(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112709
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】ドローン
(51)【国際特許分類】
B64C 25/06 20060101AFI20230807BHJP
B64C 25/36 20060101ALI20230807BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230807BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230807BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20230807BHJP
B64C 25/42 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
B64C25/06
B64C25/36
B64C27/08
B64C39/02
B64D47/08
B64C25/42
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014569
(22)【出願日】2022-02-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】521495161
【氏名又は名称】柳沢 昭次
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 昭次
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正
(72)【発明者】
【氏名】吉野 裕仁
(72)【発明者】
【氏名】豊田 穣
(57)【要約】 (修正有)
【課題】埃の舞い込みを抑制して撮像をすることが可能となるようなドローンを提供する。
【解決手段】本体部11と、本体部11を支持する複数の脚部15F、15Lであって、第1の種類の脚部15Fおよび第1の種類と異なる第2の種類の脚部15Lを含む複数の脚部15F、15Lと、本体部11に揚力または推進力を発生させるプロペラ12と、を備えたドローンであって、第1の種類の脚部15Fは、回転しない制動部材でできた脚部であって、第1の長さを有する少なくとも1つの脚部を含み、第2の種類の脚部15Lは、ドローンが着地または着床した状態において、ドローンの前後方向への移動を許容する回転体をそれぞれ備えた、第2の長さを有する2つの脚部であって、前後方向と直交する左右方向に沿って、ドローンの左側に設けられた左側脚部と、ドローンの右側に設けられた右側脚部とを備え、第1の長さよりも第2の長さの方が長い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部を支持する複数の脚部であって、第1の種類の脚部および前記第1の種類と異なる第2の種類の脚部を含む複数の脚部と、
前記本体部に揚力または推進力を発生させるプロペラと、
を備えたドローンであって、
前記第1の種類の脚部は、回転しない制動部材でできた脚部であって、第1の長さを有する第1の脚部を含む少なくとも1つの脚部を含み、
前記第2の種類の脚部は、前記ドローンが着地または着床した状態において、前記ドローンの前後方向への移動を許容する回転体をそれぞれ備えた第2の長さを有する2つの脚部であって、前記2つの脚部は、前記前後方向と直交する左右方向に沿って、前記ドローンの左側に設けられた左側脚部と前記ドローンの右側に設けられた右側脚部とのみを備え、
前記第1の長さよりも前記第2の長さの方が長い、
ドローン。
【請求項2】
前記回転体は樹脂でできている、請求項1に記載されたドローン。
【請求項3】
前記樹脂はナイロンである、請求項2に記載されたドローン。
【請求項4】
前記左側脚部および前記右側脚部は、前記ドローンの前後方向に沿って前記ドローンの中央部に配置されている、請求項1から3のいずれか1つに記載されたドローン。
【請求項5】
前記回転体は切り欠かれた角部を有する、請求項1から4のいずれか1つに記載されたドローン。
【請求項6】
前記回転体はRが付けられた角部を有する、請求項1から4のいずれか1つに記載されたドローン。
【請求項7】
画像を撮像するカメラを更に備えた、請求項1から6のいずれか1項に記載されたドローン。
【請求項8】
平面視において前記本体部の中央部から前記第1の脚部を望む方向が、前記カメラの画角内に含まれるように前記カメラが配置されている、請求項7に記載されたドローン。
【請求項9】
前記第1の脚部は前記左側脚部および前記右側脚部よりも前方に配置されている、請求項8に記載されたドローン。
【請求項10】
前記第1の脚部は前記左側脚部および前記右側脚部よりも前方に配置され、
前記カメラは前記第1の脚部の鉛直上方に配置されている、請求項7に記載されたドローン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はドローンに関する。
【背景技術】
【0002】
ドローンを利用して建物にクラック等の不具合が発生していないかを調査する試みがなされている。例えば、特許文献1には、床下や屋根裏などの建物内部の狭い空間内にカメラが搭載されたドローンを飛行させて画像を撮像し、撮像した画像を確認することで建物を調査する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、床下や屋根裏などの狭隘空間には多くの埃が溜まっているため、従来技術1のような技術を用いて狭隘空間の画像を撮像しても、撮像画像に埃が映り込み、良好な画像が得られないという問題があった。
【0005】
本開示はこのような問題を解決するためになされたものであり、実施形態の一側面は、埃の舞い込みを抑制して撮像をすることが可能となるようなドローンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によるドローンの一側面は、本体部と、前記本体部を支持する複数の脚部であって、第1の種類の脚部および前記第1の種類と異なる第2の種類の脚部を含む複数の脚部と、前記本体部に揚力または推進力を発生させるプロペラと、を備えたドローンであって、前記第1の種類の脚部は、回転しない制動部材でできた脚部であって、第1の長さを有する第1の脚部を含む少なくとも1つの脚部を含み、前記第2の種類の脚部は、前記ドローンが着地または着床した状態において、前記ドローンの前後方向への移動を許容する回転体をそれぞれ備えた第2の長さを有する2つの脚部であって、前記2つの脚部は、前記前後方向と直交する左右方向に沿って、前記ドローンの左側に設けられた左側脚部と前記ドローンの右側に設けられた右側脚部とのみを備え、前記第1の長さよりも前記第2の長さの方が長い。
【発明の効果】
【0007】
実施形態によるドローンの一側面によれば、ドローンは、ドローンが着地または着床した状態においてプロペラの回転により発生する風の流れを一定の方向に限定しながら任意の移動することが可能であるので、プロペラの風により埃が舞う空間を限定することができる。したがって、埃の舞い込みを抑制して撮像をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】ドローンおよびコントローラの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しつつ、本開示に係る種々の実施形態について説明する。なお、図面全体を通じて同一符号を付された構成要素は、同一又は類似の構成又は機能を有するものとする。
【0010】
<システム構成>
図1は本開示に係るドローン1の斜視図であり、
図2はドローン1の底面図であり、
図3はドローン1の正面図である。ドローン1は、
図4に示されているように、コントローラ2により送信された操縦信号に従って遠隔操作される。遠隔操作には、目視内飛行および目視外飛行が含まれる。遠隔操作によりドローン1は飛行または走行をするとともに、ドローン1のカメラ13により撮像された画像がコントローラ2に送信される。
【0011】
<ドローンの構成>
図1および
図2に示されているように、ドローン1は、本体部11、本体部11の前方の左右両側に設けられたプロペラ12FLおよび12FR、本体部11の後方の左右両側に設けられたプロペラ12RLおよび12RR、本体部11の前方の中央に設けられた脚部15F(第1の種類の脚部)、並びに本体部11の左右両側に設けられた脚部15Lおよび15R(第2の種類の脚部)を備える。
図3に示されているように、脚部15Fの長さよりも、脚部15Lおよび15Rの長さが長い。脚部15F、15Lおよび15Rは、ドローン1が着地している際にドローン1を支持できるように、本体部11の底部に備えられている。
【0012】
図1に示されているように、本体部11の脚部が設けられた底部と反対側の上部に、ドローン1は、本体部11の左右両側に設けられたライト14Lおよび14R、並びに本体部11の前方の中央に設けられたカメラ13を更に備える。一例として、ライト14L、14Rは脚部15L、15Rの鉛直上方にそれぞれ位置する。一例として、カメラ13は脚部15Fの鉛直上方に位置する。カメラ13は、このような位置に配置されることにより、ドローン1の前方をより良く撮像できる。
【0013】
(本体部)
本体部11は、
図1および
図2に示されているように、平面視で中央に位置する中央部11Cと、平面視で中央部11Cから相異なる4つの径方向へ延伸するアーム11A1~11A4とを有する。なお、
図1および
図2に示されているように、アーム11A1~11A4の他に、支持アームを有していてもよい。中央部11Cには、後述する制御部16、ESC(Electronic Speed Controller)17、および不図示のバッテリが搭載される。各アームの先端からは、略鉛直方向に沿ってモータ軸が位置するように、モータ18(
図4を参照)が配置されている。各モータ18の回転軸の先端にはプロペラ12FL、12FR、12RLまたは12RRが固定されている。また、本体部11は、4つのプロペラの外周を取り囲むような防護フレームを有する。このような本体部11の形状は一例に過ぎず、飛行可能である限り本体部11は種々の形状を取り得る。
【0014】
(プロペラ)
プロペラ12FL、12FR、12RLおよび12RRは、それぞれ1つのモータ18(
図4を参照)に機械的に接続されている。4つのモータ18はそれぞれ1つのESC(Electronic Speed Controller)17(
図4を参照)に電気的に接続されており、モータ18の回転数が制御部16の下でESC17により制御される。モータ18が駆動されることによりプロペラ12FL、12FR、12RLおよび12RRが回転し、これにより揚力または推進力が得られ、飛行または走行をする方向が制御される。なお、反トルクを相殺できるように、プロペラ12FLと12RRの形状が同一であり、プロペラ12FRと12RLの形状が同一となっている。
【0015】
(脚部)
脚部15F、15L、15Rは、本体部11の底部に設けられ、ドローン1が着地または着床した際にドローン1の本体部11を支持する。一例として、脚部15Fは、脚部15L、15Rよりも前方に配置される。脚部15Fは、
図1および
図2では1つしか示されていないが、2つ以上であってもよい。脚部15Fと、脚部15Lおよび15Rとは種類の異なる脚部であり、本開示において、脚部15Fは第1の種類の脚部と称し、脚部15Lおよび15Rは第2の種類の脚部と称して説明する。
【0016】
(第1の種類の脚部)
脚部15Fは、回転しない制動部材でできた脚部であって、第1の長さを有する。脚部15Fは回転しないような構造を有し、例えば硬質のスポンジ等の制動力が得られる制動部材でできている。一定の制動力が得られれば、任意の素材を用いてよい。
図1~
図3では、脚部15Fは概略的に卵形の形状をしているが、任意の形状であって良い。一例として、脚部15Fは、脚部15Lおよび15Rよりも前方に配置される。
【0017】
(第2の種類の脚部)
脚部15Lおよび15Rは、ドローン1が着地または着床した状態において、ドローン1の前後方向への移動を許容する回転体をそれぞれ備える。また、脚部15Lおよび15Rは、第2の長さを有する。
図3に示されているように、脚部15Lは、回転体15L1と、回転体15L1を支持する支持部15L2とを有する。同様に、脚部15Rは、回転体15R1と、回転体15R1を支持する支持部15R2とを有する。回転体15L1、15R1は、例えば、中実の樹脂でできており、より具体的には中実のナイロンでできている。このような滑りやすい素材を用いることにより、回転体15R1および15R1の回転によるドローン1の前後方向への移動が可能となるだけでなく、回転体15R1または15R1を着地させた状態においてドローン1を横方向へ滑るように移動させることが可能となる。なお、回転体15L1、15R1は中実でなく中空であってもよい。
【0018】
図3に示されているように、脚部15Fの長さよりも、脚部15Lおよび15Rの長さが長い。なお、脚部の長さとは、各脚部がドローン1の面一な底面部に接する箇所から、各脚部の先端までの長さのことである。見方を変えると、ドローン1を床に置いて水平にした状態において、脚部15Lおよび15Rの先端部は床面と接するが、脚部15Fの先端部は床面と接しない。脚部15Fの長さよりも、脚部15Lおよび15Rの長さが長いので、脚部15Lの回転体15L1および15Rの回転体15R1を着床させ、脚部15Fを床から浮かせ、かつドローン1を前傾させた状態で、ドローン1を前進させることが可能となる。このような移動が可能となることにより、プロペラ12(12FL、12FR、12RL、12RR)の回転による風の流れをドローン1の後方に向けることができるので、風の流れによる埃の舞い上がりをドローン1の後方に制限することができ、カメラ13の画角への埃の舞い込みを抑制することができる。
【0019】
図3に示されているように、回転体15L1、15R1は、Rが付けられた角部を有していてもよい。このようなRが付けられた角部を有することにより、ドローン1が左右のいずれかに傾斜した姿勢で、横方向へ滑りながら移動しやすくなる。
【0020】
また、Rが付けられた角部に代えて、回転体15L1、15R1は、切り欠かれた角部を有していてもよい。Rが付けられた角部を有する場合と同様に、回転体15L1、15R1が切り欠かれた角部を有することにより、ドローン1が左右のいずれかに傾斜した姿勢で、横方向へ滑りながら移動しやすくなる。
【0021】
(無線部)
無線部19は、コントローラ2から送信されたドローン1の操作信号を受信する。操作信号の例には、ドローン1の飛行姿勢に関する信号および飛行速度または走行速度に関する信号が含まれる。操作信号には、ライト14のオン/オフに関する信号、カメラ13のオン/オフに関する信号が含まれていてもよい。無線部19は、受信した操作信号を制御部16へ出力する。
【0022】
無線部19は、また、制御部16から受信した撮像データをコントローラ2へ送信する。
【0023】
(制御部)
制御部16は不図示のプロセッサおよびメモリを備え、メモリに格納されたプログラムがプロセッサに読み出されて実行されることにより、制御部16はドローン1の種々の動作を制御する。
【0024】
例えば、無線部19から受け付けた操作信号に基づいて、ドローン1の動作を制御する。より具体的には、鉛直方向に上昇させる旨の信号を受信した場合には、制御部16は、4つのモータ18を所定の等しい回転数で回転させるように、4つのESCに所定の制御信号を出力する。また、右方向に進行または旋回する旨の信号を受信した場合には、制御部16は、プロペラ12FRまたはプロペラ12RRに対応したモータ18の回転数がプロペラ12FLまたはプロペラ12RLに対応したモータ18の回転数よりも低くなるように、4つのESCに所定の制御信号を出力する。また、左方向に進行または旋回する旨の信号を受信した場合には、制御部16は、プロペラ12FLまたはプロペラ12RLに対応したモータ18の回転数がプロペラ12FRまたはプロペラ12RRに対応したモータ18の回転数よりも低くなるように、4つのESCに所定の制御信号を出力する。また、ドローン1を前傾させる旨の信号を受信した場合には、制御部16は、プロペラ12RLおよびプロペラ12RRに対応したモータ18の回転数がプロペラ12FLおよびプロペラ12FRに対応したモータ18の回転数よりも高くなるように、4つのESCに所定の制御信号を出力する。
【0025】
制御部16は、また、ライト14またはカメラ13のオン/オフに関する信号を受信した場合には、その信号に従ってライト14またはカメラ13を動作させる。
【0026】
制御部16は、また、カメラ13により撮像された撮像画像を受信し、受信した撮像画像をデジタル画像に変換して所定の画質調整を行い、画質調整後の画像データを無線部に出力する。所定の画質調整には、例えば、AWB(Auto White Balance)による色合い調整、AE(Auto Exposure)による露出補正、AF(Auto Focus)によるフォーカス調整、シャープネス調整などの様々な画質調整が含まれる。
【0027】
(ESC;モータ)
ESC(Electronic Speed Controller)17は、典型的には各モータ(プロペラ)に対応して設けられており、
図1に示した4枚のプロペラを備えるドローン1の場合には4つのESC17が備えられる。各ESC17は、制御部16から受信した制御信号に従って、対応するモータ18を回転させる。
【0028】
(カメラ)
カメラ13は、例えば、例えば、CCD(Charged Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサにより実現され、画像を撮像する。カメラ13により撮像された撮像画像は制御部16に出力される。カメラ13は、平面視において、本体部11の中央部11Cから脚部15Fを望む方向がカメラ13の画角内に含まれるように配置されている。他の例として、脚部15Fは脚部15L、15Rよりも前方に配置され、カメラ13は脚部15Fの鉛直上方に配置されている。
【0029】
(ライト)
ライト14Lおよび14Rは、例えばLEDライトである。床下等の暗い空間を撮像する際に、ライト14Lおよび14Rによりその空間が照光される。
【0030】
<コントローラの構成>
(操作部)
操作部22は、ドローン1の操縦者による操縦を受け付けるインタフェースである。操作部22は、例えば、不図示のレバーまたはボタンにより構成される。
【0031】
(制御部;表示部)
制御部21は不図示のプロセッサおよびメモリにより構成され、メモリに格納されたプログラムが実行されることにより制御部21はコントローラ2の各部の動作を制御する。例えば、操作部22の操作に応じて所定の制御信号を生成し、生成した制御信号を無線部24へ供給する。
【0032】
また、制御部21は、無線部24から、カメラ13により撮像された画像データを受信し、受信した画像データを表示部23に表示するように表示制御を行う。表示部23は、例えば液晶パネルにより実現される。表示部23は、
図4に例示されているように、コントローラ2に設けられてもよいし、操縦者が装着する不図示のゴーグルまたはヘッドマウントディスプレイに設けられてもよい。
【0033】
(無線部)
無線部24は、制御部21から受信した制御信号を送信する。また、無線部24は、ドローン1の無線部19から送信されたカメラ13により撮像された画像データを受信して、受信した画像データを制御部21へ出力する。
【0034】
<動作>
以上のように構成されたドローン1によれば、埃が舞い上がることを抑制することができる。従来のドローンの場合、ドローンが着地している際にはドローンが滑らないように、ドローンの脚部に一定の摩擦力が生じるようになっている。そのため、ドローンが着地している場所(以下、「地点A」という。)から他の床面または地面上の位置(以下、「地点B」という。)へ移動する際、ドローンに揚力を発生させてドローンを上昇させ、地点Bの上方まで移動させ、プロペラの回転数を落として地点Bに着地させるというプロセスを経る必要があった。プロペラの回転によりドローンの周囲に風の流れが万遍なく生じるので、埃がドローンの周囲に万遍なく舞い上がり、良好な画像を撮像することができなかった。
【0035】
これに対し、本開示に係るドローン1によれば、ドローン1を地点Aから地点Bに移動させる場合に、上記と異なるプロセスを経ることが可能となる。すなわち、ドローン1が地点Aに存在する状態において、ドローン1が不図示のジャイロセンサ等の姿勢センサの動作によりドローン1が水平な姿勢を取った後、プロペラ12FLおよび12FRよりもプロペラ12RLおよび12RRの回転数を上げることにより、回転体15L1、15R1を着床させたまま、前傾姿勢でドローン1を前進させる。その後、ドローン1を進行させたい左右いずれかの方向と反対側のプロペラの回転数が相対的に高くなるようにプロペラの回転を制御する。これにより、進行方向と反対側のドローン1の脚部15Lまたは脚部15Rが床から離れる。回転体15L1、15R1はナイロン等の滑りやすい部材により形成されているので、ドローン1は脚部15Lまたは脚部15Rを浮かせたまま横滑りをする。ドローン1が地点Bまたはその手前まで移動したらプロペラの回転を停止させる。脚部15Fのように回転しない制動部材が備えられているので、脚部15Fの着地により大きな制動力が得られる。このようなプロセスを経る場合、プロペラの回転により発生する風は、ドローンの進行方向と反対方向に向かって流れるように発生するだけであるので、埃が舞い上がる空間を限定させることが可能となる。加えて、カメラ13は、脚部15Fの上方にドローン1の前方を撮像するように配置されているので、カメラ13の画角内に埃が舞い込んでくることを抑制することができる。したがって、埃の舞い込みを抑制して良好な画像を撮像することが可能となる。
【0036】
なお、カメラ13は脚部15Fの上方に配置されている必要はない。例えば、本体部の中央部11Cの上方の位置、または脚部15L若しくは15Rの上方の位置であってもよい。このような位置であっても、平面視において、本体部11の中央部11Cから脚部15Fを望む方向がカメラ13の画角内に含まれるようにカメラ13が配置されていれば、従来技術に比して、埃の舞い込みを抑制した良好な画像を撮像することができる。
【0037】
また、本開示に係るドローン1によれば、ドローン1を地点Aから地点Bに移動させる場合に、ドローン1を離陸させる必要が無いので、モータを駆動する電力を抑制することができ、バッテリの持続時間を長くすることができる。
【0038】
また、本開示に係るドローン1によれば、回転体は回転体15L1と回転体15R1の2つだけであるので、回転体を3つ以上備える場合と比べて、回転体と床面または地面とが接する接触面積を狭くすることができる。そのため、消費電力量を抑制することができるので、バッテリの持続時間を長くすることができる。
【0039】
<付記>
以上で説明したドローンのいくつかの側面について、以下のとおりまとめる。
【0040】
(付記1)
付記1のドローンは、本体部(11)と、前記本体部を支持する複数の脚部であって、第1の種類の脚部(15F)および前記第1の種類と異なる第2の種類の脚部(15L、15R)を含む複数の脚部と、前記本体部に揚力または推進力を発生させるプロペラ(12FL、12FR、12RL、12RR)と、を備えたドローンであって、前記第1の種類の脚部は、回転しない制動部材でできた脚部であって、第1の長さを有する第1の脚部を含む少なくとも1つの脚部を含み、前記第2の種類の脚部は、前記ドローンが着地または着床した状態において、前記ドローンの前後方向への移動を許容する回転体(15L1、15R1)をそれぞれ備えた第2の長さを有する2つの脚部であって、前記2つの脚部は前記前後方向と直交する左右方向に沿って前記ドローンの左側に設けられた左側脚部(15L)と、前記ドローンの右側に設けられた右側脚部(15R)とのみを備え、前記第1の長さよりも前記第2の長さの方が長い。
【0041】
(付記2)
付記2のドローンは、付記1に記載されたドローンであって、前記回転体は樹脂でできている。
【0042】
(付記3)
付記3のドローンは、付記2に記載されたドローンであって、前記樹脂はナイロンである。
【0043】
(付記4)
付記4のドローンは、付記1から3のいずれか1つに記載されたドローンであって、前記左側脚部および前記右側脚部は、前記ドローンの前後方向に沿って前記ドローンの中央部に配置されている。
【0044】
(付記5)
付記5のドローンは、付記1から4のいずれか1つに記載されたドローンであって、前記回転体は切り欠かれた角部を有する。
【0045】
(付記6)
付記6のドローンは、付記1から4のいずれか1つに記載されたドローンであって、
前記回転体はRが付けられた角部を有する。
【0046】
(付記7)
付記7のドローンは、付記1から6のいずれか1つに記載されたドローンであって、画像を撮像するカメラを更に備える。
【0047】
(付記8)
付記8のドローンは、付記7に記載されたドローンであって、平面視において前記本体部の中央部から前記第1の脚部を望む方向が、前記カメラの画角内に含まれるように前記カメラが配置されている。
【0048】
(付記9)
付記9のドローンは、付記8に記載されたドローンであって、前記第1の脚部は前記左側脚部および前記右側脚部よりも前方に配置されている。
【0049】
(付記10)
付記10のドローンは、付記7に記載されたドローンであって、前記第1の脚部は前記左側脚部および前記右側脚部よりも前方に配置され、前記カメラは前記第1の脚部の鉛直上方に配置されている。
【0050】
なお、以上で説明した実施形態に種々の変更を加えて特許請求の範囲に記載された発明を実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本開示に係るドローンは、床下や屋根裏などの建物の狭隘空間を飛行させて建物の不具合を調査するドローンとして利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ドローン、2 コントローラ、11 本体部、11A1~11A4 アーム、11C 中央部、12(12FL、12FR、12RL、12RR) プロペラ、13 カメラ、14(14L、14R) ライト、15F 脚部(第1の種類の脚部)、15L 脚部(第2の種類の脚部)、15L1 回転体、15L2 支持部、15R 脚部(第2の種類の脚部)、15R1 回転体、15R2 支持部、16 制御部、18 モータ、19 無線部、21 制御部、22 操作部、23 表示部、24 無線部。