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2023-112443消防団活動支援装置及び消防団活動支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112443
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】消防団活動支援装置及び消防団活動支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20230804BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014239
(22)【出願日】2022-02-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】519268953
【氏名又は名称】株式会社タヌキテック
(74)【代理人】
【識別番号】100119758
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 保宏
(72)【発明者】
【氏名】市川 浩也
(72)【発明者】
【氏名】助石 充優
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】消防団の活動報告に関する作業を軽減化するとともに正確な活動報告を提出することができる。
【解決手段】消防団活動支援装置は、出動事案の種別及び位置・日時に関する出動事案データを記憶する出動事案データ記憶部と、出動事案に対する出動回答を受け付ける出動回答受付部と、出動回答を送信した消防団員が出動事案の現場に滞在したか否かを判定する現場滞在確認部と、出動事案データ及び出動回答に基づいて該回答を送信した消防団員の出動報告書データを作成する出動報告書作成部と、消防団員が出動事案の現場に滞在したと判定された場合、作成した出動報告書データを消防本部に提出可能なデータとする出動報告書提出部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消防団員が利用する情報端末と通信ネットワークを介して相互に通信可能な消防団活動支援装置であって、
消防団員の出動事案に関する出動事案データを記憶する出動事案データ記憶手段と、
前記情報端末から送信された、所定の出動事案に対する出動の回答(以下、出動回答という)を受け付ける出動回答受付手段と、
前記出動回答を送信した消防団員が前記所定の出動事案の現場に滞在したか否かを判定する現場滞在確認手段と、
前記情報端末から送信された作成指示により、前記所定の出動事案に対応する前記出動事案データ及び前記出動回答に基づいて、前記出動回答を送信した消防団員の出動報告書データを作成する出動報告書作成手段と、
前記現場滞在確認手段により前記出動回答を送信した消防団員が前記所定の出動事案の現場に滞在していたと判定された場合、前記出動報告書作成手段が作成した前記出動報告書データを、消防本部に提出可能な状態のデータ(以下、提出用出動報告書データという)とする出動報告書提出手段と、
を備え、
前記出動事案データは、出動事案を一意に識別可能な出動事案ID、出動事案の種別(以下、出動種別という)、出動事案の現場位置(以下、出動位置という)、及び出動事案の日時(以下、出動日時という)に関する情報を、少なくとも備えるデータであり、
前記情報端末は、該情報端末の位置を取得する位置取得手段を備え、
前記現場滞在確認手段は、前記所定の出動事案に対応する前記出動事案データの前記出動位置及び前記出動日時と、前記位置取得手段により取得された、前記出動回答を送信した消防団員が携行した前記情報端末(以下、一の情報端末という)の経時的な位置と、に基づいて、該消防団員が前記所定の出動事案の現場に滞在したか否かを判定する、
ことを特徴とする消防団活動支援装置。
【請求項2】
前記情報端末は、近距離に存在する他の前記情報端末と近距離無線通信が可能な近距離無線通信手段を備え、
前記現場滞在確認手段は、前記一の情報端末の前記近距離無線通信手段が前記所定の出動事案の現場において他の前記情報端末と通信したか否かを加味して、前記出動回答を送信した消防団員が前記所定の出動事案の現場に滞在したか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の消防団活動支援装置。
【請求項3】
前記情報端末は、
出動事案に関する情報を示す二次元コードを表示する二次元コード表示手段と、
前記二次元コードを読み取る二次元コード読取手段と、
を備え、
前記現場滞在確認手段は、前記一の情報端末の前記二次元コード読取手段が、前記所定の出動事案の現場において、他の前記情報端末により表示された前記所定の出動事案に関する情報を示す前記二次元コードを読み取ったか否かを加味して、前記出動回答を送信した消防団員が前記所定の出動事案の現場に滞在したか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の消防団活動支援装置。
【請求項4】
前記出動報告書作成手段は、作成された前記出動報告書データを、権限ある消防団員(以下、上長という)により修正可能であり、
前記出動報告書提出手段は、前記上長の認証を加味して前記提出用出動報告書データを作成する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の消防団活動支援装置。
【請求項5】
前記消防本部の構成員である消防職員が利用する情報端末(以下、消防本部端末という)と通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、
前記出動報告書提出手段は、前記提出用出動報告書データを前記消防本部端末に送信する、又は前記提出用出動報告書データを消防職員が閲覧可能なデータとする、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の消防団活動支援装置。
【請求項6】
前記出動報告書データは、消防団員を一意に識別可能な団員ID、前記出動事案ID、前記出動種別、出動開始日時、及び出動終了日時に関する情報を、少なくとも備えるデータである、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の消防団活動支援装置。
【請求項7】
前記出動事案データは、災害事案に関する災害出動事案データと、非災害事案に関する非災害出動事案データと、を備え、
出動事案が前記災害事案の場合、前記災害出動事案データの前記出動日時は、災害の覚知時刻と災害の現場からの撤収時刻で構成され、
前記出動報告書作成手段は、出動事案が前記災害事案の場合、消防団が災害の現場から撤収した後に、前記覚知時刻を前記出動開始日時に設定し、前記撤収時刻を前記出動終了日時に設定して前記出動報告書データを作成する、
ことを特徴とする請求項6記載の消防団活動支援装置。
【請求項8】
消防団員が利用する情報端末と通信ネットワークを介して相互に通通信可能なコンピュータのための消防団活動支援プログラムであって、
前記情報端末は、該情報端末の位置を取得する位置取得手段を備え、
前記コンピュータは、
消防団員の出動事案に関する出動事案データを記憶する出動事案データ記憶手段を備え、
前記出動事案データは、出動事案を一意に識別可能な出動事案ID、出動事案の種別(以下、出動種別という)、出動事案の現場位置(以下、出動位置という)、及び出動事案の日時(以下、出動日時という)に関する情報を、少なくとも備えるデータであり、
前記情報端末から送信された、所定の出動事案に対する出動の回答(以下、出動回答という)を受け付ける出動回答受付ステップと、
前記出動回答を送信した消防団員が前記所定の出動事案の現場に滞在したか否かを判定する現場滞在確認ステップと、
前記情報端末から送信された作成指示により、前記所定の出動事案に対応する前記出動事案データ及び前記出動回答に基づいて、前記出動回答を送信した消防団員の出動報告書データを作成する出動報告書作成ステップと、
前記現場滞在確認ステップにおいて前記出動回答を送信した消防団員が前記所定の出動事案の現場に滞在していたと判定された場合、前記出動報告書作成ステップにおいて作成された前記出動報告書データを、消防本部に提出可能な状態のデータとする出動報告書提出ステップと、
を前記コンピュータに実行させ、
前記現場滞在確認ステップは、前記所定の出動事案に対応する前記出動事案データの前記出動位置及び前記出動日時と、前記位置取得手段により取得された、前記出動回答を送信した消防団員が携行した前記情報端末の経時的な位置と、に基づいて、該消防団員が前記所定の出動事案の現場に滞在したか否かを判定する、
ことを特徴とする消防団活動支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防団の活動を支援する消防団活動支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本には「消防団」という地域の防災活動の担い手として活躍している、非常備の消防機関がある。このような消防団の構成員である「消防団員」は、一般に本業を別に持つ一般市民で構成されている。これに対して、「消防本部」は、常備の消防機関であり、その構成員である「消防職員」は、専業の従事職員である。このような位置付けにある消防団員は、火災などの災害発生時には、消防職員とともに災害活動を行う。具体的には、消防本部から出場連絡を受けた場合、消防団員は、自宅や職場から現場へ駆けつけ、その地域での経験を活かした消火活動や救助活動を行っている。また、消防団員は、平常時においても、消防訓練、防火指導、啓発活動などの活動を行っている。
【0003】
なお、この出願に関連する先行技術文献情報としては、消防団向け消防活動支援システムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-18755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、消防団の上記活動は管轄の消防本部に報告する必要がある。これは、消防団員の活動は有償活動であり、活動内容に応じて出動手当が支払われるためである。そのため、消防団員は、活動終了後、活動報告書の作成を行わなければならず、消防団員にとって活動報告書を作成する業務負担が大きいという問題があった。
【0006】
また、消防団の活動報告に関しても虚偽申告の虞があり、活動報告の正確性が客観的に担保されていないという問題があった。
【0007】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、消防団の活動報告に関する作業を軽減化するとともに正確な活動報告を提出することができる消防団活動支援装置及び消防団活動支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る消防団活動支援装置は、その一態様として、
消防団員が利用する情報端末と通信ネットワークを介して相互に通信可能な消防団活動支援装置であって、
消防団員の出動事案に関する出動事案データを記憶する出動事案データ記憶手段と、
前記情報端末から送信された、所定の出動事案に対する出動の回答(以下、出動回答という)を受け付ける出動回答受付手段と、
前記出動回答を送信した消防団員が前記所定の出動事案の現場に滞在したか否かを判定する現場滞在確認手段と、
前記情報端末から送信された作成指示により、前記所定の出動事案に対応する前記出動事案データ及び前記出動回答に基づいて、前記出動回答を送信した消防団員の出動報告書データを作成する出動報告書作成手段と、
前記現場滞在確認手段により前記出動回答を送信した消防団員が前記所定の出動事案の現場に滞在していたと判定された場合、前記出動報告書作成手段が作成した前記出動報告書データを、消防本部に提出可能な状態のデータ(以下、提出用出動報告書データという)とする出動報告書提出手段と、
を備え、
前記出動事案データは、出動事案を一意に識別可能な出動事案ID、出動事案の種別(以下、出動種別という)、出動事案の現場位置(以下、出動位置という)、及び出動事案の日時(以下、出動日時という)に関する情報を、少なくとも備えるデータであり、
前記情報端末は、該情報端末の位置を取得する位置取得手段を備え、
前記現場滞在確認手段は、前記所定の出動事案に対応する前記出動事案データの前記出動位置及び前記出動日時と、前記位置取得手段により取得された、前記出動回答を送信した消防団員が携行した前記情報端末(以下、一の情報端末という)の経時的な位置と、に基づいて、該消防団員が前記所定の出動事案の現場に滞在したか否かを判定する、
ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、消防団の活動報告に関する作業を軽減化するとともに正確な活動報告を提出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システムの出動報告書の作成及び提出に関する処理の流れを示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システムにおける出動事案の種別の一例を示す表である。
図4】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援装置の概略構成図である。
図5】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システムにおいて用いられるデータのデータ構成を模式的に示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援装置の出動チェック部が実行する処理を模式的に示す図である。
図7】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援装置の出動報告書作成部及び出動報告書提出部が実行する処理を模式的に示す図である。
図8】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システムにおいて消防団員が利用する情報端末の概略構成図である。
図9】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システムの災害事案における出動意思受付処理及び現場滞在確認処理の流れを示すシーケンス図である。
図10】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システムの非災害事案における出動意思受付処理及び現場滞在確認処理の流れを示すシーケンス図である。
図11】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システムの出動報告書作成処理の流れを示すシーケンス図である。
図12】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システムの出動報告書提出処理(上長承認処理)の流れを示すシーケンス図である。
図13】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システムにおいて、消防団員が災害事案の出動要請に対して返信する場合の情報端末の画面の一例を示す図である。
図14】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システムにおいて、消防団員が非災害事案に対して参加又は不参加の回答をする場合の情報端末の画面の一例を示す図である。
図15】本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システムにおいて、作成された出動報告書を上長が認証し、提出用出動報告書を作成する場合の情報端末の画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0012】
<消防団活動支援システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る消防団活動支援システム10の概略構成図である。消防団活動支援システム10は、消防団の活動を支援する情報処理システムであり、消防職員又は消防団員が使用可能となっている。消防団活動支援システム10は、消防団に対する出場指令及び撤収指令、消防団の動態管理、消防団員同士のチャット、消防団員のスケジュール管理、活動報告や車両日誌の作成など、消防団の活動全般を支援するように構成されている。これにより、消防団員の業務軽減を図ることができ、消防団員による迅速かつ的確な消防活動が可能となっている。
【0013】
消防団活動支援システム10は、図1に示すように、消防団活動支援装置1と、複数の情報端末2と、を備える。消防団活動支援装置1と情報端末2とは、通信ネットワーク3を介して相互に通信可能に構成されている。また、情報端末2間も通信ネットワーク3を介して相互に通信可能に構成されている。さらには、消防団活動支援装置1は、通信ネットワーク3を介して、消防本部のコンピュータ4及び情報端末5と相互に通信可能に構成されている。
【0014】
ここで、消防団活動支援装置1は、消防団活動支援システム10の中核を担うサーバ装置であり、消防団の消防活動に必要な情報を一元的に管理するとともに消防団の消防活動を支援する各種処理を実行する。以下、消防団活動支援装置1をサーバ1と表記する。情報端末2は、消防団員が用いる情報端末であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末など消防団の活動に際して携行可能な情報端末で構成されている。情報端末2には、消防団活動支援システム10を利用するためのアプリケーションプログラムAPがインストールされている。消防本部のコンピュータ4は、例えば、消防本部に設けられたホストコンピュータやサーバなどの情報処理装置である。情報端末5は、消防職員が消防団活動支援システム10を利用するための情報端末であり、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などが想定される。以下、消防本部のコンピュータ4及び情報端末5を総称して、消防本部端末6と称する。消防本部端末6は、原則、ブラウザソフトを介して消防団活動支援システム10を利用可能としているが、情報端末2と同様、アプリケーションプログラムAPを介して消防団活動支援システム10を利用可能としてもよい。通信ネットワーク3は、例えば、インターネット網、公衆回線網、専用通信網、LAN(Local Area Network)などの構内網、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、NFC(Near field communication)などの近距離無線通信網などから構成されている。
【0015】
以下、本実施の形態では、消防団活動支援システム10の各種機能のうち消防団の出動に関する活動報告書(以下、出動報告書という)の作成及び提出の機能(出動報告書作成・提出機能)を中心に説明をする。
【0016】
<出動報告書作成・提出機能の概要>
図2は、消防団活動支援システム10における出動報告書の作成及び提出に関する一連の処理の流れを示す概要図である。図2に示すように、消防団が関与する所定の事案が発生した場合、該所定の事案に対して消防団員は出動する場合がある。ここで、所定の事案には、大別して、災害活動である災害事案と、非災害活動である非災害事案と、がある。災害事案には、例えば、火災、風水害、救助活動、救急、捜索などの事案が含まれる。非災害事案には、例えば、演出、訓練、公報、指導、特別警戒などの事案が含まれる。
【0017】
図3は、事案の種別コードの一例を示す表である。図3は、大分類及び中分類の2段階で事案を分類している例を示している。例えば、種別コード11は、大分類では「火災」、中分類では「真火災」を意味し、種別コード12は、大分類では「誤報等」、中分類では「非火災」を意味している。図3に示す種別コードでは、10の位の数字が各種出動手当と紐づいている。例えば、10の位の数字が1の種別コードは、災害出動手当と紐づいており、10の位の数字が2の種別コードは、訓練出動手当と紐づいており、10の位の数字が3の種別コードは、警戒出動手当と紐づいている。これは、消防団員の活動は有償活動であり、活動内容に応じた出動手当が支払われるようになっているので、出動報告書を作成するに際しては、最低限、出動手当が算出可能な種別コードを必要とするためである。つまり、種別コードは、消防団員に支払われる手当の金額(単価や総額)と結びつけて設定されているコードでもある。図3に示す種別コードにおいて、災害事案は、具体的には、災害出場手当に紐づいた種別コードの事案となっており、非災害事案は、訓練出場手当及び警戒出場手当に紐づいた種別コードの事案となっている。
【0018】
なお、図3に示す事案の種別分けは一例であって、これに限定されるものではない。さらに細分化して事案の種別体系を設けてもよいし、より簡略化した種別体系を設けるようにしてもよい。各自治体から消防団員に支払われる出動手当と対応付けられた種別コードであればいずれのコード体系でもよい。また、事案の種別名称も各自治体において種々設定可能である。消防団の手当には任務報酬(源泉課税対象)と費用弁済(非課税)という全国基準が設けられており、地域により出動手当、単に手当と呼称する場合がある。これらの課税/非課税を加味した種別コードを採用し、手当の金額を計算する場合に、課税/非課税を判定し、源泉徴収など課税対象手当の税金を計算してもよい。
【0019】
図2に戻って、消防団員が所定の事案に対して出動し、出動が完了した場合には、消防団員は、消防団活動支援システム10の情報端末2を用いて出動した該所定の事案に対する出動報告書を作成する必要がある。消防団活動支援システム10では、消防団員が報告すべき項目(例えば、出動の事案を一意に識別可能な情報を含み、出動日時(開始時刻、終了時刻)、出動場所、出動した消防団員、内容など)を選択又は入力することにより出動報告書を作成する手動作成機能と、消防団活動支援システム10において管理されている出動事案データ(詳しくは、後述するが、消防団員が出動した事案の内容や場所、日時などを記録したデータ)d112に基づいて自動的に(より具体的には、内容を確認後、自動的に)出動報告書を作成する自動作成機能と、を備えている。
【0020】
このように消防団活動支援システム10では、従来、紙ベースで作成していた出動報告書を、情報端末2を介して作成可能となっているので、消防団の活動報告に関する作業を軽減化することができる。特に自動作成機能を用いた場合、出動した事案内容を確認するだけで出動報告書を作成することができるので、消防団の活動報告に関する作業をより軽減化することが可能である。
【0021】
次に、消防団活動支援システム10では、出動報告書を作成後、虚偽申告チェック機能を用いて、作成された出動報告書の内容の正確性をチェックするようになっている。本実施の形態に係る虚偽申告チェックは、(1)出動意思のチェック、(2)現場滞在のチェック、(3)権限ある所定の階級(例えば、消防団の副団長)以上の消防団員(以下、上長という)による認証チェック、により構成される。出動意思のチェックとは、消防団員が所定の事案に対して出動意思のある回答をしたか否かを確認することである。現場滞在のチェックとは、出動意思のある回答をした所定の事案に対して消防団員が実際に現場に出動したか否かを確認することである。上長によるチェックとは、消防団員が所定の事案に出動したとされる出動報告書の内容を上長が確認することである。消防団活動支援システム10では、このような3つの虚偽申告チェックが行われた後、作成された出動報告書が管轄の消防本部に提出されるようになっている。なお、この3つの虚偽申告チェックは、詳しくは後述するが、複数の消防団員を介した相互チェック又はデータに基づく客観性を有するシステムチェックとなっている。なお、消防団活動支援システム10における「出動報告書の提出」とは、広義には、消防職員が作成された出動報告書のデータを閲覧可能となることをいい、出動報告書のデータが消防本部に送信されることだけを意味するのではない。
【0022】
このように消防団活動支援システム10では、虚偽申告を防止するための複数のチェック項目を設け、これらの複数のチェックをクリアした出動報告書だけを消防本部に提出するので、消防団の活動報告の正確性が客観的に担保された活動報告書を提出することが可能となっている。
【0023】
<消防団活動支援装置の構成>
図4は、サーバ1の機能構成を示す概略図である。サーバ1は、例えば、ハードディスク等から構成され、消防活動に関するデータを記憶する記憶部11と、例えば、CPU及びメモリ等から構成され、記憶部11の制御や、各種データの転送、種々の演算、データの一時的な格納等を行うことにより、消防団活動支援システム10の各種処理を実行する制御部12と、通信ネットワーク3を介して情報端末2及び消防本部端末6とデータの送受信を行う通信部13と、を備えている。以下、サーバ1の記憶部11及び制御部12について詳しく説明する。
【0024】
・記憶部
記憶部11は、出動報告書作成・提出機能に関して、マスタデータベース(以下、マスタDBと略記する)111と、出動事案データベース(以下、出動事案DBと略記する)112と、出動報告書データベース(以下、出動報告書DBと略記する)113と、出動チェックデータベース(以下、出動チェックDBと略記する)114と、を具備する構成となっている。図5(a)は、マスタDB111に記憶されるデータの一例のデータ構成を示す模式図あり、図5(b)は、出動事案DB112に記憶されるデータのデータ構成を示す模式図であり、図5(c)は、出動報告書DB113に記憶されるデータのデータ構成を示す模式図あり、図5(d)は、出動チェックDB114に記憶されるデータのデータ構成を示す模式図である。
【0025】
マスタDB111は、消防団活動支援システム10のマスタ情報を記憶するデータベースである。具体的には、マスタDB111は、図5(a)に示すように、消防団を一意に識別可能な消防団IDと、消防団に関する属性情報(例えば、当道府県、市町村、消防団名(消防分団名)など)と、を対応付けた消防団マスタデータd111a、消防団に属する消防団員を一意に識別可能な団員IDと、消防団員に関する属性情報(例えば、メールアドレス、パスワード、電話番号、階級、所属歴、所属する消防団IDなど)、と、を対応付けた消防団員マスタデータd111b、消防団が出動する事案の種別を一意に識別可能な事案種別コードと、事案種別の名称を対応付けた事案種別マスタタデータd111c(例えば、図3参照)などを記憶している。なお、事案種別コードは、全国的に統一されたコード体系を採用してもよいし、地方自治体ごとに異なるコード体系を採用してもよい。
【0026】
また、図5(a)には図示しないが、これに加えて、消防本部に関するマスタ情報も備えている。例えば、消防本部に関するマスタ情報(消防本部を一意に識別可能な消防本部IDと、消防本部に関する属性情報を備えるマスタデータ)や消防職員に関するマスタ情報(消防職員を一意に識別可能な消防職員IDと、消防職員に関する属性情報を備えるマスタデータ)を備えていてもよい。また、図5(a)には図示しないが、消防団や消防団員、及び消防本部や消防職員の消防団活動支援システム10が管理するデータへのアクセス権限に関するマスタ情報を備えている。このアクセス権限に関するマスタ情報により、消防団(消防団員)が閲覧・削除・更新できるデータや消防本部(消防職員)が閲覧できるデータが設定されている。
【0027】
出動事案DB112は、発生した災害事案又は非災害事案を管理するデータベースである。具体的には、出動事案DB112は、図5(b)に示すように、事案を一意に識別可能な事案IDと、事案の種別を示す事案種別コード(例えば、図3参照)及び事案の位置・日時に関する情報を少なくとも備えた情報と、を対応付けた出動事案データd112を記憶している。ここで、事案の位置・日時に関する情報とは、例えば、災害事案の場合には、災害の発生場所(具体的には、災害の発生場所の緯度及び経度、住所、建物名など)、災害の覚知時刻(具体的には、災害が覚知された日時など)、災害からの撤収時刻(具体的には、消防団が災害から撤収した日時など)などの情報で構成され、例えば、非災害事案の場合には、非災害事案(以下、イベントという場合がある)の開催場所(具体的には、イベントが開催された場所の緯度及び経度、住所、建物名など)、イベントの開始時刻(具体的には、イベントが開始された日時など)、イベントの終了時刻(具体的には、イベントが終了した日時など)などの情報で構成される。
【0028】
出動事案データd112は、例えば、情報端末2(例えば、上長の情報端末2)を介した情報入力、消防本部端末6を介した情報入力、消防本部から受信した情報などに基づいて作成される。災害事案の場合、出動事案データd112は、災害事案の発生、消防団の現場への出動、現場での活動、現場からの撤収という一例の流れに伴い、該当する各種項目が逐次更新されていく。一方、非災害事案の場合、出動事案データd112は、イベントの開催予定の段階で一旦作成されるが、その後、変更が発生した場合(例えば、場所や日時の変更など)には、その都度、該当する各種項目が更新される。このように消防団活動支援システム10では、消防団の日々の活動に合わせて出動事案データd112が作成されるようになっている。
【0029】
出動報告書DB113は、出動報告書を管理するデータベースである。具体的には、出動報告書DB113は、図5(c)に示すように、出動報告書を一意に識別可能な報告書ID、事案ID、団員ID、作成者・認証者情報、報告内容、及び送信フラグを備えた出動報告書データd113を記憶している。つまり、出動報告書DB113は、事案及び消防団員ごとの活動内容である出動報告書データd113を記憶している。ここで、作成者・認証者情報は、当該出動報告書を作成した作成者に関する情報(例えば、作成者の団員IDなど)及び当該出動報告書を認証した認証者に関する情報(例えば、認証者の団員IDなど)である。報告内容は、詳しくは、出動した事案の事案種別コード、出動場所、出動日時(例えば、少なくとも開始時刻、終了日時を含む情報)、出動内容(事案種別コードでは表せない情報、例えば、より詳しい出動内容に関する情報)などにより構成される。送信フラグは、当該出動報告書を消防本部に提出したか否かを示すフラグである。具体的には、送信フラグには、提出されていないことを示す「未送信」と提出されたことを示す「送信済」が存在する。
【0030】
出動報告書データd113は、情報端末2を介した情報入力(例えば、手動作成機能の場合には、必要項目の入力、自動作成機能の場合には、該当する事案を選択した後の作成指示の入力)に基づいて作成される。本実施の形態では、所定の事案に対して出動した消防団員が該所定の事案に関する自らの出動報告書を作成すること、又は所定の階級(例えば、消防団の副団長)以上の消防団員が所定の事案に対して出動した消防団員全員の出動報告書をまとめて作成することにより、出動報告書データd113が作成されるようになっている。
【0031】
出動チェックDB114は、虚偽申告チェック機能による判定結果を記録するデータベースである。具体的には、出動チェックDB114は、団員ID、事案ID、及び出動判定情報を備えた出動チェックデータd114を記憶している。つまり、出動チェックDB114は、事案及び消防団員ごとに作成された出動報告書データd113の正当性を判断するデータベースである。ここで、出動判定情報は、詳しくは、出動意思の回答に基づく判定1と、現場滞在のチェックに基づく判定2と、上長の承認に基づく判定3と、を備える。判定1、判定2及び判定3には、それぞれ、肯定的な判定結果(つまり出動したとの判定結果)又は否定的な判定結果(つまり出動していないとの判定結果)に関する情報が設定される。
【0032】
出動チェックデータd114は、まず、後述する出動意思受付処理により、判定1の判定結果が反映され、次いで、後述する現場滞在確認処理により、判定2の判定結果が反映され、最後に、後述する上長承認処理により、判定3の判定結果が反映されるようになっている。
【0033】
・制御部
制御部12は、出動報告書作成・提出機能に関して、出動事案作成部121と、出動チェック部122と、出動報告書作成部123と、出動報告書提出部124と、を具備する構成である。
【0034】
出動事案作成部121は、消防団が出動した事案に基づいて、出動事案データd112を作成し、作成した出動事案データd112を出動事案DB112に記憶する。上述したように出動事案データd112には、災害事案に関する出動事案データd112と、非災害事案に関する出動事案データd112と、が存在する。
【0035】
出動チェック部122は、出動チェックに関する処理(具体的には、出動意思受付処理、現場滞在確認処理、上長認証処理)を実行して、各処理の判定結果を示す出動チェックデータd114を出動チェックDB114に反映(登録・更新)する。図6は、出動チェック部122が実行する処理の流れを示す図である。出動チェック部122は、図6に示すように、詳しくは、出動意思受付処理を実行する出動意思受付部125と、現場滞在確認処理を実行する現場滞在確認部126と、上長認証処理を実行する上長認証部127と、を備えている。
【0036】
まず、出動意思受付処理では、消防団員が所定の事案に対して出動意思ありの回答をすることにより、該当する事案の出動チェックデータd114の判定1に肯定的な判定が設定される(図6の工程1参照。例えば、事案Aに対して消防団員Xが出動意思ありの回答をした場合には、判定1に肯定的な判定結果が設定される)。
【0037】
図13は、所定の災害事案に対して、出動要請を受けた消防団員の情報端末2の画面例を示している。図13に示す情報端末2の画面において、表示された所定の災害事案に対して消防団員が「出動する」旨の回答を返信した場合(例えば、図13の返信ボタン201を押下することによりポップアップ表示される回答画面において「出動する」を選択した場合など)には、判定1に肯定的な判定結果が設定される。図14は、非火災事案の一覧を表示する情報端末2の画面例を示している。図14に示す情報端末2の画面において、表示された所定の事案に対して消防団員が参加する旨の回答をした場合(例えば、訓練の事案に対して「参加」のボタン202を押下したり、年末特別警戒の事案に対して「予定を追加」のボタン203を押下したりした場合など)には、判定1に肯定的な判定結果が設定される。このように、消防団員は、所定の事案に対して出動意思ありの回答を行うことにより、該消防団員の該所定の事案の出動チェックデータd114の判定1には肯定的な判定結果が設定されることとなる。
【0038】
次に、現場滞在確認処理では、消防団員が出動意思ありと回答をした所定の事案に対して実際に該所定の事案の現場に滞在したか否かの判定を行う。具体的には、出動意思ありの回答をした所定の事案に対して、消防団員が所定の事案の日時に現場にいたか否かを、消防団員が携行する情報端末2の位置(緯度・経度)に基づいて判定し、判定2に判定結果が設定される。
【0039】
例えば、災害事案の場合、災害事案の覚知時刻から撤収時刻までの間に、消防団員が災害事案の発生位置から所定の範囲内(例えば、災害の中心から500m以内など)に所定時間(例えば、災害の覚知時刻から撤収時刻までの時間の半分以上など)滞在したか否かを判定し、該当する事案の出動チェックデータd114の判定2に肯定的又は否定的な判定結果が設定される(図6の工程2参照。例えば、事案Aに対して消防団員Xが現場にいたと判定された場合、判定2に肯定的な判定結果が設定される)。また、例えば、非災害事案の場合も同様であり、イベントの開始時刻から終了時刻までの間に、消防団員がイベントの現場位置から所定の範囲内(例えば、非災害事案が開催される場所の中心から100m以内など)に所定時間(例えば、非災害事案の開始時刻から終了時刻までの時間の半分以上など)滞在したか否かを判定し、該当する事案の出動チェックデータd114の判定2に肯定的又は否定的な判定結果が設定される。
【0040】
より詳しくは、例えば、災害事案の場合であって、消防団員が所定の事案に対して出動意思ありと回答をした場合、情報端末2は、該所定の事案に関して該回答をしたときから撤収時刻までの間、適宜(例えば、所定の時間間隔で定期的に)、自装置の位置(例えば、情報端末2のGPS機能により取得された緯度・経度を含む位置)と時間(例えば、情報端末2のGPS機能により位置情報を取得した時刻)を対にした端末位置情報をサーバ1に送信するようになっている。なお、端末位置情報には、端末位置情報を送信した情報装置2を携行している消防団員の団員ID及び該所定の事案を示す事案IDも付加されている。サーバ1は、情報端末2から送信された端末位置情報を受信するたびに、受信した端末位置情報を、記憶部11の出動チェックデータd114を作成するためのワークエリアに記憶する。サーバ1は、災害事案の撤収後、ワークエリアに累積された複数の端末位置情報に基づいて、消防団員が災害事案の発生位置から所定の範囲内に所定時間滞在したか否かを判定する。
【0041】
なお、例えば、非災害事案の場合も、情報端末2が端末位置情報を送信する時間範囲が異なるだけで、その他の処理は同一である。非災害事案の場合であって、消防団員が所定の事案に対して出動意思ありと回答をした場合、情報端末2は、該所定の事案に関して非災害事案の開始時刻から終了時刻までの間、適宜(例えば、所定の時間間隔で定期的に)、自装置の位置(例えば、情報端末2のGPS機能により取得された緯度・経度を含む位置)と時間(例えば、情報端末2のGPS機能により位置情報を取得した時刻)を対にした端末位置情報をサーバ1に送信するようになっている。
【0042】
以上、本実施の形態の現場滞在確認処理では、情報端末2のGPS機能より取得された情報端末2の端末位置情報と、事案の位置及び日時情報と、に基づいて判定2の判定結果を下すようにしているが、これに加えて又は代えて、他の方法により判定2の判定結果を下すようにしてもよい。
【0043】
例えば、現場に同行した消防団員間で情報端末2による近距離無線通信(一例としては、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信など)を用いて現場滞在を証明してもよい。この場合、消防団員間において近距離無線通信が行われた場合、その通信ログ(例えば、どの消防団員とどの消防団員が近距離無線通信を行ったかを示すデータなど)を現場に滞在した証拠として、判定2の肯定的な判定結果に作用させるものである。勿論、この場合も通信ログは情報端末2からサーバ1に送信されるようになっている。
【0044】
また、例えば、現場において上長が当該事案を示す二次元コード(例えば、QRコード(登録商標)など)を、携行する情報端末2に発行して表示する一方、現場にいる消防団員の携行する情報端末2のカメラ(撮像装置)が表示された二次元コードを読み取ることにより、読み取った二次元コードを現場に滞在したことの証拠として、判定2の肯定的な判定結果に作用させてもよい。この場合も、読み取った二次元コードは情報端末2からサーバ1に送信されるようになっている。
【0045】
このように現場滞在確認処理では、現場における複数の消防団員間の情報端末2の近距離無線通信の有無、現場における複数の消防団員間での情報端末2を介した所定のデータのやりとりの有無などに基づいて、消防団員の現場滞在を確認するようにしてもよい。
【0046】
最後に、上長認証処理では、作成された出動報告書を上長が認証することにより、該当する事案の出動チェックデータd114の判定3に肯定的な判定が設定される(図6の工程3参照。例えば、上長が事案Aに対する消防団員Xの出動報告書を認証した場合、判定3に肯定的な判定結果が設定される)。
【0047】
図15は、所定の事案(例えば、巡回)に対して、上司認証をする場合の上司の情報端末2の画面例を示している。情報端末2の画面において、上長が「認証する」旨のボタンを押下した場合(例えば、図15の画面において「認証して送信する」のボタン204を押下した場合)には、該当する出動チェックデータd114の判定3に肯定的な判定結果が設定される。なお、図15では、所定の事案(例えば、巡回)に関する3人の消防団員の出動報告書に対して上司認証を行う場合を示している。このように同一の事案に対して出動した消防団員全員をまとめて上司認証することが可能となっている。また、対象となる消防団員全員を上司認証するだけでなく、一部の消防団員だけを上司認証することも可能となっている。
【0048】
また、本実施の形態の上司認証処理は、後述する出動報告書提出処理と同義となっている。つまり、上司認証処理を実行すると同時に出動報告書提出処理も実行されるようになっている。しかしながら、上司認証処理及び出動報告書提出処理の実行契機を別としてもよい。この場合には、上司認証処理と出動報告書提出処理は別々に実行されることとなる。
【0049】
本実施の形態では、原則として、判定1及び判定2のそれぞれに肯定的な判定結果が下された出動報告書に対して上司認証を行うことを一般的とするが(図15参照。「認証01」の表示は、判定1において肯定的な判定結果が下されたことを示し、「認証02」の表示は、判定2において肯定的な判定結果が下されたことを示している)、判定1又は判定2のいずれかに対して否定的な判定結果が下された出動報告書に対して行うようにしてもよい。例えば、消防団員が出動意思の回答をし忘れて現場に直行した場合、又は消防団員が現場に情報端末2を携行し忘れた場合若しくは消防団員の携行した情報端末2の電源がONになっていなかった場合などである。このような場合であっても、上長が現場において消防団員の存在を認めた場合には、該消防団員の出動意思や現場滞在の確認も含めて上司認証を行うようにしてもよい。このような場合、つまり、判定1又は判定2に対して否定的な判定結果が設定されている場合(あるいは出動判定情報に何も設定されていない、該当する出動チェックデータd114自体が存在しないなど)であっても、上司認証を行うことにより、判定1~3のすべてに対して肯定的な判定結果が設定されることとなる。
【0050】
図4に戻り、出動報告書作成部123は、出動報告書処理を実行して出動報告書データd113を作成し、作成した出動報告書データd113を出動報告書DB114に登録する。出動報告書処理には、手動作成機能による処理(以下、手動作成処理という)と自動作成機能による処理(以下、自動作成処理という)が存在する。
【0051】
出動報告書提出部124は、作成された出動報告書データd113に対して出動報告書提出処理を実行して消防本部に提出可能な状態のデータ(以下、提出用出動報告書データという)d113Aを作成する。
【0052】
図7は、出動報告書作成部123が実行する出動報告書処理から出動報告書提出部124が実行する出動報告書提出処理までの流れを模式的に説明する図である。なお、図7は、上長が自動作成処理により出動報告書を作成し、かつ上司認証する場合を示している。つまり、所定の事案を選択して出動報告書(自動作成処理)の作成指示を出した上長が内容を確認後、上司認証を行った場合を示している。勿論、これとは別に、一の上長が出動報告書(自動作成処理)を作成し、他の上長が認証するようにしてもよい。
【0053】
出動報告書処理(自動作成処理)では、所定の事案の出動事案データd112に基づいて、該所定の事案に対して出動意思ありを回答した消防団員それぞれの出動報告書データd113を作成する。例えば、図7に示すように、事案Aに対して消防団員Xが出動意思の回答をしていた場合、事案Aの出動事案データd112の内容に基づいて、事案Aにおける消防団員Xの出動報告書データd113を作成する。なお図示していないが、A以外の複数の消防団員が事案Aに対して出動意思ありの回答をしていた場合には、事案Aにおけるこれらの複数の消防団員それぞれの出動報告書データd113も同様に作成される。
【0054】
ここで、作成される出動報告書データd113の事案種別コードは、対応する出動事案データd112の事案種別コードが設定され、出動場所には、対応する出動事案データd112の災害の発生場所(災害事案の場合)又はイベントの開催場所(非災害事案の場合)が設定され、出動日時には、対応する出動事案データd112の災害の覚知時刻、災害の撤収時刻(災害事案の場合)又はイベントの開始時刻、イベントの終了時刻(非災害事案の場合)が設定される。つまり、出動報告書データd113の報告内容は、対応する出動事案データd112の内容をそのまま流用して作成される。また、作成者情報には、作成者である消防団員の団員IDが設定され、送信フラグは未送信が設定される。なお、自動作成処理では、情報端末2で作成される出動報告書の内容を確認することが可能であり、さらに詳細な情報を追加したい場合には、出動内容を追記することも可能である。
【0055】
次に、出動報告書提出処理では、出動報告書処理により作成された出動報告書データd113を上司が認証することにより、提出用出動報告書データd113Aを作成する。提出用出動報告書データd113Aとは、上司認証処理(図6の工程3参照)において肯定的な判定結果を受けた出動チェックデータd114に対応した出動報告書データd113であって、送信フラグが送信済のデータをいう。つまり、提出用出動報告書データの対象となるのは、対応する出動チェックデータ114の判定3に肯定的な判定結果が設定されている出動報告書データd113、正確には、対応する出動チェックデータ114の判定1、判定2及び判定3のすべてに肯定的な判定結果が設定されている出動報告書データd113(以下、送信対象(消防本部への提出対象)の出動報告書データd113という)である。出動報告書の客観的な正確性を担保するためである。このような送信対象の出動報告書データd113に対して、上長が提出指示をすることにより、送信対象の出動報告書データd113の送信フラグは送信済が設定されて、提出用出動報告書データd113Aとなる。
【0056】
送信フラグが送信済の提出用出動報告書データd113Aは、当該事案に関係する消防団(消防団員)だけでなく、管轄の消防本部(消防職員)が閲覧可能なデータである。そのため、消防職員は、消防本部端末6を介して提出用出動報告書データd113を閲覧することができる。なお、本実施の形態の出動報告書提出処理では、消防団活動支援システム10内における出動報告書データd113のフラグを変更することにより、消防団だけでなく消防本部も閲覧可能な提出用出動報告書データd113Aを作成したが、これに加えて又は代えて、提出用出動報告書データd113Aを実際に消防本部端末6に送信してもよい。例えば、消防本部のコンピュータ4に送信することにより、消防本部内の情報処理システムにおいて閲覧可能としてもよい。
【0057】
このように本実施の形態では、図7(出動報告書処理の部分)及び図15(例えば、「認証して送信」のボタン204)に示すように、出動報告書提出処理は、上司認証処理を兼ねているので、上長の出動報告に関する作業をより軽減化している。しかしながら、出動報告書提出処理と上司認証処理をそれぞれ別の契機に実行するようにしてもよい。この場合、出動報告書提出処理を実行する上長と上司認証処理を実行する上長は同一の消防団員としてもよいし、異なる消防団員としてもよい。
【0058】
・その他
なお、サーバ1は、上述したようなアプリケーションサーバ、データベースサーバ、及びWeb(World Wide Web)サーバとしての機能を有しており、情報端末2や消防本部端末6と種々の情報授受ができるようになっている。さらに、サーバ1は、物理的に一つからなる装置の他、複数の装置がネットワーク接続されたシステムから構成されてもよく、複数の装置で構成された場合には、同一の場所にすべてが設置されていてもよいし、複数の場所に分散して設置されていてもよい。
【0059】
また、サーバ1の各種処理を実行するプログラムは、上述したメモリなどの主記憶装置やハードディスクなどの補助記憶装置に格納されているものである。そして、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標)Disc)などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録することも、通信ネットワーク3を介して配信することも可能である。
【0060】
<情報端末の構成>
図8は、情報端末2の機能構成図である。以下、一例としてスマートフォンを情報端末2として用いた場合について説明する。
【0061】
情報端末2は、図8に示すように、記憶部21と、UI(User Interface)部22と、制御部23と、通信部24と、を具備する構成である。
【0062】
記憶部21は、例えば、フラッシュメモリ等から構成され、制御部23が制御に用いるデータやプログラムなどを記憶するようになっている。本実施の形態の記憶部21には、消防団活動支援システム10の種々の処理を実行するための情報端末側のアプリケーションプログラムAPがインストールされている。
【0063】
UI部22は、情報端末2の入力部及び出力部を兼ねるものであり、消防団員からの入力操作を受け付けるとともに、入力操作に応じて制御部23にて処理された結果を出力するようになっている。例えば、表示画面を兼ねたタッチパネル、マイク、スピーカ、カメラなどで構成されている。本実施の形態では、表示画面に所定の二次元コードを表示すること(例えば、上長が災害事案の現場において、該災害事案を示すQRコード(登録商標)を表示するなど)、カメラを用いて表示画面に表示された所定の二次元コードを読み取ること(例えば、消防団員が災害事案の現場において、該災害事案を示すQRコード(登録商標)を読み取るなど)が可能となっている。
【0064】
制御部23は、例えば、CPU及びメモリ等から構成され、記憶部21の制御や、各種データの転送、種々の演算、データの一時的な格納等を行うことにより、消防団活動支援システム10の情報端末2側の機能(消防団活動支援機能f23という)を実現している。消防団活動支援機能f23は、アプリケーションプログラムAPの実行により実現される。
【0065】
通信部24は、通信ネットワーク3を介してサーバ1及び他の情報端末2とデータの送受信を行うようになっている。また、通信部24は、GPS機能を備えている。つまり、通信部24は、自装置の位置を取得可能な位置取得機能f24を備えている。これにより、消防団活動支援システム10では、情報端末2を携行する消防団員の位置を把握可能となっている。また、通信部24は、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fiに代表される近距離無線通信の機能を備えている。
【0066】
なお、上述した図13図15は、アプリケーションプログラムAPの機能による情報端末2の画面を示したが、これとは別に情報端末2はブラウザソフトを介して消防団活動支援システム10を利用することも可能である。
【0067】
<消防団活動支援システムの動作>
次に、図9図12を用いて、本実施の形態に係る消防団活動支援システム10の出動報告書作成・提出機能に関連する動作について説明する。
【0068】
・災害事案における出動意思受付処理及び現場滞在確認処理
図9は、災害事案における出動意思受付処理及び現場滞在確認処理の流れを示すシーケンス図である。
【0069】
所定の災害事案が発生した場合、サーバ1は、出動対象となる消防団に対して出動要請を行う(ステップS10)。例えば、サーバ1は、所定の階級(例えば、消防団の副団長)以上の消防団員の情報端末2又は消防本部端末6からの指示に基づいて、出動対象となる消防団の消防団員の情報端末2に出動指令を送信する。
【0070】
これにより、情報端末2において出動指令を受信した消防団員が出動する又は出動しない旨の回答をした場合(例えば、図13参照)、情報端末2は、出動する又は出動しない旨の回答をサーバ1に送信する(ステップS20、S30)。
【0071】
サーバ1は、出動指令に対する回答を受信すると(ステップS70)、出動意思(出動する又は出動しない)の回答から出動チェックデータd114を作成し、作成した出動チェックデータd114を出動チェックDBに登録する(ステップS80)。詳しくは、サーバ1は、回答をした消防団員の団員ID及び該所定の災害事案の事案IDに基づいて、出動するとの回答に対しては判定1に肯定的な判定結果を設定し、又は出動しないとの回答に対して否定的な判定結果を設定した出動チェックデータd114を出動チェックDBに記憶させる。
【0072】
なお、本実施の形態では、受信した回答に基づいて出動チェックデータd114を作成するようにしているが、回答がない場合であっても、判定1に否定的な判定結果を設定した出動チェックデータd114をデフォルトとして作成するようにしてもよい。また、所定の事案の出動事案データd112が作成された際に、対象となる消防団員(例えば、住所など所在地の所定のアルゴリズムに基づいて判定された消防団員)の出動チェックデータd114(出動判定情報には何ら情報は設定されていない)を作成するようにし、出動意思(出動する又は出動しない)の回答をもって判定1に判定結果を設定するようにしてもよい。
【0073】
情報端末2が出動する旨の回答をサーバ1に送信した場合(ステップS40:YES)、情報端末2は、以後、消防団が所定の災害事案の現場から撤収するまでの間、所定の時間間隔で情報端末2の位置を取得し、取得した位置を時刻(位置を取得した日時)と対応付けた端末位置情報としてサーバ1に送信する(ステップS50,S60:NO)。なお、図9には図示されていないが、消防団が出動した所定の災害事案の現場から撤収する場合には、サーバ1は、情報端末2に対して撤収の指示を送信するので、この撤収の指示に基づいて、情報端末2は、端末位置情報をサーバ1に送信することを終了する。
【0074】
一方、サーバ1は、情報端末2から出動する旨の回答を受信した場合には(ステップS90:YES)、以後、消防団が出動した所定の災害事案の現場から撤収するまでの間、所定の時間間隔で受信した端末位置情報を記憶部11に記憶する(ステップS100、S110:NO)。
【0075】
次に、サーバ1は、消防団が出動した所定の災害事案の現場から撤収すると(ステップS110:YES)、適宜、時系列に記憶した端末位置情報に基づいて現場滞在の有無をチェックする現場滞在確認処理を実行し(ステップS120)、現場滞在確認処理の判定結果を示す出動チェックデータd114を出動チェックDB114に記憶する(ステップS130)。詳しくは、サーバ1は、現場滞在確認処理により、現場に滞在していたと判定した場合には、該当する出動チェックデータd114の判定2に肯定的な判定結果を設定して出動チェックDB114に記憶させ、現場に滞在していないと判定した場合には、該当する出動チェックデータd114の判定2に否定的な判定結果を設定して出動チェックDB114に記憶させる。
【0076】
このように本実施の形態に係る、災害事案における出動意思受付処理及び現場滞在確認処理によれば、消防団員が所定の災害事案に対して出動すると回答することに基づいて、当該消防団員が実際に現場に出動したか否かの判定を行うようになっているので、現場滞在確認処理を効率的に実行することができ、処理の無駄を省くことができる。また、消防団員の主観的な出動意思を該消防団員が携行する情報端末2の端末位置情報に基づいてサーバ1が客観的に判断するので、出動の正確性を担保することができる。
【0077】
・非災害事案における出動意思受付処理及び現場滞在確認処理
図10は、非災害事案における出動意思受付処理及び現場滞在確認処理の流れを示すシーケンス図である。なお、図10は、消防団員が情報端末2において、非災害事案(例えば、訓練、広報・指導、特別警戒などのイベント)のスケジュール一覧を表示して、所定のイベントに参加する旨の回答を行った場合を示している。
【0078】
消防団員が情報端末2において、初期メニューから「スケジュール選択」を行った場合(ステップS210)、情報端末2は、サーバ1に対してイベントのスケジュール送信指示を送信する。これにより、サーバ1は、各種イベントのスケジュールを送信するので(ステップS220)、情報端末2は、各種イベントのスケジュールを受信し、各種イベントのスケジュール一覧を表示する(ステップS230)。
【0079】
スケジュール一覧が表示された情報端末2において消防団員が所定のイベントに参加する旨の回答をした場合(例えば、図14参照)、情報端末2は、該所定のイベントに参加する旨の回答をサーバ1に送信する(ステップ240)。サーバ1は、所定のイベントに参加する旨の回答を受信すると(ステップS250)、該回答に基づいて出動チェックデータd114を作成し、出動チェックDB114に登録する(ステップS260)。詳しくは、サーバ1は、参加回答をした消防団員の団員ID及び該所定のイベントの事案IDに基づいて、判定1に肯定的な判定結果を設定した出動チェックデータd114を作成し、作成した出動チェックデータd114を出動チェックDB114に登録する。
なお、災害事案の場合と同様に、所定の出動事案データd112が作成された際に、対象となる消防団員(例えば、住所など所在地の所定のアルゴリズムに基づいて判定)の出動チェックデータd114(出動判定情報には何ら情報は設定されていない)を作成するようにし、出動意思(参加する)の回答をもって判定1に判定結果を設定するようにしてもよい。
【0080】
情報端末2が所定のイベントに参加する旨の回答をした後、情報端末2は、該所定のイベントの開始日時から終了日時までの間、所定の時間間隔で情報端末2の位置を取得し、取得した位置を時刻(位置を取得した日時)と対応付けた端末位置情報としてサーバ1に送信する(ステップS270:YES、ステップS280、ステップS290:NO)。なお、図10には図示されていないが、所定のイベントの開始日時及び終了日時は、出動事案データd112として出動事案DB112において管理されているので、該当する開始日時及び終了日時になるとサーバ1は、情報端末2に対して端末位置情報の取得開始の指示及び端末位置情報の取得終了の指示を送信する。この指示に基づいて、情報端末2は、端末位置情報の送信開始及び送信終了を判断する。
【0081】
一方、サーバ1は、消防団員が参加した所定のイベントの終了日時までの間、所定の時間間隔で受信した端末位置情報を記憶部11に記憶する(ステップS300、S310:NO)。
【0082】
次に、サーバ1は、消防団員が参加した所定のイベントの終了日時になると(ステップS310:YES)、適宜、時系列に記憶した端末位置情報に基づいて現場滞在の有無をチェックする現場滞在確認処理を実行し(ステップS320)、現場滞在確認処理の判定結果を示す出動チェックデータd114を出動チェックDB114に記憶する(ステップS330)。詳しくは、サーバ1は、現場滞在確認処理により、現場に滞在していたと判定した場合には、該当する出動チェックデータd114の判定2に肯定的な判定結果を設定して出動チェックDB114に記憶させ、現場に滞在していないと判定した場合には、該当する出動チェックデータd114の判定2に否定的な判定結果を設定して出動チェックDB114に記憶させる。
【0083】
このように本実施の形態に係る、非災害事案における出動意思受付処理及び現場滞在確認処理によれば、消防団員が所定のイベントに対して参加すると回答することに基づいて、当該消防団員が実際に現場に出動したか否かの判定を行うので、現場滞在確認処理を効率的に実行することができ、処理の無駄を省くことができる。また、消防団員の主観的な参加意思を該消防団員が携行する情報端末2の端末位置情報に基づいてサーバ1が客観的に判断するので、出動の正確性を担保することができる。
【0084】
・出動報告書作成処理
図11は、出動報告書作成処理の流れを示すシーケンス図である。なお、図11は、消防団員が情報端末2において、出動報告書の作成指示を行い、出動報告書を作成した場合を示している。
【0085】
消防団員が情報端末2において、初期メニューから「出動報告書作成」を選択した場合、情報端末2は、出動報告書の作成選択指示(以下、作成選択指示と略記する)をサーバ1に送信する(ステップS310)。作成選択指示を受信したサーバ1は、出動報告書作成のための画面(以下、出動報告書作成画面という)を情報端末2に送信する(ステップS320)。この結果、情報端末2には出動報告書作成画面が表示される(ステップS330)。
【0086】
消防団員は、出動報告書作成画面が表示された情報端末2において所定の事案(災害事案又は非災害事案)を選択し(ステップS340)、自動作成機能を利用して出動報告書を作成するか、手動作成機能を利用して出動報告書を作成するかの選択を行う(ステップS350)。この結果、情報端末2は、以下の処理を実行する。
【0087】
(1)自動作成機能を利用する場合(ステップS350:自動)には、情報端末2は、選択した所定の事案の出動報告書の各項目(例えば、出動報告書の作成者、事案の種別、日時、現場に関する情報、出動した消防団員の情報など)が既に設定されている画面を表示するので、消防団員はこの設定されている報告内容を確認した後、出動報告書作成の指示を行う(ステップS360)。勿論、報告内容の修正・追加も可能であり、その場合には、項目の修正又は追加をした後、出動報告書の作成指示を行う。なお、図11には図示していないが、ステップS340において所定の事案が選択された場合(ステップS340)、情報端末2は、選択された事案を一意に特定可能な事案情報(例えば、事案ID)をサーバ1に送信し、サーバ1は、受信した事案情報に基づいて対応する出動事案データd112を情報端末2に送信している。
【0088】
一方、(2)手動作成機能を利用する場合(ステップS350:手動)には、消防団員は、情報端末2において、選択した所定の事案の出動報告書の各項目(例えば、出動報告書の作成者、事案の種別、日時、現場に関する情報、出動した消防団員の情報など)を入力し、出動報告書の作成指示を行う(ステップS370)。ステップS360又はステップS370の出動報告書の作成指示により、情報端末2は、選択した所定の事案の出動報告書の各項目が設定された出動報告書のデータをサーバ1に送信する。
【0089】
サーバ1は、情報端末2から出動報告書のデータを受信した場合、設定された報告内容にて出動報告書データd113を作成し、作成した出動報告書データd113を出動報告書DB113に登録する(ステップS380)。詳しくは、サーバ1は、選択された事案の事案ID及び設定された消防団員の団員IDに基づいて、作成者情報、報告内容(事案種別コード、出動場所、出動日時、出動内容など)、送信フラグ「未送信」が設定された出動報告書データd113を作成し、作成した出動報告書データd113を出動報告書DB113に登録する。
このように本実施の形態に係る、出動報告書作成処理によれば、所定の事案が完了した後、情報端末2を用いて出動報告書を作成することができるので、容易に出動報告書を作成することができる。特に自動作成機能を利用した場合には、必要項目の入力をすることなく内容を確認するだけで出動報告書を作成することができるので、出動報告書の作成労力を大幅に軽減することができる。
【0090】
・出動報告書提出処理(上長承認処理)
図12は、出動報告書提出処理の流れを示すシーケンス図である。本実施の形態では、上述したように、出動報告書提出処理は上長承認処理を含んで構成されている。なお、図12は、上長が情報端末2において、所定の事案を選択し(既に出動報告書が作成されている事案)、選択された事案の出動報告書の上長承認及び提出の指示(以下、出動報告書提出指示と略記する)を行い、出動報告書を提出した場合を示している。出動報告書は、上述したように事案及び消防団員ごとに作成されるため、図12に示すように事案単位でなく、作成された出動報告書単位に出動報告書提出処理を実行することも可能である。
【0091】
上長が情報端末2において、所定の画面(例えば、出動報告書を検索する画面)から「出動報告書提出」を選択した場合、情報端末2は、出動報告書提出の選択指示(以下、提出選択指示と略記する)をサーバ1に送信する(ステップS410)。提出選択指示を受信したサーバ1は、出動報告書提出のための画面(以下、提出用画面という)を情報端末2に送信する(ステップS420)。この結果、情報端末2には提出用画面が表示される(ステップS430)。なお、提出用画面には、出動報告書が既に作成された事案であって、当該上長が上司認証可能な事案の一覧が表示されている。
【0092】
上長が情報端末2において、提出の対象となる事案を選択した場合、情報端末2は、選択した事案を一意に特定可能な事案情報(例えば、事案ID)をサーバ1に送信する(ステップS440)。サーバ1は、受信した事案情報に基づいて、該当する出動報告書データd113及び出動チェックデータd114を出動報告書DB113及び出動チェックDB114から抽出し、抽出した出動報告書データd113及び出動チェックデータd114を情報端末2に送信する(ステップS450)。この結果、情報端末2には、選択された事案の出動報告書データd113及び出動チェックデータd114に基づく報告内容が表示される。例えば、図15に示したように、一の事案に対して複数の消防団員が出動し、一の消防団員が出動した複数の消防団員の出動報告書をまとめて作成した場合には、事案の内容とともに各消防団員の出動チェックの情報も含んだ報告内容が表示される(図15参照)。
【0093】
次に、上長が情報端末2において、表示された事案の報告内容を上長認証し、作成された出動報告書を消防本部に提出する旨の指示(例えば、図15に示すボタン204の押下)を行った場合には、情報端末2は、出動報告書提出指示をサーバ1に送信する(ステップS460)。
【0094】
サーバ1は、情報端末2から出動報告書提出指示を受信した場合、上長認証処理を実行し、上長認証処理の判定結果を示す出動チェックデータd114を出動チェックDB114に記憶する(ステップS470)。詳しくは、サーバ1は、上長認証処理により、出動報告書提出指示に基づき上長に認証されたと判定した場合には、該当する出動チェックデータd114の判定3に肯定的な判定結果を設定して出動チェックDB114に記憶させる。
【0095】
次に、サーバ1は、ステップS470において上長認証された事案の出動報告書データd113を提出用出動報告書データd113Aとして出動報告書DB113に記憶する(ステップS470)。詳しくは、サーバ1は、上長認証された事案の出動報告書データd113の送信フラグを送信済に設定して、提出用出動報告書データd113Aを作成し、作成した提出用出動報告書データd113Aを出動報告書DB114に記憶させる。
【0096】
このように本実施の形態に係る、出動報告書提出処理によれば、上長認証を最終的なチェックとして出動報告書の内容検証を行うので、虚偽申告が排除された出動報告書を消防本部に提出することができる。
【0097】
以上、本実施の形態の消防団活動支援システム10によれば、消防団活動支援システム10が管理するデータ及び情報端末2を用いることにより、出動報告書を容易に作成することができるので、消防団の出動報告書の作成に関する作業を軽減化することができる。また、消防団活動支援システム10によれば、消防団員が携行する情報端末2の機能に基づいて出動行為の正確性が判断されるので、虚偽申告を排除でき正確な出動報告書を提出することができる。さらには、上長による認証も加味されるので、例えば、情報端末2を携行し忘れた場合、情報端末2に不具合があった場合など情報端末2の機能を利用できなかった場合であっても、正確な出動報告書を提出することができる。
【0098】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができ、そのような変形や変更を伴うものもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0099】
1 消防団活動支援装置(サーバ)
2,5 情報端末
3 通信ネットワーク
4 消防本部のコンピュータ
6 消防本部端末
10 消防団活動支援システム
11,21 記憶部
12,23 制御部
13,24 通信部
22 UI部
111 マスタDB
112 出動事案DB
113 出動報告書DB
114 出動チェックDB
121 出動事案作成部
122 出動チェック部
123 出動報告書作成部
124 出動報告書提出部
125 出動意思受付部
126 現場滞在確認部
127 上長承認部
図1
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