(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112462
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】プラズマ発生装置及び気体浄化装置等
(51)【国際特許分類】
H05H 1/24 20060101AFI20230804BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20230804BHJP
A61L 9/22 20060101ALI20230804BHJP
B01J 19/08 20060101ALN20230804BHJP
【FI】
H05H1/24
A61L9/20
A61L9/22
B01J19/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014265
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】504414787
【氏名又は名称】インパクトワールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123401
【弁理士】
【氏名又は名称】花田 吉秋
(74)【代理人】
【識別番号】100182615
【弁理士】
【氏名又は名称】花田 健史
(72)【発明者】
【氏名】林 佑二
【テーマコード(参考)】
2G084
4C180
4G075
【Fターム(参考)】
2G084AA18
2G084AA25
2G084BB11
2G084CC03
2G084CC19
2G084CC33
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2G084DD63
4C180AA02
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4G075AA03
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4G075EB41
4G075EC21
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4G075FB01
4G075FB02
4G075FB06
4G075FC04
4G075FC11
4G075FC15
(57)【要約】
【課題】
誘電体バリア放電によりプラズマを発生させるとともに、プラズマが発する紫外線その他の電磁波を効率的に利用することができるプラズマ発生装置及びこれを利用する気体浄化装置等を提供すること。
【解決手段】
第一電極(11a)と、前記第一電極(11a)との間に距離を隔てて配置される第二電極(11b)と、前記第一電極(11a)と前記第二電極(11b)との間に配置されるとともに、前記第二電極(11b)との間に空間を隔てて配置される第一ガラス層(12a)と、前記第一電極(11a)と前記第一ガラス層(12a)との間に配置される第一金属膜層(13a)であって、前記第一電極(11a)と直ちに又は導電性粘着層を介して接するとともに、前記第一ガラス層(12a)と直ちに又は導電性粘着層を介して接するものと、を備えるプラズマ発生装置(10)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電極と、
前記第一電極との間に距離を隔てて配置される第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に配置されるとともに、前記第二電極との間に空間を隔てて配置される第一ガラス層と、
前記第一電極と前記第一ガラス層との間に配置される第一金属膜層であって、前記第一電極と直ちに又は導電性粘着層を介して接するとともに、前記第一ガラス層と直ちに又は導電性粘着層を介して接するものと、を備える
プラズマ発生装置。
【請求項2】
前記第一電極と前記第一金属膜層との間に配置される第一電極側導電性粘着層と、前記第一ガラス層と前記第一金属膜層との間に配置される第一ガラス層側導電性粘着層と、を備える
請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項3】
前記第一金属膜層が、前記第一電極と前記第一電極側導電性粘着層を介して接する第一電極側金属膜と、前記第一ガラス層と前記第一ガラス層側導電性粘着層を介して接する第一ガラス層側金属膜と、の組み合わせからなる
請求項2に記載のプラズマ発生装置。
【請求項4】
前記第二電極との間に距離を隔てて配置される第三電極であって、前記第一電極との間に前記第二電極を挟んで配置されるものと、
前記第二電極と前記第三電極との間に配置されるとともに、前記第二電極との間に空間を隔てて配置される第二ガラス層と、
前記第三電極と前記第二ガラス層との間に配置される第二金属膜層であって、前記第三電極と直ちに又は導電性粘着層を介して接するとともに、前記第二ガラス層と直ちに又は導電性粘着層を介して接するものと、を備える
請求項1~3のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置。
【請求項5】
前記第三電極と前記第二金属膜層との間に配置される第三電極側導電性粘着層と、前記第二ガラス層と前記第二金属膜層との間に配置される第二ガラス層側導電性粘着層と、を備える
請求項4に記載のプラズマ発生装置。
【請求項6】
前記第二金属膜層が、前記第三電極と前記第三電極側導電性粘着層を介して接する第三電極側金属膜と、前記第二ガラス層と前記第二ガラス層側導電性粘着層を介して接する第二ガラス層側金属膜と、の組み合わせからなる
請求項5に記載のプラズマ発生装置。
【請求項7】
前記第一電極と前記第三電極とが、それぞれ板状の銅からなるものであり、
前記第二電極が、棒状、雄螺子状若しくは螺旋状のチタンからなるものであるか、又は棒状の金属からなり、線状の金属若しくはその酸化物であって、触媒として作用するものが螺旋状に巻き付けられたものであり、
前記第一ガラス層と前記第二ガラス層とが、それぞれ板状の石英ガラス又はホウケイ酸ガラスからなるものであり、
前記第一金属膜層と前記第二金属膜層とが、それぞれアルミニウム若しくは銀の箔からなるものであるか、又はそれぞれアルミニウム若しくは銀の蒸着膜からなるものである
請求項4~6のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置。
【請求項8】
前記第一ガラス層、前記第二電極及び前記第二ガラス層のそれぞれとの間に空間を隔てて配置される第四電極であって、前記第一ガラス層との間に前記第二電極を挟むことなく配置されるとともに、前記第三ガラス層との間に前記第二電極を挟むことなく配置されるものを更に備え、
前記第四電極が、棒状、雄螺子状若しくは螺旋状のチタンからなるものであるか、又は棒状の金属からなり、線状の金属若しくはその酸化物であって、触媒として作用するものが螺旋状に巻き付けられたものである
請求項4~7のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置と、
浄化しようとする気体が流れるための流路と、を備える
気体浄化装置。
【請求項10】
前記第二電極の延びる方向と前記流路の延びる方向とが互いに交わるように配置される
請求項9に記載の気体浄化装置。
【請求項11】
オゾンを分解する触媒及びこれを保持する担体からなる第一フィルタを備え、
前記第一フィルタが、前記流路のうち、前記第二電極より下流側に配置され、前記第一電極と前記第三電極との間に配置され、かつ、前記第一電極と接するとともに、前記第三電極と接する
請求項9又は10に記載の気体浄化装置。
【請求項12】
前記第一電極のうち前記第二電極と対向する側にある表面が、
前記第一金属膜層と直ちに又は導電性粘着層を介して接する部分である第一部分と、
前記第一フィルタと接する部分である第二部分と、
前記第一部分と前記第二部分との間にあって、露出する部分である第三部分と、
を備えるとともに、
前記第三電極のうち前記第二電極と対向する側にある表面が、
前記第二金属膜層と直ちに又は導電性粘着層を介して接する部分である第一部分と、
前記第一フィルタと接する部分である第二部分と、
前記第一部分と前記第二部分との間にあって、露出する部分である第三部分と、
を備える
請求項11に記載の気体浄化装置。
【請求項13】
カルシウム及びこれを保持する担体からなる第二フィルタを備え、
前記第二フィルタが、前記流路のうち、前記第二電極より下流側に配置される
請求項9~12のいずれか1項に記載の気体浄化装置。
【請求項14】
酸化第二鉄及びこれを保持する担体からなる第三フィルタを備え、
前記第三フィルタが、前記流路のうち、前記第二電極より下流側に配置される
請求項9~13のいずれか1項に記載の気体浄化装置。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか1項に記載の気体浄化装置と、
請求項9~14のいずれか1項に記載の他の気体浄化装置と、を備え、
前記気体浄化装置の前記第一電極と前記他の気体浄化装置の前記第三電極とが電気的に接続されるか、又は前記気体浄化装置の前記第二電極と前記他の気体浄化装置の前記第二電極とが電気的に接続されることにより、前記気体浄化装置と前記他の気体浄化装置とが垂直的に又は水平的に結合した構造を有する
気体浄化装置。
【請求項16】
請求項1~8のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置と、
浄化しようとする気体が通過するための流路と、
前記流路に沿って風を送るための送風装置と、を備える
気体浄化装置。
【請求項17】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置と、
浄化しようとする気体が流れるための流路と、を備え、
前記第一電極と前記第一ガラス層とが、それぞれ環状のものであり、
前記第二電極が、羽根状のものであって、回転軸に連結されるものである
気体浄化装置。
【請求項18】
二以上の通風孔を有する有孔鏡を備え、
前記有孔鏡が、前記流路のうち、前記第二電極より上流側に配置される
請求項9~17のいずれか1項に記載の気体浄化装置。
【請求項19】
床面を走行するための走行手段と、
前記走行手段を駆動するための駆動手段と、
前記駆動手段を自動制御するための自動制御手段と、を備える
請求項9~18のいずれか1項に記載の気体浄化装置。
【請求項20】
請求項1~8のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置と、活性化しようとする気体が流れるための流路と、を備える気体活性化装置と、
前記気体活性化装置に向けて風を送るための送風装置と、を備える
固体浄化装置。
【請求項21】
室内の空気を循環させながら調節する空気調節装置に請求項9~15のいずれか1項に記載の気体浄化装置を取り付けることにより、室内の空気を循環させながら、これを調整するとともに浄化する空気調整浄化装置を製造する方法。
【請求項22】
第一電極と、
前記第一電極との間に距離を隔てて配置される第二電極と、
前記第二電極との間に距離を隔てて配置される第三電極であって、前記第一電極との間に前記第二電極を挟んで配置されるものと、
前記第一電極と前記第二電極との間に配置されるとともに、前記第二電極との間に空間を隔てて配置される第一ガラス層と、
前記第二電極と前記第三電極との間に配置されるとともに、前記第二電極との間に空間を隔てて配置される第二ガラス層と、を備え、
前記第一電極と前記第一ガラス層とが、直ちに又は導電性粘着層を介して互いに接して紫外線を反射する第一反射鏡を構成し、
前記第三電極と前記第二ガラス層とが、直ちに又は導電性粘着層を介して互いに接して紫外線を反射する第二反射鏡を構成する
プラズマ発生装置。
【請求項23】
請求項22に記載のプラズマ発生装置と、
浄化しようとする気体が流れるための流路と、を備える
気体浄化装置
【請求項24】
前記第二電極の延びる方向と前記流路の延びる方向とが互いに交わるように配置される請求項23に記載の気体浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ発生装置及びこれを利用することにより室内の空気その他の気体を浄化する気体浄化装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、プラズマと触媒とを融合させた技術(Plasma Assisted Catalytic Technology,PACT)、すなわち、プラズマの作用と触媒の作用とを相乗的に利用して気体を浄化する技術を開発し(特許文献1)、以来、当該技術について研究を重ねてきた(例えば、特許文献2、特許文献3等)。
【0003】
当該技術は、常温かつ大気圧下においてプラズマを発生させ、オゾンその他のラジカルを発生させるとともに、触媒を活性化させることによって、気体中に含まれる有害物質を酸化分解し、あるいはこれを還元分解し、もって当該気体を効率的に浄化するものである(特許文献2)。すなわち、当該技術は、プラズマ励起と触媒活性の両効果を時空間的に共存させるものである。
【0004】
さらに、本発明者らが当該技術を使用してウイルスを不活性化させることができるか否かについて試験を行ったところ、当該技術がウイルスを不活性化させるための有効な手段となることが示された(非特許文献1)。
【0005】
ところで、ウイルスの感染経路として、接触感染、飛沫感染又は飛沫核感染(いわゆる「空気感染」)等の種類があるところ、現下の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病原体であるコロナウイルス(SARS-CoV-2。以下単に「新型コロナウイルス」という。)については、接触感染及び飛沫感染の蓋然性が報告されているほか、飛沫核感染の可能性も指摘されている。
【0006】
いずれにせよ、新型コロナウイルスを含むウイルスについて、飛沫感染のうち、空気中で浮遊する微小化した飛沫を介したもの(いわゆる「エアロゾル感染」ないし「マイクロ飛沫感染」)の可能性を否定することができない限り、室内の空気中を浮遊するウイルスの量を可能な限り減少させることが求められている。
【0007】
取り分け、新型コロナウイルスのうち、突然変異をしたものの一部、例えば、デルタ株(B.1.617.2)等にあっては、従来のものに比してより少ないウイルスの量をもって感染が成立することが報告されており、その一因として、従来のものに感染するか、又は従来のものに向けられたmRNAワクチンを接種することにより液性免疫が誘導された場合であっても、突然変異をしたものの一部に対しては、当該液性免疫が十分な効果を奏しないおそれが指摘される中、今後も更なる突然変異の可能性を否定することができない。
【0008】
このため、新型コロナウイルスの突然変異に対応することができるワクチン及び治療薬の開発が急がれる中、これらの開発とともに、日常生活においても、室内の空気中に浮遊するウイルスの量を可能な限り減少させることが求められている。
【0009】
そこで、従来の空気浄化装置のうちプラズマ発生装置を利用するものについてみると、例えば、「放電電極の少なくとも一部が誘電体で覆われた電極パネルを積層した構造を有し、隣接する前記電極パネル間の隙間に気体を流して電圧を印加することによりプラズマを発生させるプラズマパネル積層体を備えるプラズマ発生器と、前記プラズマ発生器の下流側に配設され、オゾンを分解する触媒を触媒担体に担持させてなるオゾンフィルタとを備えたことを特徴とする空気清浄器」がある(特許文献4の段落[0008]。以下この空気清浄器を「従来の空気浄化装置」という。)。
【0010】
そして、従来の空気浄化装置によれば、「気体がプラズマ発生器の電極パネル間の隙間を通過する際に、誘電体バリア放電による電撃により、……、生物微粒子であるウイルスが不活性化される」(特許文献4の段落[0009])という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公平8-22367号公報
【特許文献2】特開2011-50929号公報(特許第5479826号公報)
【特許文献3】特開2012-34760号公報(特許第5697075号公報)
【特許文献4】特開2018-110648号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】The Journal of Veterinary Medical Science 80(9):1459-1462,2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
プラズマは、一般に、可視光線その他の電磁波を発するものであるところ、空気は窒素を含むことから、空気のプラズマは窒素のプラズマを含むことになる。
【0014】
そして、窒素のプラズマは、可視光線(電磁波のうち波長が400~800nmの範囲にあるものをいう。)を発するほか、紫外線(電磁波のうち波長が1~400nmの範囲にあるものをいう。)のうち、近紫外線(電磁波のうち波長が200~400nmの範囲にあるものをいう。)、特に波長が300~380nmの範囲にあるものを発する。
【0015】
ところで、紫外線にウイルスを不活性化させる働きがあることが知られているところ、この点に関し、従来の空気浄化装置についてみると、次のとおりである。
【0016】
従来の空気浄化装置にあっては、誘電体として、セラミックス、特に酸化アルミニウム(Al2O3)からなるものが採用されている(特許文献4の段落[0011])。
【0017】
しかしながら、酸化アルミニウムの有する紫外線反射率は十分なものではなく、また、酸化アルミニウムからなる表面が紫外線の照射を受け続けるうちに変色することに伴って紫外線反射率が更に低減する、との問題がある。
【0018】
同様に、誘電体以外の部分、例えば、ハウジングについてみても、ステンレスからなるものが採用されており(同段落[0023])、その紫外線反射率は、酸化アルミニウムに比して、更に低いものとなっている。
【0019】
このため、従来の空気浄化装置にあっては、窒素のプラズマが発する紫外線が誘電体又はハウジングの表面に衝突した場合において、その少なくない部分が反射されることなく吸収されてしまい、紫外線の利用に損失が生じる結果、紫外線により不活性化させることができるウイルスの量を十分なものとすることができないおそれがある。
【0020】
そこで、本発明は、誘電体バリア放電によりプラズマを発生させるとともに、プラズマが発する紫外線その他の電磁波を効率的に利用することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、課題を解決するための手段として、以下の構成を有する。
【0022】
[1]
第一電極と、
前記第一電極との間に距離を隔てて配置される第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に配置されるとともに、前記第二電極との間に空間を隔てて配置される第一ガラス層と、
前記第一電極と前記第一ガラス層との間に配置される第一金属膜層であって、前記第一電極と直ちに又は導電性粘着層を介して接するとともに、前記第一ガラス層と直ちに又は導電性粘着層を介して接するものと、を備える
プラズマ発生装置。
【0023】
[2]
前記第一電極と前記第一金属膜層との間に配置される第一電極側導電性粘着層と、前記第一ガラス層と前記第一金属膜層との間に配置される第一ガラス層側導電性粘着層と、を備える
上記[1]に記載のプラズマ発生装置。
【0024】
[3]
前記第一金属膜層が、前記第一電極と前記第一電極側導電性粘着層を介して接する第一電極側金属膜と、前記第一ガラス層と前記第一ガラス層側導電性粘着層を介して接する第一ガラス層側金属膜と、の組み合わせからなる
上記[2]に記載のプラズマ発生装置。
【0025】
[4]
前記第二電極との間に距離を隔てて配置される第三電極であって、前記第一電極との間に前記第二電極を挟んで配置されるものと、
前記第二電極と前記第三電極との間に配置されるとともに、前記第二電極との間に空間を隔てて配置される第二ガラス層と、
前記第三電極と前記第二ガラス層との間に配置される第二金属膜層であって、前記第三電極と直ちに又は導電性粘着層を介して接するとともに、前記第二ガラス層と直ちに又は導電性粘着層を介して接するものと、を備える
上記[1]~[3]のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【0026】
[5]
前記第三電極と前記第二金属膜層との間に配置される第三電極側導電性粘着層と、前記第二ガラス層と前記第二金属膜層との間に配置される第二ガラス層側導電性粘着層と、を備える
上記[4]に記載のプラズマ発生装置。
【0027】
[6]
前記第二金属膜層が、前記第三電極と前記第三電極側導電性粘着層を介して接する第三電極側金属膜と、前記第二ガラス層と前記第二ガラス層側導電性粘着層を介して接する第二ガラス層側金属膜と、の組み合わせからなる
上記[5]に記載のプラズマ発生装置。
【0028】
[7]
前記第一電極と前記第三電極とが、それぞれ板状の銅からなるものであり、
前記第二電極が、棒状、雄螺子状若しくは螺旋状のチタンからなるものであるか、又は棒状の金属からなり、線状の金属若しくはその酸化物であって、触媒として作用するものが螺旋状に巻き付けられたものであり、
前記第一ガラス層と前記第二ガラス層とが、それぞれ板状の石英ガラス又はホウケイ酸ガラスからなるものであり、
前記第一金属膜層と前記第二金属膜層とが、それぞれアルミニウム若しくは銀の箔からなるものであるか、又はそれぞれアルミニウム若しくは銀の蒸着膜からなるものである
上記[4]~[6]のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【0029】
[8]
前記第一ガラス層、前記第二電極及び前記第二ガラス層のそれぞれとの間に空間を隔てて配置される第四電極であって、前記第一ガラス層との間に前記第二電極を挟むことなく配置されるとともに、前記第三ガラス層との間に前記第二電極を挟むことなく配置されるものを更に備え、
前記第四電極が、棒状、雄螺子状若しくは螺旋状のチタンからなるものであるか、又は棒状の金属からなり、線状の金属若しくはその酸化物であって、触媒として作用するものが螺旋状に巻き付けられたものである
上記[4]~[7]のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【0030】
[9]
上記[1]~[8]のいずれかに記載のプラズマ発生装置と、
浄化しようとする気体が流れるための流路と、を備える
気体浄化装置。
【0031】
[10]
前記第二電極の延びる方向と前記流路の延びる方向とが互いに交わるように配置される
上記[9]に記載の気体浄化装置。
【0032】
[11]
オゾンを分解する触媒及びこれを保持する担体からなる第一フィルタを備え、
前記第一フィルタが、前記流路のうち、前記第二電極より下流側に配置され、前記第一電極と前記第三電極との間に配置され、かつ、前記第一電極と接するとともに、前記第三電極と接する
上記[9]又は[10]に記載の気体浄化装置。
【0033】
[12]
前記第一電極のうち前記第二電極と対向する側にある表面が、
前記第一金属膜層と直ちに又は導電性粘着層を介して接する部分である第一部分と、
前記第一フィルタと接する部分である第二部分と、
前記第一部分と前記第二部分との間にあって、露出する部分である第三部分と、
を備えるとともに、
前記第三電極のうち前記第二電極と対向する側にある表面が、
前記第二金属膜層と直ちに又は導電性粘着層を介して接する部分である第一部分と、
前記第一フィルタと接する部分である第二部分と、
前記第一部分と前記第二部分との間にあって、露出する部分である第三部分と、
を備える
上記[11]に記載の気体浄化装置。
【0034】
[13]
カルシウム及びこれを保持する担体からなる第二フィルタを備え、
前記第二フィルタが、前記流路のうち、前記第二電極より下流側に配置される
上記[9]~[12]のいずれかに記載の気体浄化装置。
【0035】
[14]
酸化第二鉄及びこれを保持する担体からなる第三フィルタを備え、
前記第三フィルタが、前記流路のうち、前記第二電極より下流側に配置される
上記[9]~[13]のいずれかに記載の気体浄化装置。
【0036】
[15]
上記[9]~[14]のいずれかに記載の気体浄化装置と、
上記[9]~[14]のいずれかに記載の他の気体浄化装置と、を備え、
前記気体浄化装置の前記第一電極と前記他の気体浄化装置の前記第三電極とが電気的に接続されるか、又は前記気体浄化装置の前記第二電極と前記他の気体浄化装置の前記第二電極とが電気的に接続されることにより、前記気体浄化装置と前記他の気体浄化装置とが垂直的に又は水平的に結合した構造を有する
気体浄化装置。
【0037】
[16]
上記[1]~[8]のいずれかに記載のプラズマ発生装置と、
浄化しようとする気体が通過するための流路と、
前記流路に沿って風を送るための送風装置と、を備える
気体浄化装置。
【0038】
[17]
上記[1]~[3]のいずれかに記載のプラズマ発生装置と、
浄化しようとする気体が流れるための流路と、を備え、
前記第一電極と前記第一ガラス層とが、それぞれ環状のものであり、
前記第二電極が、羽根状のものであって、回転軸に連結されるものである
気体浄化装置。
【0039】
[18]
二以上の通風孔を有する有孔鏡を備え、
前記有孔鏡が、前記流路のうち、前記第二電極より上流側に配置される
上記[9]~[17]のいずれかに記載の気体浄化装置。
【0040】
[19]
床面を走行するための走行手段と、
前記走行手段を駆動するための駆動手段と、
前記駆動手段を自動制御するための自動制御手段と、を備える
上記[9]~[18]のいずれかに記載の気体浄化装置。
【0041】
[20]
上記[1]~[8]のいずれかに記載のプラズマ発生装置と、活性化しようとする気体が流れるための流路と、を備える気体活性化装置と、
前記気体活性化装置に向けて風を送るための送風装置と、を備える
固体浄化装置。
【0042】
[21]
室内の空気を循環させながら調節する空気調節装置に上記[9]~[15]のいずれかに記載の気体浄化装置を取り付けることにより、室内の空気を循環させながら、これを調整するとともに浄化する空気調整浄化装置を製造する方法。
【0043】
[22]
第一電極と、
前記第一電極との間に距離を隔てて配置される第二電極と、
前記第二電極との間に距離を隔てて配置される第三電極であって、前記第一電極との間に前記第二電極を挟んで配置されるものと、
前記第一電極と前記第二電極との間に配置されるとともに、前記第二電極との間に空間を隔てて配置される第一ガラス層と、
前記第二電極と前記第三電極との間に配置されるとともに、前記第二電極との間に空間を隔てて配置される第二ガラス層と、を備え、
前記第一電極と前記第一ガラス層とが、直ちに又は導電性粘着層を介して互いに接して紫外線を反射する第一反射鏡を構成し、
前記第三電極と前記第二ガラス層とが、直ちに又は導電性粘着層を介して互いに接して紫外線を反射する第二反射鏡を構成する
プラズマ発生装置。
【0044】
[23]
上記[22]に記載のプラズマ発生装置と、
浄化しようとする気体が流れるための流路と、を備える
気体浄化装置
【0045】
[24]
前記第二電極の延びる方向と前記流路の延びる方向とが互いに交わるように配置される上記[23]に記載の気体浄化装置。
【発明の効果】
【0046】
よって、本発明は、誘電体バリア放電によりプラズマを発生させるとともに、プラズマが発する紫外線その他の電磁波を効率的に利用することができる、との効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の正面図(a)及び同装置の部分拡大図(b)である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の作用図(a)及び比較例に係るプラズマ発生装置の作用図(b)である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の側面図(a)及び同装置の作用図(b)である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の斜視図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の斜視部分断面図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の作用図(a)及び比較例に係るプラズマ発生装置の作用図(b)である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の作用図である。
【
図8】本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の他の態様の斜視図(a1)及び斜視断面図(a2)の組み合わせ(a)、同装置の他の態様の斜視図(b1)及び斜視断面図(b2)の組み合わせ(b)並びに本発明の第七実施形態に係るプラズマ発生装置の斜視図(c1)及び斜視断面図(c2)の組み合わせ(c)である。
【
図9】本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置等と関係する第二電極の他の態様の正面図(a)、同(b)及び同(c)並びに同電極の他の態様の部分断面正面図(d)並びに同電極の他の態様の部分拡大部分断面正面図(e)である。
【
図10】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の正面図(a)及び同装置の部分拡大図(b)である。
【
図11】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の背面図(a)及び同装置の部分拡大図(b)である。
【
図12】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の断面図(a)及び同装置の作用図(b)である。
【
図13】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の他の態様の断面図(a)及び同装置の他の態様の断面図(b)である。
【
図14】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の他の態様の断面図(a)及び同装置の他の態様の断面図(b)である。
【
図15】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の斜視図である。
【
図16】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の斜視図である。
【
図17】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の斜視断面図である。
【
図18】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置等と関係する第一フィルタの斜視図(a)並びに同フィルタの部分拡大図(b)及び同(c)である。
【
図19】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の分解斜視図である。
【
図20】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の分解正面図(a)並びに同装置の分解断面図(b)及び同(c)である。
【
図21】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の分解平面図(a)、同(b)、同(c)及び同(d)である。
【
図22】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の分解底面図(a)、同(b)、同(c)及び同(d)である。
【
図23】本発明の第一実施形態に係る複数の気体浄化装置の組立過程図(a)、同装置の部分拡大図(b)及び同装置の組立完了図(c)である。
【
図24】本発明の第一実施形態に係る複数の気体浄化装置の正面図(a)並びに同装置の部分拡大図(b)及び同(c)である。
【
図25】本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置の背面図である。
【
図26】本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置の断面図である。
【
図27】本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置の作用図である。
【
図28】本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置の斜視図である。
【
図29】本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置の斜視部分断面図である。
【
図30】本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置の斜視部分断面図である。
【
図31】本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置を利用する本発明の第三実施形態に係る自走式気体浄化装置の斜視図である。
【
図32】本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置を利用する本発明の第三実施形態に係る自走式気体浄化装置の斜視部分断面図である。
【
図33】本発明の第四実施形態に係る気体活性化装置を利用する本発明の第五実施形態に係る固体浄化装置の正面図(a)及び同装置の背面図(b)である。
【
図34】本発明の第四実施形態に係る気体活性化装置を利用する本発明の第五実施形態に係る固体浄化装置の斜視図(a)及び同(b)である。
【
図35】本発明の第四実施形態に係る気体活性化装置を利用する本発明の第五実施形態に係る固体浄化装置の分解斜視図である。
【
図36】本発明の第四実施形態に係る気体活性化装置を利用する本発明の第五実施形態に係る固体浄化装置の分解斜視図である。
【
図37】本発明の第四実施形態に係る気体活性化装置を利用する本発明の第五実施形態に係る固体浄化装置と密閉容器との組み合わせの斜視図である。
【
図38】本発明の第四実施形態に係る気体活性化装置を利用する本発明の第五実施形態に係る固体浄化装置と密閉容器との組み合わせの作用図である。
【
図39】本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置を利用する本発明の第六実施形態に係る空気調節浄化装置の斜視断面図(a)及び同空気調節浄化装置の部分拡大図(b)である。
【
図40】本発明の第八実施形態に係るプラズマ発生装置を利用する本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の斜視図(a)、同気体浄化装置の斜視断面図(b)及び同装置の断面図(c)である。
【
図41】本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の作用図(a)及び同(b)である。
【
図42】本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の他の態様の部分拡大図(a)、同(b)、同(c)、同(d)及び同(e)である。
【
図43】本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の他の態様の部分拡大図(a)、同(b)、同(c)、同(d)及び同(e)である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら、説明する。本発明を実施するための形態として、例えば、第一実施形態と第二実施形態と第三実施形態と第四実施形態と第五実施形態と第六実施形態と第七実施形態と第八実施形態とがある。
【0049】
[図面の詳細な説明]
図面は、
図1から
図43まである。これらの詳細について説明すると、以下のとおりである。
図1から
図24(
図8(c)を除く。)まで及び
図41から
図43までは、本発明の第一実施形態を示す図面であり、
図25から
図30までは本発明の第二実施形態を示す図面であり、
図31及び
図32は本発明の第三実施形態を示す図面であり、
図33から
図38までは本発明の第四実施形態及び第五実施形態を示す図面であり、
図39は本発明の第六実施形態を示す図面であり、
図8(c)は本発明の第七実施形態を示す図面であり、
図40は本発明の第八実施形態を示す図面である。
【0050】
図1は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の正面を示す正面図(a)と、(a)中の破線で囲んだ部分を拡大して示す部分拡大図(b)と、からなるものである。
【0051】
図2は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の作用を示す作用図(a)と、比較例に係るプラズマ発生装置の作用を示す作用図(b)と、からなるものである。
【0052】
図3は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の側面を示す側面図(a)と、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の作用を示す作用図(b)と、からなるものである。
【0053】
図4は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の正面、平面及び右側面を示す斜視図(a)である。この図において、斜視部分断面図である
図5のための切断線を一点鎖線によりa-a線として示す。
【0054】
図5は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置を部分的に
図4中のa-a線に沿って切断したものの正面、平面及び右側面を示す斜視部分断面図である。この図において、
図6及び
図7において省略する部分を示す省略線を波状の一点鎖線により示す。
【0055】
図6は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の作用を示す作用図(a)と、比較例に係るプラズマ発生装置の作用を示す作用図(b)と、からなるものである。
【0056】
図7は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置のうち、対向する一対の反射鏡を有するものの作用を示す作用図である。
【0057】
図8は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の他の態様を示す斜視図(a1)及び斜視断面図(a2)の組み合わせ(a)、同装置の他の態様の斜視図(b1)及び斜視断面図(b2)の組み合わせ(b)並びに本発明の第七実施形態に係るプラズマ発生装置の斜視図(c1)及び斜視断面図(c2)の組み合わせ(c)からなるものである。(a)は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置で環状の第一電極と棒状の第二電極とを備えるものを示す斜視図(a1)と、同装置を(a1)中のb-b線に沿って切断したものを示す斜視断面図(a2)と、の組み合わせである。(b)は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置で板状の第一電極と棒状の第二電極とを備えるものを示す斜視図(b1)と、同装置を(b1)中のc-c線に沿って切断したものを示す斜視断面図(b2)と、の組み合わせである。(c)は、本発明の第七実施形態に係るプラズマ発生装置を示す斜視図(c1)と、同装置を(c1)中のd-d線に沿って切断したものを示す斜視断面図(c2)と、の組み合わせである。
【0058】
図9は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置等と関係する第二電極の他の態様を示す図面(a)、同(b)、同(c)、同(d)及び同(e)からなるものである。(a)は、棒状の第二電極を示す正面図である。(b)は、螺旋状の第二電極を示す正面図である。(c)は、棒状の第二電極と螺旋状の触媒層との組み合わせを示す正面図である。(d)は、棒状の第二電極と環状の触媒層との組み合わせを示す正面図であって、その一部分の断面を併せて示す部分断面図でもある。(e)は、雄螺子状の第二電極とその溝部に配置された触媒層との組み合せの一部分を拡大するとともに、他の部分を省略して示す部分拡大正面図であって、当該一部分のうち更にその一部分の断面を併せて示す部分断面図でもある。
【0059】
図10は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の正面を示す正面図(a)と、(a)中の破線で囲んだ部分を拡大して示す部分拡大図(b)と、からなるものである。この図において、断面図である
図12及び斜視断面図である
図17のための切断線を一点鎖線によりe-e線として示す。以下、
図11、
図15及び
図16において同じ。
【0060】
図11は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の背面を示す背面図(a)と、(a)中の破線で囲んだ部分を拡大して示す部分拡大図(b)と、からなるものである。
【0061】
【0062】
図13は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置で二本の第二電極を備えるものを
図10(a)中のe―e線に準ずる切断線に沿って切断したものを示す断面図(a)と、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置でフィルタを備えないものを
図10(a)中のe―e線に準ずる切断線に沿って切断したものを示す断面図(b)と、からなるものである。
【0063】
図14は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置で第一フィルタと第二フィルタとを備えるものを
図10(a)中のe―e線に準ずる切断線に沿って切断したものを示す断面図(a)と、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置で第一フィルタと第三フィルタとを備えるものを
図10(a)中のe―e線に準ずる切断線に沿って切断したものを示す断面図(b)と、からなるものである。
【0064】
図15は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の正面、平面及び右側面を示す斜視図である。この図において、斜視断面図である
図17のための切断線を一点鎖線によりf-f線として示す。以下、
図16において同じ。また、この図において、第二電極が延びる方向を白矢印付きの破線により示す。以下、
図16、
図17及び
図40(b)において同じ。
【0065】
図16は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の背面、左側面及び平面を示す斜視図である。
【0066】
図17は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置を
図15及び
図16中のe―e線に沿って切断し、更に
図15及び
図16中のf―f線に沿って切断したものの正面、平面及び右側面を示す斜視断面図である。
【0067】
図18は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置等と関係する第一フィルタの正面、平面及び右側面を示す斜視図(a)と、(a)中の破線で囲んだ部分を拡大して示す部分拡大図(b)と、(b)図中の破線で囲んだ部分を拡大して示す部分拡大図(c)と、からなるものである。
【0068】
図19は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置を分解したものの正面、平面及び右側面を示す斜視図である。なお、図中の一点鎖線は、切断線を示す場合を除き、配置における要素間又は部分間の対応関係を示すものである。以下、
図20から
図22までにおいて同じ。また、図中のギリシャ文字α,β,γ,δも、配置における要素間又は部分間の対応関係を示すものである。
【0069】
図20は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置を分解したものの正面を示す正面図(a)と、同装置を(a)中のg―g線に沿って切断したものを示す断面図(b)と、同装置を(a)中のh―h線に沿って切断したものを示す断面図(c)と、からなるものである。
【0070】
図21は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置を分解したものの底面を示す底面図であって、第一電極を示す部分(a)と、第一金属膜層を示す部分(b)と、第一ガラス層を示す部分(c)と、第二電極、第一スペーサ及び第二スペーサ並びに第一フィルタを示す部分(d)と、からなるものである。なお、(a)、(b)及び(c)は、透過図でもある。
【0071】
図22は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置を分解したものの底面を示す底面図であって、第二電極、第一スペーサ及び第二スペーサ並びに第一フィルタを示す部分(a)と、第二ガラス層を示す部分(b)と、第二金属膜層を示す部分(c)と、第三電極を示す部分(d)と、からなるものである。なお、(b)、(c)及び(d)は、透過図でもある。
【0072】
図23は、本発明の第一実施形態に係る複数の気体浄化装置を互いに組み合わせる過程にあるものの正面、平面及び右側面を示す斜視図(a)と、(a)中の破線で囲んだ部分を拡大して示す部分拡大図(b)と、本発明の第一実施形態に係る複数の気体浄化装置を互いに組み合わせたものの正面、平面及び右側面を示す斜視図(c)と、からなるものである。
【0073】
図24は、本発明の第一実施形態に係る複数の気体浄化装置を互いに組み合わせたものの正面を示す正面図(a)と、(a)中の破線で囲んだ部分を拡大して示す部分拡大図であって、連結手段を強調するもの(b)と、(a)中の破線で囲んだ部分を拡大して示す部分拡大図であって、一部を透過させて第二電極を強調するもの(c)と、からなるものである。
【0074】
図25は、本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置の背面を示す背面図である。この図において、断面図である
図26のための切断線を一点鎖線によりi-i1線として示すとともに、斜視部分断面図である
図29及び
図30のための切断線を一点鎖線によりi―i2線として示す。以下、
図28において同じ。また、この図において、第二電極が回転する方向を白矢印付きの破線により示す。以下、
図28及び
図29において同じ。
【0075】
図26は、本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置を
図25中のi-i1線に沿って切断したものを示す断面図である。
【0076】
図27は、本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置の作用を示す作用図である。この図において、紫外線が進む方向を白矢印付きの破線により示す。
【0077】
図28は、本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置の背面、左側面及び平面を示す斜視図である。
【0078】
図29は、本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置を
図25及び
図28中のi―i2線に沿って切断したものの背面、左側面及び平面を示す斜視部分断面図である。
【0079】
図30は、本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置を
図25及び
図28中のi―i2線に沿って切断したものの正面、左側面及び平面を示す斜視部分断面図である。
【0080】
図31は、本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置を利用する本発明の第三実施形態に係る自走式気体浄化装置の正面、右側面及び底面を示す斜視図である。この図において、斜視部分断面図である
図32のための切断線を一点鎖線によりj-j線として示す。
【0081】
図32は、本発明の第二実施形態に係る気体浄化装置を利用する本発明の第三実施形態に係る自走式気体浄化装置を
図31中のj-j線に沿って切断したものの正面、右側面及び底面を示す斜視部分断面図である。
【0082】
図33は、本発明の第四実施形態に係る気体活性化装置を利用する本発明の第五実施形態に係る固体浄化装置の正面を示す正面図(a)と、同固体浄化装置の背面を示す背面図(b)と、からなるものである。
【0083】
図34は、本発明の第四実施形態に係る気体活性化装置を利用する本発明の第五実施形態に係る固体浄化装置の背面、底面及び左側面を示す斜視図(a)と、同固体浄化装置の正面、平面及び右側面を示す斜視図(b)と、からなるものである。
【0084】
図35は、本発明の第四実施形態に係る気体活性化装置を利用する本発明の第五実施形態に係る固体浄化装置を分解したものの正面、平面及び右側面を示す斜視図である。
【0085】
図36は、本発明の第四実施形態に係る気体活性化装置を利用する本発明の第五実施形態に係る固体浄化装置を分解したものの背面、右側面及び底面を示す斜視図である。
【0086】
図37は、本発明の第四実施形態に係る気体活性化装置を利用する本発明の第五実施形態に係る固体浄化装置及び密閉容器の組み合わせの正面、右側面及び底面を示す斜視図である。なお、密閉容器の一部を透過させて、密閉容器の内部の状態を示している。以下、
図38において同じ。また、この図において、密閉容器の扉が開閉することを白矢印付き破線により示す。
【0087】
図38は、本発明の第四実施形態に係る気体活性化装置を利用する本発明の第五実施形態に係る固体浄化装置及び密閉容器の組み合わせの作用を示す作用図である。
【0088】
図39は、本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置を利用する本発明の第六実施形態に係る空気調節浄化装置を水平面に対して垂直に交わる平面で切断したものの正面、右側面及び底面を示す斜視断面図(a)と、(a)中の破線で囲んだ部分を拡大して示す部分拡大図(b)と、からなるものである。
【0089】
図40は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置に代えて本発明の第八実施形態に係るプラズマ発生装置を利用する本発明の第一実施形態に係る気体浄化装置の正面、平面及び右側面を示す斜視図(a)で、斜視断面図である(b)及び断面図である(c)のための切断線を一点鎖線によりk-k線として示すものと、同気体浄化装置を(a)中のk-k線に沿って切断したものの正面、平面及び右側面を示す斜視断面図(b)と、同装置を(a)中のk-k線に沿って切断したものの断面図(c)である。
【0090】
図41は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置でより好ましい態様のものの作用を示す作用図(a)と、同装置で当該より好ましい態様のものと対比するためのものの作用を示す作用図(b)と、からなるものである。(a)は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置でより好ましい態様のものが熱を受けてある状態(a1)から他の状態(a2)へと変化することを示すものである。(b)は、同装置で当該より好ましい態様のものと対比するためのものが熱を受けてある状態(b1)から他の状態(b2)へと変化することを示すものである。なお、この図において、(a1)及び(a2)間並びに(b1)及び(b2)間の層と層との対応関係を破線により示す。
【0091】
図42は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の他の態様の一部を拡大して示す部分拡大図(a)と、同(b)と、同(c)と、同(d)と、同(e)と、からなるものである。(a)は、拡大されたある部分(a1)と拡大された他の部分(a2)との組み合わせであり、(b)から(e)もこの例による。
【0092】
図43は、本発明の第一実施形態に係るプラズマ発生装置の他の態様の一部を拡大して示す部分拡大図(a)と、同(b)と、同(c)と、同(d)と、同(e)と、からなるものである。(a)は、拡大されたある部分(a1)と拡大された他の部分(a2)との組み合わせであり、(b)から(e)もこの例による。
【第一実施形態】
【0093】
[気体浄化装置1]
気体浄化装置1は、室内の空気その他の浄化しようとする気体Gを、内部に入れて浄化してから外部に出すことにより、浄化した気体を得るためのものである。すなわち、気体浄化装置1は、気体浄化機能を有するものである。
【0094】
なお、この明細書にいう「浄化しようとする気体G」には、浄化しようとする気体そのもののほか、これを現に浄化した気体と、これらの間の状態にある気体と、を含むことがあるものとする。このことは、図面においても同様である。
【0095】
浄化しようとする気体として、例えば、室内の空気のほか、酸素マスク又は人工呼吸器における感染症患者からの呼気、空気調節装置からの冷媒ガス、内燃機関からの排気ガスが挙げられる。
【0096】
この明細書にいう「室内」には、住屋、病院、学校、店舗、事業所、工場、倉庫その他の土地に定着している建物の室内のほか、自動車、トロリーバス、路面電車、鉄道車両、船舶、航行機その他の人が乗ることができる機器の室内を含むものとする。なお、ここでいう「自動車」として、例えば、バス、タクシーその他の事業用自動車、自家用自動車が該当し、ここでいう「航空機」として、例えば、飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船が該当する。また、ここでいう「鉄道車両」には、モノレール、自動案内軌条式旅客輸送システム、リニアモーターカーを含むものとする。
【0097】
気体浄化装置1は、全体として、平板状のものであり、例えば、ハーモニカのように、人の掌に乗せることができる程度の大きさのものであることが好ましい。もっとも、気体浄化装置1は、全体として、円筒状のものであってもよい。
【0098】
気体浄化装置1が平板状のものである場合にあっては、気体浄化装置1の大きさ等は、次のとおりである。
【0099】
気体浄化装置1の幅は、40~160mmであることが好ましく、60~140mmであることがより好ましく、80~120mmであることが更により好ましい。
【0100】
気体浄化装置1の高さは、4~16mmであることが好ましく、6~14mmであることがより好ましく、8~12mmであることが更により好ましい。
【0101】
気体浄化装置1の奥行きは、20~80mmであることが好ましく、30~70mmであることがより好ましく、40~60mmであることが更により好ましい。
【0102】
気体浄化装置1の重さは、5~35gであることが好ましく、10~30gであることがより好ましく、15~25gであることが更により好ましい。
【0103】
このように、気体浄化装置1は、小型かつ軽量のものであるため、例えば、室内の空気を循環させながら調整する空気調節装置に事前又は事後に容易に取り付けることができ、当該空気調節装置をして空気浄化機能を有するものとすることができる。さらに、自走式装置に取り付けて、その機能を拡大することもできる。もっとも、気体浄化装置1と流路に沿って風を送るための送風装置とを組み合わせて、気体浄化機能と送風機能とを併せて有する気体浄化装置とすることもできる。
【0104】
気体浄化装置1は、プラズマ発生装置10と、流路20と、を少なくとも備えるものである。これらのほか、気体浄化装置1は、例えば、フィルタ30を更に備えるものであることが好ましいが、フィルタ30を備えるものでなくてもよい。
【0105】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10]
プラズマ発生装置10は、プラズマPを発生させるための装置として、気体浄化装置1の一部を構成するためのものである。
【0106】
プラズマ発生装置10は、電極11とガラス層12と金属膜層13との組み合わせからなるものである。すなわち、プラズマ発生装置10は、例えば、一の電極11及びこれと対をなす他の電極11とからなる一対の電極Eと、ガラス層12と、金属膜層13と、を備えるものである。ここで、プラズマ発生装置10は、第一の一対の電極E1と、第二の一対の電極E2と、一対のガラス層12,12と、一対の金属膜層13,13とを備えるものであることが好ましい。
【0107】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/電極11]
電極11は、電気伝導体からなり、互いの間に距離を隔てて配置され、これと対をなす他の電極11と併せて、一対の電極Eを構成するためのものである。
【0108】
一対の電極Eは、所定の電圧が加えられると放電し、これらの間にある空間SにおいてプラズマPを発生させる。
【0109】
電極11は、電気伝導体のうち、例えば、金属からなるものが好ましいが、このほか、ステンレス(SUS)その他の合金からなるものであってもよい。
【0110】
一対の電極Eにあっては、一の電極11と、これと対をなす他の電極11とが、互いの間にある空間Sにおいて、絶縁体である気体(以下単に「気体」ということがあるほか、特に「もとの気体」ということがある。)を挟んで配置される。すなわち、空間Sには、気体以外の物質(固体の粒子又は液体の粒子のいずれも除く。以下同じ。)が存在しないため、気体が存在することができる。
【0111】
一対の電極E間に電位差を与えて絶縁破壊を生じさせると放電が始まり、一対の電極E間の空間Sに存在する気体中を電流が流れるようになる。すなわち、当該気体を構成する原子又は分子が電離し、又は当該気体を構成する分子が解離を経て若しくは解離と同時に電離すること等によって、プラズマPが発生する。
【0112】
なお、プラズマPは、電離した原子又は分子及び電離した電子のほか、当該気体を構成する分子から解離した原子であって、電離することなく中性のままであるもの、電離した電子が当該気体を構成する原子又は分子のうち電離することなく中性のままであるものと衝突することによって生じた陰イオン、同衝突等によって励起した原子又は分子その他の活性を有するものを含むものでもある。
【0113】
プラズマPは、大気圧下において発生させたものであることが好ましく、かつ、常温下において発生させたものであることがより好ましい。もっとも、プラズマPは、減圧下において発生させたものであってもよく、高温下において発生させたものであってもよい。
【0114】
プラズマPが発生すると、電離した電子が電離した原子又は分子と再結合する過程又は励起した電子がより低いエネルギー準位に遷移する過程において、電磁波を発するほか、もとの気体以外の他の気体であって、活性を有するもの(以下特に「新たな気体」ということがある。)が新たに生じる等の現象がみられる。
【0115】
プラズマPが発する電磁波は、例えば、次の場合に紫外線UVを含むものとなる。もとの気体が、窒素(N2)であるか、又は窒素(N2)を含むものである場合である。もとの気体が空気である場合にあっては、空気は窒素(N2)を含む気体であるから、もとの気体が窒素(N2)を含むものである場合に当たるため、紫外線UVが発生する。これをより詳しくみると、もとの気体が窒素(N2)である場合又は窒素(N2)を含むものである場合において、当該もとの気体が発する紫外線UVは、近紫外線のうち、その波長が300~380nmの範囲にあって、そのピーク波長が337nm付近にあるものを含むものとなる。また、このことは、他の気体、例えば、酸素(O2)の存在にかかわらず、同様となる。以下もとの気体が窒素(N2)である場合又はもとの気体が窒素(N2)を含むものである場合(もとの気体が空気である場合を含む。)において「紫外線」というとき、特に近紫外線をいうことがあるものとする。なお、紫外線のうち、近紫外線を利用することによる利益は、プラズマ発生装置10の作用の項及び気体浄化装置1の作用の項において、それぞれ説明する。
【0116】
これらのほか、もとの気体が、貴ガス、例えば、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)若しくはキセノン(Xe)であるか、又はこれらのうちのいずれかを含むものである場合にあっても、紫外線が発生する。さらに、もとの気体が、ハロゲンガス、すなわち、フッ素(F2)、塩素(Cl2)又は臭素(Br2)のうちのいずれかと貴ガスとを含むものである場合にあっても、紫外線UVが発生する。
【0117】
新たな気体は、例えば、次の場合に生じる。第一の場合は、もとの気体の分子から解離した原子がもとの気体の分子と結合する場合であり、例えば、酸素原子(O)と酸素分子(O2)とが結合してオゾン(O3)が生じる。第二の場合は、もとの気体の原子のうち励起状態にあるものと基底状態にあるものとが結合する場合であり、例えば、励起状態にあるアルゴン原子(Ar)と基底状態にあるアルゴン原子(Ar)とが結合してアルゴンエキシマ(Ar2)が生じる。第三に、もとの気体が一の気体と他の気体とを含む気体である場合において、一の気体の原子のうち励起状態にあるものと他の気体の分子から解離した原子とが結合するときであり、例えば、アルゴン原子(Ar)とフッ素原子(F)とが結合してフッ化アルゴンエキシプレックス(ArF)が生じる。
【0118】
さらに、新たな気体がエキシマ又はエキシプレックスである場合にあっては、これらが再びもとの気体へと戻る過程において、更なる紫外線を発生する。
【0119】
以上のとおりであるから、もとの気体が空気である場合にあっては、プラズマPが発生すると、空気中の窒素のプラズマが紫外線UVを発するほか、空気中の酸素(O2)からオゾン(O3)が生じる等の現象がみられる。これらのほか、特に酸素(O2)からは、各種の活性酸素、例えば、酸素原子、酸素の陰イオンであるスーパーオキシドアニオン、励起した酸素分子である一重項酸素等が発生する。
【0120】
一対の電極E間における放電は、誘電体を介して行う誘電体バリア放電である。誘電体バリア放電によって、プラズマPの発生を安定して行うことができるとともに、電極11の消耗を抑えることもできる。
【0121】
誘電体バリア放電は、交流電圧によるものであることが好ましい。その交流電圧が示す波形は、正弦波、矩形波又は三角波のうち、正弦波であることが好ましい。その交流電圧の示す振幅、すなわち、電圧の最大値は、6~10KVであることが好ましい。その交流電圧の示す周波数は、5~25KHzであることが好ましい。
【0122】
以上のような交流電圧を一対の電極Eに加えるための電源として、例えば、ロジー電子株式会社製の電源(型名:LHV-05AC、LHV-10AC、LHV-12AC、LHV-13AC)等を使用することができる。さらに、電源から得られる電圧を所定の電圧に変換するための変圧器を併せて使用することもできる。
【0123】
なお、誘電体層バリア放電を行うための交流電圧は、直流電源から得られた直流電圧を変換して得られたものであってもよく、直流電圧を交流電圧に変換してから一対の電極Eに加えるための電源として、例えば、ロジー電子株式会社製の電源(型名:LHV-05DC、LHV-09K-12)等を使用することができる。
【0124】
電極11として、第一電極11aと第二電極11bとがあるほか、更に第三電極11cがあることが好ましい。これらのほか、電極11として、第四電極11d、第五電極(図示しない)、第六電極(図示しない)、第七電極(図示しない)……等があってもよい。
【0125】
一対の電極Eは、例えば、第一電極11aと第二電極11bとから構成されるか、又は第二電極11bと第三電極11cとから構成される。
【0126】
一対の電極Eが二対ある場合にあっては、第一電極11aと第二電極11bとから第一の一対の電極E1が構成されるとともに、第三電極11cと第二電極11bとから第二の一対の電極E2が構成される。
【0127】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/電極11/第一電極11a]
第一電極11aは、電極11のうち、第二電極11bと併せて、第一の一対の電極E1を構成するためのものである。
【0128】
第一電極11aは、熱伝導率が高い金属からなるものであることが好ましく、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、タングステン(W)又は金(Au)のうちのいずれかからなるものであることがより好ましく、これらのうち、アルミニウム、銅又は銀のうちのいずれかからなるものであることが更により好ましい。
【0129】
これらのほか、第一電極11aは、上記金属の中から選ばれる一つを主成分とする合金からなるものであってもよく、ステンレス(SUS)からなるものであってもよい。
【0130】
【0131】
第一電極11aは、中身の詰まった立体であって、一対の平らな表面をその表側と裏側とにおいて有するものからなるか、又は一対の曲がった表面をその表側と裏側とにおいて若しくはその内側と外側とにおいて有するものからなる。
【0132】
第一電極11aは、板状のものであるか、又は環状のものであることが好ましく、板状のものであることがより好ましい。
【0133】
第一電極11aが板状のものである場合にあっては、板状のもののうち、円形、多角形その他の自らと交わらない閉じた曲線からなる平面図形を、当該平面図形と交わる方向に平行に移動させて得られる中身の詰まった立体又はこれに類する立体からなるものであることが好ましく、短辺と長辺とを有する長方形である平面図形を、当該平面図形と垂直に交わる方向に平行移動させて得られる中身の詰まった立体又はこれに類する立体からなるものであることがより好ましい。ここで、このような板状の第一電極11aの例として、
図1(a)、
図3(a)、
図4、
図5、
図8(b)、
図20、
図21(a)等を参照する。
【0134】
第一電極11aが環状のものである場合にあっては、環状のもののうち、長方形である平面図形を、当該平面図形と同一平面上にあり、当該長方形が有する一辺と平行であり、かつ、当該平面図形と交わらない直線を軸として回転させて得られる中身の詰まった立体又はこれに類する立体からなるものであることが好ましく、長辺と短辺とを有する長方形である平面図形を、当該平面図形と同一平面上にあり、当該長方形が有する長辺と平行であり、かつ、当該平面図形と交わらない直線を軸として360度回転させて得られる中身の詰まった立体又はこれに類する立体からなるものであることがより好ましい。ここで、このような環状の第一電極11aの例として、
図8(a)を参照する。
【0135】
第一電極11aの厚みは、0.2~0.8mmであることが好ましく、0.3~0.7mmであることがより好ましく、0.4~0.6mmであることが更により好ましい。
【0136】
また、第一電極11aが板状のものである場合にあっては、第一電極11aの厚み以外の大きさは、次のとおりである。
【0137】
第一電極11aの幅は、34~136mmであることが好ましく、51~119mmであることがより好ましく、68~102mmであることが更により好ましい。
【0138】
第一電極11aの奥行きは、20~80mmであることが好ましく、30~70mmであることがより好ましく、40~60mmであることが更により好ましい。
【0139】
第一電極11aと他の要素との関係は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図1(a)、
図3(a)等を参照する。
【0140】
第一電極11aは、第二電極11bとの間に距離を隔てて配置される。第一電極11aと第二電極11bとの間に、第一ガラス層12aと第一金属膜層13aとがそれぞれ配置される。第一電極11aのうち第二電極11bと対向する側にある表面は、第一金属膜層13aと直ちに又は第一電極側導電性粘着層14a1を介して接する。第一電極11aのうち第二電極11bと対向する側とは反対側にある表面は、気体浄化装置1の外部からの電気的接続を容易なものにする観点から、その少なくとも一部又は全部が露出することが好ましい。
【0141】
ここでいう「ある物が、他の物に直ちに接する」とは、ある物の少なくとも一部と他の物の少なくとも一部との間において、互いの間に距離を隔てることなく配置される関係が成立するように、ある物が他の物に対して配置されることをいう。例えば、「ある物が、他の物と直ちに接する」という場合において、当該ある物の少なくとも一部以外の部分と当該他の物の少なくとも一部以外の部分との間に距離があることは妨げられない。また、同様の場合において、当該他の物が、当該ある物の少なくとも一部以外の部分に対応する部分を有しないことも妨げられない。以下同じ。
【0142】
なお、ある物が、他の物と直ちに又は粘着層若しくは接着層を介して接することを単に「ある物が、他の物と接する」ということがある。以下同じ。
【0143】
【0144】
第一電極11aのうち第二電極11bと対向する側にある表面は、第一金属膜層13aと接する部分である第一部分11a1を備えるほか、第一フィルタ30aと接する部分である第二部分11a2を備えることが好ましく、第一部分11a1と第二部分11a2との間にあって、露出する部分である第三部分11a3を備えることがより好ましい。
【0145】
また、第一電極11aが板状のものである場合にあっては、第一電極11aのうち第二電極11bと対向する側にある表面は、第一スペーサ40aと接する部分である第四部分11a4と第二スペーサ40bと接する部分である第五部分11a5とを更に備えていてもよい。このとき、第四部分11a4と第五部分11a5とが、互いの間に第一部分11a1と第二部分11a2と第三部分11a3とを挟んで配置されることが好ましく、第一電極11aの幅方向における両端に配置されることがより好ましい。
【0146】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/電極11/第二電極11b]
第二電極11bは、電極11のうち、第一電極11aと併せて、第一の一対の電極E1を構成するためのものであるとともに、プラズマ発生装置10が第三電極11cを備える場合にあっては、第三電極11cと併せて、第二の一対の電極E2を構成するためのものでもある。
【0147】
第二電極11bは、そのままで又はその表面が酸化されることで触媒としても作用する金属(以下単に「触媒金属」ということがある。)からなるものであることが好ましく、触媒金属のうち、紫外線又は熱を受けて触媒として活性化するものがより好ましい。
【0148】
触媒金属として、周期表における第3族から第11族までに属する元素であって、周期表における第4周期から第6周期までに属するもの(以下「特定遷移金属」という。)が好ましく、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ルテウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)又は白金(Pt)がより好ましく、チタンが特に好ましい。
【0149】
第二電極11bがチタンからなるものである場合にあっては、第二電極11bの表面が酸化されることで酸化チタン(TiO2)からなる表面となり、第二電極11bは紫外線を受けて光触媒としても作用するものとなる。
【0150】
これらのほか、第二電極11bは、上記特定遷移金属の中から選ばれる一つを主成分とする合金からなるものであってもよい。
【0151】
第二電極11bの形状その他の態様は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図1(a)、
図3(a)、
図8(a)、
図8(b)、
図9等を参照する。
【0152】
第二電極11bは、棒状、雄螺子状又は螺旋状のものであり、これらのうち、雄螺子状のものであることが好ましい。ここで、第二電極11bのうち、棒状のものの例として、
図9(a)、
図8(a)、
図8(b)等を参照し、雄螺子状のものの例として、
図1(a)、
図3(a)等を参照し、また、螺旋状のものの例として、
図9(b)を参照する。
【0153】
特に第二電極11bが雄螺子状のものである場合にあっては、その溝部と突部とが交互に形成される形状により、プラズマの発光量を増やすことができるとともに、圧力損失を減らすことができるほか、第二電極11bを第一スペーサ40a及び第二スペーサ40bに螺子止めすることができるため、組立てや交換、保守等が容易となる。
【0154】
また、第二電極11bが雄螺子状のものである場合にあっては、その螺子山と螺子山との間に存在する溝部において、金属又はその酸化物であって、触媒として作用するものを蒸着し、又は塗布することにより、触媒からなる層を形成することも好ましい。この場合において、第二電極11bは、雄螺子状の電極本体11b1と、その螺子山と螺子山との間に配置された触媒層11b2と、から構成される。ここで、このような第二電極11bの例として、
図9(e)を参照する。
【0155】
ここで、金属又はその酸化物であって、触媒として作用するものとして、紫外線又は熱を受けて活性化するものが好ましく、例えば、特定遷移金属又はその酸化物の中から選択することができる。
【0156】
特定遷移金属が触媒として作用するに当たって、対象の分子結合を解離させてから吸着する場合(以下「解離吸着型の場合」ということがある。)と、対象の分子結合を解離させることなく吸着する場合(以下「非解離吸着型の場合」ということがある。)と、がある。
【0157】
特定遷移金属のうち、第4周期に属し、第3族から第8族までのいずれかに該当するもの、すなわち、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、第5周期に属し、第3族から第7族までのいずれかに該当するもの、すなわち、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、第6周期に属し、第3族から第7族までのいずれかに該当するもの、例えば、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)は、触媒として作用するに当たって解離吸着型の場合を示す傾向がある。
【0158】
特定遷移金属のうち、第4周期に属し、第9族から第10族までのいずれかに該当するもの、すなわち、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、第5周期に属し、第8族から第11族までのいずれかに該当するもの、すなわち、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Rd)、第6周期に属し、第7族から第11族までのいずれかに該当するもの、すなわち、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)は、触媒として作用するに当たって非解離吸着型の場合を示す傾向がある。
【0159】
ここで、例えば、第二電極11bが白金からなるものであり、分解しようとする気体が二酸化炭素ガス(CO2)である場合を例として説明すると、以下のとおりである。
【0160】
二酸化炭素ガス(CO2)がプラズマPの発生している空間Sを通過すると、解離分子(CO)が発生する。触媒が解離吸着型を示す場合は、解離分子(CO)は、炭素(C)と酸素(O)とに解離されてから、それぞれ触媒表面に吸着された後、炭素(C)と酸素ガス(O2)へと分解される。これに対し、触媒が非解離吸着型を示す場合は、解離分子(CO)は、触媒表面に炭素(C)側から吸着された後、炭素(C)と酸素ガス(O2)へと分解される。
【0161】
なお、ある特定遷移金属が触媒として作用するに当たって解離吸着型又は非解離吸着型のいずれを示すかは、当該特定遷移金属の表面の状態、分解しようとするガスの種類及びその濃度、反応させようとする温度、プラズマを発生させようとする条件等により異なり得る。いずれにせよ、目的に応じて最も適当な特定遷移金属を触媒として選定することが必要であり、また、重要でもある。
【0162】
第二電極11bは、棒状の金属からなり、線状の金属又はその酸化物であって、触媒として作用するものが螺旋状に巻き付けられたものであることも好ましい。このとき、第二電極11bは、棒状の電極本体11b1と、その周りに配置された螺旋状の触媒層11b2と、から構成される。ここで、このような第二電極11bの例として、
図9(c)を参照する。
【0163】
また、第二電極11bは、棒状の金属からなり、環状の金属又はその酸化物であって、触媒として作用するもので覆われたものであってもよい。このとき、第二電極11bは、棒状の電極本体11b1と、その周りに配置された環状の触媒層11b2と、から構成される。ここで、このような第二電極11bの例として、
図9(d)を参照する。
【0164】
第二電極11bの直径は、1~5mmであることが好ましく、2~4mmであることがより好ましい。
【0165】
第二電極11bの長さは、40~160mmであることが好ましく、60~140mmであることがより好ましく、80~120mmであることが更により好ましい。
【0166】
第二電極11bと他の要素との関係は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図1(a)、
図3(a)等を参照する。
【0167】
第二電極11bは、第一電極11aとの間に距離を隔てて配置される。第二電極11bと第一電極11aとの間に、第一ガラス層12aと第一金属膜層13aとがそれぞれ配置される。第二電極11bは、第一ガラス層12aとの間に空間を隔てて配置される。
【0168】
プラズマ発生装置10が第三電極11cを備える場合にあっては、第二電極11bと他の要素との関係は、次のとおりである。
【0169】
第二電極11bは、第三電極11cとの間に距離を隔てて配置される。第二電極11bと第三電極11cとの間に、第二ガラス層12bと第二金属膜層13bとがそれぞれ配置される。第二電極11bは、第二ガラス層12bとの間に空間を隔てて配置される。
【0170】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/電極11/第三電極11c]
第三電極11cは、電極11のうち、第二電極11bと併せて、第二の一対の電極E2を構成するためのものである。
【0171】
プラズマ発生装置10は、第一の一対の電極E1のほか、第二の一対の電極E2を更に備えることによって、より多くの量のプラズマPを発生させることができるものとなり、例えば、気体浄化装置1において不活性化させることができるウイルスの量を更に増やすことができる。もっとも、プラズマ発生装置10は、第三電極11cを備えるものでなくてもよい。ここで、第三電極11cを備えないプラズマ発生装置10の例として、
図8(a)、
図8(b)を参照する。
【0172】
第三電極11cは、熱伝導率が高い金属からなるものであることが好ましく、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、タングステン(W)又は金(Au)のうちのいずれかからなるものであることがより好ましく、これらのうち、アルミニウム、銅又は銀のうちのいずれかからなるものであることが更により好ましい。
【0173】
これらのほか、第三電極11cは、上記金属の中から選ばれる一つを主成分とする合金からなるものであってもよく、ステンレス(SUS)からなるものであってもよい。
【0174】
第三電極11cの形状は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図1(a)、
図3(a)、
図4、
図5、
図20、
図22(d)等を参照する。
【0175】
第三電極11cは、板状のものである。このとき、第三電極11cは、六面のうち最も広い二面において、第一電極11aのそれと合同をなすものであることが好ましい。ここで、このような第三電極11cの例として、
図1(a)、
図3(a)、
図4、
図5、
図20、
図22(d)等を参照する。
【0176】
第三電極11cの厚みは、0.2~0.8mmであることが好ましく、0.3~0.7mmであることがより好ましく、0.4~0.6mmであることが更により好ましい。
【0177】
なお、第三電極11cの厚み以外の大きさは、次のとおりである。
【0178】
第三電極11cの幅は、34~136mmであることが好ましく、51~119mmであることがより好ましく、68~102mmであることが更により好ましい。
【0179】
第三電極11cの奥行きは、20~80mmであることが好ましく、30~70mmであることがより好ましく、40~60mmであることが更により好ましい。
【0180】
第三電極11cと他の要素との関係は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図1(a)、
図3(a)等を参照する。
【0181】
第三電極11cは、第二電極11bとの間に距離を隔てて配置される。第三電極11cと第二電極11bとの間に、第二ガラス層12bと第二金属膜層13bとがそれぞれ配置される。第三電極11cのうち第二電極11bと対向する側にある表面は、第二金属膜層13bと直ちに又は第三電極側導電性粘着層14a2を介して接する。なお、第三電極11cのうち第二電極11bと対向する側とは反対側にある表面は、気体浄化装置1の外部からの電気的接続を容易なものにする観点から、露出することが好ましい。
【0182】
【0183】
第三電極11cのうち第二電極11bと対向する側にある表面は、第二金属膜層13bと接する部分である第一部分11c1を備えるほか、第一フィルタ30aと接する部分である第二部分11c2を備えることが好ましく、第一部分11c1と第二部分11c2との間にあって、露出する部分である第三部分11c3を備えることがより好ましい。
【0184】
また、第三電極11cが板状のものである場合にあっては、第三電極11cのうち第二電極11bと対向する側にある表面は、第一スペーサ40aと接する部分である第四部分11c4と第二スペーサ40bと接する部分である第五部分11c5とを更に備えていてもよい。このとき、第四部分11c4と第五部分11c5とが、互いの間に第一部分11c1と第二部分11c2と第三部分11c3とを挟んで配置されることが好ましく、第三電極11cの幅方向における両端に配置されることがより好ましい。
【0185】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/電極11/第四電極11d等]
第四電極11dは、電極11のうち、第一電極11aと併せて、第三の一対の電極E3を構成するためのものであるとともに、プラズマ発生装置10が第三電極11cを備える場合にあっては、第三電極11cと併せて、第四の一対の電極E4を構成するためのものでもある。
【0186】
第四電極11dと他の要素との更なる関係は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図13(a)を参照する。
【0187】
第四電極11dは、第一ガラス層12a、第二電極11b及び第二ガラス層12bのそれぞれとの間に空間を隔てて配置され、第一ガラス層12aとの間に第二電極11bを挟むことなく配置されるとともに、第二ガラス層12bとの間に第二電極11bを挟むことなく配置される。
【0188】
第四電極11dのその余については第二電極11bと同様であるから、第二電極11bについてした説明を第四電極11dについて準用する。なお、第五電極(図示しない)、第六電極(図示しない)、第七電極(図示しない)・・・等についても、第四電極11dと同様である。
【0189】
気体浄化装置1が第四電極11dを備える場合にあっては、発生させるプラズマPの量を増やすことができる。
【0190】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/ガラス層12]
ガラス層12は、誘電体であるガラスからなる誘電体層として、一対の電極E間に配置されて、一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13(導電性粘着層14を更に介する場合にあっては、金属膜層13のほか、導電性粘着層14)を介して接することによって、誘電体バリア放電を行うとともに、紫外線その他の電磁波を透過する層として、金属膜層13と併せて、紫外線その他の電磁波を反射する反射鏡Mを構成するためのものである。
【0191】
さらに、もとの気体が酸素(O2)を含む場合にあっては、ガラス層12は、金属膜層13が気体中の酸素と接触しないようにし、金属膜層13の表面が酸化されることを防ぐことにより、金属膜層13が長期にわたって紫外線その他の電磁波を反射することできるように、その特性を維持するためのものでもある。
【0192】
ガラス層12は、ガラスのうち、紫外線を透過する特性を有するガラスからなることが好ましく、紫外線透過率の高いガラスからなることがより好ましく、例えば、石英ガラス又はホウケイ酸ガラスからなるものであることが更により好ましい。さらに、石英ガラス又はホウケイ酸ガラスのうち、紫外線透過率の高さ及び熱膨張率の低さの観点から、石英ガラスに次いでホウケイ酸ガラスが好ましく、これらの観点のほか、加工が容易であり、量産性にも優れることから、ホウケイ酸ガラスも好ましい。さらに、ホウケイ酸ガラスのうち、二酸化ケイ素(SiO2)及び酸化ホウ素(B2O3)を含むほか、酸化ナトリウム(Na2O)及び酸化アルミウム(Al2O3)を更に含むものがより好ましい。
【0193】
ガラス層12の厚みは、0.4~1.6mmであることが好ましく、0.6~1.4mmであることがより好ましく、0.8~1.2mmであることが更により好ましく、特に1.0mmであることが最も好ましい。
【0194】
ガラス層12として、例えば、光学顕微鏡とともに観察の用に供されるスライドガラスを使用することができる。スライドガラスから構成されるガラス層12は、紫外線透過性及び熱膨張率の点において優れるほか、市場から容易に取得することができるものであるため、プラズマ発生装置10、ひいては気体浄化装置1を、安価に、かつ、安定的に供給することを可能とする。
【0195】
ガラス層12として、第一ガラス層12aがあるほか、好ましくは第二ガラス層12bがある。
【0196】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/ガラス層12/第一ガラス層12a]
第一ガラス層12aは、ガラス層12のうち、第一金属膜層13aと併せて、第一反射鏡M1を構成するためのものである。
【0197】
【0198】
第一ガラス層12aは、第一電極11aの形状に応じ、板状のものであるか、又は環状のものが選択される。ここで、第一ガラス層12aのうち、板状のものの例として、
図1(a)、
図3(a)、
図4、
図5、
図8(b)、
図20、
図21(c)等を参照し、また、環状のものの例として、
図8(a)を参照する。
【0199】
なお、第一ガラス層12aが板状のものである場合にあっては、第一ガラス層12aの厚み以外の大きさは、次のとおりである。
【0200】
第一ガラス層12aの幅は、32~128mmであることが好ましく、48~112mmであることがより好ましく、64~96mmであることが更により好ましい。
【0201】
第一ガラス層12aの奥行きは、10~40mmであることが好ましく、15~35mmであることがより好ましく、20~30mmであることが更により好ましい。
【0202】
第一ガラス層12と他の要素との関係は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図1(a)、
図3(a)等を参照する。
【0203】
第一ガラス層12aは、第一電極11aと第二電極11bとの間に配置される。第一ガラス層12aは、第二電極11bとの間に空間を隔てて配置される。第一ガラス層12aのうち第一電極11aと対向する側にある表面は、第一金属膜層13aと直ちに又は第一ガラス層側導電性粘着層14b1を介して接する。第一ガラス層12aのうち第二電極11bと対向する側にある表面は、露出する。
【0204】
第一ガラス層12aと第二電極11bとの間にある距離は、0.3~0.9mmであることが好ましく、0.4~0.8mmであることがより好ましく、0.5~0.7mmであることが更により好ましく、特に0.6mmであることが最も好ましい。
【0205】
第一ガラス層12aと第二電極11bとの間には気体以外の物質が存在しない空間Sが存在し、空間Sには、絶縁体である気体、例えば、浄化しようとする気体Gを存在させることができる。なお、空間Sは、プラズマPが発生する空間となる。
【0206】
第一ガラス層12aと他の要素との更なる関係は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図12(a)、
図17、
図19、
図20、
図21等を参照する。
【0207】
第一ガラス層12aは、第一金属膜層13aのうち第二電極11bと対向する側にある表面の全部を覆うことが好ましい。第一ガラス層12aのうち第二電極11bと対向する側にある表面は、露出する部分である第一部分12a1を備えるほか、第一スペーサ40aと接する部分である第二部分12a2と、第二スペーサ40bと接する部分である第三部分12a3と、を備えることが好ましい。
【0208】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/ガラス層12/第二ガラス層12b]
第二ガラス層12bは、ガラス層12のうち、第二金属膜層13bと併せて、第二反射鏡M2を構成するためのものである。
【0209】
第二ガラス層12bの形状は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図1(a)、
図3(a)、
図4、
図5、
図20、
図22(b)等を参照する。
【0210】
第二ガラス層12bは、板状のものである。このとき、第二ガラス層12bは、六面のうち最も広い二面において、第一ガラス層12aのそれと合同をなすものであることが好ましい。ここで、このような第二ガラス層12bの例として、
図1(a)、
図3(a)、
図4、
図5、
図20、
図22(b)等を参照する。
【0211】
なお、第二ガラス層12bの厚み以外の大きさは、次のとおりである。
【0212】
第二ガラス層12bの幅は、32~128mmであることが好ましく、48~112mmであることがより好ましく、64~96mmであることが更により好ましい。
【0213】
第二ガラス層12bの奥行きは、10~40mmであることが好ましく、15~35mmであることがより好ましく、20~30mmであることが更により好ましい。
【0214】
第二ガラス層12bと他の要素との関係は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図1(a)、
図3(a)等を参照する。
【0215】
第二ガラス層12bは、第三電極11cと第二電極11bとの間に配置される。第二ガラス層12bは、第二電極11bとの間に空間を隔てて配置される。第二ガラス層12bのうち第三電極11cと対向する側にある表面は、第二金属膜層13bと直ちに又は第二ガラス層側導電性粘着層14b2を介して接する。第二ガラス層12bのうち第二電極11bと対向する側にある表面は、露出する。
【0216】
第二ガラス層12bと第二電極11bとの間にある距離は、0.3~0.9mmであることが好ましく、0.4~0.8mmであることがより好ましく、0.5~0.7mmであることが更により好ましく、特に0.6mmであることが最も好ましい。
【0217】
第二ガラス層12bと第二電極11bとの間には気体以外の物質が存在しない空間Sが存在し、空間Sには、絶縁体である気体、例えば、浄化しようとする気体Gを存在させることができる。なお、空間Sは、プラズマPが発生する空間となる。
【0218】
第二ガラス層12bと他の要素との更なる関係は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図12(a)、
図17、
図19、
図20、
図22を参照する。
【0219】
第二ガラス層12bは、第二金属膜層13bのうち第二電極11bと対向する側にある表面の全部を覆うことが好ましい。第二ガラス層12bのうち第二電極11bと対向する側にある表面は、露出する部分である第一部分12b1を備えるほか、第一スペーサ40aと接する部分である第二部分12b2と、第二スペーサ40bと接する部分である第三部分12b3と、を備えることが好ましい。
【0220】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/金属膜層13]
金属膜層13は、金属の膜からなる層として、一対の電極Eのうちの一方の電極11とガラス層12との間に配置されて、これらと直ちに又は導電性粘着層14を介して接することによって、一対の電極Eのうちの一方の電極11からガラス層12までの電気伝導を行うとともに、ガラス層12と併せて、紫外線その他の電磁波を反射する反射鏡Mを構成するためのものである。
【0221】
金属膜層13は、紫外線を反射する特性を有する金属からなるものである。もっとも、金属膜層13は、紫外線を反射するほか、可視光線、赤外線その他の紫外線以外の電磁波を反射する特性を有する金属からなるものであってもよく、また、そのようなものであることが好ましい。
【0222】
金属膜層13は、紫外線を反射する特性を有する金属のうち、紫外線反射率が高い金属からなるものであることが好ましく、例えば、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)又は白金(Pt)のうちのいずれかからなるものであることがより好ましく、アルミニウム又は銀からなるものであることが更により好ましく、アルミニウムからなるものであることが最も好ましい。
【0223】
近紫外線は、紫外線A波(UV-A。紫外線のうち波長が315~400nmの範囲にあるものをいう。)と、紫外線B波(UV-B。紫外線のうち波長が280~315nmの範囲にあるものをいう。)と、紫外線C波(UV-C。紫外線のうち波長が200~280nmにあるものをいう。)と、に更に分類される。ここで、例えば、窒素(N2)のプラズマが発する近紫外線は、その波長が300~380nmの範囲にあるものとして、紫外線A波に属するものである。また、そのプラズマが発する近紫外線のピーク波長は、337nm付近にある。そして、銀は、紫外線A波の範囲のうちの一部の範囲、特に波長380nmにおいて高い反射率を示すものであり、アルミニウムは、紫外線A波の全部の範囲にわたって高い反射率を示すものである。
【0224】
したがって、もとの気体が窒素(N2)であるか、又は窒素(N2)を含むものである場合、例えば、もとの気体が空気である場合にあっては、金属膜層13は、アルミニウム又は銀からなるものであることがより好ましく、アルミニウムからなるものであることが最も好ましい。
【0225】
これを一般化していうと、ある気体のプラズマを発生させたとした場合において、そのプラズマが発する紫外線その他の電磁波が有する固有の波長、特にピーク波長に応じて、当該波長を含む波長範囲において高い反射率を示す金属を選択し、当該金属をもって金属膜層13を構成することができ、また、そうすることが好ましい。
【0226】
金属膜層13は、紫外線を反射する特性を有する金属、好ましくは紫外線反射率が高い金属の箔からなるものであってもよく、紫外線を反射する特性を有する金属、好ましくは紫外線反射率が高い金属を一対の電極Eのうちの一方の電極11又はガラス層12に蒸着させて構成した蒸着膜からなるものであってもよい。ここで、蒸着法として、真空蒸着法のほか、スパッタリング、イオンプレーティングその他の物理気相成長法を使用することができる。また、金属膜層13は、紫外線を反射する特性を有する金属、好ましくは紫外線反射率が高い金属を電極11のうちの一方の電極11に電着させて構成した電着膜からなるものであってもよい。
【0227】
すなわち、金属膜層13は、例えば、一対の電極Eのうちの一方の電極11又はガラス層12に対し、アルミニウム又は銀の箔を密着させることにより構成したものであってもよく、アルミニウム又は銀を蒸着させることにより構成したものであってもよい。
【0228】
金属膜層13は、0.2mm以下の厚みを有するものに限らず、一対の電極Eのうちの一方の電極11とガラス層12との間に配置されて、これらの両方と接触し、好ましくはこれらの両方と密着するために必要かつ十分な厚みを有するものであることが好ましい。すなわち、金属膜層13として、一対の電極Eのうちの一方の電極11とガラス層12との間の距離に応じて、適当な厚さのものが選択される。このとき、金属膜層13は、一の金属膜からなるもののほか、二以上の金属膜の組み合わせからなるものであってもよい。
【0229】
金属膜層13は、一対の電極Eのうちの一方の電極11及びガラス層12の両方と接触することが好ましく、これらの両方と密着することがより好ましい。この場合において、金属膜層13は、一対の電極Eのうちの一方の電極11からガラス層12までの電気伝導をより効率的に行うことができる。
【0230】
金属膜層13は、一方の電極Eのうちの一方の電極11と密着するものとして、一対の電極Eのうちの一方の電極11と導電性粘着層14を介して接するものであってもよく、金属膜層13は、ガラス層12と密着するものとして、ガラス層12と導電性粘着層14を介して接するものであってもよい。例えば、金属膜層13は、一方の電極Eのうちの一方の電極11と導電性粘着層14を介して接するとともに、ガラス層12と直ちに接するものであってもよく、一方の電極Eのうちの一方の電極11と導電性粘着層14を介して接するとともに、ガラス層12と導電性粘着層14を介して接するものであってもよい。
【0231】
金属膜層13として、第一金属膜層13aがあるほか、好ましくは第二金属膜層13bがある。
【0232】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/金属膜層13/第一金属膜層13a]
第一金属膜層13aは、金属膜層13のうち、第一ガラス層12aと併せて、第一反射鏡M1を構成するためのものである。
【0233】
【0234】
第一金属膜層13aは、膜状のものであり、第一電極11aの形状に応じた形状のものとなる。ここで、第一金属膜層13aのうち、板状の第一電極11aに応じた形状のものの例として、
図1(a)、
図3(a)、
図4、
図5、
図8(b)、
図20、
図21(b)等を参照し、また、環状の第一電極11aに応じた形状のものの例として、
図8(a)を参照する。
【0235】
第一金属膜層13aと他の要素との関係は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図1(a)、
図3(a)等を参照する。
【0236】
第一金属膜層13aは、第一電極11aと第一ガラス層12aとの間に配置され、第一電極11aと直ちに又は第一電極側導電性粘着層14a1を介して接するとともに、第一ガラス層12aと直ちに又は第一ガラス側導電性粘着層14b1を介して接する。
【0237】
第一金属膜層13aと他の要素との更なる関係は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図12(a)、
図17、
図19、
図20、
図21等を参照する。
【0238】
第一金属膜層13aは、第一電極11aのうち第二電極11bと対向する側にある表面の一部を覆うことが好ましい。また、第一金属膜層13aのうち第二電極11b又は第三電極11cと対向する側の表面は、その全部が第一ガラス層12aによって覆われることが好ましい。
【0239】
第一金属膜層13aは、二以上の金属膜の組み合わせからなるもの、例えば、第一電極側金属膜13a1と第一ガラス層側金属膜13a2との組み合わせからなるものであってもよい。第一電極側金属膜13a1は、第一電極11aと直ちに又は第一電極側導電性粘着層14a1を介して接するものであり、第一ガラス層側金属膜13a2は、第一ガラス層12aと直ちに又は第一ガラス層側導電性粘着層14b1を介して接するものである。
【0240】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/金属膜層13/第二金属膜層13b]
第二金属膜層13bは、金属膜層13のうち、第二ガラス層12bと併せて、第二反射鏡M2を構成するためのものである。
【0241】
第二金属膜層13bの形状は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図1(a)、
図3(a)、
図4、
図5、
図20、
図22(c)等を参照する。
【0242】
第二金属膜層13bは、膜状のものであり、第三電極11cの形状に応じた形状のものとなる。ここで、板状の第三電極11cに応じた形状の第二金属膜層13bの例として、
図1(a)、
図3(a)、
図4、
図5、
図20、
図22(c)を参照する。
【0243】
第二金属膜層13bと他の要素との関係は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図1(a)、
図3(a)等を参照する。
【0244】
第二金属膜層13bは、第三電極11cと第二ガラス層12bとの間に配置され、第三電極11cと直ちに又は第三電極側導電性粘着層14a2を介して接するとともに、第二ガラス層12bと直ちに又は第二ガラス側導電性粘着層14b2を介して接する。
【0245】
第二金属膜層13bと他の要素との更なる関係は、次のとおりである。ここで、説明のための例として、
図12(a)、
図17、
図19、
図20、
図22等を参照する。
【0246】
第二金属膜層13bは、第三電極11cのうち第二電極11bと対向する側にある表面の一部を覆うことが好ましい。また、第二金属膜層13bのうち第二電極11b又は第一電極11aと対向する側の表面は、その全部が第二ガラス層12bによって覆われることが好ましい。
【0247】
第二金属膜層13bは、二以上の金属膜の組み合わせからなるもの、例えば、第三電極側金属膜13b1と第二ガラス層側金属膜13b2との組み合わせからなるものであってもよい。第三電極側金属膜13b1は、第三電極11cと直ちに又は第三電極側導電性粘着層14a2を介して接するものであり、第二ガラス層側金属膜13b2は、第二ガラス層12bと直ちに又は第二ガラス層側導電性粘着層14b2を介して接するものである。
【0248】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/導電性粘着層14]
導電性粘着層14は、粘着性のほか、導電性を有する層として、一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13との間に配置されて、これらを密着させることによって、一対の電極Eのうちの一方の電極11から金属膜層13までの電気伝導率を高めるためのものである。このほか、導電性粘着層14は、上記のとおりの層として、ガラス層12と金属膜層13との間に配置されて、これらを密着させることによって、ガラス層12から金属膜層13までの電気伝導率を高めるためのものでもある。
【0249】
導電性粘着層14は、粘着性を有するものとして、粘弾性を有する粘着層と、導電性を有するものとして、当該粘着層に含有される多数の導電性粒子と、から構成されるものであることが好ましい。
【0250】
導電性粘着層14にあっては、粘着層は、粘着性を有するほか、透明性を有する高分子化合物からなるものであることが好ましく、例えば、アクリル酸系共重合体からなるものであることがより好ましい。
【0251】
アクリル酸系共重合体は、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルその他のアクリル酸エステルを主モノマーとして、アクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルをコモノマーとして、アクリル酸又はメタクリル酸を官能基含有モノマーとして、共重合されるものであることが好ましい。この場合において、アクリル酸エステルを主モノマーとするものに代えて、メタクリル酸エステルを主モノマーとするものであってもよい。
【0252】
導電性粘着層14にあっては、導電性粒子は、導電性を有するほか、紫外線を反射する特性を有する金属からなるものであることが好ましく、紫外線反射率が高い金属からなるものであることが更により好ましい。ここで、紫外線反射率が高い金属として、例えば、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)又は白金(Pt)のうちのいずれかが好ましく、アルミニウム又は銀が更により好ましく、アルミニウムが最も好ましい。
【0253】
導電性粘着層14として、一対の電極Eのうちの一方の電極11と接する電極側導電性粘着層14aと、ガラス層12と接するガラス層側導電性粘着層14bと、がある。
【0254】
これらのほか、金属膜層13が二以上の金属膜から構成される場合にあっては、導電性粘着層14として、一の金属膜と他の金属膜との間に配置されて、これらと接する金属膜層間導電性粘着層14cがある。
【0255】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/導電性粘着層14/電極側導電性粘着層14a]
電極側導電性粘着層14aとして、第一電極側導電性粘着層14a1と、第三電極側導電性粘着層14a2と、がある。
【0256】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/導電性粘着層14/電極側導電性粘着層14a/第一電極側導電性粘着層14a1]
第一電極側導電性粘着層14a1は、電極側導電性粘着層14aのうち、第一電極11aと接するものである。第一電極側導電性粘着層14a1は、第一電極11aと第一金属膜層13aとの間に配置されて、これらを密着させるためのものである。
【0257】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/導電性粘着層14/電極側導電性粘着層14a/第三電極側導電性粘着層14a2]
第三電極側導電性粘着層14a2は、電極側導電性粘着層14aのうち、第三電極11cと接するものである。第三電極側導電性粘着層14a2は、第三電極11cと第二金属膜層13bとの間に配置されて、これらを密着させるためのものである。
【0258】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/導電性粘着層14/ガラス層側導電性粘着層14b]
ガラス層側導電性粘着層14bとして、第一ガラス層側導電性粘着層14b1と、第二ガラス層側導電性粘着層14b2と、がある。
【0259】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/導電性粘着層14/ガラス層側導電性粘着層14b/第一ガラス層側導電性粘着層14b1]
第一ガラス層側導電性粘着層14b1は、ガラス層側導電性粘着層14bのうち、第一ガラス層12aと接するものである。第一ガラス層側導電性粘着層14b1は、第一ガラス層12aと第一金属膜層13aとの間に配置されて、これらを密着させるためのものである。
【0260】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/導電性粘着層14/ガラス層側導電性粘着層14b/第二ガラス層側導電性粘着層14b2]
第二ガラス層側導電性粘着層14b2は、ガラス層側導電性粘着層14bのうち、第二ガラス層12bと接するものである。第二ガラス層側導電性粘着層14b2は、第二ガラス層12bと第二金属膜層13bとの間に配置されて、これらを密着させるためのものである。
【0261】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/導電性粘着層14/金属膜層間導電性粘着層14c]
金属膜層間導電性粘着層14cとして、第一金属膜層間導電性粘着層14c1と、第二金属膜層間導電性粘着層14c2と、がある。
【0262】
第一金属膜層間導電性粘着層14c1は、第一電極側金属膜13a1と第一ガラス層側金属膜13a2との間に配置されて、これらと接するものである。第一金属膜層間導電性粘着層14c1は、第一電極側金属膜13a1と第一ガラス層側金属膜13a2とを密着させるためのものである。
【0263】
第二金属膜層間導電性粘着層14c2は、第三電極側金属膜13b1と第二ガラス層側金属膜13b2との間に配置されて、これらと接するものである。第二金属膜層間導電性粘着層14c2は、第三電極側金属膜13b1と第二ガラス層側金属膜13b2とを密着させるためのものである。
【0264】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/導電性粘着層14/金属膜層13と導電性粘着層14との積層体]
ところで、金属箔からなる基材層の片面に導電性粘着剤からなる導電性粘着層を設けたもの(以下「導電性片面粘着テープ」ということがある。)や、金属箔からなる基材層の両面に導電性粘着剤からなる導電性粘着層を設けたもの(以下「導電性両面粘着テープ」ということがある。)があり(例えば、特開2013-245234号公報を参照。)、それぞれ市場を通じて得ることができる(例えば、DIC株式会社製の工業用粘着テープ「ダイタック」(登録商標)。品番:52050AD-2、#8530AD )。
【0265】
そこで、金属膜層13と導電性粘着層14とが予め積み重ねられている積層体として、導電性片面粘着テープ又は導電性両面粘着テープを使用することができる。例えば、第一金属膜層13aと第一電極側導電性粘着層14a1とからなる積層体、第二金属膜層13bと第三電極側側導電性粘着層14a2とからなる積層体、第一金属膜層13aと第一ガラス層側導電性粘着層14b1とからなる積層体又は第二金属膜層13bと第二ガラス層側導電性粘着層14b2とからなる積層体として、導電性片面粘着テープを使用することができる。また、第一電極側導電性粘着層14a1と第一金属膜層13aと第一ガラス層側導電性粘着層14b1とからなる積層体又は第三電極側導電性粘着層14a2と第二金属膜層13bと第二ガラス層側導電性粘着層14b2とからなる積層体として、導電性両面粘着テープを使用することもできる。
【0266】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/導電性粘着層14/作用]
一対の電極Eのうちの一方の電極11とガラス層12との間に金属膜層13を配置し、一対の電極Eのうちの一方の電極11からガラス層12までの電気伝導を金属膜層13を介して行うに当たっては、次のような課題がある。
【0267】
すなわち、金属とガラスとにあっては、それぞれの熱膨張率を互いに異にする。また、金属と金属とであっても、それぞれの元素その他の成分を異にする限り、同様である。
【0268】
したがって、プラズマ発生装置10を製造する過程又はこれを使用する過程において、一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13とにそれぞれ熱が加わると、一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13とにおいて、それぞれの熱膨張率に応じて反りが生じ、これらの間において隙間が生じるおそれがある。このとき、一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13との間に生じた隙間において真空層V又は空気層Aが形成されることとなる。ここで、一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13との間に真空層V又は空気層Aが形成されるおそれがあることに関して、
図41(b)を参照する。
【0269】
ここで、真空又は空気の電気伝導率は、いずれも極めて低いものである。したがって、一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13との間において真空層V又は空気層Aが形成された場合にあっては、プラズマ発生装置10が導電性粘着層14を備えるものであるときに比して、一対の電極Eのうちの一方の電極11から金属膜層13までの電気伝導率が低下するおそれがある。また、このことは、ガラス層12と金属膜層13との間についても同様に当てはまる。
【0270】
このような電気伝導率の低下が生じた場合にあっては、当該プラズマ発生装置10は、プラズマ発生装置10が導電性粘着層14を備えるものであるときに比して、プラズマPを安定して発生させることができなくなるおそれがある。
【0271】
これに対して、電極側導電性粘着層14aは、一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13との間に配置されることによって、次のような作用を生じるものである。
【0272】
電極側導電性粘着層14aは、一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13とにおいて反りが生じた場合であっても、粘着性を有するものとして、一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13とそれぞれ密着しながら、粘弾性を有するものとして、一対の電極Eのうちの一方の電極11において生じた反りと金属膜層13において生じた反りとにそれぞれ従って、これらに応じる形状に自らの形状変えることができるものでもある。その結果として、電極側導電性粘着層14aは、一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13との間において真空層又は空気層が形成されるおそれを低減させる。ここで、導電性粘着層14が一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13との間に真空層又は空気層が形成されるおそれを低減させることに関して、
図41(a)を参照する。
【0273】
ここで、電極側導電性粘着層14aは粘着層と導電性粒子とから構成されるものであるところ、導電性粒子は真空又は空気に比して高い電気伝導率を有するものであり、また、粘着層、例えば、アクリル酸系共重合体も真空又は空気に比して高い電気伝導率を有するものである。
【0274】
以上のとおりであるから、電極側導電性粘着層14aは、一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13との間に真空層又は空気層が形成されるおそれを低減させることにより、プラズマ発生装置10をしてプラズマPを安定して発生させるものとすることができる。
【0275】
さらに、ガラス層側導電性粘着層14bも、電極側導電性粘着層14aにおける場合と同様の作用により、ガラス層12と金属膜層13との間に真空層又は空気層が形成されるおそれを低減させることにより、プラズマ発生装置10をしてプラズマPを安定して発生させるものとすることができる。また、金属膜層間導電性粘着層14cについても、同様である。
【0276】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/電極11とガラス層12と金属膜層13と導電性粘着層14との組み合わせ]
プラズマ発生装置10にあっては、一対の電極Eのうちの一方の電極11と、ガラス層12と、金属膜層13と、導電性粘着層14との組み合わせの態様として、例えば、次のものが挙げられる。なお、(A1)から(F7)までにおいて、「α/β」は、αとβとが直ちに接することを示し、また、「α/(蒸着)/β」は、αがβに蒸着されてαとβとが直ちに接するか、又はβがαに蒸着されてαとβとが直ちに接することを示すものである。
【0277】
(A1)第一電極11a/第一金属膜層13a/第一ガラス層12a。
(A2)第一電極11a/(蒸着)/第一金属膜層13a/第一ガラス層12a。
(A3)第一電極11a/第一金属膜層13a/(蒸着)/第一ガラス層12a。
【0278】
(B1)第一電極11a/第一電極側導電性粘着層14a1/第一金属膜層13a/第一ガラス層12a(
図42(a)中の(a1)を参照)。
(B2)第一電極11a/第一電極側導電性粘着層14a1/第一金属膜層13a/(蒸着)/第一ガラス層12a(
図42(a)中の(a1)を参照)。
【0279】
(C1)第一電極11a/第一金属膜層13a/第一ガラス層側導電性粘着層14b1/第一ガラス層12a(
図42(b)中の(b1)を参照)。
(C2)第一電極11a/(蒸着)/第一金属膜層13a/第一ガラス層側導電性粘着層14b1/第一ガラス層12a(
図42(b)中の(b1)を参照)。
【0280】
(D)第一電極11a/第一電極側導電性粘着層14a1/第一金属膜層13a/第一ガラス層側導電性粘着層14b1/第一ガラス層12a(
図42(c)中の(c1)を参照)。
【0281】
(E1)第一電極11a/第一電極側金属膜13a1/第一ガラス層側金属膜13a2/第一ガラス層12a(
図42(d)中の(d1)を参照)。
(E2)第一電極11a/(蒸着)/第一電極側金属膜13a1/第一ガラス層側金属膜13a2/第一ガラス層12a(
図42(d)中の(d1)を参照)。
(E3)第一電極11a/第一電極側金属膜13a1/第一ガラス層側金属膜13a2//(蒸着)/第一ガラス層12a(
図42(d)中の(d1)を参照)。
(E4)第一電極11a/(蒸着)/第一電極側金属膜13a1/第一ガラス層側金属膜13a2/(蒸着)/第一ガラス層12a(
図42(d)中の(d1)を参照)。
(E5)第一電極11a/第一電極側導電性粘着層14a1/第一電極側金属膜13a1/第一ガラス層側金属膜13a2/(蒸着)/第一ガラス層12a(
図42(e)中の(e1)を参照)。
(E6)第一電極11a/(蒸着)/第一電極側金属膜13a1/第一ガラス層側金属膜13a2/第一ガラス層側導電性粘着層14b1/第一ガラス層12a(
図43(a)中の(a1)を参照)。
(E7)第一電極11a/第一電極側導電性粘着層14a1/第一電極側金属膜13a1/第一ガラス層側金属膜13a2/第一ガラス層側導電性粘着層14b1/第一ガラス層12a(
図43(b)中の(b1)を参照)。
【0282】
(F1)第一電極11a/第一電極側金属膜13a1/第一金属膜層間導電性粘着層14c1/第一ガラス層側金属膜13a2/第一ガラス層12a(
図43(c)中の(c1)を参照)。
(F2)第一電極11a/(蒸着)/第一電極側金属膜13a1/第一金属膜層間導電性粘着層14c1/第一ガラス層側金属膜13a2/第一ガラス層12a(
図43(c)中の(c1)を参照)。
(F3)第一電極11a/第一電極側金属膜13a1/第一金属膜層間導電性粘着層14c1/第一ガラス層側金属膜13a2/(蒸着)/第一ガラス層12a(
図43(c)中の(c1)を参照)。
(F4)第一電極11a/(蒸着)/第一電極側金属膜13a1/第一金属膜層間導電性粘着層14c1/第一ガラス層側金属膜13a2/(蒸着)/第一ガラス層12a(
図43(c)中の(c1)を参照)。
(F5)第一電極11a/第一電極側導電性粘着層14a1/第一電極側金属膜13a1/第一金属膜層間導電性粘着層14c1/第一ガラス層側金属膜13a2/(蒸着)/第一ガラス層12a(
図43(d)中の(d1)を参照)。
(F6)第一電極11a/(蒸着)/第一電極側金属膜13a1/第一金属膜層間導電性粘着層14c1/第一ガラス層側金属膜13a2/第一ガラス層側導電性粘着層14b1/第一ガラス層12a(図示しない)。
(F7)第一電極11a/第一電極側導電性粘着層14a1/第一金属膜層間導電性粘着層14c1/第一電極側金属膜13a1/第一ガラス層側金属膜13a2/第一ガラス層側導電性粘着層14b1/第一ガラス層12a(
図43(e)中の(e1)を参照)。
【0283】
以上の態様のうち、プラズマ発生装置10をしてプラズマPを安定して発生させるとの観点から、(B2)又は(D)が好ましく、これらのうち、長期的なプラズマ発生安定性の観点から、(B2)がより好ましく、また、短期的なプラズマ発生安定性の観点から、(D)もより好ましく、プラズマ発生装置10を使用する目的に応じて適当なものを選択することが更により好ましい。
【0284】
また、(E5)、(E7)、(F5)又は(F7)も好ましく、これらのうち、長期的なプラズマ発生安定性の観点から、(E5)又は(F5)がより好ましく、また、短期的なプラズマ発生安定性の観点から、(E7)又は(F7)もより好ましく、プラズマ発生装置10を使用する目的に応じて適当なものを選択することが更により好ましい。
【0285】
また、プラズマ発生装置10をしてプラズマPを安定して発生させるとの観点のほか、量産性にも優れるとの観点も考慮すると、(F3)又は(F6)もまた好ましい。
【0286】
以上のことは、「第一電極11a」とあるのを「第三電極11c」と、「第一金属膜層13a」とあるのを「第二金属膜層13b」と、「第一ガラス層12a」とあるのを「第二ガラス層12b」と、「第一電極側導電性粘着層14a1」とあるのを「第三電極側導電性粘着層14a2」と、「第一ガラス層側導電性粘着層14b1」とあるのを「第二ガラス層側導電性粘着層14b2」と、「第一電極側金属膜13a1」とあるのを「第三電極側金属膜13b2」と、「第一ガラス層側金属膜13a2」とあるのを「第二ガラス層側金属膜13b2」と、「第一金属膜層間導電性粘着層14c1」とあるのを「第二金属膜層間導電性粘着層14c2」と、それぞれ読み替えた場合についても同様に当てはまるものである。この場合において、(B1)を上記のとおりに読み替えた態様については、(B1)について参照した「
図42(a)中の(a1)」に代えて、「
図42(a)中の(a2)」を参照するものとし、その余についてもこの例による。
【0287】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/反射鏡M]
プラズマ発生装置10にあっては、ガラス層12と金属膜層13とが、併せて反射鏡Mを構成する。反射鏡Mは、プラズマPが発する紫外線UVその他の電磁波を反射するためのものである。また、反射鏡Mは、発生させるプラズマPの量を増やすことができるものでもある。
【0288】
反射鏡Mにおいて、ガラス層12は紫外線を透過させ、金属膜層13はガラス層12を透過した紫外線を反射する。このとき、ガラス層12は、金属膜層13の紫外線反射率を低減させるおそれがある要因、例えば、酸化による損傷から金属膜層13を保護する。
【0289】
反射鏡Mを構成するに当たって、金属膜層13を採用することは、第一電極11a又は第三電極11cの選択の幅を拡げるものとなる。すなわち、ガラス層12と金属膜層13とから反射鏡Mを構成することができるため、紫外線反射率の観点以外の観点、例えば、熱伝導率の観点から、第一電極11a又は第三電極11cを選択することができるようになる。例えば、アルミニウムは、紫外線反射率に優れるが、熱伝導率には劣るのに対し、銅は、熱伝導率に優れるが、紫外線反射率には劣る。ガラス層12と第一電極11a又は第三電極11cとから反射鏡Mを構成したときは、第一電極11a又は第三電極11cの選択において、高い紫外線反射率と高い熱伝導率とを共存させることはできない。これに対して、ガラス層12と金属膜層13とから反射鏡Mを構成するときは、金属膜層13により高い紫外線反射率がもたらされるため、仮に熱伝導率の観点から第一電極11a又は第三電極11cを選択したとしても、プラズマ発生装置10において、高い紫外線反射率と高い熱伝導率とを共存させることができる。以上をより具体的にいうと、次のとおりである。
【0290】
反射鏡Mを構成するガラス層12と金属膜層13との組み合わせとして、例えば、以下のものが好ましい。すなわち、石英ガラスからなるガラス層12とアルミニウムからなる金属膜層13との組み合わせ、石英ガラスからなるガラス層12と銀からなる金属膜層13との組み合わせ、ホウケイ酸ガラスからなるガラス層12とアルミニウムからなる金属膜層13との組み合わせ、ホウケイ酸ガラスからなるガラス層12と銀からなる金属膜層13との組み合わせが好ましく、これらのうち、ホウケイ酸ガラスからなるガラス層12とアルミニウムからなる金属膜層13との組み合わせがより好ましい。
【0291】
また、これらのガラス層12と金属膜層13とから構成される反射鏡Mと組み合わせる第一電極11a又は第三電極11cとして好ましいものは、銅からなる第一電極11a又は第三電極11cである。
【0292】
以上のような組み合わせとすることによって、反射鏡Mの紫外線反射率を高めたまま、第一電極11a又は第三電極11cの熱伝導率を高めることができる。
【0293】
プラズマ発生装置10は、反射鏡Mとして、第一反射鏡M1と、第二反射鏡M2と、を備えることが好ましく、これらが互いに向き合うように配置されており、合わせ鏡の関係をなしていることがより好ましい。このとき、第一反射鏡M1と第二反射鏡M2との間で紫外線の反射が反復して行われることとなる。
【0294】
すなわち、プラズマ発生装置10は、第一電極11aと第二電極11bと第一ガラス層12aと第一金属膜層13aとを備えるほか、第三電極11cと第二ガラス層12bと第二金属膜層13bとを備えることが好ましい。このとき、プラズマ発生装置10は、第一の一対の電極E1と第二の一対の電極E2と第一反射鏡M1と第二反射鏡M2とを備えることになる。さらに、このとき、第一反射鏡M1と第二反射鏡M2とが、互いに対向することがより好ましい。ここで、このような関係にある第一反射鏡M1及び第二反射鏡M2の例として、
図1(a)、
図3(a)、
図12(a)等を参照する。
【0295】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/作用]
プラズマ発生装置10の作用は、例えば、次のとおりのものである。
【0296】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/作用/紫外線UVを反射すること]
一対の電極Eに所定の電圧を加えると、誘電体バリア放電によって、一対の電極E間の空間Sにおいて、プラズマPが発生する。これをより詳くみると、次のとおりである。
【0297】
第一電極11aと第二電極11bとの間に所定の電位差を与えると、第一電極11aと第二電極11bとの間の空間SにプラズマPが発生する。また、プラズマ発生装置10が第三電極11cを更に備える場合にあっては、第三電極11cと第二電極11bとの間に所定の電位差を与えると、第三電極11cと第二電極11bとの間の空間SにプラズマPが発生する。さらに、第一電極11aと第三電極11cとにおける電位を等しくし、当該電位と第二電極11bにおける電位との間の差を所定のものとすると、第一電極11aと第二電極11bとの間の空間SにプラズマPが発生するとともに、第三電極11cと第二電極11bとの間の空間SにもプラズマPが発生する。このとき、第一電極11aと第三電極11cとにおける電位を等しくするためには、例えば、これらを接地させればよい。ここで、第一の一対の電極E1間の空間S若しくは第二の一対の電極E2の空間Sの一方又は両方にプラズマPが発生することに関して、
図2(a)、
図3(b)、
図12(b)等を参照する。
【0298】
この場合において、例えば、一対の電極E間の空間Sに窒素の気体(N2)が存在するときは、窒素のプラズマが発生し、この窒素のプラズマが、紫外線UVを発する。また、一対の電極E間の空間Sに存在する気体が窒素以外の気体、例えば、貴ガスである場合にあっても、当該気体が窒素である場合と同様に、紫外線UVを発生させることができる。
【0299】
紫外線UVが反射鏡Mに当たると、反射鏡Mは、紫外線UVを吸収することなく、これを反射する。ここで、反射鏡Mが紫外線UVを反射することに関して、
図6(a)を参照する。
【0300】
したがって、プラズマ発生装置10は、反射鏡Mを備えるものとして、一対の電極E間の空間Sに存在する気体のほか、その浮遊物に対して、紫外線UVの照射を反復して行うことができる。
【0301】
これに対して、従来のプラズマ発生装置CEXのように、一対の電極E間に配置された誘電体層が、ガラス層12ではなく、セラミックス層Cからなる場合にあっては、紫外線UVが反射鏡Mに当たると、セラミックス層Cは、紫外線UVを吸収してしまい、これを反射しないか、又は紫外線UVを反射するとしても、その紫外線反射率が十分なものではないおそれがある。ここで、セラミックス層Cが紫外線UVを吸収することに関し、
図6(b)を参照する。
【0302】
また、プラズマ発生装置10は、反射鏡Mとして第一反射鏡M1と第二反射鏡M2とを備える場合にあっては、第一反射鏡M1と第二反射鏡M2との間において、紫外線UVの反射を反復して行うことができる。ここで、第一反射鏡M1と第二反射鏡M2との間において紫外線UVの反射を反復することに関して、
図7を参照する。
【0303】
以上のとおり、プラズマ発生装置10は、誘電体バリア放電によってプラズマPを発生させるとともに、プラズマPが発する紫外線UVを反射し、これを効率的に利用することができるものである。
【0304】
また、もとの気体が窒素(N2)である場合又は窒素(N2)を含むものである場合にあっては、当該もとの気体が発する紫外線UVは、近紫外線を含むものとなる。ここで、金属膜層13における近紫外線に対する紫外線反射率は、通常、近紫外線以外の紫外線に対する紫外線反射率に比して、高いものとなる。すなわち、金属膜層13における紫外線反射率は、紫外線A波から紫外線B波を経て紫外線C波までにわたって、紫外線の波長が短くなることに従って、低下する傾向にある。このような傾向は、紫外線を反射する特性を有する金属一般においてみられるものであるところ、金属膜層13が、例えば、銀からなるものである場合において急な低下がみられるほか、アルミニウムからなるものである場合においても銀からなるものである場合に比して緩やかな低下ながらも同様にみられるものである。
【0305】
そこで、もとの気体として、窒素(N2)又は窒素(N2)を含むもの、例えば、空気を選択した場合にあっては、当該プラズマ発生装置10は、紫外線UVのうち近紫外線を発生させて、この発生させた近紫外線を金属膜層13によって高い紫外線反射率をもって反射し、もって紫外線UVをより効率的に利用することができるものとなる。
【0306】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/作用/プラズマPの量を増やすこと]
プラズマ発生装置10にあっては、一対の電極E間に反射鏡Mが存在することにより、当該一対の電極E間の空間Sにおいて発生するプラズマPの量を、一対の電極E間に反射鏡Mが存在しない場合に比して、増やすことができる。その機序は、次のとおりである。
【0307】
一対の電極E間における誘電体バリア放電により発生させたプラズマ(以下単に「もとのプラズマ」という。)は、電離した電子が電離した原子又は分子と再結合する過程又は励起した電子がより低いエネルギー準位に遷移する過程において、電磁波を発する。
【0308】
もとのプラズマが発した電磁波は、反射鏡Mにより反射され、もとのプラズマの周囲に存在する気体を構成する原子又は分子と衝突し、これらを電離させ、あるいは励起させ、もとのプラズマの周囲において新たなプラズマを発生させる。その結果として、プラズマ発生装置10が発生させるプラズマPの量は、もとのプラズマに対して新たなプラズマを加えたものとなる。
【0309】
したがって、プラズマ発生装置10は、従来のプラズマ発生装置CEXのように、一対の電極E間に配置された誘電体層が、ガラス層12ではなく、セラミックス層Cからなる場合に比して、その発生させるプラズマPの量を増やすことができる。ここで、反射鏡Mが発生させるプラズマPの量を増やすことに関して、
図2、
図3(b)を参照する。
【0310】
以上のとおり、プラズマ発生装置10は、誘電体バリア放電によってプラズマPを発生させるとともに、プラズマPが発する電磁波を反射し、その発生させるプラズマPの量を増やすことができるものである。
【0311】
なお、プラズマ発生装置10を、気体を浄化しようとするものとして、すなわち、気体浄化装置1の一部を構成するものとして利用することは、固体を浄化しようとする場合に比して、取り分け有益なものとなる。この点については、特に後述する。
【0312】
[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/作用/オゾン等の量を増やすこと]
一対の電極E間の空間Sに酸素(O2)が存在する場合にあっては、プラズマ発生装置10は、酸素(O2)に対して、紫外線UVその他の電磁波の照射を反復して行うことのほか、その発生させたより多くの量のプラズマPと接触させることによって、より多くの量のオゾン(O3)を発生させることもできる。
【0313】
同様の場合において、プラズマ発生装置10は、電離した酸素分子、酸素分子から解離した酸素原子、酸素分子の陰イオン、励起した酸素分子その他の酸素から発生する活性を有するもの(以下「活性酸素」ということがある。)についても、より多くの量のものを発生させることができる。
【0314】
[気体浄化装置1/流路20]
流路20は、気体浄化装置1において、室内の空気その他の浄化しようとする気体Gが流れるための部分である。気体浄化装置1にあっては、流路20のうちのいずれかの部分にプラズマ発生装置10が配置され、浄化しようとする気体Gは流路20を流れる過程において浄化される。
【0315】
流路20は、入口20aと、出口20bと、経路20cと、から少なくとも構成されるものである。入口20aは、浄化しようとする気体Gが気体浄化装置1の内部に入るための開口からなる部分である。出口20bは、浄化しようとする気体Gが気体浄化装置1の外部に出るための開口からなる部分である。また、経路20cは、浄化しようとする気体Gが入口20aから出口20bまで流れるための通路からなる部分である。
【0316】
気体Gは、気体浄化装置1において、入口20aから入り、入口20aがある方向から出口20bがある方向に向けて経路20cを流れ、出口20bから出ることになる。
【0317】
気体浄化装置1を利用して室内の空気を浄化しようとする場合にあっては、入口20aと出口20bとを室内に向けて開放するか、又は導管を介して室内に接続する。気体浄化装置1を利用して室内の空気以外の気体を浄化しようとする場合にあっては、感染症患者の口及び鼻、空気調節装置の冷媒配管、内燃機関その他の当該気体の供給源と入口20aとを導管を介して接続するとともに、出口20bを室内に向けて開放するか、又は導管を介して屋外に開放する。
【0318】
ここで、経路20cのうち、基準となるものより入口20a側にある部分を「流路20のうち、(基準となるもの)より上流側」といい、基準となる物より出口20b側にある部分を「流路20のうち、(基準となるもの)より下流側」という。また、入口20a側を気体浄化装置1の正面側とし、出口20b側を気体浄化装置1の背面側とする。
【0319】
[気体浄化装置1/流路20/入口20a、出口21b及び経路20c]
流路20は、浄化しようとする気体Gが上記のとおりに流れることができるものである限りにおいて、その具体的態様は特に限られるものではないが、例えば、第一電極11aと第三電極11cと第一ガラス層12aと第二ガラス層12bと第一スペーサ40aと第二スペーサ40bとから構成されるものであることが好ましい。ここで、このような流路20の例として、
図10、
図11、
図12(a)、
図15、
図16、
図17等を参照する。
【0320】
入口20aは、第一ガラス層12aと第二ガラス層12bと第一スペーサ40aと第二スペーサ40bとに囲まれるものとして、構成されることが好ましい。ここで、このような入口20aの例として、
図10、
図12(a)、
図15等を参照する。
【0321】
出口20bは、第一電極11aと第三電極11cと第一スペーサ40aと第二スペーサ40bとに囲まれるものとして、構成されることが好ましい。ここで、このような出口20bの例として、例えば、
図11、
図12(a)、
図16等を参照する。
【0322】
経路20cは、第一ガラス層12aと第二ガラス層12bと第一スペーサ40aと第二スペーサ40bとに囲まれる第一部分20c1と、第一電極11aと第三電極11cと第一スペーサ40aと第二スペーサ40bとに囲まれる第二部分20c2と、から構成されることが好ましい。また、第一部分20c1が、流路20のうち、第二部分20c2より上流側に配置されることがより好ましい。ここで、このような経路20cの例として、
図12(a)、
図17を参照する。
【0323】
第一部分20c1にあっては、第二電極11bと第一ガラス層12aとの間において、好ましくは、更に第二電極11bと第二ガラス層12bとの間において、一対の電極E間の空間Sが構成され、この空間SにおいてプラズマPが発生する。浄化しようとする気体Gは、経路20cのうち空間S及び空間Sに後続する部分を通過しながら、浄化される。また、第二部分20c2にあっては、フィルタ30が配置されることが好ましい。
【0324】
[気体浄化装置1/流路20/第二電極11bと流路20との関係]
気体浄化装置1において第二電極11bを配置するに当たり、第二電極11bの延びる方向と流路20の延びる方向とが、互いに平行となるように配置されてもよいが、互いに交わるように配置されることが好ましく、互いに垂直となるように配置されることがより好ましい。第二電極11bの延びる方向と流路20の延びる方向とが互いに交わるように配置されることにより、第二電極11bの延びる方向と流路20の延びる方向とが互いに平行となるように配置される場合に比して、一対の電極E間の空間Sの体積を変えることなく、流路20の長さを短くすることができるため、圧力損失を小さくすることができ、浄化しようとする気体Gのうち単位時間当たりに浄化することができる気体Gの量を増加させることができる。さらに、第二電極11bの延びる方向と流路20の延びる方向とが互いに垂直となるように配置されることにより、圧力損失を最も小さくすることができ、浄化しようとする気体Gのうち単位時間当たりに浄化することができる気体Gの量を最も増加させることができる。ここで、このような関係にある第二電極11b及び流路20の例として、
図15、
図16、
図17等を参照する。
【0325】
第二電極11bの延びる方向と流路20の延びる方向とが交わる場合において、これらがなす角のうち鋭角の角度は、45°以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましく、75°以上であることが更により好ましく、そして、90°であることが最も好ましい。
【0326】
ここで、流路20が、曲がりながら延びるものであるか、又は曲がりながら延びる部分を有するものである場合にあっては、「流路20の延びる方向」とは、流路20が曲がりながら延びる方向に沿って延びる仮想曲線と第二電極11bの延びる方向に沿って延びる仮想直線との交点における接線を求め、当該接線が延びる方向をいうものとする。
【0327】
さらに、気体浄化装置1の一部を構成するプラズマ発生装置10は、反射鏡Mを備えるものとして、発生させるプラズマPの量を増やし、浄化しようとする気体GがプラズマPと接触する確率を高めることができるものでもあるため、浄化しようとする気体Gの量の増加にかかわらず、これをその高められた確率をもって浄化することができる。
【0328】
これに対して、第二電極11bの延びる方向と流路20の延びる方向とが互いに平行となるように配置された場合にあっては、反射鏡Mを備えるものではないプラズマ発生装置CEXを利用したときであっても、流路20の延びる方向に沿って一対の電極E間の空間Sが配置されることになるため、浄化しようとする気体GがプラズマPと接触する確率を高めることができるものの、流路20も長くなるため、圧力損失が大きくなり、ひいては浄化しようとする気体Gの量も限られたものとなってしまう。
【0329】
以上のとおり、気体浄化装置1にあっては、第二電極11bの延びる方向と流路20の延びる方向とが垂直となるように配置することによって、プラズマ発生装置10が備える反射鏡Mの存在と相俟って、浄化することができる気体Gの量を増やすことができる。
【0330】
[気体浄化装置1/フィルタ30]
フィルタ30は、ここを気体が通過した場合において、気体に占める特定の気体の濃度を減少させるためのものである。
【0331】
フィルタ30は、網状のものからなる。ここでいう「網状」のものとは、二以上の要素が互いの間に隙間を介して細かく密に組み合わせられた骨格と、当該隙間からなり、空気が通過するための通路と、当該骨格のうち、当該通路を通過する空気と触れる部分となる表面と、を有するものをいう。さらに、ここでいう「網状」のものには、柵状、放射状、格子状、蜂の巣状、水玉状その他の二以上の要素が一定のきまりに従って組み合わされているもののほか、二以上の要素が一定のきまりに従うことなく組み合わされているもの、例えば、不織布状のものを含むものとする。以下同じ。
【0332】
フィルタ30は、網状のもののうち、蜂の巣状のものからなることが好ましい。ここでいう「蜂の巣状」のものには、環状の骨格であって、その断面における輪郭が正六角形をなすものが互いに組み合わされて隙間なく配置されたもののほか、環状の骨格であって、その断面における輪郭が互いに組み合わせることができる多角形又はこれに近似する形状をなすものが互いに組み合わされて隙間なく配置されたものを含むものとする。
【0333】
ここで、多角形のうち、その断面における輪郭が互いに組み合わせることができるものとして、例えば、正六角形のほか、正三角形又は正四方形が好ましいが、直角三角形若しくは二等辺三角形(正三角形を除く。)又は台形若しくは平行四辺形(長方形及び菱形を含み、正四方形を除く。)であってもよく、ここでいう「二等辺三角形」に近似する形状として、二等辺三角形を構成する三辺のうち長さの等しい二辺に代えて一本の正弦曲線としたもの、いわゆるコルゲート状のものを含むものとする。
【0334】
フィルタ30は、その表面において、触媒として又は自らと反応させて、特定の気体を分解する物質が配置されるものからなることが好ましい。
【0335】
もっとも、フィルタ30は、その骨格そのものが、触媒として又は自らと反応させて、特定の気体を分解する物質からなるものであってもよい。
【0336】
フィルタ30は、例えば、特定の気体を分解する触媒及びこれを保持する担体からなるもの、特定の気体を分解する触媒のみからなるもの、特定の気体と反応して分解する物質及びこれを保持する担体からなるもの、特定の気体と反応して分解する物質のみからなるもの、特定の気体を分解する触媒及び特定の気体と反応して分解する物質の組み合わせ並びにこれらを保持する担体からなるものの中から選ばれる。
【0337】
フィルタ30は、分解しようとする特定の気体の別に応じ、流路20のうちのいずれかの部分に配置される。このとき、フィルタ30は、流路20のうち当該部分を塞ぐように配置されることが好ましい。
【0338】
フィルタ30として、例えば、第一フィルタ30aのほか、第二フィルタ30bと第三フィルタ30cとがある。
【0339】
[気体浄化装置1/フィルタ30/第一フィルタ30a]
第一フィルタ30aは、ここを気体が通過した場合において、当該気体に占めるオゾン(O3)の濃度を減少させることにより、室内の空気に占めるオゾンの濃度が上がることを抑制するためのものである。
【0340】
気体浄化装置1は、例えば、第一フィルタ30aを備えることによって、室内の空気に占めるオゾンの濃度を下げることができ、第一フィルタ30aを備えないことによって、室内の空気に占めるオゾンの濃度を上げることができるほか、密閉容器内の空気に占めるオゾンの濃度を上げることもできる。
【0341】
気体浄化装置1は、例えば、室内の空気を浄化する空気浄化装置としての用に供される場合にあっては、第一フィルタ30aを備えるものであることが好ましい。ここで、このような気体浄化装置1の例として、
図10、
図11、
図12(a)、
図13(a)、
図14、
図15、
図16、
図17等を参照する。
【0342】
ただし、気体浄化装置1は、室内の空気を浄化する空気浄化装置としての用に供される場合であっても、人が存在しない室内、例えば、夜間の室内において使用されるときは、第一フィルタ30aを備えるものではないことが好ましい。ここで、このような気体浄化装置1の例として、
図13(b)を参照する。
【0343】
第一フィルタ30aは、オゾンを分解する触媒及びこれを保持する担体からなるものが好ましく、蜂の巣状の骨格を有する担体の表面にオゾンを分解する触媒が保持されているものからなることがより好ましい。さらに、第一フィルタ30aは、二以上の正六角形状の筒が互いの間に隙間を介して細かく密に組み合わせてなる蜂の巣状の骨格30a1と、当該隙間からなり、空気Gが通過するための通路30a2と、当該骨格30a1のうち、当該通路30a2を通過する空気Gと触れる部分となる表面30a3と、を有するものであって、その表面30a3にオゾン分解する触媒が保持されているものであることが特に好ましい。ここで、このような第一フィルタ30aの例として、
図17、
図18等を参照する。
【0344】
触媒としてオゾンを分解するものとして、例えば、酸化マンガンが好ましく、酸化マンガンのうち、Mn3O4、Mn2O3、MnO又はMnO2がより好ましく、Mn3O4が最も好ましい。もっとも、触媒としてオゾンを分解するものは、酸化ニッケル(NiO)その他の酸化マンガン以外の金属酸化物であってもよく、酸化マンガンと酸化マンガン以外の他の金属酸化物とを組み合わせたものであってもよい。
【0345】
また、第一フィルタ30aの表面において、オゾンを自らと反応させて分解するものが配置されていてもよく、触媒としてオゾンを分解するものと、オゾンを自らと反応させて分解するものとが組み合わされて配置されていてもよい。オゾンを自らと反応させて分解するものとして、炭素が好ましく、活性炭がより好ましい。
【0346】
オゾンを分解する触媒を保持する担体は、絶縁体からなるものであることが好ましく、例えば、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ムライト繊維、ガラス繊維、ロックウール繊維、炭素繊維その他の無機繊維からなるものであることがより好ましい。
【0347】
なお、オゾンを分解する触媒を保持する担体は、金属からなるものであってもよいが、第一フィルタ30aが電極11と接する場合は、この限りでない。
【0348】
第一フィルタ30aの厚み及び幅は、流路20のうち第一フィルタ30aが配置される部分を塞ぐことができる程度の厚み及び幅であればよく、例えば、第一フィルタ30aの厚みは、4~10mmであることが好ましく、5~9mmであることがより好ましく、6~8mmであることが更により好ましく、第一フィルタ30aの幅は、30~120mmであることが好ましく、45~105mmであることがより好ましく、60~90mmであることが更により好ましい。
【0349】
第一フィルタ30aの奥行きは、8~32mmであることが好ましく、12~16mmであることがより好ましく、16~24mmであることが更により好ましい。
【0350】
以上のような第一フィルタ30aとして、例えば、無機繊維不織布からなり、蜂の巣状の骨格を有する担体の表面に活性炭粉末と酸化マンガンとが保持されているものがあり(特開2006-231324号公報を参照)、ニチアス株式会社が製造販売する「ハニクル(登録商標)-ZV」を通じて取得することができる。
【0351】
気体浄化装置1にあっては、第一フィルタ30aは、流路20のうち、第二電極11bより下流側に配置される。ここで、このような第一フィルタ30aの例として、
図12(a)、
図13(a)、
図14、
図17等を参照する。
【0352】
このほか、第一フィルタ30aは、第一電極11aと接することが好ましい。さらに、第一フィルタ30aは、第一電極11aと第三電極11cとの間に配置されることがより好ましく、このとき、第一電極11aと接するとともに、第三電極11cと接することが特に好ましい。ここで、このような第一フィルタ30aの例として、
図11、
図12(a)、
図13(a)、
図14、
図16、
図17等を参照する。
【0353】
オゾンを含む気体が第一フィルタ30aを通過し、触媒としてオゾンを分解するものが配置された表面に触れると、オゾン(O3)は、酸素(O2)に変換され、分解される。
【0354】
このため、オゾンを含む気体に第一フィルタ30aを通過させると、当該気体に占めるオゾンの濃度を減少させることができる。
【0355】
なお、第一フィルタ30aは、容易に交換することができる態様で、配置されることが好ましい。
【0356】
[気体浄化装置1/フィルタ30/第二フィルタ30b]
第二フィルタ30bは、ここを気体が通過した場合において、当該気体に占めるフッ素(F2)又はフッ素化合物の濃度を減少させるためのものである。ここで、フッ素化合物として、例えば、特定フロン、すなわち、クロロフルオロカーボン(CFC)類のほか、パーフルオロカーボン(PFC)類、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類、ハイドロフルオロカーボン(HFC)類、六フッ化硫黄(SF6)その他の代替フロンが挙げられる。
【0357】
プラズマ発生装置10及びこれを備える気体浄化装置1は、プラズマPのほか、これに伴って発生するオゾン及び紫外線UVを利用するものとして、気体中の揮発性有機化合物を効率的に分解することができるものの、気体中のフッ素及びフッ素化合物を効率的に分解することが難しい傾向にある。
【0358】
そこで、気体浄化装置1をして、第二フィルタ30bを備えるものとすることにより、気体中のフッ素及びフッ素化合物を効率的に分解できるものとすることができる。
【0359】
第二フィルタ30bは、触媒としてフッ素又はフッ素化合物を分解するもの及びこれを保持する担体からなるもの好ましい。
【0360】
触媒としてフッ素又はフッ素化合物を分解するものとして、例えば、カルシウム(Ca)が好ましく、粉末状のカルシウムがより好ましい。
【0361】
気体浄化装置1にあっては、第二フィルタ30bは、流路20のうち、第二電極11bより下流側に、かつ、第一フィルタ30aより上流側に配置される。ここで、このような第二フィルタ30bの例として、
図14(a)を参照する。
【0362】
フッ素又はフッ素化合物を含む気体が第二フィルタ30bを通過し、カルシウムが保持された表面に触れると、フッ素又はフッ素化合物が分解される。
【0363】
このため、フッ素又はフッ素化合物を含む気体に第二フィルタ30bを通過させると、当該気体に占めるフッ素又はフッ素化合物の濃度を減少させることができる。
【0364】
[気体浄化装置1/フィルタ30/第三フィルタ30c]
第三フィルタ30cは、ここを気体が通過した場合において、当該気体に占める硫化水素(H2S)の濃度を減少させるためのものである。
【0365】
プラズマ発生装置10及びこれを備える気体浄化装置1は、プラズマPのほか、これに伴って発生するオゾン及び紫外線UVを組み合わせて利用するものとして、気体中の揮発性有機化合物を効率的に分解することができるものの、気体中の硫化水素を効率的に分解することが難しい傾向にある。
【0366】
そこで、気体浄化装置1をして、第三フィルタ30cを備えるものとすることにより、気体中の硫化水素を効率的に分解できるものとすることができる。
【0367】
第二フィルタ30bは、触媒としてフッ素又はフッ素化合物を分解するもの及びこれを保持する担体からなるもの好ましい。
【0368】
第三フィルタ30cは、自らと反応させて硫化水素を分解するもの及びこれを保持する担体からなるものが好ましい。
【0369】
自らと反応させて硫化水素を分解するものとして、例えば、酸化第二鉄(Fe2O3)が好ましい。
【0370】
気体浄化装置1にあっては、第三フィルタ30cは、流路20のうち、第二電極11bより上流側に配置される。ここで、このような第三フィルタ30cの例として、
図14(b)を参照する。
【0371】
硫化水素を含む気体が第三フィルタ30cを通過し、酸化第二鉄が保持された表面に触れると、硫化水素が分解される。
【0372】
このため、硫化水素を含む気体に第三フィルタ30cを通過させると、当該気体に占める硫化水素の濃度を減少させることができる。
【0373】
[気体浄化装置1/フィルタ30/電極11とフィルタ30との関係]
【0374】
[気体浄化装置1/フィルタ30/電極11とフィルタ30との関係/フィルタ30に関する課題]
ところで、他の従来の空気浄化装置にあっては、発生させたオゾンが室内に出ることにより室内の空気に占めるオゾンの濃度が高くなると、人体に好ましくない影響があることから、室内の空気に占めるオゾンの濃度を低い値に制御するために、発生させるオゾンの量を抑制することが行われている(特開2018-130208号公報。特に段落[0015]及び[0040]等を参照)。
【0375】
しかしながら、他の従来の空気浄化装置にあっては、室内の空気に占めるオゾンの濃度を低い値に制御するために、発生させるオゾンの量を抑制するものであることから、空気浄化装置内を通過する空気中を浮遊するウイルスを十分に不活性化させることができないおそれがある。
【0376】
このため、発生させるオゾンの量を抑制することなく室内の空気に占めるオゾンの濃度を低い値に制御するためには、空気浄化装置において浄化した気体にオゾンの濃度を減少させるためのフィルタを通過させてから室内に再び出すことを要するほか、当該フィルタにおいてオゾンを分解する能力が十分なものであることを要する。
【0377】
そこで、本発明は、気体に占めるオゾンの濃度を減少させるためのフィルタにおいて、そのオゾンを分解する能力を更に高めることを他の課題とするものでもある。
【0378】
さらに、本発明は、オゾンのほか、オゾン以外の特定の気体の濃度を減少させるためのフィルタにおいて、当該特定の気体を分解する能力を更に高めることを課題とするものでもあってもよい。
【0379】
[気体浄化装置1/フィルタ30/電極11とフィルタ30との関係/フィルタ30に関する課題に対する解決手段]
他の課題を解決するためには、気体浄化装置1は、次の構成を有することが好ましい。
【0380】
気体浄化装置1にあっては、第一電極11aと第一フィルタ30aとが、互いに接することが好ましい。この場合において、第一電極11aが第一フィルタ30aを覆うように配置されることがより好ましい。このとき、第一電極11aのうち第二電極11bと対向する側にある表面において、第二部分11a2が構成される。このほか、第一電極11aのうち第二電極11bと対向する側にある表面において、第二部分11a2と互いに隣接するものとして、第三部分11a3が構成されることが特に好ましい。ここで、このような関係にある第一電極11a及び第一フィルタ30aの例として、
図12(a)、
図13(a)、
図14、
図17、
図19、
図20、
図21等を参照する。
【0381】
第三部分11a3は、露出して気体に接する部分として、第一金属膜層13aを介して第一ガラス層12aに覆われた第一部分11a1に比して、高い熱伝導率を有する部分となる。
【0382】
気体浄化装置1にあっては、第三電極11cと第一フィルタ30aとが、互いに接することも好ましい。この場合において、第三電極11cが第一フィルタ30aを覆うように配置されることがより好ましい。このとき、第三電極11cのうち第二電極11bと対向する側にある表面において、第二部分11c2が構成される。このほか、第三電極11cのうち第二電極11bと対向する側にある表面において、第二部分11c2と互いに隣接するものとして、第三部分11c3が構成されることも特に好ましい。ここで、このような関係にある第一電極11a及び第一フィルタ30aの例として、
図12(a)、
図13(a)、
図14、
図17、
図19、
図20、
図22等を参照する。
【0383】
第三部分11c3も、露出して気体に接する部分として、第二金属膜層13bを介して第二ガラス層12bに覆われた第一部分11c1に比して、高い熱伝導率を有する部分となる。
【0384】
一対の電極Eに所定の電圧を加えると、一対の電極E間の空間Sにおいて、プラズマPが発生する。プラズマPが発生すると、一対の電極E間の空間Sに存在する気体の温度が上昇する。そのエネルギーは、熱Hとして、一対の電極Eに伝わり、一対の電極Eの温度が上昇する。
【0385】
一対の電極Eに伝わったエネルギーのうち、第一電極11aに伝わったエネルギーは、第一フィルタ30aに伝わり、第一フィルタ30aの温度が上昇する。さらに、第三電極11cに伝わったエネルギーもまた、第一フィルタ30aに伝わり、第一フィルタ30aの温度が更に上昇する。以上をより詳くみると、次のとおりである。
【0386】
第一の電極11aと第二電極11bとの間の空間Sを満たす気体の温度が上昇すると、そのエネルギーは、熱Hとして、第一電極11aのうち第三部分11a3に伝わり、第三部分11a3から第二部分11a2に伝わり、第二部分11a2から第一フィルタ30aに伝わる。
【0387】
第三の電極11cと第二電極11bとの間の空間Sを満たす気体の温度が上昇すると、そのエネルギーは、熱として、第三電極11cのうち、第三部分11c3に伝わり、第三部分11c3から第二部分11c2に伝わり、第二部分11c2から第一フィルタ30aに伝わる。
【0388】
ここで、プラズマPの発生に伴って発生した熱Hが第一フィルタ30aに伝わるまでに第一電極11a若しくは第三電極11cの一方又は両方を介することに関して、
図12(b)、
図21(a)、
図22(d)を参照する。
【0389】
第一フィルタ30aの温度が上昇すると、第一フィルタ30aの表面に配置された触媒が熱を受けて活性化し、そのオゾンを分解する能力が更に高まる。
【0390】
よって、本発明は、気体に占めるオゾンの濃度を減少させるためのフィルタにおいて、そのオゾンを分解する能力を更に高めることができる、との他の効果を奏する。
【0391】
また、以上のことは、第一フィルタ30aにおける場合と同様に、第二フィルタ30b及び第三フィルタ30cについても同様に当てはまる。
【0392】
なお、使用を経て第一フィルタ30aがオゾンを分解する能力に逓減がみられる場合に際しては、新たな第一フィルタ30aに速やかに交換することが好ましい。
【0393】
[気体浄化装置1/スペーサ40]
スペーサ40は、一対の電極Eを構成する電極11と他の電極11とを支持し、これらを互いに距離を隔てて配置するとともに、ガラス層12を支持し、ガラス層12と一対の電極Eのうちの一方の電極11とを互いの間に空間を隔てて配置するための部材である。さらに、スペーサ40は、流路20の一部を構成するものでもあることが好ましい。
【0394】
スペーサ40は、絶縁体、すなわち、その電気伝導率がガラス層14を構成するガラスのそれに比して低いものからなり、例えば、エポキシ樹脂からなるものが好ましい。
【0395】
スペーサ40は、一対の電極Eを構成する電極11及び他の電極11のほか、ガラス層12を上記のとおりに配置することができるものである限りにおいて、その具体的態様は特に限られるものではないが、一対の電極Eを構成する電極11及び他の電極11の形状並びにこれらの組み合わせの態様に応じ、適当なものが任意に選択される。
【0396】
スペーサ40は、単一の部材から構成されるものであってもよく、一対の部材から構成されるものであってもよい。また、スペーサ40は、他の部材の一部、例えば、ケースの一部から構成されるものであってもよい。さらに、スペーサ40は、連結手段41を兼ね備えるものであってもよい。
【0397】
スペーサ40として、第一スペーサ40aと第二スペーサ40bとから構成されるものがある。
【0398】
[気体浄化装置1/スペーサ40/第一スペーサ40a]
第一スペーサ40aは、スペーサ40のうち、プラズマ発生装置10が第一電極11aと第二電極11bと第三電極11cとを備える場合において、適当なものとして、任意に選択されるものである。
【0399】
第一スペーサ40aは、例えば、角柱状のものからなり、上面、左側面、下面、右側面正面、背面をそれぞれ有する。
【0400】
第一スペーサ40aは、第一電極支持面40a1と第二電極支持孔40a2とを備えるほか、第三電極支持面40a3を更に備えるものであることが好ましい。このとき、第一スペーサ40aは、上下対称構造を有するものとなる。ここで、このような第一スペーサ40aの例として、
図10(a)、
図11(a)、
図15、
図16、
図17、
図19、
図20、
図21(d)、
図22(a)等を参照する。
【0401】
第一電極支持面40a1は、平らな表面であって、第一スペーサ40aの上面又は下面のうち、いずれか一方を構成する表面からなるものである。第一電極支持面40a1は、第一電極11aのうち第四部分11a4に対応する。ここで、このような対応関係の例として、
図19、
図20、
図21等を参照する。
【0402】
第二電極支持孔40a2は、第一スペーサ40aの左側面から右側面まで貫通する貫通孔からなる。第二電極支持孔40a2は、第二電極11bの形状に応じた形状のものからなる。例えば、第二電極11bが螺子状のものであるときは、第二電極支持孔40a2は螺子孔状のものとなる。ここで、このような第二電極支持孔40a2の例として、
図17、
図19、
図20、
図21(d)、
図22(a)等を参照する。
【0403】
第三電極支持面40a3は、平らな表面であって、第一スペーサ40aの上面又は下面のうち、第一電極支持面40a1がある側とは反対側にある他方を構成する表面からなるものである。第三電極支持面40a3は、第三電極11cのうち第四部分11c4に対応する。ここで、このような対応関係の例として、
図19、
図20、
図22等を参照する。
【0404】
もっとも、第一スペーサ40aは、第一電極支持面40a1に代えて、溝からなる第一電極支持溝(図示しない)を備えるものであってもよく、また、第三電極支持面40a3に代えて、溝からなる第三電極支持溝(図示しない)を備えるものであってもよい。この場合において、第一電極支持溝は第一電極11aを挿入することができるものとして構成され、第三電極支持溝は第三電極11cを挿入することができるものとして構成される。
【0405】
これらのほか、第一スペーサ40aは、第一ガラス層支持面40a4と、第二ガラス層支持面40a5と、を更に備えるものであることが好ましい。ここで、このような第一スペーサ40aの例として、
図19、
図20、
図21(d)、
図22(a)等を参照する。
【0406】
第一ガラス層支持面40a4は、平らな表面であって、第一電極支持面40a1と段をなす表面からなるものであり、第一ガラス層12aのうち第二部分12a2に対応する。
【0407】
第二ガラス層支持面40a5は、平らな表面であって、第三電極支持面40a3と段をなす表面からなるものであり、第二ガラス層12bのうち第二部分12b2に対応する。
【0408】
[気体浄化装置1/スペーサ40/第二スペーサ40b]
第二スペーサ40bは、スペーサ40のうち、プラズマ発生装置10が第一電極11aと第二電極11bと第三電極11cとを備える場合において、適当なものとして、任意に選択されるものである。
【0409】
第二スペーサ40bは、例えば、角柱状のものからなり、上面、左側面、下面、右側面正面、背面をそれぞれ有するほか、第一スペーサ40aとの関係において、左右対称構造をとるものからなる。
【0410】
第二スペーサ40bは、第一電極支持面40b1と第二電極支持孔40b2とを備えるほか、第三電極支持面40b3を更に備えるものであることが好ましい。このとき、第二スペーサ40bは、上下対称構造を有するものとなる。ここで、このような第二スペーサ40bの例として、
図10(a)、
図11(a)、
図15、
図16、
図19、
図20(a)、
図21(d)、
図22(a)等を参照する。
【0411】
第一電極支持面40b1は、平らな表面であって、第二スペーサ40bの上面又は下面のうち、いずれか一方を構成する表面からなるものである。第一電極支持面40b1は、第一電極11aのうち第五部分11a5に対応する。ここで、このような対応関係の例として、
図19、
図20(a)、
図21等を参照する。
【0412】
第二電極支持孔40b2は、第二スペーサ40bの左側面から右側面まで貫通する貫通孔からなる。第二電極支持孔40b2は、第二電極11bの形状に応じた形状のものからなる。例えば、第二電極11bが螺子状のものであるときは、第二電極支持孔40b2は螺子孔状のものとなる。ここで、このような第二電極支持孔40b2の例として、
図19、
図20(a)、
図21(d)、
図22(a)等を参照する。
【0413】
第三電極支持面40b3は、平らな表面であって、第二スペーサ40bの上面又は下面のうち、第一電極支持面40b1がある側とは反対側にある他方を構成する表面からなるものである。第三電極支持面40b3は、第三電極11cのうち第五部分11c5に対応する。ここで、このような対応関係の例として、
図19、
図20(a)、
図22等を参照する。
【0414】
もっとも、第二スペーサ40bは、第一電極支持面40b1に代えて、溝からなる第一電極支持溝(図示しない)を備えるものであってもよく、また、第三電極支持面40b3に代えて、溝からなる第三電極支持溝(図示しない)を備えるものであってもよい。この場合において、第一電極支持溝は第一電極11aを挿入することができるものとして構成され、第三電極支持溝は第三電極11cを挿入することができるものとして構成される。
【0415】
これらのほか、第二スペーサ40bは、第一ガラス層支持面40b4と、第二ガラス層支持面40b5と、を更に備えるものであることが好ましい。ここで、このような第二スペーサ40bの例として、
図19、
図20(a)、
図21(d)、
図22(a)等を参照する。
【0416】
第一ガラス層支持面40b4は、平らな表面であって、第一電極支持面40b1と段をなす表面からなるものであり、第一ガラス層12aのうち第二部分12a2に対応する。
【0417】
第二ガラス層支持面40b5は、平らな表面であって、第三電極支持面40b3と段をなす表面からなるものであり、第二ガラス層12bのうち第二部分12b2に対応する。
【0418】
[気体浄化装置1/スペーサ40/一対のスペーサ40a,40b]
第一スペーサ40aと第二スペーサ40bとが、一対のスペーサ40a,40bを構成する。このとき、第一スペーサ40aと第二スペーサ40bとは、互いに対向し、かつ、互いの間に空間を隔てて配置される。なお、正面視において、第一スペーサ40aは左側に配置され、第二スペーサ40bは右側に配置される。
【0419】
一対のスペーサ40a,40bは、第一電極11aを、次のように支持する。ここで、説明のための例として、
図19、
図20、
図21等を参照する。
【0420】
第一スペーサ40aの第一電極支持面40a1と、第一電極11aの第四部分11a4とを一致させ、これらを接着する。ここで、スペーサ40と接着するための方法として、例えば、接着剤によるもののほか、溶接又は溶着であってもよい。以下同じ。
【0421】
第二スペーサ40bの第一電極支持面40b1と、第一電極11aの第五部分11a5とを一致させ、これらを接着する。
【0422】
一対のスペーサ40a,40bは、第二電極11bを、次のように支持する。ここで、説明のための例として、
図19、
図20、
図21(d)、
図22(a)等を参照する。
【0423】
第二電極11bの一端を、例えば、第二スペーサ40bの第二電極支持孔40b2から挿入させ、第二スペーサ40bを貫通させ、第一スペーサ40aと第二スペーサ40bとの間の空間を通過させ、第一スペーサ40aの第二電極支持孔40a2から挿入させ、第一スペーサ40aを貫通させる。このとき、第二電極11bの他端が第二スペーサ40bを通過してしまわないようにする。これにより、第二電極11bの一端が第一スペーサ40aの第二電極支持孔40a2から露出するとともに、第二電極11bの他端が第二スペーサ40bの第二電極支持孔40b2から露出することとなる。
【0424】
一対のスペーサ40a,40bは、第三電極11cを、次のように支持する。ここで、説明のための例として、
図19、
図20、
図22等を参照する。
【0425】
第一スペーサ40aの第三電極支持面40a3と、第三電極11cの第四部分11c4とを一致させ、これらを接着する。
【0426】
第二スペーサ40bの第三電極支持面40a3と、第三電極11cの第五部分11c5の他方とを一致させ、これらを接着する。
【0427】
以上のように行うことによって、一対のスペーサ40a,40bは、第一電極11aと第二電極11bと第三電極11cとを支持し、これらを所定の関係において配置することができる(以下「電極11の配置」ということがある。)。
【0428】
なお、第一ガラス層12a、第二ガラス層12b、第一金属膜層13a、第二金属膜層13bの配置は、電極11の配置に続けて、また、好ましくはこれに先立って、例えば、次のように行う。ここで、説明のための例として、
図19、
図20、
図21、
図22等を参照する。
【0429】
第一ガラス層12aの片面に第一金属膜層13aが予め積層されてなる第一積層体L1を準備するとともに、第二ガラス層12bの片面に第二金属膜層13bが予め積層されてなる第二積層体L2を準備する(以下「積層体Lの準備」ということがある。)。積層体Lの準備は、ガラス層12の表面に金属膜層13を蒸着することによって行ってもよく、ガラス層12と金属膜層13とを互いの間にガラス層側導電性粘着層14bを介して予め積層することによって行ってもよい。いずれにせよ、積層体Lにおいて、ガラス層12と金属膜層13とが密着することが好ましい。
【0430】
第一積層体L1の表面のうち第一金属膜層13aがある側の表面を、第一電極11aの第一部分11a1に一致させ、これらを密着する。同様に、第二積層体L2の表面のうち第二金属膜層13bがある側の表面を、第三電極11cの第一部分11c1に一致させ、これらを密着する。一対の電極Eのうちの一方の電極11と金属膜層13とを密着するに当たっては、これらの間に電極側導電性粘着層14aを配置してもよく、また、そうすることが好ましい。
【0431】
なお、一対のスペーサ40a,40bが一対の第一ガラス層支持面40a4,40b4及び一対の第二ガラス支持面40a5,40b5を更に備える場合にあっては、第一ガラス層12a及び第二ガラス層12b並びに第一金属膜層13a及び第二金属膜層13bの配置は、例えば、次のように行う。ここで、説明のための例として、
図19、
図20、
図21、
図22等を参照する。
【0432】
第一積層体L1の表面のうち第一ガラス層12aがある側の表面を、一対の第一ガラス層支持面40a4,40b4に一致させ、これらを接着する。同様に、第二積層体L2の表面のうち第二ガラス層12bがある側の表面を、一対の第二ガラス支持面40a5,40b5に一致させ、これらを接着する。
【0433】
電極11の配置を行う。電極11の配置に当たり、第一電極11aのうち第二電極11bと対向する側にある表面と第一金属膜層13aとを密着するとともに、第三電極11cのうち第二電極11bと対向する側にある表面と第二金属膜層13bとを密着することが好ましい。
【0434】
以上のように、一対のスペーサ40a,40bは、プラズマ発生装置10の組立て及び分解を容易なものとすることができるとともに、これを小型かつ軽量のものとすることができる。
【0435】
なお、積層体Lとして、ガラス層12の片面に金属膜層13が予め蒸着されてなるものを使用するほか、金属膜層13の片面又は両面に導電性粘着層14が予め積層されているもの、すなわち、導電性片面粘着テープ又は導電性両面粘着テープをガラス層12の片面に粘着させてなるものを使用することもできる。もっとも、積層体Lを使用することなく電極11の配置その他の要素の配置を行ってもよい。
【0436】
また、一対のスペーサ40a,40b間に他のスペーサ(図示しない)を更に配置してもよい。他のスペーサは、第一電極11aと第三電極11cとの間に配置され、これらを支持することにより、第一電極11aと第二電極11bとの間の距離及び第三電極11cと第二電極11bとの間の距離をより均一なものとすることができる。
【0437】
[気体浄化装置1/スペーサ40/連結手段41]
連結手段41は、スペーサ40の一部を構成し、気体浄化装置1と他の気体浄化装置1とを連結するためのものである。
【0438】
連結手段41は、気体浄化装置1と他の気体浄化装置1とを連結することができる限りにおいて、その具体的態様は特に限られるものではないが、例えば、互いに嵌め合わせることできる一対の部分を備えるものであることが好ましく、畝部41aと溝部41bとを備えるものであることがより好ましい。ここで、畝部41aと溝部41bとを備える一対のスペーサ40,40の例として、
図23、
図24を参照する。
【0439】
畝部41aは、一対のスペーサ40,40のそれぞれの上面に配置され、溝部41bは一対のスペーサ40,40のそれぞれの底面に配置される。
【0440】
気体浄化装置1の畝部41aに対し、他の気体浄化装置1の溝部41bを背面方向から挿入して正面方向に滑らせるか、又は正面方向から挿入して背面方向に滑らせると、畝部41aと溝部41bとが互いに嵌め合わされ、気体浄化装置1と他の気体浄化装置1とが連結される。ここで、このような連結方法について、
図23を参照する。
【0441】
[気体浄化装置1/作用]
気体浄化装置1の作用は、例えば、次のとおりのものである。
【0442】
[気体浄化装置1/作用/紫外線UVを反射してウイルスを不活性化すること]
気体浄化装置1は、その備えるプラズマ発生装置10が反射鏡Mを備えるものとして、一対の電極E間の空間Sに存在する気体のほか、当該気体中を浮遊する浮遊物に対して、紫外線UVの照射を反復して行うことができるものである。
【0443】
ここで、気体浄化装置1が浄化しようする気体Gは、その浮遊物を伴いながら、一対の電極E間の空間Sを通過し、その通過する間、空間Sに存在する。
【0444】
したがって、浄化しようとする気体Gが浮遊物としてウイルスを含むものである場合にあっては、気体浄化装置1は、浄化しようとする気体G中を浮遊するウイルスに対して、紫外線UVの照射を反復して行うことができ、もってより多くの量のウイルスを不活性化させることができる。
【0445】
また、気体浄化装置1は、その備えるプラズマ発生装置10が反射鏡Mとして第一反射鏡M1と第二反射鏡M2とを備える場合にあっては、第一反射鏡M1と第二反射鏡M2との間において、紫外線UVの反射を反復して行うことができ、もって更なるより多くの量のウイルスを不活性化させることができる。
【0446】
以上のとおりであるから、気体浄化装置1は、誘電体バリア放電によってプラズマPを発生させるとともに、プラズマPが発する紫外線UVを反射し、浄化しようとする気体G中のより多くの量のウイルスを不活性化させることができるものである。
【0447】
[気体浄化装置1/作用/プラズマPの量を増やしてウイルスを不活性化すること]
気体浄化装置1は、その備えるプラズマ発生装置10が反射鏡Mを備えるものとして、その発生させるプラズマPの量を増やすことができるものである。
【0448】
ここで、プラズマPの量を増やすことは、一対の電極E間の空間Sに占めるプラズマPの体積を増やし、浄化しようとする気体Gが流路20を通過するまでにプラズマPと接触する確率を高めることにつながる。浄化しようとする気体GがプラズマPと接触する確率を高めることは、浄化しようとする気体Gが浮遊物としてウイルスを含むものである場合において、浄化しようとする気体G中を浮遊するウイルスがプラズマPと接触する確率を高めることにつながり、ひいては気体浄化装置1が浄化しようとする気体G中を浮遊するウイルスを不活性化させることができる確率を高めることにもつながる。
【0449】
すなわち、浄化しようとする対象が固体である場合にあっては、浄化しようとする固体を一対の電極E間に配置すれば、浄化しようとする固体は一対の電極E間に留まり続けるものであるため、プラズマPを発生させる時間を長くすることにより、浄化しようとする固体の表面がプラズマPと接触する確率を高めることができる。
【0450】
これに対して、浄化しようとする対象が気体である場合にあっては、浄化しようとする気体Gは一対の電極E間を通過するものであるため、プラズマPを発生させる時間を長くしても、浄化しようとする気体GがプラズマPと接触する確率を高めることができない。
【0451】
したがって、プラズマ発生装置10を気体浄化装置1の一部を構成するものとして利用することは、固体を浄化しようとする場合に比して、取り分け有益なものとなる。
【0452】
以上のとおりであるから、気体浄化装置1は、誘電体バリア放電によってプラズマPを発生させるとともに、プラズマPが発する電磁波を反射し、その発生させるプラズマPの量を増やし、浄化しようとする気体G中のウイルスがプラズマPと接触する確率を高めることができるものとして、もって浄化しようとする気体G中のより多くの量のウイルスを不活性化させることができるである。
【0453】
[気体浄化装置1/作用/オゾン等の量を増やしてウイルスを不活性化すること]
気体浄化装置1は、その備えるプラズマ発生装置10が反射鏡Mを備えるものとして、その発生させるオゾンの量を増やすことができるものである。
【0454】
ここで、オゾンは、その有する強い酸化力によって、ウイルスを不活性化させる働きがある。
【0455】
以上のとおりであるから、気体浄化装置1は、誘電体バリア放電によってプラズマPを発生させるとともに、プラズマPが発する紫外線UVを反射し、浄化しようとする気体G中の酸素に対して紫外線UVの照射を反復して行い、その発生させるオゾンの量を増やすことができるものとして、もって浄化しようとする気体G中のより多くの量のウイルスを不活性化させることができるものである。
【0456】
さらに、気体浄化装置1は、その発生させる活性酸素の量を増やすことができるものとして、もって浄化しようとする気体G中のより多くの量のウイルスを不活性化させることができるものでもある。
【0457】
[気体浄化装置1/作用/更なる作用]
気体浄化装置1は、プラズマPのほか、これに伴って発生する紫外線UV及びオゾン等を組み合わせて利用することによって、ウイルスはもとよりとして、ウイルス以外の他の微生物、例えば、細菌類及び真菌類を不活性化させることができるとともに、窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds,VOC)その他の人体に好ましくない影響を与える気体を分解することができるものでもある。このことは、削減が求められている二酸化炭素(CO2)、臭気の原因となるアンモニア(NH3)その他の特定の気体についても同様に当てはまる。
【0458】
したがって、気体浄化装置1は、大気圧下において空気のプラズマを発生させることによって、特定の気体を分解し、これを浄化するためのものとしても使用することができ、また、そうすることが特に好ましい。空気には窒素(N2)と酸素(O2)とが含まれるところ、窒素(N2)のプラズマが発する電磁波は近紫外線を含み、これは酸素(O2)との共存下でも変わらない。ここで、近紫外線は、そのエネルギーによって、浄化しようとする気体を励起し、当該気体を構成する原子間の結合、特に切断が困難とされるπ結合であっても、これを容易に切断することができるものである。このため、気体浄化装置1を上記のとおりに使用した場合にあっては、比較的低いエネルギーをもってして多種多様な気体を分解し、これを浄化することができる。さらに、同様の場合において、例えば、第二電極11bを触媒として作用するものから構成したときは、当該気体浄化装置1は、大気圧プラズマ励起と電極表面触媒活性とを時空間的に共存させたものとして、更により効率的に気体を分解し、これを浄化することができるものとなる。
【0459】
なお、分解しようとする気体において吸収することができる電磁波の波長が近紫外線の範囲内に存在しない場合であっても、共鳴励起関係が成立する限り、当該気体を励起し、これを分解することができる。
【0460】
さらに、第二電極11bが触媒金属のうち紫外線又は熱を受けて触媒として活性化するものからなる場合にあっては、第二電極11bが、プラズマPに伴って発生する熱又は光によって触媒としても活性化するため、プラズマ励起と触媒活性との相乗効果を得ることができ、微生物の不活性化及び特定の気体の分解をより効率的に行うことができる。
【0461】
取り分け第二電極11bが光触媒として作用するものからなる場合にあっては、窒素のプラズマが発する電磁波のうち波長が300~380nmの範囲にある近紫外線は光触媒を活性化させることができるものでもあることから、反射鏡Mが存在することによって、プラズマ励起と触媒活性との相乗効果を更に高めることもできる。
【0462】
さらに、気体浄化装置1は、微生物の不活性化及び特定の気体の分解に関して、これらの効率を高めることができるものである結果、装置としての十分な性能を維持したまま、これを小型化し、また、これを軽量化することもできる。
【0463】
[気体浄化装置1/作用/小括]
気体浄化装置1は、その備えるプラズマ発生装置10が反射鏡Mを備えるものとして、誘電体バリア放電によってプラズマPを発生させるとともに、プラズマPが発する紫外線UVその他の電磁波を反射することに基づいて、例えば、以下の作用効果を奏するものである。
【0464】
すなわち、気体浄化装置1は、
(1)浄化しようとする気体G中のウイルスに対して紫外線UVの照射を反復して行い、
(2)その発生させるプラズマPの量を増やし、浄化しようとする気体G中のウイルスがプラズマPと接触する確率を高め、あるいは、
(3)その発生させるオゾンの量を増やすことにより、
もって、浄化しようとする気体G中のより多くの量のウイルスを不活性化させることができるものである。
【0465】
よって、気体浄化装置1は、プラズマ発生装置10を備えるものとして、誘電体バリア放電によってプラズマPを発生させるとともに、プラズマPが発する紫外線UVその他の電磁波を効率的に利用することができるものである。
【0466】
このほか、気体浄化装置1は、より多くの量のオゾンを発生させることができるものであるにもかかわらず、気体に占めるオゾンの濃度を減少させるためのフィルタにおいて、そのオゾンを分解する能力を更に高めることによって、その発生させるオゾンの量を抑制することなく、室内の空気に占めるオゾンの濃度を低い値に制御することができるものでもある。
【0467】
気体浄化装置1は、以上のとおりのものとして、例えば、室内の空気を循環させながら浄化する空気調節装置に取り付けられた場合にあっては、その一対の電極E間の空間Sに室内の空気Gを通過させ、室内の空気Gのうち一対の電極E間の空間Sを通過した部分中のウイルスを不活性化させることを継続反復し、もって室内の空気G全体中のウイルスを不活性化させることができるものとなる。
【0468】
[気体浄化装置1,1等]
気体浄化装置1は、他の気体浄化装置1と組み合わせて使用することもでき、例えば、二以上の気体浄化装置1が垂直的に又は水平的に連結した構造とすることができる。これにより、気体浄化装置1を単独で使用する場合に比して、浄化することができる気体の量を増やすことができる。
【0469】
例えば、気体浄化装置1と他の気体浄化装置1とが、それぞれが備える連結手段41を介して、垂直的に結合した構造を有する気体浄化装置1,1を構成することが好ましい。このとき、気体浄化装置1の第一電極11aと他の気体浄化装置1の第三電極11cとが電気的に接続されることがより好ましく、これらが互いに接することがより好ましい。
【0470】
また、気体浄化装置1と他の気体浄化装置1とが、それぞれが備える第二電極11bを通じて、水平的に結合した構造を有する気体浄化装置1,1を構成することも好ましい。このとき、気体浄化装置1の第二電極11bと他の気体浄化装置1の第二電極11bとが電気的に接続されることがより好ましく、気体浄化装置1と他の気体浄化装置1とが単一の第二電極11bを互いに共有する構造とすることが特に好ましい。
【0471】
さらに、垂直的に結合した構造を有する気体浄化装置1,1と、垂直的に結合した構造を有する他の気体浄化装置1,1とが、更に水平的に結合した構造を有する気体浄化装置1,1,1,1を構成することもできる。また、水平的に結合した構造を有する気体浄化装置1,1と、水平的に結合した構造を有する他の気体浄化装置1,1とが、更に垂直的に結合した構造を有する気体浄化装置1,1,1,1を構成することもできる。
【0472】
以上のほか、垂直的に結合した構造を有する気体浄化装置1,1と気体浄化装置1とが更に垂直的に結合した構造を有する気体浄化装置1,1,1としてもよい。
【0473】
ここで、二以上の気体浄化装置1を組み合わせたもののの例として、
図23、
図24を参照する。
【第二実施形態】
【0474】
[気体浄化装置101]
気体浄化装置101は、室内の空気その他の浄化しようとする気体Gを、内部に入れて浄化してから外部に出すことにより、浄化した気体を得るためのものであって、自ら送風することにより、浄化しようとする気体Gを出し入れするためのものである。このほか、気体浄化装置101は、紫外線UVを外部に向けて照射するものであることが好ましい。すなわち、気体浄化装置101は、気体浄化機能を有するほか、送風機能を有し、好ましくは、紫外線照射機能を更に有するものである。
【0475】
気体浄化装置101は、全体として、円筒状のものである。
【0476】
気体浄化装置101の直径は、50~150mmであることが好ましく、75~125mmであることがより好ましく、100mmであることが特に好ましい。
【0477】
気体浄化装置101の奥行きは、170~200mmであることが好ましく、180~190mmであることがより好ましく、185mmであることが特に好ましい。
【0478】
気体浄化装置101は、プラズマ発生装置110と、流路120と、を少なくとも備えるものである。これらのほか、気体浄化装置101は、送風装置150を更に備えるものである。ただし、気体浄化装置101は、第一フィルタ130aを備えるものではなく、また、第二フィルタ130bを備えるものでもない。
【0479】
また、気体浄化装置101は、有孔鏡160を更に備えるものであることが好ましい。
【0480】
[気体浄化装置101/プラズマ発生装置110]
プラズマ発生装置110は、プラズマPを発生させるための装置として、気体浄化装置101の一部を構成するためのものである。
【0481】
プラズマ発生装置110は、電極111とガラス層112と金属膜層113との組み合わせからなるものである。すなわち、プラズマ発生装置110は、例えば、第一電極111aと第二電極111bとからなる一対の電極Eと、第一ガラス層112aと、第一金属膜層113aと、を備えるものである。
【0482】
[気体浄化装置101/プラズマ発生装置110/電極111]
電極111として、第一電極111aがあるほか、第二電極111bがある。
【0483】
一対の電極Eは、第一電極111aと第二電極111bとから構成される。
【0484】
電極111のその余については、「電極11」と同様のものであるから、「電極11」についてした説明([気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/電極11]においてした説明をいう。ただし、「第三電極11c」に関する部分を除く。)を準用する。
【0485】
なお、準用に当たり、「電極11」とあるのは「電極111」と、「第一電極11a」とあるのは「第一電極111a」と読み替えるものとし、その余の要素についても、この例による。以下この明細書において同じ。
【0486】
[気体浄化装置101/プラズマ発生装置110/電極111/第一電極111a]
第一電極111aは、電極111のうち、第二電極111bと併せて、一対の電極Eを構成するためのものである。
【0487】
【0488】
なお、第一電極111aのうち第二電極111bと対向する側とは反対側にある表面は、気体浄化装置101の外部からの電気的接続を容易なものとする観点から、その一部が径方向に板状に突出し、ケース140を貫通して外部に露出することが好ましい。
【0489】
第一電極111aのその余については、「第一電極11a」と同様のものであるから、「第一電極11a」についてした説明([気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/電極11/第一電極11a]においてした説明をいう。ただし、「第一フィルタ30a」、「第一スペーサ40a」又は「第二スペーサ40b」のそれぞれに関する部分を除く。)を準用する。この場合において、同説明中において参照する図面に代えて、
図25、
図26、
図28、
図29、
図30等を参照するものとする。
【0490】
[気体浄化装置101/プラズマ発生装置110/電極111/第二電極111b]
第二電極111bは、電極111のうち、第一電極111aと併せて、一対の電極Eを構成するとともに、送風装置150の一部を構成するためのものである。
【0491】
【0492】
第二電極111bは、羽根状のものである。すなわち、第二電極111bは、回転軸に直接的に又は間接的に連結され、回転軸の中心線を中心に公転することにより、風を送ることができる形状のものである。第二電極111bは、例えば、原動機151から延びる駆動軸152にかたく嵌め合わされた轂153aから径方向に延び、この駆動軸152の中心線を中心に公転することにより風を起こすことができるものであることが好ましい。
【0493】
第二電極111bの厚みは、0.2~0.8mmであることが好ましく、0.3~0.7mmであることがより好ましく、0.4~0.6mmであることが更により好ましい。
【0494】
第二電極111bの長さ(径方向に延びる長さをいう。)は、10~30mmであることが好ましく、15~25mmであることがより好ましい。
【0495】
第二電極111bは、その先端部分111b1において、触媒層が配置されているものであることが好ましい。また、触媒層に代えて、誘電体層が配置されているものであってもよい。さらに、二以上の第二電極111bとして、触媒層を先端部分111b1に配置した第二電極111bと誘電体層を先端部分111b1に配置した第二電極111bとを組み合わせてもよい。第二電極111bの先端部分111bに配置される触媒層又は誘電体層の厚みは、20μm以上であることが好ましい。
【0496】
第二電極111bのその余については、「第二電極11b」と同様のものであるから、「第二電極11b」についてした説明([気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/電極11/第二電極11b]においてした説明をいう。ただし、「第三電極11c」、「第一スペーサ40a」又は「第二スペーサ40b」のそれぞれに関する部分を除く。)を準用する。この場合において、同説明中において参照する図面に代えて、
図25、
図26、
図28、
図29、
図30等を参照するものとする。
【0497】
[気体浄化装置101/プラズマ発生装置110/ガラス層112]
ガラス層112として、第一ガラス層112aがある。
【0498】
ガラス層112のその余については、「ガラス層12」と同様のものであるから、「ガラス層12」についてした説明([気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/ガラス層12]においてした説明をいう。)を準用する。
【0499】
[気体浄化装置101/プラズマ発生装置110/ガラス層112/第一ガラス層112a]
第一ガラス層112aは、第一電極111aの形状に応じ、環状のものが選択される。
【0500】
第一ガラス層112aのその余については、「第一ガラス層12a」と同様のものであるから、「第一ガラス層12a」についてした説明([気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/ガラス層12/第一ガラス層12a]においてした説明をいう。ただし、「第一スペーサ40a」又は「第二スペーサ40b」のそれぞれに関する部分を除く。)を準用する。この場合において、同説明中において参照する図面に代えて、
図25、
図26、
図28、
図29、
図30等を参照するものとする。
【0501】
[気体浄化装置101/プラズマ発生装置110/金属膜層113]
金属膜層113として、第一金属膜層113aがある。
【0502】
金属膜層113のその余については、「金属膜層13」と同様のものであるから、「金属膜層13」についてした説明([気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/金属膜層13]においてした説明をいう。)を準用する。
【0503】
[気体浄化装置101/プラズマ発生装置110/金属膜層113/第一金属膜層113a]
第一金属膜層113aについては、「第一金属膜層13a」と同様のものであるから、「第一金属膜層13a」についてした説明([気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/金属膜層13/第一金属膜層13a]においてした説明をいう。)を準用する。この場合において、同説明中において参照する図面に代えて、
図25、
図26、
図28、
図29、
図30等を参照するものとする。
【0504】
[気体浄化装置101/プラズマ発生装置110/導電性粘着層114]
導電性粘着層114として、第一電極111aと接する第一電極側導電性粘着層114a1と、第一ガラス層112aと接するガラス層側導電性粘着層114b1と、がある。
【0505】
これらのほか、第一金属膜層113aが二以上の金属膜から構成される場合にあっては、導電性粘着層114として、一の金属膜と他の金属膜との間に配置されて、これらと接する第一金属膜層間導電性粘着層114c1がある。
【0506】
導電性粘着層114のその余については、「導電性粘着層14」と同様のものであるから、「導電性粘着層14」についてした説明([気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/導電性粘着層14]から[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/導電性粘着層14/作用]までにおいてした説明をいう。ただし、「第三電極側導電性粘着層14a2」、「第二ガラス層側導電性粘着層14b2」又は「第二金属膜層間導電性粘着層14c2」のそれぞれに関する部分を除く。)を準用する。
【0507】
[気体浄化装置101/プラズマ発生装置110/電極111とガラス層112と金属膜層113と導電性粘着層114との組み合わせ]
プラズマ発生装置110にあっては、第一電極111aと、第一ガラス層112aと、第一金属膜層113aと、導電性粘着層114との組み合わせの態様として、例えば、「プラズマ発生装置10」について挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0508】
そこで、第一電極111aと、第一ガラス層112aと、第一金属膜層113aと、導電性粘着層114との組み合わせについて、「プラズマ発生装置10」についてした説明([気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/電極11とガラス層12と金属膜層13と導電性粘着層14との組み合わせ]においてした説明をいう。)を準用する。
【0509】
[気体浄化装置101/プラズマ発生装置110/反射鏡M]
プラズマ発生装置110にあっては、第一ガラス層112aと第一金属膜層113aとが、併せて反射鏡Mを構成する。反射鏡Mは、プラズマPが発する紫外線UVを反射するためのものである。さらに、反射鏡Mは、発生させるプラズマPの量を増やすことができるものでもある。
【0510】
反射鏡Mにおいて、第一ガラス層112aは紫外線を透過させ、第一金属膜層113aは第一ガラス層112aを透過した紫外線を反射する。このとき、第一ガラス層112aは、第一金属膜層113aの紫外線反射率を低減させるおそれがある要因、例えば、プラズマ、紫外線、酸化による損傷から第一金属膜層113aを保護する。
【0511】
もっとも、第一電極111aを紫外線を反射する特性を有する金属からなるものとし、当該第一電極111aと第一ガラス層112aとを、互いの間に第一金属膜層113aを介することなく、互いに接するものとすることによって、反射鏡Mを、第一ガラス層112aと第一金属膜層113aとから構成することに代えて、第一電極111aと第一金属膜層113aとから構成することもできる。
【0512】
プラズマ発生装置110にあっては、第一電極111aが環状のものであり、このことに応じて第一ガラス層112aと第一金属膜層113aとがいずれも環状のものとなり、これらから構成される反射鏡Mもまた環状のものとなる。このため、反射鏡Mの内表面のうち互いに対向する部分と部分との間に合わせ鏡の関係が成り立ち、これらの間で、又はこれらと有孔鏡160との間で、紫外線の反射が反復して行われることになる。ここで、このような反射鏡Mの例として、
図25、
図26、
図27、
図28、
図29、
図30等を参照する。
【0513】
[気体浄化装置101/プラズマ発生装置110/作用]
一対の電極Eに所定の電圧を加えると、誘電体バリア放電によって、一対の電極E間の空間Sにおいて、プラズマPが発生する。すなわち、第一電極111aと第二電極111bとの間に所定の電位差を与えると、第一電極111aと第二電極111bとの間の空間SにプラズマPが発生する。このとき、プラズマPは、第二電極111bが公転する方向に沿って環状に発生するものとなる。
【0514】
この場合において、例えば、一対の電極E間の空間Sに窒素の気体(N2)が存在するときは、窒素のプラズマが発生し、この窒素のプラズマが、紫外線UVを発する。
【0515】
紫外線UVが反射鏡Mに当たると、反射鏡Mは、紫外線UVを吸収することなく、これを反射する。ここで、反射鏡Mが紫外線UVを反射することに関して、
図27を参照する。
【0516】
プラズマ発生装置110が、紫外線UVを反射することのその余のほか、プラズマPの量を増やすこと、オゾン等の量を増やすことのそれぞれについては、「プラズマ発生装置10」における場合と同様であるから、「プラズマ発生装置10」についてした説明([気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/作用]から[気体浄化装置1/作用/オゾン等の量を増やすこと]までにおいてした説明をいう。ただし、「第三電極11c」に関する部分を除く。)を準用する。
【0517】
[気体浄化装置101/流路120]
流路120は、気体浄化装置101において、室内の空気その他の浄化しようとする気体Gが流れるための部分である。気体浄化装置101にあっては、流路120のうちのいずれかの部分にプラズマ発生装置110が配置され、浄化しようとする気体Gは流路120を流れる過程において浄化される。
【0518】
流路120は、入口120aと、出口120bと、経路120cと、から少なくとも構成されるものである。
【0519】
入口120aは、浄化しようとする気体Gが気体浄化装置101の内部に入るための開口からなる部分である。出口120bは、浄化しようとする気体Gが気体浄化装置101の外部に出るための開口からなる部分である。また、経路120cは、浄化しようとする気体Gが入口120aから出口120bまで流れるための通路からなる部分である。
【0520】
浄化しようとする気体Gは、気体浄化装置101において、入口120aから入り、入口120aがある方向から出口120bがある方向に向けて経路120cを流れ、出口120bから出ることになる。
【0521】
気体浄化装置101を利用して室内の空気を浄化しようとする場合にあっては、入口120aと出口120bとを室内に向けて開放するか、又は導管を介して室内に接続する。気体浄化装置101を利用して室内の空気以外の気体を浄化しようとする場合にあっては、感染症患者の口及び鼻、空気調節装置の冷媒配管、内燃機関その他の当該気体の供給源と入口120aとを導管を介して接続するとともに、出口120bを室内に向けて開放するか、又は導管を介して屋外に開放する。
【0522】
ここで、経路120cのうち、基準となるものより入口120a側にある部分を「流路120のうち、(基準となるもの)より上流側」といい、基準となる物より出口120b側にある部分を「流路120のうち、(基準となるもの)より下流側」という。また、入口120a側を気体浄化装置101の正面側とし、出口120b側を気体浄化装置101の背面側とする。
【0523】
流路120は、浄化しようとする気体Gが上記のとおりに流れることができるものである限りにおいて、その具体的態様は特に限られるものではないが、例えば、第一ガラス層112aとケース140とから構成されるものであることが好ましい。ここで、このような流路120の例として、
図25、
図26、
図28、
図29、
図30等を参照する。
【0524】
入口120aは、ケース140に囲まれた貫通孔であって、ケース140の側部のうち一端側に配置されたものから構成されることが好ましい。また、入口120aは、左右に一対のものとして構成されることがより好ましい。ここで、このような入口120aの例として、
図26、
図28、
図29、
図30等を参照する。
【0525】
出口120bは、ケース140に囲まれた開口であって、ケース140の他端側に配置されたものから構成されることが好ましい。ここで、このような出口120bの例として、
図25、
図26、
図28、
図29、
図30等を参照する。
【0526】
経路120cは、第一ガラス層112aに囲まれる第一部分120c1と、ケース140の内面に囲まれる第二部分120c2と、から構成されることが好ましい。また、第一部分120c1が、流路120のうち、第二部分120c2より下流側に配置されることがより好ましい。ここで、このような経路120cの例として、
図26、
図29、
図30等を参照する。
【0527】
第一部分120c1にあっては、第二電極111bと第一ガラス層112aとの間において、一対の電極E間の空間Sが構成され、この空間SにおいてプラズマPが発生する。浄化しようとする気体Gは、経路120cのうち空間S及び空間Sに後続する部分を通過しながら、浄化される。また、第二部分120c2にあっては、有孔鏡160が配置されることが好ましい。この場合において、気体浄化装置101が第三フィルタ130cを備えるときにあっては、第三フィルタ130cは、流路120cのうち、有孔鏡160より上流側に配置されることが好ましい。
【0528】
[気体浄化装置101/フィルタ130]
フィルタ130は、ここを気体が通過した場合において、当該気体に占める特定の気体の濃度を減少させるためのものである。
【0529】
ただし、気体浄化装置101は、フィルタ130のうち、第一フィルタ130aを備えるものではなく、第二フィルタ130bを備えるものでもない。もっとも、気体浄化装置101は、第三フィルタ130cを備えるものであってもよい。
【0530】
気体浄化装置101は、第一フィルタ130aを備えるものではないため、流路120のうち、第二電極111bより下流側において、オゾンを含む気体Gが出口120bから外部に向けて放出されることを妨げるものが存在しない。
【0531】
さらに、気体浄化装置101は、第一フィルタ130aを備えるものではなく、また、第二フィルタ130bを備えるものでもないため、流路120のうち、第二電極111bより下流側において、紫外線UVが出口120bから外部に向けて照射されることを妨げるものが存在しない。
【0532】
以上のとおりであるから、気体浄化装置101は、オゾンを含む気体Gを出口120bから外部に向けて放出することができるとともに、紫外線UVを出口120bから外部に向けて照射することができるものとなる。
【0533】
気体浄化装置101にあっては、第三フィルタ130cは、流路120のうち、第二電極111bより上流側に配置される。また、気体浄化装置101が有孔鏡160を備える場合にあっては、第三フィルタ130cは、流路120のうち、有孔鏡160より上流側に配置される。
【0534】
フィルタ130(第一フィルタ130a、第二フィルタ130b及び第三フィルタ130cを含む。)のその余については、「フィルタ30」(「第一フィルタ30a」、「第二フィルタ30b」及び「第三フィルタ30c」を含む。)と同様のものであるから、「フィルタ30」についてした説明([気体浄化装置1/フィルタ30]から[気体浄化装置1/フィルタ30/電極11とフィルタ30との関係/フィルタ30に関する課題に対する解決手段]までにおいてした説明をいう。ただし、「第三電極11c」に関する部分を除く。)を準用する。
【0535】
[気体浄化装置101/ケース140]
ケース140は、気体浄化装置101を構成する各要素を内部に収納し、これらを所定の関係において配置するとともに、これらを保護するためのものである。
【0536】
ケース140は、上記を満たす限りことができるものである限りにおいて、その具体的態様は特に限られるものではないが、気体浄化装置101を構成する各要素の態様に応じ、適当なものが任意に選択される。
【0537】
ケース140は、絶縁体からなるか、又は強度があり、かつ、電磁シールド可能な金属からなるものであることが好ましい。なお、ケース140が金属からなるときは、ケース140と第一電極111aとの間に絶縁体を介在させる。
【0538】
ケース140は、第一電極111aの形状に応じ、環状のものであり、例えば、環状のもののうち、円形状のものが好ましく、一端が閉じ、他端が開いた円筒状のものからなることがより好ましいが、両端が開いたものであってもよい。
【0539】
ケース140にあっては、その一端側に入口120aが構成され、その他端側には出口120bが構成される。このとき、入口120aは、ケース140の側部のうち一端側に配置された貫通孔から構成されることが好ましく、出口120bは、ケース140の他端側に配置された開口から構成されることが好ましい。また、入口120aは、二以上あることが好ましい。ここで、このようなケース140の例として、
図25、
図26、
図28、
図29、
図30等を参照する。
【0540】
なお、ケース140は、単一の部材から構成されるものであってもよく、また、二以上の部材から構成されるものであってもよい。
【0541】
[気体浄化装置101/送風装置150]
送風装置150は、風を送ることによって、浄化しようとする気体Gを、入口120aから入れて出口120bから出すためのものであって、その一部として第二電極111bを備えるものである。
【0542】
送風装置150は、例えば、原動機151と、原動機151から軸方向に延びる駆動軸152と、駆動軸152にかたく嵌め合わされた羽根車153のほか、原動機151から径方向に延びる取付部材154と、からなるものである。
【0543】
羽根車153は、轂153aと、二以上の第二電極111bと、を備えるものである。二以上の第二電極111bは、轂153aの周方向に沿って互いに間隔をおいて配置されており、かつ、それぞれ轂153aの径方向に沿って延びている。
【0544】
送風装置150は、例えば、取付部材154を介して、ケース140に取り付けられ、ケース140の内部に配置される。このとき、羽根車153の一部として送風装置150の一部を構成する第二電極111bは、第一電極111aとの間に距離を隔てて配置されることになる。すなわち、取付部材154は、送風装置150を所定の位置に配することを介して、スペーサとしての機能を果たしている。ここで、このような送風装置150の例として、
図25、
図26、
図28、
図29、
図30等を参照する。
【0545】
原動機151を動かすと、駆動軸152がその中心線を中心に自転する。駆動軸152が自転すると、これとかたく嵌め合わされている轂153aが羽根車153ごと駆動軸152の中心線を中心に公転する。その結果、第二電極111bが駆動軸152の中心線を中心に公転し、入口120aから出口120bに向けて流れる風が生じ、送風が始まる。
【0546】
さらに、一対の電極Eを構成する第一電極111aと第二電極111bとに所定の電圧を加えると、誘電体バリア放電によって、これらの間にある空間SにおいてプラズマPが発生し、プラズマPが発生すると、紫外線UVが発生するほか、オゾンが発生する。
【0547】
以上のとおり、気体浄化装置101にあっては、原動機151を動かしながら第一電極111aと第二電極111bとから構成される一対の電極Eに所定の電圧を加えることによって、プラズマPを発生させながら、オゾンを含む気体Gを風として送ることができるとともに、一対の電極E間の空間Sにおいて紫外線UVを発生させることができる。ここで、送風装置150がオゾンを含む気体Gと紫外線UVとを発生させる点に関して、
図27を参照する。
【0548】
[気体浄化装置101/有孔鏡160]
有孔鏡160は、一対の電極E間の空間Sにおいて発生した紫外線UVを反射することによって、出口120bから気体浄化装置101の外部に向けて、効率的に紫外線UVを照射するためのものである。
【0549】
有孔鏡160は、円環状の平面鏡からなるものであることが好ましい。もっとも、平面鏡に代えて、凸面鏡又は凹面鏡からなるものであってもよい。
【0550】
【0551】
有孔鏡160は、二以上の通風孔161を有するほか、中心孔162を更に有するものであることが好ましい。
【0552】
通風孔161は、有孔鏡160を貫通する貫通孔からなるものであり、例えば、円形状の貫通孔が有孔鏡160の周方向に沿って互いに間隔をおいて配置されているものであることが好ましい。通風孔161は、風を通すことができるものである限りにおいて、その具体的態様は特に限られるものではない。
【0553】
中心孔162は、有孔鏡160の中心を貫通する孔であって、ここに送風装置150の一部又は全部を通すためのものである。有孔鏡160が中心孔162を更に有する場合にあっては、送風装置150が存在するにもかかわらず、一対の電極Eと有孔鏡160とを互いに接近させることにより、紫外線UVの反射を効率的に行うことができる。例えば、中心孔162に原動機151を通らせることによって、有孔鏡160と一対の電極Eとを互いに接近させるとともに、第二電極111bの回転を妨げないことが好ましい。
【0554】
有孔鏡160は、鏡面側が出口120b側を向くように配置される。有孔鏡160は、経路120cと交わうとともに、流路120のうち、第二電極111bより上流側に配置される。このほか、有孔鏡160は、第一電極111aより入口120a側に配置されることが好ましく、さらに、第一電極111aに接近することが特に好ましい。このとき、有孔鏡160は、更により効率的に紫外線UVを反射することができるものとなる。
【0555】
気体浄化装置101は、反射鏡Mのほか、有孔鏡160を更に備えるものとして、出口120bから外部に向けて、効率的に紫外線UVを照射することができるものともなる。なお、有孔鏡160は、経路120cと交わるものであるにもかかわらず、通風孔161を有するものであるから、風が通ることの妨げとならない。
【0556】
[気体浄化装置101/作用]
気体浄化装置101は、その備えるプラズマ発生装置110が反射鏡Mを備えるものとして、誘電体バリア放電によってプラズマPを発生させるとともに、プラズマPが発する紫外線UVその他の電磁波を反射することに基づいて、例えば、以下の作用効果を奏するものである。
【0557】
すなわち、気体浄化装置101は、
(1)浄化しようとする気体G中のウイルスに対して紫外線UVの照射を反復して行い、
(2)その発生させるプラズマPの量を増やし、浄化しようとする気体G中のウイルスがプラズマPと接触する確率を高め、あるいは、
(3)その発生させるオゾンその他の活性化した気体の量を増やすことにより、
もって、浄化しようとする気体G中のより多くの量のウイルスを不活性化させることができるものである。
【0558】
なお、これらの作用の詳細については、「気体浄化装置1」における場合と同様であるから、「気体浄化装置1」についてした説明([気体浄化装置1/作用]から[気体浄化装置1/作用/更なる作用]までにおいてした説明をいう。ただし、「第二反射鏡M2」に関する部分を除く。)を準用する。
【0559】
これらのほか、気体浄化装置101は、送風装置150を備えるものとして、その発生させたより多くの量のオゾンを含む気体Gを気体浄化装置101の外部に向けて放出することができるものであり、例えば、室内の空気中を浮遊するウイルスのほか、室内の床、壁その他の表面に付着したウイルスを不活性化させることができるものでもある。
【0560】
以上のほか、気体浄化装置101が有孔鏡160を更に備える場合にあっては、紫外線UVを気体浄化装置101の外部に向けて照射することができるものとして、例えば、室内の空気中を浮遊するウイルスのほか、室内の床、壁その他の表面に付着したウイルスを不活性化させることができるものともなる。
【0561】
ここで、気体浄化装置101が、プラズマPを発生させるほか、外部に向けて、オゾンを含む気体Gを放出するとともに、紫外線UVを照射することに関して、
図27等を参照する。
【0562】
なお、オゾンを含む気体G及び紫外線UVは、人体に好ましくない影響を与えるものでもあるから、これを室内に向けて放出し、又は照射するに当たっては、夜間その他の室内に人が存在しない時機を選んで行うことが好ましい。
【0563】
[他の気体浄化装置201]
他の気体浄化装置201は、室内の空気その他の浄化しようとする気体Gを、内部に入れて浄化してから外部に出すことにより、浄化した気体を得るためのものであって、自ら送風することにより、浄化しようとする気体Gを出し入れするためのものである。すなわち、他の気体浄化装置201は、気体浄化機能を有するほか、送風機能を有するものである。
【0564】
他の気体浄化装置201は、プラズマ発生装置210と、流路220と、を少なくとも備えるものである。これらのほか、他の気体浄化装置201は、送風装置250を更に備えるものである。以上のほか、他の気体浄化装置201は、第一フィルタ230aを更に備えるものである。さらに、他の気体浄化装置201は、第二フィルタ230bを備えるものであってもよく、また、第三フィルタ230cを備えるものであってもよい。
【0565】
第一フィルタ230aは、第一電極211aの間に配置され、その内周面と接するものであることが好ましい。同様に、第二フィルタ230bも、第一電極211aの間に配置され、その内周面と接するものであることが好ましい。
【0566】
ここで、他の気体浄化装置201と気体浄化装置101とを対比すると、他の気体浄化装置201は少なくとも第一フィルタ230aを備えるものであるのに対して、気体浄化装置101は第一フィルタ130aを備えるものではなく、また、第二フィルタ130bを備えるものでもない点において相違し、その余の点において共通する。
【0567】
そこで、他の気体浄化装置201のその余については、「気体浄化装置101」と同様のものであるから、「気体浄化装置101」についてした説明([気体浄化装置101]から[気体浄化装置101/有孔鏡160]までにおいてした説明をいい、[気体浄化装置101/作用]においてした説明を除く。)を準用する。この場合において、[気体浄化装置101/有孔鏡160]においてした説明中「気体浄化装置101は、有孔鏡160を備えることによって、出口120bから外部に向けて、紫外線UVを照射することができるものともなる。」とあるのは「他の気体浄化装置201は、有孔鏡260を備えることによって、その内部において、紫外線UVの反射を反復することができるものともなる。」と読み替えるものとする。
【0568】
[他の気体浄化装置201/作用]
他の気体浄化装置201は、その備えるプラズマ発生装置210が反射鏡Mを備えるものとして、誘電体バリア放電によってプラズマPを発生させるとともに、プラズマPが発する紫外線UVその他の電磁波を反射することに基づいて、例えば、以下の作用効果を奏するものである。
【0569】
すなわち、気体浄化装置201は、
(1)浄化しようとする気体G中のウイルスに対して紫外線UVの照射を反復して行い、
(2)その発生させるプラズマPの量を増やし、浄化しようとする気体G中のウイルスがプラズマPと接触する確率を高め、あるいは、
(3)その発生させるオゾンその他の活性化した気体の量を増やすことにより、
もって、浄化しようとする気体G中のより多くの量のウイルスを不活性化させることができるものである。
【0570】
なお、これらの作用の詳細については、「気体浄化装置1」における場合と同様であるから、「気体浄化装置1」についてした説明([気体浄化装置1/作用]から[気体浄化装置1/作用/更なる作用]までにおいてした説明をいう。)を準用する。
【0571】
このほか、他の気体浄化装置201が有孔鏡260を更に備える場合にあっては、他の気体浄化装置201は、その内部において、紫外線UVの反射を反復することによって、更により多くの量のウイルスを不活性化させることができる。
【第三実施形態】
【0572】
[自走式気体浄化装置1001]
自走式気体浄化装置1001は、気体浄化装置のうち、室内の空気その他の浄化しようとする気体Gを、内部に入れて浄化してから外部に出すことにより、浄化した気体を得るためのものであって、自ら送風することにより、浄化しようとする気体Gを出し入れするとともに、自ら走行することができるものである。
【0573】
自走式気体浄化装置1001は、気体浄化装置101のほか、例えば、床面を走行するための走行手段1010と、走行手段1010を駆動するための駆動手段(図示しない)と、駆動手段を自動制御するための自動制御手段(図示しない)と、を備えるものであることが好ましく、これらのほか、他の気体浄化装置201を更に備えるものであることがより好ましい。
【0574】
走行手段1010は、自走式気体浄化装置1001の底面に配置され、例えば、二以上の車輪からなる。また、走行手段1010は、自動制御手段により制御されるものであることが好ましい。
【0575】
ところで、気体浄化装置101は、送風機能を併せて有するものとして、空気調節装置以外の装置に取り付けることによって、当該装置に気体浄化機能と送風機能とを付与することができるものでもある。
【0576】
そこで、気体浄化装置101を、例えば、自動走行する装置(以下単に「自走式装置」という。)1000に取り付けることによって更に自走機能を有する自走式気体浄化装置1001とすることが好ましい。ここで、自走式装置として、例えば、自走式ロボットのほか、自走式掃除機が挙げられる。
【0577】
気体浄化装置101を自走式装置1000に取り付けて自走式気体浄化装置1001とするに当たっては、気体浄化装置101の出口120bを下方に向けることが好ましい。このとき、自走式気体浄化装置1001は、出口120bから床面に向けてオゾンを含む気体Gを送風するとともに、出口120bから床面に向けて紫外線UVを照射するものとなる。
【0578】
他の気体浄化装置201を自走式装置1000に取り付けるに当たっては、その取付け位置の具体的態様は、特に限られるものではないが、例えば、他の気体浄化装置201の出口220bが前方に向けられることが好ましい。
【0579】
ここで、以上のような自走式気体浄化装置1001の例として、
図31、
図32を参照する。
【0580】
以上のように、自走式気体浄化装置1001は、自動走行しながらオゾンを含む気体G及び紫外線UVを外部に出すことによって、空気中又は床面のウイルスを不活性化させることができるものとなる。また、このことは、ウイルス以外の他の微生物についても同様である。
【第四実施形態】
【0581】
[気体活性化装置301]
気体活性化装置301は、活性化しようとする気体Gを、内部に入れて活性化してから外部に出すことにより、活性化した気体を得るためのものである。すなわち、気体活性化装置301は、気体活性化機能を有するものである。
【0582】
なお、この明細書にいう「活性化しようとする気体G」には、活性化しようとする気体そのもののほか、これを現に活性化した気体と、これらの間の状態にある気体と、を含むことがあるものとする。このことは、図面においても同様である。
【0583】
活性化しようとする気体として、例えば、空気のほか、酸素(O2)、窒素(N2)、水素(H2)が挙げられる。ここで、空気として、密閉容器内の空気のほか、室内の空気が挙げられる。これらのほか、活性化しようとする気体として、貴ガス、ハロゲンガスと貴ガスとの混合気体も挙げられるが、特に以上のものに限定されない。
【0584】
活性化した気体として、例えば、活性化しようとする気体が酸素(O2)を含むものである場合にあっては、オゾン(O3)のほか、活性酸素が挙げられ、窒素(N2)を含むものである場合にあっては、窒素の励起分子(N2)又は励起原子(N)が挙げられる。
【0585】
なお、活性化した気体を気体活性化装置301の外部に放出し、当該活性化した気体と浄化しようとする気体とを互いに接触させることによって、当該浄化しようとする気体を励起させて分解し、もってこれを浄化することもできる。すなわち、ある気体を励起することは、すなわち、これを活性化することであり、場合によっては、これを浄化することでもある。このとき、気体を浄化する過程において有害な中間体を生じさせないように、例えば、電圧、周波数その他のプラズマを発生させるための条件を最適化することにより発生させるプラズマの放電形態の在り方を最適化し、更に第二電極311bを触媒として作用するものから構成した場合にあっては、特定遷移金属の選定、設定位置その他の触媒を作用させるための条件を併せて最適化することによりプラズマ励起と電極表面触媒活性とを時空間的に共存させ、もって浄化しようとする気体中に含まれる有害な物質を可能な限り無害なものすることも必要であり、また、重要でもある。
【0586】
気体活性化装置301は、密閉容器2000の内部において配置されて使用され、又は室内において配置されて使用されることによって、固体浄化装置2001を構成する。
【0587】
気体活性化装置301は、プラズマ発生装置310と、流路320と、を少なくとも備えるものである。ただし、気体活性化装置301は、フィルタ330を備えるものではない。
【0588】
気体活性化装置301の奥行きは、10~40mmであることが好ましく、15~35mmであることがより好ましく、20~30mmであることが更により好ましい。
【0589】
気体活性化装置301の大きさ(奥行きを除く。)及び重さは、「気体浄化装置1」における場合と同様のものであるから、「気体浄化装置1」についてした説明を準用する。
【0590】
[気体活性化装置301/プラズマ発生装置310]
プラズマ発生装置310は、プラズマPを発生させるための装置として、気体活性化装置301の一部を構成するためのものである。
【0591】
プラズマ発生装置310のその余については、「プラズマ発生装置10」と同様のものであるから、「プラズマ発生装置10」についてした説明([気体浄化装置1/プラズマ発生装置10]から[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/作用/オゾン等の量を増やすこと]までにおいてした説明をいう。ただし、「第一フィルタ30a」に関する部分を除く。)を準用する。この場合において、同説明中「気体浄化装置1」とあるのは「気体活性化装置301」と、「浄化」とあるのは「活性化」と、読み替えるものとする。このとき、同説明中において参照する
図12(a)に代えて
図13(b)を準用して参照するものとする。
【0592】
また、同様の場合において、[気体浄化装置1/プラズマ発生装置10/電極11/第三電極11c]においてした説明中「例えば、気体浄化装置1において不活性化させることができるウイルスの量を更に増やすことができる。」とあるのは、「例えば、気体活性化装置301において活性化させることができる気体の量を更に増やすことができる。」と読み替えるものとする。
【0593】
[気体活性化装置301/流路320]
流路320は、気体活性化装置301において、活性化しようとする気体Gが流れるための部分である。気体活性化装置301にあっては、流路320のうちのいずれかの部分にプラズマ発生装置310が配置され、活性化しようとする気体Gは流路320を流れる過程において活性化される。
【0594】
気体活性化装置301を利用して密閉容器内の空気を活性化しようとする場合にあっては、入口320aと出口320bとを密閉容器内に向けて開放するか、又は導管を介して密閉容器内に接続する。気体活性化装置301を利用して室内の空気を活性化しようとする場合にあっては、入口320aと出口320bとを室内に向けて開放するか、又は導管を介して室内に接続する。
【0595】
流路320のその余については、「流路20」と同様のものであるから、「流路20」についてした説明([気体浄化装置1/流路20]から[気体浄化装置1/流路20/第二電極11bと流路20との関係]までにおいてした説明をいう。)を準用する。この場合において、同説明中「気体浄化装置1」とあるのは「気体活性化装置301」と、「浄化」とあるのは「活性化」と、読み替えるものとする。このとき、同説明中において参照する図面に代えて
図13(b)を準用して参照するものとする。
【0596】
[気体活性化装置301/フィルタ330]
フィルタ330は、ここを気体が通過した場合において、当該気体に占める特定の気体の濃度を減少させるためのものである。
【0597】
ただし、気体活性化装置301は、フィルタ330を備えるものではない。すなわち、気体活性化装置301は、第一フィルタ330aを備えるものではなく、第二フィルタ330bを備えるものでもなく、第三フィルタ330cを備えるものでもない。ここで、このような気体活性装置301の例として、
図13(b)を準用して参照する。
【0598】
気体活性化装置301は、第一フィルタ330aその他のフィルタ330を備えるものではないため、流路320のうち、第二電極311bより下流側において、オゾンその他の活性化した気体Gが出口320bから外部に向けて放出されることを妨げるものが存在しない。
【0599】
このとおりであるから、気体活性化装置301は、オゾンその他の活性化した気体Gを出口320bから外部に向けて放出することができる。
【0600】
フィルタ330(第一フィルタ330a、第二フィルタ330b及び第三フィルタ330cを含む。)のその余については、「フィルタ30」(「第一フィルタ30a」、「第二フィルタ30b」及び「第三フィルタ30c」を含む。)と同様のものであるから、「フィルタ30」についてした説明([気体浄化装置1/フィルタ30]から[気体浄化装置1/フィルタ30/第三フィルタ30c]までにおいてした説明をいう。)を準用する。この場合において、「気体浄化装置1」とあるのは「気体活性化装置301」と読み替えるものとする。
【0601】
[気体活性化装置301/スペーサ340]
スペーサ340は、「スペーサ40」と同様のものであるから、「スペーサ40」についてした説明(「気体浄化装置1/スペーサ40」から「気体浄化装置1/連結手段41」までにおいてした説明をいう。)を準用する。この場合において、同説明中「気体浄化装置1」とあるのは「気体活性化装置301」と読み替えるものとする。
【0602】
[気体活性化装置301/作用]
気体浄化装置301は、その備えるプラズマ発生装置310が反射鏡Mを備えるものとして、誘電体バリア放電によってプラズマPを発生させるとともに、プラズマPが発する紫外線UVその他の電磁波を反射することに基づいて、例えば、以下の作用効果を奏するものである。
【0603】
すなわち、気体浄化装置301は、活性化しようとする気体Gに対して紫外線UVその他の電磁波の照射を反復して行い、あるいは、その発生させたプラズマPの量を増やし、活性化しようとする気体GがプラズマPと接触する確率を高めることにより、もってその発生させる活性化した気体の量を増やすことができるものである。
【0604】
したがって、気体浄化装置301は、活性化しようとする気体Gが酸素(O2)を含むものである場合にあっては、より多くの量のオゾン(O3)のほか、より多くの量の活性酸素を発生させることができる。
【第五実施形態】
【0605】
[密閉容器2000]
密閉容器2000は、その内部において気体活性化装置301を使用することにより、気体活性化装置301を固体浄化装置2001として使用するための前提を構成するものである。すなわち、密閉容器2000は、常に、固体浄化装置2001を構成する要素となるものではない。もっとも、固体浄化装置2001が、予め密閉容器2000を備えることは妨げられない。
【0606】
密閉容器2000は、その内部に気体活性化装置301と浄化しようとする固体Oとを収めた状態で密閉して、その内部を気体活性化装置301が放出する活性化した気体Gで満たすことによって、活性化した気体Gと浄化しようとする固体Oの表面とが触れ続けるようにするためのものである。
【0607】
密閉容器2000は、例えば、金属からなるものであることが好ましく、例えば、屋内施設に備えられているロッカーをそのまま使用することもできる。
【0608】
密閉容器2000は、例えば、密閉容器本体2000aと、蝶番2000bと、扉2000cと、を備えるものである。扉2000cは、密閉容器本体2000aに対して蝶番2000bを介して開閉可能に連結されている。
【0609】
密閉容器2000を使用しようとする者は、扉2000cを開き、収めようとする固体Oを密閉容器本体2000の内部に収めた後、扉2000cを閉じて密閉する。
【0610】
ここで、以上のような密閉容器2000の例として、
図37、
図38を参照する。
【0611】
[固体浄化装置2001]
固体浄化装置2001は、浄化しようとする固体Oとともに密閉容器2000の内部に配置され、密閉容器2000の内部を活性化した気体Gをもって満たすことにより、浄化した固体を得るためのものである。すなわち、固体浄化装置2001は、固体浄化機能を有するものである。
【0612】
浄化しようとする固体Oとして、例えば、医療機器、医療用衣服その他の医療行為及びこれに準ずる行為の提供の用に供する物(医療行為及びこれに準ずる行為の提供に当たりその提供を受ける者(貸し渡す物を含む。)の利用に供する物を含む。)のほか、野菜、果物、その他の生鮮食品が挙げられる。
【0613】
固体浄化装置2001は、気体活性化装置301を少なくとも備えるものである。すなわち、気体活性化装置301が密閉容器2000の内部において使用されることによって固体浄化装置2001が構成される。このほか、密閉容器2000であって、その内部に気体活性化装置301が予め設置されたものをもってして、固体浄化装置2001が構成されてもよい。
【0614】
固体浄化装置2001は、気体活性化装置301のほか、例えば、送風装置2010を備えるものであることが好ましく、また、ボックス2020と、電源2030と、制御手段2040と、検知手段2050と、設置手段2060と、を更に備えるものであることが好ましい。
【0615】
【0616】
もっとも、固体浄化装置2001は、上記にかかわらず、気体活性化装置301と送風装置2010とを備えることに代えて気体浄化装置101を気体活性化装置として備えるものであってもよい。気体浄化装置101は、フィルタ130を備えるものでないため、気体活性化装置として使用することもできることによる。
【0617】
[固体浄化装置2001/気体活性化装置301]
気体活性化装置301は、活性化しようとする気体Gを、内部に入れて活性化してから外部に出すことにより、活性化した気体を得て、これをもって密閉容器2000の内部を満たすためのものである。すなわち、気体活性化装置301は、気体活性化機能を有するものである。
【0618】
気体活性化装置301の数は、一であってもよく、二以上であってもよく、例えば、三の気体活性化装置301,301,301としてもよい。ここで、固体浄化装置2001を構成する三の気体活性化装置301,301,301の例として、
図35、
図36等を参照する。
【0619】
なお、気体活性化装置301のその余については、「気体活性化装置301」と同一のものであるから、「気体活性化装置301」についてした説明([気体活性化装置301]から[気体活性化装置301/作用]までにおいてした説明をいう。)を援用する。
【0620】
[固体浄化装置2001/送風装置2010]
送風装置2010は、気体活性化装置301に向けて風を送ることによって、活性化しようとする気体Gを、気体活性化装置301の入口320aから入れて出口320bから出すためのものであるとともに、ボックス2020の入口2020aから入れて出口2020bから出すためのものでもある。
【0621】
送風装置2010は、例えば、原動機と、原動機から軸方向に延びる駆動軸と、駆動軸にかたく嵌め合わされた羽根車のほか、原動機から径方向に延びる取付部材と、取付部材と連結された枠体と、からなるものである。
【0622】
送風装置2010は、気体活性化装置301に対して入口320a側に配置されることが好ましい。これにより、活性化した気体Gをその活性が失われてしまう前に気体活性化装置301の外部に放出することができる。もっとも、送風装置2010が出口320b側に配置されることも妨げられない。
【0623】
送風装置2010の数は、一であってもよく、また、二以上であってもよく、例えば、三の送風装置2010,2010,2010とすることもできる。
【0624】
ここで、気体活性化装置301に対して入口320a側に配置され、固体浄化装置2001の一部を構成する三の送風装置2010,2010,2010の例として、
図35、
図36等を参照する。
【0625】
[固体浄化装置2001/ボックス2020]
ボックス2020は、その内部において気体活性化装置301及び送風装置2010を収めることにより、これらを互いに適当な関係をなすように配置するためのものである。
【0626】
これらのほか、ボックス2020は、例えば、電源2030を更に収めることができるものであることが好ましく、制御手段2040、検知手段2050及び設置手段2060を設けることができるものであることがより好ましい。
【0627】
ボックス2020は、その内部に気体活性化装置301及び送風装置2010を収めることができる程度の大きさの空間を少なくとも有するとともに、活性化しようとする気体Gが入るための入口2020aと、活性化した気体Gが出るための出口2020bと、を有する。また、ボックス2020は、ボックス本体2020cと、蓋2020dと、から構成されることが好ましい。
【0628】
【0629】
[固体浄化装置2001/電源2030]
電源2030は、気体活性化装置301が備えるプラズマ発生装置310に対して電圧を加えるためのものである。このほか、電源2030は、送風装置2010と、制御手段2040と、検知手段2050とに対し、それぞれ電圧を加えることができるものであることが好ましい。
【0630】
電源2030は、ボックス2020の内部に配置され、気体活性化装置301その他の電圧を加えようとする装置等に対して電線(図示しない)を通じて電気的に接続される。ここで、このような電源2030の例として、
図35、
図36を参照する。
【0631】
なお、電源2030は、気体活性化装置その他の電圧を加えようとする装置等に対して所定の電圧を加えることができるものであれば、その具体的態様は特に限られるものではないが、予め蓄電された蓄電池と、これから得られる電圧を所定の電圧に変換するための変圧器とからなるものであってもよく、また、外部の他の電源に接続するための電線と、これから得られる電圧を所定の電圧に変換するための変圧器と、からなるものであってもよい。
【0632】
[固体浄化装置2001/制御手段2040]
制御手段2040は、気体活性化装置301が備えるプラズマ発生装置310に対して電源2030が電圧を加えるか否かのほか、例えば、電圧を加えるとした場合において、電圧をどの程度の大きさのものとするか等、固体浄化装置2001がその目的を達成するために必要な事項その他の事項について、固体浄化装置2001を使用しようとする者の求めに応じて、あるいは予め定められたところに従って、制御するためのものである。
【0633】
制御手段2040は、操作手段2040aと、表示手段2040bと、を備えるほか、記憶手段(図示しない)と、演算手段(図示しない)と、を備えることが好ましい。
【0634】
操作手段2040aは、気体活性化装置301が備えるプラズマ発生装置310に対して電源2030が電圧を加えるか否かのほか、電圧を加えるとした場合において、電圧をどの程度の大きさのものとするかについて、固体浄化装置2001を使用しようとする者が操作するためのものである。
【0635】
これらのほか、制御手段2040は、所定の処理を行うことを定めた後、所定の時間の経過を待って、当該処理を開始する機能のほか、所定の処理を開始した後、所定の時間の経過を待って、当該処理を終了する機能を更に備えるものであることが好ましい。
【0636】
表示手段2040bは、操作の結果又は状態を表示するためのものである。このほか、表示手段2040bは、検知手段2050が検知した情報を表示することができるものであることが好ましく、液晶ディスプレイを利用するものであることがより好ましい。
【0637】
ここで、操作手段2040aと表示手段2040bとを備える制御手段2040の例として、
図33(a)、
図34(b)、
図35等を参照する。
【0638】
もっとも、操作手段2040aと表示手段2040bとがタッチパネルを利用するものであってもよい。
【0639】
[固体浄化装置2001/検知手段2050]
検知手段2050は、気体活性化装置301が設置された密閉容器2000の内部又は近傍において、オゾンその他の特定の気体の濃度を検知するか、又はヒトの存在若しくはその接近を検知するためのものである。
【0640】
検知手段2050は、例えば、ボックス2020の表面に配置されることが好ましく、ボックス2020の表面のうち底面側にある表面に配置されることが好ましい。ここで、このような検知手段2050の例として、
図33、
図34(a)、
図35、
図36等を参照する。
【0641】
検知手段2050は、例えば、密閉容器2000の内部を占める気体中のオゾンの濃度が所定の範囲を超えたことを検知したときは、制御手段2040を通じて、電源2030が気体活性化装置301に対して電圧を加えることを停止する処理を行う。
【0642】
また、検知手段2050は、例えば、密閉容器2000の密閉が解除されている場合において、密閉容器2000の近傍へのヒトの接近を検知したときも、同様の処理を行う。
【0643】
[固体浄化装置2001/設置手段2060]
設置手段2060は、気体活性化装置301を密閉容器2000の内表面に取り付けることによって、固体浄化装置2001を密閉容器2000の内部に設置するためのものである。
【0644】
設置手段2060は、例えば、固体浄化装置2001を密閉容器2000の天井に設置する場合にあっては、ボックス2020の上面側に配置すればよく、また、固体浄化装置2001を密閉容器2000の壁面に設置する場合にあっては、ボックス2020の側面側に配置すればよい。
【0645】
設置手段2060は、例えば、密閉容器2000の内表面が金属のものからなる場合にあっては、磁石からなるものであることが好ましい。
【0646】
設置手段2060の数は、一であってもよいが、二以上であることが好ましい。
【0647】
[固体浄化装置2001/使用方法]
固体浄化装置2001の使用する方法は、以下のとおりである。ここで、説明のための例として、
図37、
図38を参照する。
【0648】
固体浄化装置2001を使用しようとする者は、例えば、以下の操作を行う。
(A)密閉容器2000の密閉を解除し、その内部に浄化しようとする固体Oを収める。
(B)操作手段2040aを介して、制御手段2040に対して、所定の時間が経過した後に所定の電圧を気体活性化装置301のプラズマ発生装置310に加える処理を行い、他の所定の時間が経過した後に当該処理を停止することを定める。
(C)密閉容器2000を再び密閉する。
【0649】
以上の操作を受けて、固体浄化装置2001は、以下の処理を行う。
(a)制御手段2040は、所定の時間の経過を待って、電源2030に対して気体活性化装置301のプラズマ発生装置310に所定の電圧を加えるように指令するとともに、送風装置2010に対して気体活性化装置301に風を送るように指令する。
(b)気体活性化装置301及び送風装置2010は、制御手段2040からの当該指令に従って、密閉容器2000の内部の空気Gを入口320aから入れて活性化させてから出口320bから出す。このとき、例えば、空気G中に含まれる酸素(O2)からオゾン(O3)のほか、活性酸素が生じる。
(c)密閉容器2000の内部は密閉された状態にあるため、密閉容器2000の内部の気体Gが密閉容器2000の内部と固体浄化装置2001との間を循環して流れ続けて、密閉容器2000の内部の気体G中のオゾンその他の活性化した気体Gの濃度が高くなる結果、密閉容器2000の内部はオゾンその他の活性化した気体Gによって満たされる。
(d)オゾンその他の活性化した気体Gが浄化しようとする固体Oの表面に付着しているウイルスに触れることにより、当該ウイルスが不活性化される。
(e)制御手段2040は、他の所定の時間の経過を待って、電源2030に対して気体活性化装置301のプラズマ発生装置310に所定の電圧を加えることを停止するように指令するとともに、送風装置2010に対して気体活性化装置301に風を送ることを停止するように指令し、電源2030及び送風装置2010は、当該指令に従う。
(f)密閉容器2000の内部を満たしていたオゾンその他の活性化した気体Gは、時間の経過に伴い、その活性を失う。
【0650】
ただし、上記の処理の途中であっても、密閉容器2000の密閉が解除されている場合において、密閉容器2000の近傍へのヒトの接近を検知したときは、処理を中止する。
【0651】
その後、固体浄化装置2001を使用した者は、例えば、以下の操作を行う。
(D)密閉容器2000の密閉を解除し、その内部から浄化した固体Oを得る。
【0652】
[固体浄化装置2001/作用]
以上のとおりであるから、固体浄化装置2001は、誘電体バリア放電によりプラズマPを発生させるとともに、プラズマPが発する紫外線UVその他の電磁波を反射し、より多くの量の活性化した気体Gを発生させ、浄化しようとする固体Oの表面に付着したより多くの量のウイルスを不活性化させることができるものである。
【0653】
また、浄化しようとする固体Oが生鮮食品である場合にあっては、密閉容器2000の内部に浄化しようとする固体Oを収めるとともに、固体浄化装置2001を動かし続けることによって、浄化しようとする固体Oの表面に付着している黴を不活性化させ、これが増殖することを予防し、浄化しようとする固体Oの鮮度を維持しながら保管をすることができる。
【第六実施形態】
【0654】
[空気調整浄化装置401]
空気調整浄化装置401は、室内の空気Gを、内部に入れて調整するとともに浄化してから外部に出すためのものである。すなわち、空気調整浄化装置401は、空気調節機能のほか、空気浄化機能を更に有するものである。
【0655】
空気調節浄化装置401は、例えば、次のとおりのものである。ここで、説明のための例として、
図39を参照する。
【0656】
空気調節浄化装置401は、例えば、気体浄化装置1を空気調節装置の室内機400に取り付けることによって製造することができる。
【0657】
ここで、空気調節装置は、室内の空気Gを循環しながら調節するための装置であって、例えば、室内機400と、室外機(図示しない)と、室内機400と室外機との間を連結する冷媒配管(図示しない)と、から少なくともなるものである。
【0658】
室内機400は、室内に設置されるものであって、通常、ケース410と、流路420と、送風機430と、熱交換器440と、ドレンパン(Drain Pan)450と、を備えるものである。
【0659】
流路420は、室内機400において、調整しようとする室内の空気Gが流れるための部分であって、入口420aと、出口420bと、経路420cと、から少なくとも構成されるものである。室内機400において、通常、入口420aはケース410の上面側に配置され、出口420bはケース410の前面側に配置される。室内の空気Gは、室内機400において、入口420aから入り、入口420aがある方向から出口420bがある方向に向けて経路420cを流れ、出口420bから出ることになる。この間、調整しようとする室内の空気Gは、送風機430による送風に導かれて、経路420間に配置された熱交換器440の近傍を通過する過程において、冷却その他の調整が行われることになる。
【0660】
室内の空気Gは、その熱が熱交換器440において冷媒に吸収されることによって冷却されるところ、このとき、室内の空気Gに含まれていた水蒸気が凝集して液体となって、熱交換器440の表面に結露する。ドレンパン450は、この結露を受けるための受け皿として、熱交換器440の下方に配置される。また、ドレンパン450の下方には、出口420bが配置される。
【0661】
気体浄化装置1は、室内機400における室内の空気Gの流れとの関係において、気体浄化装置1の入口20aが上流側に配置されるとともに、気体浄化装置1の出口11bが下流側に配置されるように、室内機400に取り付けられる。
【0662】
気体浄化装置1を室内機400に取り付けるに当たって、気体浄化装置1が配置される空間は、例えば、室内機400の入口420aの近傍又は室内機400の出口420bの近傍が好ましく、これらのうち、室内機400の出口420bの近傍がより好ましい。
【0663】
気体浄化装置1を室内機400の出口420bの近傍に配置するに当たって、気体浄化装置1は、例えば、ドレンパン450の下側に取り付けられることが好ましい。
【0664】
気体浄化装置1は、室内機400に取り付けて空気調整浄化装置401を構成するためのものとして、例えば、ケース50と、電源(図示しない)と、制御手段60と、取付手段(図示しない)と、を更に備えるものであることが好ましい。
【0665】
ケース50は、その内部において、気体浄化装置1を構成する装置等のうちケース50以外のもの、例えば、プラズマ発生装置10と、流路20と、フィルタ30と、スペーサ40と、を収めることができるほか、更に電源を収めることができるとともに、その表面において、制御手段60を配置することができるものであることが好ましい。
【0666】
電源は、気体浄化装置1が備えるプラズマ発生装置10に対して、電圧を加えるためのものである。このほか、電源は、制御手段60に対しても電圧を加えることができるものであることが好ましい。
【0667】
電源は、ケース50の内部に配置され、プラズマ発生装置10その他の電圧を加えようとする装置等に対して電線(図示しない)を通じて電気的に接続される。
【0668】
電源は、室内機400用の電源に接続するための電線と、これから得られる電圧を所定の電圧に変換するための変圧器と、からなるものであることが好ましい。
【0669】
制御手段60は、気体浄化装置1が備えるプラズマ発生装置10に対して電源が電圧を加えるか否かのほか、例えば、電圧を加えるとした場合において、電圧をどの程度の大きさのものとするか等、気体浄化装置1が、空気調節浄化装置401において、その目的を達成するために必要な事項その他の事項について、空気調節浄化装置401を使用しようとする者の求めに応じて、あるいは予め定められたところに従って、制御するためのものである。
【0670】
制御手段60は、操作手段60aと、表示手段60bと、を備えるほか、記憶手段(図示しない)と、演算手段(図示しない)と、を備えることが好ましい。
【0671】
操作手段60aは、気体浄化装置1が備えるプラズマ発生装置10に対して電源が電圧を加えるか否かのほか、電圧を加えるとした場合において、電圧をどの程度の大きさのものとするかについて、空気調節浄化装置401を使用しようとする者が操作するためのものである。
【0672】
表示手段60bは、操作の結果又は状態を表示するためのものであって、例えば、液晶ディスプレイを利用するものであることがより好ましい。
【0673】
もっとも、操作手段60aと表示手段60bとがタッチパネルを利用するものであってもよい。
【0674】
設置手段は、気体浄化装置1を室内機400に取り付けるためのものであり、例えば、気体浄化装置1の上面に配置されることが好ましく、ケース50の上面に配置されることがより好ましい。
【0675】
空気調節装置に電圧を加えるとともに、気体浄化装置1に電圧を加えることによって、空気調節浄化装置401が動き始める。空気調節浄化装置401が動き始めると、室内の空気Gを調整しながら浄化する。これをより詳しくみると、例えば、次のとおりである。
【0676】
室内の空気Gは、送風機430による送風に導かれ、空調機400の入口420aから室内機400の内部へと入り、経路420cを通過する過程において、熱交換器440の近くを通過する間に冷却、加熱等の調整が行われた後、気体浄化装置1の入口20aから気体浄化装置1の内部へと入り、経路20cを通過する過程において、一対の電極E間の空間Sを通過する間にウイルスその他の微生物の不活性化が行われた後、気体浄化装置1の出口20bから気体浄化装置1の外部へと出て、更に室内機400の出口420bから室内機400の外部へと出て、再び室内に至ることになる。
【0677】
さらに、空気調節浄化装置401は、室内の空気Gを循環させながら、上記のとおりの調整と浄化とを反復して行い、もって室内の空気Gを調整するとともに、これを浄化することができるものである。
【第七実施形態】
【0678】
[第二プラズマ発生装置10]
プラズマ発生装置10は、第一電極11aと第二電極11bとから構成される一対の電極Eに代えて、第一板状電極11eと第二板状電極11fとから構成される一対の電極Eを備えるもの(以下「第二プラズマ発生装置10」という。)であってもよい。
【0679】
すなわち、第二プラズマ発生装置10は、第一板状電極11eと、第一板状電極11eとの間に距離を隔てて配置された第二板状電極11fと、第一板状電極11eと第二板状電極11fとの間に配置された第一ガラス層12aと、第一ガラス層12aと第二板状電極11fとの間に配置されるとともに、第一ガラス層12aとの間に空間を隔てて配置された第二ガラス層12bと、第一板状電極11eと第一ガラス層12aとの間に配置され、第一板状電極11eと接するとともに、第一ガラス層12aと接する第一金属膜層13aと、第二板状電極11fと第二ガラス層12bとの間に配置され、第二板状電極11fと接するとともに、第二ガラス層12bと接する第二金属膜層13bと、を備えるものである。ここで、第二プラズマ発生装置10の例として、
図8(c)を参照する。
【0680】
第二プラズマ発生装置10にあっては、第一板状電極11eと第二板状電極11fとが併せて一対の電極Eを構成し、第一ガラス層12aと第二ガラス層12bとの間の空間SにおいてプラズマPが発生する。
【0681】
ここで、第一板状電極11eのその余については、「第一電極11a」と同様のものであるから、「第一電極11a」についてした説明を準用する。また、第二板状電極11fのその余についても、「第三電極11c」と同様のものであるから、「第三電極11c」についてした説明を準用する。
【0682】
なお、第二プラズマ発生装置10において、第一ガラス層12aと第一金属膜層13aとが第一反射鏡M1を構成するとともに、第二ガラス層12bと第二金属膜層13bとが第二反射鏡M2を構成する点は、「プラズマ発生装置10」における場合と同様である。
【0683】
さらに、第二プラズマ発生装置10のその余についても、「プラズマ発生装置10」と同様のものであるから、「プラズマ発生装置10」についてした説明を準用する。
【0684】
第二プラズマ発生装置10は、例えば、気体浄化装置1においてプラズマ発生装置10に代わるものとして使用することができるほか、気体活性化装置301においてプラズマ発生装置310に代わるものとして使用することもできる。すなわち、第二プラズマ発生装置10は、二以上の気体浄化装置1を組み合わせて使用する場合、特にこれらを垂直に連結して使用する場合において、特に有益である。
【第八実施形態】
【0685】
[第三プラズマ発生装置10]
プラズマ発生装置10は、第一ガラス層12aと第一金属膜層13aとから構成される第一の反射鏡M1に代えて、第一電極11aと第一ガラス層12aとから構成される第一の反射鏡M1を備えるとともに、第二ガラス層12bと第二金属膜層13bとから構成される第二の反射鏡M2に代えて、第三電極11cと第二ガラス層12bとから構成される第二の反射鏡M2を備えるもの(以下「第三プラズマ発生装置10」という。)であってもよい。
【0686】
すなわち、第三プラズマ発生装置10は、第一電極11aと、第一電極11aとの間に距離を隔てて配置される第二電極11bと、第二電極11bとの間に距離を隔てて配置される第三電極11cであって、第一電極11aとの間に第二電極11bを挟んで配置されるものと、第一電極11aと第二電極11bとの間に配置されるとともに、第二電極11bとの間に空間を隔てて配置される第一ガラス層12aと、第二電極11bと第三電極11cとの間に配置されるとともに、第二電極11bとの間に空間を隔てて配置される第二ガラス層12bと、を備え、第一電極11aと第一ガラス層12aとが紫外線UVを反射する第一反射鏡M1を構成し、第三電極11cと第二ガラス層12bとが紫外線UVを反射する第二反射鏡M2を構成するものである。ここで、第三プラズマ発生装置10の例として、
図40を参照する。
【0687】
第三プラズマ発生装置10にあっては、第一電極11a及び第三電極11cは、いずれも紫外線を反射する特性を有する金属からなるものである。もっとも、第一電極11a及び第三電極11cは、紫外線を反射するほか、可視光線、赤外線その他の紫外線以外の電磁波を反射する特性を有する金属からなるものであってもよく、また、そのようなものであることが好ましい。
【0688】
第三プラズマ発生装置10にあっては、第一電極11a及び第三電極11cは、紫外線を反射する特性を有する金属のうち、紫外線反射率が高い金属からなるものであることが好ましく、例えば、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)又は白金(Pt)のうちのいずれかからなるものであることがより好ましく、アルミニウム又は銀からなるものであることが更により好ましく、アルミニウムからなるものであることが最も好ましい。
【0689】
第三プラズマ発生装置10にあっては、第一電極11a及び第三電極11cは、膜状のものであってもよい。すなわち、第一電極11aは、第一ガラス層12aに対し、金属の箔、例えば、アルミニウム又は銀の箔を導電性粘着層14を介して密着させることにより構成したものであってもよく、金属、例えば、アルミニウム又は銀を蒸着させることにより構成したものであってもよい。また、第三電極11cも、第二ガラス層12bに対し、金属の箔、例えば、アルミニウム又は銀の箔を導電性粘着層14を介して密着させることにより構成したものであってもよく、金属、例えば、アルミニウム又は銀を蒸着させることにより構成したものであってもよい。
【0690】
第三プラズマ発生装置10にあっては、第一電極11aと第一ガラス層12aとが併せて第一反射鏡M1を構成するとともに、第三電極11cと第二ガラス層12bとが併せて第二反射鏡M2を構成し、第一反射鏡M1と第二反射鏡M2との間で紫外線UVの反射が反復して行われる。
【0691】
ここで、第三プラズマ発生装置10のその余については、「プラズマ発生装置10」と同様のものであるから、「プラズマ発生装置10」についてした説明を準用する。
【0692】
第三プラズマ発生装置10は、例えば、気体浄化装置1においてプラズマ発生装置10に代わるものとして使用することができるほか、気体活性化装置301においてプラズマ発生装置310に代わるものとして使用することもできる。すなわち、第三プラズマ発生装置10は、第一電極11a及び第三電極11cに対して高い熱伝導率を求めない場合において、特に有益である。
【符号の説明】
【0693】
・1 気体浄化装置
・・10 プラズマ発生装置
・・・11 電極
・・・・11a 第一電極
・・・・・11a1 第一部分(第一金属膜層と接する部分)
・・・・・11a2 第二部分(第一フィルタと接する部分)
・・・・・11a3 第三部分(露出する部分)
・・・・・11a4 第四部分(第一スペーサと接する部分)
・・・・・11a5 第五部分(第二スペーサと接する部分)
・・・・11b 第二電極
・・・・・11b1 電極本体
・・・・・11b2 触媒層
・・・・11c 第三電極
・・・・・11c1 第一部分(第一金属膜層と接する部分)
・・・・・11c2 第二部分(第一フィルタと接する部分)
・・・・・11c3 第三部分(露出する部分)
・・・・・11c4 第四部分(第一スペーサと接する部分)
・・・・・11a5 第五部分(第二スペーサと接する部分)
・・・・11d 第四電極
・・・・11e 第一板状電極
・・・・11f 第二板状電極
・・・12 ガラス層
・・・・12a 第一ガラス層
・・・・・12a1 第一部分(露出する部分)
・・・・・12a2 第二部分(第一スペーサと接する部分)
・・・・・12a3 第三部分(第二スペーサと接する部分)
・・・・12b 第二ガラス層
・・・・・12b1 第一部分(露出する部分)
・・・・・12b2 第二部分(第一スペーサと接する部分)
・・・・・12b3 第三部分(第二スペーサと接する部分)
・・・13 金属膜層
・・・・13a 第一金属膜層
・・・・・13a1 第一電極側金属膜
・・・・・13a2 第一ガラス層側金属膜
・・・・13b 第二金属膜層
・・・・・13b1 第三電極側金属膜
・・・・・13b2 第二ガラス層側金属膜
・・・14 導電性粘着層
・・・・14a 電極側導電性粘着層
・・・・・14a1 第一電極側導電性粘着層
・・・・・14a2 第三電極側導電性粘着層
・・・・14b ガラス層側導電性粘着層
・・・・・14b1 第一ガラス層側導電性粘着層
・・・・・14b2 第二ガラス層側導電性粘着層
・・・・14c 金属膜層間導電性粘着層
・・・・・14c1 第一金属膜層間導電性粘着層
・・・・・14c2 第二金属膜層間導電性粘着層
・・20 流路
・・・20a 入口
・・・20b 出口
・・・20c 経路
・・・・20c1 第一部分
・・・・20c2 第二部分
・・30 フィルタ
・・・30a 第一フィルタ
・・・30b 第二フィルタ
・・・30c 第三フィルタ
・・40 スペーサ
・・・40a 第一スペーサ
・・・・40a1 第一電極支持面
・・・・40a2 第二電極支持孔
・・・・40a3 第三電極支持面
・・・・40a4 第一ガラス層支持面
・・・・40a5 第二ガラス層支持面
・・・40b 第二スペーサ
・・・・40b1 第一電極支持面
・・・・40b2 第二電極支持孔
・・・・40b3 第三電極支持面
・・・・40b4 第一ガラス層支持面
・・・・40b5 第二ガラス層支持面
・・・41 連結手段
・・・・41a 畝部
・・・・41b 溝部
・101 気体浄化装置
・・110 プラズマ発生装置
・・・111 電極
・・・・111a 第一電極
・・・・111b 第二電極
・・・・・111b1 先端部分
・・・112 ガラス層
・・・・112a 第一ガラス層
・・・113 金属膜層
・・・・113a 第一金属膜層
・・120 流路
・・・120a 入口
・・・120b 出口
・・・120c 経路
・・140 ケース
・・150 送風装置
・・・151 原動機
・・・152 駆動軸
・・・153 羽根車
・・・・153a 轂
・・・・111b 第二電極
・・・154 取付部材
・・160 有孔鏡
・・・161 通風孔
・・・162 中心孔
・201 他の気体浄化装置
・・・220a 入口
・・・220b 出口
・・・230a 第一フィルタ
・1000 自走式装置
・1001 自走式気体浄化装置
・・101 気体浄化装置
・・201 他の気体浄化装置
・・1010 走行手段
・301 気体活性化装置
・・・320a 入口
・・・320b 出口
・2000 密閉容器
・・2000a 密閉容器本体
・・2000b 蝶番
・・2000c 扉
・2001 固体浄化装置
・・301 気体活性化装置
・・2010 送風装置
・・2020 ボックス
・・・2020a 入口
・・・2020b 出口
・・・2020c ボックス本体
・・・2020d 蓋
・・2030 電源
・・2040 制御手段
・・・2040a 操作手段
・・・2040b 表示手段
・・2050 検知手段
・・2060 設置手段
・401 空気調整浄化装置
・・1 気体浄化装置
・・・50 ケース
・・・60 制御手段
・・・・60a 操作手段
・・・・60b 表示手段
・・400 室内機
・・・410 ケース
・・・420 流路
・・・・420a 入口
・・・・420b 出口
・・・・420c 経路
・・・430 送風機
・・・440 熱交換器
・・・450 ドレンパン
・A 空気層
・CEX 比較例
・・C セラミックス層
・D 第二電極が延びる方向
・E 一対の電極
・・E1 第一の一対の電極
・・E2 第二の一対の電極
・・E3 第三の一対の電極
・・E4 第四の一対の電極
・G 浄化しようとする気体又は活性化しようとする気体
・H 熱
・L 積層体
・・L1 第一積層体
・・L2 第二積層体
・M 反射鏡
・・M1 第一反射鏡
・・M2 第二反射鏡
・O 浄化しようとする固体
・P プラズマ
・S 一対の電極間の空間
・UV 紫外線(近紫外線)
・V 真空層