(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112649
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】変形玩具及び建物玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 3/04 20060101AFI20230804BHJP
A63H 3/52 20220101ALI20230804BHJP
A63H 33/42 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
A63H3/04 Z
A63H3/52 B
A63H33/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174590
(22)【出願日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2022014359
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000128234
【氏名又は名称】株式会社エポック社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神山 圭
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BC01
2C150CA06
2C150DC08
2C150DC12
2C150EH01
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、屋根裏に小スケールの屋根裏部屋が新たに設けられる形態に変形可能な変形玩具及び建物玩具を提供する。
【解決手段】建物玩具1は、床部28と天井部24との間に設けられた2階右部屋22と、屋根ユニットと、を備え、屋根ユニット30は、屋根ユニット30の下側に出されるとともに屋根ユニット30の内側に出し入れ自在に収容される脚部32を有し、脚部32が屋根ユニット30の内側に収容された状態で屋根ユニット30が天井部24上に配置される第1の形態と、脚部32が屋根ユニット30の下側に出された状態で屋根ユニット30が天井部24上に配置されることにより天井部24と屋根ユニット30との間に2階右部屋22よりも高さ寸法が小さな屋根裏部屋が設けられる第2の形態と、の間で変形可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床部と天井部との間に設けられた第1の部屋と、
屋根ユニットと、を備え、
前記屋根ユニットは、該屋根ユニットの下側に出されるとともに該屋根ユニットの内側に出し入れ自在に収容される脚部を有し、
前記脚部が前記屋根ユニットの内側に収容された状態で前記屋根ユニットが前記天井部上に配置される第1の形態と、前記脚部が前記屋根ユニットの下側に出された状態で前記屋根ユニットが前記天井部上に配置されることにより前記天井部と前記屋根ユニットとの間に前記第1の部屋よりも高さ寸法が小さな第2の部屋が設けられる第2の形態と、の間で変形可能である、
ことを特徴とする変形玩具。
【請求項2】
前記天井部は長手状をなし、
前記脚部は、前記天井部の長手方向の両側にそれぞれ配置されるように前記屋根ユニットに一対設けられるとともに、前記屋根ユニットの内側に回動部により回動可能に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の変形玩具。
【請求項3】
前記屋根ユニットは、前記脚部が前記屋根ユニットの内側に収容された状態で前記脚部を保持する保持部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の変形玩具。
【請求項4】
前記第2の形態において前記第1の部屋の外側で前記屋根ユニットと連なる外側屋根部を備え、
前記外側屋根部は、前記屋根ユニットと対向する部位に係止部を有し、
前記屋根ユニットは、前記第2の形態において前記係止部に係止される被係止部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の変形玩具。
【請求項5】
前記天井部に開口部が設けられ、
前記天井部の裏側において前記開口部と重なる位置に、一端が回動軸により前記天井部の裏側に回動可能に接続されるとともに他端が前記天井部の裏側に配置された形で係合機構により係合された階段状部材が設けられ、
前記係合機構による前記階段状部材の係合が外されることにより、前記階段状部材は、その自重により前記一端が前記回動軸周りに回動して前記他端が前記床部側に下降する、
ことを特徴とする請求項1に記載の変形玩具。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の変形玩具を備える建物玩具。
【請求項7】
前記階段状部材上に載置可能とされる車輪と、人形を保持する人形保持部とを有し、前記係合が外された状態の前記階段状部材上に前記車輪が載置されることにより、前記階段状部材上を滑って下降する乗り物形象体を備え、
前記人形保持部は、人形が配置される座面と、前記座面の第1方向側に立設する第1壁部と、前記座面の第2方向側に立設して前記座面とは反対側に凹んでなる第2壁部と、前記座面の第1方向側に設けられて前記座面側に傾倒自在とされるアーム部と、を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の建物玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形玩具及び建物玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物を模した玩具の一部が変形する変形玩具が提供されている。例えば特許文献1には、樹木を模したフィギアハウスからなる形態変化玩具が開示されている。この形態変化玩具では、樹冠相当部分である階上部分の高さ位置を上下動させることにより、階上部分が第1高さ位置にあるときは2階建てハウスとすることができ、階上部分が第2高さ位置にあるときは屋根裏部屋としての3階が設けられた3階建てハウスとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物を模した玩具において屋根裏に設けられるスケールの小さな屋根裏部屋は、遊戯者である子供にとって秘密の部屋を想起させ、遊び心を駆り立てるものである。しかしながら、特許文献1の形態変化玩具は、階上部分が上下動されることにより、2階建てハウスのときは階上部分の床が2階の床となり、3階建てハウスのときは階上部分の床が3階の床となって当初2階であった部屋が3階となる構成であるため、屋根裏に屋根裏部屋が設けられるような形態変化ではなかった。また、特許文献1の形態変化玩具は、3階建てハウスのときは2階と3階の部屋の大きさがほぼ等しくなるため、小スケールの屋根裏部屋が設けられるような形態変化ではなかった。
【0005】
本発明は、簡易な構成で、屋根裏に小スケールの屋根裏部屋が新たに設けられる形態に変形可能な変形玩具及び建物玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る変形玩具は、床部と天井部との間に設けられた第1の部屋と、屋根ユニットと、を備え、前記屋根ユニットは、該屋根ユニットの下側に出されるとともに該屋根ユニットの内側に出し入れ自在に収容される脚部を有し、前記脚部が前記屋根ユニットの内側に収容された状態で前記屋根ユニットが前記天井部上に配置される第1の形態と、前記脚部が前記屋根ユニットの下側に出された状態で前記屋根ユニットが前記天井部上に配置されることにより前記天井部と前記屋根ユニットとの間に前記第1の部屋よりも高さ寸法が小さな第2の部屋が設けられる第2の形態と、の間で変形可能である。
【0007】
本発明の一つの態様に係る建物玩具は、上記の変形玩具を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成で、屋根裏に小スケールの屋根裏部屋が新たに設けられる形態に変形可能な変形玩具及び建物玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る建物玩具の全体斜視図である。
【
図2】実施形態に係る建物玩具の変形前後の状態を示す斜視図であって、(a)は、第1の形態かつ収納梯子を収納した状態における2階右部屋近傍の斜視図であり、(b)は、第2の形態かつ収納梯子を降ろした状態における2階右部屋近傍の斜視図である。
【
図8】第1の形態における屋根部と2階右屋根を後方から視た斜視図である。
【
図9】第2の形態における屋根部と2階右屋根を後方から視た斜視図である。
【
図10】収納梯子を収納した状態の天井部を下方から視た斜視図である。
【
図12】降ろした収納梯子上を車両が滑る様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1に示す建物玩具1は、2階建てであり、左側部分LBと右側部分RBに分かれている。建物玩具1は、左側部分LBに1階左部屋11及び2階左部屋12を備えており、右側部分RBに1階右部屋21、2階右部屋(第1の部屋)22、及び屋根ユニット30を備えている。建物玩具1の左側部分LBと右側部分RBは、1階左部屋11と1階右部屋21の間に設けられたヒンジ機構40を介して接続されている。
図1では、建物玩具1がヒンジ機構40により左側部分LBと右側部分RBに分割されて両側に開かれた状態を示しており、各部屋11,12,21,22が前方側に開放されている。遊戯者は、各部屋11,12,21,22に形象体や家具を模した玩具を配置して人形遊び等をすることができる。
【0011】
本実施形態では、建物玩具1を
図1に示すような両側に開かれた状態で説明する。以下では、
図1における上側を建物玩具1の上側、その反対側を下側とし、
図1における左側を建物玩具1の左側、その反対側を右側とし、
図1における手前側を建物玩具1の前側、その反対側を後側として説明する。なお、
図1に示すように、建物玩具1が両側に開かれた状態では、遊戯者は、左側部分LBの前方に階段14や左側拡張床15等を、右側部分RBの前方に右側拡張床16等をそれぞれ配置することができる。
【0012】
図2(a)に示すように、屋根ユニット30は、2階右部屋22の天井(以下、「天井部24」という。)の上側に、建物玩具1の右側部分RBの屋根として配置されている。
図2(a)に示す状態では、屋根ユニット30の屋根部36は、2階右部屋22の側壁部分の上側に設けられた屋根(以下、「2階右屋根(外側屋根部)26」という。)と連なっている。
【0013】
一方、
図2(b)に示すように、建物玩具1では、後述する屋根ユニット30の脚部32が下方に出された状態で、屋根ユニット30を天井部24の上側に配置することにより、天井部24の上側に、換言すれば天井部24と屋根ユニット30の屋根部36との間に、2階右部屋22の高さ寸法H1よりも高さ寸法H2が小さな屋根裏部屋(第2の部屋)50を新たに設けることができる。このように建物玩具1は、屋根ユニット30が建物玩具1の右側部分RBの屋根の一部として配置され、2階建てとなる形態(以下、「第1の形態」という。)と、天井部24の上側に屋根裏部屋50が設けられ、3階建てとなる形態(以下、「第2の形態」という。)との間で変形可能となっている。
【0014】
また、建物玩具1では、天井部24の下面24b側(裏側)に収納梯子(階段状部材)70が収納されており(
図9参照)、収納梯子70が収納された状態(
図2(a)参照)から、収納梯子70を2階右部屋22の床(以下、「床部28」という。)側に降ろした状態(
図2(b)参照)へとすることができる。収納梯子70の収納態様については、後で詳しく説明する。なお、天井部24の前端には、天井部24から略直角に屈曲して下方にわずかに延びる屈曲壁部25が設けられており、収納梯子70が収納された状態では、収納梯子70が屈曲壁部25に隠れて前方側から視認できないようになっている。
【0015】
次に、屋根ユニット30の構成について詳しく説明する。
図3に示すように、屋根ユニット30は、一対の脚部32と、屋根部36と、側壁部38とを有しており、これらの各部材が組付けられることにより構成されている。なお、一対の脚部32は、左右対称の構成となっている。
【0016】
図4に示すように、脚部32は、基部32aと、基部32aから階段状に段差をなして連なる板状部32bと、基部32aと板状部32bの間を繋ぐ段差部32cとを有している。脚部32は、その全体が弾性を有する板バネとなっている。基部32aは縦長の細長い板状をなしており、その短手方向における一端側が段差部32cと繋がっている。基部32aの短手方向における他端側には、その前側部分に突起状の前側回動部(回動部)32a1が突設されており、その後側部分に突起状の後側回動部(回動部)32a2が突設されている。前側回動部32a1と後側回動部32a2は同軸上に設けられており、前側回動部32a1は後側回動部32a2よりも一回り大きいサイズとされている。なお、基部32aにおける前側回動部32a1の近傍及び後側回動部32a2の近傍には、突起状の脚部側突起32a3がそれぞれ設けられている。
【0017】
板状部32bは、縦長矩形板状をなしており、その短手方向における一端が段差部32cと繋がっている。板状部32bの端縁のうち段差部32cと繋がる部分を除いた部分には、板状部32bから基部32a側に僅かに隆起する隆起部32dが設けられている。隆起部32dは、脚部32の強度を確保するためのリブとして機能する。また、段差部32cにも、脚部32の強度を確保するための5つの補強リブ32c1が設けられている。板状部32bの短手方向における他端の端縁に設けられた隆起部32d上のうち、板状部32bの長手方向における略中央部分には、外側(段差部32c側とは反対側)に延びる内側当接片32d1が設けられている。また、板状部32bの短手方向における他端には、長手方向の両側からそれぞれ外側に延びる一対の外側当接片32b1が設けられている。
【0018】
図5に示すように、屋根部36は、前方から視て略への字状に傾斜する第1屋根部36aと、第1屋根部36aの後端から後方下側に向かって傾斜する第2屋根部36bとを有している。第1屋根部36aの左右端縁部には、下方に開口するとともに第1屋根部36aの傾斜に沿って延びる嵌合溝部36a1がそれぞれ設けられている。また、第1屋根部36aの左右両端における前方側には、前側受け部36a2がそれぞれ設けられている。前側受け部36a2の裏面側(第2屋根部36bに向けられた側)には、脚部32の前側回動部32a1を受けるための略凹状の窪み(不図示)が設けられている。さらに、前側受け部36a2の裏面側には、上下方向に延びるとともに下方に開口する前側保持溝部36a3が設けられている。
【0019】
第1屋根部36aの内面における略中央部分には、円弧状に屈曲した形で下方に延びる円形状のライト取付部36a4が設けられている。ライト取付部36a4には、例えばライトを模した部材が取り付けられる。一方、第2屋根部36bの後端縁部には、凹状をなす7つの位置決め凹部36b1が左右方向に間隔を空けて設けられている。
【0020】
図6に示すように、側壁部38は、上端が屋根部36の両側端の傾斜に沿った形で傾斜する一対の左右壁部38aと、両左右壁部38aの間を繋ぐ後壁部38bとを有している。各左右壁部38aは、両板面を左右方向に向けた平板状の部材であり、互いに平行となるように対向している。各左右壁部38aの後端下部には、後側に略凹状に窪んでなり、脚部32の前側回動部32a1を受けるための後側受け部38a1がそれぞれ設けられている。また、各左右壁部38aの下端には、下方に開口するとともに前後方向に沿って延びる配置溝部38a2がそれぞれ設けられている(
図3参照)。さらに、後側受け部38a1の下側には、上下方向に延びるとともに下方に開口する後側保持溝部38a3が設けられている。
【0021】
側壁部38の後壁部38bは、両板面を前後方向に向けた横長矩形板状の部材である。後壁部38bの後面には、後側に突出する7つの位置決め凸部38b1が左右方向に間隔を空けて設けられている。また、後壁部38bには窓を模した3つの開口群38b2が等間隔で設けられている。また、左右両側の開口群38b2の近傍には、突起状の後壁側突起(保持部)38b3がそれぞれ設けられている。側壁部38は、第2の形態において屋根裏部屋50の左右側及び後側の壁を構成する。
【0022】
図3に戻り、屋根ユニット30を構成する各部材の組付け態様について説明する。屋根部36の各位置決め凹部36b1に対して側壁部38の各位置決め凸部38b1が嵌合され、屋根部36の嵌合溝部36a1に対して側壁部38の各左右壁部38aの上端が嵌合される。これにより、屋根部36と側壁部38の間が位置決めされた形で両者が組付けられる。
【0023】
各脚部32は、弾性変形された状態で、その後側回動部32a2が側壁部38の各後側受け部38a1に対して回動可能に嵌合され、その前側回動部32a1が屋根部36の各前側受け部36a2に設けられた窪みに対して回動可能に嵌合される。その後、各脚部32は、弾性復帰することにより、側壁部38及び屋根部36に対して取り付けられる。なお、回動可能に組付けられた各脚部32は、その弾性力により空転することが抑制される。
【0024】
以上のようにして組付けられた屋根ユニット30では、各脚部32を前側回動部32a1と後側回動部32a2を結ぶ軸線周りに回動させることができ、各脚部32を回動させて屋根部36の内側に出し入れすることができる。そして、各脚部32の板状部32bが各後壁側突起38b3を乗り越えるまで各脚部32の回動させることにより、各脚部32が略ハの字状となった形で屋根部36の内側に収容された状態(
図1及び
図3参照)、即ち第1の形態となる。これにより、各脚部32が各後壁側突起38b3により略ハの字状に保持され、屋根ユニット30を前方側から視たときに視認できないものとされる。
【0025】
そして、第1の形態から各脚部32を90度以上回動させることにより、各脚部32が天井部24の上面24a(
図7参照)に対して直交する形で下方に出された第2の形態へと変形させることができる(
図2(b)参照)。第2の形態では、各脚部32の前側に設けられた脚部側突起32a3が屋根部36に設けられた前側保持溝部36a3に嵌り込み、各脚部32の後側に設けられた脚部側突起32a3が側壁部38に設けられた後側保持溝部38a3に嵌り込む。これにより、各脚部32が下方に出された状態で保持される。また、第2の形態では、各脚部32の段差部32cが側壁部38の各左右壁部38aにおける下端と当接する。これにより、各脚部32がさらに外側へと回動することが規制される。
【0026】
次に、天井部24に対する屋根ユニット30の配置態様について説明する。
図7に示すように、天井部24は長手状とされており、天井部24の上面24aにおける長手方向両側(左右両側)には、上方に突出するとともに上面視において略コの字状となるように設けられた当接凸部24a1がそれぞれ設けられている。さらに、各当接凸部24a1の内側における前後方向略中央部には、各当接凸部24a1に隣接する形で僅かに凹んでなる配置凹部24a2がそれぞれ設けられている。
【0027】
第1の形態では、屋根ユニット30は、各脚部32が内側に収容され、側壁部38の各配置溝部38a2が下方に露出した状態とされる。この状態では、屋根ユニット30は、各配置溝部38a2が各当接凸部24a1に嵌合される。これにより、屋根ユニット30の側壁部38が左右方向及び前後方向に位置決めされた状態で、屋根ユニット30が天井部24上に固定される。
【0028】
第2の形態では、屋根ユニット30は、各脚部32が下方に出された状態とされる。この状態では、屋根ユニット30は、各脚部32の内側当接片32d1が各配置凹部24a2に嵌合されるとともに当接凸部24a1の内側に当接され、各脚部32の一対の外側当接片32b1が当接凸部24a1の外側に当接される。これにより、内側当接片32d1と一対の外側当接片32b1との間に当接凸部24a1が挟持された状態となり、屋根ユニット30の各脚部32が左右方向及び前後方向に位置決めされた状態で、屋根ユニット30が天井部24上に固定される。
【0029】
天井部24の中央部の右側前方寄りの位置には、天井部24を貫通する形で開口する屋根裏開口部24cが設けられている(
図2(b)参照)。屋根裏開口部24cは、屋根裏開口部24cの開口と略同形状及び略同サイズのカバー部材60が嵌められることにより塞がれている(
図7参照)。
図2(b)に示すように、カバー部材60は、裏面側にテーブルの脚となる4つの突起を有しており、テーブルを模した形態となっている。遊戯者は、屋根裏開口部24cから取り外したカバー部材60を天井部24の上面24a等に配置し、カバー部材60をテーブルに見立てて人形遊び等をすることができる。また、屋根裏開口部24cの開口端の一部には、下側に凹んでなる取り外し凹部24dが設けられている。遊戯者は、この取り外し凹部24dに指等を入れることで、屋根裏開口部24cから容易にカバー部材60を取り外すことができる。
【0030】
次に、屋根ユニット30と2階右屋根26との係止態様について説明する。
図8に示すように、第1の形態では、境界部がほぼ認識できないような形で、屋根ユニット30の屋根部36と2階右屋根26とが連なった状態とされる。
【0031】
一方、
図9に示すように、第2の形態では、屋根ユニット30の側壁部38が後方に露出した状態とされる。ここで、2階右屋根26の上端に設けられた瓦部分の一部には、屋根の丸瓦部分の一端が延長されて形成された係止部26aが設けられている(
図9に示す別窓の拡大図参照)。一方、屋根ユニット30の側壁部38のうち、第2の形態において上記の係止部26aと前後方向において対向する部分には、略半円柱状の溝状に窪み、係止部26aが嵌り込む凹溝38cが設けられている。
【0032】
さらに、屋根ユニット30の側壁部38のうち、第2の形態において上記の係止部26aと左右方向において対向する部分には、側壁部38から略半円柱状に隆起する形状をなし、係止部26aに係止される被係止部38dが設けられている。係止部26aと被係止部38dは左右方向において当接しており、これにより、第2の形態において屋根ユニット30が2階右屋根26に対して左右方向に位置決めされるとともに、脚部32が下方に出された状態の屋根ユニット30の左右方向へのぐらつきが抑制されている。
【0033】
なお、第1の形態において、2階右屋根26が屋根部36と重なる場合に係止部26aと重なる当該屋根部36の部位には、係止部26aが当該部位と干渉することを防止するための屋根側凹み部36b2が設けられている。また、第1の形態において、側壁部38が天井部24の周りの壁面と重なる場合に被係止部38dと重なる当該壁面の部位には、被係止部38dが当該壁面の部位と干渉することを防止するための壁側凹み部24a3(
図7参照)が設けられている。
【0034】
次に、天井部24の下面24b側に収納される収納梯子70の構成及びその収納態様について説明する。
図2(b)及び
図10に示すように、収納梯子70は、全体として縦長の形状をなしており、片側略半分の部分が梯子状の梯子部72となっており、もう片側略半分の部分が斜面状の斜面部74となっている。また、梯子部72の両側のうち斜面部74とは反対側には、収納梯子70の長手方向に沿って溝状に形成された溝部76が設けられている。また、収納梯子70を床部28側に降ろした状態(
図2(b)参照)における収納梯子70の下端部分には、上記の梯子部72、斜面部74、溝部76の下端から床部28に向けて連なるように滑らかに湾曲する凹状の湾曲面70aが設けられている。
【0035】
第2の形態かつ収納梯子70を床部28側に降ろした状態では、遊戯者は、梯子部72を、2階右部屋22と屋根裏部屋50との間を昇降するための階段に見立てて人形遊び等をすることができる。また遊戯者は、斜面部74を、屋根裏部屋50から2階右部屋22に降りるための滑り台に見立てて人形遊び等をすることができる。また遊戯者は、後述するように人形等を乗せた車両玩具80の前輪84及び後輪86を斜面部74及び溝部76に載せ、斜面部74及び溝部76を、当該車両玩具80を屋根裏部屋50から2階右部屋22に滑らせるためのガイドレール等に見立てて人形遊び等をすることができる。
【0036】
図10に示すように、収納梯子70の長手方向における湾曲面70aが設けられた側とは反対側の端部の両側には、外側に向かって軸状に突出する梯子側軸(回動軸)70bがそれぞれ設けられている。また、梯子部72の裏面のうち梯子側軸70b寄りの部分の一部には、下側(
図10における手前側)に向かって突出する突出部70cが設けられている。
【0037】
一方、天井部24の下面24b側には、収納梯子70を回動可能に取り付けるための取付部24e、及び収納梯子70の一端を収納するための収納部(係合機構)24fがそれぞれ設けられている。取付部24eは、横長の開口を有する板状で一対設けられており、それらの開口内に収納梯子70の梯子側軸70bがそれぞれ回動可能に挿通されている。収納部24fは、下面24bに対してコの字型の横長アーチ状に設けられている。アーチ状に設けられた収納部24fの内部には、収納梯子70のうち湾曲面60aが設けられた一端が収納されており、これにより収納梯子70が収納部24fに係合されて天井部24の裏側に配置されている。
【0038】
収納梯子70の一端が収納部24fに収納された状態で収納梯子70を取付部24eの開口に沿ってスライドさせると、収納梯子70の一端が収納部24fから外れるようになっている。収納梯子70の一端が収納部24fから外れると、収納梯子70の自重により両梯子側軸70bがその軸周りに回動して当該一端が床部28側に下降し、収納梯子70の一端が床部28に当接する。このとき、突出部70cが天井部24の下面24bに当接し、これにより、両梯子側軸70bがそれ以上に回動することが規制される。このようにして収納梯子70を床部28側に降ろすことができる。
【0039】
次に、
図11及び
図12を参照して、降ろした収納梯子70上を滑らせて遊ぶことができる独立人形遊び用走行玩具である車両模型(乗り物形象体)80について説明する。
図11に示すように、車両模型80は、四輪車の形状を模した玩具であり、車両本体(人形保持部)82、前方(第1方向)側に設けられた前輪(車輪)84、及び後方(第2方向)側に設けられた後輪(車輪)86を有している。前輪84及び後輪86は、それぞれ独立して回転自在に設けられており、収納梯子70上に載置可能とされる。前輪84及び後輪86は、斜面部74及び溝部76に載置可能な車輪幅とされている。
【0040】
車両本体82は、上方が開放された略箱状をなしており、その内側に人形が配置される平坦面とされた座面82aが設けられている。車両本体82の内側のうち、座面82aの前方側には上方に隆起する隆起部82bが立設されており、座面82aの後方側には後方に傾斜するとともに後方側(座面82aとは反対側)に凹んでなる背もたれ82cが立設されている。隆起部82bの後方側は、座面82a側に向けて傾斜する傾斜面となっている。また、車両本体82の前端部(座面82aの前方側)には、ハンドルを模した略環状をなすアーム部88が設けられている。
【0041】
アーム部88は、略環状のアーム部環状部88aを有している。アーム部88の前端部には、左右方向を軸方向として車両本体82の前端部に回動自在に軸支されたアーム部回動軸88bが設けられており、これによりアーム部88は、座面82a側に向けて傾倒自在とされている。なお、アーム部88は、車両本体82の前端部にアーム部回動軸88bの側面が圧接しながら摺接し、回動するようになっている。このため、アーム部88は、車両本体82から所定の抵抗力を受けながら座面82a側に回動する。
【0042】
図11に示すように、車両模型80では、動物を擬人化させた人形D等を座面82aに載置した状態で、人形Dを車両本体82に保持することができる。例えば、
図11に示す例では、人形Dを座面82aに載置し、人形Dの脚部を隆起部82b上に載せてその先端部を車両本体82の前端部に近接させ、人形Dを後傾させた形でその背中を背もたれ82cに当接させる。そして、アーム部88を回動させて人形Dの胸部から腹部の辺りに当接させる。このとき、アーム部88が回動時に所定の抵抗力を受けることにより、アーム部88のアーム部環状部88aによって人形Dの胸部や腹部を好適に押さえることができる。このようにして、人形Dは、容易に脱落しないように車両模型80に保持される。
【0043】
図12に示すように、車両模型80は、人形Dを保持した状態で、降ろした収納梯子70上を滑らせることができる。ここで、車両模型80では、一対の前輪84の間隔及び一対の後輪86の間隔は、収納梯子70における斜面部74と溝部76との間隔と略等しくされている。このため、車両模型80の前方側を床部28側に向けた姿勢で、降ろした収納梯子70の斜面部74上に右側の前輪84及び右側の後輪86を載置させ、溝部76上に右側の前輪84及び右側の後輪86を載置させて、車両模型80を天井部24側から床部28側に向けて円滑に滑らせることができる。なお、収納梯子70上を滑る車両模型80は、床部28に到達する前に湾曲面70aによりその傾斜角度が緩和されるため、滑った勢いで前方に転倒することがなく、前輪84及び後輪86が床部28上に着地するようになっている。
【0044】
以上説明したように本実施形態の建物玩具1では、屋根ユニット30の各脚部32を回動させて屋根部36の内側に入れた状態で屋根ユニット30を天井部24上に固定することにより、建物玩具1の右側部分RBが2階建てとされた第1の形態とすることができる。そして、第1の形態から各脚部32を回動させて下方に出し、屋根ユニット30を天井部24上に固定することにより、屋根部36の下に2階右部屋22の高さ寸法H1よりも高さ寸法H2が小さな屋根裏部屋50が設けられ、3階建てとされた第2の形態とすることができる。また、第2の形態から各脚部32を内側に入れて屋根ユニット30を天井部24上に固定することにより、再び第1の形態とすることができる。このように建物玩具1は、簡易な構成で、2階建てとされた第1の形態から、屋根裏に小スケールの屋根裏部屋50が新たに設けられた第2の形態へと変形させることができる。
【0045】
以上のような本発明の実施形態によれば、下記の態様の変形玩具及び建物玩具を提供することができる。
【0046】
第1の態様に係る変形玩具は、床部と天井部との間に設けられた第1の部屋と、屋根ユニットと、を備え、前記屋根ユニットは、該屋根ユニットの下側に出されるとともに該屋根の内側に出し入れ自在に収容される脚部を有し、前記脚部が前記屋根の内側に収容された状態で前記屋根ユニットが前記天井部上に配置される第1の形態と、前記脚部が前記屋根ユニットの下側に出された状態で前記屋根ユニットが前記天井部上に配置されることにより前記天井部と前記屋根ユニットとの間に前記第1の部屋よりも高さ寸法が小さな第2の部屋が設けられる第2の形態と、の間で変形可能である。
【0047】
この構成によれば、脚部が屋根ユニットの内側に収容された状態で屋根ユニットが天井部上に配置されることにより第1の形態とすることができる。また、脚部が屋根ユニットの下側に出された状態で屋根ユニットが天井部上に配置されることにより、天井部上に第1の部屋よりも高さ寸法が小さな屋根裏部屋としての第2の部屋が設けられた第2の形態とすることができる。このように、簡易な構成で、第1の形態から、屋根ユニットの下側に第2の部屋が新たに設けられた第2の形態へと変形させることができる。このため、遊戯者は、第1の部屋に加えて第2の部屋にも家具等を模した形象体を数多く配置して人形遊び等をすることができる。
【0048】
第2の態様に係る変形玩具は、前記天井部は長手状をなし、前記脚部は、前記天井部の長手方向の両側にそれぞれ配置されるように前記屋根ユニットに一対設けられるとともに、前記屋根ユニットの内側に回動部により回動可能に接続されている。
【0049】
この構成によれば、脚部が天井部の長手方向の両側に配置されることにより、屋根ユニットを天井部に安定して配置させることができる。また、脚部を回動させることにより屋根ユニットの内側から容易に出し入れすることができ、簡易な構成で第1の形態と第2の形態との間で変形可能とするための具体的な構成を提供することができる。
【0050】
第3の態様に係る変形玩具は、前記屋根ユニットは、前記脚部が前記屋根ユニットの内側に収容された状態で前記脚部を保持する保持部を有する。
【0051】
この構成によれば、保持部により脚部が屋根ユニットの内側に収容された状態で保持されるため、第1の形態から脚部がその自重や衝撃等により回動して屋根ユニットの下方に出てしまうことを防止ないし抑制することができる。
【0052】
第4の態様に係る変形玩具は、前記第2の形態において前記第1の部屋の外側で前記屋根ユニットと連なる外側屋根部を備え、前記外側屋根部は、前記屋根ユニットと対向する部位に係止部を有し、前記屋根ユニットは、前記第2の形態において前記係止部に係止される被係止部を有する。
【0053】
この構成によれば、係止部が被係止部に係止されることにより、第2の形態において屋根ユニットが外側屋根部に対して係止方向に位置決めされるため、屋根ユニットの当該係止方向へのぐらつきを抑制することができる。
【0054】
第5の態様に係る変形玩具は、天井部に開口部が設けられ、前記天井部の裏側において前記開口部と重なる位置に、一端が回動軸により前記天井部の裏側に回動可能に接続されるとともに他端が前記天井部の裏側に配置された形で係合機構により係合された階段状部材が設けられ、前記係合機構による前記階段状部材の係合が外されることにより、前記階段状部材は、その自重により前記一端が前記回動軸周りに回動して前記他端が前記床部側に下降する。
【0055】
この構成によれば、第2の形態において階段状部材を床部側に下降させることにより、遊戯者は、階段状部材を、第1の部屋と第2の部屋との間を昇降するための階段に見立てて人形遊び等をすることができる。
【0056】
第1の態様に係る建物玩具は、上記の変形玩具を備える。
【0057】
この構成によれば、簡易な構成で、第1の形態から第2の部屋が新たに設けられた第2の形態へと変形させることができる建物玩具を実現することができる。
【0058】
第2の態様に係る建物玩具は、前記階段状部材上に載置可能とされる車輪と、人形を保持する人形保持部とを有し、前記係合が外された状態の前記階段状部材上に前記車輪が載置されることにより、前記階段状部材上を滑って下降する乗り物形象体を備え、前記人形保持部は、人形が配置される座面と、前記座面の第1方向側に立設する第1壁部と、前記座面の第2方向側に立設して前記座面とは反対側に凹んでなる第2壁部と、前記座面の第1方向側に設けられて前記座面側に傾倒自在とされるアーム部と、を有する。
【0059】
この構成によれば、人形保持部の座面に人形を配置し、人形の第1方向側を第1壁部に当接させ、人形の第2方向側を第2壁部に当接させて、アーム部を座面側に傾倒させることにより、人形を乗り物形象体に好適に保持することができる。そして、人形が保持された乗り物形象体を係合が外された状態の階段状部材上に滑らせることにより、第2の形態へと変形させた建物玩具において乗り物形象体を用いた人形遊びをすることができ、楽しむことができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、実施形態では、屋根裏開口部を塞ぐカバー部材が1つの部材からなる構成を例示したが、カバー部材が2つの部材からなる構成であってもよい。この場合、一方の部材がテーブルを模した部材とされ、他方の部材が後壁部に立て掛けられるボードを模した部材であってもよい。
【0061】
また、実施形態では、収納梯子をスライドさせることにより収納梯子が収納部から外れて床部側に下降する構成を例示したが、例えば、収納梯子の一部に天井部側に向けて突出する突出部が設けられ、当該突出部が天井部に設けられた開口内に係合されており、その開口から上方に突出する当該突出部の一部を押すことにより、突出部の係合が外れて収納梯子が床部側に下降する構成であってもよい。この場合、収納梯子は、その全体が弾性を有する板バネであってもよい。また、天井部の下面側に、収納梯子を収納する際に位置決めするためのリブを設けてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 建物玩具 11 1階左部屋
12 2階左部屋 14 階段
15 左側拡張床 16 右側拡張床
21 1階右部屋 22 2階右部屋
24 天井部 24a 上面
24a1 当接凸部 24a2 配置凹部
24a3 壁側凹み部 24b 下面
24c 屋根裏開口部 24d 取り外し凹部
24e 取付部 24f 収納部
25 屈曲壁部 26 2階右屋根
26a 係止部 28 床部
30 屋根ユニット 32 脚部
32a 基部 32a1 前側回動部
32a2 後側回動部 32a3 脚部側突起
32b 板状部 32b1 外側当接片
32c 段差部 32c1 補強リブ
32d 隆起部 32d1 内側当接片
36 屋根部 36a 第1屋根部
36a1 嵌合溝部 36a2 前側受け部
36a3 前側保持溝部 36a4 ライト取付部
36b 第2屋根部 36b1 位置決め凹部
36b2 屋根側凹み部 38 側壁部
38a 左右壁部 38a1 後側受け部
38a2 配置溝部 38a3 後側保持溝部
38b 後壁部 38b1 位置決め凸部
38b2 開口群 38b3 後壁側突起
38c 凹溝 38d 被係止部
40 ヒンジ機構 50 屋根裏部屋
60 カバー部材 70 収納梯子
70a 湾曲面 70b 梯子側軸
70c 突出部 72 梯子部
74 斜面部 76 溝部
80 車両模型 82 車両本体
82a 座面 82b 隆起部
82c 背もたれ 84 前輪
86 後輪 88 アーム部
88a 環状部 88b アーム部回動軸
D 人形
H1,H2 高さ寸法
LB 左側部分
RB 右側部分