(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112676
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】着座部を備える揺動装置
(51)【国際特許分類】
G09B 9/04 20060101AFI20230804BHJP
G09B 9/048 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G09B9/04 Z
G09B9/048
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009468
(22)【出願日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2022014251
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】513121513
【氏名又は名称】角 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】角 和樹
(57)【要約】
【課題】着座部を適正な高さに維持できる構造を有する着座部を備える揺動装置を提供する。
【解決手段】揺動装置10は、着座部9を揺動自在に支持できる。揺動装置10は、第1基台1と第1基台1の四隅に配置された第1モータ2を備える。揺動装置10は、着座部9を上面に固定した第1可動テーブル3と第1モータ2の出力軸の回転運動を従動側の揺動運動に変換する第1てこクランク機構4を備える。第1てこクランク機構4の原動端を第1モータ2の出力軸に連結し、第1てこクランク機構4の従動端を第1可動テーブル3の下面に連結して、第1可動テーブル3を支持し、一対一組の第1モータ2を互いに独立又は同期して駆動することで、着座部9を揺動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体が座る着座部を揺動自在に支持する着座部を備える揺動装置であって、
矩形の第1基台と、
前記第1基台の四隅に配置され、出力軸の延びる方向が前記第1基台の上面と略平行であって、かつ、出力軸が同じ方向に延びる一対一組の第1モータと、
前記第1基台の上方に配置され、前記着座部を上面に固定した第1可動テーブルと、
前記第1モータの出力軸の回転運動を従動側の揺動運動に変換する、前記第1モータと同数の第1てこクランク機構と、を備え、
前記第1てこクランク機構の原動端を前記第1モータの出力軸に連結し、前記第1てこクランク機構の従動端を前記第1可動テーブルの下面に連結して、前記第1可動テーブルを支持し、
一対一組の前記第1モータを互いに独立又は同期して駆動することで、前記着座部を揺動させる、着座部を備える揺動装置。
【請求項2】
前記第1基台の略中央部に支持された円筒状のホルダ部、このホルダ部の中心部から突出し、前記ホルダ部と螺合したロッド部、及び、このロッド部の先端部に設けた第1球面滑り軸受で構成した第1サポート部材を更に備え、
前記第1球面滑り軸受は、前記第1可動テーブルの下面の中央部と連結している、請求項1記載の着座部を備える揺動装置。
【請求項3】
前記第1てこクランク機構は、
基端部を前記第1モータの出力軸と同軸上に固定した回動腕と、
一端部を前記回動腕の先端部と回転自在に連結し、他端部に第3球面滑り軸受を有するリンク棒と、を備え、
前記第3球面滑り軸受は、前記第1可動テーブルの下面の四隅に配置した支持部材と回転自在に連結している、請求項1又は2記載の着座部を備える揺動装置。
【請求項4】
キャスターを保持し、前記第1基台の外周に固定したL字状の支持ブラケットを更に備え、
前記支持ブラケットは、前記第1基台を低背に支持している、請求項1記載の着座部を備える揺動装置。
【請求項5】
人体が座る着座部を揺動自在に支持する着座部を備える揺動装置であって、
矩形の第2基台と、
前記第2基台の上方に配置され、前記着座部を上面に固定した第2可動テーブルと、
前記第2基台の中央部から立設した第1支持部材と前記第2可動テーブルの中央部から下設した第2支持部材を自在継手で連結すると共に、前記第2可動テーブルを揺動自在に支持する第2サポート部材と、
前記第2サポート部材を間に前記第2基台の上面に配置され、出力軸の延びる方向が前記第2基台の上面と略平行であって、かつ、出力軸が同じ方向に延びる一対の第2モータと、
前記第2モータの出力軸の回転が伝動される入力軸、及び、この入力軸の軸心と軸心が直交し、前記入力軸の回転が伝動される出力軸を有し、一対の前記出力軸が相反する向きに前記第2基台の上面に配置した一組の二軸食違い歯車装置と、
前記2軸食違い歯車装置の出力軸の回転運動を従動側の揺動運動に変換する、一対の第2てこクランク機構と、を備え、
前記第2てこクランク機構の原動端を前記二軸食違い歯車装置の出力軸に連結し、前記第2てこクランク機構の従動端を前記第2可動テーブルの下面の片隅に連結して、前記第2可動テーブルを支持し、
一対の前記第2モータを互いに独立又は同期して駆動することで、前記着座部を揺動させる、着座部を備える揺動装置。
【請求項6】
前記第2てこクランク機構は、
基端部を前記二軸食違い歯車装置の出力軸に固定した揺り腕と、
一端部を前記揺り腕の先端部と回転自在に連結し、他端部に第3球面滑り軸受を有するリンク棒と、を備え、
前記第3球面滑り軸受は、前記第2可動テーブルの下面の二隅に配置した支持部材と回転自在に連結している、請求項5記載の着座部を備える揺動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座部を備える揺動装置に関する。特に、人体が座る着座部を揺動自在に支持する揺動装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
模擬車両、模擬船舶、模擬航空機、宇宙船など乗り物を操縦可能にシミュレーションする場合には、着座部を備える揺動装置を利用して、乗り物の操縦を訓練している。又、遠隔操縦装置により重機などの操縦を訓練する場合には、訓練者が座る着座部が揺動することで、重機の動作に連動した操縦を訓練している。
【0003】
人体が座る着座部を揺動自在に支持する揺動装置としては、最大揺動角度が比較的大きい場合でもアクチュエータの出力を低くできる着座部を備える揺動装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1による着座部を備える揺動装置は、床面などに設置される設置基板、着座部を底面から支持する可動枠体、及び、設置基板の中央部から立設し、ユニバーサルジョイントで可動枠体と連結した支柱部材を備えている。
【0006】
又、特許文献1による着座部を備える揺動装置は、設置基板と可動枠体を連結し、設置基板に対して可動枠体をx軸回りに揺動させる第1の電動シリンダと、設置基板と可動枠体を連結し、設置基板に対して可動枠体をy軸回りに揺動させる第2の電動シリンダを備えている。
【0007】
特許文献1による着座部を備える揺動装置は、第1の電動シリンダと第2の電動シリンダを制御可能に駆動することで、着座部を前後方向及び左右方向に揺動できる、としている。
【0008】
しかしながら、従来の着座部を備える揺動装置は、電動シリンダを垂直方向に配置しているので、人体の座る位置が高くなるという問題がある。
【0009】
又、従来の着座部を備える揺動装置は、設置基板を施設の床面又は模擬乗り物の床面に固定しているので、装置の移動が容易でないという問題がある。遠隔操縦装置により重機などの操縦を訓練する場合には、移動容易なモニターを見ながら訓練するので、施設などに固定しておくことは、好ましくなく、装置の移動容易性が求められている。
【0010】
着座部を適正な高さに維持できる構造を有し、かつ、移動が容易な、着座部を備える揺動装置が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、人体が座る着座部を揺動自在に支持する揺動装置であって、着座部を適正な高さに維持できる構造を有し、かつ、移動が容易な、着座部を備える揺動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、基台、基台の四隅に配置したモータ、及び、着座部を固定した可動テーブルで、着座部を備える揺動装置を構成し、モータの出力軸と可動テーブルをてこクランク機構で連結することで、着座部を適正な高さに維持できると考え、これに基づいて、以下のような新たな着座部を備える揺動装置を発明するに至った。
【0013】
(1)人体が座る着座部を揺動自在に支持する着座部を備える揺動装置であって、矩形の第1基台と、前記第1基台の四隅に配置され、出力軸の延びる方向が前記第1基台の上面と略平行であって、かつ、出力軸が同じ方向に延びる一対一組の第1モータと、前記第1基台の上方に配置され、前記着座部を上面に固定した第1可動テーブルと、前記第1モータの出力軸の回転運動を従動側の揺動運動に変換する、前記第1モータと同数の第1てこクランク機構と、を備え、前記第1てこクランク機構の原動端を前記第1モータの出力軸に連結し、前記第1てこクランク機構の従動端を前記第1可動テーブルの下面に連結して、前記第1可動テーブルを支持し、一対一組の前記第1モータを互いに独立又は同期して駆動することで、前記着座部を揺動させる、着座部を備える揺動装置。
【0014】
(2)前記第1基台の略中央部に支持された円筒状のホルダ部、このホルダ部の中心部から突出し、前記ホルダ部と螺合したロッド部、及び、このロッド部の先端部に設けた第1球面滑り軸受で構成した第1サポート部材を更に備え、前記第1球面滑り軸受は、前記第1可動テーブルの下面の中央部と連結している、(1)記載の着座部を備える揺動装置。
【0015】
(3)前記てこクランク機構は、基端部を前記モータの出力軸と同軸上に固定した回動腕と、一端部を前記回動腕の先端部と回転自在に連結し、他端部に第2球面滑り軸受を有するリンク棒と、を備え、前記第2球面滑り軸受は、前記可動テーブルの下面の四隅に配置した支持部材と回転自在に連結している、(1)又は(2)記載の着座部を備える揺動装置。
【0016】
(4)キャスターを保持し、前記第1基台の外周に固定したL字状の支持ブラケットを更に備え、前記支持ブラケットは、前記第1基台を低背に支持している、(1)記載の着座部を備える揺動装置。
【0017】
(5)人体が座る着座部を揺動自在に支持する着座部を備える揺動装置であって、矩形の第2基台と、前記第2基台の上方に配置され、前記着座部を上面に固定した第2可動テーブルと、前記第2基台の中央部から立設した第1支持部材と前記第2可動テーブルの中央部から下設した第2支持部材を自在継手で連結すると共に、前記第2可動テーブルを揺動自在に支持する第2サポート部材と、前記第2サポート部材を間に前記第2基台の上面に配置され、出力軸の延びる方向が前記第2基台の上面と略平行であって、かつ、出力軸が同じ方向に延びる一対の第2モータと、前記第2モータの出力軸の回転が伝動される入力軸、及び、この入力軸の軸心と軸心が直交し、前記入力軸の回転が伝動される出力軸を有し、一対の前記出力軸が相反する向きに前記第2基台の上面に配置した一組の二軸食違い歯車装置と、前記2軸食違い歯車装置の出力軸の回転運動を従動側の揺動運動に変換する、一対の第2てこクランク機構と、を備え、前記第2てこクランク機構の原動端を前記二軸食違い歯車装置の出力軸に連結し、前記第2てこクランク機構の従動端を前記第2可動テーブルの下面の片隅に連結して、前記第2可動テーブルを支持し、一対の前記第2モータを互いに独立又は同期して駆動することで、前記着座部を揺動させる、着座部を備える揺動装置。
【0018】
(6)前記第2てこクランク機構は、基端部を前記二軸食違い歯車装置の出力軸に固定した揺り腕と、一端部を前記揺り腕の先端部と回転自在に連結し、他端部に第3球面滑り軸受を有するリンク棒と、を備え、前記第3球面滑り軸受は、前記第2可動テーブルの下面の二隅に配置した支持部材と回転自在に連結している、(5)記載の着座部を備える揺動装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明による着座部を備える揺動装置は、基台、基台の四隅に配置したモータ、及び、着座部を固定した可動テーブルで、着座部を備える揺動装置を構成し、モータの出力軸と可動テーブルをてこクランク機構で連結しているので、着座部を適正な高さに維持できる。
【0020】
又、本発明による着座部を備える揺動装置は、基台、基台に配置した一対のモータ、これらのモータの回転が伝動される一組の二軸食違い歯車装置、及び、着座部を固定した可動テーブルで、着座部を備える揺動装置を構成し、二軸食違い歯車装置の出力軸と可動テーブルをてこクランク機構で連結しているので、簡易な構成で可動テーブルを揺動可能に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態による着座部を備える揺動装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す斜視図であり、着座を取り外した状態図である。
【
図3】第1実施形態による着座部を備える揺動装置に備わる機構部の構成を示す平面図である。
【
図4】第1実施形態による着座部を備える揺動装置に備わる機構部の構成を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す右側面図であり、着座を取り外した状態図である。
【
図6】第1実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す下面図である。
【
図7】第1実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す斜視図であり、着座を取り外した状態図である。
【
図8】第1実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す平面図であり、着座を取り外した状態図である。
【
図9】第1実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す背面図であり、着座を取り外した状態図である。
【
図10】本発明の第2実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す斜視図であり、着座を取り外した状態図である。
【
図11】第2実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す平面図であり、着座を取り外した状態図である。
【
図12】第2実施形態による着座部を備える揺動装置に備わる機構部の構成を示す平面図である。
【
図13】第2実施形態による着座部を備える揺動装置に備わる機構部の構成を示す斜視図であり、機構部を前方側から観た状態図である。
【
図14】第2実施形態による着座部を備える揺動装置に備わる機構部の構成を示す斜視図であり、機構部を後方側から観た状態図である。
【
図15】第2実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す右側面図であり、着座部を取り外した状態図である。
【
図16】第2実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す左側面図であり、着座部を取り外した状態図である。
【
図17】第2実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す正面図であり、着座部を取り外した状態図である。
【
図18】第1実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す背面図であり、着座部を取り外した状態図である。
【
図19】第2実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す正面図であり、着座部を備える揺動装置の動作を説明する図である。
【
図20】第2実施形態による着座部を備える揺動装置の構成を示す右側面図であり、着座部を備える揺動装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0023】
[第1実施形態]
(着座部を備える揺動装置の構成)
(全体構成)
最初に、本発明の第1実施形態による着座部を備える揺動装置の全体構成を説明する。
【0024】
図1を参照すると、本発明の第1実施形態による揺動装置10は、着座部9を備えている。着座部9には、人体が座ることができる。揺動装置10は、着座部9を揺動自在に支持している。
【0025】
(着座部の構成)
次に、実施形態による着座部9の構成を説明する。
図1を参照すると、着座部9は、座面部91、背もたれ部92、及び一対の肘掛け部93・93を有している。一対の肘掛け部93・93の延長上には、一組の操作レバー94・95を配置している。又、一組の操作レバー94・95には、スイッチパネル94s・95sを配置している。
【0026】
図1を参照して、座面部91に座った状態で、一組の操作レバー94・95を操作することで、重機などを遠隔操縦できる。スイッチパネル94s・95sを操作することで、重機などを遠隔操作できる。一組の操作レバー94・95で遠隔操縦された重機などの動作(重機の着座部の傾きに関する情報)が電気信号を介して、揺動装置10にフィードバックされて、着座部9を揺動できる。これにより、着座部9に座って重機を遠隔操作する場合に、実際の重機の着座部と同じ姿勢を再現できる。
【0027】
(揺動装置の構成)
次に、第1実施形態による揺動装置10の構成を説明する。
図1から
図9を参照すると、揺動装置10は、矩形の第1基台1、と一対一組の第1モータ2を備えている。又、揺動装置10は、第1可動テーブル3と、第1モータ2と同数の第1てこクランク機構4を備えている。更に、揺動装置10は、第1サポート部材5を備えている。
【0028】
図1から
図9を参照すると、第1基台1は、その外周に固定したL字状の支持ブラケット1bを介して、五つのキャスター1cを保持している。第1モータ2は、第1基台1の四隅に配置されている。四つの第1モータ2は、それらの出力軸の延びる方向が第1基台1の上面と略平行である。また、それらの出力軸が同じ方向に延びている。
【0029】
図2及び
図7から
図9を参照すると、第1可動テーブル3は、第1基台1の上方に配置されている。第1可動テーブル3は、その中央部に設けたボルト穴を利用して(
図2又は
図8参照)、座面部91を底面側から締結部材で固定している。又、第1可動テーブル3は、リング部材3rを上面に固定している。
【0030】
図4又は
図5を参照すると、第1てこクランク機構4は、第1モータ2の出力軸の回転運動を従動側の揺動運動に変換できる。
図2から
図9を参照すると、揺動装置10は、第1てこクランク機構4の原動端を第1モータ2の出力軸に連結している。又、揺動装置10は、第1てこクランク機構4の従動端を第1可動テーブル3の下面に連結して、第1可動テーブル3を支持している。
【0031】
図2から
図9を参照して、一対一組の第1モータ2を互いに独立又は同期して駆動することで、着座部9を揺動できる(
図1参照)。
【0032】
(キャスターの構成)
次に、キャスター1cの構成を説明する。
図2から
図9を参照すると、キャスター1cは、比較的大径の車輪1wを回転自在に支持している。又、キャスター1cは、レベルフット1fを備えている。レベルフット1fの高さを調整して床面に着地することで、揺動装置10の移動を抑制できる。レベルフット1fの高さを調整して床面から離すことで、揺動装置10を容易に移動できる。揺動装置10は、移動式の椅子として機能できる。
【0033】
図2から
図9を参照すると、キャスター1cは、支持ブラケット1bを介して、第1基台1の外周に固定されている。支持ブラケット1bが第1基台1を低背に支持することで、着座部9を適正な高さに維持できる(
図1参照)。
【0034】
(第1モータの構成)
次に、第1モータ2の構成を説明する。
図2から
図5を参照すると、第1モータ2は、その本体が支持具を介して、第1基台1の上面に固定されている。又、第1モータ2は、その出力軸が自在継手を介して、端末まで延びている。第1モータ2の出力軸の端末には、回動腕41の基端部が固定されている(
図4参照)。
【0035】
図3を参照すると、第1モータm1は、その出力軸がx軸方向に延びている。又、第1モータm2は、その出力軸がx軸方向に延びている。第1モータm1と第1モータm2は、それらの出力軸が同軸上に配置されると共に、対向している。
【0036】
同様に、
図3を参照すると、第1モータm3は、その出力軸がx軸方向に延びている。又、第1モータm4は、その出力軸がx軸方向に延びている。第1モータm3と第1モータm4は、それらの出力軸が同軸上に配置されると共に、対向している。
【0037】
又、
図3を参照すると、第1モータm1と第1モータm3は、それらの本体及び出力軸がy軸方向に同列に配置されている。同様に、第1モータm2と第1モータm4は、それらの本体及び出力軸がy軸方向に同列に配置されている。
【0038】
図2から
図4を参照すると、揺動装置10は、第1基台1の背面側に梯子状の立設架を起立している。立設架は、制御盤10cを上部に固定している。制御盤10cの内部に配置されたドライバ回路により、第1モータm1・m2・m3・m4を制御可能に駆動できる。
【0039】
図2から
図7及び
図9を参照すると、リンク棒42は、その一端部を回動腕41の先端部と回転自在に連結している。又、リンク棒42は、その他端部に第2球面滑り軸受4sを有している(
図7参照)。第2球面滑り軸受4sは、第1可動テーブル3の下面の四隅に配置した支持部材3sと回転自在に連結している(
図7参照)。
【0040】
図3又は
図4を参照して、例えば、モータm1とモータm2を駆動することで、第1てこクランク機構4は、第1可動テーブル3の一片側をz軸方向に下げることができる。モータm3とモータm4を駆動することで、第1てこクランク機構4は、第1可動テーブル3の他片側をz軸方向に上げることができる。このように、第1てこクランク機構4は、一対一組の第1モータ2を互いに独立又は同期して駆動することで、着座部9を揺動させることができる。揺動装置10は、着座部9を前後方向に揺動でき、左右方向にも揺動できる。
【0041】
(第1サポート部材の構成)
次に、第1サポート部材5の構成を説明する。
図3又は
図4及び
図9を参照すると、第1サポート部材5は、円筒状のホルダ部51、ロッド部52、及び、第1球面滑り軸受5bで構成している。
【0042】
図3又は
図4及び
図9を参照すると、ホルダ部51は、図示しないブラケットを介して、第1基台1の略中央部に支持されている。ロッド部52は、ホルダ部51の中心部から突出している。又、ロッド部52は、ホルダ部51と螺合している。ホルダ部51に対して、ロッド部52を回転することで、ロッド部52の突出長さを調整できる。
【0043】
図9を参照すると、ロッド部52は、その先端部に第1球面滑り軸受5bを設けている。第1サポート部材5は、いわゆる、ロッドエンドである。第1球面滑り軸受5bは、二山クレビス形の支持部材31sと球面結合している。支持部材31sは、第1可動テーブル3の下面の中央部に取り付けられている(
図7参照)。
【0044】
図3又は
図4及び
図9を参照すると、第1可動テーブル3は、複数の第1てこクランク機構4で揺動可能に支持されているが、第1可動テーブル3の中央部を第1サポート部材5が支持することで、第1可動テーブル3は、揺動運動が許容されるが、第1可動テーブル3の揺動中心から逸脱することが抑制される。
【0045】
(着座部を備える揺動装置の作用)
次に、揺動装置10の作用及び効果を説明する。
図1から
図9を参照すると、揺動装置10は、複数のキャスター1cを設けた第1基台1、第1基台1の四隅に配置した第1モータ2、及び、着座部9を固定した第1可動テーブル3で、着座部を備える揺動装置を構成し、第1モータ2の出力軸と可動テーブル3を第1てこクランク機構4で連結しているので、着座部9を適正な高さに維持できる。特に、第1モータ2を、出力軸が基台の上面と略平行となるように配置して着座部9を揺動させることで、着座部9の高さを低く構成することができる。
【0046】
図1から
図9を参照すると、第1基台1は、チャンネル部材を枠状に構成しているので、軽量、かつ、堅牢な構造となっている。重量の人体が着座部9に座って動作しても、耐久性を維持できる。
【0047】
図2から
図9を参照すると、キャスター1cを保持した支持ブラケット1bが第1基台1を低背に支持することで、着座部9を適正な高さに維持できる。
【0048】
図1から
図9を参照すると、着座部9を取り付けた第1可動テーブル3と第1基台1を一対一組の第1てこクランク機構4で連結しているので、着座部9を適正な高さに維持できる。
【0049】
図3又は
図4及び
図9を参照すると、第1可動テーブル3の中央部を第1サポート部材5が支持することで、第1可動テーブル3は、揺動運動が許容されるが、第1可動テーブル3の揺動中心から逸脱することが抑制される。いわゆる、第1可動テーブル3の横ずれが抑制される。
【0050】
揺動装置10は、第1てこクランク機構4の原動端を第1モータ2の出力軸に連結し、第1てこクランク機構4の従動端を第1可動テーブル3の下面に連結して第1可動テーブル3を支持し、一対一組の第1モータ2を互いに独立又は同期して駆動することで、着座部9を揺動できる。
【0051】
[第2実施形態]
(着座部を備える揺動装置の構成)
(揺動装置の構成)
次に、第2実施形態による揺動装置100の構成を説明する。
図10から
図20を参照すると、揺動装置100は、矩形の第2基台11、一対の第2モータ21・21、及び、一対の・22を備えている。又、揺動装置100は、第2可動テーブル31と、第2モータ21と同数の第2てこクランク機構6を備えている。更に、揺動装置100は、第2サポート部材7を備えている。
【0052】
図10及び
図11を参照して、第2可動テーブル31には、
図1に示した着座部9が固定されているが、着座部9の図示を省略している。又、
図10及び
図11を参照して、第2基台11は、その外周の後方に固定したL字状の支持ブラケット11bを介して、
図2から
図4に示した制御盤10cを備えているが、制御盤10cの図示を省略している。
【0053】
図10から
図20を参照すると、第2基台11は、その四隅に四つのキャスター11cを保持している。又、第2基台11は、その外周の後方に固定した支持ブラケット11bにキャスター11cを保持している。更に、第2基台11は、第2サポート部材7の直下にキャスター11cを保持している(
図13又は
図17参照)。
【0054】
(キャスターの構成)
次に、キャスター11cの構成を説明する。
図10から
図20を参照すると、キャスター11cは、車輪11wを回転自在に支持している。又、キャスター11cは、レベルフット11fを備えている。レベルフット11fの高さを調整して床面に着地することで、揺動装置100の移動を抑制できる。レベルフット11fの高さを調整して床面から離すことで、揺動装置100を容易に移動できる。揺動装置100は、移動式の椅子として機能できる。
【0055】
(第2モータの構成)
次に、第2モータ21の構成を説明する。
図12から
図14を参照すると、一対の第2モータ21・21は、第2基台11の前方に配置されている。一対の第2モータ21・21は、第2サポート部材7を間に第2基台11の上面に配置されている(
図13参照)。一対の第2モータ21・21は、それらの出力軸の延びる方向が第2基台11の上面と略平行である。又、一対の第2モータ21・21の出力軸が同じ方向に平行に延びている。
【0056】
図12又は
図13を参照すると、第2モータm5は、その出力軸がx軸方向に延びている。又、第2モータm6は、その出力軸がx軸方向に延びている。
図14又は
図15を参照すると、第2モータm6は、その出力軸に小歯車211を固定している。第2モータm5の出力軸にも小歯車211を固定しているが、図示を省略している。
【0057】
図14又は
図16を参照すると、小歯車211は、大歯車212と噛み合っている。大歯車212は、二軸食違い歯車装置22の入力軸22aに固定されている。第2モータm5の出力軸に固定した小歯車211と噛み合う大歯車212は、図示を省略している。第2モータ21を駆動すると、その回転を小歯車211と大歯車212で構成した歯車装置で減速して、二軸食違い歯車装置22の入力軸22aに伝動できる。
【0058】
図10又は
図15から
図20を参照すると、第2可動テーブル31は、第2基台11の上方に配置されている。第2可動テーブル31は、その中央部に設けたボルト穴を利用して(
図10又は
図11参照)、着座部9の座面部91を底面側から締結部材で固定している。
【0059】
(第2サポート部材の構成)
図17を参照すると、第2サポート部材7は、二山クレビス型の第1支持部材711と二山クレビス型の第2支持部材312を自在継手で連結している。第1支持部材711は、第2基台11の中央部から立設している。第2支持部材312は、第2可動テーブル31の中央部から下設している。第1支持部材711と第2支持部材312を十字棒71で回動自在に連結することで、第2サポート部材7は、第2基台11に対して、第2可動テーブル31を揺動自在に支持する自在継手を構成している。
【0060】
(二軸食違い歯車装置の構成)
次に、二軸食違い歯車装置22の構成を説明する。
図12又は
図18を参照すると、一組の二軸食違い歯車装置22・22は、第2基台11の上面に固定している。二軸食違い歯車装置22は、入力軸22aと出力軸22bを有している。入力軸22aには、小歯車211と大歯車212で構成した歯車装置を介して、第2モータ21の出力軸の回転が伝動される。
【0061】
図13から
図18を参照すると、出力軸22bは、その軸心が入力軸22aの軸心と直交している。二軸食違い歯車装置22の本体の内部では、入力軸22aの末端部に固定した傘歯車(図示せず)と、出力軸22bの末端部に固定した傘歯車(図示せず)が噛み合っている。そして、入力軸22aの回転を出力軸22bに伝動できる。
図14又は
図17に示した実施形態では、一対の出力軸22b・22bが相反する向きに配置されている。つまり、一対の出力軸22b・22bは、外側に突出した状態で配置されている。
【0062】
(第2てこクランク機構の構成)
次に、第2てこクランク機構6の構成を説明する。
図14から
図19を参照すると、第2てこランク機構6は、楕円板状の揺り腕61とリンク棒62を備えている。揺り腕61は、その基端部を二軸食違い歯車装置22の出力軸22bに固定している(
図14から
図16参照)。第2モータ21を正逆回転することで、二軸食違い歯車装置22を介して、揺り腕61の先端部を回動できる。つまり、第2てこクランク機構6の原動端は、二軸食違い歯車装置22の出力軸22bに連結している。又、揺り腕61とリンク棒62は、第3球面滑り軸受6sを介して、回転自在に連結している(
図15又は
図16参照)。
【0063】
図14から
図19を参照すると、リンク棒62は、その一端部を揺り腕61の先端部と回転自在に連結している。又、リンク棒62は、その他端部に第3球面滑り軸受6sを保持している(
図16から
図18参照)。そして、第3球面滑り軸受6sは、第2可動テーブル31の下面の二隅に配置した二山クレビス型の支持部材311と回転自在に連結している(
図17参照)。つまり、第2てこクランク機構6の従動端は、第2可動テーブル31の下面の片隅に連結して、第2可動テーブル31を支持している。
【0064】
図14から
図19を参照すると、第2てこクランク機構6は、2軸食違い歯車装置22の出力軸22bの回転運動を従動側の揺動運動に変換している。一対の第2モータ21・21を互いに独立又は同期して駆動することで、着座部9を揺動できる。
【0065】
(着座部を備える揺動装置の作用)
次に、揺動装置100の動作を説明しながら、揺動装置100の作用及び効果を説明する。
図10から
図20を参照すると、揺動装置100は、複数のキャスター11cを設けた第2基台11、第2基台11の二隅に配置した一対の第2モータ21・21、これらの第2モータ21・21の出力軸の回転運動が伝動される二軸食違い歯車装置22・22、及び、着座部9を固定した第2可動テーブル31で、着座部を備える揺動装置を構成し、二軸食違い歯車装置2の出力軸と可動テーブル31の下面の二隅を第2てこクランク機構6で連結しているので、第2サポート部材7を支点に着座部9を揺動できる。特に、第2モータ21と二軸食違い歯車装置22を第2基台11と第2可動テーブル31の間に配置することで、着座部9の高さを低く構成することができる。
【0066】
図15から
図20を参照すると、第2基台11と第2可動テーブル31は、通常、水平方向に略平行に配置されている。
図20を参照して、第2モータm5・m6を同期して回転することで、揺り腕61を反時計方向Lに回動でき、十字棒71を回動中心として(
図17参照)、第2可動テーブル31を前傾できる。
図20を参照して、第2モータm5・m6を同期して回転することで、揺り腕61を時計方向Rに回動でき、十字棒71を回動中心として(
図17参照)、第2可動テーブル31を後傾できる。
図20では、第2基台11に対して、第2可動テーブル31を角度βだけ傾動する様子を示している。
【0067】
図19を参照して、
図20に示した状態から、第2モータm5を独立して一方の方向に回転することで、一方の第2てこクランク機構6が第2可動テーブル31の右隅を押し上げ、十字棒71を回動中心として、第2可動テーブル31を時計方向Rに傾動できる。
図20に示した状態から、第2モータm5を独立して他方の方向に回転することで、一方の第2てこクランク機構6が第2可動テーブル31の右隅を引き下げ、十字棒71を回動中心として、第2可動テーブル31を反時計方向Lに角度αだけ傾動できる。
【0068】
図19を参照して、
図20に示した状態から、第2モータm6を独立して他方の方向に回転することで、他方の第2てこクランク機構6が第2可動テーブル31の左隅を押し上げ、十字棒71を回動中心として、第2可動テーブル31を反時計方向Lに傾動できる。
図20に示した状態から、第2モータm6を独立して一方の方向に回転することで、他方の第2てこクランク機構6が第2可動テーブル31の左隅を引き下げ、十字棒71を回動中心として、第2可動テーブル31を時計方向に角度αだけ傾動できる。
【0069】
このように、第2モータm5・m6を同期して回転することで、第2可動テーブル31をx軸が延びる前後方向に揺動できる。又、第2モータm5と第2モータm6を独立して回転することで、第2可動テーブル31をy軸が延びる左右方向に揺動できる。又、第2モータm5・m6を同期して回転すること、及び、第2モータm5と第2モータm6を独立して回転することで、第2可動テーブル31を前後方向と左右方向に合成した揺動運動が可能になる。
【0070】
図10から
図20を参照すると、第2基台11は、チャンネル部材を枠状に構成しているので、軽量、かつ、堅牢な構造となっている。重量の人体が着座部に座って動作しても、耐久性を維持できる。
【0071】
図13又は
図14及び
図17又は
図18を参照すると、第2可動テーブル31の中央部を自在継手を有する第2サポート部材7が支持することで、第2可動テーブル31は、揺動運動が許容されるが、第2可動テーブル31の揺動中心から逸脱することが抑制される。いわゆる、第2可動テーブル31の横ずれが抑制される。
【0072】
第1実施形態による揺動装置10は、四つのモータを用いて、第1可動テーブル3を揺動可能に制御していたが、第2実施形態による揺動装置100は、一対のモータを用いて、第2可動テーブル31を揺動可能に制御できるので、構成が簡易になるという、特別な効果がある。
【0073】
本発明による着座部を備える揺動装置は、遠隔操縦装置により重機などの操縦を訓練する場合に好適な実施形態を開示したが、実施形態に限定されない。模擬乗り物を操縦可能にシミュレーションする場合に、応用することが期待できる。
【符号の説明】
【0074】
1 第1基台
2 第1モータ
3 第1可動テーブル
4 第1てこクランク機構
9 着座部
10 揺動装置(着座部を備える揺動装置)