(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112382
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】美容機器
(51)【国際特許分類】
A61H 39/08 20060101AFI20230804BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
A61H39/08 K
A61H39/08 P
A61B17/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014138
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊治
(72)【発明者】
【氏名】山崎 雅子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 歩
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 襟伽
【テーマコード(参考)】
4C101
4C160
【Fターム(参考)】
4C101DA08
4C101DA15
4C101DB04
4C101EB02
4C160MM22
(57)【要約】
【課題】皮膚深部近傍に対して選択的に十分な熱エネルギーを付与することができる美容機器を提供する。
【解決手段】基台と、前記基台上に配列された複数の針部を含むマイクロニードルアレイと、基台に加振力を付加する振動付加部と、を備え、振動付加部が、マイクロニードルアレイの針部を共振振動させる超音波振動を付加する美容機器である。マイクロニードルアレイの各針部の根元側の質量が先端側の質量よりも小さくなるように設定されていることが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、前記基台上に配列された複数の針部を含むマイクロニードルアレイと、前記基台を介して前記複数の針部に加振力を付加する振動付加部と、を備え、
前記振動付加部が前記基台に加振力を付加する際、前記マイクロニードルアレイの各針部を共振振動させる振動数の超音波振動を付加する、美容機器。
【請求項2】
前記マイクロニードルアレイの各針部の根元側の質量が先端側の質量よりも小さい、請求項1に記載の美容機器。
【請求項3】
前記マイクロニードルアレイの各針部の先端側の摩擦係数が根元側の摩擦係数よりも大きい、請求項1又は2に記載の美容機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、美容機器に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の深部(例えば、1~3mm)に温熱刺激を与えることによって細胞が活性化され、コラーゲン産生やターンオーバー活性などの美肌効果が得られることが知られている。皮膚に対して温熱刺激を与える機器として、加熱手段によって加熱された温熱部を外表面に具備するとともに、加熱手段の発熱量を可変とする温度調節部を具備する温冷美顔器が提案されている(特許文献1参照)。当該温冷美顔器においては、温熱部表面から皮膚表面へ熱を伝達することで美肌効果が得られる。
【0003】
また、患者に薬剤を送達するための少なくとも1つのマイクロニードルと;患者の皮膚内への薬剤の浸透を向上させるように構成されたシステムと、を含む薬剤送達デバイスが提案されている(特許文献2参照)。当該薬剤送達デバイスにおいて、システムは患者の皮膚を加熱するように構成された加熱要素による加熱により、注射部位の近くで患者の体内の血流を増加させることができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63-257556号公報
【特許文献2】特表2020-503112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術により、美肌効果を得ることを目的として、皮膚深部に温熱刺激を与えようとすると以下の問題がある。
特許文献1に記載の温冷美顔器は、温熱部表面から皮膚表面へ熱を伝達する構成であり、皮膚深部を加熱する場合であっても、皮膚表面も同時に加熱されてしまう。すなわち、皮膚深部のみを加熱しようとしても、皮膚表面も必然的に加熱されてしまい、エネルギー的に無駄が生じる。
また、特許文献2に記載の構成では、マイクロニードルデバイスに加熱要素を組み合わせる構成により、マイクロニードルからの皮膚深部への熱伝達が行われる。しかし、特許文献1に記載の温冷美顔器と同様、皮膚深部のみならず、皮膚表面も加熱され、さらにはマイクロニードルの根元部位における皮膚表面への熱の伝達により、皮膚表面の温度が必要以上に上昇してしまう。
すなわち、従来においては、皮膚深部のみを加熱しようとしても皮膚表面が加熱されてしまい、皮膚深部のみを選択的に加熱することができなかった。
【0006】
本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本開示の目的は、皮膚深部近傍に対して選択的に十分な熱エネルギーを付与することができる美容機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様に係る美容機器は、基台と、基台上に配列された複数の針部を含むマイクロニードルアレイと、基台を介して複数の針部に加振力を付加する振動付加部と、を備え、振動付加部が基台に加振力を付加する際、マイクロニードルアレイの各針部を共振振動させる振動数の超音波振動を付加する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、皮膚深部近傍に対して選択的に十分な熱エネルギーを付与することができる美容機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の美容機器の全体を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の美容機器の要部について説明する模式図である。
【
図3】本実施形態の美容機器に使用されるマイクロニードルアレイの針部1本を示す断面図である。
【
図4】本実施形態の美容機器の針部が軸方向に振動した状態を示す模式図である。
【
図5】本実施形態の美容機器の針部が軸と直交する方向に振動した状態を示す模式図である。
【
図6】本実施形態の美容機器の針部の先端が円を描くように振動した状態を示す模式図である。
【
図7】本実施形態の美容機器に使用されるマイクロニードルアレイの針部1本の変形例を示す側面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
本実施形態の美容機器は、基台と、基台上に配列された複数の針部を含むマイクロニードルアレイと、基台を介して複数の針部に加振力を付加する振動付加部と、を備える。そして、振動付加部が基台に加振力を付加する際、マイクロニードルアレイの各針部を共振振動させる振動数の超音波振動を付加する。
本実施形態の美容機器においては、皮膚深部を加熱する際、振動付加部により基台を介して複数の針部に加振力を付加して振動させ、結果的に針部を共振振動させる。針部は共振振動により伸長と収縮とを繰り返すように振動し、しかも、根元部(基台側)の振幅よりも、先端部の振幅が大幅に増大する。その結果、針部の先端部近傍において選択的に十分な摩擦熱が発生する。これにより、皮膚深部に十分な熱エネルギーを付与することが可能となる。
【0012】
図1は、本実施形態の美容機器の一例について示す斜視図である。
図1に示す美容機器10は、本体12の一側に基台14に支持されたマイクロニードルアレイ16を備える。マイクロニードルアレイ16は、
図2に示すように、複数の針部18を含む。また、基台14のマイクロニードルアレイ16の反対側には振動付加部20を備える。振動付加部20は、例えば圧電体からなり、配線を介して電源回路22に接続されており、電源回路22から電流が供給されて超音波振動し、基台14を振動させる。すなわち、振動付加部20は基台14に対して超音波振動を付加する。基台14が振動すると、基台14上のマイクロニードルアレイ16に振動が伝達され、マイクロニードルアレイ16が振動する。すなわち、各針部18が振動する。また、振動付加部20は、各針部18を共振振動させる振動数の超音波振動を付加するように設定されている。なお、
図1及び
図2に示す美容機器10において、針部18は根元側と先端側とにおいて質量に差異がないものを想定している。
【0013】
美容機器10を使用するに際し、マイクロニードルアレイ16を人の皮膚表面に当接させ、針部18を皮膚の内部に穿刺する。その状態で電源回路22をオンの状態にして振動付加部20を駆動して基台14を振動させる。すると、マイクロニードルアレイ16、すなわち複数の針部18のそれぞれが長手方向に振動し、針部18の先端側18Bが伸長及び収縮を繰り返す。このとき、振動付加部20は、針部18を共振振動させる振動数の超音波振動を付加するため、針部18は共振振動し、先端部近傍の振幅が増大し、強い摩擦力が生じ、皮膚深部近傍が選択的に十分に加熱される。そして、皮膚深部が加熱されることで、上述のような美肌効果を発揮する。なお、皮膚表面においては、皮膚深部よりも振幅が小さいため、皮膚深部ほどの摩擦熱が発生せず、皮膚深部よりも低温となる。そして、皮膚の内部に針部18を穿刺した後、所定時間経過したら針部18を皮膚から抜きとる。
【0014】
上記の通り、振動付加部20は、針部18を共振振動させる振動数の超音波振動を付加する。換言すると、振動付加部20は、針部18の固有振動数に相当する振動を針部18に付加し、その結果、針部18は共振振動する。従って、本実施形態においては、針部18の固有振動数を事前に検知し、振動付加部20が付加する超音波振動の振動数は、検知した針部18の固有振動数に相当する振動数に設定する。例えば、針部18の固有振動数が400kHzであれば、振動付加部20は400kHzの振動を付加し、針部18を共振振動させる。なお、超音波振動は振動数20kHz以上の振動であり、振動付加部20は、超音波振動を発生可能な圧電素子等を利用することができる。
【0015】
美容機器10においては、振動付加部20が基台14を超音波振動させ、当該超音波振動を針部18に伝達する。従って、基台14は、針部18に超音波振動を伝達する媒体となる。そのため、基台14は超音波振動を針部18に伝達させやすい剛体であり、かつ振幅の減少を抑えられるよう軽量であることが好ましい。
【0016】
針部18は、共振振動に対する耐久性の観点から、ステンレスなどの金属で構成されることが好ましい。なお、針部18は、長さ0.1~3.0mm、直径10~1000μmとすることができる。
【0017】
図1においては、針部18は根元側と先端側とにおいて質量に差異がないものを示したが、各針部18の根元側の質量が先端側の質量よりも小さいことが好ましい。各針部18の根元側の質量が先端側の質量よりも小さいと、針部18の共振振動数が過度に高くなることを防止することができ、振動付加部20の過大なエネルギー損失、及び針部18の振幅の低減を抑えることができる。
【0018】
図3に、各針部18の根元側の質量が先端側の質量よりも小さい形態について示す。なお、
図3においては、1本の針部18が基台14に立設された状態を誇張して描いており、特に中空部18Cの形状及び寸法比は実際のものとは異なる。
図3に示す針部18は、ステンレスなどの金属で構成され、根元側18Aに中空部18Cを有する。すなわち、針部18の根元側18Aは中空となっている。また、針部18の先端側18Bは中実に構成されている。従って、針部18の根元側18Aの質量は先端側18Bの質量よりも小さい。
【0019】
図3においては、針部18の根元側18Aに中空部18Cを設けることにより、針部18の根元側の質量が先端側の質量よりも小さい形態としたが、本実施形態においては
図3に示す形態に限定されることはない。例えば、針部18の先端側18Bよりも根元側18Aの方を、細くする、軽い材料を用いる、又は針の長手方向と直交する方向(水平方向)に貫通孔、もしくは貫通した切り欠き形状を有する、等としてもよい。その他、針部18の根元側と先端側とで密度が異なる材料、すなわち根元側が先端側よりも密度が低い材料を用い、両者を結合して針部18を形成してもよい。
また、針部18の根元側の質量が先端側の質量よりも小さい形態とするに際し、先端側から根元側に向けて段階的に質量が減少するようにしてもよいし、漸次的に質量が減少するようにしてもよい。
【0020】
一方、
図3に示すように、先端側18Bの表面は微小な凹凸が形成されており、摩擦係数が根元側18Aよりも大きい。すなわち、先端側18Bの方が根元側18Aよりも発生する摩擦熱が大きい。従って、針部18の先端側18Bの表面に微小な凹凸を形成することにより、針部18の先端部近傍において、より大きな摩擦熱を発生させることができる。
【0021】
以上説明した形態においては、振動付加部20による加振力の向きは、
図4に示すように、針部18の長手方向であり、針部18はその長手方向に伸長・収縮するように変形が生じる。
図4において、(A1)は針部18が最大収縮した状態を示し、(A2)は針部18が最大伸長した状態を示す。すなわち、振動付加部20により針部18に加振力が付加されると、針部18は共振により、(A1)に示す最大収縮と、(A2)に示す最大伸長との間で伸長・収縮を繰り返すように振動する。なお、上述したように、針部18の先端側18Bの方が根元側18Aよりも振幅が大きいが、
図4はそのような状態をも示している。
【0022】
図4においては、針部18を長手方向に振動させる形態を示したが、別の方向に振動させてもよい。そのような別の方向に振動させる形態について、
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は針部18を長手方向と直交する方向(水平方向)に往復振動させる形態を示している。より具体的には、
図5の(A1)においては、針部18の先端部が水平方向における一方の側に最大変位した状態を示し、(A2)においては、針部18の先端部が水平方向における他方の側に最大変位した状態を示している。すなわち、針部18の先端側18Bは、
図5の(A1)と(A2)との間において振り子のように往復振動する。
図5に示す形態においても、針部18を皮膚の内部に穿刺したとき、針部18の共振振動により先端側18Bが根元側18Aよりも大きく変位し、先端側18Bの変位に伴う摩擦熱により先端側18B、すなわち皮膚深部が選択的に加熱される。
【0023】
また、
図6は、針部18の先端を回転振動させる形態を示している。すなわち、針部18の先端側18Bは、
図6に示す矢印方向に回転振動する。
図6に示す形態においても、針部18を皮膚の内部に穿刺したとき、針部18の回転振動により先端側18Bが根元側18Aよりも大きく回転振動し、先端側18Bの回転に伴う摩擦熱により先端側18B、すなわち皮膚深部が選択的に加熱される。なお、針部18の先端側18Bの回転方向は、
図6に示す方向とは反対であってもよい。
【0024】
なお、
図5及び
図6に示す形態においても、各針部18の根元側の質量が先端側の質量よりも小さいことが好ましい。そのような構成により、上述したように、針部18の共振振動数が過度に高くなることを防止することができ、振動付加部20の過大なエネルギー損失、及び針部18の振幅の低減を抑えることができる。
【0025】
次いで、本実施形態の美容機器における針部の更に別の形態について
図7を参照して説明する。
図7に示す形態は、針部18の先端側18Bに、摩擦係数が大きいゴム材をコーティングした点において
図3に示す形態とは異なる。従って、
図7においては、
図3に示す形態と実質的に同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略し、
図3との相違点のみについて説明する。
図7に示す針部18は、先端側18Bに、ゴム材がコーティングされてなるゴム層24を有する。すなわち、
図7に示す形態においては、針部18の先端側18Bに、摩擦係数が高いゴム層24を有するため、肌の深部で振動した際、
図3に示す形態よりも発生する摩擦熱が大きい。従って、より効率良く肌の深部を加熱することができる。
【0026】
図7においては、針部18の先端側18Bに、ゴム材のコーティングによるゴム層24を形成したが、摩擦係数を針部18よりも高くすることが可能な材料であればゴム材でなくてもよい。ゴム材以外の材料としては、セラミックや金属などの焼結材料、又は炭素繊維などの繊維質に樹脂材料を含浸させた複合材料等が挙げられる。
【0027】
針部18において、根元側18Aの摩擦係数と、先端側18Bの摩擦係数との差は、2倍~3倍とすることが好ましい。
【0028】
以上説明したように、本実施形態の美容機器において、加熱する際の主な熱源は摩擦熱であるが、皮膚深部を選択的に加熱可能という効果を損なわない限り、摩擦熱に加えて別途熱源を設けてもよい。
【0029】
以下、実施の形態の美容機器の特徴的構成およびそれにより得られる効果について述べる。
【0030】
(1)美容機器は、基台と、基台上に配列された複数の針部を含むマイクロニードルアレイと、基台を介して複数の針部に加振力を付加する振動付加部と、を備える。そして、振動付加部が基台に加振力を付加する際、マイクロニードルアレイの各針部を共振振動させる振動数の超音波振動を付加する。
針部の先端側は振幅が大きく、部分的に大きな摩擦熱が発生するため、皮膚の深部に十分な熱エネルギーを伝達することが可能となる。ひいては、細胞が活性化され、コラーゲン産生やターンオーバー活性などの美肌効果が得られる。
【0031】
(2)マイクロニードルアレイの各針部の根元側の質量が先端側の質量よりも小さくなるように設定されていることが好ましい。当該構成によると、針部の共振振動数が過度に高くなることを防止することができ、振動負荷部の過大なエネルギー損失、及び振幅の低減を抑えることができる。
【0032】
(3)マイクロニードルアレイの各針部の先端側の摩擦係数が根元側の摩擦係数よりも大きい。当該構成によると、摩擦熱を先端側により集中して発生させることができ、加熱効率が向上する。
【0033】
次いで、本開示において、上述の態様とは同等であるが別の表現とした態様又は他の態様について示す。
【0034】
(a)共振により針が伸縮する共振伸縮針部と、前記共振伸縮針部を1個以上突出させた基台部と、前記基台部を介して前記共振伸縮針部を振動するために前記基台部に接続される振動子部とを設けたことを特徴する美容機器。
共振振動部は、
図1~2に示す形態の針部18に相当する。同様に、基台部は基台14に相当し、振動子部は振動付加部20に相当する。従って、
図1~2に示す形態と同様に、共振伸縮針部の先端側は振幅が大きく、部分的に大きな摩擦熱が発生するため、皮膚の深部に十分な熱エネルギーを伝達することが可能となる。ひいては、細胞が活性化され、コラーゲン産生やターンオーバー活性などの美肌効果が得られる。
【0035】
(b)前記振動子部は、前記共振伸縮針部を共振振動させる振動数の超音波振動を付加する共振振動付加部を有することを特徴とする前記(a)に記載の美容機器。
振動子部として、超音波振動を付加する共振振動付加部を有することで、共振伸縮針部を高い振動数で共振振動させることができ、効率良く加熱することができる。
【0036】
(c)前記振動子部は、前記共振伸縮針部の長さ方向に加振力を加える長さ方向加振力部を有することを特徴とする前記(a)又は(b)に記載の美容機器。
共振伸縮針部の長さ方向に加振力を加える長さ方向加振力部を有することで、
図4に示すように共振伸縮針部を伸縮させることができる。
【0037】
(d)前記超音波振動は、共振により前記共振伸縮針部の先端の振幅が根元に対して相対的に大きくなるような振動であることを特徴する前記(b)又は(c)に記載の美容機器。
前記共振伸縮針部の先端の振幅が根元に対して相対的に大きくなるように振動させることにより、皮膚深部を選択的に加熱することができる。
【0038】
(e)前記超音波振動は、20kHz以上であることを特徴とする前記(b)~(d)のいずれかに記載の美容機器。
【0039】
(f)前記共振伸縮針部の前記基台部側の質量を、前記共振伸縮針部の先端側の質量より相対的に低減することを特徴とする前記(a)~(e)のいずれかに記載の美容機器。
共振伸縮針部の質量を、上記のように基台側を先端側よりも低減することで、共振伸縮針部の共振振動数が過度に高くなることを防止することができ、振動子部の過大なエネルギー損失、及び振幅の低減を抑えることができる。
【0040】
(g)前記共振伸縮針部の前記基台部側を細くすること又は中空にすること又は前記共振伸縮針部よりも軽い材料にすることにより、前記共振伸縮針部の前記基台部側の質量が、前記共振伸縮針部の先端側の質量より相対的に低減されていることを特徴とする前記(a)~(f)のいずれかに記載の美容機器。
前記(f)の形態とするための一態様として、共振伸縮針部の基台部側を細くすること又は中空にすること又は共振伸縮針部よりも軽い材料にすることが挙げられる。
【0041】
(h)前記共振伸縮針部の先端側の質量を、前記基台部側の質量より相対的に増加させることを特徴とする前記(a)~(g)のいずれかに記載の美容機器。
前記(f)の態様と同様に、共振伸縮針部の共振振動数が過度に高くなることを防止することができ、振動子部の過大なエネルギー損失、及び振幅の低減を抑えることができる。
【0042】
(i)前記共振伸縮針部の先端部の摩擦を増加させる構造である先端部摩擦増加部を設けたことを特徴とする前記(a)~(h)のいずれかに記載の美容機器。
共振伸縮針部の先端部に、先端部摩擦増加部を設けることにより、摩擦熱を先端側により集中して発生させることができ、加熱効率が向上する。
【0043】
(j)前記先端部摩擦増加部は、凹凸形状又は前記基台部側よりも摩擦の大きい材料で構成されていることを特徴とする前記(i)に記載の美容機器。
先端部摩擦増加部の一態様として、凹凸形状又は前記基台部側よりも摩擦の大きい材料で構成することができる。
【0044】
(k)前記先端部摩擦増加部は、弾性体で構成されていることを特徴とする前記(i)又は(j)に記載の美容機器。
先端部摩擦増加部の一態様として、弾性体で構成することができる。
【0045】
(l)前記共振伸縮針部の先端部は、摩擦係数が基台部側よりも大きく、かつ、質量が基台部側よりも大きい材料でコーティングされていることを特徴とする前記(a)~(k)のいずれかに記載の美容機器。
共振伸縮針部の先端部を、摩擦係数が基台部側よりも大きく、かつ、質量が基台部側よりも大きい材料でコーティングすることで、先端部における摩擦熱の向上と、共振振動数の過度な上昇の防止とを両立することができる。
【0046】
(m)前記振動子部は、各種共振振動させるための共振モードを制御する共振モード制御部を有することを特徴とする前記(a)~(l)のいずれかに記載の美容機器。
共振モード制御部を設けることで、共振振動針部の共振モードを制御することができ、皮膚深部に対して種々の態様で加熱することができる。
【0047】
(n)前記共振モードは、前記共振伸縮針部における針の伸縮振動又は曲げ振動又は回転方向振動であることを特徴とする前記(m)に記載の美容機器。
共振モードとしては、針の伸縮振動又は曲げ振動又は回転方向振動が挙げられる。伸縮振動は
図4に示す振動であり、曲げ振動は
図5に示す振動であり、回転方向振動は
図6に示す振動で右回り又は左回りである。
【0048】
(o)前記共振伸縮針部は、マイクロニードルであることを特徴とする前記(a)~(n)のいずれかに記載の美容機器。
共振伸縮針部の一態様として、マイクロニードルが挙げられる。
【0049】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示は、皮膚の深部を加熱する美容機器に適用可能である。具体的には、美顔器、ハンディ型美顔器、マッサージ機器などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 美容機器
12 本体
14 基台
16 マイクロニードルアレイ
18 針部
18A 根元側
18B 先端側
18C 中空部
20 振動付加部
22 電源回路
24 ゴム層