(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112484
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20230804BHJP
【FI】
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014301
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】弘中 将太
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB16
5E223BA01
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB25
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA03
5E223EA31
5E223EA36
(57)【要約】
【課題】電気コネクタの嵌合時に高い堅牢性を確保する。
【解決手段】レセプタクルコネクタ(30)は、複数の信号端子が配列されたハウジング(31)と、ハウジングの長手方向の両端側を補強する一対の補強金具(50)とを備えている。ハウジングは、底壁(32)と、一対の短壁(33)と、一対の長壁(34)と、島状の突壁(35)と、を有している。各補強金具は、短壁の外側面に沿った外板部(51)と、外板部から短壁の上面を覆うように延出した短壁保護部(53)と、一対の長壁の外側面に沿った一対の側板部(61)と、一対の側板部から一対の長壁の上面を覆うように延出した一対の長壁保護部(63)と、外板部の両側縁と一対の側板部の側縁を連ねる一対の接続部(66)と、を有している。外板部から一対の角保護部(71)が延出し、一対の角保護部に短壁と一対の長壁の間の一対の角部(36)の上面が覆われている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号端子が配列された平面視長方形状のハウジングと、前記ハウジングの長手方向の両端側を補強する一対の補強金具とを備えた電気コネクタであって、
前記ハウジングは、平面視長方形状の底壁と、前記底壁の長手方向の両端に立設した一対の短壁と、前記底壁の短手方向の両端に立設した一対の長壁と、前記一対の短壁と前記一対の長壁によって囲まれる島状の突壁と、を有し、
前記各補強金具は、前記短壁の外側面に沿った外板部と、前記外板部から前記短壁の上面を覆うように延出した短壁保護部と、前記一対の長壁の外側面に沿った一対の側板部と、前記一対の側板部から前記一対の長壁の上面を覆うように延出した一対の長壁保護部と、前記外板部の両側縁と前記一対の側板部の側縁を連ねる一対の接続部と、を有し、
前記外板部及び前記一対の側板部のいずれか一方から一対の角保護部が延出し、前記一対の角保護部によって前記短壁と前記一対の長壁の間の一対の角部の上面が覆われていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記一対の角保護部は、前記外板部から前記一対の角部の上面を覆うように延出し、
前記短壁保護部と前記一対の角保護部の間にスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記一対の角保護部は、前記外板部及び前記一対の側板部のいずれか一方から他方に向かって延出し、
前記一対の角保護部の先端は前記ハウジングに埋設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記一対の角保護部の破断面が前記ハウジングの内面に露出していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記補強金具は、前記短壁保護部から前記短壁の内側面に沿って延出した内板部と、前記内板部から前記底壁の底面に沿って延出した底板部と、前記底板部から前記突壁を覆うように延出した突壁保護部と、を有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記外板部には実装面に固定される外板実装部が形成され、前記一対の側板部には前記実装面に固定される一対の側板実装部が形成されており、
前記短壁保護部と前記外板実装部の間が前記短壁の内部に埋設され、前記一対の長壁保護部と前記一対の側板実装部の間が前記一対の長壁の内部に埋設されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記補強金具は、前記一対の長壁保護部から前記一対の長壁の内側面に沿って延出した一対の脚部を有していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記補強金具は、前記一対の側板部から前記突壁に向かって延出する一対の端子部を有していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記複数の信号端子は、前記一対の長壁の長手方向の中間部分に設けられており、
前記一対の長壁の上面は、前記補強金具の高さよりも前記複数の信号端子の高さが低くなるように段状に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記一対の長壁保護部は前記一対の長壁の上段側の上面を覆っており、前記一対の端子部は前記一対の長壁の下段側の上面を覆っていることを特徴とする請求項9に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板等に実装される電気コネクタとして、樹脂製のハウジングに補強金具を埋設して堅牢性を高めたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の電気コネクタのハウジングは、平面視長方形の底壁と、底壁の四辺から立ち上がる一対の短壁及び一対の長壁と、一対の短壁及び一対の長壁の内側に設けられた島状の突壁と、を有している。ハウジングの長手方向の両端側にはそれぞれ補強金具が埋設されており、各補強金具によって短壁及び長壁の長手方向の両端側が補強されて、電気コネクタの堅牢性が確保されている。
【0003】
この補強金具は、所定形状に打ち抜かれた一枚の金属板を折り曲げることによって形成されている。ハウジングの短壁には補強金具のベースとなる外板部が設けられており、外板部の上縁から短壁の上面を覆うように上板部が延出している。ハウジングの一対の長壁には外板部の両側縁に連なる一対の側板部が埋設されており、一対の側板部の上縁から長壁の上面を覆うように一対の上板部が延出している。補強金具の各上板部によって短壁及び長壁の上面が部分的に覆われて、補強金具によって樹脂製の短壁及び長壁が保護されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電気コネクタでは、短壁と一対の長壁が各上板部によって上方から覆われているが、短壁と一対の長壁の間のハウジングの角部は上板部に覆われていない。このため、コネクタの嵌合時に位置ズレするとハウジングの角部が損傷するおそれがある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、コネクタの嵌合時に高い堅牢性を確保することができる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の電気コネクタは、複数の信号端子が配列された平面視長方形状のハウジングと、前記ハウジングの長手方向の両端側を補強する一対の補強金具とを備えた電気コネクタであって、前記ハウジングは、平面視長方形状の底壁と、前記底壁の長手方向の両端に立設した一対の短壁と、前記底壁の短手方向の両端に立設した一対の長壁と、前記一対の短壁と前記一対の長壁によって囲まれる島状の突壁と、を有し、前記各補強金具は、前記短壁の外側面に沿った外板部と、前記外板部から前記短壁の上面を覆うように延出した短壁保護部と、前記一対の長壁の外側面に沿った一対の側板部と、前記一対の側板部から前記一対の長壁の上面を覆うように延出した一対の長壁保護部と、前記外板部の両側縁と前記一対の側板部の側縁を連ねる一対の接続部と、を有し、前記外板部及び前記一対の側板部のいずれか一方から一対の角保護部が延出し、前記一対の角保護部によって前記短壁と前記一対の長壁の間の一対の角部の上面が覆われていることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様の電気コネクタにおいて、ハウジングの短壁の上面は外板部から延出した短壁保護部に覆われ、ハウジングの一対の長壁の上面は一対の側板部から延出した一対の長壁保護部に覆われている。ハウジングの角部の上面は外板部及び一対の側板部のいずれか一方から延出した一対の角保護部に覆われている。よって、外板部と一対の側板部を連ねる一対の接続部がハウジングの角部の上面から露出しない構成であっても、一対の角保護部によってハウジングの角部を保護することができる。コネクタの嵌合時にコネクタ同士が干渉しても、コネクタの嵌合方向の負荷からハウジングの短壁、長壁、角部が保護されて電気コネクタの堅牢性が高められている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態のプラグコネクタ及びレセプタクルコネクタの斜視図である。
【
図2】第1の実施形態のレセプタクルコネクタの分解斜視図である。
【
図3】第1の実施形態のレセプタクルコネクタの端部の斜視図である。
【
図5】第1の実施形態のコネクタの嵌合動作の説明図である。
【
図6】第1の実施形態のコネクタの位置ズレ状態の説明図である。
【
図7】第2の実施形態のレセプタクルコネクタの斜視図である。
【
図8】第2の実施形態のレセプタクルコネクタの端部の斜視図である。
【
図10】第2の実施形態のコネクタの嵌合動作の説明図である。
【
図11】第2の実施形態のコネクタの位置ズレ状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態のレセプタクルコネクタについて説明する。
図1は、第1の実施形態のプラグコネクタ及びレセプタクルコネクタの斜視図である。なお、
図1では、説明の便宜上、プラグコネクタ側の回路基板を二点鎖線によって示している。また、以下の説明では、プラグコネクタ及びレセプタクルコネクタの回路基板側を下方、その逆側を上方として説明する。
【0011】
図1に示すように、プラグコネクタ(相手側の電気コネクタ)20及びレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)30は、回路基板11、12同士を電気的に接続する、いわゆるBtoB(Board to Board)コネクタである。一方の回路基板11の表面(
図1では下面)には複数の実装パッド(不図示)が設けられており、各実装パッドにプラグコネクタ20が固定されている。同様に、他方の回路基板12の表面には複数の実装パッド(実装面)15、16が設けられており、各実装パッド15、16にレセプタクルコネクタ30が固定されている。なお、回路基板11、12は、プリント基板、フレキシブル基板等で構成されている。
【0012】
プラグコネクタ20の樹脂製のハウジング21には矩形環状の嵌合部22が形成されており、レセプタクルコネクタ30の樹脂製のハウジング31にはプラグコネクタ20の嵌合部22を受け入れる矩形環状の受容空間37が形成されている。プラグコネクタ20の嵌合部22がレセプタクルコネクタ30の受容空間37に入り込み、嵌合部22の外面に露出したプラグコネクタ20の各信号端子23が受容空間37内のレセプタクルコネクタ30の各信号端子41に接触する。これにより、プラグコネクタ20及びレセプタクルコネクタ30を介して回路基板11、12同士が電気的に接続される。
【0013】
このような回路基板11、12同士の接続時には、一方の回路基板11にプラグコネクタ20が隠れているため、プラグコネクタ20を他方の回路基板12上のレセプタクルコネクタ30に位置合わせすることが難しい。レセプタクルコネクタ30に対してプラグコネクタ20が位置ズレした状態で、レセプタクルコネクタ30にプラグコネクタ20が押し込まれると、レセプタクルコネクタ30のハウジング31に嵌合方向Zの負荷が作用して損傷する恐れがある。特に近年では、電子機器の小型化及び軽量化に伴ってコネクタサイズの縮小が求められており、小型コネクタは誤装着時に破損し易いという不具合がある。
【0014】
そこで、本実施形態のレセプタクルコネクタ30のハウジング31には、樹脂製のハウジング31の長手方向Xの両側に一対の補強金具50が設けられている。ハウジング31の短壁33の上面からは補強金具50の短壁保護部53が露出され、ハウジング31の一対の長壁34の上面からは補強金具50の一対の長壁保護部63が露出され、ハウジング31の一対の角部36の上面からは一対の角保護部71が露出されている。短壁保護部53、一対の長壁保護部63、一対の角保護部71によってハウジング31の短壁33、長壁34、角部36が保護されることでレセプタクルコネクタ30の堅牢性が確保されている。
【0015】
図2から
図4を参照して、レセプタクルコネクタの詳細について説明する。
図2は、第1の実施形態のレセプタクルコネクタの分解斜視図である。
図3は、第1の実施形態のレセプタクルコネクタの端部の斜視図である。
図4は、第1の実施形態の補強金具の斜視図である。なお、
図3(A)はレセプタクルコネクタの端部を外側から見た斜視図、
図3(B)はレセプタクルコネクタの端部を内側から見た斜視図を示している。
図4(A)は補強金具を外側から見た斜視図、
図4(B)は補強金具を内側から見た斜視図を示している。
【0016】
図2に示すように、レセプタクルコネクタ30は、樹脂製のハウジング31に対して複数の信号端子41と一対の補強金具50を埋設して形成されている。ハウジング31は、平面視長方形状の底壁32と、底壁32の長手方向Xの両端に立設した一対の短壁33と、底壁32の短手方向Yの両端に立設した一対の長壁34と、一対の短壁33と一対の長壁34によって囲まれる島状の突壁35と、を有している。ハウジング31には、一対の短壁33、一対の長壁34、島状の突壁35によってプラグコネクタ20の矩形環状の嵌合部22(
図1参照)を受け入れる矩形環状の受容空間37が形成されている。
【0017】
ハウジング31には複数の信号端子41及び一対の補強金具50がインサート成形によって一体化されている。この場合、複数の信号端子41及び一対の補強金具50がセットされた金型に溶融樹脂が充填されることでレセプタクルコネクタ30が成形される。このため、複数の信号端子41及び一対の補強金具50はハウジング31から離間するものではないが、説明の便宜上、
図2ではハウジング31から複数の信号端子41及び一対の補強金具50が離間した状態を示している。なお、ハウジング31に複数の信号端子41及び一対の補強金具50が圧入されることでレセプタクルコネクタ30が成形されていてもよい。
【0018】
ハウジング31の一対の長壁34には複数の信号端子41が配列されている。信号端子41は、金属片を折り曲げることで形成されている。信号端子41は、長壁34の外面に沿ったU字板状の端子湾曲部42と、端子湾曲部42の一端から突壁35に向けて延出した接点バネ43と、端子湾曲部42の他端から長壁34の外側に突き出した端子実装部44と、を有している。接点バネ43は突壁35の外面を切り欠いた収容溝38に起立した状態で収容されており、収容溝38の内側の空間によって接点バネ43の板厚方向(ハウジング31の短手方向Y)の撓みが許容されている。
【0019】
端子実装部44と端子湾曲部42の間は長壁34の内部に埋設されている(
図1参照)。このため、レセプタクルコネクタ30の端子実装部44の半田付け時には、端子実装部44の表面に沿った溶融半田の進行が長壁34の外側面によって阻止される。すなわち、濡れ性の小さな絶縁性の樹脂によって溶融半田が堰き止められて、端子実装部44の表面を伝って半田が上昇する、いわゆる半田上がりが防止されている。信号端子41の端子実装部44が回路基板12(
図1参照)の実装パッド16に半田付けされることで、回路基板12の信号処理回路にレセプタクルコネクタ30が電気的に接続される。
【0020】
ハウジング31の長手方向Xの両端側には一対の補強金具50が設けられている。補強金具50は、所定形状に打ち抜かれた金属板を折り曲げることによって形成されている。補強金具50には短壁保護部53、一対の長壁保護部63、一対の角保護部71、突壁保護部57が形成されている。短壁保護部53によって短壁33の上面が保護され、一対の長壁保護部63によって一対の長壁34の長手方向Xの端部上面が保護されている。また、一対の角保護部71によって一対の角部36の上面が保護され、突壁保護部57によって島状の突壁35の長手方向Xの端部上面が保護されている。
【0021】
図3及び
図4に示すように、ハウジング31の短壁33には補強金具50のベースとなる外板部51が設けられている。外板部51は、短壁33の内部で外側面に沿ってハウジング31の短手方向Yに延在している。外板部51の上縁から短壁33の上面を覆うように短壁保護部53が延出している。短壁保護部53は断面視逆U字状に湾曲しており、短壁保護部53の天面によってプラグコネクタ20(
図1参照)の干渉から短壁33が保護されている。短壁保護部53から短壁33の内側面に沿って内板部55が延出しており、短壁保護部53と内板部55によってプラグコネクタ20を嵌合する際の長手方向Xの両端のガイドが形成されている。
【0022】
内板部55の下縁から底壁32の底面に沿って底板部56が延出しており、底板部56から突壁35の端部を覆うように突壁保護部57が延出している。突壁保護部57は突壁35の上面でT字状に分岐しており、突壁保護部57の天面によってプラグコネクタ20の干渉から突壁35が保護されている。突壁保護部57の枝部59aは底板部56に連なり、突壁保護部57の一対の枝部59b、59cは突壁35を挟んで対向している。一対の枝部59b、59cの先端が底壁32に埋設されることで、コネクタの嵌合方向Zの負荷に対する強度が高められて突壁保護部57の沈み込みが抑えられている。
【0023】
ハウジング31の一対の長壁34には補強金具50の一対の側板部61が設けられている。一対の側板部61は、一対の長壁34の内部で外側面に沿ってハウジング31の長手方向Xに延在している。一対の側板部61の上縁から一対の長壁34の上面を覆うように一対の長壁保護部63が延出している。各長壁保護部63は断面視逆U字状に湾曲しており、各長壁保護部63の天面によってプラグコネクタ20の干渉から長壁34が保護されている。各長壁保護部63から長壁34の内側面に沿って脚部65が延出しており、長壁保護部63と脚部65によってプラグコネクタ20を嵌合する際の短手方向Yの両端のガイドが形成されている。
【0024】
外板部51の下縁が外向きに屈曲して一対の外板実装部52が形成されており、一対の側板部61の下縁が外向きに屈曲して一対の側板実装部62が形成されている。一対の外板実装部52及び一対の側板実装部62は実装パッド15(
図1参照)に半田付けされている。短壁保護部53と一対の外板実装部52の間は短壁33の内部に埋設されており、一対の長壁保護部63と一対の側板実装部62の間は一対の長壁34の内部に埋設されている。このため、一対の外板実装部52及び一対の側板実装部62の半田付け時には、樹脂製の短壁33及び一対の長壁34によって溶融半田が堰き止められて半田上がりが防止されている。
【0025】
また、外板部51の両側縁と一対の側板部61の側縁が一対の接続部66を介して連結されている。一対の接続部66は短壁33と一対の長壁34の間の一対の角部36の内部に設けられており、一対の角部36の上面から一対の接続部66が露出していない。そこで、ハウジング31の角部36を保護するために、外板部51の上縁から一対の角部36の上面を覆うように一対の角保護部71が延出している。一対の角保護部71はハウジング31の角部36を斜めに横切っており、一対の角保護部71の天面によってプラグコネクタ20の干渉からハウジング31の角部36が保護されている。
【0026】
より詳細には、接続部66の一方側の外板部51の端部上縁から、接続部66の他方側の側板部61の端部上縁に向かって角保護部71が延出している。角保護部71の先端は側板部61の端部上縁から僅かな隙間を空けて離間しており、この隙間を埋めるように長壁34の樹脂が入り込んでいる(特に
図5(C)参照)。角保護部71の先端が長壁34に埋設されることで、コネクタの嵌合方向Zの負荷に対する強度が高められて角保護部71の沈み込みが抑えられている。このように、外板部51の上縁から接続部66を迂回するように延出した角保護部71によってハウジング31の角部36が保護されている。
【0027】
また、一対の角保護部71と短壁保護部53の間にはスリット73が形成されており、このスリット73を埋めるように短壁33の樹脂が入り込んでいる。スリット73を挟んで一対の角保護部71と短壁保護部53が分離されているため、角保護部71の形状に短壁保護部53の形状が影響を受けることがない。ハウジング31の長手方向Xにおいて角保護部71の天面の幅と短壁保護部53の天面の幅を揃える必要がなく、短壁保護部53と内板部55の間の折り返し位置Pをハウジング31の長手方向Xの外側に寄せることができる。よって、短壁33を薄くしてレセプタクルコネクタ30の小型化を図ることができる。
【0028】
上面視にて一対の角保護部71の天面は斜めに切り欠かれており、この一対の角保護部71の破断面74がハウジング31の内面に露出している。インサート成形によって破断面74を覆うためには所定の樹脂厚が必要になるが、破断面74を露出させることで所定の樹脂厚が不要になってインサート成形を容易にしている。なお、コネクタの嵌合時には、短壁保護部53及び長壁保護部63がプラグコネクタ20の嵌合部22に当たって受容空間37にガイドされている。このため、角保護部71の破断面74がハウジング31の内面に露出していても、破断面74によってプラグコネクタ20の嵌合部22が当たり難くなっている。
【0029】
図5及び
図6を参照して、コネクタの嵌合動作について説明する。
図5は、第1の実施形態のコネクタの嵌合動作の説明図である。
図6は、第1の実施形態のコネクタの位置ズレ状態の説明図である。なお、
図5(A)及び
図6(A)はレセプタクルコネクタの上面図、
図5(B)及び
図6(B)はレセプタクルコネクタをA-A線に沿って切断した断面図、
図5(C)及び
図6(C)はレセプタクルコネクタをB-B線に沿って切断した断面図である。ここでは、説明の便宜上、プラグコネクタを模式的に記載している。
【0030】
図5(A)及び
図5(B)に示すように、レセプタクルコネクタ30の上方にプラグコネクタ20が位置付けられている。レセプタクルコネクタ30にプラグコネクタ20が精度よく位置合わせされると、レセプタクルコネクタ30の受容空間37の真上にプラグコネクタ20の嵌合部22が位置付けられる。この状態で、レセプタクルコネクタ30にプラグコネクタ20が嵌合方向Zから近づけられると、レセプタクルコネクタ30の受容空間37にプラグコネクタ20の矩形環状の嵌合部22が入り込み、嵌合部22の内側にレセプタクルコネクタ30の島状の突壁35が入り込む。
【0031】
このとき、短壁保護部53及び内板部55によってプラグコネクタ20の嵌合部22が長手方向Xでガイドされ、一対の長壁保護部63及び一対の脚部65(
図3(A)参照)によってプラグコネクタ20の嵌合部22が短手方向Yでガイドされる。したがって、レセプタクルコネクタ30の受容空間37にプラグコネクタ20の嵌合部22がスムーズに嵌合する。レセプタクルコネクタ30とプラグコネクタ20が干渉しないため、角保護部71に嵌合方向Zの負荷が作用することもない(
図5(C)参照)。この場合、一対の角保護部71の破断面74がハウジング31の内面に露出しているが、破断面74によって嵌合部22が削られることがない。
【0032】
一方、
図6(A)及び
図6(B)に示すように、レセプタクルコネクタ30に対してプラグコネクタ20が位置ズレしている場合、レセプタクルコネクタ30の受容空間37からプラグコネクタ20の嵌合部22が外れている。この状態で、レセプタクルコネクタ30にプラグコネクタ20が嵌合方向Zから近づけられると、プラグコネクタ20の嵌合部22がレセプタクルコネクタ30の補強金具50に突き当たる。このとき、補強金具50の短壁保護部53によってハウジング31の短壁33が保護され、補強金具50の長壁保護部63によってハウジング31の長壁34が保護される。
【0033】
また、
図6(C)に示すように、ハウジング31の短壁33及び長壁34の間の角部36についても補強金具50の角保護部71に保護される。上記したように、角保護部71の先端と側板部61の上縁の隙間にも樹脂が入り込んでいるため、角保護部71の先端側の沈み込みが抑えられている。このように、短壁保護部53、長壁保護部63、角保護部71によってコネクタの嵌合方向Zに対する負荷に対するハウジング31の強度が全体的に高められている。レセプタクルコネクタ30とプラグコネクタ20が干渉してもレセプタクルコネクタ30のハウジング31が破損することが防止されている。
【0034】
以上のように、第1の実施形態によれば、ハウジング31の短壁33の上面は外板部51から延出した短壁保護部53に覆われ、ハウジング31の一対の長壁34の上面は一対の側板部61から延出した一対の長壁保護部63に覆われている。ハウジング31の角部36の上面は外板部51から延出した一対の角保護部71に覆われている。よって、外板部51と一対の側板部61を連ねる一対の接続部66がハウジング31の角部36の上面から露出しない構成であっても、一対の角保護部71によってハウジング31の角部36を保護することができる。コネクタの嵌合時にコネクタ同士が干渉しても、コネクタの嵌合方向Zの負荷からハウジング31の短壁33、長壁34、角部36が保護されてレセプタクルコネクタ30の堅牢性が高められている。
【0035】
<第2の実施形態>
続いて、第2の実施形態のレセプタクルコネクタについて説明する。
図7は、第2の実施形態のレセプタクルコネクタの斜視図である。
図8は、第2の実施形態のレセプタクルコネクタの端部の斜視図である。
図9は、第2の実施形態の補強金具の斜視図である。なお、
図8(A)はレセプタクルコネクタの端部を外側から見た斜視図、
図8(B)はレセプタクルコネクタの端部を内側から見た斜視図を示している。
図9(A)は補強金具を外側から見た斜視図、
図9(B)は補強金具を内側から見た斜視図を示している。第2の実施形態のレセプタクルコネクタについては、第1の実施形態のレセプタクルコネクタと同様な構成については説明を省略する。また、説明の便宜上、プラグコネクタを模式的に記載している。
【0036】
図7に示すように、第2の実施形態のハウジング91は、一対の長壁94の長手方向Xの両端側が一段高くなっている。また、第2の実施形態の補強金具110には一対の長壁94の下段側を覆うように一対の端子部123が形成されている。しかしながら、一対の長壁94の両端側が一段高くなることで、一対の長壁94の下段側の一対の端子部123は短手方向Yのガイドとして機能し難くなる。このため、第2の実施形態の補強金具110には、一対の長壁94の下段側を覆う一対の端子部123に加えて、一対の長壁94の上段側を覆うように一対の長壁保護部119が形成されている。
【0037】
ハウジング91には、底壁92、一対の短壁93、一対の長壁94、島状の突壁95によってプラグコネクタ80の矩形環状の嵌合部82を受け入れる受容空間98が形成されている。ハウジング91の長手方向Xの中間部分には複数の信号端子101が設けられ、ハウジング91の長手方向Xの両端側には一対の補強金具110が設けられている。コネクタの嵌合時にプラグコネクタ80のスカート83と一対の長壁94の干渉を抑えるために、長手方向Xの両端側の補強金具110の高さよりも、長手方向Xの中間部分の複数の信号端子101の高さが低くなるように一対の長壁94の上面が段状に形成されている。
【0038】
信号端子101には、長壁94の外面に沿ったU字板状の端子湾曲部102と、端子湾曲部102の一端から突壁95に向けて延出した接点バネ103と、端子湾曲部102の他端から長壁94の外側に突き出した端子実装部104と、が形成されている。接点バネ103は突壁95の外面を切り欠いた収容溝99に起立した状態で収容されており、収容溝99の内側の空間によって接点バネ103の板厚方向(ハウジング91の短手方向Y)の撓みが許容されている。端子実装部104は回路基板(不図示)の実装面に半田付けされ、回路基板の信号処理回路にレセプタクルコネクタ90が電気的に接続される。
【0039】
図8及び
図9に示すように、ハウジング91の短壁93には外側面に沿って外板部111が設けられており、外板部111の上縁から短壁93の上面を覆うように短壁保護部113が延出している。短壁保護部113から短壁93の内側面に沿って内板部114が延出しており、短壁保護部113と内板部114によって長手方向Xの両端のガイドが形成されている。内板部114の下縁から底壁92の底面に沿って底板部115が延出しており、底板部115から突壁95の端部を覆うように突壁保護部116が延出している。突壁保護部116は枝部117a-117cに分岐しており、一対の枝部117b、117cの先端が底壁92に埋設されている。
【0040】
ハウジング91の一対の長壁94には外側面に沿って一対の側板部121が設けられており、一対の側板部121の上縁から一対の長壁保護部119及び一対の端子部123が延出している。一対の長壁保護部119は一対の長壁94の上段側の上面を覆っており、一対の端子部123は一対の長壁94の下段側の上面を覆っている。長壁保護部119は断面視逆U字状に湾曲しており、長壁保護部119の湾曲形状によって短手方向Yの両端のガイドが形成されている。このように、一対の長壁94の上面が段状に形成されていても、一対の長壁保護部119を短手方向Yのガイドとして機能させることができる。
【0041】
一対の端子部123は、一対の側板部121の上縁から突壁95に向かって延出しており、一対の端子部123の先端側には一対の接点バネ125が形成されている。一対の接点バネ125は突壁95の外面を切り欠いた収容溝99に起立した状態で収容されており、収容溝99の内側の空間によって接点バネ125の板厚方向(ハウジング91の短手方向Y)の撓みが許容されている。また、外板部111の下縁が外向きに屈曲して一対の外板実装部112が形成されており、一対の側板部121の下縁が外向きに屈曲して一対の側板実装部122及び一対の端子実装部124が形成されている。
【0042】
短壁保護部113と一対の外板実装部112の間は短壁93の内部に埋設されており、一対の長壁保護部119と一対の側板実装部122の間及び一対の端子部123と一対の端子実装部124は一対の長壁94の内部に埋設されている。このため、一対の外板実装部112、一対の側板実装部122、一対の端子実装部124の半田付け時には、樹脂製の短壁93及び一対の長壁94によって溶融半田が堰き止められて半田上がりが防止されている。半田付けによって回路基板(不図示)の電源回路にプラグコネクタ80が電気的に接続されることで、補強金具110がハウジング91を補強すると共にレセプタクルコネクタ90の電源端子としても機能する。
【0043】
外板部111の両側縁と一対の側板部121の側縁が一対の接続部126を介して連結されている。外板部111の上縁からハウジング91の一対の角部96の上面を覆うように一対の角保護部127が延出している。角保護部127の先端は側板部121の端部上縁から僅かな隙間を空けて離間しており、この隙間を埋めるように長壁94の樹脂が入り込んでいる(特に
図10(C)参照)。スリット128を挟んで一対の角保護部127と短壁保護部113が分離されており、角保護部127の形状に短壁保護部113の形状が影響を受けることが抑えられている。また、一対の角保護部127の破断面129がハウジング91の内面に露出してインサート成形が容易になっている。
【0044】
図10及び
図11を参照して、コネクタの嵌合動作について説明する。
図10は、第2の実施形態のコネクタの嵌合動作の説明図である。
図11は、第2の実施形態のコネクタの位置ズレ状態の説明図である。なお、
図10(A)及び
図11(A)はレセプタクルコネクタの上面図、
図10(B)及び
図11(B)はレセプタクルコネクタをC-C線に沿って切断した断面図、
図10(C)及び
図11(C)はレセプタクルコネクタをD-D線に沿って切断した断面図である。ここでは、説明の便宜上、プラグコネクタを模式的に記載している。
【0045】
図10(A)及び
図10(B)に示すように、レセプタクルコネクタ90の上方にプラグコネクタ80が位置付けられている。レセプタクルコネクタ90の一対の長壁94の長手方向Xの両端側には、長壁94の上面を一段高くすることで一対の肩部97が形成されている。プラグコネクタ80には長壁94に対向してスカート83が形成されている。スカート83の角部はレセプタクルコネクタ90の一対の肩部97を避けるように切り欠かれている。レセプタクルコネクタ90にプラグコネクタ80が精度よく位置合わせされると、レセプタクルコネクタ90の受容空間98の真上にプラグコネクタ80の嵌合部82が位置付けられる。
【0046】
この状態で、レセプタクルコネクタ90にプラグコネクタ80が嵌合方向Zから近づけられると、レセプタクルコネクタ90の受容空間98にプラグコネクタ80の矩形環状の嵌合部82が入り込み、嵌合部82の内側にレセプタクルコネクタ90の島状の突壁95が入り込む。このとき、短壁保護部113及び内板部114によってプラグコネクタ80の嵌合部82が長手方向Xでガイドされ、一対の長壁保護部119によってプラグコネクタ80の嵌合部82が短手方向Yでガイドされる。したがって、レセプタクルコネクタ90の受容空間98にプラグコネクタ80の嵌合部82がスムーズに嵌合する。
【0047】
また、レセプタクルコネクタ90の肩部97がプラグコネクタ80のスカート83を避けて、肩部97がプラグコネクタ80の回路基板86に接触する。レセプタクルコネクタ90の肩部97が回路基板86に当たることで、レセプタクルコネクタ90の長壁94とプラグコネクタ80のスカート83の干渉が抑えられている。すなわち、端子部123に覆われた長壁94の下段側の上面とプラグコネクタ80のスカート83の間に僅かな隙間が形成される。なお、プラグコネクタ80のスカート83は半田上がりを抑えるものである。
【0048】
一方、
図11(A)から
図11(C)に示すように、レセプタクルコネクタ90に対してプラグコネクタ80が位置ズレしている場合、レセプタクルコネクタ90の受容空間98からプラグコネクタ80の嵌合部82が外れている。この状態で、レセプタクルコネクタ90にプラグコネクタ80が嵌合方向Zから近づけられると、プラグコネクタ80の嵌合部82がレセプタクルコネクタ90の補強金具110に突き当たる。このとき、補強金具110の短壁保護部113、長壁保護部119、角保護部127によってプラグコネクタ80の干渉からレセプタクルコネクタ90のハウジング91が保護されている。
【0049】
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、コネクタの嵌合時にコネクタ同士が干渉しても、レセプタクルコネクタ90の堅牢性が高められている。また、レセプタクルコネクタ90がプラグコネクタ80のスカート83を損傷させることもない。
【0050】
なお、第1、第2の実施形態の補強金具50、110では、外板部51、111から一対の角保護部71、127が延出しているが、一対の側板部61、121から一対の角保護部71、127が延出していてもよい。例えば、
図12の変形例に示すように、補強金具131には、一対の側板部133から外板部132に向かって一対の角保護部134が延出していてもよい。このような構成でも、コネクタの嵌合時にレセプタクルコネクタの堅牢性を高めることができる。
【0051】
また、第1、第2の実施形態では、外板部の端部上縁から一対の側板部の端部上縁に向かって一対の角保護部が延出しているが、一対の角保護部は外板部又は一対の側板部からハウジングの一対の角部を覆うように延出していればよい。
【0052】
また、第1、第2の本実施形態では、外板部と一対の角保護部の間にスリットが形成されているが、外板部と一対の角保護部の間にスリットが形成されていなくてもよい。
【0053】
また、第1、第2の本実施形態では、補強金具に底板部及び突壁保護部が形成されているが、突壁が十分な強度を有している場合等には、補強金具に底板部及び突壁保護部が形成されていなくてもよい。
【0054】
また、第1、第2の本実施形態では、一対の角保護部の破断面がハウジングの内面に露出しているが、一対の角保護部の破断面がハウジングに埋まっていてもよい。
【0055】
また、第1、第2の本実施形態では、外板部が短壁の外側面に沿っているが、外板部は短壁内で厚み方向の任意の位置で短壁の外側面に沿っていればよい。同様に、側板部が長壁の外側面に沿っているが、側板部は長壁内で厚み方向の任意の位置で長壁の外側面に沿っていればよい。
【0056】
以上の通り、本実施形態の電気コネクタ(レセプタクルコネクタ30、90)は、複数の信号端子(41、101)が配列された平面視長方形状のハウジング(31、91)と、ハウジングの長手方向の両端側を補強する一対の補強金具(50、110)とを備えた電気コネクタであって、ハウジングは、平面視長方形状の底壁(32、92)と、底壁の長手方向の両端に立設した一対の短壁(33、93)と、底壁の短手方向の両端に立設した一対の長壁(34、94)と、一対の短壁と一対の長壁によって囲まれる島状の突壁(35、95)と、を有し、各補強金具は、短壁の外側面に沿った外板部(51、111)と、外板部から短壁の上面を覆うように延出した短壁保護部(53、113)と、一対の長壁の外側面に沿った一対の側板部(61、121)と、一対の側板部から一対の長壁の上面を覆うように延出した一対の長壁保護部(63、119)と、外板部の両側縁と一対の側板部の側縁を連ねる一対の接続部(66、126)と、を有し、外板部及び一対の側板部のいずれか一方から一対の角保護部(71、127)が延出し、一対の角保護部によって短壁と一対の長壁の間の一対の角部(36、96)の上面が覆われている。この構成によれば、ハウジングの短壁の上面は外板部から延出した短壁保護部に覆われ、ハウジングの一対の長壁の上面は一対の側板部から延出した一対の長壁保護部に覆われている。ハウジングの角部の上面は外板部及び一対の側板部のいずれか一方から延出した一対の角保護部に覆われている。よって、外板部と一対の側板部を連ねる一対の接続部がハウジングの角部の上面から露出しない構成であっても、一対の角保護部によってハウジングの角部を保護することができる。コネクタの嵌合時にコネクタ同士が干渉しても、コネクタの嵌合方向の負荷からハウジングの短壁、長壁、角部が保護されて電気コネクタの堅牢性が高められている。
【0057】
本実施形態の電気コネクタにおいて、一対の角保護部は、外板部から一対の角部の上面を覆うように延出し、短壁保護部と一対の角保護部の間にスリット(73、128)が形成されている。この構成によれば、スリットを挟んで一対の角保護部と短壁保護部が分離しているため、角保護部の形状に短壁保護部の形状が影響を受けることがない。
【0058】
本実施形態の電気コネクタにおいて、一対の角保護部は、外板部及び一対の側板部のいずれか一方から他方に向かって延出し、一対の角保護部の先端はハウジングに埋設されている。この構成によれば、一対の角保護部の先端がハウジングに埋設されることで、コネクタの嵌合方向の負荷に対する強度が高められ、一対の角保護部の沈み込みが抑えられてハウジングの角部が良好に保護される。
【0059】
本実施形態の電気コネクタにおいて、一対の角保護部の破断面(74、129)がハウジングの内面に露出している。この構成によれば、一対の角保護部の破断面を樹脂で覆う必要がないため、インサート成形を容易にすることができる。
【0060】
本実施形態の電気コネクタにおいて、補強金具は、短壁保護部から短壁の内側面に沿って延出した内板部(55、114)と、内板部から底壁の底面に沿って延出した底板部(56、115)と、底板部から突壁を覆うように延出した突壁保護部(57、116)と、を有している。この構成によれば、短壁保護部と内板部によって相手側の電気コネクタを嵌合する際の長手方向のガイドを形成することができる。また、突壁保護部によってハウジングの突壁を保護することができる。
【0061】
本実施形態の電気コネクタにおいて、外板部には実装面に固定される外板実装部(52、112)が形成され、一対の側板部には実装面に固定される一対の側板実装部(62、122)が形成されており、短壁保護部と外板実装部の間が短壁の内部に埋設され、一対の長壁保護部と一対の側板実装部の間が一対の長壁の内部に埋設されている。この構成によれば、外板実装部及び一対の側板実装部を実装面に半田で固定する際に、各実装部の表面を伝って半田が上昇する、いわゆる半田上がりが短壁及び一対の長壁によって防止される。
【0062】
本実施形態の電気コネクタにおいて、補強金具は、一対の長壁保護部から一対の長壁の内側面に沿って延出した一対の脚部(65)を有している。この構成によれば、一対の長壁保護部と一対の脚部によって相手側の電気コネクタを嵌合する際の短手方向のガイドを形成することができる。
【0063】
本実施形態の電気コネクタにおいて、補強金具は、一対の側板部から突壁に向かって延出する一対の端子部(123)を有している。この構成によれば、補強金具を端子として機能させることができる。
【0064】
本実施形態の電気コネクタにおいて、複数の信号端子は、一対の長壁の長手方向の中間部分に設けられており、一対の長壁の上面は、補強金具の高さよりも複数の信号端子の高さが低くなるように段状に形成されている。この構成によれば、相手側の電気コネクタが固定された実装面に一対の長壁の上段側の上面が接して、一対の長壁の下段側の上面と相手側の電気コネクタのスカートの干渉が抑えられる。
【0065】
本実施形態の電気コネクタにおいて、一対の長壁保護部は一対の長壁の上段側の上面(肩部97)を覆っており、一対の端子部は一対の長壁の下段側の上面を覆っている。この構成によれば、一対の長壁の上面が段状に形成されていても、一対の長壁保護部を短手方向のガイドとして機能させることができる。
【0066】
なお、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0067】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0068】
30、90 :レセプタクルコネクタ(電気コネクタ)
31、91 :ハウジング
32、92 :底壁
33、93 :短壁
34、94 :長壁
35、95 :突壁
36、96 :角部
41、101 :信号端子
50、110、131:補強金具
51、111、132:外板部
52、112 :外板実装部
53、113 :短壁保護部
55、114 :内板部
56、115 :底板部
57、116 :突壁保護部
61、121、133:側板部
62、122 :側板実装部
63、119 :長壁保護部
65 :脚部
66、126 :接続部
71、127、134:角保護部
73、128 :スリット
74、129 :破断面
123 :端子部