室7では、シート23が、キャブボックス6の幅方向について、コンソール20Aに対して並んで配置され、メインコントローラ26は、コンソール20A及びシート23に対してキャブボックス6の後方側に配置さる。コンソール20A、シート23及びメインコントローラ26が前述のように配置される場合では、コンソール20Aとメインコントローラ26との間の電気配線の数が削減されることにより、キャブボックス6の前後方向へのシート23の移動に起因する電気配線の損傷等が、有効に防止される。
【0046】
また、弁コントローラ30及びメインコントローラ26が互いに対して無線で通信する構成にすることにより、コンソール20Aとメインコントローラ26との間の電気配線の数が、さらに削減される。これにより、コンソール20Aとメインコントローラ26との間において、電気配線の損傷等がさらに適切に防止される。
【0047】
また、弁コントローラ30を介してメインコントローラ26との間で信号を授受する電装部品については、弁コントローラ30との間を接続する電気配線が短くなるとともに、弁コントローラ30との間を接続する電気配線がコンソール20Aの外部に露出しない。このため、コンソール20Aでは、電装部品(42A~42C等)のそれぞれと弁コントローラ30との間の電気配線の損傷等が、有効に防止される。
【0048】
また、コンソール20Bについても、弁コントローラ30と同様の弁コントローラをコンソールボックス51の内部に収納することにより、前述した作用及び効果と同様の作用及び効果を奏する。
【0049】
なお、前述の実施形態等では、油圧ショベル1について説明したが、前述したコンソール20A等の構成、及び、コンソール20A及びメインコントローラ26等において信号等を伝送する構成等は、油圧ショベル1以外の建設機械にも適用可能である。すなわち、上部旋回体においてキャブフレームの内部に運転室が形成される建設機械であれば、前述の実施形態等の構成と同様の構成を適用可能である。
【0050】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0051】
1…油圧ショベル、2…下部走行体、3…上部旋回体、6…キャブボックス、7…運転室、8…作業装置、20A,20B…コンソール、23…シート、26…メインコントローラ、30…弁コントローラ、31…コンソールボックス、32…操作レバー、41…電磁弁、42A~42E…電装部品。
図1
図2
図3
図4