(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112524
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】電池パックの設置構造
(51)【国際特許分類】
H01M 50/251 20210101AFI20230804BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20230804BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20230804BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20230804BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20230804BHJP
H01M 50/574 20210101ALI20230804BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230804BHJP
H01M 50/233 20210101ALI20230804BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230804BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
H01M50/251
H01M50/204 401D
H01M50/296
H01M50/249
H01M50/50 101
H01M50/574
H01M10/48 Z
H01M50/233
H02J7/00 P
H02J7/35 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014368
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】密岡 重日
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆文
(72)【発明者】
【氏名】古木 一志
(72)【発明者】
【氏名】東 直樹
(72)【発明者】
【氏名】浅野 徹
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5G503AA06
5G503BA03
5G503FA06
5H030AA06
5H030AS06
5H030BB07
5H030FF51
5H040AA12
5H040AS01
5H040AS04
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040CC05
5H040DD07
5H040DD08
5H040DD26
5H040NN01
5H040NN03
5H043AA19
5H043AA20
5H043BA19
5H043CA05
5H043CA21
5H043DA06
5H043FA06
5H043GA01
(57)【要約】
【課題】柱状部材内部に複数の電池パックを設置する構造において、電池パックの設置や交換に対して作業効率のよい電池パックの設置構造を提供すること。
【解決手段】照明装置4に電力を供給可能な電池パック5を柱状部材2の内部に設置する電池パックの設置構造であって、電池パック5は、横置きの場合に水平方向の辺の長さよりも鉛直方向の辺の長さが短い直方体状に構成されており、柱状部材2の内部に、縦置きにした複数の電池パック5を上下方向に並ぶように配置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の負荷に電力を供給可能な電池パックを柱状部材の内部に設置する電池パックの設置構造であって、
前記電池パックは、横置きの場合に水平方向の辺の長さよりも鉛直方向の辺の長さが短い直方体状に構成されており、
前記柱状部材の内部に、縦置きにした複数の前記電池パックを上下方向に並ぶように配置することを特徴とする電池パックの設置構造。
【請求項2】
前記上下方向に並んだ前記複数の前記電池パックを電池パック群としたとき、前記電池パック群が前記柱状部材の内部に複数列設けられ、
同一電池パック群の前記電池パックは同一の配線に接続され、
前記配線は、前記電池パック群ごとに前記上下方向に配策されていることを特徴とする請求項1に記載の電池パックの設置構造。
【請求項3】
前記電池パックは、縦置きの場合に、一方の側面の外装をなす第1のケースと、前記一方の面と反対側の他方の側面の外装をなす第2のケースと、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池パックの設置構造。
【請求項4】
前記電池パックを制御する制御装置が前記柱状部材の内部において前記複数の前記電池パックの上方に配置されており、
前記電池パックの内部には、バッテリ、リレー及び水没センサが設けられ、
前記電池パックには、前記バッテリの電圧を前記電池パックの外部に出力する正極端子が設けられ、
前記バッテリの正極と前記正極端子とは、前記リレーを介して導通可能に接続されており、
前記電池パックは、縦置きの場合に、前記正極端子が前記水没センサよりも上方に位置する向きとなるように設置され、
前記リレーは、前記水没センサにより水没が検出された場合に切断状態に切り替えられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池パックの設置構造。
【請求項5】
前記柱状部材の側面には、第1の開口部と、前記第1の開口部よりも上方に位置する第2の開口部と、が形成されており、
前記第1の開口部は、前記電池パックの設置位置に設けられ、
前記第2の開口部は、前記制御装置の設置位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電池パックの設置構造。
【請求項6】
前記所定の負荷が照明装置であり、
前記電池パックが車載用の電池パックのリユース品であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電池パックの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載されていた電池パックをリユースする取り組みが知られている。こうした取り組みにおいては、電池パックをセルやモジュールに分解すると、コスト面で採算が合わないという課題があるため、電池パックをそのままリユースすることになる。
【0003】
しかしながら、小型リチウムイオン電池を用いた電池パックは、電池容量が小さいため、そのまま家庭用電源に用いることができない。そこで、小型リチウムイオン電池を用いた電池パックのリユース用途として、街灯用蓄電池がある。さらに、街灯をソーラー式の街灯(以下、「ソーラー街灯」という)とする場合がある。
【0004】
市場より回収した電池パックは、新品よりも例えば容量や内部抵抗といった性能が劣化しており、また性能のばらつきもある。こうした事情を考慮し、電池パックのリユースには、複数の電池パックを組み合わせて容量を増やすことが必要である。
【0005】
特許文献1には、太陽電池と太陽電池によって生成された直流電流によって充電される二次電池とを有する電源部と、戸外の明暗を検出する明暗検出回路と、複数の発光ダイオードを配列して形成された発光面を有するダイオードユニットと、二次電池とダイオードユニットとの間に接続されたスイッチング素子と、スイッチング素子のスイッチングを制御するスイッチング制御回路とを備え、スイッチング制御回路は、明暗検出回路によって戸外の暗状態が検出されたときにスイッチング素子をスイッチングオン状態に制御して電源部からダイオードユニットに電力を供給させる街路灯が記載されている。この特許文献1に記載された街路灯は、支持柱を備え、支持柱の内部に、二次電池、充電回路および制御部を収納するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載のような街路灯にリユース品の電池パックを用いる場合、次のような課題がある。
【0008】
使用する電池パックがリユース品である場合、当該電池パックの寸法や構造が既に定められているため、このような制約がある電池パックを街路灯のように横幅が小さい柱内に設置したり、柱内に設置後の電池パックを交換したりすることが容易でない、という課題がある。
【0009】
特許文献1には、街路灯の支持柱内部に複数の電池パックを配置する構造についての具体的な記載がない。このため、特許文献1に記載の街路灯にあっては、複数のリユース品の電池パックを支持柱内部に設置したり、支持柱内に設置後の電池パックを交換したりすることに関して何ら考慮されていなかった。
【0010】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、柱状部材内部に複数の電池パックを設置する構造において、電池パックの設置や交換に対して作業効率のよい電池パックの設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するため、所定の負荷に電力を供給可能な電池パックを柱状部材の内部に設置する電池パックの設置構造であって、前記電池パックは、横置きの場合に水平方向の辺の長さよりも鉛直方向の辺の長さが短い直方体状に構成されており、前記柱状部材の内部に、縦置きにした複数の前記電池パックを上下方向に並ぶように配置する構成を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、柱状部材内部に複数の電池パックを設置する構造において、電池パックの設置や交換に対して作業効率のよい電池パックの設置構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係るソーラー街灯の概略構成図であって、(a)に正面図、(b)に左側面図を示している。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係るソーラー街灯の電池パックの右側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係るソーラー街灯の電池パックの背面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係るソーラー街灯の電池パックの正面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係るソーラー街灯の電池パックの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態に係る電池パックの設置構造は、所定の負荷に電力を供給可能な電池パックを柱状部材の内部に設置する電池パックの設置構造であって、電池パックは、横置きの場合に水平方向の辺の長さよりも鉛直方向の辺の長さが短い直方体状に構成されており、柱状部材の内部に、縦置きにした複数の電池パックを上下方向に並ぶように配置することを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る電池パックの設置構造は、柱状部材内部に複数の電池パックを設置する構造において、電池パックの設置や交換に対する作業効率をよくすることができる。
【実施例0015】
以下、本発明の一実施例に係る電池パックの設置構造について図面を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施例は、屋外に設置されるソーラー街灯における電池パックの設置構造を例に説明するものである。
【0017】
(ソーラー街灯の構成)
ソーラー街灯1は、柱状部材2と、ソーラーパネル3と、所定の負荷としての照明装置4と、複数の電池パック5と、制御装置6と、を含んで構成されている。ソーラー街灯1は、地面G上に設置されている。
【0018】
以下においては、柱状部材2を基準に、照明装置4側を「前」、その反対側を「後」、後側から前側を見たときに左側を「左」、右側を「右」、上側を「上」と、それぞれ定義する。また、柱状部材2の各側面のうち、照明装置4が設置された側面をソーラー街灯1の正面側とする。
【0019】
柱状部材2は、四角柱からなり、内部に空間を有する中空状に形成されている。柱状部材2は、角柱又は円柱など、四角柱以外の形状も採用可能である。柱状部材2の内部には、後述するように、照明装置4に電力を供給可能な複数の電池パック5と、制御装置6とが設置されている。
【0020】
柱状部材2の内部においては、制御装置6が複数の電池パック5の上方に配置されている。柱状部材2の正面側の側面2aには、第1の開口部21と、第1の開口部21よりも上方に位置する第2の開口部22と、が形成されている。
【0021】
第1の開口部21は、複数の電池パック5の設置位置に設けられている。第1の開口部21は、例えば電池パック5の交換やメンテナンスの作業を行う際に利用されるもので、それら作業を行わないときは蓋21aによって閉塞されている。
【0022】
第2の開口部22は、制御装置6の設置位置に設けられている。第2の開口部22は、例えば制御装置6の操作やメンテナンスの作業を行う際に利用されるもので、それら操作や作業を行わないときは蓋22aによって閉塞されている。
【0023】
本実施例においては、柱状部材2の内部における複数の電池パック5の設置領域が制御装置6の設置領域よりも柱状部材2の高さ方向に長いため、第2の開口部22よりも第1の開口部21の高さ方向の長さが長くなっている。
【0024】
柱状部材2の底部には、地面Gの下に埋まったドレン管25が接続されている。ドレン管25は、柱状部材2の底部に溜まった水分を排水として地下に流すための配管である。
【0025】
ソーラーパネル3は、柱状部材2の頂部23に取り付けられている。ソーラーパネル3は、太陽からの光エネルギを用いて電気を発生させる太陽電池モジュールからなり、ソーラー街灯1の設置箇所に応じて、例えば年間を通して一番多い日射量を得ることのできる向きに調整されている。ソーラーパネル3は、電池パック5及び制御装置6に電力を供給可能に接続されている。
【0026】
照明装置4は、柱状部材2の正面側の側面2aの上部に配置され、柱状部材2の上部から下方を照明するようになっている。
【0027】
電池パック5は、車両に搭載されていた車載用電池パックのリユース品である。本実施例では、ハイブリッド車に使用される容量の小さな電池パックのリユースを実現するため、複数の電池パック5を組み合わせて容量を増やして使用するようにしている。
【0028】
電池パック5がリユース品であると、使用履歴により容量や内部抵抗等の劣化度合いが異なるため、個々に性能のバラつきがある。組み合わせる複数の電池パック5で残寿命が異なるため、使用途中で電池パック5の交換が必要となる可能性が高い。本実施例では、上述のように柱状部材2の内部に複数の電池パック5を配置することにより、一部の電池パック5に異常が生じても残りの電池パック5で街灯としての動作を保証することができる。
【0029】
図2から
図4に、本実施例の電池パック5を示す。
図2から
図4において矢印で示す各方向は、電池パック5を柱状部材2に搭載した状態での方向を示している。
【0030】
図2から
図4に示すように、電池パック5は、横置きの場合に水平方向の辺の長さよりも鉛直方向の辺の長さが短い直方体状に構成されている。「横置き」とは、電池パック5の車両搭載時の置き方であり、電池パック5の厚みが最も小さくなる置き方である。例えば、
図2において、柱状部材2に搭載したときの電池パック5の右側面が上面となる、置き方が「横置き」である。
【0031】
本実施例において、電池パック5は、柱状部材2の内部に縦置きにして搭載されている。さらに、本実施例においては、
図1に示すように、縦置きにした複数の電池パック5が上下方向に並ぶように柱状部材2の内部に配置されている。
【0032】
また、柱状部材2の内部で上下方向に並んだ複数の電池パック5は電池パック群を構成している。本実施例においては、上下方向に並んだ5つの電池パック5で1つの電池パック群を構成している。電池パック群を構成する電池パック5の数は任意であり、5つに限定されるものではない。
【0033】
さらに、本実施例においては、上記電池パック群が柱状部材2の内部に2列設けられている。2列の電池パック群のうち、一方を電池パック群5A、他方を電池パック群5Bとする。柱状部材2の内部に設けられる電池パック群の列数は、2列に限定されるものではなく、例えば1列又は3列以上であってもよい。
【0034】
同一電池パック群の電池パック5は、同一の配線に接続されている。具体的には、電池パック群5Aを構成する5つの電池パック5は配線50Aに接続され、電池パック群5Bを構成する5つの電池パック5は配線50Bに接続されている。
【0035】
配線50A及び配線50Bは、柱状部材2の内部において上下方向に配策されている。配線50A及び配線50Bには、それぞれ対応する電池パック群の各電池パック5の後述する正極端子60、電源端子63、ソーラーパネル3、照明装置4や制御装置6等が接続されている。
【0036】
電池パック群5Aと電池パック群5Bとは、互いに別系統の電池パック群を構成しており、それぞれが独立して機能することができるようになっている。このため、一方の系統にトラブルが発生しても、トラブルが発生していない他方の系統によって電池パックを動作可能とすることができる。
【0037】
図2から
図4に示すように、電池パック5は、縦置きの場合に、一方の側面としての右側面5aの外装をなす樹脂製の第1のケース51と、右側面5aと反対側の他方の側面としての左側面5bの外装をなす金属製の第2のケース52と、を有する。本実施例では、第1のケース51が第2のケース52を覆っている。
【0038】
図1に示すように、制御装置6は、電池パック5内の後述するBMS(Battery Management System)55(
図5参照)に接続されており、当該BMS55を介して複数の電池パック5を制御する。制御装置6は、BMS55との間で通信を通じて情報のやりとりを行う。
【0039】
制御装置6は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。コンピュータユニットのROMには、各種定数等とともに、当該コンピュータユニットを制御装置6として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、コンピュータユニットは、本実施例における制御装置6として機能する。
【0040】
制御装置6には、図示しない各種センサ類が接続されている。例えば、照度センサ等の外部環境の変化を検出可能なセンサ類が接続されている。また、制御装置6は、照明時間や照明時刻を管理するタイマを備えていてもよい。
【0041】
(電池パックの電気的構成)
次に、
図5を参照して、本実施例の電池パック5の電気的構成について説明する。
【0042】
図5に示すように、電池パック5は、バッテリ53と、リレー54と、BMS55と、水没センサ56と、を有している。これらバッテリ53、リレー54、BMS55及び水没センサ56は、電池パック5の内部に設けられている。換言すれば、バッテリ53、リレー54、BMS55及び水没センサ56は、第1のケース51と第2のケース52とにより閉塞された空間内に収容されている。
【0043】
バッテリ53は、例えばリチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池によって構成されている。バッテリ53は、正極53a及び負極53bを有している。
【0044】
バッテリ53の正極53aは、リレー54を介して正極端子60に導通可能に接続されている。正極端子60は、バッテリ53の電圧を電池パック5の外部に出力する端子であって、電池パック5の外側に露出している(
図2及び
図4参照)。バッテリ53の負極53bは、アース端子61を介して第2のケース52に接続されている。
【0045】
リレー54は、バッテリ53の正極53aと正極端子60との間に設けられ、バッテリ53の正極53aと正極端子60とを接続する接続状態、又は、切断する切断状態を切替可能なスイッチである。
【0046】
リレー54は、水没センサ56により電池パック5の水没が検出された場合に切断状態に切り替えられるようになっている。
【0047】
BMS55は、バッテリ53の電圧値や残容量(SOC:state of charge)など、バッテリ53の状態を監視及び管理するようになっている。BMS55は、バッテリ53の充放電電流に基づきSOCを算出する。BMS55は、リレー54の接続状態又は切断状態の切替を制御するようになっている。
【0048】
BMS55は、電池パック5に設けられた通信端子62を通じて制御装置6に接続されている。BMS55は、電池パック5に設けられた電源端子63及び電源GND端子64を介して電源に接続されている。本実施例においては、バッテリ53及びソーラーパネル3を当該電源として用いる。
【0049】
水没センサ56は、電池パック5の水没を検出するセンサである。水没センサ56としては、例えば、水没を示す所定圧以上の水圧を感知することによって水没を検出するものや、プラスマイナスの端子が水に浸かることによってそれら端子間が導通することで水没を検出するもの等、種々の水没センサを用いることができる。
【0050】
ここで、電池パック5は、正極端子60が水没センサ56よりも上方に位置する向きとなるように、柱状部材2の内部に縦置きに設置される。本実施例においては、電池パック5を
図2から
図3に示す向きで柱状部材2の内部に設置することにより、正極端子60が水没センサ56よりも上方に位置することとなる。
【0051】
以上のように、本実施例に係る電池パックの設置構造は、ソーラー街灯1において、柱状部材2の内部に、縦置きにした複数の電池パック5を上下方向に並ぶように配置したので、柱状部材2内の水平方向の寸法が小さい場合であっても、電池パック5の設置や交換に対する作業効率をよくすることができる。
【0052】
ここで、水平方向の寸法が小さい柱状部材内に電池パックを横置きに設置する場合、電池パックを斜めにして柱状部材内に入れて、その後、電池パックを横向きにすることになるため、作業効率が悪い。
【0053】
また、電池パックがリユース品であると、組み合わせる複数の電池パックで残寿命が異なるため、使用途中で電池パックの交換が必要となる可能性が高い。電池パックが横置きに配置されている場合、電池パックを柱状部材内から取り外す際に、電池パックを斜めにして柱状部材内から抜く、又は電池パックを上から順番に取り外していく必要があるため、作業効率が悪い。
【0054】
本実施例に係る電池パックの設置構造は、上述のように電池パック5を縦置きにして柱状部材2の内部に設置するので、横置きのときのような設置作業や交換作業の煩わしさがなく、電池パック5を容易に設置及び交換することができる。
【0055】
また、本実施例に係る電池パックの設置構造は、横置きの場合に水平方向の辺の長さよりも鉛直方向の辺の長さが短い直方体状に構成された複数の電池パック5を、縦置きにして柱状部材2の内部に上下方向に並べて設置するので、柱状部材2の内壁と電池パック5との間のクリアランスが少なくても柱状部材2内の上下方向の空気流路を確保できる。このため、電池パック5が高温になることを防止することができる。
【0056】
また、本実施例のソーラー街灯1のように屋外に設置される柱状部材内では、日照により上部が下部よりも高温になる。このため、水平方向の寸法が小さい柱状部材内に電池パックを横置きに設置すると、空気の対流が妨げられ、柱状部材の上部が下部よりも高温のまま長時間放置されることとなる。電池パック内のリチウムイオン電池等からなるバッテリは温度が高いほど劣化が進行するため、高温のまま長時間放置された柱状部材上部の電池パックの劣化が早まってしまう。
【0057】
本実施例に係る電池パックの設置構造は、上述のように電池パック5を縦置きにして柱状部材2の内部に設置するので、柱状部材2の内壁と電池パック5との間に隙間を形成することがでる。これにより、水平方向の寸法が小さい柱状部材2の内部において上下方向に空気流路が形成され、柱状部材2内の空気の均熱化を図ることができる。この結果、電池パック5の劣化も均等化され、メンテナンスを行うまでの期間を長くすることができる。
【0058】
また、本実施例に係る電池パックの設置構造は、上下方向に並んだ複数の電池パック5によって構成される電池パック群を複数列(本実施例では、電池パック群5A、5Bの2列)設けたので、柱状部材2の内壁と電池パック5との間のクリアランスを確保しつつ、設置する電池パック5の個数を増やすことができる。
【0059】
本実施例に係る電池パックの設置構造は、電池パック群を複数列設けても、各電池パック5を縦置きに配置しているので、隣り合う電池パック群の電池パック5と電池パック5との間に隙間を形成することができる。これにより、水平方向の寸法が小さい柱状部材2の内部において隣り合う電池パック群の間に上下方向に空気流路が形成され、柱状部材2内の空気の均熱化を図ることができる。この結果、電池パック5の劣化も均等化され、メンテナンスを行うまでの期間を長くすることができる。
【0060】
また、本実施例に係る電池パック5を例えば車両搭載時のように横置きにした場合、第1のケース51が第2のケース52を上から覆うような構成となる。柱状部材2の内部に電池パック5を横置きに設置してしまうと、例えば第1のケース51と第2のケース52との間に生じる隙間を通じて第2のケース52内に結露水が溜まる可能性がある。
【0061】
本実施例に係る電池パックの設置構造は、上述のように電池パック5を縦置きにして柱状部材2の内部に設置するので、第1のケース51と第2のケース52との間に生じる隙間を通じて結露水を下方に落下させることができる。このため、電池パック5の第1のケース51や第2のケース52の内部に結露水が溜まることがなく、結露水によって電池パック5が動作不良となってしまうことを防止することができる。
【0062】
本実施例に係る電池パックの設置構造は、制御装置6が複数の電池パック5の上方に配置されており、バッテリ53の正極53aが水没センサ56よりも上方に位置する向きとなるように電池パック5が設置されている。さらに、水没センサ56により電池パック5の水没が検出された場合にリレー54が切断状態に切り替えられるようになっている。
【0063】
これにより、一部の電池パック5が水没しても、残りの電池パック5を動作可能にすることができる。
【0064】
本実施例に係る電池パックの設置構造は、柱状部材2の側面に、第1の開口部21と、第1の開口部21よりも上方に位置する第2の開口部22とが形成されており、第1の開口部21が電池パック5の設置位置に、第2の開口部22が制御装置6の設置位置に設けられている。
【0065】
これにより、柱状部材2の下方に配置される電池パック5の設置や交換が高所作業にならないようにすることができる。また、柱状部材2に形成される開口の面積を小さくでき、柱状部材2の強度を増加させることができる。さらに、柱状部材2の側面の面積を大きくすることができるので、柱状部材2をメッキする際、熱による変形を抑えることができる。
【0066】
本実施例においては、発電装置としてソーラーパネル3を用いたソーラー街灯1に本発明に係る電池パックの設置構造を適用した例について説明したが、これに限らず、例えば発電装置として風力発電装置を備える街灯に本発明に係る電池パックの設置構造を適用してもよい。
【0067】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。