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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112576
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】加工工具
(51)【国際特許分類】
   B23D 79/00 20060101AFI20230804BHJP
   B23C 3/12 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
B23D79/00 A
B23C3/12 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014457
(22)【出願日】2022-02-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】390027764
【氏名又は名称】カトウ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩和
【テーマコード(参考)】
3C022
3C050
【Fターム(参考)】
3C022DD15
3C050FB09
(57)【要約】
【課題】本体駆動軸(14)が傾動しても本体駆動軸(14)と駆動軸(5)の間の摩耗が少ない加工工具を提供する。
【解決手段】本発明の加工工具は、上位装置に取り付けられ、トルクが伝達される上部軸体(6)と、上部軸体(6)に挿入され、同軸上に延びる駆動軸(5)と、駆動軸(5)の先端側に取り付けられる本体駆動軸(14)と、本体駆動軸(14)の先端側に挿入され、刃具(9)が装着されるホルダ(15)と、本体駆動軸(14)の外側を傾動可能に支持する球面軸受(4)と、駆動軸(5)の先端中央の窪みと本体駆動軸(14)の対向する後端中央の窪みに挟まれるように設けられるセンター鋼球(7)と、駆動軸(5)先端外周の長溝(11)と本体駆動軸(14)の孔18に設けられる複数の軸回り鋼球(10)と、を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置に取り付けられ、トルクが伝達される上部軸体(6)と、
前記上部軸体(6)に挿入され、同軸上に延びる駆動軸(5)と、
前記駆動軸(5)の先端側に取り付けられる本体駆動軸(14)と、
前記本体駆動軸(14)の先端側に挿入され、刃具(9)が装着されるホルダ(15)と、
前記本体駆動軸(14)の外側を傾動可能に支持する球面軸受(4)と、
前記駆動軸(5)の先端中央の窪みと前記本体駆動軸(14)の対向する後端中央の窪みに挟まれるように設けられるセンター鋼球(7)と、
前記駆動軸(5)先端外周の長溝(11)と前記本体駆動軸(14)の孔(18)に設けられる複数の軸回り鋼球(10)と、
を備えることを特徴とする加工工具。
【請求項2】
前記駆動軸(5)を軸方向に付勢するばね(12)が設けられ、前記センター鋼球(7)の中心(8)が、前記球面軸受(4)の中心(13)よりも前記刃具(9)側に位置することを特徴とする請求項1に記載の加工工具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加工工具に関し、より詳細にはバリ取り工具のホルダとして好適で、摺動部の摩耗を大幅に改善した加工工具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の出願人は、特許文献1にてバリ取り加工に使用する加工工具を提案した。特許文献1の第2実施例(図9)を図5に示す。図5に示す加工工具は、内部に自在継手ロッド3が使用される。図5では、球面軸受の外側を覆うケースは図示を省略している。図6は、図5に示す従来の本体駆動軸14とホルダ15が傾動した場合の内部構造図である。この場合、図6に示すように、自在継手ロッド3が図面右上がりに3°傾き、本体駆動軸14とホルダ15が図面右下がりに5°傾くような動作が可能である。図7は従来の自在継手ロッド3の新品と摩耗品を示す写真である。図7(b)に示すように、自在継手ロッド3から突き出すように設けたピン1がピン溝2との摩擦で摩耗し、図7(a)の新品と比較して、ピン1の先端が大きく欠落している。このような摩耗は、加工工具としての傾動動作が滑らかではなくなると共に本来の目的である駆動力の伝達が出来なくなるので、負荷にもよるが早めの部品の交換が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-349549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、本体駆動軸が傾動しても本体駆動軸と駆動軸の間の摩耗が少ない加工工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による加工工具は、上位装置に取り付けられ、トルクが伝達される上部軸体(6)と、前記上部軸体(6)に挿入され、同軸上に延びる駆動軸(5)と、前記駆動軸(5)の先端側に取り付けられる本体駆動軸(14)と、前記本体駆動軸(14)の先端側に挿入され、刃具(9)が装着されるホルダ(15)と、前記本体駆動軸(14)の外側を傾動可能に支持する球面軸受(4)と、前記駆動軸(5)の先端中央の窪みと前記本体駆動軸(14)の対向する後端中央の窪みに挟まれるように設けられるセンター鋼球(7)と、前記駆動軸(5)先端外周の長溝(11)と前記本体駆動軸(14)の孔(18)に設けられる複数の軸回り鋼球(10)と、を備えることを特徴とする。
【0006】
前記駆動軸(5)を軸方向に付勢するばね(12)が設けられ、前記センター鋼球(7)の中心(8)が、前記球面軸受(4)の中心(13)よりも前記刃具(9)側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の加工工具によれば、駆動軸の中心軸先端の窪みと本体駆動軸の中心軸先端の窪みに挟まれるようにセンター鋼球を設け、駆動軸の長溝と本体駆動軸の孔に複数の軸回り鋼球を設けたので、本体駆動軸が傾動しても鋼球が摩擦を軽減するので、駆動軸と本体駆動軸の係合部分の摩耗が低減できる。駆動軸と本体駆動軸の間に鋼球を設けたので、自在継手ロッドが不要で、本体駆動軸とホルダは、駆動軸に対して所定の角度傾動することができる。
【0008】
センター鋼球の中心が球面軸受の中心よりも刃具側になるように位置させたので、本体駆動軸が負荷で傾動した状態から、負荷のない状態に遷移する場合、駆動軸と本体駆動軸の中心軸を一直線状にできる。ばねによって駆動軸とセンター鋼球と本体駆動軸が押圧され、駆動軸と本体駆動軸の中心軸を一直線状にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による加工工具の内部構造図である。
図2図1で本体駆動軸とホルダが傾動した場合の内部構造図である。
図3図1で駆動軸が本体駆動軸に挿入されることを示す図である。
図4図1の傾動時の拡大図で、(a)は球面軸受の内部拡大図である。(b)は軸回り鋼球の配列図である。
図5】従来の加工工具の内部構造図である。
図6】従来の本体駆動軸とホルダが傾動した場合の内部構造図である。
図7】従来の自在継手ロッドの新品と摩耗品を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0010】
添付の図面を参照して、本発明による加工工具を詳しく説明する。
【0011】
図1は、本発明による加工工具100の内部構造図である。上部軸体6は、工作機械やロボットなどの上位装置に取り付けられ、トルクが伝達される。駆動軸5は、上部軸体6に挿入され同軸上に延びる。本体駆動軸14は、駆動軸5の先端側に取り付けられ、ホルダ15が装着される。ホルダ15には、刃具9が装着される。球面軸受4は、本体駆動軸14の外側を傾動可能に支持する。図示していないが、上部軸体6から球面軸受4に至る外側を覆うようにカバーが設けられる。
【0012】
図2は、図1で本体駆動軸14とホルダ15が傾動した場合の内部構造図である。本体駆動軸14とホルダ15は、最大で約5°傾動する。駆動軸5の一点鎖線で示す中心軸16に対し、本体駆動軸14とホルダ15の一点鎖線で示す傾動軸17が最大で約5°傾動する。ここで、駆動軸5の中心軸先端の窪みと、これに対向する本体駆動軸14の先端中央の窪み(詳しくは図4参照)にセンター鋼球7が挟まれるように設けられる。また、駆動軸5先端外周の長溝11と本体駆動軸14の孔18に複数の軸回り鋼球10が設けられる。
【0013】
図3は、図1で駆動軸5が本体駆動軸14に挿入されることを示す図である。センター鋼球7と軸回り鋼球10を駆動軸5の先端に配置しているが、便宜的に鋼球の位置を示すためのものである。センター鋼球7と軸回り鋼球10は、まず、本体駆動軸14内部の窪みに位置する箇所と、本体駆動軸14内部の孔18の位置に挿入され、その後に駆動軸5が本体駆動軸14に挿入されることによりセンター鋼球7が駆動軸(5)の先端中央の窪みに収納され、軸回り鋼球10が駆動軸5の長溝11に収納される。
【0014】
図4は、図1の傾動時の拡大図で、(a)は球面軸受の内部拡大図である。(b)は軸回り鋼球の配列図である。センター鋼球7は、駆動軸5の先端中央の窪みと、これに対向する本体駆動軸14の後端中央の窪みに挟まれるように設けられる。軸回り鋼球10は、駆動軸5の外周と本体駆動軸14の孔18に設けられる。図4(a)に示すように、センター鋼球7の中心8は、球面軸受の中心13よりも刃具9側に配置される。本体駆動軸14が傾動した状態から、負荷のない状態に遷移する場合、駆動軸5の中心軸と本体駆動軸14の中心軸を一直線状にできる。これは、図2に示すばね12が、駆動軸5を軸方向の刃具9側に付勢しており、本体駆動軸14がケース(図示せず)で、刃具9側への移動がブロックされていることによる。図4(b)に示すように、軸回り鋼球10は、駆動軸5の外周と本体駆動軸14の孔18に6個を配置した。軸回り鋼球10の数は、これに限らず3~10個にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、本体駆動軸と駆動軸間の間の擦れる箇所の摩耗を大幅に改善したので長寿命化が可能であり、バリ取りの加工工具として好適である。
【符号の説明】
【0016】
1 ピン
2 ピン溝
3 自在継手ロッド
4 球面軸受
5 駆動軸
6 上部軸体
7 センター鋼球
8 (センター鋼球の)中心
9 刃具
10 軸回り鋼球
11 長溝
12 ばね
13 (球面軸受の)中心
14 本体駆動軸
15 ホルダ
16 中心軸
17 傾動軸
18 孔
100 加工工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7