(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112521
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】鋼構造物の保全塗装工事における遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
E01D 22/00 20060101AFI20230804BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20230804BHJP
E01D 1/00 20060101ALI20230804BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20230804BHJP
【FI】
E01D22/00 A
E04G21/32 Z ESW
E01D1/00 E
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014364
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】503055554
【氏名又は名称】ヤマダインフラテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(72)【発明者】
【氏名】山田 博文
(72)【発明者】
【氏名】山田 翔平
【テーマコード(参考)】
2D059
5L049
【Fターム(参考)】
2D059GG22
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】作業空間内の空間情報や作業員の体調等を遠隔で監視することのできる鋼構造物の保全塗装工事における遠隔監視システムを提供する。
【解決手段】センサー10によって取得した空間情報に基づいて空間出力情報を生成し、IDタグ50によって取得した位置情報及び作業員情報に基づいて作業員出力情報を生成し、ディスプレイ35や携帯端末60にその内容を出力することで、遠隔での監視を行うものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼構造物の保全塗装対象となる部位を外部から遮蔽して保全塗装工事の際に発生する粉塵等が外部へ飛散することが防止された、作業員が当該保全塗装工事を行うための作業空間内における作業環境を監視する鋼構造物の保全塗装工事における遠隔監視システムであって、
前記作業空間の空間情報を取得する作業空間用情報検出部と、
前記作業空間用情報検出部が取得した空間情報を、所定のネットワーク回線を介して受信し、受信した空間情報に基づいて所定の空間出力情報を生成する主制御部と、
前記主制御部が生成した空間出力情報の内容を所定態様で出力する出力用端末部と、
を具備し、
さらに前記作業員が所持する作業員用情報検出部を具備し、
前記作業員用情報検出部は、
前記作業員の前記作業空間を基準とした位置情報と、当該作業員の体調及び/又は動作の情報である作業員情報とを当該作業員固有の情報と関連づけて取得するものであり、
前記主制御部は、
前記作業員用情報検出部が取得した位置情報及び作業員情報を、所定のネットワーク回線を介して受信し、受信した位置情報及び作業員情報に基づいて所定の作業員出力情報を作業員固有の情報と関連づけて生成する制御内容を具備し、
前記出力用端末部は、
前記主制御部が生成した作業員出力情報の内容を所定態様で出力する制御内容を具備している
ことを特徴とする鋼構造物の保全塗装工事における遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鋼橋、トンネル、及び工場プラント等の鋼構造物の表面を塗装する保全塗装工事において、作業環境を遠隔で監視することのできる鋼構造物の保全塗装工事における遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、新設するものや既設のものに関わらず鋼橋等の鋼構造物はサビ等の発生を防ぐために、あるいは特に既存の鋼構造物においては経年劣化によって腐食が進行した塗装の更新のために、予防保全が施されている。このように予防保全は、サビ等を取り除いたり、古い塗膜を取り除いたりする必要があるため、近年ではブラスト処理(1種ケレン)によってサビや塗膜を除去し、その後、新規の塗装を施すことが行われている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
そして、こうした工事の作業現場においては、上述のブラスト処理や塗装を施すために足場が組まれ、さらに粉塵や塗膜や新規に施工する塗装が外部へ飛散してしまうことを防止するために防塵シート等で覆って作業空間が外部から遮蔽されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、作業空間は外部から遮蔽されてしまうため、当該作業空間の温度や湿度等の作業環境の監視や作業員の管理等を行うためには当該作業空間を監視員が実際に見回る必要がある。しかしながら、鋼橋等の大きな鋼構造物にあっては作業空間も広大となり、あるいは作業空間が入り組んで死角が多いため、監視員がそのすべてを詳細に見回るには大変なコストと労力を要する。
【0006】
そこで本発明は、作業空間内の空間情報や作業員の体調等を遠隔で監視して作業員等の安全性を確保することのできる鋼構造物の保全塗装工事における遠隔監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、鋼構造物の保全塗装対象となる部位を外部から遮蔽して保全塗装工事の際に発生する粉塵等が外部へ飛散することが防止された、作業員が当該保全塗装工事を行うための作業空間内における作業環境を監視する鋼構造物の保全塗装工事における遠隔監視システムであって、前記作業空間の空間情報を取得する作業空間用情報検出部と、前記作業空間用情報検出部が取得した空間情報を、所定のネットワーク回線を介して受信し、受信した空間情報に基づいて所定の空間出力情報を生成する主制御部と、前記主制御部が生成した空間出力情報の内容を所定態様で出力する出力用端末部と、を具備し、さらに前記作業員が所持する作業員用情報検出部を具備し、前記作業員用情報検出部は、前記作業員の前記作業空間を基準とした位置情報と、当該作業員の体調及び/又は動作の情報である作業員情報とを当該作業員固有の情報と関連づけて取得するものであり、前記主制御部は、前記作業員用情報検出部が取得した位置情報及び作業員情報を、所定のネットワーク回線を介して受信し、受信した位置情報及び作業員情報に基づいて所定の作業員出力情報を作業員固有の情報と関連づけて生成する制御内容を具備し、前記出力用端末部は、前記主制御部が生成した作業員出力情報の内容を所定態様で出力する制御内容を具備していることを特徴とする鋼構造物の保全塗装工事における遠隔監視システムである。
【0008】
かかる構成にあっては、例えばいわゆる足場内作業空間において、前記出力用端末部を例えば工事事務所内に設置したり、現場監督が携帯したりすることによって上記空間情報や作業員情報を遠隔でリアルタイムに監視することができる。これにより監視にかかるコストと労力を大幅に削減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鋼構造物の保全塗装工事における遠隔監視システムは、安全監視業務の労力を大幅に削減し、作業員等の安全性を確保することができる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例にかかる鋼橋の保全塗装工事の手順を示すフロー図である。
【
図2】実施例にかかる鋼橋の保全塗装工事における遠隔監視システムの説明図である。
【
図3】実施例にかかるサーバーのブロック図である。
【
図4】実施例にかかるディスプレイに表示される空間出力情報の内容を示す説明図である。
【
図5】実施例にかかるディスプレイに表示される空間出力情報の内容を示す説明図である。
【
図6】実施例にかかるディスプレイに表示される作業員出力情報の内容を示す説明図である。
【
図7】実施例にかかるディスプレイに表示される特定の作業員に関する作業員出力情報の内容を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかる鋼構造物の保全塗装工事における遠隔監視システムを具体化した実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0012】
まず、鋼構造物としての鋼橋Kの保全塗装工事の手順を以下に説明する。
【0013】
図1に示すように、まず保全の対象となる鋼橋Kに仮設養生設備を設置する。具体的には、鋼橋Kに足場を仮設すると共に、外部に粉塵等が漏出しないように防塵シートを張設する(足場設置工程)。
【0014】
また、非塗装部分の養生を行い、例えばブラスト処理及びショットピーニング処理を同時に行うことのできる共通投射材の投射を行うための装置を設置する事前準備(S101)を行う。なお、本実施例では、共通投射材を投射することとしたが、ブラスト処理と、ショットピーニング処理とを、別々の金属系投射材を用いて別工程とする内容であっても勿論よい。また、ブラスト処理及びショットピーニング処理のうちいずれか一方のみを実行するようにしてもよい。
【0015】
その後、前記鋼橋Kに塗布されている旧塗装膜Tの種類や厚さ、あるいは当該鋼橋Kの状況等を調査(S102)する。そして、調査結果に基づき、使用する投射材(共通投射材)の種類や噴射速度等を決定する。また、後述する塗装膜軟化剤の種類や塗布方法を決定する。なお、S102はS101の前に行っても勿論よい。
【0016】
次に、鋼橋Kに塗布されている旧塗装膜Tに、塗装膜軟化剤を塗布し、所定の軟化時間が経過するまで待機する(S103:塗装膜軟化工程)。ここで、塗装膜軟化剤としては、水系有機溶剤を主成分とする公知の剥離材料が好適に採用される。限定されることはないが、水系有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。また、塗布方法としては、スプレー方式、ハケ塗り方式、又はローラー方式等が例示される。
【0017】
次に、軟化した塗装膜Tを、スクレーパーや皮スキ等の手工具で掻き取る(S104:手工具掻き取り工程)。かかる工程では、全除去対象の塗装膜Tのうち、約70%以上の塗装膜Tを掻き取ることが望ましい。ここで、軟化した塗装膜Tは、湿潤したシート状となってかたまりとして掻き取ることができる。このため、作業性が極めて良好である。なお、かかる工程は、塗装膜を含む粉塵量を低減できる利点があるが、後述の投射材投射工程を実行する限り省略することも可能である。
【0018】
そして、前記S102において決定した共通投射材を用いて、ブラスト処理及びショットピーニング処理の同時処理を次に行う(S105:投射材投射工程)。具体的には、前記共通投射材の投射により、前記鋼橋Kにおける残留した塗装膜T等の剥離と、素地調整対象の部分の素地調整(ブラスト処理)を行うと同時に、鋼橋Kの表面に圧縮残留応力を与える(ショットピーニング処理)という同時処理を行う。これにより、鋼橋Kの表面の微細な凹部に残留していた塗装膜Tが完全に除去される。
【0019】
なお、重ねて述べると、投射材投射工程はブラスト処理とショットピーニング処理の同時処理のみに限定されず、各処理を順番に行ってもよいし、いずれか一方のみを行ってもよい。
【0020】
ここで、同時処理によって剥離した塗膜やサビ等、及び使用済みの共通投射材が粉塵として発生するが、事前に手工具掻き取り工程(S104)を実行しているため粉塵量が極めて少量となる。また、前記S101において防塵シートを張設しているため、外部に粉塵が漏出することはなく、粉塵は作業空間に堆積していく。
【0021】
その後、ブラスト処理及びショットピーニング処理の同時処理を行った素地面の確認を行う(S106)。かかる確認は目視確認のみならず、例えばISO8501ブラスト写真帳による比較、あるいは表面粗さ測定器による粗さ確認等も含まれる。これによって未剥離の塗膜が残っていないか、あるいは素地面の粗さが規格内であるか、等の確認がなされ、不十分な箇所に対して的確な処理がなされることとなる。例えばブラスト処理を行うことのできない箇所は手工具等を用いて素地調整がなされる。
【0022】
こうして素地面の確認が済んだ部分に対して最終塗膜を形成するための最終仕上げ塗装を行う(S107)。なお、かかる塗装は、例えば防錆塗装として下塗り塗装、防錆塗装を保護する中塗り塗装、及び最終仕上げ塗装となる上塗り塗装のように複数回にわたって層状に塗装されることが一般的である。
【0023】
前記塗装が済むと、その確認(S108)が行われる。かかる確認は塗装が乾燥した後の膜厚確認だけでなく、例えば塗装作業中にウェットネスゲージを用いてウェット膜厚の確認等も含まれる。また、このような確認は前記最終仕上げ塗装となる上塗り塗装後のみならず、前記下塗り塗装、及び中塗り塗装時にも行われる。
【0024】
前記確認によって塗装作業が完了すると、現場の片付けを行う(S109)。具体的には、足場や防塵シート等の回収、及び投射材噴射装置の撤収を行って保全の完了となる。
【0025】
また、上記手順と共に、粉塵の回収工程を実行する(S110)。具体的には、前記投射材投射工程(S105)で発生した使用済み共通投射材、及び剥離物やサビ等を含む粉塵を分別しつつ回収していく。
【0026】
上記したように、防塵シートが張設された作業空間内には旧塗膜や投射材が飛散し堆積するため、作業員にとって過酷な環境となる。また、防塵シートによって外部から遮蔽されるために内部の様子が見え難く、しかも酸素や二酸化炭素、あるいはVOC(揮発性有機化合物)等のガス濃度等を監視する必要もある。
【0027】
以下に、本実施例にかかる鋼構造物の保全塗装工事における遠隔監視システム1(以下、遠隔監視システム1ともいう)を説明する。
【0028】
遠隔監視システム1は、
図2に示すように、鋼橋Kの保全塗装工事を行う作業空間S内に作業空間用情報検出部としてのセンサー10を備えている。センサー10は発煙の有無や高温の熱源の位置、酸素濃度、二酸化炭素濃度、あるいはVOC濃度等の空間情報を取得する。
【0029】
また、例えば工事現場に設置された現場事務所20には主制御部としてのサーバー30が配設されている。サーバー30は、ネットワーク回線40を介してセンサー10から空間情報を受信する。
【0030】
サーバー30は、
図3に示すように、中央演算装置で構成されるCPU部31と、空間情報及び後述する作業員情報に関する各種データを記憶するメモリー部32と、を備えている。
【0031】
CPU部31は、得られた空間情報に基づいて後述する空間出力情報15を生成する。
【0032】
生成された空間出力情報15は、現場事務所20に配設された出力用端末部としてのディスプレイ35に所定態様で出力される。なお、出力される内容は後述する。
【0033】
また、作業空間S内を出入りする作業員は、作業員用情報検出部としてのIDタグ50を所持している。IDタグ50は、作業員固有の情報を含むと共に、作業空間Sを基準とした位置情報と、作業員の体温、脈拍、あるいは加速度等の体調及び動作の情報である作業員情報とを取得する。
【0034】
また、サーバー30は、ネットワーク回線40を介してIDタグ50から位置情報及び作業員情報を受信する。
【0035】
サーバー30のCPU部31は、得られた位置情報及び作業員情報に基づいて後述する作業員出力情報55を生成する。
【0036】
生成された作業員出力情報55は、ディスプレイ35に所定態様で出力される。
【0037】
次に、ディスプレイ35に出力される空間出力情報15や作業員出力情報55の内容を説明する。
【0038】
図4に示すように、ディスプレイ35には、空間出力情報15が出力される。
【0039】
空間出力情報15は、センサー10が取得した空間情報に基づいて、例えば発煙の有無や高温の熱源の有無、酸素濃度、二酸化炭素濃度、及びVOC濃度の異常の有無といった作業空間S内に異常が発生していないかどうかという情報を含む。
【0040】
例えばVOC濃度について異常が発生した場合には、
図5に示すように、異常発生の対象であるVOC濃度の欄を例えば強調表示して異常の発生を報知する。具体的には、サーバー30のCPU部31が異常値を検知すると、ディスプレイ35等から警告メッセージや警告音等の警告情報を発する制御処理を実行する。なお、各情報における正常値の範囲あるいは異常値の範囲は所定の規定に基づいてあらかじめ定めておくことができる。
【0041】
また、
図6に示すように、ディスプレイ35には作業員出力情報55も出力される。
【0042】
作業員出力情報55には、位置情報に基づいて、所定の作業員が作業空間Sの内部に居るか外部に居るかという情報が含まれる。位置情報は、GPSを用いたものや、作業空間Sを出入りする際にIDタグ50を感知するセンサーを設けたもの等が採用可能である。
【0043】
さらに、
図7に示すように、作業員出力情報55には、作業員情報に基づいて個別の作業員の体温、脈拍、あるいは加速度等が正常であるか否かという情報が含まれる。
【0044】
このように、作業現場の監督者(管理者)は、現場事務所20に居ながらディスプレイ35から空間出力情報15や作業員出力情報55を監視することで、作業空間S内を監視することができ、監督業務の負担を大幅に低減することができる。また、作業空間S内に居る作業員も安心して作業に集中することができる。
【0045】
ここで、
図2に示すように、出力用端末部としてディスプレイ35に代えて、ネットワーク回線40を介して監督者が所持する携帯端末60に空間出力情報15や作業員出力情報55の内容が出力されるようにしてもよい。
【0046】
再度、作業現場及び作業員の安全性を高めるための方策を、各工程に対応させて説明する。なお、各工程で各センサーが取得する情報の正常値範囲および異常値範囲は、適宜、各工程の作業内容に応じて定めることができる。
【0047】
図1のS101で、鋼橋用吊り足場を設置する足場仮設時において、作業現場に所要のセンサーを配置する。そして、当該センサーを用いて以下の項目を監視する。
1.作業現場への入場者を監視(災害時に活用)
2.作業員の位置の監視(災害時に活用)
【0048】
また、作業現場の温湿度及び風速を監視するセンサーを配置する。当該センサーを用いて以下の項目を監視する。
3.作業中止の基準となる風速(以下、適宜、作業中止基準風速という)の監視(高所作業のため風速が大きい場合は危険と判断される)
4.熱中症対策として温湿度の監視
【0049】
前記足場を仮設した後であって、当該足場の側面に板張りを行って作業空間Sを区画する板張り防護時において、作業現場に所要のセンサーを配置する。当該センサーを用いて以下の項目を監視する。
1.作業現場への入場者を監視(災害時に活用)
2.作業員の位置の監視(災害時に活用)
【0050】
また、作業現場の温湿度及び風速を監視するセンサーを配置する。当該センサーを用いて以下の項目を監視する。
3.作業中止基準風速の監視(高所作業のため風速が大きい場合は危険と判断される)
4.熱中症対策として温湿度の監視
【0051】
上記した板張り防護の後、足場床面及び側面へ養生を行う養生工時において、作業現場に所要のセンサーを配置する。当該センサーを用いて以下の項目を監視する。
1.作業現場への入場者を監視(災害時に活用)
2.作業員の位置の監視(災害時に活用)
【0052】
また、作業現場の温湿度を監視するセンサーを配置する。当該センサーを用いて以下の項目を監視する。
3.熱中症対策として温湿度の監視
【0053】
また、
図1の塗装膜軟化工程(S103)及び手工具掻き取り工程(S104)において、作業空間S内に所要のセンサーを配置する。当該センサーを用いて以下の項目を監視する。
1.作業現場への入場者を監視(災害時に活用)
2.作業員の位置の監視(災害時に活用)
【0054】
また、作業空間Sの温湿度、火災発生、及びVOC濃度を監視するセンサーを配置する。当該センサーを用いて以下の項目を監視する。
3.熱中症対策として温湿度の監視
4.火災発生の監視
5.VOC濃度の監視(爆発や火災の危険の排除及び作業員の中毒防止)
【0055】
また、
図1の投射材投射工程(S105)において、作業空間S内に所要のセンサーを配置する。当該センサーを用いて以下の項目を監視する。
1.作業現場への入場者を監視(災害時に活用)
2.作業員の位置の監視(災害時に活用)
【0056】
また、作業空間Sの温湿度、粉塵濃度、及びVOC濃度を監視するセンサーを配置する。当該センサーを用いて以下の項目を監視する。
3.熱中症対策として温湿度の監視
4.粉塵濃度の監視(粉塵爆発等危険の排除及び作業員の粉塵障害防止)
5.VOC濃度の監視(爆発や火災の危険の排除及び作業員の中毒防止)
【0057】
また、
図1の塗装工程(S107)において、作業空間S内に所要のセンサーを配置する。当該センサーを用いて以下の項目を監視する。
1.作業現場への入場者を監視(災害時に活用)
2.作業員の位置の監視(災害時に活用)
【0058】
また、作業空間Sの温湿度、火災発生、及び粉塵濃度を監視するセンサーを配置する。当該センサーを用いて以下の項目を監視する。
3.熱中症対策として温湿度の監視
4.火災発生の監視
5.VOC濃度の監視(爆発や火災の危険の排除及び作業員の中毒防止)
【0059】
さらに、上述のように配置したセンサーを用いることで、下記に示すような保全工事の品質管理も同時並行して行うことができる。
【0060】
図1の塗装膜軟化工程(S103)において温湿度を監視することで、あらかじめ定められた塗装の剥離剤性能を適正に確保することができる。例えば、使用材料のメーカー規格に従い、当該工程において温度が5℃未満又は湿度が85%を超えた場合に、サーバー30のCPU部31が、ディスプレイ35等から警告メッセージや警告音等の警告情報を発する制御処理を実行することが提案される。
【0061】
また、
図1の投射材投射工程(S105)及び塗装工程(S107)における粉塵濃度及びVOC濃度を監視することで、粉塵濃度が高い状況でVOC濃度が上昇した場合には粉塵を巻き込んだ塗装が施行されている、という問題が発生して品質が低下していることを認識でき、未然に回避できる。例えば、粉塵濃度が高値を示しているにも関わらずVOC濃度が上昇した場合に、サーバー30のCPU部31が、ディスプレイ35等から警告メッセージや警告音等の警告情報を発する制御処理を実行することが提案される。
【0062】
また、
図1の塗装工程(S107)において、温湿度の条件が塗装作業に適さない場合には、塗装作業を中断するなどの対応を取りうる。これにより、あらかじめ定められた塗装の品質を適正に確保することができる。例えば、鋼道路橋防食便覧(著者:日本道路協会編集、発行元:日本道路協会)に記載の塗装禁止条件に従い、当該工程において温度が5℃未満又は湿度が85%超えた場合に、サーバー30のCPU部31が、ディスプレイ35等から警告メッセージや警告音等の警告情報を発する制御処理を実行することが提案される。
【0063】
同様に、
図1の塗装工程(S107)において、VOC濃度が上昇した際のインターバル時間を監視することで、複数層の塗装が行われる場合の適正な塗膜硬化時間の確保、及び適正な塗装作業間隔の確認を行うことができる。例えば、鋼道路橋防食便覧記載の塗装間隔に従い、当該工程において規定の塗装間隔前にVOC濃度上昇が認められた場合に、サーバー30のCPU部31が、ディスプレイ35等から警告メッセージや警告音等の警告情報を発する制御処理を実行することが提案される。
【0064】
なお、一般的に、高速道路等の鋼橋においては、鋼橋の長手方向に沿って当該鋼橋を複数の区画に分け、そのうえで一の区画において所定内容の作業が完了すると、隣接の区画にて当該内容の作業を開始するとともに、作業が完了した元の区画では次の新しい作業を開始する手順で工事が進められるため、一の鋼橋に対して区画ごとに異なる内容の情報を取得しながら作業空間を監視することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 鋼構造物の保全塗装工事における遠隔監視システム
10 センサー
15 空間出力情報
20 現場事務所
30 サーバー
31 CPU部
32 メモリー部
35 ディスプレイ
40 ネットワーク回線
50 IDタグ
55 作業員出力情報
60 携帯端末
K 鋼橋
S 作業空間