(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112706
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20230807BHJP
G06Q 20/24 20120101ALI20230807BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q20/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014565
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚田 智也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049CC35
5L055AA52
(57)【要約】
【課題】 クレジットカードの利用情報を決済以外の目的で有効に利用することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】 クレジットカードの会員である各ユーザの登録情報を記憶する記憶部と、一のユーザのクレジットカードの利用履歴に基づく一のユーザの利用場所と、一のユーザに係る登録情報に基づく住所又は居所とが所定基準以上離れているか否かを判定する判定部と、判定部により所定基準以上離れていると判定された場合に、利用場所の属する領域に関する所定処理を、一のユーザに対応付けて実行する処理部とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレジットカードの会員である各ユーザの登録情報を記憶する記憶部と、
一のユーザのクレジットカードの利用履歴に基づく前記一のユーザの利用場所と、前記一のユーザに係る前記登録情報に基づく住所又は居所とが所定基準以上離れているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記所定基準以上離れていると判定された場合に、前記利用場所の属する領域に関する所定処理を、前記一のユーザに対応付けて実行する処理部とを含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記所定処理は、発生した災害の災害地域に前記領域が属する場合に、前記一のユーザに関する情報を、前記災害地域に係る特定者の装置に通知する第1の通知処理を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定処理は、発生した災害の災害地域に前記領域が属する場合に、避難に関する情報を、前記一のユーザに通知する第2の通知処理を含む、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記災害の発生時刻に対して直近の所定期間内の前記利用履歴に基づいて、前記通知処理を実行する、請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定処理は、前記領域が属する地域における前記一のユーザに係る生活実態を示す所定情報を出力する処理を含む、請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記領域に属する前記利用場所が所定数以上存在する場合に、又は、前記利用場所での利用回数が所定回数以上である場合に、前記生活実態を証明するための前記所定情報の出力を可能とする、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定処理は、前記領域が属する地域での生活に役立つ情報を前記一のユーザに対応付ける処理を含む、請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記役立つ情報は、前記領域が属する地域での公共サービスに関する、請求項7に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クレジットカードの利用情報を用いた情報処理を実行する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クレジットカードの利用情報をクラウドサーバに送信し、クラウドサーバに保管された未処理の購入データを決済処理させる購入データ制御手段を備える決済システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、クレジットカードの利用情報を決済以外の目的で利用する点の開示はない。
【0005】
そこで、1つの側面では、本発明は、クレジットカードの利用情報を決済以外の目的で有効に利用することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)1つの態様では、情報処理装置は、クレジットカードの会員である各ユーザの登録情報を記憶する記憶部と、
一のユーザのクレジットカードの利用履歴に基づく前記一のユーザの利用場所と、前記一のユーザに係る前記登録情報に基づく住所又は居所とが所定基準以上離れているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記所定基準以上離れていると判定された場合に、前記利用場所の属する領域に関する所定処理を、前記一のユーザに対応付けて実行する処理部とを含むことを特徴とする。
【0007】
(2)上記の態様において、好ましくは、前記所定処理は、発生した災害の災害地域に前記領域が属する場合に、前記一のユーザに関する情報を、前記災害地域に係る特定者の装置に通知する第1の通知処理を含むことを特徴とする。
【0008】
(3)上記の態様において、好ましくは、発生した災害の災害地域に前記領域が属する場合に、避難に関する情報を、前記一のユーザに通知する第2の通知処理を含むことを特徴とする。
【0009】
(4)上記の態様において、好ましくは、前記処理部は、前記災害の発生時刻に対して直近の所定期間内の前記利用履歴に基づいて、前記通知処理を実行することを特徴とする。
【0010】
(5)上記の態様において、好ましくは、前記所定処理は、前記領域が属する地域における前記一のユーザに係る生活実態を示す所定情報を出力する処理を含むことを特徴とする。
【0011】
(6)上記の態様において、好ましくは、前記処理部は、前記領域に属する前記利用場所が所定数以上存在する場合に、又は、前記利用場所での利用回数が所定回数以上である場合に、前記生活実態を証明するための前記所定情報の出力を可能とすることを特徴とする。
【0012】
(7)上記の態様において、好ましくは、前記所定処理は、前記領域が属する地域での生活に役立つ情報を前記一のユーザに対応付ける処理を含むことを特徴とする。
【0013】
(8)上記の態様において、好ましくは、前記情報は、前記領域が属する地域での公共サービスに関することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
1つの側面では、本発明によれば、クレジットカードの利用情報を決済以外の目的で有効に利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施例の情報処理装置の構成を示す図である。
【
図2】判定部の処理を例示するフローチャートである。
【
図3】履歴データのデータ構成を例示する図である。
【
図4】地域情報をユーザに提供する処理を例示するフローチャートである。
【
図5】ユーザ情報を他者に提供する処理を例示するフローチャートである。
【
図5A】ユーザ情報を他者に提供する処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施例の情報処理装置の構成を示す図である。
【0018】
図1に示すように、本実施例の情報処理装置10は、クレジットカードの会員である各ユーザの登録情報を記憶する記憶部11と、ユーザのクレジットカードの利用履歴に基づくユーザの利用場所と、ユーザの登録情報に基づく住所又は居所とが所定基準以上離れているか否かを判定する判定部12と、判定部12により所定基準以上離れていると判定された場合に、利用場所の属する領域に関する所定処理を、ユーザに対応付けて実行する処理部13と、所定の場合に、生活実態を証明するための所定情報の出力を可能とする出力可否判定部14と、を備える。
【0019】
図1に示すように、本実施例の情報処理装置10は、インターネット70、その他の通信回線に接続され、この通信回線には、様々な地域にある店舗の決済端末30と、決済センター50とが接続されている。情報処理装置10は、例えば、クレジットカード会社により管理される装置として構成される。
【0020】
また、各決済端末30には、クレジットカード会社により管理されるデータサーバ20に利用情報を送信する機能と、情報処理装置10との間で情報をやり取りする通信機能とが設けられている。このような決済端末30の機能は、決済端末30に所定のアプリケーションソフトウェア(プログラム)を実装することで獲得することができる。このようなアプリケーションソフトウェアによれば、例えば、ユーザが複数のクレジットカードを利用する場合に、利用したクレジットカードに対応するクレジット会社のデータサーバ20にのみ、当該利用情報を送信することができる。
【0021】
図1では、便宜上、情報処理装置10は、インターネット70に接続された単一の装置(サーバ)として表現されているが、本発明の情報処理装置の機能の一部を、決済端末30に振り分けてもよい。また、本発明の情報処理装置の機能の一部を、
図1に示す情報処理装置10と決済端末30の両者に設けてもよい。
【0022】
クレジットカードの会員であるユーザの個人情報は、クレジットカードの申し込み時の登録情報として、クレジットカード会社のデータサーバ20に格納される。クレジットカードの登録情報には、ユーザの住所又は居所が含まれる。住所又は居所は、クレジットカードの利用を開始する初期登録時に登録されるが、任意のタイミングで、ユーザの届出に基づいて変更することができる。
【0023】
所定の店舗において、クレジットカードの会員であるユーザがクレジットカードを利用した場合、当該店舗の決済端末30で、利用金額等とクレジットカードから読み込まれる情報を取得することにより、当該ユーザ、当該店舗を特定する店舗情報、利用時刻および利用金額を含む利用情報が、決済端末30から通信回線を介して決済センター50に送信される。
【0024】
また、これらの利用情報は、決済端末30から通信回線を介して、クレジット会社のデータサーバ20にも送信され、利用履歴として保存される。
【0025】
さらに、後述するユーザ登録を受けたユーザがクレジットカードを利用した場合、情報処理装置10は、ユーザ登録を受けたユーザの利用履歴をデータサーバ20から取得することができる。
【0026】
次に、記憶部11の機能について説明する。
【0027】
本実施例の情報処理装置10に係るサービスの提供を受けるユーザは、ユーザ登録により当該サービスの提供を受けることが可能となる。ユーザ登録を受けたユーザの登録情報は、記憶部11に格納される。記憶部11に格納される登録情報は、データサーバ20に格納されたクレジットカードの登録情報から取得することができるが、これに追加して、または、これに置換される情報として、ユーザ登録時やユーザ登録後にユーザから取得することもできる。
【0028】
記憶部11に格納される登録情報は、ユーザを特定するユーザIDと、ユーザIDに対応付けられた住所又は居所が含まれる。また、記憶部11には、ユーザに対する連絡先、例えばユーザの携帯端末の電話番号、メールアドレスなどが含まれる。住所又は居所は、後述する利用地域の頻度や、ユーザの携帯端末の位置情報(GPS情報)に基づく行動履歴等に基づいて、情報処理装置10において更新してもよい。
【0029】
ユーザの携帯端末には、あらかじめ情報処理装置10に係るサービスの提供を受けるのに必要なアプリケーションソフトウェア(プログラム)が実装される。
【0030】
次に、判定部12の動作について説明する。
【0031】
図2は、判定部の処理を例示するフローチャートである。当該処理は、例えば、定期的に実行することができる。
【0032】
図2のステップS102では、判定部12は、データサーバ20の利用履歴に基づき、ユーザ登録を受けたユーザであって、選択されているユーザの新たな利用情報があるか否か判断し、判断が肯定されればステップS104へ処理を進め、判断が否定されればステップS106へ処理を進める。
【0033】
ステップS106では、判定部12は、ユーザ登録を受けたユーザであって、次のユーザを選択して、ステップS102へ処理を進める。
【0034】
ステップS104では、判定部12は、データサーバ20の利用履歴から、指定されているユーザの利用情報を取得する。
【0035】
ステップS108では、判定部12は、ステップS104で取得された利用情報から、利用店舗の領域が属する地域である利用地域を取得する。利用地域は、例えば、クレジットカードを利用した店舗がある市町村などであるが、さらに広い地域(例えば、都道府県)や狭い地域であってもよい。互いに異なる観点から定められる複数の利用地域を店舗に対応付けてもよい。
【0036】
ステップS110では、判定部12は、記憶部11の登録情報にアクセスし、指定されているユーザの住所又は居所を取得する。
【0037】
ステップS112では、判定部12は、ステップS108で取得された利用地域と、ステップS110で取得されたユーザの住所又は居所とを対比し、利用地域がユーザの住所又は居所と一致するか否か判断する。判定部12は、判断が肯定されればステップS106へ処理を進め、判断が否定されればステップS114へ処理を進める。
【0038】
ステップS114では、判定部12は、すべてのユーザが選択されているか否か判断し、判断が肯定されれば処理を終了し、判断が否定されればステップS116へ処理を進める。
【0039】
ステップS116では、判定部12は、ステップS104で取得された利用情報のうち、所定の情報を情報処理装置10に履歴データ80として蓄積し、ステップS106へ処理を進める。
【0040】
図3は、履歴データのデータ構成を例示する図である。この例では、履歴データ80には、ユーザを特定するユーザIDと、当該ユーザがクレジットカードを利用した時刻である利用時刻と、上記の利用地域とが含まれる。
【0041】
以上のように、履歴データ80には、ユーザの住所又は居所と一致しない地域におけるクレジットカードの利用履歴が蓄積、更新される。
【0042】
次に、処理部13の動作について説明する。
【0043】
処理部13は、履歴データ80に基づき、所定の地域情報をユーザに提供する。
【0044】
例えば、ある地域で災害が発生した場合における災害に関わる地域情報、例えば、避難マップ等の避難情報を、当該地域でのクレジットカードの利用があったユーザに提供することができる。また、ある地域の自治体や企業、店舗などから提供されている地域情報、例えば自治体や町内会からの各種のお知らせや観光、祭り等のイベントに関する情報、企業や店舗からの広告、利用時の特典の権利などを、当該地域でのクレジットカードの利用があったユーザに提供することができる。
【0045】
図4は、地域情報をユーザに提供する処理を例示するフローチャートである。
【0046】
図4のステップS202では、処理部13は、ユーザに提供される一の地域情報を選択する。以下では、地域情報として、所定の地域で災害が発生した場合、ユーザに対し提供される避難情報を例示する。
【0047】
ステップS204では、処理部13は、ステップS202で選択された地域情報に対応する地域を特定する。例えば、災害が発生した地域がこれに該当する。
【0048】
ステップS206では、処理部13は、履歴データ80を検索して、利用地域および利用時刻に基づき、災害に関わる情報を提供する対象となる所定のユーザ(ユーザID)を抽出する。例えば、処理部13は、ステップS204で特定された地域において、所定の期間、例えば、災害発生時の直近や直後にクレジットカードの利用があったユーザを抽出する。また、例えば、処理部13は、最後にクレジットカードを利用した地域(最後の利用地域)が災害の発生した地域に合致するユーザを抽出する。
【0049】
ステップS208では、処理部13は、ステップS206で抽出されたユーザに対し、避難情報を提供する。ここでは、例えば、処理部13は、対応するユーザの携帯端末の電話番号、その他の連絡先を記憶部11から取得し、取得された連絡先に避難情報を送信する。
【0050】
ステップS210では、処理部13は、すべての地域情報が選択されたか否か判断し、判断が肯定されれば処理を終了し、判断が否定されればステップS212へ処理を進める。
【0051】
ステップS212では、処理部13は、ユーザに提供される次の地域情報を選択し、ステップS204へ処理を進める。
【0052】
また、処理部13は、履歴データ80に基づき、ユーザに関する情報を他者に提供する。
【0053】
例えば、ユーザがクレジットカードを利用した地域で災害が発生した場合に、当該ユーザに関する情報であるユーザ情報を、災害地域に係る特定者、例えば対応する自治体に提供することができる。これにより、自治体は、当該ユーザの安否確認を行うことが可能となる。例えば、クレジットカードの申し込み時に取得されたユーザの個人情報には、本人に連絡がつきやすい電話番号などの情報が含まれる。このため、ユーザ情報を安否確認のための有効な情報として活用できる。
【0054】
また、例えば、ある地域であるユーザがクレジットカードを利用した利用履歴に基づいて、当該ユーザが当該地域における生活実態があることを証明するユーザ情報を他者、例えば、当該地域の自治体に提供することができる。
【0055】
図5および
図5Aは、ユーザ情報を他者に提供する処理を例示するフローチャートである。
図5では、災害が発生した場合に、災害が発生した自治体に対してユーザ情報を提供する例を示す。
【0056】
図5のステップS302では、処理部13は、災害が発生した地域を特定する。
【0057】
ステップS304では、処理部13は、履歴データ80を検索して、利用地域および利用時刻に基づき、災害発生時、または災害発生直後に、災害が発生した地域、すなわちステップS302で特定された地域にいた可能性が高いユーザを抽出する。ここでは、処理部13は、例えば、災害発生時の直近や直後にクレジットカードの利用があったユーザを抽出する。また、例えば、処理部13は、最後にクレジットカードを利用した地域(最後の利用地域)が災害の発生した地域に合致するユーザを抽出する。
【0058】
ステップS306では、出力可否判定部14は、情報処理装置10内に格納された出力可否データ81(
図1)に基づき、ステップS304で抽出されたユーザのうち、ユーザ情報の提供を許諾しているユーザ、および提供が承諾されているユーザ情報の項目を特定する。
【0059】
ステップS308では、処理部13は、ステップS306で出力可否判定部14により特定されたユーザ情報を、当該自治体に提供し、処理を終了する。ここでは、例えば、処理部13は、対応するユーザの電話番号、その他の連絡先を記憶部11から取得し、自治体の情報管理装置等に送信することで、自治体の責任者や、災害担当者に閲覧可能とする。
【0060】
上記のように、処理部13は、ユーザの承諾を前提として、ユーザ情報を提供することができる。この場合、ユーザの意思、すなわちユーザ情報の提供についての承諾の有無を出力可否データ81にあらかじめ登録しておき、処理部13の動作に反映させることができる(ステップS306~ステップS308)。ユーザは、ユーザ情報の提供を承諾している提供先、ユーザ情報のうち承諾をしている項目などを出力可否データ81によって指定でき、ユーザの承諾がある提供先であって、ユーザの承諾がある項目についてのみ、ユーザ情報が提供される。これにより、ユーザにおいて自らのユーザ情報をコントロールすることが可能となる。
【0061】
次に、
図5Aでは、ユーザが生活実態のある地域の自治体に対して、生活実態に関するユーザ情報を提供する処理を例示する。
図5Aの処理は、例えば、一定周期で実行される。
【0062】
図5AのステップS402では、処理部13は、記憶部11に登録されたユーザから一のユーザを選択する。
【0063】
ステップS404では、処理部13は、履歴データ80にアクセスし、選択されているユーザの利用地域を取得する。
【0064】
ステップS406では、処理部13は、ステップS404で取得された利用地域に基づき、所定の期間に一定以上の頻度でクレジットカードを利用した地域を抽出する。例えば、処理部13は、領域に属する利用場所が所定数以上存在する場合に、又は、利用場所での利用回数が所定回数以上である場合に、生活実態を証明するための所定情報の出力を可能としてもよい。当該所定数および当該所定回数の設定方法は、自治体の要求に応じて、自治体ごとに異なってもよい。
【0065】
ステップS408では、出力可否判定部14は、出力可否データ81に基づき、選択されているユーザが、ステップS406において抽出された地域の自治体に対して、生活実態に関するユーザ情報を提供することを承諾しているか否か判断する。出力可否判定部14は、判断が肯定されればステップS410へ処理を進め、判断が否定されればステップS412へ処理を進める。
【0066】
出力可否データ81には、ユーザの意思、すなわちユーザ情報の提供についての承諾の有無があらかじめ登録される。
【0067】
ステップS410では、処理部13は、ステップS406において抽出された地域の自治体に対して、生活実態に関するユーザ情報を提供し、ステップS412へ処理を進める。生活実態に関するユーザ情報には、例えば、当該地域での生活実態があることを示す情報と、ユーザを特定する個人情報とが含まれる。ユーザは、ユーザ情報の提供を承諾している提供先、ユーザ情報のうち承諾をしている項目などを出力可否データ81によって指定でき、ユーザの承諾がある提供先であって、ユーザの承諾がある項目についてのみ、ユーザ情報が提供される。これにより、ユーザにおいて自らのユーザ情報をコントロールすることが可能となる。
【0068】
ステップS412では、処理部13は、すべてのユーザが選択されたか否か判断し、判断が肯定されれば処理を終了し、判断が否定されればステップS414へ処理を進める。
【0069】
ステップS414では、処理部13は、記憶部11に登録されたユーザから次のユーザを選択し、ステップS404へ処理を進める。
【0070】
このように、
図5Aに示す処理によれば、ユーザが自らの生活実態に関するユーザ情報を自治体に対して提供することができる。
【0071】
以上のように、本実施例によれば、利用した店舗の情報に基づき、その店舗がある地域の情報をユーザに対して提供することができる。
【0072】
例えば、居住地と勤務地が離れている場合に、住所の地域の情報は自治体や知り合いからの情報が入手できるが、勤務地の地域の情報が得にくい場合がある。このような場合であっても、本実施例によれば、クレジットカードを勤務地の地域で利用した利用情報に基づき、当該地域の情報がユーザに提供される。また、仕事のある平日の生活圏と、休日の生活圏とが異なるようなユーザに対しても、必要な情報を提供することが可能となる。
【0073】
また、出張や旅行で、居住地と離れた場所に行った場合には、その地域でのクレジットカードの利用情報に基づいて、当該地域の情報がユーザに提供される。上記のように、その地域で災害が発生した場合、災害に関する情報、例えば避難情報などがユーザに提供されるため、ユーザは自身の安全を確保できる。また、ユーザは、出張や旅行で訪れた地域の有用な情報を得ることができる。
【0074】
また、本実施例によれば、ある地域におけるクレジットカードの利用情報に基づき、ユーザの生活実態に関するユーザ情報が当該地域の自治体に提供される。例えば、当該地域での飲食や食料品、生活用品の購入などの生活実態がクレジットカードの利用履歴により示される。このため、ユーザの生活実態に関するユーザ情報を、当該地域での生活基盤や活動の存在を示す証明として、自治体に対して提示することができる。例えば、当該自治体の各種公共サービス、例えば、図書館等の施設の利用要件として、当該地域での生活基盤や活動の存在が必要な場合に、生活実態に関するユーザ情報を自治体に提供することができる。このため、例えば、当該地域に住民票がないユーザであっても、当該サービスの利用が可能となる。クレジットカードの利用情報は、実店舗での支払いがあったことを示し、場所の偽装ができないため、ユーザの生活実態に関するユーザ情報を、地域での生活実態があることを示す証明書のような機能をもつ情報として利用できる。
【0075】
自治体との連携により、情報処理装置10によるサービスの円滑な提供を確保できる。例えば、本実施例の情報処理装置10と自治体のサーバとをインターネット等の通信回線を介して接続し、自治体からの情報をユーザに対して、またはユーザ情報を自治体に対して、通信回線を介して提供することができる。また、例えば、災害に関する警報が自治体から発令されたような場合に、情報処理装置10において警報を迅速に把握でき、避難情報の提供などに役立てることができる。
【0076】
また、クレジットカードの利用地域を、実店舗が属する地域に限定せず、当該利用地域に、クレジットカードにより購入した商品やサービスに係る地域を含めてもよい。例えば、ある地域で生産された商品を購入した場合や、ある地域での宿泊施設を利用した場合に、当該地域を利用地域として取り扱ってもよい。
【0077】
本実施例の情報処理装置10に、利用場所の属する領域に関する最新情報を、例えば自治体のサーバや企業のサーバから取得する情報収集機能を備えてもよい。情報収集機能は、利用情報の時間と位置情報に基づき、情報収集のタイミングを変化させるようにしても良い。例えば、緊急事態のある地域は情報収集の頻度を高めることにより、必要な情報を迅速に取得できる。また、本実施例の情報処理装置10に、利用場所の属する領域、例えば自治体のサーバや企業のサーバに対して、情報提供を求める情報提供要求機能を備えても良い。これにより、情報が十分ない場合や、緊急時などに必要な情報を、適時、取得できる。
【0078】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 情報処理装置
11 記憶部
12 判定部
13 処理部
14 出力可否判定部