(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112529
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】整流装置
(51)【国際特許分類】
B62D 37/02 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
B62D37/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014376
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 一幸
(72)【発明者】
【氏名】稲山 昌秀
(72)【発明者】
【氏名】中山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】工藤 信寛
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 利弥
(72)【発明者】
【氏名】田中 一成
(57)【要約】
【課題】検出部への異物の到達を抑制する。
【解決手段】整流装置10では、整流体14が回転される際に、マグネット34が回転されると共に、磁気センサ38がマグネット34の回転位置を検出する。また、収容体22内がモータベース28によって車幅方向外側と車幅方向内側とに仕切られており、収容体22内の車幅方向外側にマグネット34が収容されている。ここで、収容体22内の車幅方向内側に磁気センサ38が収容されている。このため、収容体22内の車幅方向外側から車幅方向内側への異物の侵入をモータベース28によって抑制でき、磁気センサ38への異物の到達を抑制できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開方向に回転されることで車両の前輪の前側に展開されて前記前輪への空気流を抑制すると共に、収納方向に回転されることで車体に収納される整流体と、
車体側に設けられる収容体と、
前記収容体内を一側と他側とに仕切る仕切部材と、
前記仕切部材に保持され、駆動されて前記整流体が回転される駆動機構と、
前記収容体内の一側に収容され、前記整流体が回転される際に回転される被検出部と、
前記収容体内の他側に収容され、前記被検出部の回転位置を検出する検出部と、
を備える整流装置。
【請求項2】
前記仕切部材が前記被検出部に当接される請求項1記載の整流装置。
【請求項3】
前記仕切部材に突出されて設けられ、前記被検出部に当接される突出部を備える請求項2記載の整流装置。
【請求項4】
前記仕切部材に前記検出部が位置決めされる請求項1~請求項3の何れか1項記載の整流装置。
【請求項5】
前記収容体内の一側に収容され、前記整流体が回転される際に回転されると共に、前記被検出部が圧入される回転部材を備える請求項1~請求項4の何れか1項記載の整流装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前輪への空気流を抑制する整流装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の調整機器では、磁石が回転されると共に、集積回路が磁石の回転位置を検出する。
【0003】
ここで、このような調整機器では、集積回路への異物の到達を抑制できるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、検出部への異物の到達を抑制できる整流装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の整流装置は、展開方向に回転されることで車両の前輪の前側に展開されて前記前輪への空気流を抑制すると共に、収納方向に回転されることで車体に収納される整流体と、車体側に設けられる収容体と、前記収容体内を一側と他側とに仕切る仕切部材と、前記仕切部材に保持され、駆動されて前記整流体が回転される駆動機構と、前記収容体内の一側に収容され、前記整流体が回転される際に回転される被検出部と、前記収容体内の他側に収容され、前記被検出部の回転位置を検出する検出部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の整流装置は、本発明の第1態様の整流装置において、前記仕切部材が前記被検出部に当接される。
【0008】
本発明の第3態様の整流装置は、本発明の第2態様の整流装置において、前記仕切部材に突出されて設けられ、前記被検出部に当接される突出部を備える。
【0009】
本発明の第4態様の整流装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つの整流装置において、前記仕切部材に前記検出部が位置決めされる。
【0010】
本発明の第5態様の整流装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つの整流装置において、前記収容体内の一側に収容され、前記整流体が回転される際に回転されると共に、前記被検出部が圧入される回転部材を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様の整流装置では、駆動機構が駆動されて、整流体が回転される。さらに、整流体が展開方向に回転されることで、整流体が、車両の前輪の前側に展開されて、前輪への空気流を抑制する。一方、整流体が収納方向に回転されることで、整流体が車体に収納される。
【0012】
また、車体側に収容体が設けられており、収容体内を仕切部材が一側と他側とに仕切ると共に、仕切部材に駆動機構が保持される。さらに、収容体内の一側に被検出部が収容されており、整流体が回転される際に被検出部が回転されると共に、被検出部の回転位置を検出部が検出する。
【0013】
ここで、収容体内の他側に検出部が収容される。このため、収容体内の一側から他側への異物の到達を仕切部材によって抑制でき、検出部への異物の到達を抑制できる。
【0014】
本発明の第2態様の整流装置では、仕切部材が被検出部に当接される。このため、被検出部の位置精度を高くできる。
【0015】
本発明の第3態様の整流装置では、仕切部材に突出部が突出されて設けられており、突出部が被検出部に当接される。このため、被検出部の仕切部材に対する摺動抵抗を低くできる。
【0016】
本発明の第4態様の整流装置では、仕切部材に検出部が位置決めされる。このため、被検出部の位置精度を高くできる。
【0017】
本発明の第5態様の整流装置では、収容体内の一側に回転部材が収容されており、整流体が回転される際に回転部材が回転されると共に、回転部材に被検出部が圧入される。このため、被検出部の回転部材に対するガタツキを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態における車両の前部を示す車幅方向外方から見た側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る整流装置を示す車両後方かつ車幅方向内方から見た分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る整流装置を示す車両前方から見た正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る整流装置を示す下方から見た断面図(
図3の4-4線断面図)である。
【
図5】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係る整流装置の主要部を示す図であり、(A)は、車両前方から見た断面図であり、(B)は、車両前方かつ車幅方向外方から見た破断斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る整流装置の駆動装置を示す車幅方向内方から見た側面図である。
【
図7】(A)~(C)は、本発明の実施形態に係る整流装置を示す図であり、(A)は、上方から見た断面図(
図6の7A-7A線断面図)であり、(B)は、上方から見た断面図(
図6の7B-7B線断面図)であり、(C)は、車両後方から見た断面図(
図6の7C-7C線断面図)である。
【
図8】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係る整流装置の駆動装置を示す車幅方向内方から見た側面図であり、(A)は、ケース内のモータベースより車幅方向内側を示し、(B)は、ケース内のモータベースより車幅方向外側を示している。
【
図9】本発明の実施形態に係る整流装置のスタンド等を示す車幅方向内方から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、本実施形態における車両12の前部が車幅方向外方(車両右方)から見た側面図にて示されており、
図2には、本実施形態に係る整流装置10が車両後方かつ車幅方向内方から見た分解斜視図にて示されている。さらに、
図3には、整流装置10が車両前方から見た正面図にて示されており、
図4には、整流装置10が下方から見た断面図(
図3の4-4線断面図)にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0020】
図1に示す如く、本実施形態に係る整流装置10は、車体12Aの前端部内に設置されて、車両12の前輪12Bの前側に配置されている。
【0021】
図1~
図4に示す如く、整流装置10には、樹脂製で略直方体形箱状の整流体14が設けられており、整流体14は、収納位置(
図1の破線位置)に配置されている。
【0022】
整流体14の車幅方向内側には、駆動装置16が組付けられており、駆動装置16は、車体12Aの前端部内に固定されている。
【0023】
駆動装置16には、回転部材としての樹脂製で略円筒状のスタンド18が設けられており、スタンド18の軸方向は、車幅方向にされている。スタンド18の車幅方向外側端部は、整流体14の車両前側端部に結合されており、整流体14は、スタンド18を中心軸として、展開方向A及び収納方向Bに回転可能にされている。
【0024】
スタンド18の車幅方向外側端部近傍には、シール部としての円環状のシール筒18Aが同軸上に一体形成されており、シール筒18Aは、断面L字状にされて、底壁及び側壁が設けられている。シール筒18Aの底壁は、円環板状にされて、スタンド18と一体にされており、シール筒18Aの側壁は、円筒状にされて、シール筒18Aの底壁の径方向外側端部から車幅方向内側に突出されている。
【0025】
スタンド18の車幅方向内側端部内には、円状の固定孔20(
図9参照)が同軸上に形成されており、固定孔20は、径がスタンド18内の固定孔20より車幅方向外側部分の径に比し僅かに大きくされると共に、車幅方向内側に開放されている。固定孔20の径方向外側には、規制部としての矩形状の規制孔20Aが所定数(本実施形態では2個)形成されており、所定数の規制孔20Aは、それぞれ固定孔20に連通されると共に、固定孔20の周方向に等間隔に配置されている。規制孔20Aは、車幅方向内側に開放されており、規制孔20Aの底面(車幅方向外側面)は、固定孔20の底面(車幅方向外側面)と面一にされている。
【0026】
固定孔20の周面には、圧入部としての三角柱状の潰しリブ20Bが所定数(本実施形態では4個)一体形成されており、潰しリブ20Bは、固定孔20の軸方向に延伸されている。所定数の潰しリブ20Bは、固定孔20の周方向に等間隔に配置されており、規制孔20Aは、潰しリブ20B間の固定孔20周方向中央位置に配置されている。さらに、規制孔20Aの収納方向B側面(展開方向A側面でもよい)にも、同様の潰しリブ20Bが一体形成されている。
【0027】
スタンド18の車幅方向内側には、収容体22を構成する支持部材としての樹脂製で箱状のケース24が設けられており、ケース24内は、車幅方向内側に開放されている。ケース24の下側部分には、略有底円筒状の収容筒24Aが形成されており、収容筒24Aは、軸方向が車幅方向にされると共に、内部がケース24内の上側部分に連通されている。収容筒24Aの底壁(車幅方向外側壁)には、第1支持部としての円筒状の支持筒24Bが同軸上に一体形成されており、支持筒24Bは、収容筒24Aの底壁を貫通すると共に、内部が車幅方向外側に開放されている。
【0028】
支持筒24B内には、スタンド18が同軸上に嵌合されており、これにより、支持筒24Bがスタンド18を回転可能に支持すると共に、収容筒24A内にスタンド18が同軸上に挿入されている。支持筒24Bには、車幅方向外側から、スタンド18のシール筒18Aの底壁が当接されており、これにより、スタンド18の車幅方向内側への移動が係止されている。支持筒24Bとシール筒18Aとの間には、シール部材としての円環状のシールリング26が挿入されており、シールリング26は、ゴム製にされて、シール性を有している。シールリング26は、支持筒24Bとシール筒18Aの側壁との間に挟持されて、弾性収縮されており、シールリング26は、ケース24とスタンド18との間をシールして、ケース24内への水の浸入を制限している。
【0029】
ケース24内には、仕切部材としての樹脂製のモータベース28(
図8(A)参照)が収容されており、モータベース28の外周は、ケース24の内周に嵌合されている。モータベース28の上下方向中間部分には、固定ネジ30が一対貫通されており、固定ネジ30がケース24の底壁(車幅方向外側壁)に螺合されて、モータベース28がケース24に固定(締結)されている。
【0030】
モータベース28の上側部分には、保持部としての略有底楕円筒状の保持筒28Aが一体形成されており、保持筒28Aは、車幅方向内側に突出されると共に、内部が車幅方向内側に開放されている。
【0031】
モータベース28の下側部分には、挿入部としての略有底円筒状の挿入筒28Bが一体形成されており、挿入筒28Bは、車幅方向内側に突出されると共に、内部が車幅方向外側に開放されている。挿入筒28Bは、ケース24の収容筒24Aと同軸上に配置されており、挿入筒28B内には、スタンド18が同軸上に挿入されている。挿入筒28Bの底壁(車幅方向内側壁)には、第2支持部(嵌合部)としての略有底円筒状の嵌合筒28Cが同軸上に一体形成されており、嵌合筒28Cは、挿入筒28Bの底壁から車幅方向内側に突出されている。嵌合筒28C内は、挿入筒28B内に開放されており、嵌合筒28Cは、内部にスタンド18の車幅方向内側端部が同軸上に嵌合されて、スタンド18を回転可能に支持している。
【0032】
挿入筒28Bの底壁には、位置決め部としての断面十字形柱状の配置柱28Dが一対一体形成されており、一対の配置柱28Dは、それぞれ車幅方向内方に突出されると共に、挿入筒28Bの周方向に等間隔に配置されている。配置柱28Dの車幅方向内側には、位置決め部位としての円柱状の配置ピン28Eが同軸上に一体形成されており、配置ピン28Eは、車幅方向内方に突出されている。挿入筒28Bの底壁には、配置柱28D間の挿入筒28B周方向中央位置において、位置決め部としての円筒状の配置筒28F(
図5(A)参照)が一体形成されており、配置筒28Fは、車幅方向内方に突出されている。
【0033】
ケース24及びモータベース28の車幅方向内側には、収容体22を構成する被覆部材としての樹脂製で箱状のカバー32が設けられており、カバー32内は、車幅方向外側に開放されている。カバー32の車幅方向外側端部内には、ケース24の車幅方向内側端部が嵌合かつ固定されており、カバー32は、ケース24及びモータベース28の車幅方向内側を被覆かつシールしている。また、収容体22(ケース24及びカバー32)内は、モータベース28によって、車幅方向外側(一側)と車幅方向内側(他側)とに仕切られている。
【0034】
収容体22は、車体12Aの前端部内に固定されており、これにより、整流装置10が車体12Aの前端部内に設置されている。
【0035】
スタンド18の固定孔20には、被検出部としての円柱状のマグネット34(
図5の(A)及び(B)、
図9参照)が同軸上に嵌合されており、マグネット34は、固定孔20の潰しリブ20Bを潰して、固定孔20に圧入(固定)されている。モータベース28がケース24に固定される際には、マグネット34が、モータベース28の嵌合筒28Cの底壁(車幅方向内側壁)に当接(面接触)されて、固定孔20に圧入されており、マグネット34は、固定孔20の底面に当接されていない。これにより、マグネット34が、嵌合筒28Cの底壁によって軸方向(車幅方向)において位置決めされると共に、固定孔20によって径方向において位置決めされている。
【0036】
マグネット34の周面には、被規制部としての略矩形柱状の規制柱34Aが所定数(本実施形態では2個)一体形成されており、所定数の規制柱34Aは、マグネット34の周方向に等間隔に配置されると共に、それぞれ車幅方向外側面がマグネット34の車幅方向外側面と面一にされている。規制柱34Aは、スタンド18の規制孔20Aに嵌合されており、これにより、マグネット34のスタンド18に対する回転が規制されている。マグネット34が固定孔20に圧入される際には、規制柱34Aが、規制孔20Aの潰しリブ20Bを潰して、規制孔20Aに圧入されており、規制柱34Aは、規制孔20Aの底面に当接されていない。
【0037】
カバー32内には、略矩形板状の回路基板36が収容されており、回路基板36は、車幅方向に垂直に配置されている。回路基板36の車幅方向外側面の下部には、検出部としての略矩形板状の磁気センサ38(磁気抵抗素子)が固定されており、磁気センサ38は、マグネット34とモータベース28の嵌合筒28C底壁を介して車幅方向において対向されて、マグネット34と平行かつ同軸上に配置されている。このため、マグネット34が発生する磁界の方向を磁気センサ38が検出することで、マグネット34の回転位置が検出されて、スタンド18及び整流体14の回転位置が検出される。また、磁気センサ38は、嵌合筒28Cの底壁に対し、僅かに離間又は当接(面接触)されている。
【0038】
回路基板36には、磁気センサ38の周囲において、被位置決め部としての配置孔36A(
図6、
図7の(A)及び(C)参照)が一対貫通形成されており、一対の配置孔36Aは、マグネット34の周方向において等間隔に配置されている。一方の配置孔36Aは、円状にされており、一方の配置孔36Aには、モータベース28の一方の配置ピン28Eが嵌合されている。他方の配置孔36Aは、略長尺矩形状にされて、長手方向が一方の配置孔36Aの径方向にされており、他方の配置孔36Aには、モータベース28の他方の配置ピン28Eが一方の配置孔36Aの周方向において嵌合されている。これにより、回路基板36及び磁気センサ38が車両前後方向、上下方向及び一方の配置孔36Aの周方向において位置決めされている。
【0039】
回路基板36には、配置孔36A間のマグネット34周方向中央位置において、配置部としての配置ネジ40(
図5(A)、
図6及び
図7(B)参照)が貫通されており、配置ネジ40は、モータベース28の配置筒28F内に螺合されて、回路基板36を配置筒28Fに固定(締結)している。回路基板36は、モータベース28における配置柱28Dの先端面(車幅方向内側面)及び配置筒28Fの先端面(車幅方向内側面)に当接(面接触)されており、これにより、回路基板36及び磁気センサ38が車幅方向において位置決めされている。
【0040】
収容体22内の上側部分には、駆動機構としてのモータ42(
図7(C)及び
図8(A)参照)が設けられている。モータ42には、略楕円柱状の本体部42Aが設けられており、本体部42Aは、モータベース28の保持筒28A内に車幅方向内側から嵌入されて保持されている。本体部42Aからは、出力軸42Bが車幅方向外側に延出されており、出力軸42Bは、モータベース28を貫通して、モータベース28の車幅方向外側に延出されている。また、モータ42が駆動されて、出力軸42Bが回転される。
【0041】
モータ42の車幅方向外側には、樹脂製の初段ウォーム44が設けられており、初段ウォーム44の車幅方向外側端部は、ケース24の底壁に回転自在に支持されている。初段ウォーム44には、車幅方向内側からモータ42の出力軸42Bが同軸上に挿入されており、出力軸42Bが回転されることで、初段ウォーム44が出力軸42Bと一体回転される。
【0042】
初段ウォーム44の下側には、金属製の出力ウォーム46(
図8(B)参照)が設けられており、出力ウォーム46は、ケース24の底壁とモータベース28との間に回転自在に支持されている。出力ウォーム46の車両前側には、樹脂製の初段ギア48(ウォームホイール)が同軸上に支持されており、初段ギア48は、出力ウォーム46と一体回転される。初段ギア48は、初段ウォーム44に噛合されており、初段ウォーム44が回転されることで、初段ギア48及び出力ウォーム46が一体回転される。
【0043】
出力ウォーム46の下側には、駆動部材としての金属製で略円筒状の出力ギア50(ウォームホイール、
図8(B)参照)が設けられており、出力ギア50は、内部にスタンド18が同軸上に嵌合されて、スタンド18に回転可能に支持されている。出力ギア50は、スタンド18に対し車幅方向(軸方向)に移動可能にされており、出力ギア50は、ケース24の支持筒24Bに車幅方向内側から当接されている。出力ギア50は、出力ウォーム46に噛合されて、回転を制限されており、出力ウォーム46が回転されて、出力ギア50が回転される。
【0044】
出力ギア50の車幅方向内側には、伝達部材としての金属製で略円筒状のクラッチ52が設けられており、クラッチ52は、内部にスタンド18が同軸上に嵌合されて、スタンド18に支持されている。クラッチ52は、スタンド18と一体回転可能にされると共に、スタンド18に対し軸方向(車幅方向)に移動可能にされており、クラッチ52は、出力ギア50と係合されて、出力ギア50と一体回転される。
【0045】
クラッチ52の車幅方向内側には、付勢部材としての金属製のコイルスプリング54が設けられており、コイルスプリング54内には、スタンド18が同軸上に挿入されている。スタンド18の車幅方向内側端部近傍には、係止部材としての金属製で略円環板状のプッシュナット56(
図8(B)参照)が嵌合かつ固定されており、プッシュナット56とクラッチ52との間には、コイルスプリング54が掛渡されている。コイルスプリング54は、軸方向に圧縮されており、コイルスプリング54は、クラッチ52及び出力ギア50を車幅方向外側に付勢して、出力ギア50とクラッチ52との係合が解除されることを制限している。
【0046】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0047】
以上の構成の整流装置10では、整流体14が展開される際に、駆動装置16において、モータ42が正駆動されて、出力軸42B、初段ウォーム44、初段ギア48及び出力ウォーム46が回転されることで、出力ギア50、クラッチ52、スタンド18及び整流体14が展開方向Aに一体回転されて、整流体14が展開位置(
図1の2点鎖線位置)に配置される。このため、整流体14が、車体12Aの下側において車両12の前輪12Bの車両前側に配置されて、前輪12Bへの車両12の走行風(空気流)を抑制する(走行風を前輪12Bの下側に流す)ことで、前輪12Bの車両前側における空気圧の増加が抑制されて、車両12の空気抵抗及び揚力が抑制される。
【0048】
一方、整流体14が収納される際には、駆動装置16において、モータ42が逆駆動されて、出力軸42B、初段ウォーム44、初段ギア48及び出力ウォーム46が回転されることで、出力ギア50、クラッチ52、スタンド18及び整流体14が収納方向Bに一体回転されて、整流体14が収納位置(
図1の破線位置)に配置される。
【0049】
また、整流体14が回転される際には、スタンド18が一体回転されて、スタンド18(固定孔20)のマグネット34が一体回転される。さらに、回路基板36の磁気センサ38が、マグネット34の磁界を検出して、マグネット34の回転位置を検出することで、スタンド18の回転位置が検出されて、整流体14の回転位置が検出される。
【0050】
ところで、収容体22(ケース24及びカバー32)内がモータベース28によって車幅方向外側と車幅方向内側とに仕切られており、収容体22内の車幅方向外側にマグネット34が収容されている。さらに、収容体22内の車幅方向外側には、異物(例えば、スタンド18、モータ42の出力軸42B、初段ウォーム44、初段ギア48、出力ウォーム46、出力ギア50及びクラッチ52に塗布される潤滑剤(特にグリス))が配置されている。
【0051】
ここで、収容体22内の車幅方向内側に磁気センサ38が収容されている。このため、収容体22内の車幅方向外側から車幅方向内側への異物の侵入をモータベース28によって抑制でき、磁気センサ38への異物の到達を抑制できる。これにより、磁気センサ38によるマグネット34の回転位置の検出精度を向上できて、整流体14の回転位置の検出精度を向上できる。
【0052】
また、モータベース28の嵌合筒28C底壁がマグネット34に当接されている。このため、マグネット34の車幅方向における位置精度を高くできて、マグネット34と磁気センサ38との車幅方向における位置精度を高くでき、磁気センサ38によるマグネット34の回転位置の検出精度を向上できて、整流体14の回転位置の検出精度を向上できる。しかも、マグネット34と嵌合筒28Cの底壁との間に異物が侵入してマグネット34と磁気センサ38との間に異物が侵入することを抑制でき、磁気センサ38によるマグネット34の回転位置の検出精度を向上できて、整流体14の回転位置の検出精度を向上できる。
【0053】
さらに、モータベース28の一対の配置ピン28Eが回路基板36の一対の配置孔36Aに嵌合されており、回路基板36がモータベース28の配置筒28Fに配置ネジ40によって固定されて、回路基板36がモータベース28の配置柱28D先端面及び配置筒28F先端面に当接されている。このため、モータベース28に回路基板36及び磁気センサ38が車両前後方向、上下方向及び車幅方向において位置決めされることで、磁気センサ38の車両前後方向、上下方向及び車幅方向における位置精度を高くでき、磁気センサ38によるマグネット34の回転位置の検出精度を向上できて、整流体14の回転位置の検出精度を向上できる。
【0054】
また、スタンド18の固定孔20及び規制孔20Aにそれぞれマグネット34及び規制柱34Aが圧入されている。このため、マグネット34のスタンド18に対する周方向、径方向及び軸方向(車幅方向)へのガタツキを抑制できる。これにより、マグネット34をスタンド18に対し周方向、径方向及び軸方向において位置決めでき、磁気センサ38によるマグネット34の回転位置の検出精度を向上できて、整流体14の回転位置の検出精度を向上できる。しかも、マグネット34の回転位置とスタンド18の回転位置とを良好に一致させることができ、マグネット34の回転位置の検出によるスタンド18の回転位置の検出精度を向上できて、整流体14の回転位置の検出精度を向上できる。
【0055】
なお、本実施形態において、モータベース28の嵌合筒28C底壁に突出部が突出されて一体に設けられて、突出部がマグネット34に当接されてもよく、これにより、マグネット34の回転によるモータベース28に対する摺動抵抗を低くできる。また、この場合、突出部のマグネット34との当接面が凸状に湾曲されてもよく、これにより、マグネット34の回転によるモータベース28に対する摺動抵抗を効果的に低くできる。
【符号の説明】
【0056】
10・・・整流装置、12・・・車両、12A・・・車体、12B・・・前輪、14・・・整流体、18・・・スタンド(回転部材)、22・・・収容体、28・・・モータベース(仕切部材)、34・・・マグネット(被検出部)、38・・・磁気センサ(検出部)、42・・・モータ(駆動機構)