(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011245
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】SA-β-gal発現抑制剤、オートファジー誘導剤、及び抗老化用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20230117BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q19/08 ZNA
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114992
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504174180
【氏名又は名称】国立大学法人高知大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 弘恭
(72)【発明者】
【氏名】難波 卓司
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC642
4C083AC712
4C083AC772
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD282
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD512
4C083AD532
4C083AD662
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC32
4C083CC38
4C083DD31
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】優れたSA-β-gal発現抑制作用を有し、かつ安全性が高いSA-β-gal発現抑制剤、優れたオートファジー誘導作用を有し、かつ安全性が高いオートファジー誘導剤、及び優れた抗老化作用を有し、かつ安全性が高い抗老化用組成物の提供。
【解決手段】ハス胚芽抽出物を含有する、SA-β-gal発現抑制剤、又はオートファジー誘導剤、並びに前記SA-β-gal発現抑制剤及びオートファジー誘導剤の少なくともいずれかを含有する抗老化用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハス胚芽抽出物を含有することを特徴とするSA-β-gal(senescence-associated beta-galactosidase)発現抑制剤。
【請求項2】
ハス胚芽抽出物を含有することを特徴とするオートファジー誘導剤。
【請求項3】
請求項1に記載のSA-β-gal発現抑制剤及び請求項2に記載のオートファジー誘導剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする抗老化用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SA-β-gal発現抑制剤、オートファジー誘導剤、及び抗老化用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の消費者の健康に対する意識の高まりから、化粧品や飲食品などに利用できる優れた天然物由来の機能性素材の探索・開発が鋭意行われている。
【0003】
例えば、従来の保湿剤になり変わるものとして、エストロゲン作用やコラーゲン産生の促進作用並びに線維芽細胞増殖作用を有するハス胚芽抽出物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、オートファジーを誘導する作用を有する成分として、ハスの胚芽から単離された成分であるネフェリンが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、ハス花抽出物を有効成分とするマイトファジー活性化剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
上述したように、これまでに様々な研究がなされている。しかしながら、優れた機能を有し、かつ安全性が高く、そのため、化粧料、飲食品、研究用試薬などの成分として広く利用が可能な新たな素材に対する要望は依然として強く、その速やかな開発が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-029980号公報
【特許文献2】特開2017-178920号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J.-S. Yoon et al.、 Phytomedicine、20(2013)、1013-1022
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れたSA-β-gal(senescence-associated beta-galactosidase)発現抑制作用を有し、かつ安全性が高いSA-β-gal発現抑制剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れたオートファジー誘導作用を有し、かつ安全性が高いオートファジー誘導剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性が高い抗老化用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ハス胚芽抽出物が非常に優れたSA-β-gal発現抑制作用及びオートファジー誘導作用を有すること、また、SA-β-gal発現抑制作用はオートファジー誘導作用に依存していることを知見し、本発明を完成したものである。
【0011】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ハス胚芽抽出物を含有することを特徴とするSA-β-gal発現抑制剤である。
<2> ハス胚芽抽出物を含有することを特徴とするオートファジー誘導剤である。
<3> 前記<1>に記載のSA-β-gal発現抑制剤及び前記<2>に記載のオートファジー誘導剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする抗老化用組成物である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のSA-β-gal発現抑制剤によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れたSA-β-gal発現抑制作用を有し、安全性の高いSA-β-gal発現抑制剤を提供することができる。
本発明のオートファジー誘導剤によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れたオートファジー誘導作用を有し、安全性の高いオートファジー誘導剤を提供することができる。
本発明の抗老化用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた抗老化作用を有し、安全性の高い抗老化用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、試験例1の培養後の細胞を固定液で固定して染色を行った結果を示す図である。
【
図2】
図2は、試験例3の培養後の細胞を固定液で固定して染色を行った結果を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、試験例4のオートファジー誘導作用試験の結果を示す図-1である。
【
図3B】
図3Bは、試験例4のオートファジー誘導作用試験の結果を示す図-2である。
【
図4A】
図4Aは、試験例5のATG7等の発現を測定した結果を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、試験例5の培養後の細胞を固定液で固定して染色を行った結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(SA-β-gal発現抑制剤及びオートファジー誘導剤)
本発明のSA-β-gal発現抑制剤及びオートファジー誘導剤は、ハス胚芽抽出物を有効成分として含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0015】
前記ハス胚芽抽出物が含有するSA-β-gal発現抑制作用を発揮する物質の詳細については不明であるが、前記ハス胚芽抽出物がこのような優れた作用を有し、SA-β-gal発現抑制剤として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
【0016】
上述したように、ハス胚芽に含まれる成分であるネフェリンがオートファジー誘導作用を有することは知られている。しかし、後述する実施例の項目で示すように、ハス胚芽抽出物は、ネフェリンと比べて強いオートファジー誘導作用を有する。このような前記ハス胚芽抽出物がネフェリンと比べて強いオートファジー誘導作用を発揮する詳細については不明であるが、前記ハス胚芽抽出物がこのような優れた作用を有し、オートファジー誘導剤(「オートファジー活性化剤」と称することもある。)として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。なお、前記ハス胚芽抽出物は、後述する実施例の項目で示すように、オートファジー誘導作用を有するものの、マイトファジー誘導作用は有さない。
【0017】
<ハス胚芽抽出物>
前記ハス(学名:Nelumbo nucifera Gaertn.)は、熱帯アジア原産のスイレン科ハス属に属する多年性水生植物である。ハスは日本では地下茎の部分が蓮根として食されており、安全性の高い植物である。ハスは、ヨーロッパ東南部、オーストラリア北部、アジア東部などに分布しており、また池や水田、堀等に栽培され、これらの地域から容易に入手することができる。
【0018】
前記ハス胚芽抽出物は、抽出原料として使用する胚芽から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0019】
前記ハスの抽出原料として使用するハスの構成部位は、胚芽である。ハスの胚芽とは、ハスの種子の中にある緑色で棒状の胚芽のことである。
前記抽出原料として用いる胚芽の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0020】
前記ハスの抽出原料の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、胚芽を乾燥させた後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕する方法などが挙げられる。前記乾燥させたものをそのまま又は粉砕したものを溶媒抽出に供することができる。前記乾燥は、天日で行ってもよいし、通常使用されている乾燥機を用いて行ってもよい。
【0021】
前記ハス胚芽抽出物は、植物の抽出に一般に用いられる方法により容易に得ることができる。前記ハス胚芽抽出物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抽出液そのもの、抽出液の希釈液、抽出液の濃縮液、これらの乾燥物、粗精製物、精製物などが挙げられる。
【0022】
前記抽出の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温又は還流加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出する方法などが挙げられ、より具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料である前記ハスの胚芽を投入し、必要に応じて適宜撹拌しながら、例えば、30分間~4時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことにより抽出液を得る方法などが挙げられる。前記抽出液は、更に、抽出溶媒を留去し、乾燥してもよい。
また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0023】
前記ハス胚芽の抽出における条件(抽出時間及び抽出温度)、抽出溶媒及び抽出溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0024】
前記抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性溶媒、又は水と親水性溶媒との混合溶媒などが挙げられる。
【0025】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水などの他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。なお、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。前記水は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記親水性溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記混合溶媒における前記水に対する前記親水性溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低級アルコールを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~90容量部、低級脂肪族ケトンを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~40容量部、多価アルコールを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~90容量部添加することが好ましい。
【0028】
前記抽出溶媒の中でも、より優れた作用を有するハス胚芽抽出物を得やすい点で、50容量%エタノールが好ましい。
【0029】
前記抽出溶媒の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
【0030】
得られた前記ハス胚芽抽出物は、前記ハス胚芽抽出物の希釈物、濃縮物、乾燥物、粗精製物、精製物などを得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製などの処理を施してもよい。
【0031】
前記ハス胚芽抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理などの精製方法が挙げられる。前記精製方法により精製することで、有効成分の濃度を高めたり、不要物を除去したりすることができる。
【0032】
得られた前記ハス胚芽抽出物は、そのままでも前記SA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤として使用することができるが、利用しやすい点で、前記濃縮液、前記乾燥物が好ましい。前記乾燥物を得るに当たって、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリンなどのキャリアーを加えてもよい。
【0033】
前記ハス胚芽抽出物の前記SA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤における含有量としては、特に制限はなく、前記抽出物の生理活性等によって適宜調整することができる。前記SA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤は、前記ハス胚芽抽出物のみからなるものであってもよい。
【0034】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、前記SA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料、美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、皮膚栄養剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記その他の成分の前記SA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0036】
<用途>
前記SA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化粧品、医薬品、医薬部外品、飲食品などが挙げられる。
前記SA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤は、優れたSA-β-gal発現抑制及びオートファジー誘導作用の少なくともいずれかを有し、安全性が高いので、例えば、抗老化用組成物の有効成分として好適に用いることができる。
【0037】
本発明のSA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
【0038】
前記SA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外用、経口、非経口などの用法が挙げられる。
【0039】
前記SA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、美容液、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、ファンデーション、入浴剤、石鹸、ボディーソープ、アストリンゼント、ヘアトニック、ヘアローション、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ポマード、シャンプー、リンス、コンディショナー等の外用剤;錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤等の経口投与剤;注射剤、点滴剤、坐剤等の非経口投与剤などが挙げられる。
前記各剤型のSA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【0040】
前記SA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤の使用量、使用期間等の使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0041】
また、本発明のSA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤は、SA-β-gal発現抑制作用又はオートファジー誘導作用の作用機構に関する研究のための試薬としても用いることができる。
【0042】
上述したように、本発明のSA-β-gal発現抑制剤は優れたSA-β-gal発現抑制作用を有する。
したがって、本発明は、個体に前記SA-β-gal発現抑制剤を投与することを特徴とするSA-β-gal発現抑制方法にも関する。
【0043】
また、上述したように、本発明のオートファジー誘導剤は優れたオートファジー誘導作用を有する。
したがって、本発明は、個体に前記オートファジー誘導剤を投与することを特徴とするオートファジー誘導方法にも関する。
【0044】
(抗老化用組成物)
本発明の抗老化用組成物は、本発明のSA-β-gal発現抑制剤及びオートファジー誘導剤の少なくともいずれかを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0045】
<SA-β-gal発現抑制剤及びオートファジー誘導剤>
前記SA-β-gal発現抑制剤及びオートファジー誘導剤は、上述した本発明のSA-β-gal発現抑制剤及びオートファジー誘導剤である。
【0046】
前記抗老化用組成物における前記SA-β-gal発現抑制剤及びオートファジー誘導剤の含有量としては、特に制限はなく、前記抗老化用組成物の形態や前記ハス胚芽抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、前記ハス胚芽抽出物に換算して、0.0001質量%~20質量%が好ましく、0.0001質量%~10質量%がより好ましい。前記抗老化用組成物は、SA-β-gal発現抑制剤又はオートファジー誘導剤のみからなるものであってもよい。
【0047】
<その他の成分>
前記抗老化用組成物におけるその他の成分としては、特に制限はなく、前記抗老化用組成物の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したSA-β-gal発現抑制剤及びオートファジー誘導剤の項目に記載したその他の成分と同様のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
前記その他の成分の前記抗老化用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0049】
<態様>
前記抗老化用組成物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化粧品、医薬品、医薬部外品、飲食品などが挙げられる。
本発明の抗老化用組成物は、日常的に使用することが可能であり、有効成分であるハス胚芽抽出物の働きによって、抗老化作用をはじめとする様々な生理活性作用を極めて効果的に発揮させることができる。
【0050】
本発明の抗老化用組成物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
【0051】
前記本発明の抗老化用組成物の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外用、経口、非経口などの用法が挙げられる。
【0052】
前記経口用の組成物としては、例えば、上述した経口投与剤や飲食品が挙げられる。ここで、飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではない。したがって、前記飲食品は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を構成する飲食品を幅広く含むものを意味する。
【0053】
前記経口用の組成物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;サラダ、漬物等の惣菜;種々の形態の健康・美容・栄養補助食品;錠剤、顆粒剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ、うがい薬等の医薬品、医薬部外品;口中清涼剤、口臭防止剤等の口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤などが挙げられる。
【0054】
前記経口用以外の組成物としては、例えば、上述した非経口投与剤、外用剤が挙げられる。より具体的には、例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、美容液、ローション、ジェル、美容オイル、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、ファンデーション、入浴剤、石鹸、ボディーソープ、アストリンゼント、ヘアトニック、ヘアローション、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ポマード、シャンプー、リンス、コンディショナーなどは皮膚外用剤として用いることができる。
【0055】
前記抗老化用組成物の製造方法としては、特に制限はなく、前記抗老化用組成物の利用形態などに応じて適宜選択することができる。
【0056】
前記抗老化用組成物の使用量、使用期間等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0057】
前記ハス胚芽抽出物が有する抗老化作用は、例えば、SA-β-gal発現抑制、オートファジー誘導作用によって発揮される。そのため、前記抗老化用組成物は、SA-β-gal発現抑制及びオートファジー誘導作用の少なくともいずれかを有することが好ましい。また、前記抗老化用組成物は、マイトファジーを除くオートファジーの誘導作用を介したSA-β-gal発現抑制作用を有することが好ましい。なお、前記ハス胚芽抽出物が有する抗老化作用は、上記した作用に基づいて発揮される抗老化作用以外のものが含まれていてもよい。
【0058】
また、本発明の抗老化用組成物は、抗老化作用の作用機構に関する研究のための試薬としても用いることができる。
【0059】
上述したように、本発明の抗老化用組成物は優れた抗老化作用を有する。
したがって、本発明は、個体に前記抗老化用組成物を投与することを特徴とする抗老化方法にも関する。
【実施例0060】
以下、本発明の製造例、試験例、配合例を説明するが、本発明は、これらの製造例、試験例、配合例に何ら限定されるものではない。
【0061】
(製造例1)
ハス胚芽抽出物を以下のようにして製造した。
ハスの胚芽の乾燥物100gに50容量%エタノール1,500mLを加えて、80~90℃にて2時間還流抽出を行い、熱時濾過した。得られた抽出液の液量に対して0.2質量%の活性炭を添加し、室温で2時間撹拌した後、濾過した。得られた抽出液を乾燥してハス胚芽抽出物(粉末)を18g得た。
【0062】
(比較製造例1)
製造例1において、ハスの胚芽の乾燥物100gをハスの花の乾燥物100gに代えた以外は、製造例1と同様にして、ハス花抽出物(粉末)を13g得た。
【0063】
(試験例1:SA-β-gal発現抑制作用試験-1)
前記ハス胚芽抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、SA-β-gal(senescence-associated beta-galactosidase)発現抑制作用を試験した。
【0064】
<ヒト皮膚線維芽老化細胞の調製>
MEMα培地に、10%FBS、100μg/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンを配合した培地を用い、ヒト皮膚線維芽細胞(NB1RGB細胞)を80~89日間培養することにより、老化細胞とした。
【0065】
<SA-β-gal活性>
上記したヒト皮膚線維芽老化細胞を含む培養液に、前記ハス胚芽抽出物を0(コントロール)、10、50、又は100μg/mLとなるように添加し、前記ヒト皮膚線維芽老化細胞を更に37℃で72時間培養した。
その後、Senescence Detection Kit(abcam社)を用い、製造元のプロトコルに従って、培養後の細胞を固定液で固定して染色を行った。SA-β-gal活性がある細胞(老化細胞)は、青色に染色される。結果を
図1に示す。
【0066】
また、96-well cellular senescence assay(CELL BIOLABS社)を用い、製造元のプロトコルに従って、培養した細胞のSA-β-gal活性を測定し、コントロールにおけるSA-β-gal活性を100%として、ハス胚芽抽出物を添加した場合(50μg/mL)のSA-β-gal活性を算出した。結果を表1に示す。
【0067】
【0068】
以上の結果から、ハス胚芽抽出物は、老化細胞特異的なSA-β-gal活性を低下させる作用を有することが確認された。そのため、ハス胚芽抽出物は、抗老化作用を有することも確認された。
【0069】
(試験例2:SA-β-gal発現抑制作用試験-2)
前記ハス胚芽抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、前記ハス胚芽抽出物がSA-β-galの活性を直接的に抑制しているかについて試験した。
【0070】
<ヒト皮膚線維芽老化細胞の調製>
試験例1と同様にして、ヒト皮膚線維芽老化細胞を調製した。
【0071】
<SA-β-gal活性>
上記したヒト皮膚線維芽老化細胞を37℃で24時間培養した。
その後、96-well cellular senescence assay(CELL BIOLABS社)を用い、製造元のプロトコルに従って、培養した細胞を溶解した。次いで、前記溶解液に、前記ハス胚芽抽出物を0(コントロール)、50、又は100μg/mLとなるように添加して、SA-β-gal活性を測定し、コントロールにおけるSA-β-gal活性を100%として、各配合量のハス胚芽抽出物を細胞培養後の細胞溶解液に添加した場合のSA-β-gal活性を算出した。結果を表2に示す。
【0072】
【0073】
以上の結果から、ハス胚芽抽出物を細胞培養後の細胞溶解液に添加した場合には、SA-β-gal活性を低下させる作用は確認されなかった。したがって、前記ハス胚芽抽出物は、SA-β-galの酵素活性を抑制しているのではなく、SA-β-galの発現を抑制していると考えられた。
【0074】
(試験例3:SA-β-gal発現抑制作用試験-3)
前記ハス胚芽抽出物、前記ハス花抽出物、及びネフェリン(Neferine)を被験試料として用い、下記の試験方法により、SA-β-gal発現抑制作用を試験した。
【0075】
<ヒト皮膚線維芽老化細胞の調製>
試験例1と同様にして、ヒト皮膚線維芽老化細胞を調製した。
【0076】
<SA-β-gal活性>
上記したヒト皮膚線維芽老化細胞を含む培養液に、前記ハス胚芽抽出物を50μg/mL、前記ハス花抽出物を50μg/mL、又はネフェリン1μMとなるように添加し、前記ヒト皮膚線維芽老化細胞を更に37℃で72時間培養した。また、被験試料に代えてDMSOを0.1%添加し、前記ヒト皮膚線維芽老化細胞を更に37℃で72時間培養したものをコントロールとした。
その後、Senescence Detection Kit(abcam社)を用い、製造元のプロトコルに従って、培養後の細胞を固定液で固定して染色を行った。結果を
図2に示す。
【0077】
また、96-well cellular senescence assay(CELL BIOLABS社)を用い、製造元のプロトコルに従って、培養した細胞のSA-β-gal活性を測定し、コントロールにおけるSA-β-gal活性を100%として、各被験試料を添加した場合のSA-β-gal活性を算出した。結果を表3に示す。
【0078】
【0079】
以上の結果から、ハス花抽出物とネフェリンにはSA-β-galの発現を抑制する作用がなかったのに対し、ハス胚芽抽出物はSA-β-galの発現を抑制する作用を有することが確認された。即ち、ハス胚芽抽出物のみがSA-β-galの発現を抑制する作用を有することが確認された。
【0080】
(試験例4:オートファジー誘導作用試験)
前記ハス胚芽抽出物、前記ハス花抽出物、及びネフェリン(Neferine)を被験試料として用い、下記の試験方法により、オートファジー誘導作用を試験した。
【0081】
<ヒト皮膚線維芽老化細胞の調製>
試験例1と同様にして、ヒト皮膚線維芽老化細胞を調製した。
【0082】
<オートファジー誘導>
抗LC3b抗体(Cell Signaling Technology社)と抗β-アクチン(actin)抗体(sigma社)を用い、LC3-IIの生合成量(増加することでオートファジーが誘導されていると判断できる。)を解析した。
具体的には、上記したヒト皮膚線維芽老化細胞を含む培養液に、前記ハス胚芽抽出物を0(コントロール)、5、10、25、又は50μg/mL、前記ハス花抽出物を0(コントロール)、5、10、25、又は50μg/mLとなるように添加し、前記ヒト皮膚線維芽老化細胞を更に37℃で72時間培養した(
図3A)。また、上記したヒト皮膚線維芽老化細胞を含む培養液に、前記ハス胚芽抽出物を0(コントロール)、5、10、25、又は50μg/mL、ネフェリンを0(コントロール)、0.1、0.2、0.5、又は1μMとなるように添加し、前記ヒト皮膚線維芽老化細胞を更に37℃で72時間培養した(
図3B)。
得た試料からタンパク質溶液を調製し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動に付した後、メンブレンに転写し、抗LC3b抗体製品を1,000倍に、抗β-アクチン抗体を10,000倍に希釈し、メンブレンを浸漬し、4℃で18時間インキュベートした後、洗浄した。次いで、HRP標識抗ウサギ及び抗マウス二次抗体製品(Promega社)を5,000倍に希釈し、メンブレンを浸漬し、常温で1時間インキュベートした後、洗浄した。次に、メンブレンをルミノール反応溶液に浸漬し、発光するまで常温で5~10分間インキュベートした後、X線フィルムに感光させ現像した。
LC3-IIのバンドの強度を、各試料におけるβ-アクチンのバンドの強度で補正し、コントロールにおける補正値を1.0とした場合の相対値を算出した。結果を
図3A及び3Bに示す。
図3A及び3B中の「Intensity」の数値は、上記相対値を示す。
【0083】
以上の結果から、ハス胚芽抽出物は、ハス花抽出物及びネフェリンよりも強いオートファジー誘導作用を有することが確認された。なお、前記ハス胚芽抽出物50μg/mLに含まれるネフェリンの量は、前記ネフェリン1μMと同等である。
【0084】
(試験例5:オートファジー誘導の抑制とSA-β-galの発現抑制)
オートファジーの誘導とSA-β-galの発現との関係について、下記の試験方法により試験した。
【0085】
<siRNA>
オートファジーの誘導に必須であるタンパク質ATG7の遺伝子に対するsiRNA(以下、「siATG7」と称することがある。)として、下記配列を標的配列とするsiRNAを用意した(Stealth RNAi oligonucleocide, Invitrogen社製)。また、コントロールsiRNA(Santa Cruz Biotechnology社製)(以下、「siControl」と称することがある。)も用意した。
-標的配列-
5’-GGAAACCTTAGAAGCGGACTTAATT-3’(配列番号1)
【0086】
<ヒト皮膚線維芽老化細胞の調製>
試験例1と同様にして、ヒト皮膚線維芽老化細胞を調製した。
【0087】
<試験>
前記siATG7又はsiControlと、LipofectamineTM RNAiMAXトランスフェクション試薬(Invitrogen社製)を製造元の指示に従って使用して、前記ヒト皮膚線維芽細胞老化細胞を形質転換した。
次いで、上記したヒト皮膚線維芽老化細胞を含む培養液に、前記ハス胚芽抽出物を0又は50μg/mLとなるように添加し、前記ヒト皮膚線維芽老化細胞を更に37℃で48時間培養し、試料を得た。
【0088】
得た試料からタンパク質溶液を調製し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動に付した後、メンブレンに転写し、抗ATG7抗体(Cell signaling社)を1,000倍に、抗LC3b抗体製品(試験例4参照)を1,000倍に、抗β-アクチン抗体(試験例4参照)を10,000倍に希釈し、メンブレンを浸漬し、4℃で18時間インキュベートした後、洗浄した。次いで、HRP標識抗ウサギ及び抗マウス二次抗体製品(Promega社)を5,000倍に希釈し、メンブレンを浸漬し、常温で1時間インキュベートした後、洗浄した。次に、メンブレンをルミノール反応溶液に浸漬し、発光するまで常温で5~10分間インキュベートした後、X線フィルムに感光させ現像した。
ATG7及びLC3-IIのバンドの強度を、各試料におけるβ-アクチンのバンドの強度で補正し、コントロールにおける補正値を1.0とした場合の相対値を算出した。結果を
図4Aに示す。
図4A中の「Intensity」の数値は、上記相対値を示す。
【0089】
また、Senescence Detection Kit(abcam社)を用い、製造元のプロトコルに従って、培養後の細胞を固定液で固定して染色を行った。結果を
図4Bに示す。
【0090】
また、96-well cellular senescence assay(CELL BIOLABS社)を用い、製造元のプロトコルに従って、培養した細胞のSA-β-gal活性を測定し、コントロール(siControl、ハス胚芽抽出物0μg/mL)におけるSA-β-gal活性を100%として、各被験試料を添加した場合のSA-β-gal活性を算出した。結果を表4に示す。
【0091】
【0092】
以上の結果から、siATG7によりオートファジーの誘導を抑制すると、ハス胚芽抽出物によるSA-β-galの発現抑制効果も阻害されることから、ハス胚芽抽出物によるSA-β-galの発現抑制効果は、オートファジーの誘導効果に依存していることが示唆された。
【0093】
(試験例6:マイトファジー誘導作用試験)
前記ハス胚芽抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、マイトファジー誘導作用を試験した。なお、ポジティブコントロールとして、FCCP(Carbonyl cyanide-p-trifluoromethoxyphenylhydrazone)及びオリゴマイシン(Oligomycin)を用いた。
【0094】
<ヒト皮膚線維芽老化細胞の調製>
試験例1と同様にして、ヒト皮膚線維芽老化細胞を調製した。
【0095】
<マイトファジー誘導>
上記したヒト皮膚線維芽老化細胞を含む培養液に、前記ハス胚芽抽出物を100μg/mL、又はFCCP 1μM及びオリゴマイシン 1μMとなるように添加し、前記ヒト皮膚線維芽老化細胞を更に37℃で24時間培養し、試料を得た。また、被験試料を添加しない以外は同様にして培養したものをコントロールとした。
次いで、マイトファジーの誘導を、マイトファジー検出キット(「Mitophagy Detection kit」Dojindo社製)を使って、製造元のプロトコルに従って、測定した。観察は蛍光倒立顕微鏡(オリンパス社)を用いた。マイトファジーダイ(Mtophagy Dye)の蛍光強度を測定し、コントロールにおける蛍光強度を1.0とした場合の相対値を算出した結果を表5に示す。
【0096】
【0097】
以上の結果から、ハス胚芽抽出物は、マイトファジー誘導作用を有さないことが確認された。
【0098】
(配合例1)
常法により、以下の組成を有する乳液を製造した。
・ ハス胚芽抽出物(製造例1で製造した抽出物) 0.01g
・ ホホバオイル 4.00g
・ 1,3-ブチレングリコール 3.00g
・ アルブチン 3.00g
・ ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.50g
・ オリーブオイル 2.00g
・ スクワラン 2.00g
・ セタノール 2.00g
・ モノステアリン酸グリセリル 2.00g
・ オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.00g
・ パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
・ グリチルリチン酸ステアリル 0.10g
・ 黄杞エキス 0.10g
・ グリチルリチン酸ジカリウム 0.10g
・ イチョウ葉エキス 0.10g
・ コンキオリン 0.10g
・ オウバクエキス 0.10g
・ カミツレエキス 0.10g
・ 香料 0.05g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0099】
(配合例2)
常法により、以下の組成を有するクリームを製造した。
・ ハス胚芽抽出物(製造例1で製造した抽出物) 0.05g
・ クジンエキス 0.1g
・ オウゴンエキス 0.1g
・ 流動パラフィン 5.0g
・ サラシミツロウ 4.0g
・ スクワラン 10.0g
・ セタノール 3.0g
・ ラノリン 2.0g
・ ステアリン酸 1.0g
・ オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
・ モノステアリン酸グリセリル 3.0g
・ 油溶性甘草エキス 0.1g
・ 1,3-ブチレングリコール 6.0g
・ パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
・ 香料 0.1g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0100】
(配合例3)
常法により、以下の組成を有する美容液を製造した。
・ ハス胚芽抽出物(製造例1で製造した抽出物) 0.01g
・ カミツレエキス 0.1g
・ キサンタンガム 0.3g
・ ヒドロキシエチルセルロース 0.1g
・ カルボキシビニルポリマー 0.1g
・ 1,3-ブチレングリコール 4.0g
・ グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
・ グリセリン 2.0g
・ 水酸化カリウム 0.25g
・ 香料 0.01g
・ 防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.15g
・ エタノール 2.0g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0101】
(配合例4)
常法により、以下の組成を有するヘアトニックを製造した。
・ ハス胚芽抽出物(製造例1で製造した抽出物) 0.4g
・ 酢酸トコフェロール 適量
・ セファラチン 0.002g
・ イソプロピルメチルフェノール 0.1g
・ ヒアルロン酸ナトリウム 0.15g
・ グリセリン 15.0g
・ エタノール 15.0g
・ 香料 適量
・ キレート剤(エデト酸ナトリウム) 適量
・ 防腐剤(ヒノキチオール) 適量
・ 可溶化剤(ポリオキシエチレンセチルエーテル) 適量
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0102】
(配合例5)
常法により、以下の組成を有するシャンプーを製造した。
・ ハス胚芽抽出物(製造例1で製造した抽出物) 0.5g
・ マジョラム抽出物 1.0g
・ ウメ果実部抽出物 0.2g
・ ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0g
・ ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 10.0g
・ ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0g
・ ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0g
・ プロピレングリコール 2.0g
・ 香料 適量
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0103】
(配合例6)
常法により、以下の組成を有する経口液状製剤を製造した。
<1アンプル(1本100mL)中の組成>
・ ハス胚芽抽出物 0.3質量%
(製造例1で製造した抽出物)
・ ソルビット 12.0質量%
・ 安息香酸ナトリウム 0.1質量%
・ 香料 1.0質量%
・ 硫酸カルシウム 0.5質量%
・ 精製水 残部
【0104】
(配合例7)
常法により、以下の組成を有する錠剤を製造した。
・ ハス胚芽抽出物 5.0mg
(製造例1で製造した抽出物)
・ ドロマイト 83.4mg
(カルシウム20%、マグネシウム10%含有)
・ カゼインホスホペプチド 16.7mg
・ ビタミンC 33.4mg
・ マルチトール 136.8mg
・ コラーゲン 12.7mg
・ ショ糖脂肪酸エステル 12.0mg