(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112623
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】汚染防止剤組成物
(51)【国際特許分類】
D21H 21/02 20060101AFI20230804BHJP
D21F 5/02 20060101ALI20230804BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
D21H21/02
D21F5/02
C08L83/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014553
(22)【出願日】2022-02-01
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】594020802
【氏名又は名称】株式会社メンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】関谷 宏
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 和之
(72)【発明者】
【氏名】野間 美沙
【テーマコード(参考)】
4J002
4L055
【Fターム(参考)】
4J002CH022
4J002CP031
4J002DE026
4J002EC046
4J002EC056
4J002ED036
4J002FD316
4J002GK04
4J002HA07
4L055AG34
4L055AG86
4L055AG97
4L055AH22
4L055AH29
4L055AH33
4L055CF02
4L055EA19
4L055EA20
4L055EA25
4L055EA30
4L055EA32
4L055FA20
(57)【要約】
【課題】汚染防止効果及びその持続性が十分に優れる汚染防止剤組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、抄紙工程のドライパートDに付与して用いられる汚染防止剤組成物であって、常温で液体であるシリコーン系オイルと、常温で液体である水性媒体と、水性媒体中にシリコーン系オイルを分散させるための分散剤と、を有するエマルジョンであり、水性媒体が、水と、水に溶解した多価アルコールとからなり、多価アルコールの沸点が100℃より大きく、多価アルコール1質量部に対するシリコーン系オイルの配合割合が0.5~50質量部であり、多価アルコール1質量部に対する水の配合割合が25~300質量部であり、多価アルコール1質量部に対する分散剤の配合割合が0.1~50質量部である汚染防止剤組成物である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抄紙工程のドライパートに付与して用いられる汚染防止剤組成物であって、
常温で液体であるシリコーン系オイルと、常温で液体である水性媒体と、前記水性媒体中に前記シリコーン系オイルを分散させるための分散剤と、を有するエマルジョンであり、
前記水性媒体が、水と、該水に溶解した多価アルコールとからなり、
前記多価アルコールの沸点が100℃より大きく、
前記多価アルコール1質量部に対する前記シリコーン系オイルの配合割合が0.5~50質量部であり、
前記多価アルコール1質量部に対する前記水の配合割合が25~300質量部であり、
前記多価アルコール1質量部に対する前記分散剤の配合割合が0.1~50質量部である汚染防止剤組成物。
【請求項2】
前記多価アルコールが、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の汚染防止剤組成物。
【請求項3】
前記多価アルコールが、常温で液体のポリエチレングリコールであり、
該ポリエチレングリコールにおけるオキシエチレン単位の繰り返し数が200~600である請求項1記載の汚染防止剤組成物。
【請求項4】
前記ポリエチレングリコールの水酸基価が200以上である請求項3記載の汚染防止剤組成物。
【請求項5】
前記ドライパートが有する複数のロールのうち、上流側に位置する上流側ロールに付与して液状被膜を形成し、走行体を前記液状被膜に接触させることにより、前記液状被膜の一部を前記走行体に転移させ、該走行体を上流側ロールよりも下流側に位置する下流側ロールに接触させることにより、前記液状被膜を下流側ロールに転移させるために用いられるものであり、
前記ロールが、ドライヤーロール又はカンバスロールであり、
前記ロールが、前記ドライヤーロールである場合、前記走行体が湿紙であり、
前記ロールが、前記カンバスロールである場合、前記走行体がカンバスである請求項1~4のいずれか1項に記載の汚染防止剤組成物。
【請求項6】
前記上流側ロール及び前記下流側ロールが鋳鉄であり、
前記上流側ロール及び前記下流側ロールに対する接触角が70°以下であり、
粘度が0.001~1.5Pa・sであり、
動的表面張力が25mN/m以上である請求項5記載の汚染防止剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙工程のドライパートに付与して用いられる汚染防止剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
抄紙工程においては、一般に、水中にパルプが分散された液を抄紙用の網(ワイヤー)に載せ、余分な水を自然落下させることにより湿紙とするワイヤーパートと、湿紙を一対のプレスロール間に通し、フェルトを介して当該プレスロールで押圧することにより、湿紙中の水分をフェルトに移行させ、これにより湿紙を脱水するプレスパートと、プレスパートを通過した湿紙を、カンバスを介して、加熱された複数のドライヤーロールに順次接触させて乾燥し、紙とするドライパートと、カレンダーロール間に紙を通して表面の凹凸を平滑化するカレンダーパートと、紙をスプールに巻き付けるリールパートと、を有する。
【0003】
ところで、上記ドライパートにおいては、例えば、湿紙を案内するロールの表面にピッチ、紙粉等の汚染物が付着すると、紙が当該ロールに案内される毎に、汚染物が転移して付着し、結果として歩留まりが大きく低下するという問題がある。
【0004】
これに対し、抄紙機のドライパートにおける汚染を極力防止するため、当該ドライパートに付与される汚染防止剤組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかる汚染防止剤組成物は、アミノ変性シリコーンが含まれるエマルジョンと、再乳化剤とからなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の汚染防止剤組成物は、汚染防止効果を一応発揮するものの、汚染防止効果の持続性が優れるとは言えない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、汚染防止効果及びその持続性が十分に優れる汚染防止剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、エマルジョンを構成する水性媒体として、加熱されたロールに付与しても気化し難い、多価アルコールを所定量含ませることを考えた。
そして多価アルコールに対する、シリコーン系オイル、水及び分散剤の配合割合を、それぞれ所定の範囲内とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明は、抄紙工程のドライパートに付与して用いられる汚染防止剤組成物であって、常温で液体であるシリコーン系オイルと、常温で液体である水性媒体と、水性媒体中にシリコーン系オイルを分散させるための分散剤と、を有するエマルジョンであり、水性媒体が、水と、該水に溶解した多価アルコールとからなり、多価アルコールの沸点が100℃より大きく、多価アルコール1質量部に対するシリコーン系オイルの配合割合が0.5~50質量部であり、多価アルコール1質量部に対する水の配合割合が25~300質量部であり、多価アルコール1質量部に対する分散剤の配合割合が0.1~50質量部である汚染防止剤組成物である。
【0010】
本発明の汚染防止剤組成物においては、多価アルコールが、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0011】
本発明の汚染防止剤組成物においては、多価アルコールが、常温で液体のポリエチレングリコールであり、該ポリエチレングリコールにおけるオキシエチレン単位の繰り返し数が3~15であることが好ましい。
このとき、汚染防止剤組成物においては、ポリエチレングリコールの水酸基価が200以上であることが好ましい。
【0012】
本発明の汚染防止剤組成物においては、ドライパートが有する複数のロールのうち、上流側に位置する上流側ロールに付与して液状被膜を形成し、走行体を液状被膜に接触させることにより、液状被膜の一部を走行体に転移させ、該走行体を上流側ロールよりも下流側に位置する下流側ロールに接触させることにより、液状被膜を下流側ロールに転移させるために用いられるものであり、ロールが、ドライヤーロール又はカンバスロールであり、ロールが、ドライヤーロールである場合、走行体が湿紙であり、ロールが、カンバスロールである場合、走行体がカンバスであることが好ましい。
このとき、汚染防止剤組成物においては、上流側ロール及び下流側ロールが鋳鉄であり、上流側ロール及び下流側ロールに対する接触角が70°以下であり、粘度が0.001~1.5Pa・sであり、動的表面張力が25mN/m以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の汚染防止剤組成物においては、常温で液体のシリコーン系オイルと、常温で液体の水性媒体と、分散剤とでエマルジョンとしており、この水性媒体に、沸点が100℃より大きい多価アルコールを所定量含めているので、いわゆる蒸気圧降下により、水のみの場合と比較して、水性媒体が気化し難くなっている。このため、上記汚染防止剤組成物においては、加熱されたロールに付与された場合、水性媒体をロール上に極力残存させることで、エマルジョンの状態を極力維持することができる。また、多価アルコール自体も水性であるので、エマルジョンの状態維持に寄与することができる。
上記汚染防止剤組成物においては、上述したように、エマルジョンの状態を極力維持することにより、シリコーン系オイルに基づく汚染防止効果を十分に発揮することができると共に、汚染防止効果を十分に維持すること(以下単に「維持効果」ともいう。)が可能となる。
ちなみに、水性媒体が気化してエマルジョンの状態が崩壊すると、シリコーン系オイルは油性であることから、シリコーン系オイルが汚染物に作用したとしても、水でこれらを剥離又は除去することが困難となる。
【0014】
本発明の汚染防止剤組成物においては、多価アルコール1質量部に対するシリコーン系オイルの配合割合、水の配合割合、及び、分散剤の配合割合を上記範囲内とすることにより、汚染防止効果及び維持効果を十分に発揮することができる。
また、シリコーン系オイルを水性媒体中に均一に分散させる分散性、及び、経時的に両者が分離しない保存安定性も向上させることができる。これにより、付与ムラが抑制され、汚染防止効果をより向上させることができる。
【0015】
本発明の汚染防止剤組成物においては、多価アルコールが、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である場合、汎用性に優れるため安価であり、水との相溶性も優れることから、汚染防止効果及び維持効果をより十分に発揮させることができる。
【0016】
この中でも、多価アルコールが、常温で液体のポリエチレングリコールであり、該ポリエチレングリコールにおけるオキシエチレン単位の繰り返し数が3~15である場合、多価アルコール自体のエマルジョンの状態維持への寄与度がより増大するため、特に、維持効果をより向上させることができる。また、多価アルコールが常温で液体であるため、それ自体が固化して汚染物化することを防止することができる。
このとき、ポリエチレングリコールの水酸基価が200以上であることが好ましい。この場合、水との相溶性がより向上するので、汚染防止効果及び維持効果をより一層発揮させることが可能となる。
【0017】
本発明の汚染防止剤組成物は、上述したように、汚染防止効果及びその持続性に優れるため、ドライパートが有する複数のロール(例えば、ドライヤーロール又はカンバスロール)のうち、上流側に位置する上流側ロールに付与して液状被膜を形成し、走行体を液状被膜に接触させることにより、液状被膜の一部を走行体に転移させ、該走行体を上流側ロールよりも下流側に位置する下流側ロールに接触させることにより、液状被膜を下流側ロールに転移させるという用途に好適に用いられる。
なお、上述した、多価アルコールが常温で液体である場合、走行体への転移量(以下「ピックアップ量」ともいう。)が向上し、下流側ロールでの維持効果にも優れるものとなる。
【0018】
このとき、汚染防止剤組成物は、鋳鉄である、上流側ロール及び下流側ロールに対する接触角、粘度、動的表面張力、及び、上流側ロール及び下流側ロールに接触する際の走行体の含水率を、いずれも上記範囲内とする場合、ロールに液状被膜が形成され易く、また、走行体に液状被膜が転移され易くなるため、上述した用途により好適となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る汚染防止剤組成物が用いられるドライパートを説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
本実施形態に係る汚染防止剤組成物は、汚染を防止するための液状の薬剤であり、抄紙工程のドライパートに付与して用いられる。具体的には、例えば、ドライパートを構成するロール(例えば、ドライヤーロール又はカンバスロール)に付与して用いられる。なお、これらの詳細については後述する。
かかる汚染防止剤組成物をドライパートに付与すると、その付与された部位には液状被膜が形成される。これにより、ドライパートに汚染物が付着することを防止し、また、付着した汚染物を分散除去することが可能となっている。
【0022】
汚染防止剤組成物は、常温で液体である油性のシリコーン系オイルと、常温で液体である水性媒体と、水性媒体中にシリコーン系オイルを分散させるための分散剤とを有するエマルジョンである。
一般に、抄紙工程は大量の水を用いて行われるため、汚染防止剤組成物においては、汚染防止効果を有する油性のシリコーン系オイルをエマルジョン化して用いている。これにより、汚染防止剤組成物をドライパートに付与した場合、シリコーン系オイルが、残存する水により弾かれてドライパートに付与されないという事態が生じることを抑制している。
したがって、汚染防止剤組成物においては、ドライパートに付与した場合、付与した部位の表面に、エマルジョンからなる液状被膜を形成することになる。
【0023】
ここで、汚染物の具体例としては、ピッチ、紙粉、タルク、クレー、炭酸カルシウム、木材樹脂、抄紙工程用薬品の残渣(例えば、紙力剤の場合、デンプン・ポリアクリルアミド等、サイズ剤の場合、ロジン石鹸、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ポリビニルアルコール、デンプン、スチレン・アクリル重合体等)等が挙げられる。
また、本明細書において、「上流側」とは、走行体の搬送経路における上流側を意味し、「下流側」とは、走行体の搬送経路における下流側を意味する。
また、「常温」とは、日本工業規格で規定する20℃±15℃を意味する(JISZ8703)。すなわち、常温で液体とは、温度が5~35℃の範囲内にある場合、液体の状態であることを意味する。
【0024】
汚染防止剤組成物においては、油性である汚染物を分散除去するため、常温で液体であるシリコーン系オイルを採用している。
また、シリコーン系オイルの中でも、汚染防止効果の観点から、ジメチルシリコーンオイル、又は、水素原子を変性基に置換した変性シリコーンオイルを採用することが好ましい。
変性シリコーンオイルとしては、例えば、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。なお、これらは、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
【0025】
これらの中でも、シリコーン系オイルは、汚染防止効果、分散性及び汎用性の観点から、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル及びポリエーテル変性シリコーンオイルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、汚染防止効果が特に優れることから、アミノ変性シリコーンオイルであることがより好ましい。
【0026】
汚染防止剤組成物においては、シリコーン系オイルをエマルジョン化するため、常温で液体である水性媒体を採用している。
水性媒体は、水と、当該水に溶解した多価アルコールとからなる。
このように、汚染防止剤組成物において、水性媒体を、水と多価アルコールとの混合溶媒としているので、いわゆる蒸気圧降下により、水が気化し難くなっている。
また、多価アルコールは、それ自体が水性であり、液中では、水と同様に、分子間で水素結合を形成するため、沸点が同一分子量の他の化合物と比べて高くなっている。
【0027】
これらのことから、汚染防止剤組成物においては、加熱されたロール(例えば、ドライヤーロール又はカンバスロール)に付与された場合、水及び多価アルコールからなる水性媒体の気化が抑制されるため、ロール上においてもエマルジョンの状態を極力維持することができる。
また、後述するように、ロールに付与した後、走行体に転移させる場合には、ロール上にエマルジョンの状態で維持されているため、十分なピックアップ量とすることができる。
【0028】
ここで、水としては、特に限定されないが、例えば、水道水、工業用水、蒸留水、純水、イオン交換水等を採用できる。
この中でも、エマルジョンの分散性に極力影響を及ぼさないという観点から、水は、蒸留水、純水、イオン交換水であることが好ましく、コスト、汎用性の観点から、水は、イオン交換水であることがより好ましい。
【0029】
また、多価アルコールとしては、水に溶解可能なものが採用され、且つ、沸点が100℃より大きいもの、好ましくは200℃より大きいものが採用される。
なお、多価アルコールの沸点が100℃未満であると、沸点が上記範囲内にある場合と比較して、水の蒸気圧降下の効果が得られず、多価アルコール自体も、ロールに付与した後、気化し易いという欠点がある。
【0030】
多価アルコールとしては、分子内に2個以上の水酸基を有する有機化合物であれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコ―ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、ヘキシレングリコ-ル、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等が挙げられる。なお、これらは、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
【0031】
これらの中でも、多価アルコールは、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。この場合、汎用性に優れるため安価であり、水との相溶性も優れることから、汚染防止効果及び維持効果をより十分に発揮させることができる。
また、多価アルコールは、紙にしみ込み難く、維持効果が特に優れることから、グリセリン、又は、常温で液体のポリエチレングリコールであることが好ましく、取り扱い性の観点から、常温で液体のポリエチレングリコールがより好ましい。
【0032】
多価アルコールがポリエチレングリコールである場合、当該ポリエチレングリコールにおけるオキシエチレン単位の繰り返し数が3~15であることが好ましく、3~10であることがより好ましい。この場合、多価アルコール自体のエマルジョンの状態維持への寄与度がより増大するため、特に、維持効果をより向上させることができる。
ポリエチレングリコールにおけるオキシエチレン単位の繰り返し数が3未満であると、オキシエチレン単位の繰り返し数が上記範囲内にある場合と比較して、紙にしみ込み易く、維持効果を十分に発揮できない場合があり、ポリエチレングリコールにおけるオキシエチレン単位の繰り返し数が15を超えると、オキシエチレン単位の繰り返し数が上記範囲内にある場合と比較して、紙への汚染防止剤組成物の転写性が低下する欠点がある。
【0033】
多価アルコールがポリエチレングリコールである場合、当該ポリエチレングリコールの分子量が200~600であることが好ましく、200~400であることがより好ましい。この場合、多価アルコール自体のエマルジョンの状態維持への寄与度がより増大するため、特に、維持効果をより向上させることができる。
ポリエチレングリコールの分子量が200未満であると、分子量が上記範囲内にある場合と比較して、紙にしみ込み易く、維持効果を十分に発揮できない場合があり、ポリエチレングリコールの分子量が600を超えると、分子量が上記範囲内にある場合と比較して、紙への汚染防止剤組成物の転写性が低下する欠点がある。
【0034】
多価アルコールがポリエチレングリコールである場合、当該ポリエチレングリコールの水酸基価が200以上であることが好ましい。この場合、水との相溶性がより向上するので、汚染防止効果及び維持効果をより一層発揮させることが可能となる。
ポリエチレングリコールの水酸基価が200未満であると、水酸基価が上記範囲内にある場合と比較して、紙中の水分との親和性が低下し、紙への汚染防止剤組成物の転写性が低下する欠点がある。
【0035】
汚染防止剤組成物においては、シリコーン系オイルと水性媒体とをエマルジョン化するため、分散剤を採用している。
分散剤としては、特に限定されず、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が用いられる。
これらの中でも、分散剤は、エマルジョンの保存安定性の観点から、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0036】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルチオエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。なお、これらは、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
【0037】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩-ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル縁、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等が挙げられる。なお、これらは、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
【0038】
これらの中でも、分散剤は、ノニオン性界面活性剤であることが好ましく、分散性及び保存安定性の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0039】
汚染防止剤組成物において、多価アルコール1質量部に対するシリコーン系オイルの配合割合は0.5~50質量部である。
多価アルコール1質量部に対するシリコーン系オイルの配合割合が0.5質量部未満であると、汚染防止効果が不十分となり、多価アルコール1質量部に対するシリコーン系オイルの配合割合が50質量部を超えると、汚染防止効果を維持する効果が十分に得られない。
【0040】
汚染防止剤組成物において、多価アルコール1質量部に対する水の配合割合は25~300質量部である。
多価アルコール1質量部に対する水の配合割合が25質量部未満であると、高コストとなり、分散性も低下する恐れがあり、多価アルコール1質量部に対する水の配合割合が300質量部を超えると、維持効果が十分に得られない。
【0041】
汚染防止剤組成物において、多価アルコール1質量部に対する分散剤の配合割合が0.1~50質量部である。
多価アルコール1質量部に対する分散剤の配合割合が0.1質量部未満であると、分散性及び保存安定性が不十分となり、多価アルコール1質量部に対する分散剤の配合割合が50質量部を超えると、汚染防止効果が低下する場合がある。
【0042】
本実施形態に係る汚染防止剤組成物においては、シリコーン系オイル、水性媒体及び分散剤を有し、これらが、上述した配合割合で配合されているので、シリコーン系オイルに基づく汚染防止効果が十分に発揮されると共に、その効果を十分に維持することが可能となる。
また、分散性及び保存安定性にも優れるので、付与ムラが抑制され、汚染防止効果をより向上させることができる。
【0043】
汚染防止剤組成物は、最大泡圧法による寿命時間100ミリ秒時の動的表面張力が25mN/m以上である。
汚染防止剤組成物の動的表面張力が25mN/m未満であると、液だれが生じ易く、ロール面に対して、十分な厚さの液状被膜を均一に形成することが困難となる。
これに加え、動的表面張力は、65mN/m以下であることが好ましい。動的表面張力が上記範囲内を超えると、動的表面張力が、上記範囲内にある場合と比較して、走行体への転移速度が遅くなる傾向にある。この場合、走行体への液状被膜のピックアップ量が不十分となる。
なお、動的表面張力は、自動動的表面張力計BP-D5(協和界面科学)を使用して、25℃の環境で測定した値である。
【0044】
汚染防止剤組成物は、粘度が0.001~1.5Pa・sであることが好ましい。
汚染防止剤組成物の粘度が0.001Pa・s未満であると、粘度が上記範囲内にある場合と比較して、汚染防止剤組成物を吹き付け付与する際に、飛散し易く、十分な量を付与できない恐れがあり、汚染防止剤組成物の粘度が1.5Pa・sを超えると、粘度が上記範囲内にある場合と比較して、汚染防止剤組成物を吹き付け付与する際に、ムラになり易いという欠点がある。
【0045】
汚染防止剤組成物において、エマルジョンは、O/W型のエマルジョンであることが好ましい。この場合、紙中の水分と汚染防止剤組成物との親和性が高く、汚染防止剤組成物が紙に移行し易いという利点がある。また、表面張力及び粘度が下がるため噴霧し易くなるという利点もある。
【0046】
本実施形態に係る汚染防止剤組成物は、シリコーン系オイルと、水性媒体と、分散剤とを攪拌混合することによりエマルジョンとして得られる。
上記攪拌混合においては、ハンドミキサー、ホモジナイザー等が好適に用いられる。また、サンドミル、ビーズミル、ボールミル等の分散機で分散させてもよい。
【0047】
汚染防止剤組成物は、上述したように、ドライパートに付与することにより、液状被膜が形成され、これにより、当該ドライパートの汚染が防止される。
また、汚染防止剤組成物においては、例えば、ドライパートが有する複数のロールのうち、上流側に位置する上流側ロールに付与して液状被膜を形成し、走行体を液状被膜に接触させることにより、液状被膜を構成する汚染防止剤組成物の一部を走行体に転移させ、該走行体を上流側ロールよりも下流側に位置する下流側ロールに接触させることにより、汚染防止剤組成物を下流側ロールに転移させ、これにより、下流側ロールに液状被膜を形成することが可能となっている。
【0048】
図1は、本実施形態に係る汚染防止剤組成物が用いられるドライパートを説明するための概略図である。
汚染防止剤組成物は、抄紙工程のドライパートDで用いられる。
ドライパートDは、湿紙W1を加熱乾燥するための複数の円筒状のドライヤーロールD1,D2,D3,D4,D5,D6,D7及びD8(以下「D1~D8」ともいう。)と、湿紙W1をドライヤーロールD1~D8に押し付けるためのカンバスK1,K2と、カンバスK1,K2を案内するカンバスロールKRと、乾燥した紙Wの平滑性と紙厚を緩やかに調整するブレーカースタックロールBと、紙Wの平滑性と紙厚を調整するカレンダーロールCと、を備えている。
すなわち、ドライパートが有する複数のロールとは、ドライヤーロールD1~D8、カンバスロールKR,KR1,KR2、ブレーカ―スタックロールB又はカレンダーロールCを意味する。
【0049】
ドライパートDにおいては、ドライヤーロールD1~D8の表面に湿紙WがカンバスK1,K2により圧接される。これにより、湿紙WがドライヤーロールD1~D8に付着し、同時に加熱乾燥されるようになっている。なお、ドライヤーの温度は、一般的に、30~120℃である。
その後、湿紙Wは、ブレーカースタックロールBに挟持され、次いで、湿紙Wは、カレンダーロールCにより高密度化される。
【0050】
例えば、上記複数のロールがドライヤーロールであり、上記走行体が湿紙である場合、汚染防止剤組成物は、ドライパートDの上流側のドライヤーロールD1(上流側ロール)に対して、矢印A1の位置で付与される。
なお、汚染防止剤組成物の付与方法は特に限定されず、例えば、散布ノズルを用い離れた位置から吹き付けるシャワー方式や噴霧方式、スポンジ等の塗布具を用い直接塗布する塗布方式等が用いられる。
【0051】
汚染防止剤組成物をドライヤーロールD1の矢印A1の位置で付与した後は、ドライヤーロールD1が回動して湿紙W1(走行体)を案内する際に、汚染防止剤組成物による液状被膜が当該湿紙W1に転移する。
そうすると、汚染防止剤組成物の液状被膜が湿紙W1により運ばれ、湿紙W1が案内される下流側のドライヤーロールD3(下流側ロール)に接触する際に、これに付与される。
そして、同様のことが繰り返されることにより、更に下流側のドライヤーロールD5,D7に付与される。
なお、同様にして、汚染防止剤組成物は、上流側のドライヤーロールD2に付与することにより、湿紙を介して、下流側のドライヤーロールD4,D6,D8に付与される。
【0052】
また、上記複数のロールがカンバスロールであり、上記走行体がカンバスである場合、汚染防止剤組成物は、ドライパートDの上流側のカンバスロールKR1に対して、矢印A2の位置で付与される。
なお、汚染防止剤組成物の付与方法は特に限定されず、例えば、散布ノズルを用い離れた位置から吹き付けるシャワー方式や噴霧方式、スポンジ等の塗布具を用い直接塗布する塗布方式等が用いられる。
【0053】
汚染防止剤組成物をカンバスロールD1の矢印A2の位置で付与した後は、カンバスロールKR1が回動してカンバスK1(走行体)を案内する際に、汚染防止剤組成物による液状被膜が当該カンバスK1に転移する。
そうすると、汚染防止剤組成物の液状被膜がカンバスK1により運ばれ、カンバスK1が案内され、ループ内側のカンバスロールKR(下流側ロール)に接触する際に、これに付与される。
なお、同様にして、汚染防止剤組成物はループ外側のカンバスロールKR2に付与される。
【0054】
汚染防止剤組成物は、上述したように、シリコーン系オイルと気化し難い多価アルコールとを所定の条件下、エマルジョンとしたものであるので、汚染防止効果及びその持続性が優れている。このため、転移と付与を繰り返してドライヤーロールD1~D8やカンバスロールKR,KR1,KR2の全体に汚染防止剤組成物を付与する用途に好適に用いることができる。
【0055】
ここで、上記用途において、ドライヤーロールD1~D8又はカンバスロールKR,KR1,KR2として、鋳鉄を採用している。なお、鋳鉄は、鉄を主成分とし、ニッケル、クロム、炭素及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むもので合金を鋳造したものである。
また、鋳鉄は、十点平均粗さ(Rz):0.16μm以下、最大高さ(Rmax):0.21μm以下、算術平均粗さ(Ra):0.04μm以下のものであることが好ましい。
【0056】
この場合、汚染防止剤組成物のドライヤーロールD1~D8又はカンバスロールKR,KR1,KR2に対する接触角が70°以下であることが好ましい。この場合、瞬時に、ロール表面に被膜を形成することが可能となる。
また、汚染防止剤組成物の鋳鉄に対する接触角が70°を超えると、接触角が上記範囲内にある場合と比較して、均一な液状被膜を形成し難くなる欠点がある。
なお、接触角は、DropMaster DMs-401、テフロン針18Gを使用して、25℃、湿度50%の環境で測定した値である。
【0057】
また、ドライヤーロールD1~D8に接触する際の湿紙W1(走行体)の含水率が8~55%であることが好ましい。なお、含水率とは、水分を含む湿紙W1の総重量に対する水の重量の割合である。
湿紙W1の含水率が、8%未満であると、含水率が上記範囲内にある場合と比較して、液状被膜を吸い込んでしまい、十分な量の汚染防止剤組成物を下流側のドライヤーロールに付与できない場合があり、湿紙W1の含水率が、55%を超えると、含水率が上記範囲内にある場合と比較して、汚染防止剤組成物のピックアップ量が不十分となる傾向にある。
なお、湿紙W1における含水率は、ワイヤーパートにおける湿紙の搬送速度、プレスパートにおけるプレスロールのプレス圧等により調整できる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0059】
本実施形態に係る汚染防止剤組成物には、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、粘度調整剤、固体潤滑剤、湿潤剤、ダスティング防止剤、離型剤、接着剤、表面修正剤、洗浄剤、紙力増強剤、サイズ剤、歩留向上剤、防滑剤、柔軟剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0060】
本実施形態に係る汚染防止剤組成物においては、汚染防止剤組成物をドライパートのドライヤーロール又はカンバスロールに付与しているが、これらに限定されない。
カンバスに直接付与してもよく、その他にも、カレンダーロールC、ブレーカースタックロールB等に直接付与してもよい。
【0061】
本実施形態に係る汚染防止剤組成物においては、ロールを鋳鉄からなるものとしているが、別の材質からなるものであってもよい。
【実施例0062】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0063】
(1)水性媒体に関する実験
(実施例1~9及び比較例1,2)
水性媒体として、イオン交換水(水)と、表1に示す化合物を採用した。
シリコー系オイルとしては、アミノ変性シリコーンオイル(シリコーン系オイル)を採用した。
分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ノニオン界面活性剤)を採用した。
これらを、表1に示す化合物が1質量部、アミノ変性シリコーンオイル10質量部、イオン交換水36.5質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル2.5質量部となるように混合して汚染防止剤組成物のサンプルを得た。
なお、表1中、「PEG」はポリエチレングリコールを意味し、「Gr」はグリセリンを意味し、「EG」はエチレングリコールを意味し、「DEG」はジエチレングリコールを意味し、「TEG」はトリエチレングリコールを意味する。
【0064】
【0065】
(2)配合割合に関する実験
(実施例10~31及び比較例3~8)
水性媒体として、イオン交換水(水)と、実施例4のポリエチレングリコール(沸点200、EOの繰り返し数9、水酸基価280)を採用した。
シリコー系オイルとしては、アミノ変性シリコーンオイル(シリコーン系オイル)を採用した。
分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ノニオン界面活性剤)を採用した。
これらを、表2に示す配合割合で混合して汚染防止剤組成物のサンプルを得た。
なお、表2中、「Am」はアミノ変性シリコーンオイルを意味し、「POE」はポリオキシエチレンアルキルエーテルを意味する。
【0066】
【0067】
(評価)
実施例1~31及び比較例1~8で得られたサンプルを、稼働中の抄紙機の所定のドライヤーロールに対し、ミストランナー(吹き付け装置、株式会社メンテック社製)を用いて、400μg/m2となるように吹付けた。
1週間経過後のドライヤーロールに付着した汚れ量を目視にて評価した。
得られた結果を表3に示す。なお、表3中、「A」はドライヤーロール表面に汚れ(ピッチや紙粉)が付着していない状態であり、「B」はドライヤーロール表面の1割程度に汚れ(ピッチや紙粉)が付着している状態であり、「C」はドライヤーロール表面の1~3割程度に汚れ(ピッチや紙粉)が付着している状態であり、「D」はドライヤーロール表面の3~4割程度に汚れ(ピッチや紙粉)が付着している状態である。
【0068】
【0069】
以上より、本発明における実施例1~31の汚染防止剤組成物のサンプルは、比較例1~8のサンプルと比較して、何れも、汚染防止効果が優れるものであり、且つ、その効果を1週間継続していることから維持効果にも優れるものであることが確認された。
本発明の汚染防止剤組成物は、抄紙工程におけるドライパートの汚染防止剤として用いられる。本発明の汚染防止剤組成物によれば、汚染防止効果及びその持続性が十分に優れる。