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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112718
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】排水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/02 20060101AFI20230807BHJP
   B09B 3/60 20220101ALI20230807BHJP
【FI】
C02F11/02 ZAB
B09B3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014582
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】507156978
【氏名又は名称】安永エアポンプ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510266815
【氏名又は名称】安永クリーンテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000139687
【氏名又は名称】株式会社安永
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日浦 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 敦
【テーマコード(参考)】
4D004
4D059
【Fターム(参考)】
4D004AA03
4D004CA04
4D004CA10
4D004CA13
4D004CA19
4D004CB03
4D004CB05
4D004CB42
4D004CB43
4D004CB44
4D004CC02
4D059AA07
4D059BA03
4D059BE31
4D059BE46
4D059BE49
4D059CA22
4D059CA28
4D059CB01
4D059DB13
4D059DB15
4D059DB21
(57)【要約】
【課題】各処理の負荷を安定させて、放流水の水質を安定させる。
【解決手段】排水を有機固形物と第1廃液とに分離する固形物分離室12と、固形物分離室12で分離された有機固形物を含む汚泥を移送する第1有機物移送部31と、汚泥を活性汚泥法により可溶化して、第2廃液を生成する好気可溶化室13と、好気可溶化室13内の第2廃液を固形物分離室12に還流させる廃液還流部22と、固形物分離室12と連通し、第1廃液と第2廃液との混合廃液を貯留する混合廃液貯留室14と、を備え、固形物分離室12は、混合廃液貯留室14との間に区画壁12bを隔てて設けられており、混合廃液貯留室14は、区画壁12bにおける上下方向の中央よりも上側に形成された開口部12cを介して、固形物分離室12と連通している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機固形物を含む排水を浄化して放流するための排水処理装置であって、
前記排水を移送する第1移送部と、
前記第1移送部により移送された前記排水を、前記有機固形物と第1廃液とに分離する固形物分離室と、
前記固形物分離室で分離された前記有機固形物を含む汚泥を移送する有機物移送部と、
前記有機物移送部により移送された前記汚泥を、活性汚泥法により可溶化して、第2廃液を生成する可溶化室と、
前記可溶化室内の前記第2廃液を前記固形物分離室に還流させる廃液還流部と、
前記固形物分離室と連通し、前記第1廃液と前記第2廃液との混合廃液を貯留する混合廃液貯留室と、
前記混合廃液貯留室に貯留された前記混合廃液を移送する第2移送部と、
前記第2移送部により移送された混合廃液を、好気性微生物を利用した生物膜処理により処理する好気処理室と、を備え、
前記固形物分離室は、前記混合廃液貯留室との間に区画壁を隔てて設けられており、
前記混合廃液貯留室は、前記区画壁における上下方向の中央よりも上側に形成された開口部を介して、前記固形物分離室と連通していることを特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排水処理装置において、
前記開口部は、前記区画壁の上下方向の中央よりも上側でかつ上端部よりも下側に形成されている、ことを特徴とする排水処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の排水処理装置において、
前記第2移送部は、前記混合廃液貯留室に貯留された前記混合廃液のうちオーバーフロー分を前記好気処理室に移送するよう構成され、
前記第2移送部における前記混合廃液貯留室に位置する流入口は、下側に向かって開口しかつ前記開口部の下端と同じ高さに位置していることを特徴とする排水処理装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の排水処理装置において、
前記固形物分離室に位置する前記第1移送部の流出口は、前記開口部の下端よりも下側に位置していることを特徴とする排水処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の排水処理装置において、
前記固形物分離室に位置する前記廃液還流部の流出口は、前記開口部の下端よりも下側に位置していることを特徴とする排水処理装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の排水処理装置において、
前記固形物分離室の底部は、下側ほど幅が狭くなるテーパー形状をなしていることを特徴とする排水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、排水処理装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活の利便性向上の観点から、集合住宅において、台所に設置したディスポーザで有機固形物(生ゴミなど)を破砕し、粉砕した有機固形物を水と共に排水として流出させるシステムが導入されている。有機固形物を含む排水は、処理装置に流入されて、該処理装置により浄化処理されて公共下水道等に放流される。
【0003】
特許文献1には、移送手段により移送されてきた生ゴミ排水に含まれている生ゴミ破砕物を可溶化処理する好気分解室と、好気分解室から流入した可溶化処理済みの生ゴミ排水を好気処理する好気処理室と、を備え、両室における生ごみ排水の流出口にはそれぞれフィルタを傾斜して設けると共に、両フィルタの下方にはそれぞれ両室内に空気を送り込む散気手段を配置し、散気手段により発生した気泡を両フィルタにそれぞれ接触させるようにした、生ゴミ処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-181288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最終的な放流水の水質を安定させるためには、各処理部の負荷を出来る限り小さくして、各処理部における処理を安定させる必要がある。前記特許文献1のような構成では、処理前の汚水の全てが好気分解室に導入されるため、可溶化部の負荷が比較的大きくなる。また、フィルタを通り抜けることができる程度にまで分解されない限り、有機固形物が好気分解室に蓄積することになるため、好気分解室の負荷が一層大きくなる。されに、大量の有機固形物が蓄積した場合、好気分解室から好気処理室に移送される排水の水質が悪化するおそれがある。この結果、好気処理室に導入される排水の水質についても安定せず、好気処理室の負荷も増大するおそれがある。尚、この明細書において、「水質が安定」とは、水質が略一定の状態であることを意味し、水質が良い場合であっても、水質が悪い場合であっても、その水質が略一定であれば、「水質が安定」という。
【0006】
また、特許文献1に記載のものでは、水質を安定させるためには、フィルタや散気手段の定期的なメンテナンスが必要となり、面倒である。
【0007】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこは、各処理の負荷を安定させて、放流水の水質を安定させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
有機固形物を含む排水を浄化して放流するための排水処理装置を対象として、前記排水を移送する第1移送部と、前記第1移送部により移送された前記排水を、前記有機固形物と第1廃液とに分離する固形物分離室と、前記固形物分離室で分離された前記有機固形物を含む汚泥を移送する有機物移送部と、前記有機物移送部により移送された前記汚泥を、活性汚泥法により可溶化して、第2廃液を生成する可溶化室と、前記可溶化室内の前記第2廃液を前記固形物分離室に還流させる廃液還流部と、前記固形物分離室と連通し、前記第1廃液と前記第2廃液との混合廃液を貯留する混合廃液貯留室と、前記混合廃液貯留室に貯留された前記混合廃液の移送する第2移送部と、前記第2移送部により移送された混合廃液を、好気性微生物を利用した生物膜処理により処理する好気処理室と、を備え、前記固形物分離室は、前記固形物分離室は、前記混合廃液貯留室との間に区画壁を隔てて設けられており、前記混合廃貯留室は、前記区画壁における上下方向の中央よりも上側に形成された開口部を介して、前記固形物分離室と連通している、という構成とした。
【0009】
この構成によると、排水を固形物分離室で有機固形物と第1廃液とに分離し、有機固形物を含む汚泥を可溶化室に移送する。このため、固形物分離室には、有機固形物が蓄積されにくい。可溶化室で汚泥を可溶化して生成された第2廃液は固形物分離室に還流される。これにより、固形物分離室で第1廃液と第2廃液との混合廃液が形成される。この混合廃液は、開口部を介して混合廃液貯留室に移動する。開口部は、区画壁における上下方向の中央よりも上側に位置しているため、混合廃液貯留室に貯留された混合廃液は、固形物分離室内の有機固形物、すなわち未処理の有機固形物とは接触しない。このため、有機固形物により水質が大きく変化することはなく、混合廃液貯留室内の混合廃液の水質は、第1廃液の水質と第2廃液の水質とを十分に平均化したものになる。そして、この混合廃液を好気性微生物により処理するため、好気処理の負荷が安定した状態となる。したがって、放流水の水質を安定させることができる。
【0010】
前記排水処理装置の一実施形態では、前記開口部は、前記区画壁の上下方向の中央よりも上側でかつ上端部よりも下側に形成されている。
【0011】
本研究者らが鋭意研究したところ、固形物分離室に有機固形物が蓄積されると、嫌気性微生物より有機固形物が処理されて、その結果、処理された有機固形物にガスが付着して、該有機固形物(以下、スカムという)が液面に浮かび上がることが分かった。このため、スカムが混合廃液貯留室に移送されないようにする必要がある。前記の構成では、開口部が区画壁の上端部よりも下側に位置しているため、開口部を液面よりも下側に位置させることができる。これにより、固形物分離室から混合廃液貯留室への混合廃液の移送は、水中で行われるようになるため、スカムが混合廃液貯留室に移送されるのを抑制することができる。したがって、混合廃液貯留室から排出される混合廃液の水質を安定させることができ、結果として、放流水の水質をより安定させることができる。
【0012】
前記一実施形態において、前記第2移送部は、前記混合廃液貯留室に貯留された前記混合廃液のうちオーバーフロー分を前記好気処理室に移送するよう構成され、前記第2移送部における前記混合廃液貯留室に位置する流入口は、下側に向かって開口しかつ前記開口部の下端と同じ高さに位置している、という構成でもよい。
【0013】
この構成によると、仮に、固形物分離室内の混合廃液の液面が開口部の上端よりも低くなって、スカムが混合廃液貯留室に移動したとしても、第2移送部に入って、スカムが好気処理室に移送することを抑制することができる。また、開口部の下端と同じ高さにすることで、混合廃液のうち出来る限り上澄みに近い部分を好気処理室に移送することができる。これにより、放流水の水質をより安定させることができる。
【0014】
前記排水処理装置において、前記固形物分離室に位置する前記第1移送部の流出口は、前記開口部の下端よりも下側に位置している、という構成でもよい。
【0015】
この構成によると、排水に含まれる有機固形物が開口部を通って混合廃液貯留室に移送されるのを抑制することができる。これにより、混合廃液貯留室から排出される混合廃液の水質をより安定させることができ、放流水の水質をより安定させることができる。
【0016】
第1移送部の流出口が開口部の下端よりも下側に位置する排水処理装置において、前記固形物分離室に位置する前記廃液還流部の流出口は、前記開口部の下端よりも下側に位置している、という構成でもよい。
【0017】
この構成によると、第2廃液が開口部を通って、混合廃液貯留室に直接移送されるのを抑制することができる。これにより、混合廃液貯留室から排出される混合廃液の水質をより安定させることができ、放流水の水質をより安定させることができる。
【0018】
前記排水処理装置において、前記固形物分離室の底部は、下側ほど幅が狭くなるテーパー形状をなしている、という構成でもよい。
【0019】
この構成によると、有機固形物を効率的に集めることができ、固形物分離室から可溶化室への有機固形物の移動を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、各処理の負荷を安定させて、放流水の水質を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、図1は、例示的な実施形態に係る排水処理システムを集合住宅に適用した場合の図である。
図2図2は、排水処理装置のシステム図である。
図3図3は、排水処理装置の概略図である。
図4図4は、排水処理装置の各室の配置を示す平面図である。
図5図5は、図4のV-V線相当の平面で切断した断面図である。
図6図6は、図4のVI-VI線相当の平面で切断した断面図である。
図7図7は、図4のVII-VII線相当の平面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る排水処理装置1を集合住宅2に適用した場合を示す。この排水処理装置1は、集合住宅2の各部屋の台所からの排水を処理するための装置である。各部屋の台所の排水溝には、ディスポーザ3(図2参照)が設けられている。ディスポーザ3は、調理などにより発生する野菜や魚介などからなる生ゴミを粉砕する。ディスポーザ3により粉砕された生ゴミ(以下、有機固形物という)は、水道から供給される水と共に排水として排出される。排水は、排水管4を通って、排水処理装置1に流入する。排水処理装置1は、集合住宅2の近くの地下に配置されており、有機固形物を含む排水を浄化して、下水として放出する。
【0024】
(排水処理装置のシステム)
図2に、本実施形態に係る排水処理装置1のシステムを概略的に示す。図2に示すように、ディスポーザ3から排水管4を通った排水は、無機物分離室11に導入される。台所からの排水には、卵の殻、金属たわしの破片、アルミホイルの破片などの無機物が混入している。無機物分離室11は、このような排水中に含まれる無機物を分離する。無機物分離室11では、無機物を沈殿させることにより除去する。
【0025】
無機物が除去された排水は、第1移送部21を通って、固形物分離室12に導入される。固形物分離室12は、排水から有機固形物を分離する。固形物分離室12では、可溶化していない有機固形物を沈殿させることにより分離する。この固形物分離室12により、排水は、第1廃液と有機固形物を含む汚泥とに分離される。詳しくは後述するが、固形物分離室12は、有機固形物を収集しやすいように、その底部が下側に向かって幅方向の中央に向かって傾斜する傾斜面12aを有する。つまり、固形物分離室12の底部は、下側ほど幅が狭くなるテーパー形状をなしている。また、固形物分離室12は、後述する混合廃液貯留室14の一部の領域を区画壁12bにより区画することで形成されている。
【0026】
固形物分離室12の汚泥と第1廃液の一部は、第1有機物移送部31を通って、好気可溶化室13に導入される。好気可溶化室13では、活性汚泥法により汚泥を可溶化する。図2では図示を省略しているが、好気可溶化室13には、曝気を行うためのブロア131(図6参照)が設けられている。このブロア131は、間欠的に酸素を供給するように構成されている。固形物分離室12からの汚泥の移送は、ブロア131が停止している時に行われる。固形物分離室12からの汚泥の移送は、汚泥に含まれる好気性微生物の能力に応じて、一日に数回のペースで行われる。
【0027】
好気可溶化室13は、汚泥中の有機物を可溶化して液化させることで、第2廃液を生成する。この第2廃液は、廃液還流部22を通って、固形物分離室12に還流される。廃液還流部22は、第2廃液の上澄み液を固形物分離室12に還流させるように構成されている。具体的には、固形物分離室12からの好気可溶化室13に汚泥が移送された際に第2廃液の水位が上昇する。この水位が上昇した分だけ(つまりオーバーフロー分だけ)が固形物分離室12に第2廃液が還流されるようになっている。
【0028】
好気可溶化室13には、活性汚泥処理後の余剰汚泥が蓄積される。この余剰汚泥は、所定のタイミング(例えば、月に1回)で好気可溶化室13から引き抜かれる。
【0029】
好気可溶化室13から第2廃液が還流されることで、固形物分離室12では、第1廃液と第2廃液とが混合されて混合廃液が生成される。この混合廃液は、混合廃液貯留室14に貯留される。固形物分離室12の区画壁12bには、開口部12cが形成されており、この開口部12cを介して、固形物分離室12で生成された混合廃液が混合廃液貯留室14に導入される。混合廃液貯留室14は、固形物分離室12よりも容積が大きくなるように形成されている。これにより、混合廃液貯留室14において、第1廃液と第2廃液とがより均一に混合されて、混合廃液の水質が、第1廃液の水質と第2廃液の水質とを平均化したような水質になる。この混合廃液の一部は、第2移送部23を介して、好気ろ床室15に導入される。混合廃液貯留室14には、開口部12cを通り抜けて汚泥が混入することがある。この汚泥は、混合廃液貯留室14の底部に蓄積される。この汚泥は、第2有機物移送部32を介して好気可溶化室13へ移送される。
【0030】
混合廃液貯留室14から好気ろ床室15への混合廃液の導入は、第2廃液が固形物分離室12に還流するタイミングで行われる。すなわち、第2廃液が固形物分離室12に還流されることで、混合廃液貯留室14に混合廃液が導入されて、混合廃液貯留室14の水位が上昇する。この水位の上昇分だけ(つまりオーバーフロー分だけ)が好気ろ床室15に導入される。混合廃液貯留室14内の混合廃液のオーバーフロー分のみを好気ろ床室15に導入するようにしておけば、好気可溶化室13から第2廃液が還流されるタイミングと、混合廃液貯留室14から好気ろ床室15への混合廃液が移送されるタイミングとを同期させることができる。
【0031】
好気ろ床室15では、混合廃液を、好気性微生物を利用した生物膜処理により処理する。好気ろ床室15には、好気性微生物を保持する担体15aが設けられている。担体15aは、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリウレタンなどで構成されており、その表面に好気性微生物が付着している。図2には示していないが、好気ろ床室15にも好気性微生物に酸素を供給するためのブロア151(図5参照)が設けられている。
【0032】
好気ろ床室15で生物膜処理された混合廃液である処理水は、最終分離室16に導入される。最終分離室16では、処理水中の残留有機物を沈殿させて分離する。分離された残留有機物を含む汚泥は、第3有機物移送部33を介して、好気可溶化室13に移送される。残留有機物が分離された処理水は、放水管5を通じて、放流水として下水に放流される。
【0033】
(排水処理装置の構成)
次に、排水処理装置1の具体的な構成について、図3図7を参照しながら説明する。尚、以下の説明において、上、下、前、後、左、及び右は、図3図7に記載の矢印に従う。これは、説明を簡単にするために便宜上示したものであり、各室11~16の実施時における配置を限定するものではない。
【0034】
図3に示すように、箱状の筐体100を、前後方向及び左右方向に仕切って各室11~16が構成されている。この例では、前側に排水管4が接続され、左側に放水管5が接続される構成となっている。
【0035】
筐体100内には、複数の仕切り壁101~105が立設されており、該仕切り壁により、各室11~16が仕切られている。具体的には、図4に示すように、無機物分離室11と混合廃液貯留室14とは、左右方向に広がる第1仕切り壁101により仕切られ、混合廃液貯留室14と好気可溶化室13とは、前後方向に広がる第2仕切り壁102により仕切られ、混合廃液貯留室14と好気ろ床室15とは、左右方向に広がる第3仕切り壁103により仕切られ、好気ろ床室15と最終分離室16とは、前後方向に広がる第4仕切り壁104により仕切られている。また、好気ろ床室15及び最終分離室16と好気可溶化室13とは、第3仕切り壁103に連続して左右方向に広がる第5仕切り壁105により仕切られている。筐体100及び第1~第5仕切り壁101~105は一体形成されていて、例えば、繊維強化プラスチックでそれぞれ構成されている。
【0036】
図4及び図5に示すように、固形物分離室12は、混合廃液貯留室14内に設けられている。具体的には、筐体100とは別体で構成される槽体120が、無機物分離室11と隣接するように混合廃液貯留室14に配置されることで構成されている。この槽体120の周壁における後側部分が、固形物分離室12と混合廃液貯留室14とを区画する区画壁12bとなっている。槽体120の周壁のうち、前側部分は第1仕切り壁101に沿って配置され、左側部分は第2仕切り壁102に沿って配置されている。このため、固形物分離室12は、無機物分離室11と第1仕切り壁101を挟んで前後方向に隣接しかつ好気可溶化室13と第2仕切り壁102を挟んで左右方向に隣接するように配置される。尚、槽体120の左右方向の幅は、混合廃液貯留室14の左右方向の幅よりも狭くてもよく、この場合には、固形物分離室12と好気可溶化室13との間に、混合廃液貯留室14の一部が形成されるようになる。
【0037】
図4及び図5に示すように、無機物分離室11は、筐体100の側壁と第1仕切り壁101とにより区画されている。無機物分離室11には、筐体100の外側から排水管4が侵入している。排水管4の流出口4aは、前側、すなわち、固形物分離室12とは反対側に向かって開口している。無機物分離室11は、他の室と比較して容積が小さくされている。無機物分離室11内には、散気管111が配置されている。散気管111は、室内を曝気することで悪臭を抑制するともに、空気によって有機固形物を室内で攪拌させる。
【0038】
無機物分離室11と固形物分離室12とは、第1移送部21により連通されている。第1移送部21は、大径のパイプで構成されている。第1移送部21の流入部21aは、第1仕切り壁101を貫通しかつ第1仕切り壁101の上側部分に固定されていて、前側に向かって開口している。第1移送部21は、無機物分離室11のオーバーフロー分を固形物分離室12に移送する。無機物分離室11の容積が比較的小さくされていることにより、無機物分離室11から固形物分離室12への排水の移送が効率的に行われる。第1移送部21の流出部21bは、固形物分離室12内に位置していて、上下方向に延びている。流出部21bの上端は上側に開口している。流出部21bの下端に設けられた流出口21cは、固形物分離室12の開口部12cの下端よりも下側に位置していて、下側に向かって開口している。これにより、有機固形物を固形物分離室12の底部に向かって移動させやすくするとともに、開口部12cから有機固形物が混合廃液貯留室14に移送されるのを抑制している。また、第1廃液が混合廃液貯留室14に直接移送されるのを抑制している。
【0039】
図6に示すように、固形物分離室12の底部は、幅方向の中央に向かって下側に傾斜した傾斜面12aを左右両側に有している。つまり、固形物分離室12の底部は、下側ほど左右方向の幅が狭くなるテーパー形状をなしている。固形物分離室12の傾斜面12aと筐体100の底部及び右側側壁部との間、並びに傾斜面12aと第2仕切り壁102との間には隙間Sが形成されている。この隙間Sは、混合廃液貯留室14の一部となっていて、この隙間Sにも混合廃液が貯留されるようになっている。
【0040】
固形物分離室12内には、第1有機物移送部31としてのエアリフトポンプが設けられている。第1有機物移送部31の流入口31aは、固形物分離室12の底部よりも上側に位置しかつ下側に向かって開口している。固形物分離室12における有機固形物の堆積量は比較的多いため、流入口31aを固形物分離室12の底部に沿わせて配置すると、第1有機物移送部31が閉塞するおそれがある。このため、流入口31aを固形物分離室12の底部よりも上側に位置させかつ下側に向かって開口させて、第1有機物移送部31が閉塞するのを抑制している。第1有機物移送部31は、第2仕切り壁102の上側を通って、好気可溶化室13に延びている。
【0041】
図5及び図6に示すように、固形物分離室12と混合廃液貯留室14との連通部である開口部12cは、区画壁12bの上下方向の中央よりも上側でかつ上端部よりも下側に形成されている。これにより、開口部12cの上側に区画壁12bの上部が位置するようになる。このため、固形物分離室12から混合廃液貯留室14への混合廃液の移送は、液面よりも下側の液中で行われるようになる。固形物分離室12からは、固形物分離室12で生成された混合廃液の上澄み液ではなく、上澄み液よりもやや下側に位置する、混合廃液の中間部分が混合廃液貯留室14に移送される。これにより、固形物分離室12内で液面に浮遊した有機固形物(以下、スカムという)が混合廃液貯留室14に移送されるのを抑制している。より具体的には、前述のように、第1有機物移送部31の流入口31aを、固形物分離室12の底部よりも上側に位置させているため、固形物分離室12の最も深い部分には、古い有機固形物が残り続ける。固形物分離室12には、第1有機物移送部31以外に空気が送られないため、嫌気性微生物が繁殖し、古い有機固形物が嫌気性微生物によって処理される。この嫌気性微生物の処理により、古い有機固形物の周囲に二酸化炭素やアンモニアなどの気体が付着して、スカムとなって液面に浮遊する。開口部12cよりも上側に区画壁12bがあれば、区画壁12bの上部がスカムの流出を遮断する遮断壁の役割を果たすようになり、混合廃液貯留室14へのスカムの流出が抑制される。
【0042】
スカムは、固形物分離室12の液面に到達した後、付着した気体が空気中に放出されることで、再度、固形物分離室12に堆積される。これにより、古い有機固形物が固形物分離室12に堆積された有機固形物の中でも上面側に位置するようになるため、第1有機物移送部31により好気可溶化室13に移送されるようになる。
【0043】
図4に示すように、好気可溶化室13は、筐体100の側壁、第2仕切り壁102、及び第5仕切り壁105により区画されている。好気可溶化室13は、固形物分離室12及び混合廃液貯留室14の左側に隣接配置されるとともに、最終分離室16の前側に隣接配置されている。好気可溶化室13には、第1有機物移送部31の流出部31b、第2有機物移送部32の流出部32b、及び第3有機物移送部33の流出部33bが位置する。図6に示すように、第1有機物移送部31の流出部31bは、好気可溶化室13の液面よりも高い位置に位置している。図示は省略しているが、第2有機物移送部32の流出部32b、及び第3有機物移送部33の流出部33bも、好気可溶化室13の液面よりも高い位置に位置している。好気可溶化室13を、有機固形物の移送が必要な室である固形物分離室12、混合廃液貯留室14、及び最終分離室16のそれぞれに隣接させることで、第1~第3有機物移送部31~33を出来る限り短くすることができる。
【0044】
好気可溶化室13には、空気を送り込むためのブロア131が配置されている。ブロア131は、好気可溶化室13の底部に沿って配置されており、好気可溶化室13に移送される有機固形物全体が曝気されるようになっている。
【0045】
好気可溶化室13における右側の領域、すなわち、固形物分離室12及び混合廃液貯留室14と隣接する領域には、第1フィルタ部13aが設けられている。この第1フィルタ部13aは、好気可溶化室13から固形物分離室12に、有機固形物が可溶化されて生成された第2廃液を還流させる際に、汚泥の流出を抑制させるための領域である。第1フィルタ部13aは、第2仕切り壁102に固定されている。
【0046】
廃液還流部22の流入部22aは、第2仕切り壁102を貫通するとともに、第2仕切り壁102の上側部分に固定されている。廃液還流部22は、好気可溶化室13で生成された第2廃液のうちオーバーフロー分を固形物分離室12に還流させる。廃液還流部22の流出部22bは、固形物分離室12内に位置していて、上下方向に延びている。流出部22bの上端は上側に開口している。流出部22bの下端に設けられた流出口22cは、固形物分離室12の開口部12cの下端よりも下側に位置していて、下側に向かって開口している。これにより、第2廃液が開口部12cを通って混合廃液貯留室14に直接移送されるのを抑制している。
【0047】
混合廃液貯留室14は、筐体100の側壁、第1仕切り壁101、第2仕切り壁102、及び第3仕切り壁103により区画されている。混合廃液貯留室14は、槽体120が配置されていない領域全体に広がっているため、比較的容積が大きい。このため、混合廃液貯留室14内での混合廃液の滞留時間が長くなって、混合廃液貯留室14内で開口部12cを抜けた少量の有機固形物や一部のスカムが沈殿して分離される。また、容積が大きいことで、貯留できる混合廃液の量が多くなるため、第1廃液及び第2廃液の一方が多少少なかったり多かったりとしても、混合廃液の水質にはほとんど影響しなくなる。また、開口部12cが区画壁12bの上部に形成されているため、混合廃液貯留室14内の混合廃液は、区画壁12bにより、固形物分離室12内の未処理の有機固形物とは接触しない。これらの結果、混合廃液貯留室14内の混合廃液の水質は、第1廃液の水質と第2廃液の水質とを十分に平均化した、安定した水質になる。
【0048】
図4及び図5に示すように、混合廃液貯留室14内には、第2有機物移送部32としてのエアリフトポンプが設けられている。第2有機物移送部32の流入口32aは、混合廃液貯留室14の底部に位置し、右側に向かって開口している。混合廃液貯留室14には、開口部12cを抜けた少量の有機固形物や一部のスカムのみが堆積するため、堆積量は比較的少ない。このため、流入口32aを混合廃液貯留室14の底部に沿わせて配置したとしても閉塞する可能性がかなり小さい。第2有機物移送部32は、第2仕切り壁102の上側を通って、好気可溶化室13に延びている。
【0049】
混合廃液貯留室14と好気ろ床室15とは、第2移送部23により連通されている。第2移送部23は、大径のパイプで構成されている。第2移送部23は、混合廃液貯留室14に貯留された混合廃液のうちオーバーフロー分を好気ろ床室15に移送させる。
【0050】
第2移送部23の流入部23aは、混合廃液貯留室14内で上下方向に延びている。流入部23aの上端は上側に開口している。流入部23aの下端に設けられた流入口23bは、開口部12cの下端と同じ高さに位置している。これにより、仮に固形物分離室12の液面が開口部12cの上端よりも下側に位置して、スカムが混合廃液貯留室14に侵入したとしても、スカムが流入口23bから第2移送部23内に流入するのを抑制することができる。尚、「開口部12cの下端と同じ高さ」とは厳密に同じ高さである場合のみでなく、第2移送部23の流入口23bが開口部12cの下端よりも僅かに低い場合も含む。
【0051】
好気ろ床室15は、図4に示すように、筐体100の側壁、第3仕切り壁103、第4仕切り壁104、及び第5仕切り壁105により区画されている。好気ろ床室15は、隔壁15bにより2室に分けられている。2室は、隔壁15bの上部に形成された連通孔15cにより連通されている。これにより、各室を混合廃液で満たされやすくして、担体15aの全体が混合廃液に浸かるようにしている。
【0052】
第2移送部23の流出部23cは、好気ろ床室15のうち一方の室に配置されている。図5及び図7に示すように、流出部23cは、好気ろ床室15の底部付近まで延びていて、下側に開口している。これにより、未処理状態の混合廃液が連通孔15cを抜けて、他方の好気ろ床室15に流入しないようにしている。また、流出部23cから排出された混合廃液が上端付近に形成された連通孔15cに向かって流れるようになるため、混合廃液が一方の室の担体15a内を通過しやすくなる。これにより、一方の室で浄化された混合廃液のオーバーフロー分が、連通孔15cを通って他方の室に流入するようになるため、生物膜処理による処理が2回行われるようになる。
【0053】
好気ろ床室15の各室には、空気を送るためのブロア151がそれぞれ配置されている。ブロア151は、好気ろ床室15の底部に沿って配置されている。
【0054】
最終分離室16は、筐体100の側壁、第4仕切り壁104、及び第5仕切り壁105により区画されている。図示は省略しているが、第5仕切り壁105の上部には、好気ろ床室15と最終分離室16とを連通させる連通孔が形成されており、好気ろ床室15の上澄み液が、該連通孔を通って最終分離室16に流入する。
【0055】
図4及び図7に示すように、最終分離室16内には、第3有機物移送部33としてのエアリフトポンプが設けられている。第3有機物移送部33の流入口33aは、最終分離室16の底部に位置し、左側に向かって開口している。最終分離室16には、僅かな残留有機物のみが堆積するため、堆積量はかなり少ない。このため、流入口33aを最終分離室16の底部に沿わせて配置したとしても閉塞する可能性がかなり小さい。第3有機物移送部33は、第5仕切り壁105の上側を通って、好気可溶化室13に延びている。
【0056】
最終分離室16の上部には、第2フィルタ部16aが設けられている。第2フィルタ部16aは、残留有機物が放流されるのを抑制させるためのフィルタである。第2フィルタ部16aは筐体100の側壁に固定されている。
【0057】
第2フィルタ部16aの位置には放水管5が設けられている。放水管5からは、第2フィルタ部16aを通った後の上澄み液が放流水として放流される。
【0058】
したがって、本実施形態では、排水を移送する第1移送部21と、第1移送部21により移送された排水を、有機固形物と第1廃液とに分離する固形物分離室12と、固形物分離室で分離された有機固形物を含む汚泥を移送する第1有機物移送部31と、第1有機物移送部31により移送された汚泥を、活性汚泥法により可溶化して、第2廃液を生成する好気可溶化室13と、好気可溶化室13内の第2廃液を固形物分離室12に還流させる廃液還流部22と、固形物分離室12と連通し、第1廃液と第2廃液との混合廃液を貯留する混合廃液貯留室14と、混合廃液貯留室14に貯留された混合廃液を移送する第2移送部23と、第2移送部23により移送された混合廃液を、好気性微生物を利用した生物膜処理により処理する好気ろ床室15と、を備え、固形物分離室12は、混合廃液貯留室14との間に区画壁12bを隔てて設けられており、混合廃液貯留室14は、区画壁12bにおける上下方向の中央よりも上側に形成された開口部12cを介して、固形物分離室12と連通している。これにより、固形物分離室12には、有機固形物が蓄積されにくい。また、第1廃液と第2廃液とは、固形物分離室12で混合されて、混合廃液として混合廃液貯留室14に移送される。開口部12cは、区画壁12bの上下方向の中央よりも上側に位置するため、混合廃液貯留室14内の混合廃液は、固形物分離室12内の未処理の有機固形物とは接触しない。このため、混合廃液貯留室14内の混合廃液の水質を、第1廃液の水質と第2廃液の水質とを十分に平均化したものにすることができる。そして、この混合廃液を好気性微生物により処理するため、好気処理の負荷が安定した状態となる。したがって、放流水の水質を安定させることができる。
【0059】
特に、本実施形態では、開口部12cは、区画壁12bの上下方向の中央よりも上側でかつ上端部よりも下側に形成されている。これにより、固形物分離室12に有機固形物が蓄積されて、スカムが液面に浮かび上がったとしても、開口部12cを液面よりも下側に位置させることができ、スカムが混合廃液貯留室に移送されるのを抑制することができる。この結果、混合廃液貯留室から排出される混合廃液の水質を安定させることができ、好気ろ床室15の負荷が安定するため、放流水の水質をより安定させることができる。
【0060】
また、本実施形態では、第2移送部23は、混合廃液貯留室14に貯留された混合廃液のうちオーバーフロー分を好気ろ床室15に移送するよう構成され、第2移送部23における混合廃液貯留室14に位置する流入口23bは、開口部12cの下端と同じ高さに位置している。これにより、仮に、固形物分離室12内の混合廃液の液面が開口部12cの上端よりも低くなって、スカムが混合廃液貯留室14に移動したとしても、第2移送部23に入って、スカムが好気ろ床室15に移送することを抑制することができる。また、開口部12cの下端と同じ高さにすることで、混合廃液貯留室14に貯留された混合廃液のうち出来る限り上澄みに近い部分を好気ろ床室15に移送することができる。これにより、放流水の水質をより安定させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、固形物分離室12に位置する第1移送部21の流出口21cは、開口部12cの下端よりも下側に位置している。これにより、排水に含まれる有機固形物が開口部12cを通って混合廃液貯留室14に移送されるのを抑制することができる。また、第1廃液が開口部12cを通って混合廃液貯留室14に移送されるのを抑制することができる。これにより、混合廃液貯留室14から排出される混合廃液の水質をより安定させることができ、放流水の水質をより安定させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、固形物分離室12に位置する廃液還流部22の流出口22cは、開口部12cの下端よりも下側に位置している。これにより、第2廃液が開口部12cを通って、混合廃液貯留室14に直接移送されるのを抑制することができる。これにより、混合廃液貯留室14から排出される混合廃液の水質をより安定させることができ、放流水の水質をより安定させることができる。
【0063】
また、本実施形態では、固形物分離室12の底部は、下側ほど幅が狭くなるテーパー形状をなしている。これにより、有機固形物を効率的に集めることができ、固形物分離室12から好気可溶化室13への有機固形物の移動を効率的に行うことができる。
【0064】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0065】
前述の実施形態では、固形物分離室12の開口部12cを、区画壁12bの上下方向の中央よりも上側でかつ上端部よりも下側に形成に形成することで、区画壁12bの上側部分を、混合廃液貯留室14にスカムが流出することを抑制する遮断壁としていた。これに限らず、開口部12cを区画壁12bの上端部に形成するとともに、該開口部12cにフィルタを配置することで、スカムの流出を抑制するようにしてもよい。
【0066】
また、前述の実施形態では、箱状の筐体100を複数の仕切り壁101~105で仕切ることで、各室11~16を形成していた。これに限らず、寸胴型の筐体内に仕切り壁を設けて各室11~16を構成してもよい。また、各室11~16の配置は、前述の実施形態とは異なっていてもよい。例えば、最終分離室16を好気可溶化室13とは隣接させずに、好気ろ床室15にのみ隣接するような構成としてもよい。
【0067】
また、前述の実施形態では、固形物分離室12は、筐体100とは別体の槽体120を混合廃液貯留室14に配置して構成されていた。これに限らず、他の室と同様に、筐体100の一部を仕切り壁で区画することで構成してもよい。この構成の場合には、固形物分離室12と混合廃液貯留室14との仕切り壁に開口部を形成することになる。尚、このような構成とする場合であっても、固形物分離室12の底部に傾斜面12aを設け、傾斜面12aと筐体の内壁面との間の隙間を混合廃液貯留室14の一部とすれば、デッドスペースが形成されないため、排水処理装置1をコンパクトな構成とすることができる。
【0068】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
ここに開示された技術は、有機固形物を含む排水を浄化して放流するための排水処理装置として有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 排水処理装置
12 固形物分離室
12b 区画壁
12c 開口部
13 好気可溶化室
14 混合廃液貯留室
15 好気ろ床室(好気処理室)
21 第1移送部
21c 流出口(第1移送部の流出口)
22 廃液還流部
22c 流出口(廃液還流部の流出口)
23 第2移送部
23b 流入口(第2移送部の流入口)
31 第1有機物移送部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7