(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112750
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】測定システム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20230807BHJP
G01B 11/14 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
G01B11/02 H
G01B11/14 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014643
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】598123334
【氏名又は名称】ダットジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【弁理士】
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】羽田 典久
(72)【発明者】
【氏名】太田 毅
(72)【発明者】
【氏名】小山 一人
(72)【発明者】
【氏名】香川 明慧
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA22
2F065AA26
2F065BB06
2F065CC14
2F065FF02
2F065FF42
2F065GG07
2F065GG15
2F065HH02
2F065HH15
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065KK01
2F065LL49
2F065MM24
2F065PP02
2F065QQ01
2F065QQ21
(57)【要約】
【課題】
測定対象物の配置間隔などを簡易的に測定する測定システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
測定対象物を測定する測定システムであって,測定システムは,撮像ユニットを所定方向に移動制御することで測定対象物の測定を行う測定装置と,測定装置で測定した測定データを用いて,あらかじめ定められた基準値との比較を行う管理端末とを有しており,測定装置は,測定対象物の背面側に位置し,測定対象物の背面側から光を撮像ユニットに向けて出射する光源装置と,撮像ユニットで撮像した画像情報を用いて測定処理を制御する制御部と,を有し,管理端末は,測定装置で測定した測定データと,基準値との比較を行う比較部,を有する,測定システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物を測定する測定システムであって,
前記測定システムは,
撮像ユニットを所定方向に移動制御することで前記測定対象物の測定を行う測定装置と,前記測定装置で測定した測定データを用いて,あらかじめ定められた基準値との比較を行う管理端末とを有しており,
前記測定装置は,
前記測定対象物の背面側に位置し,前記測定対象物の背面側から光を前記撮像ユニットに向けて出射する光源装置と,
前記撮像ユニットで撮像した画像情報を用いて測定処理を制御する制御部と,を有し,
前記管理端末は,
前記測定装置で測定した測定データと,前記基準値との比較を行う比較部,を有する,
ことを特徴とする測定システム。
【請求項2】
前記撮像ユニットは,
前記光源装置から出射した光が前記測定対象物によって遮られた前記測定対象物の陰を撮像し,
前記制御部は,
前記撮像ユニットが撮像した画像情報における前記測定対象物の陰を用いて前記測定対象物の端部を検出することで,前記測定対象物の大きさおよび/または間隔を測定する,
ことを特徴とする請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記制御部は,
前記撮像装置で撮像した画像情報において,前記検出した両端部の位置を用いて,前記測定対象物の大きさを算出し,
前記測定対象物の端部の位置と,隣接する測定対象物の端部の位置とを用いて,前記測定対象物の間隔を算出する,
ことを特徴とする請求項2に記載の測定システム。
【請求項4】
測定対象物を測定する測定システムであって,
前記測定システムは,
受光ユニットを所定方向に移動制御することで前記測定対象物の測定を行う測定装置と,前記測定装置で測定した測定データを用いて,あらかじめ定められた基準値との比較を行う管理端末とを有しており,
前記測定装置は,
前記測定対象物の背面側に位置し,前記測定対象物の背面側から光を前記受光ユニットに向けて出射する発光装置と,
前記受光ユニットでの光の受光状態を用いて測定処理を制御する制御部と,を有し,
前記管理端末は,
前記測定装置で測定した測定データと,前記基準値との比較を行う比較部,を有する,
ことを特徴とする測定システム。
【請求項5】
前記制御部は,
前記受光ユニットでの受光の有無により前記測定対象物の端部を検出することで,前記測定対象物の大きさおよび/または間隔を測定する,
ことを特徴とする請求項4に記載の測定システム。
【請求項6】
前記制御部は,
前記受光ユニットでの受光の有無により前記検出した両端部の位置を用いて,前記測定対象物の大きさを算出し,
前記測定対象物の端部の位置と,隣接する測定対象物の端部の位置とを用いて,前記測定対象物の間隔を算出する,
ことを特徴とする請求項5に記載の測定システム。
【請求項7】
前記比較部は,
前記測定データと前記基準値とを比較して所定条件を充足する場合には,条件充足を示す情報を記憶させ,所定条件を充足しない場合には,条件不充足を示す情報を記憶させ,
前記条件充足および/または条件不充足を示す情報を検査結果として表示可能とする,
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の測定システム。
【請求項8】
測定対象物を測定する測定装置であって,
光源装置と,撮像ユニットと,前記撮像ユニットで撮像した画像情報を用いて測定処理を制御する制御部と,を有しており,
前記光源装置は,
前記測定対象物の背面側に位置し,前記測定対象物の背面側から光を前記撮像ユニットに向けて出射し,
前記撮像ユニットは,
前記光源装置から出射した光が前記測定対象物によって遮られた前記測定対象物の陰を撮像し,
前記制御部は,
前記撮像ユニットが撮像した画像情報における前記測定対象物の陰を用いて前記測定対象物の端部を検出することで,前記測定対象物の大きさおよび/または間隔を測定する,
ことを特徴とする測定装置。
【請求項9】
配筋検査で用いる測定装置であって,
光源装置と,
撮像ユニットと,
前記撮像ユニットを所定方向に自在に移動可能とする移動装置と,
前記移動装置を稼働する駆動装置と,を有しており,
前記測定装置は,
鉄筋の背面側から前記撮像ユニットに向けて光を出射し,
前記移動装置によって前記撮像ユニットを所定方向に移動し,
前記撮像ユニットで撮像した画像情報から前記鉄筋の陰を検出することで前記鉄筋の端部を検出して,前記鉄筋の大きさおよび/または間隔を測定する,
ことを特徴とする測定装置。
【請求項10】
配筋検査で用いる測定装置であって,
光源装置と,撮像ユニットと,ベースと,前記光源装置を支持するホルダーと,を有しており,
前記ベースの左右両端部付近には支持部をそれぞれ設けており,
それぞれの支持部は,
前記撮像ユニットと接合するベルトが架けられた滑車と,ガイドレールとが取り付けられており,
前記測定装置は,
前記光源装置が鉄筋の背面側から光を出射し,
滑車を駆動する駆動装置による前記ベルトの回転移動により,前記ガイドレールに沿って前記撮像ユニットが,左右の支持部の間を自在に移動し,
前記撮像ユニットで撮像した画像情報から前記鉄筋の陰を検出することで前記鉄筋の端部を検出して,前記鉄筋の大きさおよび/または間隔を測定する,
ことを特徴とする測定装置。
【請求項11】
前記光源装置は,
筐体と,光源と,拡散板とを有する,
ことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の測定装置。
【請求項12】
前記撮像ユニットの移動方向と,前記光源装置の長手方向が同一である,
ことを特徴とする請求項8から請求項11のいずれかに記載の測定装置。
【請求項13】
測定対象物を測定する測定装置であって,
発光装置と,受光ユニットと,測定処理を制御する制御部と,を有しており,
前記発光装置は,
前記測定対象物の背面側に位置し,前記測定対象物の背面側から光を前記受光ユニットに向けて出射し,
前記受光ユニットは,
前記発光装置から出射した光を受光し,
前記制御部は,
前記受光ユニットによる前記発光装置からの光の受光状態を用いて前記測定対象物の端部を検出することで,前記測定対象物の大きさおよび/または間隔を測定する,
ことを特徴とする測定装置。
【請求項14】
配筋検査で用いる測定装置であって,
発光装置と,
受光ユニットと,
前記受光ユニットを所定方向に自在に移動可能とする移動装置と,
前記移動装置を稼働する駆動装置と,を有しており,
前記測定装置は,
鉄筋の背面側から前記受光ユニットに向けて光を出射し,
前記移動装置によって前記受光ユニットを所定方向に移動し,
前記受光ユニットで前記発光装置からの光の受光状態を用いることで前記鉄筋の端部を検出して,前記鉄筋の大きさおよび/または間隔を測定する,
ことを特徴とする測定装置。
【請求項15】
配筋検査で用いる測定装置であって,
発光装置と,受光ユニットと,ベースと,前記発光装置を支持するホルダーと,を有しており,
前記ベースの左右両端部付近には支持部をそれぞれ設けており,
それぞれの支持部は,
前記受光ユニットと接合するベルトが架けられた滑車と,ガイドレールとが取り付けられており,
前記測定装置は,
前記発光装置が鉄筋の背面側から光を出射し,
滑車を駆動する駆動装置による前記ベルトの回転移動により,前記ガイドレールに沿って前記受光ユニットが,左右の支持部の間を自在に移動し,
前記受光ユニットで前記発光装置からの光の受光状態を用いることで前記鉄筋の端部を検出して,前記鉄筋の大きさおよび/または間隔を測定する,
ことを特徴とする測定装置。
【請求項16】
前記ホルダーは,
前記鉄筋に前記測定装置を固定するための固定部材,を有する,
ことを特徴とする請求項10から請求項12,請求項15のいずれかに記載の測定装置。
【請求項17】
前記ホルダーの一部は複数のアームを形成しており,
前記アームの間に前記固定部材を設ける,
ことを特徴とする請求項16に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,測定対象物の大きさ,配置間隔などを簡易的に測定する測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
構造物については法令で定められている基準にしたがって工事が行われているかを測定し,検査することが求められている。たとえば鉄筋コンクリート構造物の工事を行う際には,鉄筋が図面に従って正しく配置されているかを確認する配筋検査が行われている。
【0003】
このような検査は,従来は人が行うことが多く,非常に時間がかかる作業となっている。たとえば配筋検査の場合には,作業員が物差しを使って鉄筋の間隔を測定し,それをカメラで撮影するなどの作業を行わなければならず,時間がかかる作業となっている。そこでこの作業を簡略化する器具として,鉄筋の定着の長さを測定する測定器(特許文献1),磁石を用いた装置(特許文献2),寸法を簡便に計測する装置(特許文献3)などがある。
【0004】
しかし特許文献1乃至特許文献3の器具や装置を用いることで検査の作業効率を図ることができるが,結局は,作業員が鉄筋を一本ごとに計測する必要があることに変わりはない。
【0005】
そこで,特許文献4および特許文献5に示すように,画像解析を用いて検査を行うシステムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-309896号公報
【特許文献2】特開2016-089358号公報
【特許文献3】特開2020-112513号公報
【特許文献4】特開2016-003981号公報
【特許文献5】特開2020-027058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4および特許文献5では画像解析を用いて検査を行うので,作業効率は向上する。しかし,カメラで測定対象物を撮影する際に,光などの外部環境の影響を受けやすく,環境の変化によって,撮影した画像に変化が生じ,測定精度が低くなる課題がある。また,精度を向上させる場合には,マーカを置いて作業員によるサポートが必要となる場合もある。
【0008】
また,鉄筋コンクリート構造物の工事における配筋検査などは,屋外で検査が行われる。そのため,特許文献4および特許文献5のように画像解析を用いて検査を行う場合には,十分な明るさがないと,検査に用いる画像を撮影することはできない。そのため,夜間の工事や,日照時間が短い冬期の夕方や晴れていない日などの場合には,画像解析を行うのに必要な明るさのある画像を撮影することが難しくなる場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは,上記課題に鑑み,測定精度を低くすることなく,測定の作業負担を軽減することができる測定システムを発明した。
【0010】
第1の発明は,測定対象物を測定する測定システムであって,前記測定システムは,撮像ユニットを所定方向に移動制御することで前記測定対象物の測定を行う測定装置と,前記測定装置で測定した測定データを用いて,あらかじめ定められた基準値との比較を行う管理端末とを有しており,前記測定装置は,前記測定対象物の背面側に位置し,前記測定対象物の背面側から光を前記撮像ユニットに向けて出射する光源装置と,前記撮像ユニットで撮像した画像情報を用いて測定処理を制御する制御部と,を有し,前記管理端末は,前記測定装置で測定した測定データと,前記基準値との比較を行う比較部,を有する,測定システムである。
【0011】
本発明のように構成することで,作業員が測定器具を用いて手作業で作業を行うのではなく,測定の作業負担を軽減することができる。また,測定対象物の背面側から光源装置によって光を出射することで生じる測定対象物の陰を撮像することでコントラストが明確な画像情報を撮像することができる。そのため,従来の画像解析とは異なり,外的に要因による測定精度の低下を招きにくくなる。
【0012】
上述の発明において,前記撮像ユニットは,前記光源装置から出射した光が前記測定対象物によって遮られた前記測定対象物の陰を撮像し,前記制御部は,前記撮像ユニットが撮像した画像情報における前記測定対象物の陰を用いて前記測定対象物の端部を検出することで,前記測定対象物の大きさおよび/または間隔を測定する,測定システムのように構成することができる。
【0013】
本発明のように構成することで,測定対象物の大きさ,間隔を測定することができる。
【0014】
上述の発明において,前記制御部は,前記撮像装置で撮像した画像情報において,前記検出した両端部の位置を用いて,前記測定対象物の大きさを算出し,前記測定対象物の端部の位置と,隣接する測定対象物の端部の位置とを用いて,前記測定対象物の間隔を算出する,測定システムのように構成することができる。
【0015】
測定対象物の大きさ,間隔を算出するためには,本発明のように構成することで実現できる。
【0016】
第4の発明は,測定対象物を測定する測定システムであって,前記測定システムは,受光ユニットを所定方向に移動制御することで前記測定対象物の測定を行う測定装置と,前記測定装置で測定した測定データを用いて,あらかじめ定められた基準値との比較を行う管理端末とを有しており,前記測定装置は,前記測定対象物の背面側に位置し,前記測定対象物の背面側から光を前記受光ユニットに向けて出射する発光装置と,前記受光ユニットでの光の受光状態を用いて測定処理を制御する制御部と,を有し,前記管理端末は,前記測定装置で測定した測定データと,前記基準値との比較を行う比較部,を有する,測定システムである。
【0017】
本発明のように構成することで,作業員が測定器具を用いて手作業で作業を行うのではなく,測定の作業負担を軽減することができる。また,画像処理が不要となるので,従来の画像解析とは異なり,外的に要因による測定精度の低下を招きにくくなる。そして,電子素子を用いることができるので安価にすることもできる。
【0018】
上述の発明において,前記制御部は,前記受光ユニットでの受光の有無により前記測定対象物の端部を検出することで,前記測定対象物の大きさおよび/または間隔を測定する,測定システムのように構成することができる。
【0019】
本発明のように構成することで,測定対象物の大きさ,間隔を測定することができる。
【0020】
上述の発明において,前記制御部は,前記受光ユニットでの受光の有無により前記検出した両端部の位置を用いて,前記測定対象物の大きさを算出し,前記測定対象物の端部の位置と,隣接する測定対象物の端部の位置とを用いて,前記測定対象物の間隔を算出する,測定システムのように構成することができる。
【0021】
測定対象物の大きさ,間隔を算出するためには,本発明のように構成することで実現できる。
【0022】
上述の発明において,前記比較部は,前記測定データと前記基準値とを比較して所定条件を充足する場合には,条件充足を示す情報を記憶させ,所定条件を充足しない場合には,条件不充足を示す情報を記憶させ,前記条件充足および/または条件不充足を示す情報を検査結果として表示可能とする,測定システムのように構成することができる。
【0023】
配筋検査などに本発明の測定システムを用いる場合には,測定対象物が所定の条件を充足しているかを記録しなければならない。そこで,本発明のように構成することで,その記録を行うことができる。
【0024】
第1の発明における測定装置は,本発明のように構成することで実現できる。すなわち,測定対象物を測定する測定装置であって,光源装置と,撮像ユニットと,前記撮像ユニットで撮像した画像情報を用いて測定処理を制御する制御部と,を有しており,前記光源装置は,前記測定対象物の背面側に位置し,前記測定対象物の背面側から光を前記撮像ユニットに向けて出射し,前記撮像ユニットは,前記光源装置から出射した光が前記測定対象物によって遮られた前記測定対象物の陰を撮像し,前記制御部は,前記撮像ユニットが撮像した画像情報における前記測定対象物の陰を用いて前記測定対象物の端部を検出することで,前記測定対象物の大きさおよび/または間隔を測定する,測定装置である。
【0025】
本発明のように測定装置を構成しても,第1の発明と同様の技術的効果を得ることができる。
【0026】
第1の発明における測定装置を配筋検査に用いる場合には,本発明のように構成することで実現できる。すなわち,配筋検査で用いる測定装置であって,光源装置と,撮像ユニットと,前記撮像ユニットを所定方向に自在に移動可能とする移動装置と,前記移動装置を稼働する駆動装置と,を有しており,前記測定装置は,鉄筋の背面側から前記撮像ユニットに向けて光を出射し,前記移動装置によって前記撮像ユニットを所定方向に移動し,前記撮像ユニットで撮像した画像情報から前記鉄筋の陰を検出することで前記鉄筋の端部を検出して,前記鉄筋の大きさおよび/または間隔を測定する,測定装置である。
【0027】
第1の発明における測定装置を配筋検査に用いる場合には,本発明のように構成しても実現することができる。配筋検査で用いる測定装置であって,光源装置と,撮像ユニットと,ベースと,前記光源装置を支持するホルダーと,を有しており,前記ベースの左右両端部付近には支持部をそれぞれ設けており,それぞれの支持部は,前記撮像ユニットと接合するベルトが架けられた滑車と,ガイドレールとが取り付けられており,前記測定装置は,前記光源装置が鉄筋の背面側から光を出射し,滑車を駆動する駆動装置による前記ベルトの回転移動により,前記ガイドレールに沿って前記撮像ユニットが,左右の支持部の間を自在に移動し,前記撮像ユニットで撮像した画像情報から前記鉄筋の陰を検出することで前記鉄筋の端部を検出して,前記鉄筋の大きさおよび/または間隔を測定する,測定装置である。
【0028】
これらの発明のように構成することで,測定装置を配筋検査に用いた場合,第1の発明と同様の技術的効果を得ることができる。
【0029】
上述の発明において,前記光源装置は,筐体と,光源と,拡散板とを有する,測定装置のように構成することができる。
【0030】
光源装置として拡散板を備えることで,光を拡散させて撮像装置で撮像する画像情報に光を広く写り込ませることができる。これによって,測定対象物によって陰が生じた場合の陰の検出が行いやすくなる。
【0031】
上述の発明において,前記撮像ユニットの移動方向と,前記光源装置の長手方向が同一である,測定装置のように構成することができる。
【0032】
本発明のように構成することで,撮像ユニットの移動方向に従って,光源を確保することができる。
【0033】
第4の発明における測定装置は,本発明のように構成することで実現できる。すなわち,測定対象物を測定する測定装置であって,発光装置と,受光ユニットと,測定処理を制御する制御部と,を有しており,前記発光装置は,前記測定対象物の背面側に位置し,前記測定対象物の背面側から光を前記受光ユニットに向けて出射し,前記受光ユニットは,前記発光装置から出射した光を受光し,前記制御部は,前記受光ユニットによる前記発光装置からの光の受光状態を用いて前記測定対象物の端部を検出することで,前記測定対象物の大きさおよび/または間隔を測定する,測定装置である。
【0034】
本発明のように測定装置を構成しても,第4の発明と同様の技術的効果を得ることができる。
【0035】
第4の発明における測定装置を配筋検査に用いる場合には,本発明のように構成することで実現できる。すなわち,配筋検査で用いる測定装置であって,発光装置と,受光ユニットと,前記受光ユニットを所定方向に自在に移動可能とする移動装置と,前記移動装置を稼働する駆動装置と,を有しており,前記測定装置は,鉄筋の背面側から前記受光ユニットに向けて光を出射し,前記移動装置によって前記受光ユニットを所定方向に移動し,前記受光ユニットで前記発光装置からの光の受光状態を用いることで前記鉄筋の端部を検出して,前記鉄筋の大きさおよび/または間隔を測定する,測定装置である。
【0036】
第4の発明における測定装置を配筋検査に用いる場合には,本発明のように構成しても実現することができる。配筋検査で用いる測定装置であって,発光装置と,受光ユニットと,ベースと,前記発光装置を支持するホルダーと,を有しており,前記ベースの左右両端部付近には支持部をそれぞれ設けており,それぞれの支持部は,前記受光ユニットと接合するベルトが架けられた滑車と,ガイドレールとが取り付けられており,前記測定装置は,前記発光装置が鉄筋の背面側から光を出射し,滑車を駆動する駆動装置による前記ベルトの回転移動により,前記ガイドレールに沿って前記受光ユニットが,左右の支持部の間を自在に移動し,前記受光ユニットで前記発光装置からの光の受光状態を用いることで前記鉄筋の端部を検出して,前記鉄筋の大きさおよび/または間隔を測定する,測定装置である。
【0037】
これらの発明のように構成することで,測定装置を配筋検査に用いた場合,第4の発明と同様の技術的効果を得ることができる。
【0038】
上述の発明において,前記ホルダーは,前記鉄筋に前記測定装置を固定するための固定部材,を有する,測定装置のように構成することができる。
【0039】
測定装置は,ホルダーによって固定するとよい。
【0040】
上述の発明において,前記ホルダーの一部は複数のアームを形成しており,前記アームの間に前記固定部材を設ける,測定装置のように構成することができる。
【0041】
本発明のように構成することで,撮像ユニットと光源装置との間に測定対象物,たとえば鉄筋を位置させることができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の測定システムを用いることで,測定精度を低くすることなく,測定に要する作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の測定システムの全体の構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の測定システムで用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の測定システムにおける処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【
図4】測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の測定装置の正面側の斜視図である。
【
図5】測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の測定装置の背面側の斜視図である。
【
図6】測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の一例の測定装置の正面図である。
【
図7】測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の一例の測定装置の背面図である。
【
図8】測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の一例の測定装置の平面図である。
【
図9】測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の一例の測定装置の底面図である。
【
図10】測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の一例の測定装置の右側面図である。
【
図11】測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の一例の測定装置の左側面図である。
【
図14】一例の測定装置における撮像ユニット付近の正面側からの拡大図である。
【
図15】一例の測定装置における撮像ユニット付近の背面側からの拡大図である。
【
図16】一例の測定装置における撮像ユニット付近の側面側からの断面図である。
【
図17】一例の測定装置において左端部側からの拡大図である。
【
図18】拡散板を取り外した状態の光源装置を示す図である。
【
図19】測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の測定装置の背面側の下方からの斜視図である。
【
図20】本発明の測定システムを用いて配筋検査を行う場合の概念図を模式的に示す図である。
【
図21】撮像ユニットによる測定対象物の測定処理を模式的に示す図である。
【
図22】測定対象物である鉄筋の陰が,画像情報の所定の位置に到達する前の画像情報の一例を示す図である。
【
図23】測定対象物である鉄筋の陰が,画像情報の所定の位置に到達した状態の画像情報の一例を示す図である。
【
図24】測定対象物である鉄筋の端部を検出後,撮像ユニットが順方向に移動している状態の画像情報の一例を示す図である。
【
図25】測定対象物である鉄筋の陰がなくなり,測定対象物である鉄筋の径を検出した状態の画像情報の一例を示す図である。
【
図27】本発明の測定システムの全体の構成の他の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の測定システム1の全体のシステム構成の一例を
図1に,測定システム1で用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を
図2に示す。
【0045】
測定システム1は測定装置2と管理端末3とを有している。測定装置2は測定対象物の測定を行う装置であり,管理端末3は測定装置2で測定した結果(測定データ)を用いて,所定の条件を充足しているかなどを比較するコンピュータである。測定装置2と管理端末3とは有線または無線によりデータの送受信が可能である。
【0046】
コンピュータは,プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と,情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置71と,ディスプレイなどの表示装置72と,情報の入力を行う入力装置73と,演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報を通信する通信装置74とを有している。なお,コンピュータがタッチパネルディスプレイを備えている場合には表示装置72と入力装置73とが一体的に構成されていてもよい。タッチパネルディスプレイは,たとえばタブレット型コンピュータやスマートフォンなどの可搬型通信端末などで利用されることが多いが,それに限定するものではない。
【0047】
タッチパネルディスプレイは,そのディスプレイ上で,直接,所定の入力デバイス(タッチパネル用のペンなど)や指などによって入力を行える点で,表示装置72と入力装置73の機能が一体化した装置である。
【0048】
なお,測定装置2においても,演算装置70,記憶装置71,通信装置74を少なくとも備えており,ほかに表示装置72,入力装置73を備えていてもよい。
【0049】
また,管理端末3は,一台のコンピュータによって実現されていてもよいが,その一部または全部の機能が複数のコンピュータによって実現されていてもよい。この場合のコンピュータとして,たとえばクラウドサーバであってもよい。
【0050】
本発明の測定システム1における各手段は,その機能が論理的に区別されているのみであって,物理上あるいは事実上は同一の領域を為していてもよい。
【0051】
測定システム1における測定装置2は,光源装置20と撮像ユニット21と制御部22と記憶部23と通信部24とを有する。
【0052】
光源装置20は,測定対象物の背面側に設置され,測定対象物の背面から撮像ユニット21に対して光を照射する装置である。光源装置20は,好ましくは,測定対象物の配置方向に沿って平行な形状であることが好ましい。たとえば測定対象物が鉄筋であって,鉄筋の大きさ,配置間隔を測定する場合には,光源装置20の長手方向が鉄筋の配置方向になると好ましい。また光源装置20は,平板型光源であることが好ましい。光源装置20の構成は後述する。
【0053】
撮像ユニット21は,撮像装置210を備えたユニットであり,撮像装置210を移動させて測定対象物の陰を撮像する。撮像装置210と光源装置20との間に測定対象物が位置する。測定装置2は,撮像ユニット21を移動させて測定対象物の陰を撮像することで,測定対象物の大きさ,測定対象物の設置間隔の測定を行う。測定装置2の具体的な構成の一例を用いた測定方法は後述する。
【0054】
撮像ユニット21の撮像装置210は撮像素子を備えた装置であればよく,たとえばカメラを用いることができる。撮像装置210は,支持部材によって支持され,後述する測定装置2のベース40に設置されたガイドレール42に沿って撮像装置210を移動する。
【0055】
制御部22は,測定装置2を制御する。具体的には,光源装置20からの光の照射のオン,オフの制御,撮像ユニット21の移動などの制御を行うほか,撮像装置210で撮像した画像情報から測定対象物の陰を検出することで,測定対象物の大きさ,測定対象物の配置間隔の測定の処理を行う。
【0056】
記憶部23は,制御部22で測定したデータ(測定データ)を記憶する。記憶部23は,記憶装置71として機能する。
【0057】
通信部24は,管理端末3との間で有線または無線による通信を行う。通信部24は,通信装置74として機能する。
【0058】
測定システム1における管理端末3は,通信部30と記憶部31と比較部32とを有する。
【0059】
通信部30は,測定装置2との間で有線または無線による通信を行う。通信部30は,通信装置74として機能する。
【0060】
記憶部31は,測定装置2で測定した測定データと比較する対象となるデータ,たとえば測定対象物の本来のデータ,たとえば配筋図などのデータを記憶している。記憶部31は,記憶装置71として機能する。
【0061】
比較部32は,測定装置2で測定した測定対象物の測定データと,記憶部31に記憶する比較対象となるデータ(比較対象データ)とを比較し,所定の条件を充足するかを判定する。
【0062】
つぎに測定装置2の具体的な構成の一例を
図4乃至
図19を用いて説明する。
図4は,測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の測定装置2の正面側の斜視図である。
図5は,
図5は,測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の測定装置2の背面側の斜視図である。
図6は,測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の一例の測定装置2の正面図である。
図7は,測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の一例の測定装置2の背面図である。
図8は,測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の一例の測定装置2の平面図である。
図9は,測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の一例の測定装置2の底面図である。
図10は,測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の一例の測定装置2の右側面図である。
図11は,測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の一例の測定装置2の左側面図である。
図12は,一例の測定装置2の正面側の斜視図である。
図13は,一例の測定装置2の背面側の斜視図である。
図14は,一例の測定装置2における撮像ユニット21付近の正面側からの拡大図である。
図15は,一例の測定装置2における撮像ユニット21付近の背面側からの拡大図である。
図16は,一例の測定装置2における撮像ユニット21付近の側面側からの断面図である。
図17は,一例の測定装置2において左端部側からの拡大図である。
図18は,拡散板202を取り外した状態の光源装置20を示す図である。
図19は,測定対象物の一例である鉄筋を測定する場合の測定装置2の背面側の下方からの斜視図である。
【0063】
なお,以下で説明する測定装置2は一例であって,測定対象物の背面に位置させた光源装置20からの光により,撮像ユニット21を左右方向に移動させながら,測定対象物の陰を撮像装置210で撮像することで,測定対象物の大きさ,配置間隔を測定できれば,如何なる構成であってもよい。
【0064】
測定装置2は,光源装置20と,撮像ユニット21と,ベース40と,光源装置20を支持するホルダー45とを有する。
【0065】
ベース40はベース40の左右両端部付近にはプレート41a,プレート41b(支持部)を垂直方向に設置しており,プレート41a,プレート41bには後述する撮像ユニット21の左右方向への移動をガイドするためのガイドレール42を設置する。また,ベース40の底面には,L字形上のホルダー45が取り付けられている。L字形上の一端はベース40と接合しており,他の一端は,光源装置20の背面側と接合している。
【0066】
ホルダー45はその一部が二股に分岐しており,その分岐したアーム451a,アーム451bの間に測定対象物,たとえば鉄筋Rが位置可能となっている。またホルダー45のアーム451a,アーム451bの間には,測定装置2を測定対象物に固定するための固定部材452を備えている。固定部材452は,たとえば磁石であってもよいし,鉄筋を挟み込むことで固定する部材などであってもよい。
【0067】
またホルダー45の底面に脚部(図示せず)を設け,脚部によって測定装置2を支持するようにしてもよい。
【0068】
またプレート41a,プレート41bには,それぞれプーリー(滑車)43a,43bが設置され,プーリー43a,43bにはベルト44が架けられる。ベルト44は撮像ユニット21に固定され,プーリー43によって回転することで,撮像ユニット21を左右方向に移動可能とする。
【0069】
プレート41aにはモータなどの駆動装置46を取り付け,プーリー43aを回転させる。駆動装置46としては,たとえばステッピングモータを用いることができ,回転角度(および回転数),回転速度によって,プーリー43aの回転によって移動したベルト44の移動距離,すなわちベルト44に取り付けた撮像ユニット21の移動距離を特定することができる。なお,駆動装置46としてはステッピングモータの代わりにロータリーエンコーダなどを用いることもできる。駆動装置46としては,ステッピングモータ,ロータリーエンコーダのほか,プーリー43を回転させ,撮像装置210の移動距離を特定できるのであれば,如何なる装置を用いてもよい。
【0070】
撮像ユニット21は,撮像装置210とフランジ211とベルト固定プレート212とスペーサ213とスタッド214とを有する。撮像装置210はスペーサ213を介してフランジ211と接続しており,フランジ211はスタッド214を介してベルト固定プレート212と接続している。またベルト固定プレート212はベルト44と接続しており,ベルト44の移動によって撮像ユニット21を移動させる。
【0071】
フランジ211とベルト固定プレート212との間の間隙にはガイドレール42が位置しており,フランジ211の背面に設けたリニアガイド215がガイドレール42の溝部に嵌合し,溝部に沿って移動することで,撮像ユニット21がガイドレール42に沿って左右方向に移動可能となっている。リニアガイド215とガイドレール42で撮像ユニット21のガイド部を構成する。
【0072】
光源装置20は,筐体200と光源201と拡散板202とを有する。
図18は,光源装置20から拡散板202を取り外した状態を示す図である。
【0073】
光源201は,たとえば平板状のLEDなどを用いることができるが,点光源などであってもよい。またLEDに限らず,光を出射する装置であればよい。
【0074】
筐体200は,凹部形状を有しており,その内側に光源201を収納する。筐体200の一方向は開口しており,その開口部に拡散板202を取り付ける。光源201は開口部および拡散板202から光を出射する。筐体200はホルダー45と接合しており,ホルダー45によって筐体200が支持される。筐体200の拡散板202が取り付けられた面が撮像ユニット21に相対する位置となるように,筐体200はホルダー45に接合される。これによって,光源201から出射した光が拡散板202によって拡散し,撮像ユニット21の撮像装置210で測定対象物の陰を撮像できる。
【0075】
拡散板202は,光源201から出射された光を拡散するディフューザーである。好ましくは光が均一となるように,円形拡散するとよいが,それに限定するものでもなく,楕円拡散させてもよい。なお,拡散板202との表現には,シートによって同様の技術的効果を達成する拡散シートも含まれる。
【0076】
上述のように構成することで,本発明の測定システム1で用いる測定装置2を構成することができる。上述の説明および図面では,電源,配線,ネジ等の部材は簡略化のため省略している。また各部材は金属やプラスチック,樹脂など,それぞれの部材の目的に適合した素材であればどのような素材であってもよい。また各部材は適宜の方法によって接合される。
【実施例0077】
つぎに本発明の測定システム1を用いて測定対象物の測定を行う場合を説明する。なお,以下の説明では,コンクリート構造物に配設される鉄筋Rの径(測定ユニットの移動方向の長さ(大きさ))r,配筋間隔Lなどを検査する配筋検査に,本発明の測定システム1を用いる場合を説明する。この場合の測定対象物は,鉄筋Rの径r,配設間隔Lとなる。
【0078】
本発明の測定システム1を用いて配筋検査を行う場合の概念図を
図20に示す。鉄筋Rは,構造物に対して直線上に,複数配設されているので,測定システム1における測定装置2を,測定対象とする鉄筋Rに対向して,平行に設置をする(S100)。この際に,測定装置2のホルダー45を鉄筋に固定することで,測定装置2を設置する。そして,電源スイッチ(図示せず)を押下するなどして測定装置2を起動する(S110)。
【0079】
測定装置2が起動すると,撮像ユニット21が初期位置,たとえば左側のプレート41aの隣,あるいは右側のプレート41bの隣など,ガイドレール42の左右両端部付近のいずれかに位置させる。なお,初期位置は左側のプレート41a,右側のプレート41bの間であれば,どこであってもよい。
【0080】
光源装置20の光源201は光を出射して拡散板202によって拡散され光が,光源装置20から撮像ユニット21に向かう。撮像装置210は,測定対象物である鉄筋Rの方向を撮像している。光源装置20から出射された光は,測定対象物である鉄筋Rに当たるとその部分が陰となり,撮像装置210では測定対象物である鉄筋Rと陰として撮像することとなる。
【0081】
撮像ユニット21は,最終位置に到達するまで移動を開始する(S120,S130)。すなわち,測定装置2の制御部22が,駆動装置46のステッピングモータを回転制御することで,プーリー43aを回転させ,ベルト44が順方向に移動を開始する。それに伴い,ベルト44に固定されている撮像ユニット21も,初期位置から順方向に移動を開始する。ベルト44の移動によって,プーリー43a,プーリー43bも回転するので,その回転数をステッピングモータで測定し,制御部22は,撮像ユニット21の初期位置からの移動量を測定する。
【0082】
そして制御部22は,撮像ユニット21の撮像装置210で撮像する画像情報において,画像情報に写る,測定対象物である鉄筋Rの陰が,画像情報の所定の位置に到達するかを検出することで,測定対象物の測定を行う(S140)。
【0083】
撮像ユニット21による測定対象物の測定処理を模式的に示すのが
図21である。測定対象物である鉄筋Rの陰が,画像情報の所定の位置(
図22の画像情報における矩形領域)に到達する前の画像情報の一例を
図22に示す。
【0084】
すなわち,制御部22は,撮像装置210が撮像する画像情報の所定の位置に,測定対象物である鉄筋Rの陰が写っていることを検出すると,測定対象物である鉄筋Rの端部を検出したと判定して,撮像装置210の初期位置d0からの移動量d1を記録する。測定対象物である鉄筋Rの陰が,画像情報の所定の位置に到達した状態の画像情報の一例を
図23に示す。
【0085】
そして,制御部22は,そのまま撮像ユニット21を順方向に移動させ,撮像装置210が撮像する画像情報の所定の位置から,測定対象物である鉄筋Rの陰がなくなることを検出すると,測定対象物である鉄筋Rの他の端部を検出したと判定して,同様に,測定ユニット20の初期位置からの移動量d2を記録する。そして,移動量d2と移動量d1との差が鉄筋Rの径rとなる。たとえば鉄筋R1の径r1は,
r1=|d2-d1|
で算出できる。
図24は,測定対象物である鉄筋Rの端部を検出後,撮像ユニット21が順方向に移動している状態の画像情報の一例を示す図である。
図25は,測定対象物である鉄筋Rの陰がなくなり,測定対象物である鉄筋Rの径rを検出した状態の画像情報の一例を
図25に示す。
図25で表示する「11.72003mm」の表示が,測定した鉄筋Rの径である。
【0086】
また,一つ前の鉄筋(たとえば鉄筋R1)の右端部の移動量d2と,順方向に隣接する鉄筋(たとえば鉄筋R2)の左端部の移動量d3との差が鉄筋Rの配設間隔Lとなる。たとえば,鉄筋R2と鉄筋R1との配設間隔L1は,
L1=|d3-d2|
で算出できる。
【0087】
制御部22は,算出した鉄筋Rの径r,配設間隔Lを記憶部23に記憶させる。
【0088】
なお,画像情報の所定の位置に測定対象物の陰が写っていることの検出は,画像情報に設定した所定の領域において,当該領域の撮像ユニット21の進行方向側が所定の色,たとえば黒色で所定以上の大きさとなったときに,測定対象物の陰が写ったと判定することができる。また,画像情報の所定の位置から測定対象物の陰がなくなったことの検出は,画像情報に設定した所定の領域において,当該領域の撮像ユニット21の進行方向と反対側が所定の色,たとえば白色で所定以上の大きさとなったときに,測定対象物の陰がなくなったと判定することができる。測定対象物の陰が写っている,なくなったの判定は,上記に限られるものではなく,画像情報または画像情報における所定の領域において,所定の色の領域が一定以上の面積となった場合に,測定対象物の陰が写っている,なくなったと判定してもよい。
【0089】
以上のように,制御部22は,撮像ユニット21を,順方向に移動制御しながら,測定を繰り返し,最終位置に移動するまで移動させる。
【0090】
そして,最終位置に撮像ユニット21が到達すると(S120),制御部22は,記憶部23に記憶させた鉄筋の径r,配設間隔Lの測定データを通信部24を介して管理端末3に送信する(S150)。
【0091】
管理端末3では,通信部30を介して測定装置2から測定データを受信すると,比較部32が,記憶部31に記憶する配筋図のデータを参照し,配筋図のデータにおける鉄筋の径と配設間隔の値と,測定データにおける鉄筋の径rと配設間隔Lとをそれぞれ比較し,所定の条件を充足しているかを比較する。比較部32の処理を模式的に示すのが
図26である。
【0092】
図26(a)は鉄筋の径の比較であり,
図26(b)は鉄筋間の距離の比較を模式的に示す図である。記憶部31には鉄筋の径の設計値,鉄筋間の距離の設計値が,それぞれの識別情報(たとえば鉄筋の識別情報,鉄筋間距離の識別情報)に対応づけて記憶されており,それと,測定データにおける対応する鉄筋の径rの測定値,鉄筋の配設間隔Lの測定値とをそれぞれ比較する。そして比較部32は,対応する鉄筋の径,鉄筋の配設間隔が所定の許容条件を充足する場合には問題なしを示す情報,充足しない場合には問題ありを示す情報を,それぞれの鉄筋の径,鉄筋の配設間隔に対応づけて,記憶部31に記憶させる。
【0093】
このような処理を実行することで,配筋検査を実行することができる。
【0094】
なお,測定データには測定した値のほか,撮像装置210で撮像した画像情報を含めてもよい。これによって,検査の状況を画像情報として記録することもできる。
【0095】
測定装置2による測定を終了する場合には,電源スイッチを再度,押下することで電源をオフにする。
【0096】
管理端末3における処理は,測定装置2に一体的に備えていてもよい。また,測定装置2で測定した測定データと比較する対象となるデータ,たとえば測定対象物の本来のデータ,たとえば配筋図などのデータを,管理端末3から測定装置2に通信部30および通信部24を介して送信しておき,記憶部23に記憶させていてもよい。この場合,比較部32を測定装置2に備えておき,撮像ユニット21で測定したデータを,制御部22が記憶部23に記憶した上記比較対象となるデータと比較してもよい。そして比較結果を,通信部24および通信部30を介して管理端末3に送り,表示させてもよい。
実施例1では,光源装置20で出射した光による測定対象物の影を撮像ユニット21の撮像装置210で撮像し,測定対象物の端部を検出したが,本実施例では,発光装置25による光を受光装置で受光できなくなった場合(測定対象物によって遮られた状態)を検出することで,測定対象物の端部を検出する。
すなわち,実施例1と同様に,測定装置2が起動し,測定対象物の背面側に設置された発光装置25は,発光を開始する。これによって光が発光装置25から受光ユニット26の受光装置側に向けて出射する。
そして,制御部22によって受光ユニット26が初期位置からガイドレール42に沿って移動し,受光ユニット26の受光装置では発光装置25からの光を受光する。そして受光ユニット26が測定対象物の位置まで到達すると,発光装置25からの光は測定対象物で遮蔽されるので,受光ユニット26の受光装置では光を受光できない。そのため,受光ユニット26の受光装置で発光装置25からの光を受光できなくなった位置を測定対象物の端部として検出する。
そして,受光ユニット26の受光装置で発光装置25からの光を受光できなくなった後,つぎに受光ユニット26の受光装置で発光装置25からの光を受光した位置が,測定対象物の他の端部として検出する。
本発明の測定システム1における構成,処理は,本発明の技術的思想の範囲内で適宜,設計変更をすることが可能であり,本明細書に記載した実施例に限定するものではない。