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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112507
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】調湿性布帛
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/24 20060101AFI20230804BHJP
   B60N 2/58 20060101ALI20230804BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20230804BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20230804BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20230804BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
B32B5/24 101
B60N2/58
A47C27/00 K
A47C31/02 J
B32B27/12
B32B27/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014341
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西東 祐樹
【テーマコード(参考)】
3B087
3B096
4F100
【Fターム(参考)】
3B087DE10
3B096AB08
3B096AD01
4F100AA20B
4F100AA21A
4F100AK41C
4F100AK45B
4F100AK51
4F100AK51A
4F100AK51B
4F100AK54A
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA02
4F100CA05B
4F100CA08B
4F100DG11C
4F100DG12C
4F100DG13C
4F100DJ00B
4F100EC182
4F100EH31A
4F100EH31B
4F100EH46A
4F100EH46B
4F100GB08
4F100GB33
4F100GB81
4F100JD04A
4F100JD04B
4F100JD05
4F100JD15A
4F100JD16B
4F100JJ07
4F100JK07
4F100JK09
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】本発明は、防水性と強度を両立しつつ、吸湿性を向上させることによって調湿性を格段に向上させるとともに、適度な弾性を有した調湿性布帛を提供することを目的とする。
【解決手段】透湿性フィルム、調湿性フィルム、及び布帛が順に積層された少なくとも3層からなる多層構造を有する調湿性布帛であって、前記透湿性フィルムが無孔構造であり、前記調湿性フィルムが、吸湿剤を含有し、表面とは垂直方向の断面に50μm以上の孔径を有する孔が10~600個存在する多孔構造で構成されており、前記孔において横方向の孔径に対する縦方向の孔径が1.0~4.0の範囲である調湿性布帛。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透湿性フィルム、調湿性フィルム、及び布帛が順に積層された少なくとも3層からなる多層構造を有する調湿性布帛であって、
前記透湿性フィルムが無孔構造であり、
前記調湿性フィルムが、吸湿剤を含有し、表面とは垂直方向の断面に50μm以上の孔径を有する孔が10~600個存在する多孔構造で構成されており、前記孔において横方向の孔径に対する縦方向の孔径が1.0~4.0の範囲である調湿性布帛。
【請求項2】
前記調湿性フィルムの厚みに対する縦方向の孔径の割合が20~80%である請求項1に記載の調湿性布帛。
【請求項3】
前記透湿性フィルムの厚みに対する前記調湿性フィルムの厚みが、5~30である請求項1または請求項2に記載の調湿性布帛。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレス、ベッド、座布団、ソファ、自動車座席、椅子等の着座物品、布団等の使用者の身体から発生する水蒸気に晒される調湿性布帛に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の身体から発生する水蒸気に晒される、寝具、衣料、車両の内装材等のクッション材やパッド材等に防水性のシート材からなるカバー材が用いられている。しかし、防水性のシート材は、吸湿性や通気性に乏しいので、長時間使用すると、蒸れて使用者が不快感を覚えたり、汗疹を生じたりする等の不都合がある。また、着座物品では、使用に伴う摩耗や荷重に長期間耐えうる強度が求められる。しかし、強度を優先するため強固な保護膜を用いた場合、透湿性が制限されてしまう。
【0003】
例えば、マットレスにおいては、排泄物が製品内部の中材に浸透することを防ぐため、防水性を有するカバー材が用いられている。しかし、防水性を優先することで透湿性が制限されてしまい、皮膚からの汗や水蒸気が身体とベッドカバーの間に溜まることで蒸れが生じ、皮膚組織が湿潤した状態となりやすい。さらに、寝たきりの被介護者の場合には自発的な体位変換ができないため、身体の一部が持続的な圧迫を受けることで皮膚の一部が壊死してしまう症状「褥瘡」の発生リスクがあり、湿潤状態ではそのリスクがさらに高くなる。
【0004】
また、例えば、自動車座席においては、10年以上使用されることが想定されており、使用に伴う摩耗や荷重に長期間耐えうる強度が求められる。さらに、紫外線や寒暖差等の影響を殆ど受けずに強度を維持していくことが重要である。そのような環境に耐えるため、強固な保護膜を持つ座席カバー材が多く用いられている。しかし、強度を優先することで透湿性が制限されてしまう。長時間運転する場合は体勢を維持し続けることとなるため、汗や身体からの水蒸気が身体と座席の間に溜まることで蒸れが生じやすく、夏や暖房使用時は特に不快に感じてしまう。
【0005】
身体とカバー材の間で感じる蒸れ感を軽減させるため、例えば、特許文献1には、透湿防水性マットレス被覆布とエアセルに排気孔を設け、排気孔と反対側に換気用空気を流す手段を備えたマットレスが開示されており、これによれば発汗して内部にこもった水蒸気を強制的に排気(換気)することができ、安全衛生面を確保できる。しかし、マットレス内の水蒸気を排気するために排気用機器が必要になることで費用が高額となるほか、排気用機器のメンテナンス等に手間と時間を割かれることとなってしまう。また、換気による気流が生じるため、使用者は冷えを感じやすくなってしまう。
【0006】
また、特許文献2には、優れた耐摩耗性を有した、座席用合成皮革シート材が開示されており、これによれば基材上に耐光性を有し強度が高いポリウレタン樹脂層を接着し、さらに、シリコーン-アクリル共重合体とポリカーボネート系ポリウレタンの混合物を保護層として積層した構造とすることで、耐摩耗性を更に高めている。しかし、ポリウレタン樹脂層や保護層は耐摩耗性を高めるために無孔構造としており、耐候性を高めるために加水分解性が極端に低く、水蒸気の透過性が低いポリウレタン樹脂を用いている。そのため、透湿性は低く、使用者が蒸れを感じやすい構造となっている。また、強度向上に比例して硬さも増すため、着座した際の使用感は硬いものとなってしまう。
【0007】
さらに、特許文献3には、身体に接する表面層に透湿性フィルム、中間層に調湿性フィルム、中材側となる裏面層に非透湿性フィルムを順に積層する調湿性カバー材が開示されており、身体に接する透湿性フィルムが水蒸気を透過させ、吸湿剤を含む調湿性フィルムが吸着することで、蒸れ感を軽減させることができる。併せて、透湿性フィルムを無孔構造とし、非透湿性フィルムを用いた積層構造とすることで、防水性を有している。しかし、製造工程にある機械発泡は調液や塗布を行う際の気温や湿度、時間経過に対して影響を非常に受けやすく、使用者が快適と感じられる適度な弾性となるような多孔構造を安定的に生産するためには課題が多い。また、吸湿剤の含有量と発泡性のバランスにも大きな制限があり、単価が高い吸湿剤の費用対効果を考慮すると、更なる吸湿性を実現することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-006956号公報
【特許文献2】特開2015-214774号公報
【特許文献3】特開2017-124552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述の問題を解決するものであり、防水性と強度を両立しつつ、吸湿性を向上させることによって調湿性を格段に向上させるとともに、適度な弾性を有した調湿性布帛を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前記目的を達成するために鋭意検討した結果なされたものである。
すなわち、本発明は、透湿性フィルム、調湿性フィルム、及び布帛が順に積層された少なくとも3層からなる多層構造を有する調湿性布帛であって、前記透湿性フィルムが無孔構造であり、前記調湿性フィルムが、吸湿剤を含有し、表面とは垂直方向の断面に50μm以上の孔径を有する孔が10~600個存在する多孔構造で構成されており、前記孔において横方向の孔径に対する縦方向の孔径が1.0~4.0の範囲である調湿性布帛である。
なお、本発明において、縦方向とは、調湿性布帛の厚み方向であり、横方向とは、調湿性布帛の厚み方向に対して垂直方向をいう。
【0011】
前記調湿性フィルムの厚みに対する縦方向の孔径の割合が20~80%であることが好ましい。
【0012】
前記透湿性フィルムの厚みに対する前記調湿性フィルムの厚みが、5~30であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は防水性と強度を両立しつつ、吸湿性を向上させることによって調湿性を格段に向上させるとともに、適度な弾性を有した調湿性布帛を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の調湿性布帛は、透湿性フィルム、調湿性フィルム、及び、布帛を順に積層する少なくとも3層からなる多層構造を有する調湿性布帛であって、透湿性フィルムが無孔構造であり、調湿性フィルムが、吸湿剤を含有する。なお、本明細書でいう「孔」とは、調湿性フィルムを貫通する貫通孔、又は/及び、貫通しない穴隙を示す。
【0015】
調湿性布帛は、透湿性フィルム、調湿性フィルム、及び、布帛がこの順に積層される少なくとも3層からなる多層構造となっていることが肝要であり、身体が接触する面を透湿性フィルム側にすることにより、身体からの発汗等によって生じる水蒸気が透湿性フィルムを透過し、調湿性フィルムにより吸湿されることで蒸れ感を軽減できる。さらに布帛を設けることで、外部からの応力による裂け、破れのリスクを軽減するとともに、縫製箇所の縫目強度を高めることができる。
また、身体が接触する面を、無孔構造である透湿性フィルム側にすることにより、優れた防水性が発揮でき、中材への臭気の透過を抑えることができる。
【0016】
以下、調湿性布帛の各構成部材について詳細に示す。
【0017】
まず、透湿性フィルムについて説明する。
【0018】
透湿性フィルムは無孔構造であり、透湿性を有していれば、特に限定されるものではない。透湿性フィルムが透湿性を有する無孔構造であることにより、調湿性布帛の表面に付いた水滴を中材まで通すことがなく、発汗で生じる水蒸気のみを下層の調湿性フィルムまで送ることができる。
【0019】
透湿性フィルムの形成に用いられる透湿性樹脂基材としては、例えば、透湿性ポリウレタン樹脂、透湿性ポリアミド樹脂、透湿性ポリエステル樹脂等を挙げることができる。より具体的には、透湿性ポリウレタン樹脂としては、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系のポリウレタン樹脂や、アミノ酸等と共重合した各系のポリウレタン樹脂等を挙げることができ、透湿性ポリアミド樹脂としては、ポリエーテルブロックアミド共重合体を有するポリアミド樹脂等を挙げることができ、透湿性ポリエステル樹脂としては、ブロック共重合体を有するポリエステル樹脂等から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂が挙げられる。なかでも、耐摩耗性、弾性回復性、柔軟性、透湿性等の点から透湿性ポリウレタン樹脂が好ましく用いられ、その中でもさらに耐加水分解性、柔軟性の点からポリエーテル系ポリウレタン樹脂がより好ましく用いられる。
【0020】
透湿性樹脂基材を溶媒により溶解させた樹脂基材溶液を用いて成膜を行う場合、溶媒としては特に限定されず、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン(TOL)、テトラヒドロフラン(THF)、ヘキサン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ベンゼン等が挙げられ、場合によっては、貧溶媒である水、低級アルコール類が挙げられる。また、上記溶媒を2種以上からなる混合液を用いてもよい。
【0021】
また、本発明の目的を阻害しない程度であれば、透湿性フィルムには、難燃剤、抗菌剤、抗カビ剤、抗ウイルス剤、防虫剤、消臭剤、帯電防止剤、撥水剤、撥油剤、タック防止剤、増粘剤、成膜助剤、架橋剤、黄変防止剤、顔料等の添加剤が配合されてもよい。
【0022】
透湿性フィルムの厚みが10~40μmであることが好ましい。10μm以上であれば、摩耗等の強度面を十分に満足することができる。また、40μm以下であれば、風合い、弾性、透湿性を得やすい。
【0023】
透湿性フィルムの製造方法としては、公知の種々の方法を採用することができ、例えば、透湿性樹脂基材をTダイ法、インフレーション法、キャスト法等により成膜する製造方法が挙げられる。また、透湿性樹脂を溶媒に溶解させた樹脂基材溶液の成膜方法としては、コンマコーティング法、ダイコーティング法、グラビアコーティング法等を用い、調湿性樹脂上に直接に塗布する方法や、離型紙や離型フィルム上に塗布して溶媒を取り除くことで単独フィルムとして成膜する方法が挙げられるが、無孔構造の透湿性フィルムを作製する方法であれば、特に限定されるものではない。
【0024】
透湿性フィルムの透湿度が2000g/m/24hr以上であることが好ましい。2000g/m/24hr以上であれば、身体から発する水蒸気を下層へと十分に通過させることができ、蒸れ感を抑えることができる。一方、透湿性フィルムの透湿度は5000g/m/24hr未満であることが好ましい。5000g/m/24hr未満であれば、十分な吸湿性が得られ、使用者の快適性が向上する。
【0025】
また、透湿性フィルムの水膨潤率が5%以下であることが好ましく、5%以下であれば、水拭きや消毒、皮脂汚れ除去等の目的でアルコールや洗浄剤を用いた清掃作業においても、フィルムの浮きや変形が少なく、形状安定性を向上させやすい。
【0026】
次に、調湿性フィルムについて説明する。
【0027】
本発明に用いられる調湿性フィルムは、吸湿剤を含有した多孔構造のフィルムである。調湿性フィルムは、透湿性フィルム側の表面ならびに構造内部に孔を複数有することが肝要である。これにより、構造内部の孔表面に吸湿剤の一部を露出することができ、透湿性フィルムを通過した水蒸気が表面の孔から調湿性フィルムの内部に取り込まれる際に、調湿性フィルム全体に存在する吸湿剤と接し、優れた吸湿性を発揮する。
【0028】
調湿性フィルムには50μm以上の孔径を有する孔が10~600個存在しており、30~500個存在していることが好ましい。10個以上であれば、構造内に存在する孔数を十分な量とすることができ、吸湿性と透湿性を向上できる。また、600個以下であれば、フィルム内に構成する網目構造が強固となり、表面からの応力に対する弾性を維持することができる。孔の数は、横方向の1mm間に形成した孔径50μm以上の孔数を計測する。任意の10か所で計測し、平均値を求める。なお、網目構造とは、フィルムを貫通する貫通孔ならびに空隙が一部で繋がり、ハニカム構造に似た多孔構造をいう。
【0029】
調湿性フィルムに存在している孔の径は、横方向の孔径に対する縦方向の孔径が1.0~4.0の範囲になるよう設定される。横方向の孔径に対する縦方向の孔径が1.5~3.0の範囲であることが好ましい。横方向の孔径に対する縦方向の孔径が1.0以上であれば、孔の表面積を十分な量とすることができ、吸湿性に優れる。また、横方向の孔径に対する縦方向の孔径が4.0以下であれば、フィルム内に構成する網目構造が強固となり、十分な弾性が得られる。
【0030】
調湿性フィルムの厚みに対する縦方向の孔径の割合が、20~80%になるよう設定されると好ましく、25~75%であることがより好ましく、30~70%であることがさらに好ましい。縦方向の孔径の割合が20%以上であれば、構造に対する孔の体積を十分な量とすることができ、吸湿性と透湿性が向上しやすい。また、80%以下であれば、防水性を維持できるとともに、フィルム内に構成する網目構造が強固となり、十分な弾性が得られやすい。
【0031】
透湿性フィルムの厚みに対する調湿性フィルムの厚みが、5~30の範囲、すなわち、透湿性フィルムの厚みと調湿性フィルムの厚みの比が、1:5~1:30の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、吸湿剤を十分に分散させることができるため、吸湿性を十分に満たしつつ、適度な風合いや弾性を維持することができる。また、調湿性フィルムに、機能性付与剤を添加した際には、薬剤を分散させやすく機能性を得やすく、例えば、難撚剤を含有させる際には、難燃剤を分散させやすく難燃性を維持しやすい。
【0032】
調湿性フィルムの形成に用いられる調湿性樹脂基材としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアクリル樹脂等が挙げられ、弾性や伸縮性に優れるポリウレタン樹脂が好ましい。
【0033】
吸湿剤としては、特に限定されるものではないが、例えば有機系材料のアクリルニトリル系共重合体微粒子、無機系材料のスメクタイト、ゼオライト、シリカゲル、メソポーラスシリカ等のケイ素を含むシリカ類、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム等の金属塩類が挙げられるが、単独もしくは2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、他成分に対する化学安定性の観点から、ケイ素含有の吸湿剤が好ましく、吸湿性と分散性、価格の観点から、シリカゲルを用いるのがより好ましく用いられる。
【0034】
調湿性フィルムに含有させる吸湿剤は、10~100g/mの範囲であることが好ましい。10g/m以上であれば、吸湿剤が構造内部の孔表面に容易に露出させることができ、調湿性が向上する。また、100g/m以下であれば、十分な強度が得られ、耐摩耗性を向上させることができる。
【0035】
吸湿剤の粒径が0.5~30μmであることが好ましい。0.5μm以上であれば、樹脂表面に露出させることができ、吸湿性が向上する。また、30μm以下であれば、フィルム内に構成する網目構造が強固となり、十分な弾性を得られやすい。
【0036】
調湿性フィルム内に、吸湿剤が均一に分散していることが好ましい。多孔構造である調湿性フィルムに吸湿剤が均一に分散していることで、空間に露出する吸湿剤の細孔面積を広く得ることができ、吸湿性を向上しやすい。
【0037】
調湿性フィルムの厚みが100~1000μmであることが好ましい。100μm以上であれば、摩耗や弾性等の強度面を十分に満足することができる。また、1000μm以下であれば、風合いを損ないにくい。
【0038】
また、調湿性フィルムの製造方法としては、吸湿剤と合成樹脂を混練した基材を、機械発泡させ発生した複数の気泡を連通した連続気泡を有するように成膜する方法や、連続油相成分中に水相成分を分散させたW/O系エマルションを成膜する方法、調湿性樹脂基材を溶媒に溶解させた樹脂基材溶液を湿式法により成膜する方法等が挙げられる。また、吸湿剤と合成樹脂とを混練した基材をTダイ法、インフレーション法、キャスト法等により成膜し、その後パンチング加工等により孔を形成させてもよく、さらに発泡剤を混錬時に添加し、加熱工程によって孔を形成させてもよい。なかでも、吸湿剤の分散性、吸湿性の観点から、湿式法による成膜方法が好ましく用いられる。
【0039】
調湿性樹脂基材を溶媒により溶解させた樹脂基材溶液を用いて成膜を行う場合、溶媒としては特に限定されず、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン(TOL)、テトラヒドロフラン(THF)、ヘキサン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ベンゼン等が挙げられ、場合によっては、貧溶媒である水、低級アルコール類が挙げられる。また、上記溶媒を2種以上からなる混合液を用いてもよい。
【0040】
湿式法による成膜方法で調湿性フィルムの成膜を行う場合は、基材として特に限定されるものではないが、合成樹脂が好ましく用いられる。合成樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアクリル樹脂、芳香族ポリアミド等が挙げられるが、風合い、吸湿性、透湿性の観点から、ポリウレタン樹脂が好ましく用いられ、より具体的には、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系のポリウレタン樹脂を挙げられる。その中でも、加水分解性や膜強度、耐油性の点からポリカーボネート系ポリウレタン樹脂がより好ましく用いられる。
【0041】
また、本発明の目的を阻害しない程度であれば、調湿性フィルムには、難燃剤、抗菌剤、抗カビ剤、防虫剤、消臭剤、導電剤、帯電防止剤、撥水剤、撥油剤、増粘剤、発泡剤、整泡剤、成膜助剤、架橋剤、可塑剤、黄変防止剤、顔料等の添加剤が配合されてもよい。
【0042】
また、難燃剤としては、特に限定されるものではなく、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、塩素や臭素を含有したハロゲン系化合物、三酸化アンチモンや五酸化アンチモンを含有したアンチモン系化合物、リン酸エステルやホスホン酸エステル等を含有したリン系化合物、メラミンシアヌレートやリン酸アンモニウム等を含有した窒素系化合物が挙げられるが、単独もしくは2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、安定性や添加量に対する難燃性能の高さから、ハロゲン系化合物、リン系化合物、および、窒素系化合物が好ましく用いられる。
【0043】
次に、布帛について説明する。
【0044】
布帛としては、特に限定されるものではなく、編物、織物、不織布等が挙げられる。編物の場合、例えば、トリコット、ダブルラッセル、丸編、天竺編、フライス編、スムース編、ジャガードが挙げられ、織物の場合、例えば、平織、綾織、朱子織が挙げられ、不織布の場合、例えば、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布が挙げられる。なかでも、伸縮性の面から編物が好ましく、製品使用時の適度な追従性や風合いの面からスムース編がより好ましい。
【0045】
本発明の目的を阻害しない程度であれば、布帛には、抗菌性、抗カビ性、防虫性、消臭性、帯電防止性、吸水性、撥水性、撥油性、防汚性、柔軟性、黄変防止等の機能性を付与しても良く、pH調整、硬め加工等の加工を施してもよい。
【0046】
透湿性フィルム、調湿性フィルムおよび布帛の積層方法としては、公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ホットメルトラミネート法等の接着剤を用いる積層方法、熱ラミネート法、ダイコーティング法等が挙げられるが、なかでも、生産性を考慮すると接着剤を用いる積層方法が好ましく用いられる。
【0047】
積層方法に接着剤を用いた方法である場合、接着剤として特に限定されるものではない。例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリアクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、なかでも、伸縮性を有するポリウレタン樹脂が好ましい。
【0048】
また、本発明の目的を阻害しない程度であれば、透湿性フィルムと調湿性フィルムの間ならびに、調湿性フィルムと布帛の間に、コーティング層やフィルム層、樹脂接着層、前記布帛と同様もしくは異なる布帛等の積層があってもよい。また、この層は、難燃性や抗菌性、抗カビ性、導電性、帯電防止性、高強度、柔軟性、透湿性、低透湿性、非透過性、防水性等の機能性を有していてもよく、2層以上に複数積層してあってもよいが、機能性や積層の数は、特に限定されるものではない。
【0049】
その他、本発明の調湿性布帛に求められる特性として、吸湿量、透湿度、難燃性、防水性等が挙げられ、これらの諸特性を最適化することが好ましい。
調湿性布帛の吸湿量は3.0g/m以上であることが好ましい。3.0g/m以上であれば、優れた吸湿性が得られ、使用者の快適性が向上する。
調湿性布帛の透湿度は3000g/m/24hr未満であることが好ましい。3000g/m/24hr未満であれば、優れた吸湿性が得られ、使用者の快適性が向上する。
調湿性布帛の難燃性は、炎が30秒間接近もしくは接し、消火した後の燃焼長さが10cm以下であることが好ましい。燃焼長さが10cm以下であれば、製品として使用している際に、煙草等の燃焼部と接した場合において、延焼する危険性を低下させることができる。
調湿性布帛の防水性は、耐水圧が20kPa以上であることが好ましい。20kPa以上が好ましく、より好ましくは100kPa以上である。20kPa以上であれば、水や消毒液等の清掃作業による浸水が抑えられ、さらに表面に付着した水分が体圧負荷により中材まで到達することを抑制できる。
【実施例0050】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもその実施例に限定されるものではない。
実施例1~9及び比較例1~4の透湿性フィルム、調湿性フィルム、布帛、積層試料のそれぞれについて、下記の測定方法で物性等を測定した。また、下記の方法で性能評価を行った。結果を表1に示す。
【0051】
<測定方法及び評価方法>
(1)厚み
任意の5箇所において、得られた積層試料における透湿性フィルム、調湿性フィルムの表面に対し垂直方向の断面をマイクロスコープにより100倍で観察し、厚み(μm)を測定し、平均値を求めた。
【0052】
(2)水膨潤率
任意の5箇所において、透湿性フィルムを5cm×5cmにカットしたものを平滑なガラス板に置き、フィルム全体を水で覆い、30分間浸漬後の四辺の長さ(cm)と対角線上の長さを測定し、5箇所のそれぞれの長さの平均値を求めた。尚、水膨潤率は、次の式にて求めた。
水膨潤率(%)=((浸漬後の長さ-浸漬前の長さ)/浸漬前の長さ)×100
【0053】
(3)透湿度
任意の5箇所において、JIS L1099 A-1法(塩化カルシウム法)に基づき、透湿性フィルム、得られた積層試料のそれぞれの透湿度(g/m・24hr)を測定し、平均値を求めた。
【0054】
(4)孔数
任意の10箇所において、得られた積層試料における調湿性フィルムの表面に対し垂直方向の断面をマイクロスコープにより100倍で観察し、横方向1mm間に形成した孔径50μm以上の孔数を計測し、平均値を求めた。
【0055】
(5)孔径
(4)の試験において計測した孔径50μm以上の孔のうち、各測定箇所から任意に1つ選び、横方向の最大孔径(μm)と縦方向の最大孔径とを測定し、10箇所の最大孔径の平均値を求め、横方向および縦方向それぞれの孔径とした。その後、横方向の孔径に対する縦方向の孔径を次の式にて求めた。
横方向の孔径に対する縦方向の孔径 = 縦方向の孔径/横方向の孔径
【0056】
(6)調湿性フィルム厚みに対する縦方向の孔径の割合
(5)の試験において求めた縦方向の孔径を用い、調湿性フィルムの厚みに対する縦方向の孔径の割合を次の式にて求めた。
調湿性フィルム厚みに対する縦方向の孔径割合(%)=(縦方向の孔径/調湿性フィルムの厚み)×100
【0057】
(7)吸湿剤の粒径
レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD(登録商標)-200V)を用い、水を分散媒として測定し、体積基準で表した粒子径分布から、体積平均粒子径を求めた。
【0058】
(8)吸湿量
任意の5箇所において、得られた積層試料を10cm×10cmにカットしたものを秤量瓶に入れ、温度20℃、湿度40%の恒温恒湿機での2時間調温・調湿後の重量を測定し、平均値を求めた。その後、温度20℃、湿度90%の恒温恒湿機での2時間調温・調湿後の重量を測定し、平均値を求め、吸湿量を次の式にて求めた。
吸湿量(g/m)=(90%調湿後重量-40%調湿後重量)×100
【0059】
(9)難燃性
任意の5箇所において、JIS L1091 8.2 B法(表面燃焼試験)のメセナミン錠剤を用いた方法(附属書9 表面燃焼性試験方法-45°メセナミン錠剤法)に基づき、得られた積層試料の燃焼長さ(cm)を測定し、平均値を求めた。
【0060】
(10)防水性
任意の5箇所において、JIS L1092 7.1.2 B法(高水圧法)に基づき、得られた積層試料の透湿性フィルム側からの耐水圧(kPa)を測定し、平均値を求めた。
【0061】
(11)摩耗強度
任意の5箇所において、JIS L1096 8.19.3 C法(テーバ形法)に基づき、500g荷重で得られた積層試料の透湿性フィルム側の500回摩擦を行った際の表面状態を観察した。
〇:破れや剥がれ等の外観変化なし。
△:小さな破れや剥がれが発生しているが、5箇所未満である。
×:破れや剥がれが5箇所以上発生している。
【0062】
(12)弾性
任意の5箇所において、200g/25cmの荷重を得られた積層試料に24時間載せ、荷重を外した際の表面状態を観察した。
〇:へこみ等の外観変化なし。
△:多少へこみが認められるが、荷重を外した後12時間以内に復元する。
×:へこみが認められ、12時間経過後にも復元しない。
【0063】
[実施例1]
まず、離型紙上に下記の透湿性樹脂基材溶液をコンマコーターで塗布し、100℃で乾燥後、厚みが20μm、水膨潤率1%の透湿性フィルムを形成した。
(透湿性樹脂基材溶液)
エーテル系ポリウレタン樹脂(DIC社製クリスボンS-125) 100部
顔料(酸化チタン) 20部
DMF/TOL(1:1) 40部
【0064】
次に、ポリエステル製離型フィルム上に、下記の調湿性樹脂基材溶液をコンマコートで塗布し、水に10分浸漬後、120℃で乾燥させることで、厚みが210μm程度の調湿性フィルムを形成した。
(調湿性樹脂基材溶液)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC社製クリスボンMP-120) 100部
吸湿剤(粒径20μm、シリカゲル) 10部
難燃剤(リン酸エステル系化合物) 10部
安定剤(大日精化工業社製 HH-1728) 5部
DMF 30部
【0065】
次に、この調湿性フィルムの上に、200℃に加熱して溶解させた接着剤液Aをグラビアロールで塗布し、ホットメルトラミネート法にて透湿性フィルムと貼り合わせした。
(接着剤液A)
熱可塑性ポリウレタン樹脂(DIC社製 タイフォースFH-100) 100部
【0066】
次に、この調湿性フィルムと透湿性フィルムを接着した面の反対側の面の上から、接着剤液Bをコンマコートで塗布し、120℃で乾燥、ドライラミネート法にて編物(ポリエステル、組織:スムース編)と貼り合わせした。
(接着剤液B)
接着剤用ポリウレタン樹脂(大日精化工業社製 ハイムレンY-119E)100部
架橋剤(大日精化工業社製 UD-架橋剤) 5部
架橋促進剤(大日精化工業社製 UD-120促進剤) 1部
DMF 50部
【0067】
[実施例2]
透湿性樹脂基材溶液の処方を下記に変更することで透湿性フィルムの水膨潤率を5%とし、布帛を織物(ポリエステル、組織:平織)とした以外は実施例1と同様の手法にて実施した。
(透湿性樹脂基材溶液)
吸水型ポリウレタン樹脂(大日精化工業社製 ハイムレンY-208-1)100部
顔料(酸化チタン) 20部
DMF/TOL(1:1) 40部
【0068】
[実施例3]
調湿性樹脂基材溶液の処方を下記に変更し、厚みを100μm程度とし、水の浸漬時間を0.5倍にした以外は実施例1と同様の手法にて実施した。
(調湿性樹脂基材溶液)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC社製 クリスボンMP-120)100部
吸湿剤(粒径20μm、シリカゲル) 5部
難燃剤(リン酸エステル系化合物) 10部
安定剤(大日精化工業社製 HH-1728) 5部
成膜助剤(大日精化工業社製 CUT-30) 1部
DMF 30部
【0069】
[実施例4]
透湿性フィルムの厚みを30μmとし、調湿性樹脂基材溶液の処方を下記に変更し、厚みを900μm程度とし、水の浸漬時間を2倍にした以外は実施例1と同様の手法にて実施した。
(調湿性樹脂基材溶液)
ポリカーボネートポリウレタン樹脂(DIC社製 クリスボンMP-120)100部
吸湿剤(粒径20μm、シリカゲル) 3.5部
難燃剤(リン酸エステル系化合物) 10部
安定剤(大日精化工業社製 HH-1728) 5部
成膜助剤(大日精化工業社製 CUT-30) 1部
DMF 20部
【0070】
[実施例5]
透湿性フィルムの厚みを18μmとし、調湿性樹脂基材溶液の処方を下記に変更し、厚みを500μm程度とし、水の浸漬時間を1.5倍にした以外は実施例1と同様の手法にて実施した。
(調湿性樹脂基材溶液)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC社製 クリスボンMP-120)100部
吸湿剤(粒径5μm、シリカゲル) 8部
難燃剤(リン酸エステル系化合物) 10部
安定剤(大日精化工業社製 HH-1728) 5部
DMF 30部
【0071】
[実施例6]
調湿性樹脂基材溶液の処方を下記に変更し、厚みを180μm程度とした以外は実施例1と同様の手法にて実施した。
(調湿性樹脂基材溶液)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC社製 クリスボンMP-120)100部
吸湿剤(粒径0.7μm、シリカゲル) 20部
難燃剤(リン酸エステル系化合物) 10部
安定剤(大日精化工業社製 HH-1728) 5部
成膜助剤(大日精化工業社製 CUT-30) 1部
成膜助剤(大日精化工業社製 CUT-180) 1部
DMF 40部
【0072】
[実施例7]
調湿性樹脂基材溶液の処方を下記に変更した以外は実施例1と同様の手法にて実施した。
(調湿性樹脂基材溶液)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC社製 クリスボンMP-120)100部
吸湿剤(粒径30μm、シリカゲル) 7部
難燃剤(リン酸エステル系化合物) 10部
安定剤(大日精化工業社製 HH-1728) 5部
成膜助剤(大日精化工業社製 CUT-180) 1部
DMF 30部
【0073】
[実施例8]
透湿性フィルムの厚みを15μmとし、調湿性樹脂基材溶液の処方を下記に変更し、厚みを350μm程度とし、水の浸漬時間を1.2倍とし、布帛を不織布(ポリエステル、スパンボンド不織布)とした以外は実施例1と同様の手法にて実施した。
(調湿性樹脂基材溶液)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC社製 クリスボンMP-120)100部
吸湿剤(粒径20μm、シリカゲル) 10部
難燃剤(リン酸エステル系化合物) 10部
安定剤(大日精化工業社製 HH-1728) 5部
成膜助剤(大日精化工業社製 CUT-180) 3部
DMF 30部
【0074】
[実施例9]
調湿性樹脂基材溶液の処方を下記に変更した以外は実施例1と同様の手法にて実施した。
(調湿性樹脂基材溶液)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC社製 クリスボンMP-120)100部
吸湿剤(粒径20μm、シリカゲル) 45部
難燃剤(リン酸エステル系化合物) 10部
安定剤(大日精化工業社製 HH-1728) 5部
DMF 70部
【0075】
[比較例1]
まず、離型紙上に下記の無透湿性樹脂基材溶液をコンマコーターで塗布し、100℃で乾燥後、厚みが20μm、水膨潤率0.5%の無透湿性フィルムを形成した。
(無透湿性樹脂基材溶液)
無透湿型ポリウレタン樹脂(DIC社製 クリスボンS-705) 100部
顔料(酸化チタン) 20部
DMF/TOL(1:1) 40部
【0076】
次に、調湿用フィルムを実施例1と同様の手法にて形成し、無透湿性フィルム、調湿性フィルム、布帛の各貼り合わせを実施例1と同様の手法にて実施した。
【0077】
[比較例2]
まず、離型紙上に吸湿剤を含む下記の透湿性樹脂基材溶液をコンマコーターで塗布し、100℃で乾燥後、厚みが30μm、水膨潤率1%の透湿性フィルムを形成した。
(透湿性樹脂基材溶液)
エーテル系ポリウレタン樹脂(DIC社製 クリスボンS-125) 100部
顔料(酸化チタン) 10部
吸湿剤(粒径20μm、シリカゲル) 20部
DMF/TOL(1:1) 40部
【0078】
次に、ポリエステル製離型フィルム上に、下記の樹脂基材溶液をコンマコートで塗布し、水に10分浸漬後、120℃で乾燥させることで、厚みが210μm程度のフィルムを形成した。
(樹脂基材溶溶液)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC社製 クリスボンMP-120)100部
難燃剤(リン酸エステル系化合物) 10部
安定剤(大日精化工業社製 HH-1728) 5部
DMF 25部
【0079】
次に、このフィルムと透湿性フィルム、布帛の各貼り合わせを、布帛を実施例2と同様の織物とした以外は実施例1と同様の手法にて実施した。
【0080】
[比較例3]
調湿性樹脂基材溶液の処方を下記に変更し、厚みを150μm程度とし、水の浸漬時間を0.8倍とし、布帛を実施例8と同様の不織布とした以外は実施例1と同様の手法にて実施した。
(調湿性樹脂基材溶液)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC社製 クリスボンMP-120)100部
吸湿剤(粒径20μm、シリカゲル) 10部
難燃剤(リン酸エステル系化合物) 10部
安定剤(大日精化工業社製 HH-1728) 5部
成膜助剤(大日精化工業社製 CUT-30) 5部
DMF 30部
【0081】
[比較例4]
調湿性樹脂基材溶液の処方を下記に変更し、厚みを700μm程度とし、水の浸漬時間を1.8倍にした以外は実施例1と同様の手法にて実施した。
(調湿性樹脂基材溶液)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC社製 クリスボンMP-120)100部
吸湿剤(粒径10μm、シリカゲル) 5.5部
難燃剤(リン酸エステル系化合物) 10部
安定剤(大日精化工業社製 HH-1728) 5部
成膜助剤(大日精化工業社製 CUT-180) 5部
DMF 30部
【0082】
【表1】
【0083】
表1から明らかなように、各実施例で得られた調湿性布帛は、防水性、吸湿性、摩耗強度が優れており、適度な弾性を有していた。