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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112419
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20230804BHJP
   G01S 3/46 20060101ALI20230804BHJP
   H01Q 1/27 20060101ALI20230804BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
G01S3/46
H01Q1/27
H01Q21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014205
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】稲船 浩司
(72)【発明者】
【氏名】古賀 健一
(72)【発明者】
【氏名】古池 竜也
(72)【発明者】
【氏名】森 惠
(72)【発明者】
【氏名】大石 佳樹
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
5J062
【Fターム(参考)】
5J021AA03
5J021AB06
5J021HA08
5J021HA09
5J021HA10
5J021JA02
5J046AA12
5J046AB03
5J046AB13
5J046KA01
5J046NA02
5J062BB01
5J062BB05
5J062CC14
5J062DD23
(57)【要約】
【課題】信号を送受信した装置間の位置関係をより高い精度で推定する。
【解決手段】ある通信装置から受信した信号に基づく演算に用いるアンテナ装置であって、正三角形の各頂点に対応する位置に第1のアンテナ、第2のアンテナおよび第3のアンテナを有する、アンテナ装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある通信装置から受信した信号に基づく演算に用いるアンテナ装置であって、
正三角形の各頂点に対応する位置に第1のアンテナ、第2のアンテナおよび第3のアンテナを有する、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記正三角形は、各辺の長さがそれぞれ1/2波長以下である、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記受信した信号に基づく演算は、当該アンテナ装置および前記通信装置の位置関係を推定する演算を含む、
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記位置関係を推定する演算は、前記信号の到来角を推定する演算を含む、
請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記信号の到来角は、前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナのアンテナ間位相差と、前記第2のアンテナおよび前記第3のアンテナのアンテナ間位相差と、前記第1のアンテナおよび前記第3のアンテナのアンテナ間位相差に基づき推定される、
請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記信号は、超広帯域無線通信に準拠した無線信号を含む、
請求項1から請求項5までのうちいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記アンテナ装置は、移動体に搭載される、
請求項1から請求項6までのうちいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記通信装置は、前記移動体を利用するユーザにより携帯される、
請求項7に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装置間で無線信号を送受信した結果に従って、装置間の位置関係を推定する技術が開示されている。例えば、特許文献1では、超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)の信号を用いて、UWB受信機がUWB送信機からの信号の入射角を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/176776号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の技術は、装置間の位置関係の推定に際して、アンテナの位置や信号が送受信される環境に応じて、演算結果に誤差が生じる可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、信号を送受信した装置間の位置関係をより高い精度で推定することが可能な、新規かつ改良されたアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ある通信装置から受信した信号に基づく演算に用いるアンテナ装置であって、正三角形の各頂点に対応する位置に第1のアンテナ、第2のアンテナおよび第3のアンテナを有する、アンテナ装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように本発明によれば、信号を送受信した装置間の位置関係をより高い精度で推定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る通信部の構成の一例を説明するための斜視図である。
図3】本実施形態に係る通信部の構成の一例を説明するための縦断面図である。
図4】本実施形態に係るシステムの概要例を説明するための説明図である。
図5】本実施形態に係るシステムにおいて実行される装置間の位置関係推定に係る処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図6】信号の到来角の推定に係る処理の具体例を説明するための説明図である。
図7】本実施形態に係るシステムの位置関係の推定に係る動作処理の一例を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットや数字を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素を、必要に応じてアンテナ221A、221Bおよび221Cのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、アンテナ221A、221Bおよび221Cを特に区別する必要が無い場合には、単にアンテナ221と称する。
【0011】
<<1.構成例>>
<1.1.システム1の構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るシステム1は、携帯機100と、車載器200と、制御装置300と、動作装置400と、を備える。
【0012】
本実施形態に係る車載器200、制御装置300および動作装置400は、例えば、車両20に搭載される。車両20は、移動体の一例であり、例えば、ユーザが乗車を許諾された車両(例えば、ユーザが所有する車両や、ユーザに一時的に貸与された車両)である。なお、本実施形態に係る移動体は、車両20だけでなく、航空機または船舶等も含まれる。
【0013】
(携帯機100)
携帯機100は、通信装置の一例であり、車両20を利用するユーザにより携帯される装置である。携帯機100は、電子キー、スマートフォン、タブレット端末およびウェアラブル端末等であってもよい。図1に示すように、携帯機100は、制御部110と、通信部120とを備える。
【0014】
制御部110は、携帯機100の動作全般を制御する。制御部110は、例えば、後述するPoll(Polling)信号を通信部120に送信させる。また、制御部110は、後述するFinal信号を通信部120に送信させる。
【0015】
制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって構成される。
【0016】
通信部120は、車載器200が備える通信部220との間で、無線による通信を行う。例えば、通信部120は、制御部110の制御に従い、Poll信号を送信する。また、通信部120は、送信したPoll信号の応答として車載器200が備える通信部220から送信されたResp(Response)信号を受信する。また、通信部120は、制御部110の制御に従い、受信したResp信号の応答としてFianl信号を送信する。
【0017】
通信部120と、車載器200が備える通信部220との間の無線による通信は、例えば、超広帯域無線通信に準拠した信号(以下、UWB信号と表現する。)により実現される。UWB信号による無線通信において、インパルス方式を利用すれば、ナノ秒以下の非常に短いパルス幅の電波を使用することで電波の空中伝搬時間を高精度に測定することができ、伝搬時間に基づく測位及び測距を高精度に行うことができる。通信部120は、例えば、UWB信号での通信が可能な通信インタフェースとして構成される。
【0018】
なお、UWB信号は、測距用信号、及びデータ信号として送受信され得る。測距用信号とは、後述する測距処理において送受信されるPoll信号、Resp信号およびFinal信号である。測距用信号は、データを格納するペイロード部分を有さないフレームフォーマットで構成されていてもよいし、ペイロード部分を有するフレームフォーマットで構成されていてもよい。一方で、データ信号は、データを格納するペイロード部分を有するフレームフォーマットで構成されることが好ましい。
【0019】
また、通信部120と、車載器200が備える通信部220との間の無線による通信は、UWB信号に限定されない。例えば、通信部120と、通信部220との間の無線による通信は、BT(Blue Tooth)通信なども適用可能である。
【0020】
また、通信部120は、少なくとも1つのアンテナ121を有する。そして、通信部120は、少なくとも1つのアンテナ121を介して無線信号を送受信する。
【0021】
(車載器200)
車載器200は、車両20に搭載される装置である。図1に示すように、車載器200は、制御部210と、通信部220と、を備える。
【0022】
制御部210は、車載器200の動作全般を制御する。制御部210は、例えば、後述するResp信号を通信部220に送信させる。
【0023】
制御部210は、例えばCPU及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって構成される。
【0024】
通信部220は、携帯機100が備える通信部120との間で、無線による通信を行うアンテナ装置の一例である。通信部220は、携帯機100が備える通信部120から送信されたPoll信号を受信する。また、通信部220は、制御部210の制御に従い、受信したPoll信号の応答としてResp信号を送信する。また、通信部220は、送信したResp信号の応答として携帯機100が備える通信部120から送信されたFianl信号を受信する。
【0025】
また、通信部220は、第1のアンテナ、第2のアンテナおよび第3のアンテナの一例として、3本のアンテナ221を有する。そして、通信部220は、3以上のアンテナ221を介して無線信号を送受信する。
【0026】
(制御装置300)
制御装置300は、車両20の動作全般を制御する装置である。例えば、制御装置300は、携帯機100と車載器200との位置関係を推定する制御を行う。図1に示すように、制御装置300は、通信部310と、制御部320と、を備える。
【0027】
なお、本明細書に係る説明では、本実施形態に係る車両20が車載器200と制御装置300を分離して構成する一例を説明するが、携帯機100または車載器200により制御装置300の機能が実現されてもよい。
【0028】
通信部310は、任意の通信方式を用いて、車載器200との各種通信を行う。例えば、通信部310は、携帯機100と、車載器200との間で送受信された信号の情報を車載器200が備える通信部220から受信する。なお、任意の通信方式とは有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。また、通信部310は、無線通信方式を用いて、携帯機100が備える通信部120と各種通信を行ってもよい。
【0029】
制御部320は、制御装置300の動作全般を制御する。例えば、制御部320は、携帯機100から受信した信号に基づく演算を行う。
【0030】
制御部320は、例えば、携帯機100から受信信号に基づく演算として、携帯機100と車載器200との位置関係を推定する制御を行う。
【0031】
また、制御部320は、車載器200が携帯機100から受信した信号に基づき、信号の到来角を推定する。より具体的には、制御部320は、車載器200が有する3以上のアンテナのアンテナペア間の位相差に基づき、信号の到来角を推定する。
【0032】
また、制御部320は、携帯機100と車載器200との間で送受信された信号に基づき、携帯機100と車載器200との間の距離である測距値を推定する。
【0033】
また、制御部320は、推定された測距値または信号の到来角に基づき、動作装置400の所定の動作を制御してもよい。
【0034】
制御部320は、例えばCPUおよびマイクロプロセッサ等の電子回路によって構成される。
【0035】
(動作装置400)
動作装置400は、制御装置300の制御に従い、動作する装置である。動作装置400は、例えば、車両20が有するドアの鍵であってもよいし、車両20が有するエンジンであってもよい。
【0036】
以上、本実施形態に係るシステム1の構成例を説明した。続いて、車載器200が有する通信部220の構成について図2および図3を参照して説明する。
【0037】
<1.2.通信部220の構成例>
図2は、本実施形態に係る通信部220の構成の一例を説明するための斜視図である。本実施形態に係る通信部220は、誘電体基板上にアンテナ221を3つ有する。例えば、アンテナ221は、MSA(Microstrip Antenna)素子などであってもよい。
【0038】
また、3つのアンテナ221は、正三角形の各頂点に対応する位置に配置される。即ち、3つのアンテナの各アンテナペア間の距離は、同一または略同一になるように誘電体基板上に配置される。
【0039】
なお、正三角形の各辺の長さは、それぞれ1/2波長以下であることが望ましい。即ち、3つのアンテナ221の各アンテナペア間の距離は、1/2波長以下になるように誘電体基板上に配置される。
【0040】
これにより、制御部320は、3組のアンテナペア間の位相差を用いて、後述する信号の到来角の推定することが可能になる。
【0041】
他方、3つのアンテナ221は、正方形の各頂点のうち3つの頂点に対応する位置に配置される場合がある。この場合、正方形の対角線上に配置された2つのアンテナペア間の距離は、1/2波長以下にすることが困難になり得る。
【0042】
アンテナペア間の距離が1/2波長を超えた場合、制御部320は、当該アンテナペア間の位相差を信号の到来角の推定に用いることは困難である。
【0043】
即ち、3つのアンテナ221は、図2に示すように、正三角形の各頂点に対応する位置に配置された方が、信号の到来角の推定に用いる情報量が多くなり得る。この結果、制御部320は、信号の到来角をより高い精度で推定し得る。3組のアンテナペア間の位相差に基づく信号の到来角の推定に係る詳細については後述する。
【0044】
なお、3つのアンテナは、以下の説明では、アンテナ221Aと、アンテナ221Bと、アンテナ221Cと区別して説明する場合がある。
【0045】
また、本実施形態に係る誘電体基板は、誘電体材料で構成された平板上の基板である。例えば、誘電体基板は、紙又はガラス繊維布などに有機樹脂などを含侵させた、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、又はガラスエポキシ基板などのプリント基板であってもよい。他の例として、誘電体基板は、酸化アルミニウムなどで構成されたセラミック基板であってもよい。
【0046】
アンテナ221は、例えば、誘電体基板の片方の面に設けられてもよい。例えば、アンテナ221は、図2に示すように、誘電体基板上の+z方向に設けられてもよい。
【0047】
また、通信部220は、アンテナ221が設けられた面と反対側の面にグランドGを設けてもよい。例えば、グランドGは、図2に示すように、誘電体基板上の-z方向に設けられてもよい。なお、グランドGは、導電性材料により構成されてもよい。
【0048】
図3は、本実施形態に係る通信部220の構成の一例を説明するための縦断面図である。例えば、通信部220は、例えば、図2に示すように、誘電体基板の層間を導通するためのビアホールHを有する。例えば、ビアホールHにより導通させることにより、MSA素子をアンテナとして機能させる。
【0049】
以上、通信部220の構成の一例を説明した。続いて、図4図6を参照し、本実施形態に係るシステム1の技術的特徴を説明する。
【0050】
<<2.技術的特徴>>
<2.1.概要>
図4は、本実施形態に係るシステム1の概要例を説明するための説明図である。携帯機100が備える通信部120は、図4に示すように、アンテナ121を有する。また、車載器200が備える通信部220は、例えば、3素子アレーアンテナとしてアンテナ221A、アンテナ221Bおよびアンテナ221Cを有する。
【0051】
ただし、携帯機100が備える通信部120が有するアンテナ本数は係る例に限定されない。例えば、通信部120が有するアンテナ121の本数は、複数であってもよい。
【0052】
また、通信部220および通信部220が有する複数のアンテナ221のスケール比においても図示しているスケール比に限定されない。
【0053】
また、図4において、携帯機100が有するアンテナ121は、携帯機100の上側の左端に配置されているが、携帯機100が有するアンテナ121が配置される位置は係る例に限定されない。例えば、アンテナ121は、携帯機100の任意の位置に配置されてもよい。
【0054】
図4に示すように、例えば、アンテナ121は、通信部220が有する複数のアンテナ221のうち少なくとも1以上のアンテナとの間で信号Sを送受信してもよい。
【0055】
そして、制御装置300が備える通信部310は、携帯機100と車載器200との間で送受信された信号Sに関する情報を通信部120または通信部220のいずれか一方から受信する。
【0056】
続いて、制御装置300が備える制御部320は、送受信された信号Sに基づき、携帯機100と車載器200との位置関係を推定してもよい。
【0057】
続いて、本実施形態に係る携帯機100と車載器200との位置関係の推定に係る処理の具体例を説明する。
【0058】
<2.2.位置関係の推定>
(1)距離推定
制御部320は、測距処理を行う。測距処理とは、携帯機100と車載器200との間の距離を推定する処理である。測距処理は、測距用信号を送受信し、測距用信号の送受信にかかる時間に基づいて携帯機100と車載器200との間の距離、すなわち測距値を推定することを含む。
【0059】
測距処理において、携帯機100と車載器200との間で複数の測距用信号が送受信され得る。複数の測距用信号のうち、一方の装置から他方の装置へ送信される測距用信号をPoll信号と表現する。
【0060】
そして、Poll信号を受信した装置から、Poll信号を送信した装置へ、Poll信号の応答として送信される測距用信号を、Resp信号と表現する。
【0061】
また、Resp信号を受信した装置から、Resp信号を送信した装置へ、Resp信号の応答として送信される測距用信号をFinal信号と表現する。携帯機100および車載器200は、測距用信号のいずれにおいても送受信可能だが、本明細書では、携帯機100がPoll信号を送信する例を説明する。
【0062】
(2)到来角推定
制御部320は、装置間で送受信された信号の到来角を推定する。本明細書において、測距用信号に含まれるFinal信号を到来角推定用の信号として説明する。
【0063】
以下、図5を参照し、距離推定および到来角推定に係る処理の一例を説明する。
【0064】
図5は、本実施形態に係るシステム1において実行される装置間の位置関係推定に係る処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0065】
まず、携帯機100が有するアンテナ121は、車載器200が有するアンテナ221Aに対して、Poll信号を送信する(S101)。
【0066】
次に、車載器200が有するアンテナ221Aは、Poll信号に対する応答として、Resp信号を携帯機100が有するアンテナ121に送信する(S103)。
【0067】
そして、携帯機100が有するアンテナ121は、Resp信号に対する応答として、Final信号を車載器200が有するアンテナ221A、アンテナ221Bおよびアンテナ221Cに送信する(S105)。
【0068】
ここで、携帯機100が、Poll信号を送信してからResp信号を受信するまでの時間長を時間長T1とし、Resp信号を受信してからFinal信号を送信するまでの時間長を時間長T2とする。そして、車載器200が、Poll信号を受信してからResp信号を送信するまでの時間長を時間長T3とし、Resp信号を送信してからFinal信号を受信するまでの時間長を時間長T4とする。
【0069】
携帯機100と車載器200との間の距離は、上述した各時間長を用いて算出されてもよい。例えば、車載器200は、携帯機100から時間長T1および時間長T2に関する情報を含む信号を受信してもよい。
【0070】
続いて、制御装置300は、車載器200から時間長T1、時間長T2、時間長T3および時間長T4に関する情報を含む信号を受信してもよい。
【0071】
そして、制御部320は、時間長T1、時間長T2、時間長T3、および時間長T4を用いて、信号の伝搬時間τを算出する。より具体的には、制御部320は、以下の数式1を用いて信号の伝搬時間τを算出してもよい。
【0072】
τ=(T1×T4―T2×T3)/(T1+T2+T3+T4)
(数式1)
【0073】
そして、制御部320は、算出した信号の伝搬時間τに既知である信号の速度を乗算して、携帯機100と車載器200との間の距離を推定してもよい。
【0074】
なお、制御部320は、携帯機100が有するアンテナ121と、車載器200が有するアンテナ221Aとの間で送受信された信号に基づき、携帯機100と車載器200との間の距離を推定する一例を説明したが、車載器200はアンテナ221Aと異なるアンテナを用いて信号を送受信してもよいし、複数のアンテナ221を用いて信号を送受信してもよい。
【0075】
また、信号の伝搬時間τは、数式1による算出方法に限定されない。例えば、信号の伝搬時間τは、時間長T1から時間長T3を差し引き、当該時間を2で割ることによっても算出し得る。
【0076】
次に、信号の到来角は、車載器200が有する複数のアンテナ221が受信したFinal信号の各アンテナペア間の位相差から算出されてもよい。
【0077】
図6は、信号の到来角の推定に係る処理の具体例を説明するための説明図である。例えば、アンテナ221Aが受信したFinal信号の位相を位相Pとし、アンテナ221Bが受信したFinal信号の位相を位相Pとし、アンテナ221Cが受信したFinal信号の位相を位相Pとする。
【0078】
例えば、アンテナ221Aおよびアンテナ221Bを繋ぐ直線を軸Aとし、アンテナ221Bおよびアンテナ221Cを繋ぐ直線を軸Bとし、アンテナ221Aおよびアンテナ221Cを繋ぐ直線を軸Cとする。
【0079】
また、軸Bと平行である方向をY軸とし、Y軸と直交する方向をX軸とする座標系を定義する。
【0080】
このような座標系の場合、アンテナペアの位相差PdAB、PdBCおよびPdACは、それぞれ以下の数式2を用いて表される。
PdAB=(P―P
PdBC=(P―P
PdAC=(P―P
(数式2)
【0081】
ここで、軸A、軸Bおよび軸Cと信号のなす角をなす角θと称する。ここで、なす角θは、信号の到来角であり、それぞれ数式3で表される。なお、λは電波の波長であり、dはアンテナ間の距離である。
θ=arccos(λ×Pd/(2πd))
(数式3)
【0082】
従って、制御部320は、数式2および数式3に基づき、信号の到来角をそれぞれ数式4で算出する。なお、θaは軸Aに対する信号の到来角であり、θbは軸Bに対する信号の到来角であり、θcは軸Cに対する信号の到来角である。
θa=θAB=arccos(λ×(P―P)/(2πd))
θb=θBC=arccos(λ×(P―P)/(2πd))
θc=θAC=arccos(λ×(P―P)/(2πd))
(数式4)
【0083】
そして、制御部320は、軸A、軸Bおよび軸Cに対する各信号の到来角および測距値に基づき、携帯機100と車載器200の位置関係を推定してもよい。
【0084】
また、制御部320は、信号の到来角または測距値が所定の基準を満たした際に、動作装置400の所定の動作を制御してもよい。
【0085】
<<3.動作処理例>>
図7は、本実施形態に係るシステム1の位置関係の推定に係る動作処理の一例を説明する。まず、携帯機100が備える通信部120は、Poll信号を送信し、車載器200が備える通信部220はPoll信号を受信する(S201)。
【0086】
続いて、通信部220は、Poll信号に対する応答として、Resp信号を送信し、通信部120は、Resp信号を受信する(S203)。
【0087】
そして、通信部120は、Resp信号に対する応答として、Final信号を送信し、通信部220は、Final信号を受信する(S205)。ここで、通信部220は、通信部120との間で送受信した信号に関する各種情報を制御装置300が備える通信部310に送信する。
【0088】
続いて、制御部320は、携帯機100および車載器200間で送受信された信号に基づき、測距値を算出する(S207)。
【0089】
続いて、制御部320は、アンテナペア間の位相差に基づき、携帯機100から受信した信号の到来角を推定する(S209)。
【0090】
そして、制御部320は、アンテナペア毎に推定された信号の到来角または測距値が所定の基準を満たすか否かを判定する(211)。所定の基準を満たすと判定された場合(S211/Yes)、処理はS213に進められ、所定の基準を満たさないと判定された場合(S211/No)、制御部320は処理を終了する。
【0091】
所定の基準を満たす場合(S211/Yes)、制御部320は、動作装置400の一例であるエンジンの始動または停止に係る動作制御を行い(S213)、制御部320は処理を終了する。
【0092】
以上説明した本実施形態に係る通信部220のアンテナ221の配置によれば、信号の到来角の推定に用いることが可能な情報量が増加される。この結果、例えば、制御部320は、携帯機100と車載器200との位置関係をより高い精度で推定し得る。
【0093】
<<4.補足>>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0094】
例えば、本発明書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、およびソフトウェアとハードウェアとの組み合わせのいずれかを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部または外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0095】
また、本実施形態に係るシステム1の動作の処理におけるステップは、必ずしも説明図として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、システム1の動作の処理における各ステップは、説明図として記載した順序と異なる順序で処理されてもよく、並列的に処理されてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1:システム、100:携帯機、110:制御部、120:通信部、121:アンテナ、20:車両、200:車載器、210:制御部、220:通信部、221:アンテナ、300:制御装置、310:通信部、320:制御部、400:動作装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7