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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112405
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】ユニット建造物及び建造物用資材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20230804BHJP
   E04B 1/348 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
E04B1/343 J
E04B1/348 F
E04B1/348 L
E04B1/343 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014175
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】507142498
【氏名又は名称】有限会社徳装
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金森 徳夫
(57)【要約】
【課題】 建築施工が容易となり、少ない労力で短時間に建造できるため、大幅なコスト低減を図ることができる。加えて、ユニット建造物としての使用後もベンチ等の他のものに広く転用できるなど、リサイクル性に優れる。
【解決手段】 所定の長さLmを有する、端面Xが矩形状となる棒部材Bにおける当該端面Xの一方側に位置する面を第一の曲率D1を有する凹状面部p1に形成し、かつ端面Xの他方側に位置する面を第二の曲率D2を有する凸状面部p2に形成した複数の建造物用資材P…を有し、任意の建造物用資材Pにおける凹状面部p1と他の建造物用資材Pにおける凸状面部p2を当接することにより順次連結して構成した筒状体Cを有する建造物本体部M1と、この建造物本体部M1における各建造物用資材P…の位置を固定する一又は二以上の固定機能部M2とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口を有する少なくとも内部に空間を形成してなるユニット建造物において、所定の長さを有する、端面が矩形状となる棒部材における前記端面の一方側に位置する面を第一の曲率を有する凹状面部に形成し、かつ前記端面の他方側に位置する面を第二の曲率を有する凸状面部に形成した複数の建造物用資材を有し、任意の前記建造物用資材における前記凹状面部と他の前記建造物用資材における前記凸状面部を当接することにより順次連結して構成した筒状体を有する建造物本体部と、この建造物本体部における各建造物用資材の位置を固定する一又は二以上の固定機能部とを備えてなることを特徴とするユニット建造物。
【請求項2】
前記棒部材は、リサイクル材,バージン材又はこれらの複合材を用いたプラスチック素材により一体成形してなることを特徴とする請求項1記載のユニット建造物。
【請求項3】
前記建造物本体部は、前記筒状体の両端部の一方又は双方から内方の所定位置に仕切壁を設けてなることを特徴とする請求項1記載のユニット建造物。
【請求項4】
前記固定機能部は、前記筒状体の周囲を巻いて固定する一又は二以上の巻付部材を用いることを特徴とする請求項1,2又3記載のユニット建造物。
【請求項5】
前記建造物本体部を支持する一又は二以上の支持基台を有する基台部を備えることを特徴とする請求項1記載のユニット建造物。
【請求項6】
前記第二の曲率は、前記第一の曲率に対して、同一又は大きく設定することを特徴とする請求項1,2又は3記載のユニット建造物。
【請求項7】
所定の長さを有する、端面が矩形状となる棒部材を用いた建造物用資材において、前記棒部材における前記端面の一方側に位置する面を第一の曲率を有する凹状面部に形成し、かつ前記端面の他方側に位置する面を第二の曲率を有する凸状面部に形成するとともに、任意の前記建造物用資材における前記凹状面部と他の前記建造物用資材における前記凸状面部を当接することにより順次連結可能に構成してなることを特徴とする建造物用資材。
【請求項8】
前記棒部材は、リサイクル材,バージン材又はこれらの複合材を用いたプラスチック素材により一体成形してなることを特徴とする請求項7記載の建造物用資材。
【請求項9】
前記第二の曲率は、前記第一の曲率に対して、同一又は大きく設定することを特徴とする請求項7又は8記載の建造物用資材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出入口を有する少なくとも内部に空間を形成してなるユニット建造物及び同建造物等に用いて好適な建造物用資材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャンプ,レジャー,カラオケ等を目的として、小人数で利用できるようにした小規模なユニット建造物としては、特許文献1に開示される移動式小屋及び特許文献2に開示される組み立て式簡易バンガローが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の移動式小屋は、密室性のない開放的で体裁の良い箱形移動式小屋を得ることを目的としたものであり、具体的には、防音壁によって形成された移動可能な箱形小屋の正面壁に玄関出入口を開口し、該出入口の内部に玄関を介して部屋の仕切壁を設け、該仕切壁の上記出入口と対する位置に窓を設け、該仕切壁の中程と上記正面壁とを接続する交差壁を設け、該交差壁及び上記仕切壁にそれぞれドアを設けて該交差壁と仕切壁との間を出入通路となし、該通路上の上記小屋の天井面と該通路の天井板との間を通風路となし、該通風路と部屋との連通孔を仕切壁上部に穿設し、交差壁の上部に通風路に通じる換気扇を設け、部屋の防音壁には外部との通気孔を穿設して構成されたものである。
【0004】
また、特許文献2に記載の組み立て式簡易バンガローは、低コストで構築が可能で、且つ夏期並びに冬季の使用も可能な簡易バンガローの提供を目的としたものであり、具体的には、4分の一球殻を2個組み合わせて半球状の屋根とした2個のFRP製の屋根部材と、屋根部材を半球状に組み合わせた際の開口部径に対応する円筒体を縦2分割した形状にして、適宜開閉扉部材及び換気扇並びに電源供給部を付設した2個のFRP製の壁部材と、半球状に組み合わせた屋根部材に嵌合載置できる複数の異なる円形とした輪状体及び、屋根部材並びに壁部材を組み立てた際の全体を被覆する網体とからなる雪付着部材とより構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3-89844号公報
【特許文献2】特開平10-121752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来のユニット建造物(小屋,バンガロー)は、次のような問題点があった。
【0007】
第一に、使用する資材についてリサイクル性を考慮していないとともに、使用後の資材に対してもほとんどリサイクル性を考慮していない。即ち、機能に基づく固有の構成部材を使用するため、使用後は、ほとんど再利用できない虞れがあり、リサイクル性の観点からは不十分である。
【0008】
第二に、基本的には、屋根部材や壁部材を組合わせて仕切った部屋を構成するため、多種多数の構成部材や材料を用意する必要がある。このため、建造に時間や労力が費やされるなど施工が大変となる。しかも、構造も煩雑化し、シンプル性に欠けるため、大幅なコストが強いられる。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したユニット建造物及び建造物用資材の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るユニット建造物1は、上述した課題を解決するため、出入口2を有する少なくとも内部に空間Rを形成してなるユニット建造物を構成するに際し、所定の長さLmを有する、端面Xが矩形状となる棒部材Bにおける当該端面Xの一方側に位置する面を第一の曲率D1を有する凹状面部p1に形成し、かつ端面Xの他方側に位置する面を第二の曲率D2を有する凸状面部p2に形成した複数の建造物用資材P…を有し、任意の建造物用資材Pにおける凹状面部p1と他の建造物用資材Pにおける凸状面部p2を当接することにより順次連結して構成した筒状体Cを有する建造物本体部M1と、この建造物本体部M1における各建造物用資材P…の位置を固定する一又は二以上の固定機能部M2とを備えることを特徴とする。
【0011】
一方、本発明に係る建造物用資材Pは、上述した課題を解決するため、所定の長さLmを有する、端面Xが矩形状となる棒部材Bを用いた資材を構成するに際し、棒部材Bにおける端面Xの一方側に位置する面を第一の曲率D1を有する凹状面部p1に形成し、かつ端面Xの他方側に位置する面を第二の曲率D2を有する凸状面部p2に形成するとともに、任意の建造物用資材Pにおける凹状面部p1と他の建造物用資材Pにおける凸状面部p2を当接することにより順次連結可能に構成してなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、発明の好適な態様により、ユニット建造物1及び建造物用資材Pの実施に際し、棒部材Bは、リサイクル材,バージン材又はこれらの複合材を用いたプラスチック素材rmを含めて一体成形することができる。なお、第二の曲率D2は、第一の曲率D1に対して、同一又は大きく設定するとともに、筒状体Cの両端部Cp,Cqの一方又は双方から内方の所定位置に仕切壁Wp,Wqを設けることが望ましい。さらに、ユニット建造物1における固定機能部M2は、筒状体Cの周囲を巻いて固定する一又は二以上の巻付部材3…を用いることができるとともに、ユニット建造物1には、建造物本体部M1を支持する一又は二以上の支持基台ma…有する基台部M3を設けることができる。
【発明の効果】
【0013】
このような構成を有する本発明に係るユニット建造物1及び建造物用資材Pによれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0014】
(1) 所定の長さLmを有する、端面Xが矩形状となる棒部材Bにおける当該端面Xの一方側に位置する面を第一の曲率D1を有する凹状面部p1に形成し、かつ端面Xの他方側に位置する面を第二の曲率D2を有する凸状面部p2に形成した複数の建造物用資材P…を使用して建造物本体部M1の屋根や壁を構成するため、構造が極めてシンプルとなる。したがって、建築施工が容易となり、少ない労力で短時間に建造できるため、大幅なコスト低減を図ることができる。加えて、ユニット建造物1としての使用後もベンチ等の他のものに広く転用できるなど、リサイクル性に優れる。
【0015】
(2) 好適な態様により、棒部材Bを、リサイクル材,バージン材又はこれらの複合材を用いたプラスチック素材を含めて一体成形すれば、廃プラスチックを用いたリサイクル材を利用できるため、建造物用資材Pの製作面でもリサイクル性に優れ、建造物用資材Pの製作面及び使用後の両面においてリサイクル性をより高めることができる。
【0016】
(3) 好適な態様により、第二の曲率D2を、第一の曲率D1に対して、同一又は大きく設定すれば、凹状面部p1及び凸状面部p2の中間位置で確実に当接(接触)させることができるため、複数の建造物用資材P…同士の連結面の密閉性を高めることができるとともに、建造物用資材P…同士の結合及び位置合わせを確実に行うことができる。
【0017】
(4) 好適な態様により、筒状体Cの両端部Cp,Cqの一方又は双方から内方の所定位置に仕切壁Wp,Wqを設ければ、この仕切壁Wp,Wqにより、筒状体Cの端面形状を特定できるため、円形状のみならず、楕円形状,角が丸くなる三角形状や四角形状などの様々な形状に容易に建造できるとともに、形状の安定性及び剛性を高めることができる。しかも、仕切壁Wp,Wqを利用して窓やドアを付設できるとともに、仕切壁Wp,Wqの外側に位置する建造物本体部M1の部位を庇や玄関に利用することができる。
【0018】
(5) 好適な態様により、ユニット建造物1における固定機能部M2に、筒状体Cの周囲を巻いて固定する一又は二以上の巻付部材3…を用いれば、基本的には部品点数として一本の巻付部材3の使用により固定できるため、コスト面,軽量面及び施工面等における優位なメリットを享受することができる。
【0019】
(6) 好適な態様により、ユニット建造物1を構成するに際し、建造物本体部M1を支持する一又は二以上の支持基台ma…有する基台部M3を設ければ、建造物本体部M1の位置や角度を固定して支持できるため、安定性,安全性及び防水性等を飛躍的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の好適実施形態に係るユニット建造物の一部抽出拡大図を含む外観正面図、
図2】同ユニット建造物の一部抽出拡大図を含む外観側面図、
図3】本発明の好適実施形態に係る建造物用資材の正面図、
図4】同建造物用資材の変更例を示す正面図、
図5】同建造物用資材の中間部位を省略した外観斜視図、
図6】同ユニット建造物に使用する支持基台の外観斜視図、
図7】同ユニット建造物の断面側面図、
図8】同建造物用資材を利用したベンチの外観平面図、
図9】同ベンチの一部抽出拡大図を含む外観側面図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
まず、本実施形態に係るユニット建造物1に使用する建造物用資材Pについて、図3図6を参照して説明する。
【0023】
図3及び図5は、本実施形態に係る建造物用資材Pを示す。この建造物用資材Pは、所定の長さLmを有する、端面Xが矩形状となる棒部材Bを用いる。例示の棒部材Bは、長さLmが3200〔mm〕,幅Lwが100〔mm〕.厚さLdが35〔mm〕である。この棒部材Bは、リサイクル材、特に、廃プラスチックを再生したリサイクル材を用いることが望ましい。なお、リサイクル材が望ましいが、バージン材であってもよいし、バージン材とリサイクル材を混合した複合材であってもよい。また、このリサイクル材(複合材)には、プラスチック素材のみであってもよいし、プラスチック素材のみならず、他の素材、例えば、木粉やゴム粉等の他の素材を混合したものであってもよい。このように、棒部材Bを形成するに際し、リサイクル材,バージン材又はこれらの複合材を用いたプラスチック素材を含めて一体成形すれば、廃プラスチックを用いたリサイクル材を利用できるため、建造物用資材Pの製作面でもリサイクル性に優れ、建造物用資材Pの製作面及び使用後の両面においてリサイクル性を高めることができる。
【0024】
さらに、棒部材Bは、図3に示すように、端面Xの一方側に位置する面を第一の曲率D1を有する凹状面部p1に形成し、かつ端面Xの他方側に位置する面を第二の曲率D2を有する凸状面部p2に形成する。これにより、任意の建造物用資材Pにおける凹状面部p1と他の建造物用資材Pにおける凸状面部p2を当接することにより順次連結することができ、筒状体Cを得ることができる。
【0025】
この場合、第二の曲率D2は、第一の曲率D1に対して、同一又は大きく設定する。例示は大きく設定した例を示すが、同一であってもよい。このように、第二の曲率D2の大きさを設定するに際し、第一の曲率D1に対して、同一又は大きく設定すれば、凹状面部p1及び凸状面部p2の中間位置で確実に当接(接触)させることができるため、複数の建造物用資材P…同士の連結面の密閉性を高めることができるとともに、建造物用資材P…同士の結合及び位置合わせを確実に行うことができる。
【0026】
図4は、建造物用資材Pの変更例となる建造物用資材Peを示す。変更例に係る建造物用資材Peは、図3に示した建造物用資材Pに対して、両側に位置する面を、共に凸状面部p2と凸状面部p2に形成したものであり、いずれも第一の曲率D1により形成するため、全体の正面(端面X)形状は小判形となる。変更例に係る建造物用資材Peは、図3に示す建造物用資材Pを順次連結し、全体として一枚の板部材(ベンチ等の座面)に構成する場合の他端位置に使用することができる(図9参照)。
【0027】
次に、このような建造物用資材P…を利用した本実施形態に係るユニット建造物1について、図1図7を参照して具体的に説明する。
【0028】
このユニット建造物1は、大別して、建造物本体部M1,固定機能部M2及び基台部M3を備えて構成する。
【0029】
また、建造物本体部M1は、基本的な構成要素として、筒状体C,仕切壁Wp及びWqを備え、この筒状体C,仕切壁Wp及びWqにより、建造物本体部M1の主要部を構築することができる。この場合、仕切壁Wpは、円形に形成した板材(例示はアクリル板)を利用する。仕切壁Wpは、強度を考慮した厚さを選定し、図1に示すように、正面側に配置することにより、中間部には、開閉式のドア11を付設した出入口2を設ける。一方、仕切壁Wqも、円形に形成した板材(例示はアクリル板)を利用する。仕切壁Wqは、強度を考慮した厚さを選定し、図7に示すように、背面側に配置することにより、中間部位には、透明板13等を付設した窓14を設けることができる。
【0030】
仕切壁WpとWq間の空間Rは、居住空間Rsとして利用することができる。例示の居住空間Rsは、図1及び図7に示すように、複数(例示は3枚)の支持板15…により下面が支持された床板16,及びこの床板16に対して、所定高さ高くした左右一対のベッド部17a,17bにより構成した一例を示す。この場合、仕切壁WpとWqの直径は、例示の場合、2200〔mm〕に選定したため、図7に示すように、利用者Hは、床板16の上に余裕を持って立つことができるとともに、ベッド部17a,17bの長さは、1900〔mm〕に選定したため、図7に示すように、利用者Hは、ベッド部17a,17bに余裕をもって横になることができる。
【0031】
したがって、建造物本体部M1を製作するに際しては、最初に、仕切壁WpとWq間に床板16とベッド部17a,17bを組付けた中間アセンブリMmを製作する。この後、前述した建造物用資材P…を必要本数(例示は40本)だけ用意し、図1に示す一部抽出拡大図のように、仕切壁WpとWqの周縁に、任意の建造物用資材Pにおける凹状面部p1と他の建造物用資材Pにおける凸状面部p2を当接することにより順次連結し、必要本数の全てを連結すれば、図1に示すような筒状体Cを構成することができる。この場合、仕切壁WpとWqの周縁と各建造物用資材P…間は、後述する固定機能部M2により固定できるため、この時点では、接着剤又は固定治具等により仮止めする。
【0032】
そして、筒状体Cの組付けが終了すれば、図1及び図2に示すように、建造物本体部M1における各建造物用資材P…の位置を、一又は二以上の固定機能部M2により固定する。実施形態では、筒状体Cの周囲を巻いて固定する一又は二以上の巻付部材3…を用いた。例示は、軸方向に等間隔に配した四つの巻付部材3…を使用した。巻付部材3の素材は、ステンレス素材である。なお、図2に示す18…は、巻付部材3…の軸方向位置を規制する規制部材を示す。
【0033】
このように、固定機能部M2を構成するに際し、筒状体Cの周囲を巻いて固定する一又は二以上の巻付部材3…を用いれば、基本的には部品点数として一本の巻付部材3の使用により固定できるため、コスト面,軽量面及び施工面等における優位なメリットを享受することができる。
【0034】
ところで、前述したように、建造物用資材Pの長さLmは、3200〔mm〕を設定したため、仕切壁Wp,Wqの位置は、筒状体Cの両端部Cp,Cqの一方又は双方(例示は双方)から内方の所定位置に配置される。例示の場合、仕切壁Wpの位置は、端部Cpから内方へ700〔mm〕の位置を選定し、仕切壁Wqの位置は、端部Cpから内方へ600〔mm〕の位置を選定した。
【0035】
仕切壁Wp,Wqを、このような位置に設ければ、この仕切壁Wp,Wqにより、筒状体Cの端面形状を特定できるため、円形状のみならず、楕円形状,角が丸くなる三角形状や四角形状などの様々な形状に容易に建造できるとともに、形状の安定性及び剛性を高めることができる。しかも、仕切壁Wp,Wqを利用して窓やドアを付設できるとともに、仕切壁Wp,Wqの外側に位置する建造物本体部M1の部位を庇や玄関に利用することができる。以上により、出入口2を有する少なくとも内部に空間Rを形成してなるユニット建造物1が構成される。
【0036】
他方、建造物本体部M1を支持する一又は二以上の支持基台ma…有する基台部M3を用意する。図6に、一つの支持基台maを示す。例示の場合、図2に示すように、三つの支持基台ma,mb,mcを使用した。支持基台maは、ブロック部材21を利用し、このブロック部材21の下面21dを平坦面に形成するとともに、上面21uに、建造物本体部M1(筒状体C)の外周面に嵌合する下方に窪んだ円弧凹面を形成する。支持基台maは、上述した建造物用資材Pと同一の素材により一体形成してもよいし、コンクリートや木材等の他の素材で形成してもよく、その素材は問わない。例示は、木材により形成し、外面をポリスチレン樹脂素材により塗装したものを用いた。このように、建造物本体部M1を支持する一又は二以上の支持基台ma…を有する基台部M3を設ければ、建造物本体部M1の位置や角度を固定して支持できるため、安定性,安全性及び防水性等を飛躍的に高めることができる。
【0037】
次に、図8及び図9を参照して本実施形態に係る建造物用資材P…の他の使用例について説明する。1eは公園等に設置可能なベンチを示す。なお、本発明に係るユニット建造物とは、通常の建造物のみならず、ベンチ等の屋外で使用又は設置する各種屋外構築物を含む概念である。
【0038】
例示するベンチ1eは、図8及び図9に示すように、座面部31と脚部32を備え、この座面部31を、建造物用資材P…を利用して構成することができる。この座面部31は、複数(例示は九つ)の建造物用資材P…と一つの建造物用資材Peにより構成したものである。この場合、各建造物用資材P…を水平方向へ順次連結するとともに、端部に位置する建造物用資材Pの凹状面部p1に、図4に示した変更例に係る建造物用資材Peを一つ配することにより、座面部31の前後の面が凸状の丸みを有する平坦板状に構成することができる。
【0039】
なお、脚部32は、四本の脚本体部32a,32b,32c,32dと、この脚本体部32a…32dの上端面により支持される二つの上板部32u,32uと、各脚本体部32a…32dを中間位置で連結する二つの中間板部32r…と、各中間板部32r…間を連結する連結板部32mを備えて構成し、座面部31は、上板部32u,32uの上面により支持される。例示の座面部31は、平坦状に構成したが、例えば、上板部32u,32uを、稍湾曲させれば、座面部31も、その湾曲面に追従させることができる。また、脚部32の各構成素材は、上述した建造物用資材Pと同一の素材により一体形成してもよいし、コンクリートや木材等の他の素材で形成してもよく、その素材は問わない。
【0040】
よって、このような本実施形態に係るユニット建造物1によれば、基本的な構成として、所定の長さLmを有する、端面Xが矩形状となる棒部材Bにおける当該端面Xの一方側に位置する面を第一の曲率D1を有する凹状面部p1に形成し、かつ端面Xの他方側に位置する面を第二の曲率D2を有する凸状面部p2に形成した複数の建造物用資材P…を有し、任意の建造物用資材Pにおける凹状面部p1と他の建造物用資材Pにおける凸状面部p2を当接することにより順次連結して構成した筒状体Cを有する建造物本体部M1と、この建造物本体部M1における各建造物用資材P…の位置を固定する一又は二以上の固定機能部M2とを備えるため、構造が極めてシンプルとなり、建造物本体部M1の屋根や壁を構成することができる。したがって、建築施工が容易となり、少ない労力で短時間に建造できるため、大幅なコスト低減を図ることができる。加えて、ユニット建造物1としての使用後もベンチ等の他のものに広く転用できるなど、リサイクル性に優れる。
【0041】
以上、変更例を含む好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0042】
例えば、出入口2として開閉式のドア11を付設した形態を示したが、シートを付設し、テントのようにファスナ式の開閉機能を設けてもよい。また、空間Rとして居住空間Rsを例示したが倉庫や物置として利用することも可能である。さらに、凹状面部p1と凸状面部p2は円弧状に形成した場合を例示したが、筒状体Cの形状やサイズが予め設定されている場合には、それに対応した多角形状等を排除するものではない。一方、固定機能部M2の巻付部材3…としてステンレス素材を例示したが、ロープや針金等の同様の機能を有する部材により置換できるとともに、各建造物用資材P…の位置を固定する機能を有すれば、巻付部材3…以外の固定機能部により置換できる。また、筒状体Cの両端部Cp,Cqの双方から内方の所定位置に仕切壁Wp,Wqを設けることが望ましいが、一方の仕切壁Wpのみを付設し、物置として利用するような場合には、他方をカーテンやシートで覆う場合も排除するものではない。さらに、支持基台maは、軸方向の長さを長く(上面を広く)形成した場合には、一つの支持基台maであってもよいし、建造物本体部M1を支持することができる機能を有すれば、各種形態の支持基台ma…を利用可能である。なお、基台部M3は、必ずしも必須の構成要素ではなく、設置する場所や環境によっては無くてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る建造物用資材は、各種ユニット建造物やベンチ等の各種屋外構築物に利用できるとともに、ユニット建造物は、出入口を有する少なくとも内部に空間を形成してなる小屋,バンガロー,倉庫,物置等の各種建造物に利用できる。
【符号の説明】
【0044】
1:ユニット建造物,2:出入口,3…:巻付部材,R:空間,Lm:所定の長さ,X:端面,B:棒部材,D1:第一の曲率,D2:第二の曲率,p1:凹状面部,p2:凸状面部,P…:建造物用資材,C:筒状体,Cp:筒状体の両端部,Cq:筒状体の両端部,M1:建造物本体部,M2:固定機能部,M3:支持基台,rm:プラスチック素材,Wp:仕切壁,Wq:仕切壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9