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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112437
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
F24H9/02 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014233
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠 純
(72)【発明者】
【氏名】森山 正隆
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037AA02
(57)【要約】
【課題】検査用の露出対象部位を露出させるために操作装置が取り外された後に、操作装置に接続される電線部に負担がかかることを抑え得る技術を提供する。
【解決手段】給湯器1の操作装置130は、筐体2内に保持される被固定部190に対して着脱自在に固定される。操作装置130の後方側には検査時に露出させる露出対象部が設けられる。操作装置130の背面側には第2板部142(延出部)と第1板部141(基部)とを有する仮保持片140が設けられる。筐体2又は筐体2内において仮保持片140よりも下方側の位置に保持部170が設けられる。給湯器1では、電線部160が操作装置130及び接続対象部125に接続された状態で且つ操作装置130が被固定部190から取り外された状態で仮保持片140を保持部170に係止させる外部操作がなされることにより、操作装置130が仮保持される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを燃焼させる燃焼装置と、
前記燃焼装置での燃焼によって生じた燃焼排気が供給される熱交換器と、
前記燃焼装置及び前記熱交換器を収容する筐体と、
外部からの操作を受ける操作装置と、
電線部と、
を有する給湯器であって、
前記操作装置は、前記筐体内に保持される被固定部に対して着脱自在に固定され、
前記電線部の一端側が前記操作装置に電気的に接続され、前記電線部の他端側が前記筐体内に収容されるコントローラに電気的に接続され、
前記操作装置の後方側には、所定の検査時に露出させる露出対象部が設けられ、
前記操作装置の背面側には、下方側に延びる延出部と前記延出部の上端側で前記延出部に連結される基部とを有する仮保持片と、前記操作装置が前記被固定部に固定された固定状態で前記仮保持片よりも下方側に配置される本保持片と、が設けられ、
前記筐体又は前記筐体内において前記固定状態での前記仮保持片の位置よりも下方側の位置には、前記固定状態のときに前記本保持片を係止させる部位である保持部が設けられ、
前記電線部が前記操作装置及び前記コントローラに電気的に接続された状態で且つ前記操作装置が前記被固定部から取り外された状態で前記仮保持片を前記保持部に係止させる外部操作がなされることにより、前記操作装置が仮保持される
給湯器。
【請求項2】
前記露出対象部は、ガス検圧口である
請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記保持部は、前記筐体の下側壁部に保持又は一体化される
請求項1又は請求項2に記載の給湯器。
【請求項4】
前記基部は、第1板部であり、
前記延出部は第2板部であり、
前記第2板部は、前記第1板部から折れ曲がり且つ下方側に向かって片持ち状に延び、
前記保持部は、スリットを有し、
前記第2板部が前記スリットに挿入されることで前記操作装置が仮保持される
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の給湯器。
【請求項5】
前記操作装置が前記被固定部に固定された状態で、前記第2板部の第1板面側が前方側に向き且つ前記第2板部の第2板面側が後方側に向き、
前記スリットは、左右方向に沿って細長に構成され、
前記操作装置の前面側が前方側を向いた姿勢で前記操作装置が仮保持される
請求項4に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給湯器の一例が開示されている。特許文献1の給湯器は、前面部を構成するケーシングに開口部が設けられ、この開口部を介して操作装置が露出している。特許文献1に開示される給湯器は、筐体本体側に操作装置が固定され、フロントカバーを構成するケーシングに設けられた開口部を介して操作装置の一部が露出した構成をなす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010―38506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給湯器では、検査時に露出させるべき部位(露出対象部位)が筐体内に配置される場合があり、その場合、操作装置と露出対象部位との配置関係が問題となる。例えば、操作装置と露出対象部位の両方に対して前側からアクセスできるように構成するためには、操作装置と露出対象部位が前後に重ならないように配置することが望ましいが、装置の嵩張りなどのデメリットが懸念される。
【0005】
このような問題を解消する構成としては、露出対象部位を前側から覆うように操作装置を配置する構成が考えられるが、この構成を採用した場合、検査時に露出対象部位を露出させる場合に、操作装置の扱いが問題となる。例えば、操作装置は、電線部を介して他の装置に電気的に接続されることが多く、このような構成のものでは、検査のために操作装置を取り外した後に、電線部に負担がかかりやすい。
【0006】
本開示は、給湯器に関し、検査用の露出対象部位を露出させるために操作装置が取り外された後に、操作装置に接続される電線部に負担がかかることを抑え得る技術を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一つである給湯器は、
ガスを燃焼させる燃焼装置と、
前記燃焼装置での燃焼によって生じた燃焼排気が供給される熱交換器と、
前記燃焼装置及び前記熱交換器を収容する筐体と、
外部からの操作を受ける操作装置と、
電線部と、
を有する給湯器であって、
前記操作装置は、前記筐体内に保持される被固定部に対して着脱自在に固定され、
前記電線部の一端側が前記操作装置に電気的に接続され、前記電線部の他端側が前記筐体内に収容されるコントローラに電気的に接続され、
前記操作装置の後方側には、所定の検査時に露出させる露出対象部が設けられ、
前記操作装置の背面側には、下方側に延びる延出部と前記延出部の上端側で前記延出部に連結される基部とを有する仮保持片と、前記操作装置が前記被固定部に固定された固定状態で前記仮保持片よりも下方側に配置される本保持片と、が設けられ、
前記筐体又は前記筐体内において前記固定状態での前記仮保持片の位置よりも下方側の位置には、前記固定状態のときに前記本保持片を係止させる部位である保持部が設けられ、
前記電線部が前記操作装置及び前記コントローラに電気的に接続された状態で且つ前記操作装置が前記被固定部から取り外された状態で前記仮保持片を前記保持部に係止させる外部操作がなされることにより、前記操作装置が仮保持される。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る技術は、給湯器において、検査用の露出対象部位を露出させるために操作装置が取り外された後に、操作装置に接続される電線部に負担がかかることを抑え得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る給湯器を例示する正面図である。
図2図2は、図1の給湯器においてフロントカバーや操作装置などを省略した構成を例示する正面図である。
図3図3は、図1の給湯器における筐体等の構成を例示する分解斜視図である。
図4図4は、図1の給湯器の操作装置を縦方向に切断した切断面に関する断面概略図である。
図5図5は、図1の給湯器において操作装置付近を縦方向に切断した切断面に関する部分的且つ簡略的な断面概略図である。
図6図6は、図1の給湯器において操作装置付近を縦方向に切断した構造を部分的且つ簡略的に例示する斜視図である。
図7図7は、給湯器内部における操作装置付近を斜め後方側から見た構成を例示する斜視図である。
図8図8は、図5の構成からフロントカバーを取り外した構成を例示する断面概略図である。
図9図9は、図8の構成から操作装置を取り外し、係止させた構成を例示する断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。なお、以下で例示される〔1〕~〔5〕の特徴は、矛盾しない組み合わせでどのように組み合わされてもよい。
【0011】
〔1〕ガスを燃焼させる燃焼装置と、
前記燃焼装置での燃焼によって生じた燃焼排気が供給される熱交換器と、
前記燃焼装置及び前記熱交換器を収容する筐体と、
外部からの操作を受ける操作装置と、
電線部と、
を有する給湯器であって、
前記操作装置は、前記筐体内に保持される被固定部に対して着脱自在に固定され、
前記電線部の一端側が前記操作装置に電気的に接続され、前記電線部の他端側が前記筐体内に収容されるコントローラに電気的に接続され、
前記操作装置の後方側には、所定の検査時に露出させる露出対象部が設けられ、
前記操作装置の背面側には、下方側に延びる延出部と前記延出部の上端側で前記延出部に連結される基部とを有する仮保持片と、前記操作装置が前記被固定部に固定された固定状態で前記仮保持片よりも下方側に配置される本保持片と、が設けられ、
前記筐体又は前記筐体内において前記固定状態での前記仮保持片の位置よりも下方側の位置には、前記固定状態のときに前記本保持片を係止させる部位である保持部が設けられ、
前記電線部が前記操作装置及び前記コントローラに電気的に接続された状態で且つ前記操作装置が前記被固定部から取り外された状態で前記仮保持片を前記保持部に係止させる外部操作がなされることにより、前記操作装置が仮保持される
給湯器。
【0012】
〔1〕に記載の給湯器は、検査用の露出対象部位を露出させるために操作装置が取り外された後に、電線部による接続状態を維持しつつ操作装置を仮保持することができる。よって、この給湯器は、操作装置が電線部を介して接続対象部に接続された状態を維持しながら、検査用の露出対象部位を露出させて検査を可能にすることができる。しかも、この給湯器は、検査中に操作装置の仮保持が可能であるため、検査中に電線部が引っ張られたり、操作装置の置き場所に困ったりする事態を生じにくくすることができ、作業者が検査作業を良好に行いやすい状況に切り替えやすい。
【0013】
〔2〕前記露出対象部は、ガス検圧口である
請求項1に記載の給湯器。
〔1〕に記載の給湯器。
【0014】
〔2〕に記載の給湯器は、操作装置の後方のスペースを利用してガス検圧口を配置することができ、操作装置とガス検圧口の前後配置によるスペース的なメリットを享受し得る。そして、この給湯器は、作業者がガス検圧口を用いて検査を行う際に、検査作業をより良好に行いやすい。
【0015】
〔3〕前記保持部は、前記筐体の下側壁部に保持又は一体化される
請求項1又は請求項2に記載の給湯器。
〔1〕又は〔2〕に記載の給湯器。
【0016】
〔3〕に記載の給湯器は、筐体の下側壁部を利用して保持部を設けることができ、構成の簡易化及びコンパクト化を図りやすい。
【0017】
〔4〕前記基部は、第1板部であり、
前記延出部は第2板部であり、
前記第2板部は、前記第1板部から折れ曲がり且つ下方側に向かって片持ち状に延び、
前記保持部は、スリットを有し、
前記第2板部が前記スリットに挿入されることで前記操作装置が仮保持される
〔1〕から〔3〕のいずれか一つに記載の給湯器。
【0018】
〔4〕に記載の給湯器は、板状の延出部をスリットに差し込むといった簡単な作業方法によって操作装置を仮保持させることができるため、作業性の面で有利である。
【0019】
〔5〕前記操作装置が前記被固定部に固定された状態で、前記第2板部の第1板面側が前方側に向き且つ前記第2板部の第2板面側が後方側に向き、
前記スリットは、左右方向に沿って細長に構成され、
前記操作装置の前面側が前方側を向いた姿勢で前記操作装置が仮保持される
〔4〕に記載の給湯器。
【0020】
〔5〕に記載の給湯器は、より簡易な作業によって操作装置を仮保持させることができ、更に、仮保持状態のときには、操作装置の前面側が前方側を向いた姿勢で操作装置を維持することができる。
【0021】
<第1実施形態>
以下の説明は、第1実施形態に係る給湯器1に関する。
1.給湯器1の全体構成
図1は、第1実施形態に係る給湯器1を例示する正面図である。図2は、給湯器1の筐体2からフロントカバー60や操作装置130等を外した構成を簡略的に例示する正面図である。
【0022】
図2のように、給湯器1は、筐体2、燃焼装置3、熱交換器4,排気部5、ファン7などを備える。筐体2は、金属材料によって構成される箱状のケースであり、前方が開放した箱体をなす筐体本体30と、筐体本体30に対して着脱されるフロントカバー60(図1)とを備える。図1に示されるフロントカバー60は、筐体本体30を前側から閉塞する。図2のように、筐体2は、燃焼装置3、熱交換器4,排気部5、ファン7などの各部品を収容する。燃焼装置3は、筐体2の内部において中央付近に配置される。熱交換器4は、筐体2の内部において燃焼装置3の上方に配置される。排気部5は、筐体2の内部において熱交換器4の上方に配置される。ガス分配ユニット10は、燃焼装置3とフロントカバー60との間に配置される。ファン7は、筐体2の内部において燃焼装置3の下側に配置される。
【0023】
燃焼装置3は、ガス分配ユニット10を介して供給されるガス(燃料ガス)を燃焼させる装置である。燃焼装置3は、インナーケース3A、バーナユニット(図示省略)などを備える。インナーケース3Aは、筐体2内に収まる角箱状のケースである。インナーケース3A内には、扁平状の濃淡バーナであるバーナユニットを左右方向に並設してなるバーナユニット群が設けられる。インナーケース3Aの前面上部には、点火用の放電電極、炎検出用のフレームロッドなどが設けられている。
【0024】
熱交換器4は、燃焼装置3でのガスの燃焼に基づく燃焼排気が供給される装置である。熱交換器4は、自身の外殻を構成する金属製のケーシング4Aと、このケーシング4Aの内部に収容される伝熱管とを備える。熱交換器4は、燃焼装置3からの燃焼排気を導入して内部を通過させ、この燃焼排気と伝熱管内を流れる水との間で熱交換を行う。熱交換器4内を通過した燃焼排気は排気部5に排出される。
【0025】
排気部5は、排気部本体5Aと排気筒100とを備える。排気部5は、熱交換器4から排出された燃焼排気を上方に導き、排気筒100を介して給湯器1の外部へ排出するように機能する。
【0026】
ファン7は、燃焼用空気を供給するファンである。ファン7は、モータや羽根などを有する駆動部と、燃焼用空気を供給する供給口とを備え、この供給口から燃焼装置3に向けて燃焼用空気を送り込む。ファン7の供給口は、燃焼装置3の下端部付近に固定される。
【0027】
図1図2に示される給湯器1は、筐体2の下側に、外部のガス管が接続されるガス入口191と、水道管が接続される水入口192と、湯出口193とが設けられている。水入口192は、給湯器1の外部に設けられる水道管から水が導入される導入口である。水入口192に導入された水は、給水管115を介して熱交換器4の伝熱管に供給される。図2には、給水管115の一部が図示される。湯出口193は、湯を給湯器1の外部に導出する出湯口である。熱交換器4の伝熱管から導出された湯は、伝熱管の下流端に接続された出湯管116を介して湯出口193から排出される。
【0028】
図2に示される給湯器1において、ガス入口191は、給湯器1の外部に設けられるガス管からガスが導入される導入口である。ガス入口191に導入されたガスは、元弁や比例弁等を備えたガス供給部(図示省略)を介してガス分配ユニット10に供給される。ガス分配ユニット10に供給されたガスは、燃焼装置3に設けられた複数の孔部(図示省略)を通るように分配され、これらの孔部を介して燃焼装置3に供給される。燃焼装置3は、ガス分配ユニット10を介して燃焼装置3内に供給されるガス(燃料ガス)を燃焼させる。燃焼装置3内でガスが燃焼することによって生じる排気(燃焼排気)は、燃焼装置3から熱交換器4内に流れ込み、熱交換器4内を通って排気部5から外部(給湯器1の外部)に排出される。
【0029】
2.筐体の詳細
次の説明は、給湯器1における筐体2の詳細に関する。
図2のように、筐体2は、燃焼装置3や熱交換器4などの様々な部品を収容する。図3のように、筐体2は、筐体本体30と、フロントカバー60と、パッキン90とを備える。図1図3のように、フロントカバー60は、筐体2の前面部を構成する部分である。筐体本体30は、燃焼装置3や熱交換器4などを収容する箱状のケース体である。フロントカバー60は、筐体本体30に対して前側から着脱される蓋状のケース体である。
【0030】
フロントカバー60は、前面視矩形状に構成され、後端部に開口部が設けられ、後方側が開放した箱状の形態をなす。図3のように、フロントカバー60は、前壁部62と、上壁部66と、下壁部64と、側壁部68,69と、を備え、これらが連結された構成をなす。フロントカバー60は、後方側が開放した浅底の箱状の形態をなす。前壁部62は、筐体2の前面部を構成する板状の部位であり、開口部40を閉塞する部位である。図3の例では、前壁部62に開口部62Zが形成されている。開口部62Zは、図1に示される操作装置130が嵌め込まれる部分である。図3では、操作装置130の図示は省略されている。上壁部66は、前壁部62の上端から後方に延びる板状の部位である。下壁部64は、前壁部62の下端から後方に延びる板状の部位である。上壁部66及び下壁部64は、上下に向かい合って配置される。一対の側壁部68,69は、前壁部62の左右両側から後方に延びる板状の部位である。一対の側壁部68,69は、左右に対をなす構成で互いに向かい合って配置される。
【0031】
図3のように、筐体本体30は、上側壁部32と、下側壁部34と、一対の側壁部35,36と、背面側壁部38とを有し、これらが連結された構成をなす。上側壁部32、下側壁部34、一対の側壁部35,36、背面側壁部38は、いずれも板状に構成される。上側壁部32、下側壁部34、一対の側壁部35,36は一体的に連結され、燃焼装置3や熱交換器4が収容される領域(筐体内空間)の上下左右を囲むように配置される。筐体本体30は、前側に開口部40が設けられた箱状の形態をなす。開口部40は、上側壁部32の前端部と下側壁部34の前端部と一対の側壁部35,36の前端部とによって構成され、前側に開放した構成をなす。
【0032】
図3のように、パッキン90は、筐体本体30とフロントカバー60との間を封止する部材である。パッキン90は、筐体本体30の開口部40とフロントカバー60との間を通って気体が流入及び流出することを遮断又は抑制するシール部材である。パッキン90は、板状の形態をなし、環状の形態をなす。パッキン90は、筐体本体30の開口部40に沿って配置され、フロントカバー60の環状の後端部に沿って配置され、フロントカバー60と筐体本体30とによって前後に挟まれる。
【0033】
フロントカバー60は、ねじ部材21,22によって筐体本体30に固定される。具体的には、前壁部62の一部をなす固定部71A,71Bのそれぞれが、筐体本体30に設けられた被固定部43A,43Bのそれぞれに対して前後に重なり、被固定部43Aのねじ孔部53Xと固定部71Aのねじ孔71Xとに一方のねじ部材21が挿入されて固定され、被固定部43Bのねじ孔部53Yと固定部71Bのねじ孔71Yとに他方のねじ部材21が挿入されて固定される。更に、下壁部64に設けられた張出部72C,72Dが下側壁部34に重なり、被固定部44Aのねじ孔部54Xと固定部72Aのねじ孔72Xとに一方のねじ部材22が挿入されて固定され、被固定部44Bのねじ孔部54Yと固定部72Bのねじ孔72Yとに他方のねじ部材22が挿入されて固定される。
【0034】
3.操作装置の周辺構造
図1に示される操作装置130は、外部からの入力操作を受ける装置である。操作装置130は、様々な情報を入力する操作が可能な装置であり、入力部(複数のボタンやタッチパネルなど)、表示部などを備える。表示部及び入力部は、操作装置130の前面部に設けられ、筐体2の外側から視認可能に配置される。表示部は、文字や情報が表示可能な装置であればよい。入力部は、作業者によって自身になされた押圧操作や接触操作などを検知し、作業者の操作内容に対応する情報を認識又は出力する装置である。操作装置130には、各種電気回路、記憶部、情報処理装置などが設けられていてもよい。なお、以下で説明される代表例では、操作装置130は、操作装置130から離れた場所に配置されるコントローラ(図示省略)と通信可能に構成され、コントローラに対して指示などの情報を与えたり、コントローラから情報を取得したりするリモートコントローラとして構成されている。
【0035】
図1のように、操作装置130は、正面視矩形状に構成されている。操作装置130の内部は、例えば図4のように構成される。操作装置130は、上記操作部や上記表示部を備える装置本体130Aと、装置本体130Aを保持する保持板130Bとを有する。図5図6では、装置本体130Aの内部の詳細が省略されている。具体的には、図5図6において装置本体130Aのハッチング領域は、内部の詳細が省略されて示される領域である。
【0036】
図4のように、装置本体130Aは、複数の樹脂部材(第1部材151、第2部材152、第3部材153)が重なった構成をなす。第1部材151、第2部材152、第3部材153はいずれも、平たい構成をなしており、第1部材151、第2部材152、第3部材153が重なった樹脂部分が全体として略板状をなしている。上記複数の樹脂部材のうちの前側を構成する第1部材151は、後端部を開口部とし且つ前方向を深さ方向とする浅底の箱状形態をなす箱体であり、一部が上記前面131を構成している。第1部材151の一部を覆う構成でシート状部材155が設けられている。シート状部材155は、使用者によって押圧操作可能に構成された押圧ボタンの表面部を構成する。複数の樹脂部材は、押圧ボタンの一部をなす弾性変形部や、押圧ボタンの周囲をなす枠部などを有している。第2部材152は、基板に対して電子部品が実装されてなる基板部である。第2部材152(基板部)における基板の厚さ方向が前後方向とされている。第3部材153は、板状の蓋体である。第3部材153の厚さ方向は前後方向とされている。第3部材153(蓋体)は、第1部材151(箱体)の後端側に設けられる開口部を閉塞するように第1部材151に取り付けられる裏蓋として機能し得る。
【0037】
保持板130Bは、例えば金属材料や樹脂材料などによって板状に構成される。以下で説明される代表例では、保持板130Bは、金属板として構成される。保持板130Bは、平板部148、折れ曲がり部149A,149B、149C、仮保持片140、本保持片146などを備える。平板部148は、所定の厚さで平板状に構成された部分である。装置本体130Aは、平板部148を前側から覆う構成で平板部148に固定される。平板部148の前面は装置本体130Aの後面に接触する。図5のような正規の使用状態(通常の使用状態)のときには、平板部148の厚さ方向は前後方向とされる。折れ曲がり部149Aは、平板部148の左右方向一端から後方側に折れ曲がり、保持板130Bの強度を高めるように機能する。折れ曲がり部149Bは、平板部148の左右方向他端から後方側に折れ曲がり、保持板130Bの強度を高めるように機能する。折れ曲がり部149Cは、平板部148の上端から後方側に折れ曲がり、保持板130Bの強度を高めるように機能する。
【0038】
平板部148には、前後方向に貫通した孔部である開口部148Aが設けられている。開口部148Aは、横長の長孔として構成される。開口部148Aの内縁の上端は、左右方向の内縁部として構成される。操作装置130の背面側において、開口部148Aの内縁部上端には、仮保持片140が設けられている。仮保持片140は、下方側に延びる第2板部142(延出部)と、第2板部142(延出部)の上端側で第2板部142に連結される第1板部141(基部)とを有する。第1板部141は、開口部148Aの内縁部に連結され、後方側に延びる構成をなす。第1板部141は、上下方向を厚さ方向とする板状に構成され、平板部148から略直角に折れ曲がる構成をなしている。第2板部142は、前後方向を厚さ方向とする板状に構成され、第1板部141の後端から折れ曲がり且つ下方側に向かって片持ち状に延びた構成をなす。
【0039】
保持板130Bの下端部には、本保持片146が設けられている。本保持片146は、図5のように操作装置130が被固定部190に固定された固定状態のときに仮保持片140よりも下方側に配置される係止部であり、且つ、上記固定状態のときに保持部170のスリット178に挿入された状態で保持部170に接触しつつ引っ掛かるように係止する部位である。本保持片146は、下方側に延びる第2係止板部146Bと、第2係止板部146Bの上端側で第2係止板部146Bに連結される第1係止板部146Aとを有する。第1係止板部146Aは、平板部148の下端部に連結され、当該下端部から後方側に延びる構成をなす。第1係止板部146Aは、上下方向を厚さ方向とする板状に構成され、平板部148から略直角に折れ曲がる構成をなしている。第2係止板部146Bは、前後方向を厚さ方向とする板状に構成され、第1係止板部146Aの後端から折れ曲がり且つ下方側に向かって片持ち状に延びた構成をなす。第2係止板部146Bは、図5図7のような通常状態(給湯器1が使用される状態)において、後述される保持部170のスリット178に挿入された状態で保持される。図5図7のように第2係止板部146Bがスリット178に挿入された状態では、第2係止板部146Bの後方への相対移動がスリット178によって規制(禁止)される。つまり、装置本体130Aの後端部付近の後方側への相対移動が規制される。一方、装置本体130Aに組み付けられる形態で装置本体130Aの周囲に配置される周囲構成部130Dの下端部付近はフロントカバー60の前壁部62によって覆われており、前壁部62によって前側への移動が規制(禁止)されている。なお、図5図6図8図9では、装置本体130Aや周囲構成部130Dの内部構造の詳細は省略されており、ハッチングによって簡略的に示されている。
【0040】
固定部材130Cは、操作装置130を被固定部190に固定するための部材であり、具体的には、保持板130Bを被固定部190に固定するための部材として構成されている。なお、本実施形態の代表例では、固定部材130Cは操作装置130に含まれず、被固定部190に含まれないが、固定部材130Cを含んで操作装置130が構成されていてもよい。或いは、固定部材130を含んで被固定部190が構成されていてもよい。つまり、操作装置130は、他部材を介して間接的に被固定部190に固定されていてもよく、直接的に被固定部190に固定されていてもよい。操作装置130が被固定部190に固定された状態では、被固定部190に対する操作装置130の相対位置が定まり、筐体2内での操作装置130の相対位置が定まる。固定部材130Cは、一部分が保持板130Bに固定され、他部分が被固定部190に固定されることで、保持板130Bと被固定部190とを連結するように固定する構成をなす。固定部材130Cは、例えば、金属板を折り曲げた構成をなしており、第1固定板部136A、第2固定板部136B、連結板部136Cを備える。第1固定板部136Aは、自身の板厚方向を前後方向とする配置で平板部148と重なって設けられ、ねじ部材133によって平板部148に固定される。第2固定板部136Bは、自身の板厚方向を前後方向とする配置で被固定部190の前面に接触する構成で配置され、ねじ部材134によって被固定部190に固定される。連結板部136Cは第1固定板部136Aと第2固定板部136Bとを連結する中間部分であり、第1固定板部136Aの下端部から後方に延びる板状部分である。連結板部136Cの後端部に第2固定板部136Bが連結されている。操作装置130の上端側の部分は、固定部材130Cによって被固定部190に固定されることで前後方向、左右方向、上下方向の相対移動が規制(禁止)される。なお、装置本体130Aの上端部付近はフロントカバー60の前壁部62によって覆われており、前壁部62によって前側への移動が規制(禁止)されている。
【0041】
被固定部190は、操作装置130や電線部160とは別の部品として構成され、筐体本体30の内部に固定及び保持される部品である。被固定部190は直接的に筐体本体30に固定されていてもよく、他部材を介して筐体本体30に固定されていてもよい。被固定部190は、フレーム部材であってもよく、ケース体であってもよく、その他の構成であってもよい。
【0042】
図6図7に示される電線部160は、操作装置130と筐体本体30内に収容される操作装置130以外の電気部品との間で電力や信号の伝送を行う経路である。電線部160には、複数の電線が設けられている。電線部160の一端側が操作装置130に電気的に接続される。電線部160の他端側は、筐体2内に収容される接続対象部125に接続される。接続対象部125は、例えば、情報処理機能を有するコントローラである。つまり、電線部160の他端側が筐体2内に収容されるコントローラ(接続対象部125)に電気的に接続され、コントローラとの間で信号の送受信を行うことができるようになっている。電線部160は、操作装置130と接続対象部125の間の中間位置が保持部材110によって保持されている。なお、保持部材110は、第1係止板部146Aに固定されており、保持部材110に設けられた孔部112内を通るように電線部160が保持されている。
【0043】
筐体本体30又は筐体本体30内において仮保持片140よりも下方側の位置には、仮保持片140を係止させる部位である保持部170が設けられる。図5図7の例では、保持部170は、筐体2の下側壁部34に固定される形態で下側壁部34に保持される。保持部170は、スリット178が形成された板状の支持部176Aと、支持部176Aから下方に折れ曲がる板状の下方折れ曲がり部176B,176Cと、下側壁部34に固定される板状の固定部176Dとを備える。図7のように、下方折れ曲がり部176B,176Cはいずれも左右方向に長く延びる板状の形態をなし、いずれも、一方の板面が前方を向き、他方の板面が後方を向いた構成で配置される。具体的には、下方折れ曲がり部176B,176Cの厚さ方向は前後方向であり、下方折れ曲がり部176B,176Cの間は所定間隔に保たれている。固定部176Dは、下方折れ曲がり部176Bと一体的に形成されるとともに下方折れ曲がり部176Bから折れ曲がって設けられ、自身の板厚方向を上下方向とする配置で下側壁部34の上側に重なるように配置され、下側壁部34に固定される。支持部176Aは、下方折れ曲がり部176B,176Cの両上端部に連結される構成で下方折れ曲がり部176B,176Cと一体的に設けられ、下側壁部34から所定の高さの位置に配置される。支持部176Aは、自身の一方面が上方を向いて配置され、具体的には自身の板厚方向を上下方向とするように配置される。支持部176Aの上面の大部分は、左右方向及び前後方向と平行な水平面として構成される。スリット178は、左右方向に沿った細長の長孔又は切欠きとして構成され、図6図7の例では、支持部176Aに設けられた貫通孔として構成されている。スリット178の左右方向の孔の大きさ(左右幅)は、第2係止板部146Bの左右方向の幅よりも大きく、第2板部142の左右方向の幅よりも大きい。スリット178の前後方向の孔の大きさ(前後幅)は、第2係止板部146B及び第2板部142の板厚よりも大きく、下方折れ曲がり部176B,176Cの前後の間隔よりも小さい。
【0044】
このように構成される操作装置130は、筐体2内に保持される被固定部190に対して着脱自在に固定される。具体的には、図8のようにフロントカバー60が取り外された状態で、保持板130Bが固定部材130Cから取り外されることにより、操作装置130が筐体本体30及び筐体本体30内の他の部品から離脱できるようになっている。具体的には、ねじ部材133が取り外されることにより固定部材130Cに対する保持板130Bの固定状態が解除され、この解除により、操作装置130が被固定部190から取り外される。そして、電線部160が操作装置130及び接続対象部125に接続された状態で且つ操作装置130が被固定部190から取り外された状態で、本保持片146を保持部170から離脱させた後に、図9のように、仮保持片140を保持部170に係止させる外部操作がなされることにより、操作装置130が仮保持されるようになっている。具体的には、図9のように、第2板部142がスリット178に挿入されることで、操作装置130は、第2板部142がスリット178に挿入された状態のまま仮保持片140が保持部170に引っ掛かり続けるように仮保持される。
【0045】
本構成では、図8のように操作装置130が被固定部190に固定された状態では、第2板部142の第1板面142A(前面)が前方側を向き、第2板面142B(後面)が後方側を向き、操作装置130の前面131が前方側を向く。一方で、図9のように仮保持された状態でも、第1板面142Aが前方側を向き且つ第2板面142Bが後方側を向き、操作装置130の前面131側が前方側を向いた姿勢で操作装置130が仮保持される。
【0046】
操作装置130の後方側には、所定の検査時に露出させる露出対象部が設けられる。図8図9の例では、露出対象部は、ガス検圧口120である。給湯器1は、フロントカバー60及び操作装置130が取り外され、操作装置130がガス検圧口120の前側からずらされることで、図9のように、ガス検圧口120が露出する。図9のようにガス検圧口120が露出した状態では、給湯器1の前側からガス検圧口120を視認することができ、ガス検圧口120にアクセスすることができる。
【0047】
4.効果の例
給湯器1は、検査用の露出対象部位(ガス検圧口120)を露出させるために操作装置130が取り外された後に、電線部160による接続状態を維持しつつ操作装置130を仮保持することができる。よって、この給湯器1は、操作装置130が電線部160を介して接続対象部125に接続された状態を維持しながら、検査用の露出対象部位(ガス検圧口120)を露出させて検査を可能にすることができる。しかも、この給湯器1は、検査中に操作装置130の仮保持が可能であるため、検査中に、電線部160が引っ張られたり、操作装置130の置き場所に困ったりする事態を生じにくくすることができ、作業者が検査作業を良好に行いやすい状況に切り替えやすい。
【0048】
給湯器1は、操作装置130の後方のスペースを利用してガス検圧口120を配置することができ、操作装置130とガス検圧口120の前後配置によるスペース的なメリットを享受し得る。そして、この給湯器1は、作業者がガス検圧口120を用いて検査を行う際に、検査作業をより良好に行いやすい。
【0049】
給湯器1は、筐体2の下側壁部を利用して保持部170を設けることができ、構成の簡易化及びコンパクト化を図りやすい。
【0050】
給湯器1は、第2板部142(板状の延出部)をスリット178に差し込むといった簡単な作業方法によって操作装置130を仮保持させることができるため、作業性の面で有利である。
【0051】
給湯器1は、より簡易な作業によって操作装置130を仮保持させることができ、更に、仮保持状態のときには、操作装置130の前面131側が前方側を向いた姿勢で操作装置130を維持することができる。
【0052】
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明された実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。さらに、上述された実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0053】
上記実施形態の給湯器で用いられる操作装置130の内部構成は、あくまで一例であり、使用者による外部操作を受け付けうる構成であればよい。例えば、図4の構成はあくまで一例であり、装置本体130Aは、外部からの入力操作が可能な構成であれば内部構成は様々に変更でき、例えば、タッチパネルなどを有していてもよく、スライド操作部や回転操作部などを有していてもよい。
【0054】
上記実施形態では、保持部170が筐体2の下側壁部とは別部材として構成され、筐体2の下側壁部に保持されるが、保持部170が筐体2の下側壁部と一体化されていてもよい。つまり、筐体2の下側壁部の一部が保持部として構成され、操作装置130が筐体2の下側壁部に引っ掛かるように仮保持されていてもよい。
【0055】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
1 :給湯器
2 :筐体
3 :燃焼装置
4 :熱交換器
30 :筐体本体
60 :フロントカバー
120 :ガス検圧口(露出対象部)
125 :接続対象部(コントローラ)
130 :操作装置
131 :操作装置の前面
140 :仮保持片
141 :第1板部(基部)
142 :第2板部(延出部)
142A :第1板面
142B :第2板面
146 :本保持片
160 :電線部
170 :保持部
178 :スリット
190 :被固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9