(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112543
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】センサモジュール
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20230804BHJP
H02G 15/02 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G01D11/24 B
H02G15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014401
(22)【出願日】2022-02-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行日 令和3年11月24日 刊行物 2021年秋季講演会講演予稿、P175~P180、日本地下水学会発行 [刊行物等] 開催日 令和3年12月3日 集会名、開催場所 日本地下水学会2021年秋季講演会、沖縄県那覇市
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】512052764
【氏名又は名称】株式会社アサノ大成基礎エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 昭治
(72)【発明者】
【氏名】栗原 啓丞
(72)【発明者】
【氏名】三好 貴子
(72)【発明者】
【氏名】竹延 千良
(72)【発明者】
【氏名】後藤 和幸
(72)【発明者】
【氏名】岩田 樹哉
【テーマコード(参考)】
5G375
【Fターム(参考)】
5G375AA02
5G375AA18
5G375BA21
5G375BB03
5G375CA19
5G375DB16
(57)【要約】
【課題】水や圧力等の外的要因に対して給電ユニット及び通信ユニットを保護するセンサモジュールを提供する。
【解決手段】センサモジュール3は、電気式センサ3dと、光ファイバ4から受信した光を電気に変換する給電ユニット3bと、電気式センサ3dから受信した電気信号を光信号に変換する通信ユニット3cと、両端が開口された円筒状に形成されて給電ユニット3b及び通信ユニット3cを収容する金属製のユニットケース11と、ユニットケース11の一方の端部であるセンサ側開口端部11aを封止する第一封止部と、ユニットケース11の他方の端部である光ファイバ側開口端部11bを封止する第二封止部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気式センサと、
光ファイバから受信した光を電気に変換する給電ユニットと、
前記電気式センサから受信した電気信号を光信号に変換する通信ユニットと、
両端が開口された円筒状に形成されて前記給電ユニット及び前記通信ユニットを収容する金属製のユニットケースと、
前記ユニットケースの一方の端部であるセンサ側開口端部を封止する第一封止部と、
前記ユニットケースの他方の端部である光ファイバ側開口端部を封止する第二封止部と、を備える、
センサモジュール。
【請求項2】
前記ユニットケースは、ステンレス製である、
請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記電気式センサを収容する金属製のセンサケースを更に備え、
前記センサケースは、前記センサ側開口端部に挿入されて開口が形成された第一挿入端部を有し、
前記第一封止部は、
前記センサケースと、
前記開口を封止して、前記ユニットケースに配置された第一電線と前記センサケースに配置された第二電線とを電気的に接続する封止コネクタと、
前記センサ側開口端部と前記第一挿入端部との間に配置されて前記センサ側開口端部と前記第一挿入端部との間を封止する第一Oリングと、を有する、
請求項1又は2に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
光ファイバを気密に導入するための導入孔が形成された円柱状の光ファイバ導入部材を更に備え、
前記光ファイバ導入部材は、前記光ファイバ側開口端部に挿入される第二挿入端部を有し、
前記第二封止部は、
前記光ファイバ導入部材と、
前記光ファイバ側開口端部と前記第二挿入端部との間に配置されて前記光ファイバ側開口端部と前記第二挿入端部との間を封止する第二Oリングと、を有する、
請求項3に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記ユニットケースに対して前記光ファイバ導入部材を固定する固定機構を更に備える、
請求項4に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記ユニットケースに対して前記光ファイバ導入部材を固定するナットを更に備え、
前記光ファイバ側開口端部は、前記ユニットケースの半径方向内側に突出する第一膨出部を有し、
前記光ファイバ導入部材は、
前記第二挿入端部の外周面に形成されて前記センサ側開口端部側から前記第一膨出部に当接する第二膨出部と、
前記ユニットケースから突出する延在部と、
前記延在部の外周面に形成された雄ネジと、を更に有し、
前記固定機構は、
前記第一膨出部と、
前記第二膨出部と、
前記延在部の前記雄ネジと、
前記延在部の前記雄ネジに螺合される雌ネジが形成されたナットと、を有する、
請求項5に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
前記給電ユニット及び前記通信ユニットを搭載して、前記センサケースと前記光ファイバ導入部材とに固定されるユニット搭載部材を更に備え、
前記光ファイバ導入部材は、前記ユニットケースに対して前記センサ側開口端部側から挿抜可能な形状をなしている、
請求項6に記載のセンサモジュール。
【請求項8】
前記延在部の最大外径は、前記ユニットケースの最小内径以下であり、
前記光ファイバ導入部材の最大外径は、前記ユニットケースにおける前記第一膨出部よりも前記センサ側開口端部側の部分の最小内径以下である、
請求項7に記載のセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気式センサを用いた計測に用いられるセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバを利用した光センサで計測できるパラメータは増加してきているが、電気式センサでしか計測できないパラメータも多数ある。特に、ボーリング孔内や地下施設における地下水のパラメータの計測は、現在も電気式センサによるものが主流となっている。しかしながら、電気式センサは、伝送距離の制限、電線の腐食、落雷や電気的ノイズの影響、防爆性等に課題がある。このため、光ファイバを用いて電気式センサに給電するとともに、光ファイバを用いて電気式センサとの間の通信を行うモニタリングシステムが考えられるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したモニタリングシステムでは、地上に設置される計測装置と計測地点に配置されるセンサモジュールとが、光ケーブルにより接続されている。センサモジュールには、電気式センサと、給電ユニットと、通信ユニットと、が搭載されている。給電ユニットは、光ケーブルからから受信した光を電気に変換して、電気式センサに給電する。通信ユニットは、電気式センサの出力を光信号に変換して、電気式センサの出力を計測装置でモニタリングするために光信号を計測装置に送信する。
【0005】
電気式センサは市販の汎用品を用いることができるが、給電ユニット及び通信ユニットは、電気式センサのような市販の汎用品ではないため、極めて高価で代替品を容易することが容易ではない。このため、センサモジュールにおいては、給電ユニット及び通信ユニットを水や圧力等の外的要因から保護することが重要となる。特に、ボーリング孔内や地下施設における地下水のパラメータの計測では、センサモジュールが被圧水下におかれるため、水や圧力等の外的要因に対する給電ユニット及び通信ユニットの保護がより重要となる。しかしながら。このような外的要因に対して給電ユニット及び通信ユニットを保護するセンサモジュールは、未だ開示されていない。
【0006】
そこで、本発明は、水や圧力等の外的要因に対して給電ユニット及び通信ユニットを保護することができるセンサモジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るセンサモジュールは、電気式センサと、光ファイバから受信した光を電気に変換する給電ユニットと、電気式センサから受信した電気信号を光信号に変換する通信ユニットと、両端が開口された円筒状に形成されて給電ユニット及び通信ユニットを収容する金属製のユニットケースと、ユニットケースの一方の端部であるセンサ側開口端部を封止する第一封止部と、ユニットケースの他方の端部である光ファイバ側開口端部を封止する第二封止部と、を備える。
【0008】
このセンサモジュールでは、給電ユニット及び通信ユニットを収容するユニットケースが円筒状に形成された金属製であるため、高い耐圧性を有することができる。また、ユニットケースが、両端が開口された円筒状に形成されているため、ユニットケースを容易に製造することができる。そして、ユニットケースのセンサ側開口端部及び光ファイバ側開口端部が第一封止部及び第二封止部に封止されているため、高い耐水性を有することができる。このため、水や圧力等の外的要因に対して給電ユニット及び通信ユニットを保護することができる。
【0009】
ユニットケースは、ステンレス製であってもよい。このセンサモジュールでは、ユニットケースがステンレス製であるため、低コストで高い耐圧性及び耐食性を有することができる。これにより、長期にわたって、水や圧力等の外的要因に対して給電ユニット及び通信ユニットを保護することができる。
【0010】
電気式センサを収容する金属製のセンサケースを更に備え、センサケースは、センサ側開口端部に挿入されて開口が形成された第一挿入端部を有し、第一封止部は、センサケースと、開口を封止して、ユニットケースに配置された第一電線とセンサケースに配置された第二電線とを電気的に接続する封止コネクタと、センサ側開口端部と第一挿入端部との間に配置されてセンサ側開口端部と第一挿入端部との間を封止する第一Oリングと、を有してもよい。このセンサモジュールでは、電気式センサを収容するセンサケースが金属製であるため、電気式センサを適切に保護することができる。そして、ユニットケースのセンサ側開口端部が、センサ側開口端部に挿入される第一挿入端部を有するセンサケースと、第一挿入端部の開口を封止する封止コネクタと、センサ側開口端部と第一挿入端部との間に配置される第一Oリングと、により封止される。このため、ユニットケースに配置された第一電線とセンサケースに配置された第二電線とを電気的に接続しつつ、ユニットケースのセンサ側開口端部を封止することができる。また、第一Oリングを挟み込むユニットケースのセンサ側開口端部及びセンサケースの第一挿入端部の双方が金属製であるため、第一Oリングとユニットケースのセンサ側開口端部及びセンサケースの第一挿入端部との間を適切に封止することができる。
【0011】
光ファイバを気密に導入するための導入孔が形成された円柱状の光ファイバ導入部材を更に備え、光ファイバ導入部材は、光ファイバ側開口端部に挿入される第二挿入端部を有し、第二封止部は、光ファイバ導入部材と、光ファイバ側開口端部と第二挿入端部との間に配置されて光ファイバ側開口端部と第二挿入端部との間を封止する第二Oリングと、を有してもよい。このセンサモジュールでは、ユニットケースの光ファイバ側開口端部が、光ファイバ側開口端部に挿入される第二挿入端部を有する光ファイバ導入部材と、光ファイバ側開口端部と第二挿入端部との間に配置される第二Oリングと、により封止される。このため、光ファイバを導入しつつ、ユニットケースの光ファイバ側開口端部を封止することができる。
【0012】
ユニットケースに対して光ファイバ導入部材を固定する固定機構を更に備えてもよい。このセンサモジュールでは、固定機構によりユニットケースに対して光ファイバ導入部材が固定されるため、センサモジュールが被圧水下におかれた際に、外圧により光ファイバ導入部材がユニットケース内に押し込まれるのを抑制することができる。
【0013】
ユニットケースに対して光ファイバ導入部材を固定するナットを更に備え、光ファイバ側開口端部は、ユニットケースの半径方向内側に突出する第一膨出部を有し、光ファイバ導入部材は、第二挿入端部の外周面に形成されてセンサ側開口端部側から第一膨出部に当接する第二膨出部と、ユニットケースから突出する延在部と、延在部の外周面に形成された雄ネジと、を更に有し、固定機構は、第一膨出部と、第二膨出部と、延在部の雄ネジに螺合される雌ネジが形成されたナットと、を有してもよい。このセンサモジュールでは、光ファイバ導入部材がユニットケースから突出する延在部を有し、ナットに形成された雌ネジが延在部に形成された雄ネジに螺合される。このため、ナットを締め付けることで、ナットがユニットケースの端面に当接するとともに、光ファイバ導入部材の第二膨出部がセンサ側開口端部側からユニットケースの第一膨出部に当接する。これにより、ナットと光ファイバ導入部材の第二膨出部とでユニットケースの第一膨出部を挟み込んだ状態となるため、ユニットケースに対して光ファイバ導入部材を適切に固定することができる。
【0014】
給電ユニット及び通信ユニットを搭載して、センサケースと光ファイバ導入部材とに固定されるユニット搭載部材を更に備え、光ファイバ導入部材は、ユニットケースに対してセンサ側開口端部側から挿抜可能な形状をなしていてもよい。このセンサモジュールでは、給電ユニット及び通信ユニットを搭載するユニット搭載部材がセンサケース及び光ファイバ導入部材に固定されており、光ファイバ導入部材がユニットケースに対してセンサ側開口端部側から挿抜可能となっている。このため、センサ側開口端部側からユニットケースに対して光ファイバ導入部材を挿抜することで、給電ユニット及び通信ユニットを搭載したユニット搭載部材、及びセンサケースも一体的にユニットケースに対して挿抜することができる。
【0015】
延在部の最大外径は、ユニットケースの最小内径以下であり、光ファイバ導入部材の最大外径は、ユニットケースにおける第一膨出部よりもセンサ側開口端部側の部分の最小内径以下であってもよい。このセンサモジュールでは、延在部の最大外径がユニットケースの最小内径以下であり、光ファイバ導入部材の最大外径がユニットケースにおける第一膨出部よりもセンサ側開口端部側の部分の最小内径以下であるため、センサ側開口端部側からユニットケースに対して光ファイバ導入部材を挿抜することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水や圧力等の外的要因に対して給電ユニット及び通信ユニットを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係るセンサモジュールを備えたモニタリングシステムのブロック構成図である。
【
図2】実施形態に係るセンサモジュールの断面図である。
【
図3】ユニットケースとセンサケースとの接続部分を拡大した断面図である。
【
図4】
図3に示すIV-IV線における断面図である。
【
図5】ユニットケースと光ファイバ導入部材との接続部分を拡大した断面図である。
【
図6】
図5に示すVI-VI線における断面図である。
【
図7】センサモジュールの組立て途中を示す断面図である。
【
図8】センサモジュールの組立て途中を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、実施形態に係るセンサモジュールを備えたモニタリングシステムのブロック構成図である。
図1に示すモニタリングシステム1は、計測地点における各種パラメータを計測するためのシステムである。計測地点としては、特に限定されるものではないが、例えば、ボーリング孔内や地下施設における地下水中である。モニタリングシステム1は、地上等に設置される計測装置2と、計測地点に配置されるセンサモジュール3と、計測装置2とセンサモジュール3とを接続する1又は複数の光ファイバ4と、を備える。
【0020】
計測装置2は、パーソナルコンピューター等の制御装置(不図示)に接続されて、センサモジュール3による計測を行うための装置である。計測装置2は、光源ユニット2aと、通信ユニット2bと、を有する。光源ユニット2aは、センサモジュール3に光給電を行うために、光ファイバ4に光を照射する。光源ユニット2aには、例えば、光給電を行う電力量に応じた本数の光ファイバ4が接続されている。通信ユニット2bは、制御装置から受信した電気信号を光信号に変換して光ファイバ4に送信するとともに、光ファイバ4から受信した光信号を電気信号に変換して制御装置に送信する。通信ユニット2bには、例えば、計測装置2から通信ユニット2bに光信号を送信するための光ファイバ4と、通信ユニット2bから計測装置2に光信号を送信するための光ファイバ4の、合計2本の光ファイバ4が接続されている。
【0021】
センサモジュール3は、計測地点に配置されて、計測地点における各種パラメータを計測するモジュールである。センサモジュール3は、センサ部3aと、給電ユニット3bと、通信ユニット3cと、を有する。
【0022】
センサ部3aは、各種パラメータを計測する1又は複数の電気式センサ3dと、1又は複数の電気式センサ3dの出力をプロファイルして電気信号を出力するプロファイラ3eと、を有する。1又は複数の電気式センサ3dは、給電されることにより作動し、計測した情報を電気信号として出力するセンサである。1又は複数の電気式センサ3dとしては、特に限定されるものではないが、例えば、水圧を計測する圧力センサ、水素イオン濃度を計測するpHセンサ、酸化還元電位を計測するORPセンサ、電気伝導率を計測するECセンサ、濁度を計測するTSSセンサ、溶存酸素を計測するDOセンサ、水温を計測する温度センサ、地中水分量を計測する土壌水分計、水分量を計測する中性子水分計等が挙げられる。
【0023】
給電ユニット3bは、光ファイバ4から受信した光を電気に変換してセンサ部3a及び通信ユニット3cに給電する。通信ユニット3cは、給電ユニット3bからの給電を受けて、光ファイバ4から受信した光信号を電気信号に変換してセンサ部3aに送信するとともに、センサ部3aから受信した電気信号を光信号に変換して光ファイバ4に送信する。
【0024】
このように、モニタリングシステム1では、光ファイバ4を介して計測装置2からセンサモジュール3に光給電し、光ファイバ4を介して計測装置2とセンサモジュール3との間で光通信を行う。
【0025】
図2は、実施形態に係るセンサモジュールの断面図である。
図2に示すように、本実施形態に係るセンサモジュール3は、上述したセンサ部3a、給電ユニット3b、及び通信ユニット3cの他に、ユニットケース11と、センサケース12と、光ファイバ導入部材13と、ナット14と、ユニット搭載部材15とを備える。
【0026】
図3は、ユニットケースとセンサケースとの接続部分を拡大した断面図である。
図4は、
図3に示すIV-IV線における断面図である。
図5は、ユニットケースと光ファイバ導入部材との接続部分を拡大した断面図である。
図6は、
図5に示すVI-VI線における断面図である。
図2~
図6に示すように、ユニットケース11は、給電ユニット3b及び通信ユニット3cを収容するケースである。ユニットケース11は、両端が開口された円筒状に形成されている。ユニットケース11の内部には、給電ユニット3b及び通信ユニット3cを収容する収容空間Sが形成されている。ユニットケース11は、金属製である。ユニットケース11は、低コストで高い耐圧性及び耐食性を有する観点から、ステンレス製とすることができる。
【0027】
ユニットケース11の一方の端部を、センサ側開口端部11aといい、ユニットケース11の他方の端部を、光ファイバ側開口端部11bという。センサ側開口端部11aは、ユニットケース11の延在方向Dにおける、センサケース12側の開口端部である。光ファイバ側開口端部11bは、ユニットケース11の延在方向Dにおける、光ファイバ導入部材13側の開口端部である。センサ側開口端部11a及び光ファイバ側開口端部11bを除くユニットケース11の中央部を、ケース中央部11cという。給電ユニット3b及び通信ユニット3cは、ケース中央部11cに収容されている。
【0028】
ユニットケース11の外径は、ユニットケース11の延在方向Dにおける全長にわたって同じである。ケース中央部11cの内径は、ユニットケース11の延在方向Dにおける全長にわたって同じである。センサ側開口端部11aの内径は、ケース中央部11cの内径以上である。
【0029】
センサ側開口端部11aの内周面には、雌ネジ11dが形成されている。雌ネジ11dは、センサ側開口端部11aの内周面に形成されたネジ溝である。
【0030】
光ファイバ側開口端部11bの内周面には、ユニットケース11の半径方向内側に突出する第一膨出部11eが形成されている。第一膨出部11eは、ユニットケース11の半径方向における内方に向かって(収容空間Sに向かって)突出する部分である。第一膨出部11eは、センサ側開口端部11aの端部に形成されており、第一膨出部11eの最小内径は、ユニットケース11の最小内径となる。
【0031】
光ファイバ側開口端部11bにおける第一膨出部11eよりもセンサ側開口端部11a側の部分の最小内径は、ケース中央部11cの最小内径以上である。なお、最小内径は、最も小さな内径であり、例えば、ユニットケース11の延在方向Dにおいて内径が異なる場合は、その最も小さい内径をいう。また、最大外径は、最も大きな内径であり、例えば、ユニットケース11の延在方向Dにおいて外径が異なる場合は、その最も大きい外径をいう。
【0032】
図2~
図4に示すように、センサケース12は、センサ部3aを収容するケースである。つまり、センサケース12は、プロファイラ3e及び1又は複数の電気式センサ3dを収容する。センサケース12の素材は、特に限定されるものではないが、センサ部3aを保護する観点から、センサケース12は金属製とすることができる。この場合、センサケース12は、低コストで高い耐圧性及び耐食性を有する観点から、ステンレス製とすることができる。
【0033】
センサケース12は、円筒状に形成されている。センサケース12は、センサ側開口端部11aに挿入されて開口12aが形成された第一挿入端部12bを有する。つまり、センサケース12のうちのセンサ側開口端部11aに挿入される部分が、第一挿入端部12bとなる。第一挿入端部12bには、開口12aを封止する封止コネクタ16が固定されている。
【0034】
封止コネクタ16は、開口12aを気密に保持しつつ、ユニットケース11に配置された複数の第一電線W1とセンサケース12に配置された複数の第二電線W2とを電気的に接続する。つまり、ユニットケース11には、センサ部3aに給電するために給電ユニット3bに接続された第一電線W1と、センサ部3aとの間で電気信号による通信を行うために通信ユニット3cに接続された1又は複数の第一電線W1と、が配置されている。センサケース12には、センサ部3aに給電するためにセンサ部3aに接続された第二電線W2と、センサ部3aとの間で電気信号による通信を行うためにセンサ部3aに接続された1又は複数の第二電線W2と、が配置されている。そして、封止コネクタ16は、複数の第一電線W1と複数の第二電線W2とに接続される複数の電線16aと、複数の電線16aを気密に保持して開口12aを封止するガラス等の封止部16bと、を有する。また、封止コネクタ16と第一挿入端部12bとの間には、封止コネクタ16と第一挿入端部12bとの間を封止するOリング17が配置されている。封止コネクタ16としては、例えば、ハーメチックコネクタを用いることができる。
【0035】
第一挿入端部12bの外周面には、雄ネジ12cと、凹部12dと、が形成されている。雄ネジ12cは、センサ側開口端部11aの雌ネジ11dに螺合されるように、第一挿入端部12bの外周面に形成されたネジ溝である。凹部12dは、環状の溝であり、凹部12dには、Oリング18(第一Oリング)が挿入されている。Oリング18は、センサ側開口端部11aと第一挿入端部12bとの間に配置されてセンサ側開口端部11aと第一挿入端部12bとの間を封止するシール部材である。
【0036】
第一挿入端部12bの端面には、ネジ穴12eが形成されている。ネジ穴12eは、雌ネジのネジ溝が形成された有底の穴である。ネジ穴12eには、後述するネジ21がねじ込まれる。
【0037】
第一挿入端部12bは、センサ側開口端部11aに対して挿抜可能な形状となっている。具体的には、第一挿入端部12bは、ユニットケース11の延在方向Dにおいて、雄ネジ12cにおいてのみセンサ側開口端部11aに係止されている。また、第一挿入端部12bの最大外径は、センサ側開口端部11aにおける雌ネジ11dよりも光ファイバ側開口端部11bとは反対側の部分の最小内径以下である。このため、雌ネジ11dに対する雄ネジ12cの螺合を解除することにより、センサ側開口端部11aに対する第一挿入端部12bの挿抜が可能となっている。
【0038】
そして、センサ側開口端部11aは、センサケース12、封止コネクタ16、及びOリング18により封止される。このため、センサケース12、封止コネクタ16、及びOリング18は、センサ側開口端部11aを封止する第一封止部として機能する。
【0039】
図2、
図3、
図5、及び
図6に示すように、光ファイバ導入部材13は、1又は複数の光ファイバ4を気密に導入するための導入孔13aが形成された蓋部材である。導入孔13aには、1又は複数の光ファイバ4が気密に挿入されている。光ファイバ導入部材13の素材は、特に限定されるものではないが、低コストで高い耐圧性及び耐食性を有する観点から、ステンレス製とすることができる。なお、導入孔13aには、高密度ポリエチレン(HDPE)製のチューブ(不図示)が接続されており、このチューブ内に光ファイバ4が通されている。
【0040】
光ファイバ導入部材13は、円柱状に形成されている。光ファイバ導入部材13は、光ファイバ側開口端部11bに挿入される第二挿入端部13bと、光ファイバ側開口端部11bから突出する延在部13cと、を有する。つまり、光ファイバ導入部材13のうちの光ファイバ側開口端部11bに挿入される部分が、第二挿入端部13bとなり、光ファイバ導入部材13のうちの光ファイバ側開口端部11bに挿入されない部分が、延在部13cとなる。
【0041】
第二挿入端部13bの外周面には、第二膨出部13dと、凹部13eと、が形成されている。第二膨出部13dは、第二挿入端部13bの半径方向における外方に向かって突出する部分である。第二膨出部13dは、第一膨出部11eのセンサ側開口端部11a側に配置されて、センサ側開口端部11a側から第一膨出部11eに当接する。つまり、第二膨出部13dの最大外径は、第一膨出部11eの最小内径よりも大きい。凹部13eは、環状の溝であり、凹部13eには、Oリング19(第二Oリング)が挿入されている。Oリング19は、光ファイバ側開口端部11bと第二挿入端部13bとの間に配置されて光ファイバ側開口端部11bと第二挿入端部13bとの間を封止するシール部材である。
【0042】
そして、光ファイバ側開口端部11bは、光ファイバ導入部材13及びOリング19により封止される。このため、光ファイバ導入部材13及びOリング19は、光ファイバ側開口端部11bを封止する第二封止部として機能する。
【0043】
第二挿入端部13bの端面には、ネジ穴13fが形成されている。ネジ穴13fは、雌ネジのネジ溝が形成された有底の穴である。ネジ穴13fには、後述するネジ22がねじ込まれる。延在部13cの外周面には、雄ネジ13gが形成されている。雄ネジ13gは、延在部13cの外周面に形成されたネジ溝である。
【0044】
光ファイバ導入部材13は、ユニットケース11に対してセンサ側開口端部11a側から挿抜可能な形状をなしている。具体的には、第二膨出部13dの最大外径は、ケース中央部11c及びセンサ側開口端部11aの最小内径以下である。つまり、ユニットケース11における第一膨出部11eよりも光ファイバ側開口端部11b側の部分の最小内径は、第二膨出部13dの最大外径以上である。また、延在部13cの最大外径は、ユニットケース11の最小内径以下である。つまり、延在部13cの最大外径は、第一膨出部11eの最小内径以下である。そして、光ファイバ導入部材13は、センサ側開口端部11a側からユニットケース11に挿入されており、これにより、第二挿入端部13bが光ファイバ側開口端部11bに挿入さるとともに、第二膨出部13dがセンサ側開口端部11a側から第一膨出部11eに当接している。
【0045】
ナット14は、ユニットケース11に対して光ファイバ導入部材13を固定する。ナット14の内周面には、雌ネジ14aが形成されている。雌ネジ14aは、延在部13cの雄ネジ13gに螺合されるように、ナット14の内周面に形成されたネジ溝である。
【0046】
雌ネジ14aを雄ネジ13gに螺合してナット14を光ファイバ導入部材13に締め付けると、ナット14が光ファイバ側開口端部11bの端面に当接して、光ファイバ導入部材13がセンサ側開口端部11aとは反対側に移動する。そこで、ナット14を光ファイバ導入部材13に締め付けた際に、ナット14が光ファイバ側開口端部11bの端面に当接するとともに、第二膨出部13dがセンサ側開口端部11a側から第一膨出部11eに当接するように、ユニットケース11の延在方向Dにおけるナット14の長さ及び雌ネジ14aの位置が設定されている。
【0047】
そして、ナット14が光ファイバ導入部材13に締め付けられることで、ナット14がユニットケース11の端面に当接されるとともに、第二膨出部13dがセンサ側開口端部11a側から第一膨出部11eに当接されている。これにより、ナット14と光ファイバ導入部材13の第二膨出部13dとでユニットケース11の第一膨出部11eを挟み込んだ状態となって、光ファイバ導入部材13が光ファイバ側開口端部11bに固定されている。このため、第一膨出部11e、第二膨出部13d、延在部13cの雄ネジ13g、及びナット14は、ユニットケース11に対して光ファイバ導入部材13を固定する固定機構として機能する。
【0048】
図2~
図6に示すように、ユニット搭載部材15は、給電ユニット3b及び通信ユニット3cを搭載する板状部材である。ユニット搭載部材15は、センサケース12と光ファイバ導入部材13とに固定されている。センサケース12に対するユニット搭載部材15の固定は、例えば、ユニット搭載部材15を貫通させたネジ21をセンサケース12のネジ穴12eにねじ込むことにより行うことができる。同様に、光ファイバ導入部材13に対するユニット搭載部材15の固定は、例えば、ユニット搭載部材15を貫通させたネジ22を光ファイバ導入部材13のネジ穴13fにねじ込むことにより行うことができる。
【0049】
次に、センサモジュール3の組立て方法について説明する。
【0050】
まず、
図7に示すように、ユニット搭載部材15にセンサケース12及び光ファイバ導入部材13を固定してユニット化する。このとき、封止コネクタ16により、第一電線W1と第二電線W2とを電気的に接続しておく。そして、ナット14、ユニットケース11、及び光ファイバ導入部材13に1又は複数の光ファイバ4を通し、1又は複数の光ファイバ4を給電ユニット3b及び通信ユニット3cに接続する。
【0051】
次に、
図7及び
図8に示すように、光ファイバ導入部材13、ユニット搭載部材15、及びセンサケース12のユニットをセンサ側開口端部11a側からユニットケース11に挿入する。そして、センサ側開口端部11aの雌ネジ11dと第一挿入端部12bの雄ネジ12cとを螺合して、センサ側開口端部11aに第一挿入端部12bを締結する。これにより、センサ側開口端部11a及び光ファイバ側開口端部11bが封止される。
【0052】
次に、
図8及び
図2に示すように、ナット14の雌ネジ14aと延在部13cの雄ネジ13gとを螺合させて、延在部13cにナット14を締結する。これにより、光ファイバ側開口端部11bが封止されるとともに、光ファイバ導入部材13が光ファイバ側開口端部11bに固定される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係るセンサモジュール3では、給電ユニット3b及び通信ユニット3cを収容するユニットケース11が円筒状に形成された金属製であるため、高い耐圧性を有することができる。また、ユニットケース11が、両端が開口された円筒状に形成されているため、ユニットケース11を容易に製造することができる。そして、ユニットケース11のセンサ側開口端部11a及び光ファイバ側開口端部11bが封止されているため、高い耐水性を有することができる。このため、水や圧力等の外的要因に対して給電ユニット3b及び通信ユニット3cを保護することができる。
【0054】
また、このセンサモジュール3では、ユニットケース11がステンレス製であるため、低コストで高い耐圧性及び耐食性を有することができる。これにより、長期にわたって、水や圧力等の外的要因に対して給電ユニット3b及び通信ユニット3cを保護することができる。
【0055】
また、このセンサモジュール3では、1又は複数の電気式センサ3dを収容するセンサケース12が金属製であるため、電気式センサ3dを適切に保護することができる。そして、ユニットケース11のセンサ側開口端部11aが、センサ側開口端部11aに挿入される第一挿入端部12bを有するセンサケース12と、第一挿入端部12bの開口12aを封止する封止コネクタ16と、センサ側開口端部11aと第一挿入端部12bとの間に配置されるOリング18と、により封止される。このため、ユニットケース11に配置された第一電線W1とセンサケース12に配置された第二電線W2とを電気的に接続しつつ、ユニットケース11のセンサ側開口端部11aを封止することができる。また、Oリング18を挟み込むユニットケース11のセンサ側開口端部11a及びセンサケース12の第一挿入端部12bの双方が金属製であるため、Oリング18とユニットケース11のセンサ側開口端部11a及びセンサケース12の第一挿入端部12bとの間を適切に封止することができる。
【0056】
また、このセンサモジュール3では、ユニットケース11の光ファイバ側開口端部11bが、光ファイバ側開口端部11bに挿入される第二挿入端部13bを有する光ファイバ導入部材13と、光ファイバ側開口端部11bと第二挿入端部13bとの間に配置されるOリング19と、により封止される。このため、1又は複数の光ファイバ4を導入しつつ、ユニットケース11の光ファイバ側開口端部11bを封止することができる。
【0057】
また、このセンサモジュール3では、ユニットケース11に対して光ファイバ導入部材13が固定されるため、センサモジュール3が被圧水下におかれた際に、外圧により光ファイバ導入部材13がユニットケース11内に押し込まれるのを抑制することができる。
【0058】
また、このセンサモジュール3では、光ファイバ導入部材13がユニットケース11から突出する延在部13cを有し、ナット14に形成された雌ネジ14aが延在部13cに形成された雄ネジ13gに螺合される。このため、ナット14を締め付けることで、ナット14がユニットケース11の端面に当接するとともに、光ファイバ導入部材13の第二膨出部13dがセンサ側開口端部11a側からユニットケース11の第一膨出部11eに当接する。これにより、ナット14と光ファイバ導入部材13の第二膨出部13dとでユニットケース11の第一膨出部11eを挟み込んだ状態となるため、ユニットケース11に対して光ファイバ導入部材13を適切に固定することができる。
【0059】
また、このセンサモジュール3では、給電ユニット3b及び通信ユニット3cを搭載するユニット搭載部材15がセンサケース12及び光ファイバ導入部材13に固定されており、光ファイバ導入部材13がユニットケース11に対してセンサ側開口端部11a側から挿抜可能となっている。このため、センサ側開口端部11a側からユニットケース11に対して光ファイバ導入部材13を挿抜することで、給電ユニット3b及び通信ユニット3cを搭載したユニット搭載部材15、及びセンサケース12も一体的にユニットケース11に対して挿抜することができる。
【0060】
また、このセンサモジュール3では、延在部13cの最大外径がユニットケース11の最小内径以下であり、光ファイバ導入部材13の最大外径がユニットケース11における第一膨出部11eよりもセンサ側開口端部11a側の部分の最小内径以下であるため、センサ側開口端部11a側からユニットケース11に対して光ファイバ導入部材13を挿抜することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
【0062】
例えば、センサモジュールにワイヤーケーブル又はロッドを取り付け、このワイヤーケーブル又はロッドによりセンサモジュールを吊下げるものとしてもよい。
【0063】
また、センサモジュールを孔内の所定の位置で固定したい場合は、センサモジュール又はセンサモジュールから離れた位置にパッカーを取り付けてもよい。パッカーを取り付ける場合は、1又は複数の光ファイバの他に、パッカーを膨らませるための吸気管等が設けられる。
【0064】
また、通信ユニットは、計測装置とセンサモジュールとの間で双方向の通信を行うものであってもよく、センサモジュールから計測装置への一方向の通信を行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…モニタリングシステム、2…計測装置、2a…光源ユニット、2b…通信ユニット、3…センサモジュール、3a…センサ部、3b…給電ユニット、3c…通信ユニット、3d…電気式センサ、3e…プロファイラ、4…光ファイバ、11…ユニットケース、11a…センサ側開口端部、11b…光ファイバ側開口端部、11c…ケース中央部、11d…雌ネジ、11e…第一膨出部、12…センサケース、12a…開口、12b…第一挿入端部、12c…雄ネジ、12d…凹部、12e…ネジ穴、13…光ファイバ導入部材、13a…導入孔、13b…第二挿入端部、13c…延在部、13d…第二膨出部、13e…凹部、13f…ネジ穴、13g…雄ネジ、14…ナット、14a…雌ネジ、15…ユニット搭載部材、16…封止コネクタ、16a…電線、16b…封止部、17…Oリング、18…Oリング(第一Oリング)、19…Oリング(第二Oリング)、21…ネジ、22…ネジ、D…延在方向、S…収容空間、W1…第一電線、W2…第二電線。