(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112459
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】非接触給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20230804BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20230804BHJP
H02J 50/23 20160101ALI20230804BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20230804BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20230804BHJP
H02J 50/20 20160101ALN20230804BHJP
H02J 50/10 20160101ALN20230804BHJP
H02J 50/12 20160101ALN20230804BHJP
H02J 50/30 20160101ALN20230804BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/90
H02J50/23
H02J50/80
H01Q1/24 Z
H02J50/20
H02J50/10
H02J50/12
H02J50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014257
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】婦木 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】杉原 淳志
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA05
5J047AB03
5J047FD00
(57)【要約】
【課題】受電装置が電力を受電しすぎることを抑制することができる非接触給電システムを提供することである。
【解決手段】非接触給電システム1は、一以上の受電装置20と、送電装置10とを備え、受電装置20は、送電装置10に対してビーコン信号を送信する通信部22と、送電装置10から非接触給電により電力を受電するアンテナ21とを有し、送電装置10は、受電装置20からビーコン信号を受信する通信部12と、非接触給電により受電装置20に電力を給電するアンテナ11とを有し、受電装置20が受電する電力が大きくなることを抑制する抑制条件を示す抑制条件情報161に基づいて、ビーコン信号を送信した受電装置20が、抑制条件を満たすか否かを判定する判定部151を備え、アンテナ11は、判定部151の判定結果に基づいて、抑制条件を満たす受電装置20に対して、給電を抑制する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の受電装置と、送電装置とを備える非接触給電システムであって、
前記受電装置は、
前記送電装置に対してビーコン信号を送信する送信部と、
前記送電装置から非接触給電により電力を受電する受電部とを有し、
前記送電装置は、
前記受電装置から前記ビーコン信号を受信する受信部と、
非接触給電により前記受電装置に電力を給電する給電部とを有し、
前記受電装置が受電する電力が大きくなることを抑制する抑制条件を示す抑制条件情報に基づいて、前記ビーコン信号を送信した前記受電装置が、前記抑制条件を満たすか否かを判定する判定部を備え、
前記給電部は、前記判定部の判定結果に基づいて、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して、給電を抑制する、
ことを特徴とする非接触給電システム。
【請求項2】
前記送電装置は、第1電力源と、第2電力源とを有し、
前記給電部は、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して給電する場合、前記第1電力源と、前記第2電力源とのうち、電力容量の残量が小さい電力源の電力に基づいて給電を行う、
請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項3】
前記給電部は、アンテナアレイにより実現され、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して給電する場合、前記抑制条件を満たさない前記受電装置に対して給電する場合に比して、前記アンテナアレイのうち、動作させるアンテナの数を少なくすることにより、給電を抑制する、
請求項1又は2に記載の非接触給電システム。
【請求項4】
前記送電装置は、電力源から供給される電力を変換する変換部を有し、
前記変換部は、デューティー比制御、又は位相シフト制御を行い、前記抑制条件を満たさない前記受電装置に対して給電する電力に比して、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して給電する電力を低電力に変換し、
前記給電部は、前記変換部により変換された電力を前記受電装置に給電することにより、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して、給電を抑制する、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の非接触給電システム。
【請求項5】
前記給電部は、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して給電する場合、前記抑制条件を満たさない前記受電装置に対して給電する場合に比して、間欠的に給電することにより、給電を抑制する、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の非接触給電システム。
【請求項6】
前記抑制条件には、前記送電装置と、前記ビーコン信号を送信した前記受電装置との間の距離が所定距離未満であることが含まれ、
前記判定部は、前記距離が前記所定距離未満である場合、前記抑制条件を満たすと判定する、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の非接触給電システム。
【請求項7】
前記給電部は、前記距離が短い程、給電を抑制する、
請求項6に記載の非接触給電システム。
【請求項8】
前記抑制条件には、前記ビーコン信号を送信した前記受電装置において受電された電力に対する、前記ビーコン信号を送信した前記受電装置に前記送電装置が給電した電力の比が所定の閾値より大きいことが含まれ、
前記判定部は、前記比が前記所定の閾値より大きい場合、前記抑制条件を満たすと判定する、
請求項1から7のうちいずれか一項に記載の非接触給電システム。
【請求項9】
前記給電部は、前記判定部により前記比が前記所定の閾値より大きいと判定された状態が、所定時間以上継続した場合、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して、給電を停止する、
請求項8に記載の非接触給電システム。
【請求項10】
前記抑制条件には、前記給電部により給電が開始された際の前記受電装置において受電された電力より、直近の前記受電装置において受電された電力が所定の値より大きいことが含まれ、
前記判定部は、直近の前記受電装置において受電された電力が前記所定の値より大きい場合、前記抑制条件を満たすと判定する、
請求項1から9のうちいずれか一項に記載の非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力伝送信号を用いた非接触給電に関する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、受電装置が送電装置に対してビーコン信号を送信する。そして、送電装置は、受信したビーコン信号に基づいて、受電装置に給電を行う。ここで、送電装置と受電装置との距離が近すぎる場合や、送電装置の給電方向と、受電装置の向きとが合致している場合等、受電装置が電力を受電しすぎてしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する非接触給電システムは、一以上の受電装置と、送電装置とを備える非接触給電システムであって、前記受電装置は、前記送電装置に対してビーコン信号を送信する送信部と、前記送電装置から非接触給電により電力を受電する受電部とを有し、前記送電装置は、前記受電装置から前記ビーコン信号を受信する受信部と、非接触給電により前記受電装置に電力を給電する給電部とを有し、前記受電装置が受電する電力が大きくなることを抑制する抑制条件を示す抑制条件情報に基づいて、前記ビーコン信号を送信した前記受電装置が、前記抑制条件を満たすか否かを判定する判定部を備え、前記給電部は、前記判定部の判定結果に基づいて、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して、給電を抑制する、ことを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、送電装置は、受電装置が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
上記非接触給電システムにおいて、前記送電装置は、第1電力源と、第2電力源とを有し、前記給電部は、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して給電する場合、前記第1電力源と、前記第2電力源とのうち、電力容量の残量が小さい電力源の電力に基づいて給電を行ってもよい。
【0007】
上記構成によれば、送電装置は、受電装置に給電しすぎることを抑制し、受電装置が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
上記非接触給電システムにおいて、前記給電部は、アンテナアレイにより実現され、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して給電する場合、前記抑制条件を満たさない前記受電装置に対して給電する場合に比して、前記アンテナアレイのうち、動作させるアンテナの数を少なくすることにより、給電を抑制してもよい。
【0008】
上記構成によれば、送電装置は、受電装置に給電しすぎることを抑制し、受電装置が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
上記非接触給電システムにおいて、前記送電装置は、電力源から供給される電力を変換する変換部を有し、前記変換部は、デューティー比制御、又は位相シフト制御を行い、前記抑制条件を満たさない前記受電装置に対して給電する電力に比して、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して給電する電力を低電力に変換し、前記給電部は、前記変換部により変換された電力を前記受電装置に給電することにより、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して、給電を抑制してもよい。
【0009】
上記構成によれば、送電装置は、抑制条件を満たす受電装置に低電力の電力を給電することにより、受電装置が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
上記非接触給電システムにおいて、前記給電部は、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して給電する場合、前記抑制条件を満たさない前記受電装置に対して給電する場合に比して、間欠的に給電することにより、給電を抑制してもよい。
【0010】
上記構成によれば、送電装置は、連続的に給電する場合に比して、受電装置が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
上記非接触給電システムにおいて、前記抑制条件には、前記送電装置と、前記ビーコン信号を送信した前記受電装置との間の距離が所定距離未満であることが含まれ、前記判定部は、前記距離が前記所定距離未満である場合、前記抑制条件を満たすと判定してもよい。
【0011】
上記構成によれば、送電装置は、距離が近い受電装置に給電を抑制し、受電装置が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
上記非接触給電システムにおいて、前記給電部は、前記距離が短い程、給電を抑制してもよい。
【0012】
上記構成によれば、送電装置は、距離が近い受電装置程、給電を抑制し、受電装置が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
上記非接触給電システムにおいて、前記抑制条件には、前記ビーコン信号を送信した前記受電装置において受電された電力に対する、前記ビーコン信号を送信した前記受電装置に前記送電装置が給電した電力の比が所定の閾値より大きいことが含まれ、前記判定部は、前記比が前記所定の閾値より大きい場合、前記抑制条件を満たすと判定してもよい。
【0013】
上記構成によれば、送電装置は、給電効率が良すぎる受電装置に給電を抑制し、受電装置が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
上記非接触給電システムにおいて、前記給電部は、前記判定部により前記比が前記所定の閾値より大きいと判定された状態が、所定時間以上継続した場合、前記抑制条件を満たす前記受電装置に対して、給電を停止してもよい。
【0014】
上記構成によれば、送電装置は、給電効率のよい受電装置に対して給電を停止し、受電装置が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
上記非接触給電システムにおいて、前記抑制条件には、前記給電部により給電が開始された際の前記受電装置において受電された電力より、直近の前記受電装置において受電された電力が所定の値より大きいことが含まれ、前記判定部は、直近の前記受電装置において受電された電力が前記所定の値より大きい場合、前記抑制条件を満たすと判定してもよい。
【0015】
上記構成によれば、送電装置は、給電効率が良くなった受電装置に給電を抑制し、受電装置が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、受電装置が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】非接触給電システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】非接触給電システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
以下、図面を参照し、非接触給電システムを具体化した実施形態について説明する。
[非接触給電システム1の全体構成]
図1に示すように、非接触給電システム1は、送電装置10と、複数の受電装置20とを備える。送電装置10は、例えば、受電装置20に対して電力伝送信号を用いた非接触給電により電力を給電する。詳しくは、非接触給電システム1では、非接触給電のためのマイクロ波方式を用いた無線による電力伝送を行う。すなわち、送電装置10と、受電装置20とは、受電装置20の受電アンテナと、送電装置10の送電アンテナとの間で、非接触給電のための電力伝送信号の送受信を行う。なお、本システムに適用される無線による電力伝送方式(非接触電力伝送方式)は、マイクロ波方式に限られず、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界共鳴方式、レーザー等を利用した方式であってもよい。また、本実施形態では、電力伝送信号の送受信が非接触給電に用いられるものとするが、非接触給電以外の用途で無線による電力伝送信号の送受信が行われてもよい。
【0019】
受電装置20は、送電装置10から送信された電力伝送信号を受信し、受信した電力により動作したり、自装置が備えるバッテリを充電したりする。
ここで、受電装置20に対して電力伝送信号を適切に送信するため、送電装置10は、送電装置10に対する受電装置20の向きや、受電装置20までの距離に基づいて、送信する電力伝送信号の位相を適切に設定することが求められる。これに伴い、受電装置20は、送電装置10に対して、ビーコン信号を、所定の時間間隔毎に送信する。送電装置10は、受電装置20から受信したビーコン信号の位相変更情報に基づいて、受電装置20に対して給電する。
【0020】
一方で、送電装置10と受電装置20との距離が近すぎる場合や、送電装置10の給電方向に対する受電装置20の向きが合致している場合など、受電装置20が受電しすぎてしまう場合がある。
【0021】
本実施形態の送電装置10は、受電装置20が受電しすぎることを抑制する。以下、送電装置10の構成、及び受電装置20の構成の詳細について説明する。
[送電装置10の構成]
図2に示すように、送電装置10は、例えば、アンテナ11と、通信部12と、変換部13と、バッテリ14と、制御部15と、記憶部16とを備える。
【0022】
アンテナ11は、受電装置20との各種通信に用いられる。アンテナ11は、例えば、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、各種情報の送受信に係る情報通信とにおいて共用される。アンテナ11は、例えば、アンテナアレイにより実現される。アンテナ11は、「給電部」の一例であり、アンテナ11が受電装置20に対して電力伝送信号を送信することは、「非接触給電により受電装置20に電力を給電する」ことの一例である。
【0023】
通信部12は、受電装置20との通信に係る各種制御を行う。通信部12は、例えば、アンテナ11を制御し、受電装置20が送信するビーコン信号を受信する。また、通信部12は、アンテナ11を制御し、受電装置20と各種情報を送受信する。各種情報の送受信に係る情報通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、ZigBee(登録商標)等により実現される。通信部12は、アンテナ11を制御し、受電装置20からビーコン信号を受信する処理において「受信部」の一例である。
【0024】
変換部13は、受電装置20に給電するに際して、電力を電力伝送信号に変換し、アンテナ11によって送信する。変換部13は、不図示の電力源から供給された電力を電力伝送信号に変換してもよく、後述するバッテリ14に蓄電される電力を電力伝送信号に変換してもよい。不図示の電力源は、例えば、系統電力から供給される電力を送電装置10において用いられる電力に変換する変換部により実現される。不図示の電力源は、「第1電力源」の一例である。
【0025】
バッテリ14は、不図示の電力源から供給された電力を蓄電する。バッテリ14の満充電時の電力容量は、例えば、非接触給電システム1が備える受電装置20に対して、十分に電力を給電可能な電力容量である。バッテリ14は、「第2電力源」の一例である。
【0026】
制御部15は、送電装置10が備える各部を制御する。制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め送電装置10が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの非一過性の記憶媒体を備える記憶装置(不図示)を備える記憶部16に格納されていてもよい。制御部15は、例えば、通信部12により受信されたビーコン信号に基づいて、アンテナ11の位相を調整する。
【0027】
記憶部16は、上述した各種記憶装置、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現されてもよい。記憶部16には、上述したプログラムの他、抑制条件情報161が記憶される。抑制条件情報161は、受電装置20が受電する電力が大きくなることを抑制する抑制条件を示す情報である。
【0028】
この一例では、抑制条件情報161には、第1抑制条件CC1と、第2抑制条件CC2との二つの効率条件を示す情報が含まれる場合について説明する。第1抑制条件CC1は、送電装置10と、ビーコン信号を送信した受電装置20との間の距離が所定距離未満であることである。第2抑制条件CC2は、ビーコン信号を送信した受電装置20において受電された電力に対する、ビーコン信号を送信した受電装置20に送電装置10が給電した電力の比が所定の閾値より大きいことである。
【0029】
制御部15は、例えば、判定部151を備える。判定部151は、抑制条件情報161に示される抑制条件に基づいて、ビーコン信号を送信した受電装置20が、抑制条件を満たすか否かを判定する。送電装置10は、判定部151の判定結果に基づいて、抑制条件を満たす受電装置20に対して、給電を抑制する。詳しくは、アンテナ11は、抑制条件を満たす受電装置20に対して給電する場合、抑制条件を満たさない受電装置20に対して給電する場合に比して、アンテナアレイのうち、動作させるアンテナの数を少なくすることにより、給電を抑制する。
【0030】
[受電装置20の構成]
受電装置20は、アンテナ21と、通信部22と、変換部23と、バッテリ24と、制御部25とを備える。
【0031】
アンテナ21は、送電装置10との各種通信に用いられる。アンテナ21は、例えば、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、各種情報の送受信に係る情報通信とにおいて共用される。アンテナ21は、「受電部」の一例であり、アンテナ21が送電装置10によって送信された電力伝送信号を受信することは、「送電装置10から非接触給電によって電力を受電する」ことの一例である。
【0032】
通信部22は、送電装置10との通信に係る各種制御を行う。通信部22は、例えば、アンテナ21を制御し、送電装置10に対してビーコン信号を送信する。また、通信部22は、アンテナ21を制御し、送電装置10と各種情報を送受信する。通信部22は、アンテナ21を制御し、送電装置10に対してビーコン信号を送信する処理において「送信部」の一例である。
【0033】
変換部23は、アンテナ21によって受信された電力伝送信号を直流電力に変換する。バッテリ24は、変換部23により変換された直流電力を蓄電する。受電装置20は、バッテリ24が蓄電する電力によって動作する。
【0034】
制御部25は、受電装置20が備える各部を制御する。制御部25は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部を含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め受電装置20が備えるHDDやフラッシュメモリなどの非一過性の記憶媒体に格納されていてもよい。制御部15は、例えば、所定の時間間隔毎にビーコン信号を送電装置10に送信するように、通信部12に指示する。
【0035】
[動作フロー]
以下、
図3を参照し、判定部151の処理の詳細について説明する。
図3に示すフローチャートの処理は、例えば、所定の時間間隔毎に繰り返し実行される。まず、判定部151は、抑制条件情報161に示される抑制条件に基づいて、送電装置10に対してビーコン信号を送信した受電装置20が抑制条件を満たすか否かを判定する(ステップS100)。
【0036】
判定部151は、第1抑制条件CC1に基づいて判定する場合、ビーコン信号の受信強度を用いて判定を行う。詳しくは、判定部151は、送電装置10が受信したビーコン信号の受信強度が所定の閾値より大きいか否かを判定する。ここで、ビーコン信号の受信強度が所定の閾値より大きい場合、送電装置10と、ビーコン信号を送信した受電装置20との間の距離が所定距離未満である場合がある。また、ビーコン信号の受信強度が所定の閾値以下の場合、送電装置10と、ビーコン信号を送信した受電装置20との間の距離が所定距離以上である場合がある。判定部151は、ビーコン信号の受信強度が所定の閾値より大きい場合、ビーコン信号を送信した受電装置20が、第1抑制条件CC1を満たすと判定する。
【0037】
また、判定部151は、第2抑制条件CC2に基づいて判定する場合、受電装置20における受電電力を示す情報を取得する。この場合、送電装置10は、ビーコン信号を受信した複数の受電装置20のいずれにも電力伝送信号を送信し、給電する。受電装置20のアンテナ21は、送電装置10によって送信された電力伝送信号を受信する。変換部23は、アンテナ21によって受信された電力伝送信号を直流電力に変換する。受電装置20の通信部22は、変換部23により変換された直流電力の大きさを、受電電力を示す情報として、送電装置10に送信する。判定部151は、受信した情報と、送電装置10が受電装置20に給電した給電電力とに基づいて、受電電力に対する給電電力の比を算出する。以降の説明において、受電電力に対する給電電力の比を、「効率比」と記載する。判定部151は、算出した効率比が所定の閾値より大きい場合、ビーコン信号を送信した受電装置20が、第2抑制条件CC2を満たすと判定する。
【0038】
送電装置10は、判定部151により抑制条件を満たさないと判定された受電装置20について、給電を抑制せず、通常と同様の態様により給電を行う(ステップS102)。送電装置10は、判定部151により抑制条件を満たすと判定された受電装置20について、給電を抑制する(ステップS104)。
【0039】
[実施形態の作用効果]
上記実施形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)判定部151は、受電装置20が受電する電力が大きくなることを抑制する抑制条件を示す抑制条件情報161に基づいて、ビーコン信号を送信した受電装置20が、抑制条件を満たすか否かを判定する。給電部としてのアンテナ11は、判定部151の判定結果に基づいて、抑制条件を満たす受電装置20に対して、給電を抑制する。
【0040】
かかる構成によれば、送電装置10は、抑制条件を満たす受電装置20が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
(2)給電部としてのアンテナ11は、アンテナアレイにより実現され、抑制条件を満たす受電装置20に対して給電する場合、抑制条件を満たさない受電装置20に対して給電する場合に比して、アンテナアレイのうち、動作させるアンテナの数を少なくすることにより、給電を抑制する。
【0041】
かかる構成によれば、送電装置10は、受電装置20に給電しすぎることを抑制し、受電装置20が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
(3)抑制条件には、送電装置10と、ビーコン信号を送信した受電装置20との間の距離が所定距離未満であることを示す第1抑制条件CC1が含まれる。判定部151は、送電装置10と、ビーコン信号を送信した受電装置20との間の距離が所定距離未満である場合、第1抑制条件CC1を満たすと判定する。
【0042】
かかる構成によれば、送電装置10は、距離が近い受電装置20に給電を抑制し、受電装置20が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
(4)抑制条件には、ビーコン信号を送信した受電装置20において受電された電力に対する、ビーコン信号を送信した受電装置20に送電装置10が給電した電力の効率比が所定の閾値より大きいことを示す第2抑制条件CC2が含まれる。判定部151は、効率比が所定の閾値より大きい場合、第2抑制条件CC2を満たすと判定する。
【0043】
かかる構成によれば、送電装置10は、給電効率が良すぎる受電装置20に給電を抑制し、受電装置20が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
上記各実施形態は以下のように変更してもよい。なお、上記実施形態および以下の各別例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせてもよい。
【0044】
○
図1に示す一例では、非接触給電システム1が備える受電装置20の数が、二つである場合について示しているが、これに限られない。非接触給電システム1が備える受電装置20は、一つであってもよく、三つ以上であってもよい。また、非接触給電システム1が備える受電装置20の数には、上限が設けられていてもよい。受電装置20の数の上限は、例えば、非接触給電システム1が備える送電装置10が給電可能な電力に応じて決定されてもよい。
【0045】
○上述では、給電部としてのアンテナ11がアンテナアレイにより実現され、アンテナアレイのうち、動作させるアンテナの数を少なくすることにより、給電を抑制する場合について説明したが、これに限られない。アンテナ11は、他の態様により、給電を抑制してもよい。アンテナ11は、例えば、抑制条件を満たす受電装置20に対して給電する場合、第1電力源と、第2電力源とのうち、電力容量の残量が小さい電力源の電力に基づいて給電を行ってもよい。上述したように、不図示の電力源は、例えば、系統電力から供給される電力を送電装置10において用いられる電力に変換する変換部により実現される。ここで、不図示の電力源が供給する電力により、受電装置20に対して給電が行われる場合、一般に、不図示の電力源の電力容量の残量がなくなる、又は少なくなることはないため、継続して受電装置20に給電が行われてしまう。一方で、バッテリ14が供給する電力により、受電装置20に対して給電が行われる場合、バッテリ14の電力容量の残量がなくなった、又は少なくなった場合には、継続して受電装置20に給電することが困難である。かかる構成によれば、送電装置10は、継続して受電装置20に給電しすぎることを抑制し、受電装置20が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
【0046】
○また、変換部13は、電力源から供給された電力について、デューティー比制御、又は位相シフト制御を行い、抑制条件を満たさない受電装置20に対して給電する電力に比して、抑制条件を満たす受電装置20に対して給電する電力を低電力に変換してもよい。アンテナ11は、変換部13により適宜変換された電力を受電装置20に給電することにより、抑制条件を満たす受電装置20に対しては低電力の電力を給電し、給電を抑制する。かかる構成によれば、送電装置10は、抑制条件を満たす受電装置20に低電力の電力を給電することにより、受電装置20が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
【0047】
○また、アンテナ11は、抑制条件を満たす受電装置20に対して給電する場合、抑制条件を満たさない受電装置20に対して給電する場合に比して、間欠的に給電することにより、給電を抑制してもよい。アンテナ11は、例えば、抑制条件を満たさない受電装置20については、連続的に給電を行い、抑制条件を満たす受電装置20については、間欠的に給電を行う。かかる構成によれば、送電装置10は、連続的に給電する場合に比して、抑制条件を満たす受電装置20が電力を受電しすぎることを抑制することができる。なお、抑制条件を満たさない受電装置20についても間欠的に給電が行われている場合、アンテナ11は、抑制条件を満たす受電装置20については、抑制条件を満たさない受電装置20の間欠の程度に比して、給電されていない期間が長い間欠の態様により、給電する。かかる構成によれば、送電装置10は、抑制条件を満たす受電装置20に低電力の電力を給電することにより、受電装置20が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
【0048】
○上述のうち、アンテナアレイの動作させるアンテナの数を少なくすることにより、給電を抑制する以外の態様によって、給電が抑制される場合、アンテナ11は、アンテナアレイ以外の構成により実現されてもよい。
【0049】
○上述では、アンテナ11は、抑制条件を満たすと判定された受電装置20について、一様に給電を抑制する場合について説明したが、これに限られない。アンテナ11は、第1抑制条件CC1を満たす受電装置20の態様に応じて、抑制の程度を異ならせてもよい。例えば、アンテナ11は、送電装置10と、ビーコン信号を送信した受電装置20との間の距離が所定距離未満であって、且つ当該距離が短い程(近い程)、給電を抑制してもよい。つまり、アンテナ11は、例えば、送電装置10と、受電装置20との距離が、遠い場合に給電する電力に比して、近い場合に給電する電力を低電力にする。上述したように、送電装置10と、受電装置20との距離が近すぎる場合、受電装置20が受電しすぎてしまう場合がある。かかる構成によれば、送電装置10は、距離が近い受電装置20程、給電を抑制し、受電装置20が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
【0050】
○上述では、判定部151は、ビーコン信号の受信強度に基づいて、第1抑制条件CC1を満たすか否かの判定を行う場合について説明したが、これに限られない。判定部151は、例えば、ビーコン信号の到来角と、アンテナ11の指向性とに基づいて、第1抑制条件CC1を満たすか否かを判定してもよい。詳しくは、判定部151は、ビーコン信号の到来角と、アンテナ11の指向性とが合致している場合、第1抑制条件CC1を満たすと判定する。上述したように、送電装置10の給電方向に対する受電装置20の向きが合致している場合など、受電装置20が受電しすぎてしまう場合がある。かかる構成によれば、送電装置10は、ビーコン信号の到来角と、アンテナ11の指向性とが合致する受電装置20に給電を抑制し、受電装置20が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
【0051】
○上述では、アンテナ11は、判定部151により、第2抑制条件CC2を満たすと判定された受電装置20に対して、給電を抑制する場合について説明したが、これに限られない。アンテナ11は、判定部151により、第2抑制条件CC2を満たすと判定された状態が所定時間以上継続した場合、当該受電装置20に対して、給電を停止してもよい。この場合、判定部151は、第2抑制条件CC2を満たす受電装置20について、第2抑制条件CC2を満たす状態が所定時間以上継続しているか否かを更に判定する。判定部151は、例えば、第2抑制条件CC2を満たすと判定した場合、第2抑制条件CC2を満たす受電装置20の識別情報と、第2抑制条件CC2を満たすと判定された日時を示すタイムスタンプとを対応付けて記憶部16に記憶させる。判定部151は、第2抑制条件CC2を満たすと再度判定した受電装置20について、記憶部16に記憶された情報を参照し、タイムスタンプと、再度判定した時刻とに基づいて、第2抑制条件CC2を満たす状態が継続している継続時間を特定する。
【0052】
ここで、送電装置10と受電装置20との距離が近すぎる状態や、送電装置10の給電方向に対する受電装置20の向きが合致している状態が一時的であれば、受電装置20が受電しすぎてしまうことはない。一方で、送電装置10と受電装置20との距離が近すぎる状態や、送電装置10の給電方向に対する受電装置20の向きが合致している状態が継続している場合、受電装置20が受電しすぎてしまうことがある。かかる構成によれば、送電装置10は、給電効率が良すぎる状態が所定時間以上継続した受電装置20に給電を停止し、受電装置20が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
【0053】
○判定部151は、受電装置20の状態の変化に基づいて、抑制条件を満たすか否かを判定してもよい。この場合、抑制条件には、アンテナ11により給電が開始された際の受電装置20において受電された電力より、直近の受電装置20において受電された電力が所定の値より大きいことを示す第3抑制条件CC3が含まれる。通信部22は、例えば、送電装置10から電力の受電を受けている間、変換部23により変換された直流電力の大きさを、受電電力を示す情報として、所定の時間間隔毎に送電装置10に送信する。通信部12は、受電装置20から受信した受電電力を示す情報と、受電装置20の識別情報とを対応付けて記憶部16に記憶させる。判定部151は、記憶部16に記憶された情報を参照し、ある受電装置20について、過去の受電電力を示す情報と、直近の受電電力を示す情報とを比較し、過去の受電電力よりも直近の受電電力が所定の値より大きい場合、第3抑制条件CC3を満たすと判定する。過去の受電電力を示す情報には、アンテナ11により給電が開始されてから、直近の受電電力を示す情報が取得されるまでの間に取得された、すべての受電電力を示す情報が含まれる。また、アンテナ11により給電が停止された場合には、記憶部16に記憶された過去の受電電力に関する情報のうち、給電が停止された受電装置20に関する情報がクリアされる。
【0054】
ここで、判定部151により、一度は抑制条件を満たさないと判定されたものの、給電中に送電装置10や受電装置20が移動されることにより、受電装置20が受電しすぎる位置や向きに位置してしまう場合がある。かかる構成によれば、送電装置10は、給電効率が良すぎる状態に送電装置10、又は受電装置20が移動された場合であっても、受電装置20が電力を受電しすぎることを抑制することができる。
【0055】
○上述では、第1抑制条件CC1と、第2抑制条件CC2と、第3抑制条件CC3との三つの抑制条件について説明したが、これに限られない。抑制条件情報161に含まれる抑制条件は一つであってもよく、四つ以上であってもよい。
【0056】
○また、複数の抑制条件が存在する場合、各抑制条件には、優先度が付加されていてもよい。例えば、第1抑制条件CC1の優先度が、第2抑制条件CC2、及び第3抑制条件CC3よりも高く設定されている場合がある。この場合、判定部151は、第2抑制条件CC2、及び第3抑制条件CC3を満たすか否かに関わらず、第1抑制条件CC1を満たすと判定した受電装置20を、抑制条件を満たす受電装置20として決定する。
【0057】
○上述では、判定部151は、第1抑制条件CC1、第2抑制条件CC2、及び第3抑制条件CC3とのうち、いずれかの抑制条件も満たす受電装置20を、抑制条件を満たす受電装置20として決定する場合について説明したがこれに限られない。判定部151は、第1抑制条件CC1、第2抑制条件CC2、及び第3抑制条件CC3とのうち、いずれの抑制条件も満たす受電装置20を、抑制条件を満たす受電装置20として決定してもよい。
【0058】
○上述では、アンテナ11、及びアンテナ21は、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、各種情報の送受信に係る情報通信とにおいて共用される場合について説明したが、これに限られない。送電装置10、及び受電装置20は、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、各種情報の送受信に係る情報通信とのそれぞれに用いられるアンテナを別体で備えていてもよい。例えば、送電装置10と、受電装置20との間で、各種情報の送受信に係る情報通信が頻繁に行われると、アンテナ11、及びアンテナ21は、電力伝送信号の送受信や、ビーコン信号の送受信が適切に行えなくなってしまう場合がある。送電装置10、及び受電装置20は、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、各種情報の送受信に係る情報通信とのそれぞれに用いられるアンテナを別体で備えることにより、ある通信が他の通信の妨げになることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…非接触給電システム
10…送電装置
20…受電装置
11,21…アンテナ
12,22…通信部
13,23…変換部
14,24…バッテリ
15,25…制御部
16…記憶部
151…判定部
161…抑制条件情報
CC1…第1抑制条件
CC2…第2抑制条件
CC3…第3抑制条件。