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▶ ヤンマーホールディングス株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112650
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
E02F9/16 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182067
(22)【出願日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2022014195
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】大津 素晴
(72)【発明者】
【氏名】小山田 保幸
(72)【発明者】
【氏名】馬場 克己
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015EB01
2D015GA01
2D015GB01
(57)【要約】
【課題】コンソールと障害物との干渉を減らすことを目的とする。
【解決手段】建設機械は、ボンネットの上面に設けられ、ボンネットの上面に沿って揺動可能な可動部6と、ボンネットの上面に固定され、可動部6の揺動範囲を規制する固定部5と、可動部6に支持されるコンソールと、を備える。また、建設機械は、可動部6と固定部5とを連結し、可動部6を所定の揺動方向に案内する案内部52を備える。可動部6は、揺動方向の寸法が固定部5よりも大きい開口部62を備え、固定部5は、開口部62に配置されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンネットの上面に設けられ、前記ボンネットの上面に沿って揺動可能な可動部と、
前記ボンネットの上面に固定され、前記可動部の揺動範囲を規制する固定部と、
前記可動部に支持されるコンソールと、を備えることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記可動部と前記固定部とを連結し、前記可動部を所定の揺動方向に案内する案内部を備えることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記可動部は、揺動方向の寸法が前記固定部よりも大きい開口部を備え、
前記固定部は、前記開口部に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記ボンネットの上面に設けられ、前記可動部を揺動可能に支持する揺動軸部を備え、
前記開口部は、前記揺動軸部側がすぼまった台形又は扇形をなしていることを特徴とする請求項3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記ボンネットの上面に設けられ、前記可動部の下面に接触するスペーサを備えることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項6】
前記固定部に設けられた第1部材と、
前記可動部に設けられ、前記第1部材と連結することで前記可動部をロックする第2部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項7】
前記第1部材は、前記可動部の揺動方向の複数箇所に設けられた第1部材孔部を備え、
前記第2部材は、前記第1部材孔部に収容される第2部材突起部を備えることを特徴とする請求項6に記載の建設機械。
【請求項8】
前記可動部は、把持部を備えることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項9】
前記固定部に設けられた第1部材と、
前記可動部に設けられ、前記第1部材と連結することで前記可動部をロックする第2部材と、を備え、
前記把持部は、前記第2部材に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の建設機械。
【請求項10】
前記可動部の揺動方向の一方向に前記可動部を付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項11】
前記第1部材は、複数の前記第1部材孔部の間で前記第2部材突起部を案内する溝部を備えることを特徴とする請求項7に記載の建設機械。
【請求項12】
前記第1部材は、前記第2部材突起部の揺動範囲のいずれか一方の端部に、前記第2部材突起部の揺動を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項7又は11に記載の建設機械。
【請求項13】
前記ボンネットの上面に設けられ、前記可動部を揺動可能に支持する揺動軸部を備え、
前記スペーサは、前記揺動軸部の周囲に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の建設機械。
【請求項14】
前記スペーサは、前記固定部と並んで配置されていることを特徴とする請求項5又は13に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械は、作業機を操作するためのコンソールを備えている。例えば、特許文献1に記載された建設機械は、エンジンを覆うボンネットの上面に運転席が設けられ、運転席の左右にコンソールが設けられている。コンソールは、ジョイスティックと、ジョイスティックの後方に設けられたアームレストと、を備える。コンソールは、プレートを介してボンネットに取り付けられている。
【0003】
コンソールは、プレートの後部に設けられた軸を中心として左右方向に揺動可能である。また、コンソールは、プレートの後部に設けられたヒンジを中心として昇降可能である。コンソールが下げられている場合には、コンソールが運転席から離間した位置にロックされ、且つ、ジョイスティックが操作可能となる。コンソールを跳ね上げる動作と連動してロックが解除されるとともに、コンソールが運転席側に移動し、且つ、ジョイスティックが操作不能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/230749号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された構成では、運転席から離間した位置でのみコンソールが操作可能となるため、空間の幅によっては、コンソールが障害物と干渉して建設機械の走行や作業機の操作ができなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮し、コンソールと障害物との干渉を減らすことのできる建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る建設機械は、ボンネットの上面に設けられ、前記ボンネットの上面に沿って揺動可能な可動部と、前記ボンネットの上面に固定され、前記可動部の揺動範囲を規制する固定部と、前記可動部に支持されるコンソールと、を備える。
【0008】
前記建設機械は、前記可動部と前記固定部とを連結し、前記可動部を所定の揺動方向に案内する案内部を備えていてもよい。
【0009】
前記可動部は、揺動方向の寸法が前記固定部よりも大きい開口部を備え、前記固定部は、前記開口部に配置されていてもよい。
【0010】
前記建設機械は、前記ボンネットの上面に設けられ、前記可動部を揺動可能に支持する揺動軸部を備え、前記開口部は、前記揺動軸部側がすぼまった台形又は扇形をなしていてもよい。
【0011】
前記建設機械は、前記ボンネットの上面に設けられ、前記可動部の下面に接触するスペーサを備えていてもよい。
【0012】
前記建設機械は、前記固定部に設けられた第1部材と、前記可動部に設けられ、前記第1部材と連結することで前記可動部をロックする第2部材と、を備えていてもよい。
【0013】
前記第1部材は、前記可動部の揺動方向の複数箇所に設けられた第1部材孔部を備え、前記第2部材は、前記第1部材孔部に収容される第2部材突起部を備えていてもよい。
【0014】
前記可動部は、把持部を備えていてもよい。
【0015】
前記建設機械は、前記固定部に設けられた第1部材と、前記可動部に設けられ、前記第1部材と連結することで前記可動部をロックする第2部材と、を備え、前記把持部は、前記第2部材に設けられていてもよい。
【0016】
前記建設機械は、前記可動部の揺動方向の一方向に前記可動部を付勢する付勢部材を備えていてもよい。
【0017】
前記第1部材は、複数の前記第1部材孔部の間で前記第2部材突起部を案内する溝部を備えていてもよい。
【0018】
前記第1部材は、前記第2部材突起部の揺動範囲のいずれか一方の端部に、前記第2部材突起部の揺動を規制する規制部を備えていてもよい。
【0019】
前記建設機械は、前記ボンネットの上面に設けられ、前記可動部を揺動可能に支持する揺動軸部を備え、前記スペーサは、前記揺動軸部の周囲に設けられていてもよい。
【0020】
前記スペーサは、前記固定部と並んで配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、コンソールと障害物との干渉を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る建設機械の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る左右のコンソールを運転席から離間させた状態を示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る左右のコンソールを運転席に接近させた状態を示す平面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る可動部、固定部及びコンソールを示す左側面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る可動部、固定部及びコンソールを示す右側面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る可動部、固定部及び跳ね上げたコンソールを示す左側面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る下部フレームを示す斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る図7から第1部材を除いた斜視図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る第1部材を示す斜視図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る接近位置に位置する下部フレーム(第1部材を除く)を示す平面図である。
図11】本発明の第1実施形態に係る離間位置に位置する下部フレーム(第1部材を除く)を示す平面図である。
図12】本発明の第1実施形態に係る接近位置に位置する下部フレーム(第1部材を含む)を示す平面図である。
図13】本発明の第1実施形態に係る離間位置に位置する下部フレーム(第1部材を含む)を示す平面図である。
図14】本発明の第1実施形態に係る接近位置に位置する右側のコンソールの下部フレーム(第1部材を除く)を示す平面図である。
図15】本発明の第1実施形態の変形例に係る第1部材を示す斜視図である。
図16】本発明の第1実施形態の変形例に係るコンソールを示す左側面図である。
図17】本発明の第2実施形態に係る下部フレームを示す斜視図である。
図18】本発明の第2実施形態に係る図7から第1部材を除いた斜視図である。
図19】本発明の第2実施形態に係る第1部材を示す斜視図である。
図20】本発明の第2実施形態に係る接近位置に位置する下部フレーム(第1部材を除く)を示す平面図である。
図21】本発明の第2実施形態に係る接近位置に位置する下部フレーム(第1部材を含む)を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る建設機械1について説明する。
【0024】
図1は、建設機械1の外観を示す斜視図である。建設機械1は、建設現場、解体現場、鉱山等で用いられ、作業者の操作に応じて作業を行う。本実施形態における建設機械1は、土砂の掘削作業などを行う油圧ショベルである。建設機械1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4とを備え、下部走行体2の上方に上部旋回体3が設けられ、上部旋回体3の前部に作業機4が設けられている。
【0025】
下部走行体2は、左右一対のクローラ21と、トラックフレーム22と、ブレード24と、を備えている。一対のクローラ21は、上部旋回体3に設けられたエンジン31から動力を伝達され、建設機械1の走行等を行う。トラックフレーム22は、一対のクローラ21の間に設けられ、上部旋回体3を旋回可能に支持する。ブレード24は、整地作業等に用いられる。
【0026】
上部旋回体3は、エンジン31と、ボンネット32と、運転席33と、走行レバー34と、コンソール35と、を備えている。エンジン31は、ボンネット32で覆われている。運転席33は、ボンネット32の上面に設けられている。走行レバー34は、運転席33の前方に設けられている。コンソール35は、ボンネット32の上面の運転席33の左右にそれぞれ設けられている。走行レバー34は、主に下部走行体2の操作に用いられる。コンソール35は、主に作業機4の操作に用いられる。
【0027】
作業機4は、作業者の操作に応じて土砂の掘削作業、破砕作業、排土作業等の各種作業を行う。作業機4は、上部旋回体3に設けられ、ブーム41と、アーム42と、アタッチメント43と、を備えている。本実施形態では、アタッチメント43として、掘削作業用のバケットが設けられているが、ブレーカ、オーガ等が設けられていてもよい。建設機械1は、ブーム41、アーム42、アタッチメント43をそれぞれ駆動する油圧アクチュエータ41A、42A、43Aを備えている。建設機械1は、エンジン31が発生した動力により駆動された油圧ポンプ(図示省略)によって作動油をタンク(図示省略)から油圧アクチュエータ41A、42A、43Aへ供給し、油圧ポンプによって加圧されるとともにコントロールバルブ(図示省略)によって方向や流量が規制された作動油を動力伝達媒体として油圧アクチュエータ41A、42A、43Aを駆動する。
【0028】
ブーム41は、上部旋回体3にスイングポスト40を介して設けられており、上部旋回体3に対して旋回可能である。アーム42は、ブーム41の先端に取り付けられ、水平軸を支点として揺動可能である。アタッチメント43は、アーム42の先端に設けられ、水平軸を支点として揺動可能である。
【0029】
次に、建設機械1について詳細に説明する(図1乃至13参照)。建設機械1は、ボンネット32の上面に設けられ、ボンネット32の上面に沿って揺動可能な可動部6と、ボンネット32の上面に固定され、可動部6の揺動範囲を規制する固定部5と、可動部6に支持されるコンソール35と、を備える。
【0030】
[コンソール]
図2は、左右のコンソール35を運転席33から離間させた状態(離間位置という)を示す平面図である。図3は、左右のコンソール35を運転席33に接近させた状態(接近位置という)を示す平面図である。なお、左右のコンソール35は、一部を除いて共通の構成を有するため、以下では、左側のコンソール35について説明する。右側のコンソール35については、左側のコンソール35の説明後に、左側のコンソール35との相違点を説明する。
【0031】
図4、6は、可動部6、固定部5及びコンソール35を示す左側面図である。図5は、可動部6、固定部5及びコンソール35を示す右側面図である。このうち、図4、5は、コンソール35を下げた状態(下降位置という)を示し、図6は、コンソール35を跳ね上げた状態(上昇位置という)を示す。コンソール35には、作動油の連通遮断を制御するカットオフスイッチ(図示省略)が設けられており、コンソール35の昇降動作によってカットオフスイッチがオンオフするようになっている。そのため、コンソール35の昇降と連動して油圧ポンプから油圧アクチュエータ41A、42A、43Aへ作動油が供給又は遮断される。下降位置においては、ジョイスティック92の操作に応じたパイロット油がコントロールバルブに供給される。コントロールバルブではパイロット油の制御に応じた方向、流量で作動油を油圧アクチュエータ41A、42A、43Aに供給する。これにより、ジョイスティック92を用いた作業機4の操作が可能となる。一方、上昇位置においては、コントロールバルブへのパイロット油の供給が遮断されることから、ジョイスティック92を用いた作業機4の操作が不能となる。
【0032】
ボンネット32の上面には、下部フレーム60が設けられている。下部フレーム60は、上部フレーム80を支持する。上部フレーム80は、コンソール35を支持する。コンソール35は、コンソール基部91と、ジョイスティック92と、アームレスト93と、を備える。下部フレーム60と上部フレーム80は、カバー(図示省略)で覆われている。
【0033】
図7は、下部フレーム60を示す斜視図である。図8は、図7から第1部材51を除いた斜視図である。図9は、第1部材51を示す斜視図である。図10は、接近位置に位置する下部フレーム60(第1部材51を除く)を示す平面図である。図11は、離間位置に位置する下部フレーム60(第1部材51を除く)を示す平面図である。図12は、接近位置に位置する下部フレーム60(第1部材51を含む)を示す平面図である。図13は、離間位置に位置する下部フレーム60(第1部材51を含む)を示す平面図である。
【0034】
[可動部]
下部フレーム60は、可動部6の一例である。下部フレーム60は、ボンネット32の上面に沿って設けられる底部60Bと、底部60Bの左端部から上方に設けられた左側壁部60Lと、底部60Bの右端部から上方に設けられた右側壁部60Rと、を備える。左側壁部60Lの後端部には、上方に直立した直立部60Uが設けられている。直立部60Uの上端部には、前方に突出した前方突出部60Fが設けられている。
【0035】
底部60Bの後部には、上下方向に貫通した揺動軸孔部61が設けられている。揺動軸孔部61の上方には、上部フレーム80を支持する昇降軸部66が設けられている。昇降軸部66は、左側壁部60Lと右側壁部60Rによって支持されている。底部60Bの中央部には、上下方向に貫通した開口部62が設けられている。底部60Bの前部には、第2部材71と把持部72が設けられている。
【0036】
ボンネット32の上面には、板状の台座部57が接合されている(図4乃至6参照)。台座部57の上面には、揺動軸部55と、スペーサ56と、凸部50と、が設けられている。揺動軸部55は、下部フレーム60の底部60Bの揺動軸孔部61に収容されている。この構成により、下部フレーム60は、揺動軸部55を中心として、ボンネット32の上面に沿って揺動可能となっている。スペーサ56は、揺動軸部55の周囲に円環状に設けられている。スペーサ56の上面は、揺動軸部55の上面よりも低くなっている。スペーサ56の上面が下部フレーム60の底部60Bの下面に接触することで、下部フレーム60と台座部57との間にスペーサ56の厚みに等しい間隙が形成される。
【0037】
[固定部]
凸部50は、固定部5の一例である。凸部50は、揺動軸部55の前方に設けられた直方体状の部材である。凸部50は、台座部57に接合されている。下部フレーム60の底部60Bの開口部62は、全体として、後部がすぼまった台形又は扇形をなしている。具体的には、開口部62は、互いに前後方向に対向する前縁部62Fr及び後縁部62Rrと、互いに左右方向に対向する左縁部62L及び右縁部62Rと、を有する。左縁部62Lと右縁部62Rとの距離は、前方ほど広くなっている。この例では、左縁部62Lと右縁部62Rの中央部が内側に突出しているが、左縁部62Lと右縁部62Rは、直線状に形成されていてもよい。開口部62の左右方向の寸法は、前後方向の全域にわたって、凸部50よりも大きい。開口部62には、凸部50が配置されている。開口部62の左縁部62L又は右縁部62Rが凸部50に接触することで、下部フレーム60の揺動が止まる。
【0038】
なお、左縁部62Lと右縁部62Rの突出部分の突出量は適宜調整可能となっており、本実施形態ではコンソール35の位置決め可能な突出量になっている。具体的には、左縁部62Lの突出部分を凸部50に当接させることで、コンソール35が運転席33に接近した状態となり(図10参照)、この状態で把持部72を操作すると、第2部材突起部71Pが右側の第1部材孔部51Hに挿入される(図12参照)。他方、右縁部62Rの突出部分を凸部50に当接させることで、コンソール35が運転席33から離間した状態となり(図11参照)、この状態で把持部72を操作すると、第2部材突起部71Pが左側の第1部材孔部51Hに挿入される(図13参照)。
【0039】
第1部材51は、凸部50の上面にボルトで締結されている。第1部材51は、前後方向を長手方向とする板状の部材である。第1部材51の前部51Frと後部51Rrは、中央部51Cよりも高い位置にある。前部51Frと中央部51Cとの間には、後方ほど低くなる傾斜部が設けられている。後部51Rrと中央部51Cとの間には、前方ほど低くなる傾斜部が設けられている。
【0040】
第1部材51の前部51Frには、左右方向の2箇所に、上下方向に貫通した第1部材孔部51Hが形成されている。前部51Frのうち、第1部材孔部51Hの後方の部位の下面には、下方に突出した案内部52が設けられている。案内部52は、左右方向に貫通した案内孔部52Hを有する。案内孔部52Hは、前後方向に細長い長孔である。なお、説明の便宜上、図10、11には、案内部52が単独で描かれているが、実際には、案内部52は第1部材51と一体である。
【0041】
第1部材51の後部51Rrは、揺動軸部55の上方に位置している。後部51Rrの下面は、揺動軸部55の上面と接触していてもよく、揺動軸部55の上面との間に1mm程度の間隙を有していてもよい。後部51Rrは、下部フレーム60の浮き上がりによって下部フレーム60が揺動軸部55から抜けることを防ぐ。
【0042】
下部フレーム60の右側壁部60Rには、左方に突出した棒状部材75が設けられている。棒状部材75の左端部は、案内部52の案内孔部52Hに収容されている。この構成により、下部フレーム60が所定の揺動方向に案内される。所定の揺動方向とは、棒状部材75の長手方向であり、換言すれば、揺動軸部55を中心とする円周方向である。なお、棒状部材75は下部フレーム60の右側壁部60Rから左側壁部60Lまで延設させることもできるが、下部フレーム60の右側壁部60Rもしくは左側壁部60Lに設けて、他方を案内孔部52Hに収容することで、他の部材との干渉を回避することができ、レイアウトの自由度を向上させることができる。また、棒状部材75の右側壁部60Rおよび案内部52との取付位置をボルト等の締結部材により、変更可能とすることもできる。これにより、棒状部材75の取付位置により、コンソール35の左右方向への揺動可能な範囲を規制することができる。
【0043】
棒状部材75の周囲には、付勢部材76が設けられている。具体的には、付勢部材76は、右側壁部60Rと案内部52との間に設けられている。付勢部材76は、例えば、圧縮コイルばねである。これにより、付勢部材76は、図10図11に示すように、案内部52に対して下部フレーム60を右方、すなわち、運転席33に接近する方向に付勢する。この構成によれば、運転者がコンソール35の拡縮操作をしない場合には、コンソール35は運転席33に近接した状態に保持されるため、コンソール35が建設機械1の機体幅の外側に突出することが防止され、建設機械1の走行動作等により周囲の障害物とコンソール35が接触することが防止される。
【0044】
なお、本実施形態では、付勢部材76を、下部フレーム60を運転席33に接近する方向に付勢するように配設したが、逆に下部フレーム60を運転席33から離間する方向に付勢するように配設してもよい。本実施形態では、下部フレーム60を運転席33に接近する方向に付勢することで、より労力を要するコンソール35を運転席33に引き寄せる動作の労力を軽減させることができる。
【0045】
第2部材71は、前後方向を長手方向とする部材である。第2部材71の後端部には、上方に突出した第2部材突起部71Pが設けられている。第2部材71の前端部は、下部フレーム60の底部60Bに設けられた第2部材支持部71Sによって支持されている。第2部材71は、第2部材支持部71Sを中心として上下方向に揺動可能である。第2部材71は、第2部材支持部71Sに設けられた捩りコイルばね73によって上方に付勢されている。第2部材71が上方に付勢されることで、第2部材突起部71Pが第1部材孔部51Hに連結され、下部フレーム60の揺動がロックされる。
【0046】
把持部72は、第2部材71の前端部から前方に突出している。把持部72は第2部材71と剛結合されているため、把持部72を引き上げることで、第2部材71が下方に揺動して第2部材突起部71Pが第1部材孔部51Hから外れ、下部フレーム60のロックが解除される。
【0047】
次に、上部フレーム80について説明する。上部フレーム80は、コンソール基部91を支持する。上部フレーム80は、コンソール基部91の左下方に設けられた左脚部80Lと、コンソール基部91の右後下方に設けられた右後脚部80RRと、コンソール基部91の右前下方に設けられた右前脚部80RFと、を備える。
【0048】
右後脚部80RRは、昇降軸部66に結合されている。右前脚部80RFと下部フレーム60の右側壁部60Rとに、ダンパー83が連結されている。左連結部材81は、板状の部材である。左連結部材81の一端部は、ピン81Pを介して左脚部80Lと連結されている。左連結部材81の他端部側には、S字状のスリット81Sが設けられている。下部フレーム60の直立部60Uは、左方に突出したボス63を備える。ボス63は、スリット81Sに収容されている。ボス63にはブッシュが設けられており、このブッシュが回転することで、ボス63はスリット81S内を円滑に移動できる。左連結部材81の他端部と下部フレーム60の前方突出部60Fとに、引張コイルバネ82が連結されている。左脚部80Lと右前脚部80RFとの間には、上下方向に回動可能な回動軸(図示しない)が設けられ、この回動軸に把持部84が軸支されている。把持部84を上げ下げする操作により、上部フレーム80及びコンソール35が昇降軸部66を中心として昇降する。具体的には、把持部84を下降位置から持ち上げるとピン81Pは昇降軸部66を支点として上方向に回動し、ある時点から、昇降軸部66を支点とした回動に切り替わる。
【0049】
前述のとおり、下降位置においては、油圧ポンプが作動し、コンソール35を用いた作業機4の操作が可能となる。一方、上昇位置においては、油圧ポンプが停止され、コンソール35を用いた作業機4の操作が不能となる。昇降軸部66を中心とするコンソール35の昇降動作は、揺動軸部55を中心とするコンソール35の揺動動作から独立している。従って、コンソール35の揺動範囲内の任意の位置で、コンソール35を用いた作業機4の操作、及び、コンソール35の昇降が可能であるが、第2部材突起部71Pを第1部材孔部51Hに連結することでコンソール35の位置が固定されるため、操作及び昇降の安定性が向上する。
【0050】
次に、右側のコンソール35の左側のコンソール35との相違点について説明する。図14は、接近位置に位置する右側のコンソール35の下部フレーム60(第1部材51を除く)を示す平面図である。同図に示される下部フレーム60は、図10に示される左側のコンソール35の下部フレーム60と対をなすものである。
【0051】
前述のとおり、左側の下部フレーム60においては(図10参照)、棒状部材75と付勢部材76が下部フレーム60の右側の部分に設けられている。一方、右側の下部フレーム60においては、棒状部材75と付勢部材76が下部フレーム60の左側の部分に設けられている。
【0052】
下部フレーム60の左側壁部60Lには、右方に突出した棒状部材75が設けられている。棒状部材75の右端部は、案内部52の案内孔部52Hに収容されている。この構成により、下部フレーム60が所定の揺動方向に案内される。棒状部材75の周囲には、付勢部材76が設けられている。付勢部材76は、案内部52を介して下部フレーム60を左方、すなわち、運転席33に接近する方向に付勢する。
【0053】
以上説明した本実施形態に係る建設機械1によれば、ボンネット32の上面に設けられ、ボンネット32の上面に沿って揺動可能な可動部6と、ボンネット32の上面に固定され、可動部6の揺動範囲を規制する固定部5と、可動部6に支持されるコンソール35と、を備える。この構成によれば、コンソール35が機体の外側に突出しないようにすることができるから、建設機械1の走行中のコンソール35と障害物との干渉を減らすことができる。また、コンソール35と障害物との干渉のおそれがない場合には、左右のコンソール35間の空間を拡縮できる。また、本実施形態に係る建設機械1によれば、可動部6の揺動範囲内の任意の位置でコンソール35を操作することができる。また、本実施形態に係る建設機械1によれば、コンソール35をカバーで覆うことで、コンソール35を昇降させたときに限りコンソール35を左右方向(本機幅方向)に揺動させることができる。これにより、オペレータの意図しない左右方向への揺動を防止することができる。また、コンソール35の把持部72をカバーで覆うことことなく露出させることで、コンソール35が下降位置にある場合でも、把持部72を操作できることから、コンソール35を昇降させなくてもコンソール35を左右方向に揺動させることができる。
【0054】
また、本実施形態に係る建設機械1によれば、可動部6と固定部5とを連結し、可動部6を所定の揺動方向に案内する案内部52を備えるから、可動部6の揺動を安定させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る建設機械1によれば、可動部6は、揺動方向の寸法が固定部5よりも大きい開口部62を備え、固定部5は、開口部62に配置されているから、簡潔な構成で可動部6の揺動範囲を規制することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る建設機械1によれば、ボンネット32の上面に設けられ、可動部6を揺動可能に支持する揺動軸部55を備え、開口部62は、揺動軸部55側がすぼまった台形又は扇形をなしているから、コンソール35を揺動させる操作が容易になる。
【0057】
また、本実施形態に係る建設機械1によれば、ボンネット32の上面に設けられ、可動部6の下面に接触するスペーサ56を備えるから、可動部6を円滑に揺動させることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る建設機械1によれば、固定部5に設けられた第1部材51と、可動部6に設けられ、第1部材51と連結することで可動部6をロックする第2部材71と、を備えるから、コンソール35の位置を固定することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る建設機械1によれば、第1部材51は、可動部6の揺動方向の複数箇所に設けられた第1部材孔部51Hを備え、第2部材71は、第1部材孔部51Hに収容される第2部材突起部71Pを備えるから、コンソール35を複数の位置に固定することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る建設機械1によれば、可動部6は、把持部72を備えるから、コンソール35を揺動させる操作が容易になる。
【0061】
また、本実施形態に係る建設機械1によれば、固定部5に設けられた第1部材51と、可動部6に設けられ、第1部材51と連結することで可動部6をロックする第2部材71と、を備え、把持部72は、第2部材71に設けられているから、ロック及びロック解除の操作が容易になる。
【0062】
また、本実施形態に係る建設機械1によれば、可動部6の揺動方向の一方向に可動部6を付勢する付勢部材76を備えるから、コンソール35を運転席33に近接する側へ揺動させる労力が軽減される。
【0063】
また、本実施形態に係る建設機械1によれば、ボンネット32の上面に設けられ、可動部6を揺動可能に支持する揺動軸部55を備え、スペーサ56は、揺動軸部55の周囲に設けられているから、可動部6を円滑に揺動させることができる。
【0064】
[第1実施形態の変形例]
上記第1実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0065】
図15は、変形例に係る第1部材51を示す斜視図である。第1部材51は、複数の第1部材孔部51Hの間で第2部材突起部71Pを案内する溝部53を備える。溝部53は、第1部材51の前部51Frの下面に、複数の第1部材孔部51Hを結ぶように設けられている。この構成によれば、第2部材71を円滑に揺動させることができる。
【0066】
また、第1部材51は、可動部6の揺動範囲の両端部に、第2部材突起部71Pの移動を規制する規制部54を備える。規制部54は、第1部材51の前部51Frの下面から突出している。右側の第1部材孔部51Hの右方と、左側の第1部材孔部51Hの左方と、に規制部54が設けられている。この構成によれば、第2部材突起部71Pが揺動範囲から逸脱することを防ぐことができる。なお、規制部54は、可動部6の揺動範囲のいずれか一方の端部にのみ設けることもでき、例えば、付勢部材76によって付勢される側の端部にのみ設けることもできる。
【0067】
図16は、変形例に係るコンソール35を示す左側面図である。コンソール35は、上記実施形態のスペーサ56に加えて、固定部5に隣接するスペーサ58を備える。この構成によれば、固定部5側にも間隙が形成されるから、コンソール35の重心が前方に偏った場合でもコンソール35を安定して支持することができ、可動部6を円滑に揺動させることができる。
【0068】
上記実施形態では、コンソール35が揺動軸部55を中心として揺動する例が示されたが、コンソール35が左右方向にスライドするように構成されていてもよい。例えば、揺動軸部55に代えて、ボンネット32の上面に設けられた左右方向を長手方向とするレール又は溝に沿って下部フレーム60が摺動するように構成されていてもよい。この構成によっても、コンソール35と障害物との干渉を減らすことを目的とする。
【0069】
上記実施形態では、可動部6の揺動方向の2箇所に第1部材孔部51Hが設けられている例が示されたが、揺動方向の3箇所以上に第1部材孔部51Hが設けられていてもよい。
【0070】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る建設機械1について説明する。以下、第1実施形態に対する第2実施形態の主な相違点である下部フレーム160について説明する。図17は、下部フレーム160を示す斜視図である。図18は、図17から第1部材151を除いた斜視図である。図19は、第1部材151を示す斜視図である。図20は、接近位置に位置する下部フレーム160(第1部材151を除く)を示す平面図である。図21は、接近位置に位置する下部フレーム160(第1部材151を含む)を示す平面図である。
【0071】
[可動部]
下部フレーム160は、可動部106の一例である。下部フレーム160は、ボンネット32の上面に沿って設けられる底部160Bと、底部160Bの左端部から上方に設けられた左側壁部160Lと、底部160Bの右端部から上方に設けられた右側壁部160Rと、を備える。左側壁部160Lの後端部には、上方に直立した直立部160Uが設けられている。直立部160Uの上端部には、前方に突出した前方突出部160Fが設けられている。
【0072】
底部160Bの後部には、上下方向に貫通した揺動軸孔部161が設けられている。底部160Bの中央部には、上下方向に貫通した開口部162(図18、20、21参照)が設けられている。底部160Bの前部には、第2部材171と把持部172が設けられている。なお、揺動軸孔部161の上方には、第1実施形態の昇降軸部66と同様の構成が設けられているが、説明は省略する。
【0073】
ボンネット32の上面には、板状の台座部157が接合されている。台座部157の上面には、揺動軸部155と、凸部150と、が設けられている。揺動軸部155は、下部フレーム160の底部160Bの揺動軸孔部161に収容されている。この構成により、下部フレーム160は、揺動軸部155を中心として、ボンネット32の上面に沿って揺動可能となっている。なお、台座部157の上面には、第1実施形態のスペーサ56と同様の構成が設けられているが、説明は省略する。
【0074】
[固定部]
凸部150(図18、20参照)は、固定部105の一例である。凸部150は、揺動軸部155の前方に設けられた直方体状の部材である。凸部150は、台座部157に接合されている。下部フレーム160の底部160Bの開口部162は、全体として、後部がすぼまった台形又は扇形をなしている。具体的には、開口部162は、互いに前後方向に対向する前縁部162Fr及び後縁部162Rrと、互いに左右方向に対向する左縁部162L及び右縁部162Rと、を有する。左縁部162Lと右縁部162Rとの距離は、前方ほど広くなっている。この例では、左縁部162Lと右縁部162Rが直線状に形成されているが、左縁部162Lと右縁部162Rの中央部が内側に突出していてもよい。なお、下部フレーム160を左右方向に直線的に揺動させる場合には、開口部162の左縁部162Lと右縁部162Rの間隔は前後方向に渡って均等でもよい。開口部162の左右方向の寸法は、前後方向の全域にわたって、凸部150よりも大きい。開口部162には、凸部150が配置されている。開口部162の左縁部162L又は右縁部162Rが凸部150に接触することで、下部フレーム160の揺動が止まる。
【0075】
第1部材151(図17、19、21参照)は、凸部150の上面にボルトで締結されている。第1部材151は、前後方向を長手方向とする板状の部材である。第1部材151の後部151Rrは、中央部151C及び前部151Frよりも高い位置にある。後部151Rrと中央部151Cとの間には、前方ほど低くなる傾斜部が設けられている。
【0076】
第1部材151の前部151Frには、左右方向の2箇所に、上下方向に貫通した第1部材孔部151Hが形成されている。前部151Frのうち、第1部材孔部151Hの後方の部位の上面には、上方に突出した案内部152が設けられている。案内部152は、左右方向に貫通した案内孔部152Hを有する。案内孔部152Hは、前後方向に細長い長孔である。
【0077】
第1部材151の後部151Rrは、揺動軸部155の上方に位置している。後部151Rrの下面は、揺動軸部155の上面と接触していてもよく、揺動軸部155の上面との間に1mm程度の間隙を有していてもよい。後部151Rrは、下部フレーム160の浮き上がりによって下部フレーム160が揺動軸部155から抜けることを防ぐ。
【0078】
下部フレーム160の上面には、開口部162の右前方に、上方に突出した支持部167が設けられている。支持部167には、左方に突出した棒状部材175が設けられている。棒状部材175の左端部は、案内部152の案内孔部152Hに収容されている。この構成により、下部フレーム160が所定の揺動方向に案内される。所定の揺動方向とは、棒状部材175の長手方向であり、換言すれば、揺動軸部155を中心とする円周方向である。
【0079】
棒状部材175の周囲には、付勢部材176が設けられている。具体的には、付勢部材176は、支持部167と案内部152との間に設けられている。付勢部材176は、例えば、圧縮コイルばねである。これにより、付勢部材176は、案内部152に対して下部フレーム160を右方、すなわち、運転席33に接近する方向に付勢する。この構成によれば、運転者がコンソール35の拡縮操作をしない場合には、コンソール35は運転席33に近接した状態に保持されるため、コンソール35が建設機械1の機体幅の外側に突出することが防止され、建設機械1の走行動作等により周囲の障害物とコンソール35が接触することが防止される。
【0080】
なお、本実施形態では、付勢部材176を、下部フレーム160を運転席33に接近する方向に付勢するように配設したが、逆に下部フレーム160を運転席33から離間する方向に付勢するように配設してもよい。本実施形態では、下部フレーム160を運転席33に接近する方向に付勢することで、より労力を要するコンソール35を運転席33に引き寄せる動作の労力を軽減させることができる。
【0081】
第2部材171は、前後方向を長手方向とする部材である。第2部材171の後端部には、下方に突出した第2部材突起部171Pが設けられている(図17、18参照)。第2部材171の前端部は、下部フレーム160の底部160Bに設けられた第2部材支持部171Sによって支持されている。第2部材171は、第2部材支持部171Sを中心として上下方向に揺動可能である。第2部材171は、第2部材支持部171Sに設けられた捩りコイルばね173によって下方に付勢されている。第2部材171が下方に付勢されることで、第2部材突起部171Pが第1部材孔部151Hに係合し、下部フレーム160の揺動がロックされる。
【0082】
把持部172は、第2部材171から上方に突出している。把持部172を前方に倒すことで、第2部材171が上方に揺動して第2部材突起部171Pが第1部材孔部151Hから外れ、下部フレーム160のロックが解除される。
【0083】
規制部159(図19参照)は、第1部材151の前部の上面に設けられている。規制部159は、右側の第1部材孔部151Hの右方に設けられた突出部159Pと、左側の第1部材孔部151Hの左方に設けられた突出部159Pと、左右の突出部159Pの上端部同士をつなぐ連結部159Cと、を備える。下部フレーム160を右方に揺動させる場合、第2部材171が右側の突出部159Pに接触することで、下部フレーム160の右方への揺動が規制される。下部フレーム160を左方に揺動させる場合、第2部材171が左側の突出部159Pに接触することで、下部フレーム160の左方への揺動が規制される。なお、連結部159Cは設けられていなくてもよい。
【0084】
以上説明した本実施形態によれば、把持部172が第2部材171から上方に突出しているから、第1実施形態と比べて下部フレーム160の前後長を短縮することができる。また、第1実施形態と比べて第1部材151の形状が簡素であるから、加工が容易である。また、右側壁部160Rとは別に設けられた支持部167によって棒状部材175が支持されるから、右側壁部160Rを小型化することができる。また、規制部159が設けられているから、下部フレーム160の揺動範囲を規制することができる。
【0085】
また、第1部材孔部151Hに対して第2部材突起部171Pを上方から係合させることで、把持部172を第2部材171の上部に配置することが可能となる。把持部172を第2部材171の上部に配置することで、コンソール35の前方への突出を抑制することができ、その結果、コンソール35をコンパクト化することができる。また、コンソール35を跳ね上げた際に、コンソール35の前方の空間を広く確保することができるため、運転者の乗降時のスペースを確保することができ、乗降動作が容易になる。また、上記構成とすることで、コンソール35の前方の空間を広く確保するとともに、運転者と把持部172との距離を縮めることができるため、把持部172を使用した下部フレーム160の左右方向への揺動操作が容易になる。さらには、かかる構成とすることで、把持部72を支持棒を介することなく第2部材71に直接取り付けることが可能となり部品点数を削減することができる。第1部材孔部151Hに対して第2部材突起部171Pを上方から係合させることで、把持部172を第2部材171の上部に配置することが可能となる。
【0086】
<付記>
本発明は、以下のように特定することができる。
【0087】
<付記1>
ボンネットの上面に設けられ、前記ボンネットの上面に沿って揺動可能な可動部と、
前記ボンネットの上面に固定され、前記可動部の揺動範囲を規制する固定部と、
前記可動部に支持されるコンソールと、を備えることを特徴とする建設機械。
【0088】
<付記2>
前記可動部と前記固定部とを連結し、前記可動部を所定の揺動方向に案内する案内部を備えることを特徴とする付記1に記載の建設機械。
【0089】
<付記3>
前記可動部は、揺動方向の寸法が前記固定部よりも大きい開口部を備え、
前記固定部は、前記開口部に配置されていることを特徴とする付記1又は2に記載の建設機械。
【0090】
<付記4>
前記ボンネットの上面に設けられ、前記可動部を揺動可能に支持する揺動軸部を備え、
前記開口部は、前記揺動軸部側がすぼまった台形又は扇形をなしていることを特徴とする付記3に記載の建設機械。
【0091】
<付記5>
前記ボンネットの上面に設けられ、前記可動部の下面に接触するスペーサを備えることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1つに記載の建設機械。
【0092】
<付記6>
前記固定部に設けられた第1部材と、
前記可動部に設けられ、前記第1部材と連結することで前記可動部をロックする第2部材と、を備えることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1つに記載の建設機械。
【0093】
<付記7>
前記第1部材は、前記可動部の揺動方向の複数箇所に設けられた第1部材孔部を備え、
前記第2部材は、前記第1部材孔部に収容される第2部材突起部を備えることを特徴とする付記6に記載の建設機械。
【0094】
<付記8>
前記可動部は、把持部を備えることを特徴とする付記1乃至7のいずれか1つに記載の建設機械。
【0095】
<付記9>
前記固定部に設けられた第1部材と、
前記可動部に設けられ、前記第1部材と連結することで前記可動部をロックする第2部材と、を備え、
前記把持部は、前記第2部材に設けられていることを特徴とする付記8に記載の建設機械。
【0096】
<付記10>
前記可動部の揺動方向の一方向に前記可動部を付勢する付勢部材を備えることを特徴とする付記1乃至9のいずれか1つに記載の建設機械。
【0097】
<付記11>
前記第1部材は、複数の前記第1部材孔部の間で前記第2部材突起部を案内する溝部を備えることを特徴とする付記7に記載の建設機械。
【0098】
<付記12>
前記第1部材は、前記第2部材突起部の揺動範囲のいずれか一方の端部に、前記第2部材突起部の揺動を規制する規制部を備えることを特徴とする付記7又は11に記載の建設機械。
【0099】
<付記13>
前記ボンネットの上面に設けられ、前記可動部を揺動可能に支持する揺動軸部を備え、
前記スペーサは、前記揺動軸部の周囲に設けられていることを特徴とする付記5に記載の建設機械。
【0100】
<付記14>
前記スペーサは、前記固定部と並んで配置されていることを特徴とする付記5又は13に記載の建設機械。
【符号の説明】
【0101】
1 建設機械
5 固定部
6 可動部
32 ボンネット
35 コンソール
51 第1部材
51H 第1部材孔部
52 案内部
53 溝部
54 規制部
55 揺動軸部
56 スペーサ
58 スペーサ
62 開口部
71 第2部材
71P 第2部材突起部
72 把持部
76 付勢部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21