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特開2023-112441接続端子、コネクタ、及びコネクタ装置
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  • 特開-接続端子、コネクタ、及びコネクタ装置 図1
  • 特開-接続端子、コネクタ、及びコネクタ装置 図2
  • 特開-接続端子、コネクタ、及びコネクタ装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112441
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】接続端子、コネクタ、及びコネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
H01R13/42 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014237
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕司
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087FF05
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG25
5E087MM05
5E087RR49
(57)【要約】
【課題】ランス片のハウジングとの摺接を抑制可能とした接続端子を提供すること。
【解決手段】ハウジング21に挿入される接続端子16は、非変形部16cと、非変形部16cに対して変形可能に設けられたランス片16dとを有する。ランス片16dは、接続端子16のハウジング21への挿入によってコネクタ端子22の係合部22cと係合することで非突出状態から突出状態に変形し、突出状態でハウジング21への挿入方向と交差する方向に突出することで、ハウジング21の係止面21cに対して挿入方向の反対方向である抜け方向に係合可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに挿入される接続端子であって、
非変形部と、前記非変形部に対して変形可能に設けられたランス片とを有し、
前記ランス片は、前記接続端子の前記ハウジングへの挿入によって前記ハウジング側に設けられた係合部と係合することで非突出状態から突出状態に変形し、前記突出状態で前記ハウジングへの挿入方向と交差する方向に突出することで、前記ハウジングに設けられた係止面に対して前記挿入方向の反対方向である抜け方向に係合可能となる、
接続端子。
【請求項2】
離間した前記非変形部から相対向する方向に延びる一対の軸部を有し、
前記ランス片は、前記一対の軸部の各々の先端部と連結され、前記軸部を中心として回動するように前記非変形部に対して変形可能とされている、
請求項1に記載の接続端子。
【請求項3】
導電性の単一の金属板材によって構成されている、
請求項1または請求項2に記載の接続端子。
【請求項4】
ハウジングと、前記ハウジングに保持されたコネクタ端子と、を有し、前記ハウジングに接続端子が挿入されることで前記コネクタ端子に前記接続端子が接続されるコネクタであって、
前記コネクタ端子は、前記接続端子の前記ハウジングへの挿入によって前記接続端子が有するランス片を非突出状態から突出状態に変形させる係合部を有し、
前記ハウジングは、前記ランス片が前記突出状態で、前記接続端子の挿入方向の反対方向である抜け方向に前記ランス片と係合可能となる係止面を有する、
コネクタ。
【請求項5】
ハウジングと、前記ハウジングに保持されたコネクタ端子と、を有するコネクタと、
前記ハウジングに挿入されることで前記コネクタ端子に接続される接続端子と、
を備えたコネクタ装置であって、
前記コネクタ端子は、係合部を有し、
前記ハウジングは、係止面を有し、
前記接続端子は、非変形部と、前記非変形部に対して変形可能に設けられたランス片とを有し、
前記ランス片は、前記接続端子の前記ハウジングへの挿入によって前記係合部と係合することで非突出状態から突出状態に変形し、前記突出状態で前記ハウジングへの挿入方向と交差する方向に突出することで、前記係止面に対して前記挿入方向の反対方向である抜け方向に係合可能となる、
コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接続端子、コネクタ、及びコネクタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタ装置におけるコネクタのハウジングに挿入される接続端子としては、ランス片を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。ランス片は、ハウジングへの挿入方向に対して斜め後方の外側に突出している。ランス片は、接続端子がハウジングに挿入されている途中の状態では、外側に突出しないようにハウジングに押さえ付けられる。ランス片は、接続端子のハウジングへの挿入が完了すると、弾性復帰して外側に突出する。そして、ランス片は、ハウジングの係止面に対して挿入方向の反対方向である抜け方向に係合することで、ハウジングからの接続端子の抜けを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-280106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような接続端子は、ハウジングへの挿入時にランス片が外側に突出しないようにハウジングに押さえ付けられるため、ランス片がハウジングと摺接してしまう。このことは、例えば、ハウジングを損傷させてしまう原因となる。また、例えば、ランス片が塑性変形してしまう虞を生じさせるため、ランス片が係止面と正常に係合しなくなる原因となる。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ランス片のハウジングとの摺接を抑制可能とした接続端子、コネクタ、及びコネクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の接続端子は、ハウジングに挿入される接続端子であって、非変形部と、前記非変形部に対して変形可能に設けられたランス片とを有し、前記ランス片は、前記接続端子の前記ハウジングへの挿入によって前記ハウジング側に設けられた係合部と係合することで非突出状態から突出状態に変形し、前記突出状態で前記ハウジングへの挿入方向と交差する方向に突出することで、前記ハウジングに設けられた係止面に対して前記挿入方向の反対方向である抜け方向に係合可能となる。
【0007】
本開示のコネクタは、ハウジングと、ハウジングに保持されたコネクタ端子と、を有し、前記ハウジングに接続端子が挿入されることで前記コネクタ端子に前記接続端子が接続されるコネクタであって、前記コネクタ端子は、前記接続端子の前記ハウジングへの挿入によって前記接続端子が有するランス片を非突出状態から突出状態に変形させる係合部を有し、前記ハウジングは、前記ランス片が突出状態で、前記接続端子の挿入方向の反対方向である抜け方向に前記ランス片と係合可能となる係止面を有する。
【0008】
本開示のコネクタ装置は、ハウジングと、ハウジングに保持されたコネクタ端子と、を有するコネクタと、前記ハウジングに挿入されることで前記コネクタ端子に接続される接続端子と、を備えたコネクタ装置であって、前記コネクタ端子は、係合部を有し、前記ハウジングは、係止面を有し、前記接続端子は、非変形部と、前記非変形部に対して変形可能に設けられたランス片とを有し、前記ランス片は、前記接続端子の前記ハウジングへの挿入によって前記係合部と係合することで非突出状態から突出状態に変形し、前記突出状態で前記ハウジングへの挿入方向と交差する方向に突出することで、前記係止面に対して前記挿入方向の反対方向である抜け方向に係合可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の接続端子、コネクタ、及びコネクタ装置によれば、ランス片のハウジングとの摺接を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態におけるワイヤハーネスの模式断面図である。
図2図2は、一実施形態におけるワイヤハーネスの接続前の模式断面図である。
図3図3は、一実施形態におけるワイヤハーネスの一部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の接続端子は、
[1]ハウジングに挿入される接続端子であって、非変形部と、前記非変形部に対して変形可能に設けられたランス片とを有し、前記ランス片は、前記接続端子の前記ハウジングへの挿入によって前記ハウジング側に設けられた係合部と係合することで非突出状態から突出状態に変形し、前記突出状態で前記ハウジングへの挿入方向と交差する方向に突出することで、前記ハウジングに設けられた係止面に対して前記挿入方向の反対方向である抜け方向に係合可能となる。
【0012】
同構成によれば、接続端子のハウジングへの挿入によってランス片がハウジング側に設けられた係合部と係合することで非突出状態から突出状態に変形する。そして、ランス片は突出状態でハウジングに設けられた係止面に対して抜け方向に係合可能となるため、ハウジングからの接続端子の抜けが抑制される。そして、ランス片は、接続端子のハウジングへの挿入前の状態では非突出状態であるため、接続端子のハウジングへの挿入時におけるランス片のハウジングとの摺接を抑制することができる。
【0013】
[2]離間した前記非変形部から相対向する方向に延びる一対の軸部を有し、前記ランス片は、前記一対の軸部の各々の先端部と連結され、前記軸部を中心として回動するように前記非変形部に対して変形可能とされていることが好ましい。
【0014】
同構成によれば、ランス片は、軸部を中心として回動するように非変形部に対して変形する構成であるため、梃子の原理によって、例えば、ランス片を小さな力で大きく突出させることができる。
【0015】
[3]導電性の単一の金属板材によって構成されていることが好ましい。
同構成によれば、導電性の単一の金属板材によって構成されるため、例えば、複数の部材を接合して構成する場合に比べて、容易に製造することができる。
【0016】
本開示のコネクタは、
[4]ハウジングと、前記ハウジングに保持されたコネクタ端子と、を有し、前記ハウジングに接続端子が挿入されることで前記コネクタ端子に前記接続端子が接続されるコネクタであって、前記コネクタ端子は、前記接続端子の前記ハウジングへの挿入によって前記接続端子が有するランス片を非突出状態から突出状態に変形させる係合部を有し、前記ハウジングは、前記ランス片が前記突出状態で、前記接続端子の挿入方向の反対方向である抜け方向に前記ランス片と係合可能となる係止面を有する。
【0017】
同構成によれば、接続端子と同様の作用効果が得られる。
本開示のコネクタ装置は、
[5]ハウジングと、前記ハウジングに保持されたコネクタ端子と、を有するコネクタと、前記ハウジングに挿入されることで前記コネクタ端子に接続される接続端子と、を備えたコネクタ装置であって、前記コネクタ端子は、係合部を有し、前記ハウジングは、係止面を有し、前記接続端子は、非変形部と、前記非変形部に対して変形可能に設けられたランス片とを有し、前記ランス片は、前記接続端子の前記ハウジングへの挿入によって前記係合部と係合することで非突出状態から突出状態に変形し、前記突出状態で前記ハウジングへの挿入方向と交差する方向に突出することで、前記係止面に対して前記挿入方向の反対方向である抜け方向に係合可能となる。
【0018】
同構成によれば、接続端子やコネクタと同様の作用効果が得られる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」や「真円」は、厳密に平行や直交や真円の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交や真円の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[ワイヤハーネス11の構成]
図1に示すように、ワイヤハーネス11は、コネクタ付き電線12と、端子付き電線13とを備えている。
【0020】
[コネクタ付き電線12の構成]
コネクタ付き電線12は、コネクタ14と第1電線15とを備えている。
[端子付き電線13の構成]
端子付き電線13は、接続端子16と第2電線17とを備えている。なお、本実施形態では、コネクタ14と接続端子16とがコネクタ装置18を構成している。すなわち、本実施形態のワイヤハーネス11は、第1電線15と第2電線17とがコネクタ装置18を介して接続されて構成されている。
【0021】
[第1電線15及び第2電線17の構成]
第1電線15は、導電性を有する芯線15aと、芯線15aの外周を覆う絶縁被覆15bとを有する。芯線15aとしては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や単一の導体からなる単芯線などを用いることができる。芯線15aは、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料により構成されている。絶縁被覆15bは、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。
【0022】
第2電線17は、導電性を有する芯線17aと、芯線17aの外周を覆う絶縁被覆17bとを有する。芯線17aとしては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や単一の導体からなる単芯線などを用いることができる。芯線17aは、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料により構成されている。絶縁被覆17bは、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。
【0023】
第1電線15及び第2電線17の端部は、絶縁被覆15b,17bが除去されており、芯線15a,17aの端部が露出されている。
[コネクタ14の構成]
コネクタ14は、ハウジング21と、ハウジング21に保持されたコネクタ端子22とを有する。
【0024】
[ハウジング21の構成]
ハウジング21は、樹脂材料により構成されている。
図1及び図2に示すように、ハウジング21は、四角筒状に形成されている。ハウジング21は、長さ方向の基端側(図1及び図2中、左側)に第1電線挿入口21aを有し、長さ方向の先端側(図1及び図2中、右側)に端子挿入口21bを有する。また、ハウジング21は、係止面21cを有する。係止面21cは、端子挿入口21bにおいて開口を小さくする方向に突出する突出部21dに設けられている。係止面21cは、突出部21dにおけるハウジング21の長さ方向の内側の端面によって構成されている。係止面21cは、ハウジング21の長さ方向と直交する面である。
【0025】
[コネクタ端子22の構成]
コネクタ端子22は、導電性の単一の金属板材によって構成されている。コネクタ端子22は、金属板材が打ち抜かれた後に折り曲げられることにより形成されている。コネクタ端子22は、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料により構成されている。
【0026】
コネクタ端子22は、ハウジング21の内部に保持されている。コネクタ端子22は、第1電線接続部22aと、第1接続部22bとを有する。第1電線接続部22aは、ハウジング21の長さ方向における基端側に配置されている。第1接続部22bは、ハウジング21の長さ方向の先端側に配置されている。
【0027】
第1電線接続部22aには、第1電線15における芯線15aの端部が接続されている。本実施形態の第1電線接続部22aは、芯線15aの周囲を覆いながら挟み込んで芯線15aを保持している。すなわち、芯線15aは、第1電線接続部22aに圧着されている。第1電線15は、第1電線挿入口21aを通って外部に延びている。
【0028】
第1接続部22bは、四角筒状に形成されている。第1接続部22bは、雌端子である。第1接続部22bは、係合部22cを有する。係合部22cは、第1接続部22bの内面の一部から突出している。係合部22cは、第1接続部22bを構成する1つの壁部22dに設けられている。係合部22cは、第1接続部22bの先端部(図1及び図2中、右側端部)に設けられている。係合部22cは、第1接続部22bの外面の一部が押圧されることで第1接続部22bの内面の一部から打ち出されている。係合部22cは、球面状に形成されている。
【0029】
[接続端子16の構成]
接続端子16は、導電性の単一の金属板材によって構成されている。接続端子16は、金属板材が打ち抜かれた後に折り曲げられることにより形成されている。接続端子16は、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料により構成されている。本実施形態では、接続端子16は、塑性変形し易いアルミニウム系の金属材料により構成されている。なお、芯線15a,17a、コネクタ端子22、及び接続端子16は、同一の材料により構成されていることが好ましい。
【0030】
接続端子16は、第2電線接続部16aと、第2接続部16bとを有する。
第2電線接続部16aには、第2電線17における芯線17aの端部が接続されている。本実施形態の第2電線接続部16aは、芯線17aの周囲を覆いながら挟み込んで芯線17aを保持している。すなわち、芯線17aは、第2電線接続部16aに圧着されている。
【0031】
第2接続部16bは、四角筒状に形成されている。第2接続部16bは、雄端子である。すなわち、第2接続部16bは、第1接続部22bの内側に嵌着可能とされている。第2接続部16bは、接続端子16が端子挿入口21bを通ってハウジング21に挿入されることで、第1接続部22bに嵌着される。第2接続部16bは、非変形部16cと、非変形部16cに対して変形可能に設けられたランス片16dとを有する。
【0032】
図3に示すように、非変形部16cは、第2接続部16bを構成する1つの壁部によって構成されている。非変形部16cは、接続端子16における長さ方向の先端部(図3中、左側端部)から基端側(図3中、右側)に向かって切り欠かれた切り欠き部16eを有する。そして、第2接続部16bは、切り欠き部16eによって離間している非変形部16cから相対向する方向に延びる一対の軸部16fを有する。そして、ランス片16dは、一対の軸部16fの各々の先端部と連結されている。詳しくは、ランス片16dは、一対の軸部16fの各々の先端部から接続端子16における長さ方向の先端側(図3中、左側)に延びて更に相対向する側に延びるアーム部16gを有する。また、ランス片16dは、アーム部16gの各々の先端部を接続するとともに接続端子16における長さ方向の基端側(図3中、右側)に延びるランス本体部16hを有する。これにより、ランス片16dは、軸部16fを中心として回動するように非変形部16cに対して変形可能とされている。そして、ランス片16dは、接続端子16のハウジング21への挿入によって係合部22cと係合することで非突出状態(図2参照)から突出状態(図1参照)に変形し、突出状態でランス本体部16hがハウジング21への挿入方向と交差する方向に突出する。なお、この際、軸部16fは捩れて塑性変形するように材料や断面等が設定されている。これにより、ランス片16dは、係止面21cに対して挿入方向の反対方向である抜け方向(図1中、右方向)に係合可能となる。また、図1では、軸部16fを中心としてランス片16dが正確に回動した状態を模式的に図示しているが、厳密には主に軸部16fを中心としてランス片16dが回動しつつもアーム部16g等も撓んで変形することがある。
【0033】
次に、上記実施形態の作用について説明する。
図2に示すように、接続端子16をハウジング21に挿入する前の状態では、ランス片16dは、接続端子16から突出していない非突出状態とされている。詳しくは、接続端子16をハウジング21に挿入する前の状態では、ランス片16dの主面は、第2接続部16bを構成する1つの壁部によって構成された非変形部16cの主面と面一とされている。
【0034】
そして、接続端子16をハウジング21に挿入していくと、第2接続部16bは、第1接続部22bに嵌着される。この際、図1に示すように、ランス片16dは、コネクタ端子22の係合部22cと係合することで軸部16fを中心として回動するように変形する。これにより、ランス片16dは、その一部がハウジング21への挿入方向と交差する方向に突出した突出状態となる。突出状態のランス片16dは、ハウジング21からの接続端子16の抜け方向(図1中、右方向)に係止面21cと対向する。よって、ランス片16dは係止面21cと接続端子16の抜け方向に係合可能となり、ハウジング21から接続端子16が抜けてしまうことが抑制される。
【0035】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)接続端子16のハウジング21への挿入によってランス片16dがハウジング21側に設けられた係合部22cと係合することで非突出状態から突出状態に変形する。そして、ランス片16dは突出状態でハウジング21に設けられた係止面21cに対して抜け方向に係合可能となるため、ハウジング21からの接続端子16の抜けが抑制される。そして、ランス片16dは、接続端子16のハウジング21への挿入前の状態では非突出状態であるため、接続端子16のハウジング21への挿入時におけるランス片16dのハウジング21との摺接を抑制することができる。これにより、例えば、ランス片16dがハウジング21を損傷させてしまうことが抑えられる。
【0036】
(2)ランス片16dは、軸部16fを中心として回動するように非変形部16cに対して変形する構成であるため、梃子の原理によって、例えば、ランス片16dを小さな力で大きく突出させることができる。
【0037】
(3)接続端子16は、導電性の単一の金属板材によって構成されるため、例えば、複数の部材を接合して構成する場合に比べて、容易に製造することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0038】
・上記実施形態では、ランス片16dは、軸部16fを中心として回動するように非変形部16cに対して変形する構成であるとしたが、これに限定されず、軸部16fを中心として回動せずに変形する構成としてもよい。また、このような場合、係合部の構成も変更してもよい。例えば、ランス片は、接続端子16のハウジング21への挿入によってハウジング側に設けられた係合部と係合することで、回動せずに押し潰されて非突出状態から突出状態に変形する構成としてもよい。
【0039】
・上記実施形態では、接続端子16は、導電性の単一の金属板材によって構成されるとしたが、これに限定されず、例えば、複数の部材を接合して構成してもよい。
・上記実施形態では、コネクタ端子22が係合部22cを有するとしたが、これに限定されず、例えば、ハウジング21が係合部を有する構成としてもよい。すなわち、ハウジング21と係合部とは一体成形品であってもよい。
【0040】
・上記実施形態では、接続端子16は、ハウジング21に保持されたコネクタ端子22に接続するためにハウジング21に挿入されるものとしたが、これに限定されず、例えば、ハウジング21に保持されるコネクタ端子として実施してもよい。なお、この場合、例えば、ハウジング21が係合部を有する必要がある。
【0041】
・上記実施形態では、特に言及していないが、ハウジング21内にコネクタ端子22が複数保持されている構成としてもよい。
【符号の説明】
【0042】
11 ワイヤハーネス
12 コネクタ付き電線
13 端子付き電線
14 コネクタ
15 第1電線
15a 芯線
15b 絶縁被覆
16 接続端子
16a 第2電線接続部
16b 第2接続部
16c 非変形部
16d ランス片
16e 切り欠き部
16f 軸部
16g アーム部
16h ランス本体部
17 第2電線
17a 芯線
17b 絶縁被覆
18 コネクタ装置
21 ハウジング
21a 第1電線挿入口
21b 端子挿入口
21c 係止面
21d 突出部
22 コネクタ端子
22a 第1電線接続部
22b 第1接続部
22c 係合部
22d 壁部
図1
図2
図3