(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112663
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】車内適応音質出力方法、装置、記憶媒体及び車載音響システム
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20230804BHJP
H04R 3/04 20060101ALI20230804BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20230804BHJP
B60R 11/02 20060101ALN20230804BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04R3/04
G10K15/04 304H
B60R11/02 S
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022209436
(22)【出願日】2022-12-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210094610.7
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(71)【出願人】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 舒▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】孟 ▲義▼明
(72)【発明者】
【氏名】尹 昊
【テーマコード(参考)】
3D020
5D220
【Fターム(参考)】
3D020BA10
3D020BE03
5D220AA01
5D220AB01
5D220AB08
(57)【要約】
【課題】本発明は車内適応音質出力方法、装置、記憶媒体及び車載音響システムに関する。
【解決手段】方法はユーザから入力された現在の音量レベルを取得することと、現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定することと、オーディオ信号ゲイン差、現在の音量レベル及び基準音量レベルに基づいて、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定することと、等ラウドネス曲線差及び予め記憶された基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定することと、現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定することとを含む。本発明の解決手段は、音声品質効果を最適化し、ユーザの音響体験を向上させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内適応音質出力方法であって、
ユーザから入力された現在の音量レベルを取得することと、
前記現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定することと、
前記オーディオ信号ゲイン差、前記現在の音量レベル及び前記基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定することと、
前記等ラウドネス曲線差、及び予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定することと、
前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定することとを含む、ことを特徴とする車内適応音質出力方法。
【請求項2】
前記現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定することは、
前記現在の音量レベルに基づいて、予め設定されたゲインテーブルを用いて検索し、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値を取得することと、
予め設定された基準音量レベルに基づいて、予め設定されたゲインテーブルを用いて検索し、前記基準音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値を取得することと、
前記基準音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値と前記現在の音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値との差分演算を行い、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を得ることとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の車内適応音質出力方法。
【請求項3】
前記オーディオ信号ゲイン差、前記現在の音量レベル及び前記基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定することは、
前記基準音量レベルに基づいて、車内所定基準位置点の基準周波数点での音圧レベルを算出し、前記基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線をさらに算出することと、
前記基準音量レベルに対応する等ラウドネスド曲線、及び前記オーディオ信号ゲイン差に基づいて、前記現在の音量レベルに対応する等ラウドネス曲線を特定することと、
前記基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線、及び前記現在の音量レベルに対応する等ラウドネス曲線に基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を算出することとを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の車内適応音質出力方法。
【請求項4】
前記等ラウドネス曲線差、及び予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定することは、
前記予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を利用し、前記等ラウドネス曲線差との差分演算を行い、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を得ることを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の車内適応音質出力方法。
【請求項5】
前記オーディオ品質応答曲線は、周波数応答曲線である、ことを特徴とする請求項4に記載の車内適応音質出力方法。
【請求項6】
前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定することは、
前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線、及び予め設定された音響伝達関係に基づいて、複数の音響出力通路の実際の音声出力信号を特定することと、
前記複数の音響出力通路の実際の音声出力信号をそれぞれの元の音声信号と比較し、複数の音響出力通路の元の信号に対する調整パラメータを特定することとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の車内適応音質出力方法。
【請求項7】
前記調整パラメータは、ゲイン調整パラメータ及び/又は遅延調整パラメータ及び/又は位相調整パラメータを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の車内適応音質出力方法。
【請求項8】
車内適応音質出力装置であって、
ユーザから入力された現在の音量レベルを取得するように構成される音量レベル取得手段と、
前記現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定するように構成されるオーディオ信号ゲイン差算出手段と、
前記オーディオ信号ゲイン差、前記現在の音量レベル及び前記基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定するように構成される等ラウドネス曲線差算出手段と、
前記等ラウドネス曲線差、及び予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定するように構成されるオーディオ品質応答曲線算出手段と、
前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定するように構成される出力信号算出手段とを含む、ことを特徴とする車内適応音質出力装置。
【請求項9】
コンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ可読記憶媒体は、記憶されたプログラムを含み、前記プログラムは、作動したときに、前記コンピュータ可読記憶媒体の所在する機器が請求項1~7のいずれか一項に記載の車内適応音質出力方法を実行するように制御する、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
車載音響システムであって、演算処理モジュール、記憶モジュール、電力増幅モジュール及び電源モジュールを含み、
前記電源モジュールは、前記演算処理モジュールに接続され、前記車載音響システムに電力を供給し、前記演算処理モジュールは、それぞれ前記記憶モジュールと前記電力増幅モジュールに接続され、前記電力増幅モジュールは、複数のスピーカに接続され、
前記記憶モジュールには、コンピュータプログラムが記憶され、前記演算処理モジュールは、前記コンピュータプログラムを実行したときに請求項1~7のいずれか一項に記載の車内適応音質出力方法を実施する、ことを特徴とする車載音響システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電子技術分野に関し、特に車内適応音質出力方法、装置、記憶媒体及び車載音響システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートカーの発展に伴い、ユーザの楽しみに対する要求がますます高くなり、自動車メーカーも自動車の音響システムにますます注目している。現在、自動車の音響システムは、自動車の運転性能に影響を与えないが、自動車の快適性を評価する指標の1つとなっている。
【0003】
従来の自動車音響システムは、一般的にマルチチャンネル(例えば、複数のスピーカであってもよい)の音響出力を含み、ユーザに豊富な音質感じを提供することができる。ユーザは、自分の耳の聴覚特性に基づいて、音量レベルをカスタマイズすることができる。しかし、本発明の発明者は、研究において、従来技術の車載音響システムがユーザによって設定された音量レベルに応じて複数の通路の出力音量の大きさのみを調整し、あえて音質を適応的に調整していないことを発見した。ユーザは、音量調整の前後で効果のコントラストが大きいという感覚が生じやすく、それによりユーザの体験を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、車載音響システムが異なる音量レベルである場合に、音質効果を適応的に調整することができ、かつ対応して複数の出力通路の出力パラメータを制御し、ユーザの耳の聴覚特性を満たし、音声品質効果を最適化し、それによりユーザの音響体験を向上させるような車内適応音質出力方法、装置、記憶媒体及び車載音響システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様において、本発明は車内適応音質出力方法を提供し、前記方法は、
ユーザから入力された現在の音量レベルを取得することと、
前記現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定することと、
前記オーディオ信号ゲイン差、前記現在の音量レベル及び前記基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定することと、
前記等ラウドネス曲線差、及び予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定することと、
前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定することとを含む。
【0006】
第1態様を組み合わせて、実行可能な実施形態において、前記現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定することは、
前記現在の音量レベルに基づいて、予め設定されたゲインテーブルを用いて検索し、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値を取得することと、
予め設定された基準音量レベルに基づいて、予め設定されたゲインテーブルを用いて検索し、前記基準音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値を取得することと、
前記基準音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値と、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値との差分演算を行い、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を得ることとを含む。
【0007】
第1態様を組み合わせて、実現可能な実施形態において、前記オーディオ信号ゲイン差、前記現在の音量レベル及び前記基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定することは、
前記基準音量レベルに基づいて、車内所定基準位置点の基準周波数点での音圧レベルを算出し、前記基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線をさらに算出することと、
前記基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線、及び前記オーディオ信号ゲイン差に基づいて、前記現在の音量レベルに対応する等ラウドネス曲線を特定することと、
前記基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線、及び前記現在の音量レベルに対応する等ラウドネス曲線に基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を算出することとを含む。
【0008】
第1態様を組み合わせて、実行可能な実施形態において、前記等ラウドネス曲線差、及び予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定することは、
前記予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を利用し、前記等ラウドネス曲線差との差分演算を行い、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を得ることを含む。
【0009】
第1態様を組み合わせて、実現可能な実施形態において、前記オーディオ品質応答曲線は、具体的に周波数応答曲線である。
【0010】
第1態様を組み合わせて、実現可能な実施形態において、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定することは、
前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線、及び予め設定された音響伝達関係に基づいて、複数の音響出力通路の実際の音声出力信号を特定することと、
前記複数の音響出力通路の実際の音声出力信号をそれぞれの元の音声信号と比較し、複数の音響出力通路の元の信号に対する調整パラメータを特定することとを含む。
【0011】
第1態様を組み合わせて、実現可能な実施形態において、前記調整パラメータは、ゲイン調整パラメータ及び/又は遅延調整パラメータ及び/又は位相調整パラメータを含む。
【0012】
第2態様において、本発明は、車内適応音質出力装置を提供し、前記車内適応音質出力装置は、
ユーザから入力された現在の音量レベルを取得するように構成される音量レベル取得手段と、
前記現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定するように構成されるオーディオ信号ゲイン差算出手段と、
前記オーディオ信号ゲイン差、前記現在の音量レベル及び前記基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定するように構成される等ラウドネス曲線差算出手段と、
前記等ラウドネス曲線差、及び予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定するように構成されるオーディオ品質応答曲線算出手段と、
前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定するように構成される出力信号算出手段とを含む。
【0013】
第3態様において、本発明は、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記コンピュータ可読記憶媒体は、記憶されたプログラムを含み、前記プログラムは、作動したときに、前記コンピュータ可読記憶媒体の所在する機器が上記第1態様に記載の車内適応音質出力方法を実行するように制御する。
【0014】
第4態様において、本発明は、車載音響システムを提供し、当該車載音響システムは、演算処理モジュール、記憶モジュール、電力増幅モジュール及び電源モジュールを含み、
前記電源モジュールは、前記演算処理モジュールに接続され、前記車載音響システムに電力を供給し、前記演算処理モジュールは、それぞれ前記記憶モジュールと前記電力増幅モジュールに接続され、前記電力増幅モジュールは、複数のスピーカに接続され、
前記記憶モジュールには、コンピュータプログラムが記憶され、前記演算処理モジュールは、前記コンピュータプログラムを実行したときに、上記第1態様に記載の車内適応音質出力方法を実施する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に関わる車内適応音質出力方法、装置、記憶媒体及び車載音響システムは、ユーザから入力された現在の音量レベルを取得し、さらに現在の音量レベルと予め設定された基準音量レベルに基づいて、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定し、さらにオーディオ信号ゲイン差に基づいて、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定し、さらに等ラウドネス曲線差及び基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定し、さらに複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定し、本発明の技術案は、車載音響システムを異なる音量レベルの場合に、音質効果を適応的に調整し、ユーザの耳の聴覚特性を満たし、音声品質効果を最適化し、ユーザの音響体験を向上させる。
【0016】
本発明の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下に実施例に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施例だけであり、当業者にとって、創造的労働をしない前提で、更にこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1a】本発明の実施例に関わる車載音響システムと複数スピーカとの配置環境の模式図である。
【
図1b】本発明の実施例に関わる車載音響システムのモジュール機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施例における車内適応音質出力方法のフローチャートである。
【
図3a】本発明の実施例に関わる等ラウドネス曲線の模式図である。
【
図3b】本発明の実施例における車内の基準位置点で等ラウドネス曲線の測定を行う模式図である。
【
図3】本発明の実施例における交通信号機の規則予測システムの信号流れの模式図である。
【
図4】本発明の実施例に関わる基準音量レベルに対応する周波数応答曲線の模式図である。
【
図5】本発明の実施例における各スピーカの音響伝達関数の模式図である。
【
図6】本発明の実施例に関わる車内適応音質出力装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の技術案をよりよく理解するために、以下は、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
説明した実施形態は、すべての実施形態ではなく、本発明の実施形態の一部にすぎないことは明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得ることができる全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0019】
本発明の実施形態で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図しない。本発明の実施形態および添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「1種」、「前記」及び「当該」は、文脈が他の意味を明確に示さない限り、複数形を含むことも意図される。
【0020】
本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連オブジェクトの関連関係を説明するだけであり、3種類の関係が存在してもよく、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在し、AとBが同時に存在し、Bが単独で存在するという3種類の状況が存在すると理解されるべきである。なお、ここで符号「/」とは、一般に、前後関連オブジェクトが「または」の関係であることを意味する。
【0021】
理解すべきことは、本発明の実施例において用語第1、第2、第3等を用いて端末を説明する可能性があるが、これらの端末はこれらの用語に限定されるべきではない。これらの用語は端末同士を区別するために用いられる。例えば、本発明の実施例の範囲から逸脱しない状況で、第1端末は第2端末と呼ばれてもよく、同様に、第2端末は第1端末と呼ばれてもよい。
【0022】
コンテキストに依存し、例えばここで使用された単語「そうであれば」は「…の場合」又は「…時」又は「確定に応答する」又は「検出に応答する」と解釈される。同様に、コンテキストに依存し、フレーズ「確定であれば」又は「検出であれば(後述の条件又はイベント)」は「確定時」又は「確定に応答する」又は「検出(後記の条件又はイベント)する時」又は「検出(後述の条件又はイベントに応答する)」と解釈されてもよい。
【0023】
従来技術において、交通信号機の規則予測技術にアルゴリズム設計が煩雑で、確率が低く、ロバスト性が弱い技術課題が存在する。これに基づいて、本発明の実施例は交通信号機の規則予測システムを提供することにより、従来技術を改善する。
【0024】
図1を参照すると、本発明の実施例の適用シーンの模式図である。本発明の実施例において、適用シーンは、車載音響システム8及び複数のスピーカを含む。
【0025】
本発明の実施例において、車載音響システム8は車載電子システムに集積され、前記車載電子システムは、走行パソコン(ECU、Electronic Control Unit)、インストルメントパネル、タッチパネルなどの複数の電子機器をさらに含み、電子機器の間は車載バスにより接続され、かつ通信することができる。前記車載バスは、CAN(Controller Area Network、コントローラエリアネットワーク)、CANFD(CAN with Flexible Data-Rate)、LIN(Local Interconnect Network)等を含むが、これらに限定されない。
【0026】
具体的には、
図1を参照し、本適用環境において、複数のスピーカは、7つのスピーカを例とする。複数スピーカは車載音響システム8に接続され、車載音響システム8のマルチチャンネル出力とする。複数のスピーカは。スピーカ1~スピーカ7を含む。ここで、スピーカ1は車内の中置台の位置に設置され、スピーカ2は車の前席右ドアの位置に設置され、スピーカ3は車の後席右ドアに設置され、スピーカ4は車の前席左ドアに設置され、スピーカ5は車の後席左ドアに設置され、スピーカ6とスピーカ7は車の後席C柱の位置に設置される。本発明の実施例において、車載音響システム8は、オーディオワイヤハーネスを介して7つのスピーカを接続し、ユーザに豊富な聴覚的な楽しみを提供することができる。
【0027】
従来技術において、ユーザが車載音響システムの音量を調整する場合、マルチチャンネル出力の音質は適応的に調整することができない。本発明の実施例は、ユーザから入力された音量レベルに基づいて複数の通路の出力を適応的に調整し、ユーザの音響体験を満たすことを目的とする。
【0028】
図2に示すように、本発明の1つの実施例において、車載音響システムを提供する。
【0029】
具体的には、本発明の実施例において、車載音響システム8は、演算処理モジュール9、電源モジュール10、記憶モジュール11及び電力増幅モジュール12を含む。
【0030】
本発明の実施例において、電源モジュール10は、車載音響システム8全体に給電管理を行う。
【0031】
記憶モジュール11は、コンピュータプログラムを記憶するために用いられ、演算処理モジュール9は、前記コンピュータプログラムを実行することにより、本発明の実施例における車内適応音質出力方法を実現することができる。本発明の実施例に記載のコンピュータプログラムは、ソフトウェアコード及び各種の情報及び図表を含むことに限定されず、例えば、予め記憶された基準音量レベル、基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線、オーディオ品質応答曲線等である。演算処理モジュール9は、電力増幅モジュール12による各スピーカ通路の出力パラメータを取得することができる。
【0032】
本発明の実施例において、電力増幅モジュール12は、複数のスピーカに接続され、複数のスピーカは、
図1におけるスピーカ1~スピーカ7であってもよく、複数のスピーカの設置方式は、ここで繰り返し説明しない。
【0033】
本発明の実施例における演算処理モジュール9は、車載バス13によりECU14、タッチパネル15等に接続され、かつそれと通信することができる。例えば、ECU14の制御で、ユーザは、タッチパネル15において聞こえたいオーディオの音量レベルを入力することができ、演算処理モジュール9はユーザの入力を取得し、かつ算出処理を行うことができる。
【0034】
本発明の実施例において、演算処理モジュール9は、記憶モジュール11におけるコンピュータプログラムを実行することにより、
S11、ユーザから入力された現在の音量レベルを取得すること、
S12、前記現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定すること、
S13、前記オーディオ信号ゲイン差、前記現在の音量レベル及び前記基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定すること、
S14、前記等ラウドネス曲線差、及び予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定すること、および、
S15、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定することを実現することができる。
【0035】
本発明に関わる車載音響システムは、ユーザから入力された現在の音量レベルを取得し、さらに現在の音量レベルと予め設定された基準音量レベルに基づいて、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定し、さらにオーディオ信号ゲイン差に基づいて、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定し、さらに等ラウドネス曲線差及び基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定し、さらに複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定し、本発明技術案は、車載音響システムを異なる音量レベルの状況で、音質効果を適応的に調整することができ、ユーザの耳の聴覚特性を満たし、音声品質効果を最適化し、ユーザの音響体験を向上させる。
【0036】
以下は、本発明のより詳細な実施例において、演算処理モジュール9が記憶モジュール11におけるコンピュータプログラムを実行することによって実現されるS11~S15を説明する。
【0037】
S11、ユーザから入力された現在の音量レベルを取得し、
具体的には、車載音響システムは、毎回の通電再起動(例えば自動車が全ての電子システムをオンにする)の後にデフォルトの音量レベルを設定し、当該デフォルトの音量レベルが基準音量レベルである。異なるユーザは、異なる聴覚システムを有し、ユーザは、現在の音量レベルを調整することができ、例えば、ユーザは、タッチパネル15で操作することにより、現在の音量レベルが修正され、車載音響システムは車載バスを介して現在の音量レベルを取得することができる。
【0038】
S12、前記現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定し、
具体的には、車載音響システムは、記憶モジュールに複数の音量レベル、及び各音量レベルに対応するオーディオ信号ゲイン(gain)を予め記憶する。現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定することができる。
【0039】
本発明の実施例において、具体的には以下の数1を有する。
【数1】
【0040】
ここで、下記数2は、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を表し、下記数3と下記数4は、それぞれ基準音量レベルとユーザから入力された現在の音量レベルを表し、下記数5と下記数6は、それぞれ基準音量レベルに対応するオーディオ信号ゲイン及びユーザから入力された現在の音量レベルに対応する信号ゲインを表す。
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【0041】
本発明の実施例において、音量レベル及び対応する信号ゲインのテーブルは、表1に示され、ここで、基準音量レベルは、音量レベル10である。
【0042】
【0043】
本発明の実施例において、前記現在の音量レベルに基づいて、予め設定されたゲインテーブルを用いて検索し、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値を取得し、予め設定された基準音量レベルに基づいて、予め設定されたゲインテーブルを用いて検索し、前記基準音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値を取得し、前記基準音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値により、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値に対して差分演算を行い、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を取得する。例えば、現在の音量レベルが15であり、現在の音量レベルに基づいて検索し、得られた対応するゲインが-20dBであり、基準音量レベルが10であり、対応するゲインが-30dBであれば、オーディオ信号ゲイン差は、-10dBとなる。
【0044】
S13、前記オーディオ信号ゲイン差、前記現在の音量レベル及び前記基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定する。
【0045】
具体的には、本ステップは、前記基準音量レベルに基づいて、車内所定基準位置点の基準周波数点での音圧レベルを算出し、前記基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線をさらに算出するステップと、さらに前記基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線、及び前記オーディオ信号ゲイン差に基づいて、前記現在の音量レベルに対応する等ラウドネス曲線を特定するステップと、前記基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線、及び前記現在の音量レベルに対応する等ラウドネス曲線に基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を算出するステップとを含む。
【0046】
本実施例において、車内所定基準位置点の再基準周波数点の音圧レベルを算出し、車内基準位置点を基準周波数点の音圧レベルの大きさに基づいて等ラウドネス曲線を検索することにより取得することができる。本発明の実施例において、予め設定された基準位置点15は
図3bに示すように、例えば、車両全体の幾何学的中心位置に限定されず、他のシーンにおいて、基準位置点はさらに主運転位置、副運転位置、後席位置などであってもよい。本発明の実施例において、基準周波数点は500Hz、1000Hz、2000Hz等の周波数点であってもよく、本発明の実施例では1000Hzのみを例とする
【0047】
図3aは、本発明の実施例における等ラウドネス曲線の模式図である。基準音量レベルを例として、基準周波数点が1000Hzである場合、基準音量レベルで、基準位置点15で測定された音圧レベルが42dBであり、基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線が曲線14である。曲線14は、周波数と音圧レベルに関連する1本の曲線であり、下記数7を記録し、ここで、下記数8はデフォルト音量における基準位置点での基準周波数の音圧レベルを表し、測定により取得することができ、fは、周波数を表す。
【数7】
【数8】
【0048】
同様に、本発明の実施例において、ユーザから入力された現在の音量レベルでの等ラウドネス曲線を算出して取得することができ、下記数9を記録し、ここで、下記数10は、ユーザから入力された現在の音量レベルであり、車内基準位置点15での1000Hzの音圧レベルは、以下の数11により算出して取得することができる。
【数9】
【数10】
【数11】
【0049】
基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線、及び現在の音量レベルに対応する等ラウドネス曲線に基づいて、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を算出することができ、下記数12に記す。
【数12】
【0050】
S14、前記等ラウドネス曲線差、及び予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定し、
本発明の実施例において、基準音量レベルは予め記憶された音量レベルであり、基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線は、予め記憶された曲線である。本発明の実施例において、オーディオ品質応答曲線は周波数応答曲線に限定されない。
【0051】
図4に示すように、基準音量レベルに対応する周波数応答曲線の模式図である。
【0052】
本発明の実施例における基準音量レベルでの周波数応答曲線は、車内基準位置点15での音響応答曲線であり、周波数f-音圧レベルSPL間の関係図として表すことができ、ある特定の周波数fnに対して、それに対応する出力音圧レベルはSPLnであり、このような関係は、SPLn(f)に記す。基準音量レベルでの周波数応答特性は、具体的な設計要求に基づいて調整することができる。
【0053】
本発明の実施例において、前記予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を利用し、前記等ラウドネス曲線差との差分演算を行い、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を取得し、即ち、下記数13。
【数13】
【0054】
ここで、下記数14は、ユーザから入力された現在の音量レベルに対応する周波数応答曲線を示し、基準音量レベルでの周波数応答曲線を示す。
【数14】
【0055】
S15、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定する。
【0056】
具体的には、
図5に示すように、本実施例のスピーカのレイアウトである。ここで、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7は、それぞれスピーカ1、スピーカ2、スピーカ3、スピーカ4、スピーカ5、スピーカ6、スピーカ7から基準位置点15までの音響伝達関数であり、車内直接測定により取得することができる。
【0057】
ユーザから入力された現在の音量レベルで、基準位置点15の周波数応答は、以下の数15のように示すことができる。
【数15】
【0058】
ここで、Hspk1~Hspk7は、それぞれスピーカ1~スピーカ7の音響伝達関数を示し、スピーカ自体の音響特性を測定することにより直接的に取得することができる。
【0059】
上記関係において、下記数16は、既知であり、H1~H7とH
spk1~H
spk7は、いずれも予め測定し取得することができれば、算出してS1~S7を得られる。S1~S7は、各スピーカ通路の出力信号パラメータに対応する。S1~S7は、各スピーカ通路の実際の音声出力信号である。
【数16】
【0060】
本発明の実施例において、前記複数の音響出力通路の実際の音声出力信号をそれぞれの元の音声信号と比較することにより、複数の音響出力通路の元の信号に対する調整パラメータを特定し、即ち、下記数17。
【数17】
【0061】
ここで、下記数18は、電力増幅モジュールから実際にスピーカに出力された音声信号を示し、下記数19は、元の音声信号を示し、G,T,Φは、それぞれ元の音声信号に対して行われたゲイン、遅延、位相の調整を示す。
【数18】
【数19】
【0062】
上記式により、調整パラメータは、ゲイン調整パラメータG及び/又は遅延調整パラメータT及び/又は位相調整パラメータΦを含むことが分かる。
【0063】
第2態様において、本発明の1つの実施例において、車内適応音質出力方法を提供する。
【0064】
図2に示すように、本発明の実施例における車内適応音質出力方法は、
S21、ユーザから入力された現在の音量レベルを取得すること、
S22、前記現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定すること、
S23、前記オーディオ信号ゲイン差、前記現在の音量レベル及び前記基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定すること、
S24、前記等ラウドネス曲線差、及び予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定すること、および、
S25、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定することを含む。
【0065】
本発明の実施例に関わる車内適応音質出力方法は、ユーザから入力された現在の音量レベルを取得し、さらに現在の音量レベルと予め設定された基準音量レベルに基づいて、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定し、さらにオーディオ信号ゲイン差に基づいて、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定し、さらに等ラウドネス曲線差及び基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定し、さらに複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定し、本発明の技術案は、車載音響システムを異なる音量レベルの場合に、音質効果を適応的に調整し、ユーザの耳の聴覚特性を満たし、音声品質効果を最適化し、ユーザの音響体験を向上させることができる。
【0066】
以下、本発明のより詳細な実施例において、上記方法フローにおけるS21~S25を説明する。
【0067】
S21、ユーザから入力された現在の音量レベルを取得し、
具体的には、車載音響システムは、毎回の通電再起動(例えば自動車が全ての電子システムをオンにする)の後にデフォルトの音量レベルを設定し、当該デフォルトの音量レベルが基準音量レベルである。異なるユーザは異なる聴覚システムを有し、ユーザは現在の音量レベルを調整することができ、例えば、ユーザはタッチパネル15で操作することにより、現在の音量レベルが修正され、車載音響システムは車載バスを介して現在の音量レベルを取得することができる。
【0068】
S22、前記現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定し、
具体的には、車載音響システムは、記憶モジュールに複数の音量レベル、及び各音量レベルに対応するオーディオ信号ゲイン(gain)を予め記憶する。現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定することができる。
【0069】
本発明の実施例において、具体的には以下の数20を有する。
【数20】
【0070】
ここで、下記数21は、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を表し、下記数22と下記数23とは、それぞれ基準音量レベルとユーザから入力された現在の音量レベルを表し、下記数24と下記数25は、それぞれ基準音量レベルに対応するオーディオ信号ゲイン及びユーザから入力された現在の音量レベルに対応する信号ゲインを表す。
【数21】
【数22】
【数23】
【数24】
【数25】
【0071】
本発明の実施例において、音量レベル及び対応する信号ゲインのテーブルは、表1に示され、ここで、基準音量レベルは、音量レベル10である。
【0072】
【0073】
本発明の実施例において、前記現在の音量レベルに基づいて、予め設定されたゲインテーブルを用いて検索し、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値を取得し、予め設定された基準音量レベルに基づいて、予め設定されたゲインテーブルを用いて検索し、前記基準音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値を取得し、前記基準音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値により、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ信号のゲイン値に対して差分演算を行い、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を取得する。例えば、現在の音量レベルが15であり、現在の音量レベルに基づいて検索し、得られた対応するゲインが-20dBであり、基準音量レベルが10であり、対応するゲインが-30dBであれば、オーディオ信号ゲイン差は、-10dBとなる。
【0074】
S23、前記オーディオ信号ゲイン差、前記現在の音量レベル及び前記基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定する。
【0075】
具体的には、本ステップは、前記基準音量レベルに基づいて、車内所定基準位置点の基準周波数点での音圧レベルを算出し、前記基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線をさらに算出するステップと、さらに前記基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線、及び前記オーディオ信号ゲイン差に基づいて、前記現在の音量レベルに対応する等ラウドネス曲線を特定するステップと、前記基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線、及び前記現在の音量レベルに対応する等ラウドネス曲線に基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を算出するステップとを含む。
【0076】
本実施例において、車内所定基準位置点の再基準周波数点の音圧レベルを算出し、車内基準位置点を基準周波数点の音圧レベルの大きさに基づいて等ラウドネス曲線を検索することにより取得することができる。本発明の実施例において、予め設定された基準位置点15は、
図3bに示すように、例えば、車両全体の幾何学的中心位置に限定されず、他のシーンにおいて、基準位置点は、さらに主運転位置、副運転位置、後席位置などであってもよい。本発明の実施例において、基準周波数点は、500Hz、1000Hz、2000Hz等の周波数点であってもよく、本発明の実施例では1000Hzのみを例とする。
【0077】
図3aは、本発明の実施例における等ラウドネス曲線の模式図である。基準音量レベルを例として、基準周波数点が1000Hzである場合、基準音量レベルで、基準位置点15で測定された音圧レベルが42dBであり、基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線が曲線14である。曲線14は周波数と音圧レベルに関連する1本の曲線であり、下記数26を記録し、ここで、下記数27はデフォルト音量における基準位置点での基準周波数の音圧レベルを表し、測定により取得することができ、fは、周波数を示す。
【数26】
【数27】
【0078】
同様に、本発明の実施例において、ユーザから入力された現在の音量レベルでの等ラウドネス曲線を算出して取得することができ、下記数28を記録し、ここで、下記数29は、ユーザから入力された現在の音量レベルであり、車内基準位置点15での1000Hzの音圧レベルは、以下の数30により算出して取得することができる。
【数28】
【数29】
【数30】
【0079】
基準音量レベルに対応する等ラウドネス曲線、及び現在の音量レベルに対応する等ラウドネス曲線に基づいて、現在の音量レベルと基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を算出することができ、下記数31に記す。
【数31】
【0080】
S24、前記等ラウドネス曲線差、及び予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定し、
本発明の実施例において、基準音量レベルは、予め記憶された音量レベルであり、基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線は、予め記憶された曲線である。本発明の実施例において、オーディオ品質応答曲線は、周波数応答曲線に限定されない。
【0081】
図4は、基準音量レベルに対応する周波数応答曲線の模式図である。
【0082】
本発明の実施例における基準音量レベルでの周波数応答曲線は、車内基準位置点15での音響応答曲線であり、周波数f-音圧レベルSPL間の関係図として表すことができ、ある特定の周波数fnに対して、それに対応する出力音圧レベルはSPLnであり、このような関係は、SPLn(f)に記す。基準音量レベルでの周波数応答特性は、具体的な設計要求に基づいて調整することができる。
【0083】
本発明の実施例において、前記予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を利用し、前記等ラウドネス曲線差との差分演算を行い、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を取得し、即ち、下記数32。
【数32】
【0084】
ここで、下記数33は、ユーザから入力された現在の音量レベルに対応する周波数応答曲線を示し、基準音量レベルでの周波数応答曲線を示す。
【数33】
【0085】
S25、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定する。
【0086】
具体的には、
図5に示すように、本実施例のスピーカのレイアウトである。ここでH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7は、それぞれスピーカ1、スピーカ2、スピーカ3、スピーカ4、スピーカ5、スピーカ6、スピーカ7から基準位置点15までの音響伝達関数であり、車内直接測定により取得することができる。
【0087】
ユーザから入力された現在の音量レベルで、基準位置点15の周波数応答は、以下の数34のように表示することができる。
【数34】
【0088】
ここで、Hspk1~Hspk7は、それぞれスピーカ1~スピーカ7の音響伝達関数を示し、スピーカ自体の音響特性を測定することにより直接的に取得することができる。
【0089】
上記関係において、下記数35は、既知であり、H1~H7とH
spk1~H
spk7は、いずれも予め測定し取得することができれば、算出してS1~S7を得られる。S1~S7は、各スピーカ通路の出力信号パラメータに対応する。S1~S7は、各スピーカ通路の実際の音声出力信号である。
【数35】
【0090】
本発明の実施例において、前記複数の音響出力通路の実際の音声出力信号をそれぞれの元の音声信号と比較することにより、複数の音響出力通路の元の信号に対する調整パラメータを特定し、即ち、下記数36。
【数36】
【0091】
ここで、下記数37は、電力増幅モジュールから実際にスピーカに出力された音声信号を示し、下記数38は、元の音声信号を示し、G,T,Φは、それぞれ元の音声信号に対して行われたゲイン、遅延、位相の調整を示す。
【数37】
【数38】
【0092】
上記式により、調整パラメータはゲイン調整パラメータG及び/又は遅延調整パラメータT及び/又は位相調整パラメータΦを含むことが分かる。
【0093】
図6に示すように、本発明の実施例は、車内適応音質出力装置をさらに提供する。
【0094】
本発明の実施例における車内適応音質出力装置600は、
ユーザから入力された現在の音量レベルを取得するための音量レベル取得手段61と、
前記現在の音量レベル及び予め設定された基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間のオーディオ信号ゲイン差を特定するためのオーディオ信号ゲイン差算出手段62と、
前記オーディオ信号ゲイン差、及び前記現在の音量レベル及び前記基準音量レベルに基づいて、前記現在の音量レベルと前記基準音量レベルとの間の等ラウドネス曲線差を特定するための等ラウドネスドネス曲線差算出手段63と、
前記等ラウドネス曲線差、及び予め記憶された前記基準音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線を特定するためのオーディオ品質応答曲線算出手段64と、
前記現在の音量レベルに対応するオーディオ品質応答曲線に基づいて、複数の音響出力通路の出力信号パラメータを特定するための出力信号算出手段65とを含む。
【0095】
上記本発明の実施例における装置は、車載音響システムにおける演算処理モジュールに適用することに限定されるものではなく、記憶モジュールにおけるコンピュータプログラムを実行する時に、前述の実施例における車内適応音質出力方法を実現することができる。
【0096】
本発明の実施例において、記憶媒体をさらに提供し、記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶され、当該コンピュータプログラムが実行される時に、前述の実施例における車内適応音質出力方法を実現することができる。具体的な方法フローについて、ここでは説明を省略する。
【0097】
本発明に係るいくつかの実施例において、理解すべきことは、開示されたシステム、装置及び方法は、他の方式で実現することができる。例えば、前記説明した装置実施例は、模式的なものだけであり、例えば、前記手段の分割は、論理機能の分割のみであり、実際に実現する時に別の分割方式を有してもよく、例えば、複数の手段又はアセンブリは、別のシステムに結合するか又は集積することができ、又はいくつかの特徴は無視するか、又は実行しない。また、表示されるか又は議論された相互間の結合又は直接結合又は通信接続は、いくつかのインタフェース、装置又は手段を介して間接結合又は通信接続であってもよく、電気的、機械的又は他の形式であってもよい。
【0098】
前記ソフトウェア機能手段の形式で実現された集積された手段は、1つのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができる。前記ソフトウェア機能手段は、1つの記憶媒体に記憶され、複数の命令を含み一台のコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク装置等であってもよい)又はプロセッサ(Processor)が本発明の各実施例に記載の方法の一部のステップを実行するために用いられている。前記の記憶媒体は、Uディスク、リムーバブルハードディスク、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、磁気ディスク又は光ディスク等の様々なプログラムコードを記憶することができる媒体を含む。
【0099】
以上の記載は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び原則内で行われたいかなる修正、同等置換及び改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【外国語明細書】