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特開2023-11276水処理システム、エッジ装置、及び水処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011276
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】水処理システム、エッジ装置、及び水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20230101AFI20230117BHJP
   G06F 8/65 20180101ALI20230117BHJP
【FI】
C02F1/00 D
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115036
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】中島 正隆
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AB01
5B376AB14
5B376AB19
5B376AC07
5B376AE05
5B376CA16
5B376CA39
5B376CA57
5B376CA76
5B376CA83
5B376GA13
(57)【要約】
【課題】水処理装置間での水処理制御を停止又は停滞させることなく、水処理装置の制御ソフトウェアをバージョンアップする。
【解決手段】制御ソフトウェアプログラムの最新バージョンを配信するエッジ装置5と、エッジ装置5から配信される制御ソフトウェアプログラムが自身の型式と同じ型式であり、かつ自身の制御ソフトウェアプログラムが最新バージョンでない場合、配信された制御ソフトウェアプログラムを受信する、水処理装置1と、を備える水処理システム100。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の水処理装置を含む水処理装置群と、
前記水処理装置群に含まれる水処理装置を制御している制御ソフトウェアに対応する、最新バージョンとなる制御ソフトウェアを記憶するエッジ装置と、
前記水処理装置群と、前記エッジ装置と、を通信可能に接続する通信回線と、
を備える水処理システムであって、
前記エッジ装置は、
前記水処理装置の型式毎に当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを管理し、前記型式及び前記制御ソフトウェアの最新バージョンを識別する識別情報とともに、前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストする制御ソフトウェア配信部を備え、
前記水処理装置は、さらに、
前記エッジ装置から前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストされる前記制御ソフトウェアに係る前記識別情報に基づいて、前記水処理装置が同じ型式でありかつ前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンであるかを判定するソフトウェア判定部と、
前記ソフトウェア判定部により、前記水処理装置が同じ型式でありかつ前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、前記制御ソフトウェアを受信するデータ取得部と、を備える、
水処理システム。
【請求項2】
前記水処理装置は、さらに、
前記通信回線を介して、当該水処理装置の少なくとも状態情報及び制御データのいずれかを含むデータを送信する水処理データ送信部を備え、
前記エッジ装置の備える前記制御ソフトウェア配信部は、さらに、
前記型式毎に前記型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを所定のデータ長に分割し、前記分割された分割データを、順次、予め設定される所定の周期で、前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストし、
前記水処理装置の備える前記ソフトウェア判定部は、さらに、
前記エッジ装置から前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストされる前記分割データに係る前記識別情報に基づいて、前記水処理装置の型式が同じ型式でありかつ前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンであるかを判定し、
前記データ取得部は、さらに、
前記水処理装置の型式が同じ型式でありかつ前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、前記分割データを順次受信する、請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記所定の周期は、前記水処理装置それぞれが備える水処理データ送信部により送信されるデータ量及びその頻度に基づいて設定される、請求項2に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記水処理装置群は、少なくとも1台の監視装置を含み、
前記監視装置は、前記水処理装置から送信される当該水処理装置の状態情報を取得する状態取得部と、
前記状態取得部により取得された状態情報を処理する処理部と、
前記処理部で処理された状態情報を記憶する記憶部と、を備える、請求項2又は請求項3に記載の水処理システム。
【請求項5】
前記水処理装置群は、所定の水質に処理された給水を加熱して蒸気を発生する蒸気ボイラ及び監視装置としての蒸気ボイラ制御装置を水処理装置として含む、請求項4に記載の水処理システム。
【請求項6】
前記監視装置と、前記エッジ装置と、を一体の装置として構成する、請求項4又は請求項5に記載の水処理システム。
【請求項7】
前記水処理装置は、
前記制御ソフトウェアを記憶する記憶部として少なくとも2面の記憶領域を有し、一方の記憶領域には稼働中の制御ソフトウェアを記憶し、他方の記憶領域には、前記稼働中の制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合に、前記エッジ装置から前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストされた制御ソフトウェアの前記分割データを順次記憶する、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項8】
前記水処理装置は、
前記記憶部における前記記憶領域を、複数個の、所定の長さのアドレスブロックから構成し、前記アドレスブロックを、それぞれ一意のデータアドレスにより管理する制御ソフトウェア管理部を備え、前記所定の長さは前記エッジ装置の前記制御ソフトウェア配信部により配信される前記分割データの長さに対応するとともに、前記分割データは、前記アドレスブロックのデータアドレスとともに、配信され、
前記データ取得部は、さらに、
前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合に、前記エッジ装置から配信される前記分割データを順次、前記他方の記憶領域の前記データアドレスのアドレスブロックに記憶し、全ての分割データが前記他方の記憶領域に書き込まれたか否かを判定し、
前記制御ソフトウェア管理部は、前記データ取得部により全ての分割データが前記他方の記憶領域に書き込まれたと判定された場合、前記記憶領域の誤り検出を行い、誤りが検出されない場合、前記水処理装置を制御する制御ソフトウェアを、前記他方の記憶部に記憶された最新バージョンの制御ソフトウェアに切り換える、請求項7に記載の水処理システム。
【請求項9】
複数の水処理装置を含む水処理装置群と通信回線を介して通信可能に接続されたエッジ装置であって、
前記水処理装置の型式毎に当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを記憶し、前記型式及び前記制御ソフトウェアの最新バージョンを識別する識別情報とともに、前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストする制御ソフトウェア配信部を備え、
前記制御ソフトウェア配信部は、さらに、
前記型式毎に前記型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを所定のデータ長に分割し、前記分割したデータを、順次、予め設定される所定の周期で、前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストする、エッジ装置。
【請求項10】
エッジ装置と通信回線を介して通信可能に接続された水処理装置群を構成する水処理装置であって、
前記エッジ装置から前記通信回線を介して、水処理装置の型式及び当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを識別する識別情報とともにマルチキャスト又はブロードキャストされる、当該型式の制御ソフトウェアに対して、前記制御ソフトウェアに係る前記識別情報に基づいて、前記水処理装置が同じ型式でありかつ前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンであるかを判定するソフトウェア判定部と、
前記ソフトウェア判定部により、前記水処理装置が同じ型式でありかつ前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、前記制御ソフトウェアを受信するデータ取得部と、を備える、水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システム、エッジ装置、及び水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御装置を制御するための制御ソフトウェアの書き換えについては、プログラム書き換え装置を用いて行われることが知られている(例えば、特許文献1参照)。水処理システムに含まれるそれぞれの水処理装置の制御ソフトウェアの書き換えについてもプログラム書き換え装置を用いて行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-078254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水処理システムは、同じ型式の水処理装置が複数接続されており、同じ型式の水処理装置を異なるバージョンでの制御ソフトウェアにより動作させると、水処理システム全体において動作不均一を生じ、不安定な運転になる。このため、水処理装置の制御ソフトウェアの書き換えを行う場合、同時に行う必要がある。しかしながら、プログラム書換え装置による書き換え処理は、例えば、水処理装置を停止させた時間帯において行う等、制約があり、管理者にとって煩わしく、また水処理システムの利便性が損なわれる課題があった。このため、水処理制御に影響を与えないように、複数の水処理装置の制御ソフトウェアを同時に書き換えることが望まれている。
【0005】
本発明は、水処理システムにおいて、通信可能に接続された水処理装置間でのデータ送受信処理を停止又は停滞させることなく、水処理制御をしながら、水処理装置の制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、バージョンアップすることができるとともに、同じ型式の水処理装置が複数台あり、かつ少なくとも2台の水処理装置の制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、同じ型式の水処理装置を同時に一括でバージョンアップすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の水処理装置を含む水処理装置群と、前記水処理装置群に含まれる水処理装置を制御している制御ソフトウェアに対応する、最新バージョンとなる制御ソフトウェアを記憶するエッジ装置と、前記水処理装置群と、前記エッジ装置と、を通信可能に接続する通信回線と、を備える水処理システムであって、前記エッジ装置は、前記水処理装置の型式毎に当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを管理し、前記型式及び前記制御ソフトウェアの最新バージョンを識別する識別情報とともに、前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストする制御ソフトウェア配信部を備え、前記水処理装置は、さらに、前記エッジ装置から前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストされる前記制御ソフトウェアに係る前記識別情報に基づいて、前記水処理装置が同じ型式でありかつ前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンであるかを判定するソフトウェア判定部と、前記ソフトウェア判定部により、前記水処理装置が同じ型式でありかつ前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、前記制御ソフトウェアを受信するデータ取得部と、を備える、水処理システムに関する。
【0007】
また、前記水処理装置は、さらに、前記通信回線を介して、当該水処理装置の少なくとも状態情報及び制御データのいずれかを含むデータを送信する水処理データ送信部を備え、前記エッジ装置の備える前記制御ソフトウェア配信部は、さらに、前記型式毎に前記型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを所定のデータ長に分割し、前記分割された分割データを、順次、予め設定される所定の周期で、前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストし、前記水処理装置の備える前記ソフトウェア判定部は、さらに、前記エッジ装置から前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストされる前記分割データに係る前記識別情報に基づいて、前記水処理装置の型式が同じ型式でありかつ前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンであるかを判定し、前記データ取得部は、さらに、前記水処理装置の型式が同じ型式でありかつ前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、前記分割データを順次受信することが好ましい。
【0008】
また、前記所定の周期は、前記水処理装置それぞれが備える水処理データ送信部により送信されるデータ量及びその頻度に基づいて設定されることが好ましい。
【0009】
また、前記水処理装置群は、少なくとも1台の監視装置を含み、前記監視装置は、前記水処理装置から送信される当該水処理装置の状態情報を取得する状態取得部と、前記状態取得部により取得された状態情報を処理する処理部と、前記処理部で処理された状態情報を記憶する記憶部と、を備えるようにしてもよい。
【0010】
また、前記水処理装置群は、所定の水質に処理された給水を加熱して蒸気を発生する蒸気ボイラ及び監視装置としての蒸気ボイラ制御装置を水処理装置として含むことが好ましい。
【0011】
また、前記監視装置と、前記エッジ装置と、を一体の装置として構成するようにしてもよい。
【0012】
また、前記水処理装置は、前記制御ソフトウェアを記憶する記憶部として少なくとも2面の記憶領域を有し、一方の記憶領域には稼働中の制御ソフトウェアを記憶し、他方の記憶領域には、前記稼働中の制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合に、前記エッジ装置から前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストされた制御ソフトウェアの前記分割データを順次記憶することが好ましい。
【0013】
また、前記水処理装置は、前記記憶部における前記記憶領域を、複数個の、所定の長さのアドレスブロックから構成し、前記アドレスブロックを、それぞれ一意のデータアドレスにより管理する制御ソフトウェア管理部を備え、前記所定の長さは前記エッジ装置の前記制御ソフトウェア配信部により配信される前記分割データの長さに対応するとともに、前記分割データは、前記アドレスブロックのデータアドレスとともに、配信され、前記データ取得部は、さらに、前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合に、前記エッジ装置から配信される前記分割データを順次、前記他方の記憶領域の前記データアドレスのアドレスブロックに記憶し、全ての分割データが前記他方の記憶領域に書き込まれたか否かを判定し、前記制御ソフトウェア管理部は、前記データ取得部により全ての分割データが前記他方の記憶領域に書き込まれたと判定された場合、前記記憶領域の誤り検出を行い、誤りが検出されない場合、前記水処理装置を制御する制御ソフトウェアを、前記他方の記憶部に記憶された最新バージョンの制御ソフトウェアに切り換えることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、複数の水処理装置を含む水処理装置群と通信回線を介して通信可能に接続されたエッジ装置であって、前記水処理装置の型式毎に当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを記憶し、前記型式及び前記制御ソフトウェアの最新バージョンを識別する識別情報とともに、前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストする制御ソフトウェア配信部を備え、前記制御ソフトウェア配信部は、さらに、
前記型式毎に前記型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを所定のデータ長に分割し、前記分割したデータを、順次、予め設定される所定の周期で、前記通信回線を介してマルチキャスト又はブロードキャストする、エッジ装置に関する。
【0015】
また、本発明は、エッジ装置と通信回線を介して通信可能に接続された水処理装置群を構成する水処理装置であって、前記エッジ装置から前記通信回線を介して、水処理装置の型式及び当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを識別する識別情報とともに、マルチキャスト又はブロードキャストされる、当該型式の制御ソフトウェアに対して、前記制御ソフトウェアに係る前記識別情報に基づいて、前記水処理装置が同じ型式でありかつ前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンであるかを判定するソフトウェア判定部と、前記ソフトウェア判定部により、前記水処理装置が同じ型式でありかつ前記水処理装置を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、前記制御ソフトウェアを受信するデータ取得部と、を備える、水処理装置に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水処理システムにおいて、通信可能に接続された水処理装置間でのデータ送受信処理を停止又は停滞させることなく、水処理制御をしながら、水処理装置の制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、バージョンアップすることができるとともに、同じ型式の水処理装置が複数台あり、かつ少なくとも2台の水処理装置の制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、同じ型式の水処理装置を同時に一括でバージョンアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の水処理システムの全体概略図である。
図2】本発明の水処理システムとしての純水システムの全体概略図である。
図3A】本発明の水処理装置の概略構成を示す図である。
図3B】本発明の水処理装置における制御ソフトウェア記憶部の概略構成を示す図である。
図4】本発明のエッジ装置の概略構成を示す図である。
図5A】本発明の水処理装置の処理を示すフローチャートである。
図5B】本発明の水処理装置の処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の水処理システムとしてのボイラシステムの全体概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、ネットワークに負荷を掛けずに、水処理装置を制御する制御ソフトウェアの更新を複数同時に制御する任意の水処理システムを対象とする。
図1は、本発明の水処理システム100の全体概略図である。図1に示すように、水処理システム100は、複数の水処理装置1を含む水処理装置群10と、エッジ装置5と、通信ネットワーク7と、を含む。また、図1には、水処理装置群10は、監視装置としての水処理装置1を含む形態を例示したが、これに限られない。本実施形態では、監視装置としての水処理装置1を含む形態を説明するが、監視装置としての水処理装置1を含まない形態としてもよい。また、図1には、監視装置としての水処理装置1と、エッジ装置5と、別装置として記載したが、これに限られない。監視装置としての水処理装置1と、エッジ装置5と、を一体の装置として構成してもよい。例えば監視装置としての水処理装置1がエッジ装置5の機能を備えるようにしてもよい。水処理装置1及びエッジ装置5の詳細について説明する前に、本発明の対象とする水処理システムとしての純水システムにおける実施形態を例示して説明する。
【0019】
図2は、本実施形態に係る水処理システムとしての純水システム100Aの全体概略図である。純水システム100Aは、供給水としての原水から高純度の純水を製造することができ、製造された高純度の純水は、製薬・化粧品の原料水、精密機器・電子部品の洗浄水等の用途に利用される。
図2に示すように、純水システム100Aは、水処理装置1としての除鉄除マンガン装置11A、水処理装置1としての活性炭ろ過装置12A、水処理装置1としての軟水装置13A、及び水処理装置1としてのカートリッジフィルタ14Aを含む前処理装置群1Aと、水処理装置1としての水質監視装置3Aと、水処理装置1としてのRO装置21a、水処理装置1としてのRO装置21b、及び水処理装置1としてのEDI装置22を含む純水ユニット2Aと、純水ユニット2Aから出力された純水を貯留する純水タンク4Aと、を含み、これらを水処理装置群10Aという。
純水システム100Aは、水処理装置群10としての水処理装置群10Aと、エッジ装置5と、通信ネットワーク7としての水処理ネットワーク7Aと、を含む。なお、EDI装置22は、マスターとなる監視装置として、スレーブとなる他の水処理装置1へ、例えば約100msec~200msecの周期で、装置毎に通信することで、スレーブとなる各水処理装置1の稼働情報を含む状態情報を取得している。
以下の説明において、各水処理装置をそれぞれ区別する必要が無い場合、特に断らない限り、「水処理装置1」として説明する。
図3Aは、水処理装置1の概略構成を示す図である。図3Aに示すように、水処理システムとしての純水システム100Aに含まれる各水処理装置1は、それぞれ、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備え、水処理ネットワーク7Aに通信可能に接続されている。また、各装置の記憶部12には各装置を制御するための制御ソフトウェアが記憶され、制御部11により当該制御ソフトウェアを実行することで、各装置の固有の機能を実現することができる。また、図示しないが、表示部又は入力部を備えるようにしてもよい。
【0020】
記憶部12は、制御部11が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域であり、記憶部12は、制御ソフトウェア記憶部121を備える。
図3Aに示すように、制御ソフトウェア記憶部121は、少なくとも2面の記憶領域を有し、それぞれの記憶領域は、所定の一方の記憶領域(以下「動作中記憶領域」ともいう)には稼働中の制御ソフトウェアを記憶する。また、他方の記憶領域(以下、「更新用記憶領域」ともいう)には、当該稼働中の制御ソフトウェアが最新バージョンの制御ソフトウェアでない場合に、後述するように、エッジ装置5から水処理ネットワーク7Aを介してマルチキャスト又はブロードキャストされる最新バージョンの制御ソフトウェアが順次記憶される。
図3Bは、制御ソフトウェア記憶部121の概略構成を示す図である。図3Bに示すように、制御ソフトウェア記憶部121のそれぞれの記憶領域は、記憶領域を所定の長さ(例えば256バイト)のアドレスブロックに分けている。そうすることで、エッジ装置5は、最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムを当該記憶領域に含まれるアドレスブロック単位に分割したプログラムデータを、当該アドレスブロックのデータアドレスとともに配信することができる。詳細については、後述する。
【0021】
制御部11は、水処理装置1の全体を制御する中央処理装置(CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶されているオペレーティングシステム(OS)や制御ソフトウェアを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。制御部11の詳細については後述する。
【0022】
通信部13は、他の水処理装置1と通信を行うための通信インタフェースである。例えば、前述したように、スレーブとなる前処理装置群1Aに含まれる各水処理装置1、純水ユニット2Aに含まれるRO装置21a、及びRO装置21bは、特に、マスターとなる監視装置としての水処理装置1であるEDI装置22に対して、定期的に稼働情報を含む状態情報を送信するための通信インタフェースである。逆に、マスターとなる監視装置としての水処理装置1であるEDI装置22は、通信部13を介してスレーブとなる他の水処理装置1から稼働情報を含む状態情報を定期的に受信することができる。
【0023】
水処理装置1の制御部11の本発明に係る詳細な機能について説明する前に、純水システム100Aに含まれる除鉄除マンガン装置11A、活性炭ろ過装置12A、軟水装置13A、カートリッジフィルタ14A、水質監視装置3A、純水ユニット2A、及び純水ユニット2Aから出力された純水を貯留する純水タンク4Aに係る、それぞれの固有の機能概要について簡単に説明する。
【0024】
前処理装置群1Aは、例えば、除鉄除マンガン装置11Aと、活性炭ろ過装置12Aと、軟水装置13Aと、カートリッジフィルタ14Aと、を含む。
【0025】
除鉄除マンガン装置11Aは、第1給水ラインから供給される原水に含まれる鉄及びマンガン分を除去し、原水から第1処理水(鉄及びマンガン分が除去された原水)を生成する。除鉄除マンガン装置11Aの下流側には、活性炭ろ過装置12Aが接続されている。
【0026】
活性炭ろ過装置12Aは、除鉄除マンガン装置11Aから供給される第1処理水に含まれる残留塩素や有機物を除去し、第2処理水(残留塩素や有機物が除去された原水)を生成する。なお、活性炭ろ過装置12Aは、第1処理水に加えて、供給水として水道水が供給されるようにしてもよい。活性炭ろ過装置12Aの下流側には、軟水装置13Aが接続されている。
【0027】
軟水装置13Aは、第2処理水に対して、所定の精製処理を行う。具体的には、軟水装置13Aは、例えば、第2処理水に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)を陽イオン交換樹脂によりナトリウムイオンと交換する。そうすることで、軟水装置13Aは、第2処理水から硬度成分を除去し、第3処理水(硬度成分が除去された原水)を生成する。軟水装置13Aの下流側には、カートリッジフィルタ14Aが接続されている。
【0028】
カートリッジフィルタ14Aは、例えば、第3処理水に浮遊する汚染物質を除去し、第4処理水を生成する。カートリッジフィルタ14Aの下流側には、純水ユニット2Aが接続されている。
【0029】
なお、除鉄除マンガン装置11Aと活性炭ろ過装置12Aとの間、活性炭ろ過装置12Aと軟水装置13Aとの間、軟水装置13Aとカートリッジフィルタ14Aとの間、及びカートリッジフィルタ14Aと純水ユニット2Aとの間には、それぞれ水質監視装置3Aが設けられ、それぞれの装置により処理された水質を監視するようにしてもよい。
例えば、活性炭ろ過装置12Aと軟水装置13Aとの間に設けた水質監視装置3Aは、軟水装置13Aに供給される第2処理水の硬度を監視し、軟水装置13Aとカートリッジフィルタ14Aとの間に設けた水質監視装置3Aは、軟水装置13Aにより供給される第3処理水の硬度を監視する。そうすることで、例えば軟水装置13Aにより所定の軟水化がされていないと判断されたときは、当該軟水装置に内蔵された陽イオン交換樹脂の交換能力が飽和したと判断し、所定の再生処理を行うことができる。
また、カートリッジフィルタ14Aと純水ユニット2Aとの間に設けた水質監視装置3Aは、例えば、純水ユニット2Aに供給される第4処理水のシリカ濃度を監視するようにしてもよい。そうすることで、シリカ濃度の測定値に基づいてRO装置の回収率が常に最適値となるように制御を行い、排水の省水化とRO膜へのスケール付着防止を行うことができる。水質監視装置3Aは、それぞれの装置により処理された水質情報を、それぞれの装置にフィードバックするとともに、マスターとなるEDI装置22に対して定期的に送信するようにしてもよい。
【0030】
純水ユニット2Aは、例えば、RO装置21a、21b、及びEDI装置22を含む。
RO装置21aは、第4処理水を、イオン類や低分子有機物等の不純物が除去された第1透過水と、これらの不純物が濃縮された第1濃縮水とに膜分離処理する。RO装置21aは、単一又は複数のRO膜エレメント(不図示)を備える。RO装置21aは、これらRO膜エレメントにより第4処理水を膜分離処理し、第1透過水及び第1濃縮水を製造する。RO装置21aの下流側には、RO装置21bが接続され、第1透過水が供給される。
RO装置21bは、第1透過水を、イオン類や低分子有機物等の不純物が除去された第2透過水と、これらの不純物が濃縮された第2濃縮水とに膜分離処理する。RO装置21bは、単一又は複数のRO膜エレメント(不図示)を備える。RO装置21bは、これらRO膜エレメントにより第1透過水を膜分離処理し、第2透過水及び第2濃縮水を製造する。RO装置21bの下流側には、EDI装置22が接続され、第2透過水が供給される。
【0031】
EDI装置22は、第2透過水を脱塩処理(脱イオン処理)して、さらに精製された純水としての脱塩水(脱イオン水)と第3濃縮水とを製造する水処理機器である。EDI装置22の下流側には、純水タンク4Aが接続され、純水(脱塩水)が供給される。
また前述したように、EDI装置22は、マスターとなる監視装置として、スレーブとなる他の水処理装置1と、例えば約100msec~200msecの周期で、装置毎に通信することで、スレーブとなる各水処理装置1の稼働情報を含む状態情報を取得している。
【0032】
純水タンク4Aには、水位センサ(図示せず)が配置され、純水タンク4Aの水位を検知し、給水を制御する制御部(図示せず)にフィードバックするとともに、マスターとなるEDI装置22に対して定期的に送信するようにしてもよい。純水タンク4Aに給水された純水としての脱塩水(脱イオン水)は、製薬・化粧品の原料水、精密機器・電子部品の洗浄水等の用途に利用される。
【0033】
以上、水処理システムとしての純水システム100Aに含まれる前処理装置群1A、純水ユニット2A、及び純水ユニット2Aから出力された純水を貯留する純水タンク4A、それぞれの固有の機能概要について説明した。
【0034】
次に、図3Aを参照しながら、水処理装置1の制御部11の本発明に係る機能について説明する。なお、本発明に係る機能については、各水処理装置1をそれぞれ区別する必要が無いことから「水処理装置1」として説明する。
前述したように、水処理装置1は、制御部11と、制御ソフトウェア記憶部121を備える記憶部12と、通信部13と、を備える。また、図示しないが、表示部又は入力部を備えるようにしてもよい。記憶部12及び通信部13については、既に説明したので、ここでは、制御部11について説明する。
【0035】
図3Aに示すように、制御部11は、記憶部12に記憶されているオペレーティングシステム(OS)や制御ソフトウェアを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、当該水処理装置特有の機能を実行する機能部に加えて、本願発明に係る、ソフトウェア判定部111と、データ取得部112と、制御ソフトウェア管理部113と、水処理データ送信部114と、を実行する。なお、破線で囲った機能部(状態取得部116及び状態処理部117)は、後述するように、監視装置としての水処理装置1が備える機能部である。
【0036】
ソフトウェア判定部111は、後述するエッジ装置5から、所定の周期(例えば4秒毎)で、水処理ネットワーク7Aを介して、マルチキャスト又はブロードキャストされる、制御ソフトウェアプログラムの対象装置の型式が、自身(当該水処理装置1)の型式に一致するか否かを判定する。
自身(当該水処理装置1)の型式に一致する場合、ソフトウェア判定部111は、さらに、マルチキャスト又はブロードキャストされる制御ソフトウェアプログラムのバージョンが、自身(当該水処理装置1)の記憶部12の制御ソフトウェア記憶部121の記憶領域に記憶された、稼働中の制御ソフトウェアプログラムのバージョンと一致するか否か(すなわち、稼働中の制御ソフトウェアプログラムのバージョンが最新バージョンであるか否か)を判定し、判定結果をデータ取得部112に出力する。なお、ソフトウェア判定部111は、自身(当該水処理装置1)を制御している、稼働中の制御ソフトウェアプログラムのバージョンが最新バージョンであると判定した場合、マルチキャスト又はブロードキャストされている制御ソフトウェアプログラムを無視し、稼働中の制御ソフトウェアプログラムのバージョンが最新バージョンでないと判定した場合に、判定結果をデータ取得部112に出力するようにしてもよい。
【0037】
データ取得部112は、ソフトウェア判定部111により、配信されている制御ソフトウェアプログラムの対象装置の型式が、自身(当該水処理装置1)の型式に一致し、かつ自身(当該水処理装置1)を制御している制御ソフトウェアのバージョンが最新バージョンでないと判定された場合、所定の周期で配信されている、制御ソフトウェアプログラムの対象装置の型式を識別する識別情報としての型式情報(例えば、型式コード)と、制御ソフトウェアプログラムのバージョンを識別する識別情報としてのバージョン情報(例えば、バージョンコード)と、アドレスブロックのデータアドレスと、所定の長さ(例えば256バイト)に分割されたプログラムデータと、を含むデータを、順次取得する。なお、型式情報として型式コードを、バージョン情報としてバージョンコードを例示したが、これに限られない。型式及びバージョンをそれぞれ識別するための情報であれば、番号でも年月日のようなタイムスタンプ等、任意に設定することができる。
図3Bに示すように、データ取得部112は、さらに、順次取得したデータに含まれる、データアドレスと、所定の長さ(例えば256バイト)に分割されたプログラムデータに基づいて、制御ソフトウェア記憶部121の更新用記憶領域の当該データアドレスに分割されたプログラムデータを記憶する。データ取得部112は、分割されたプログラムデータをアドレスブロックに記憶する際には、当該アドレスブロックに書き込みした後、当該アドレスブロックを読み出して、その内容が一致していることを確認することで、正常に記憶したと判定する。なお、データ取得部112は、データアドレスに対応するビットテーブル(「更新管理テーブル1211」ともいう)を用いて、分割されたプログラムデータが正常に記憶されたデータアドレスに対応する管理ビットをオンに設定するようにしてもよい。具体的には、データ取得部112は、分割されたプログラムデータを順次取得するときに、最初に更新管理テーブル1211の全てのビットをクリア(初期化)し、その後、分割されたプログラムデータをアドレスブロックに記憶するときに、当該データアドレスに対応する更新管理テーブル1211の管理ビットをオンにする。そうすることで、後述するように制御ソフトウェア管理部113は、更新管理テーブル1211に基づいて、全ての管理ビットがオンとなった場合に、配信された全てのプログラムデータが更新用記憶領域に書き込まれたことを判定することができる。
【0038】
制御ソフトウェア管理部113は、制御ソフトウェア記憶部121に含まれる2面の記憶領域をアドレスブロックに基づいて管理し、後述するエッジ装置5から配信された全てのプログラムデータが更新用記憶領域に書き込まれたか否かを判定する。
制御ソフトウェア管理部113は、全ての分割データが更新用記憶領域に書き込まれたと判定された場合、更新用記憶領域の誤り検出を行い、誤りが検出されない場合、更新用記憶領域に最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムが記憶されたことを示す更新状態データを記憶部12に記憶するようにしてもよい。制御ソフトウェア管理部113は、水処理装置1のリセットリスタート時に、当該水処理装置1を制御する制御ソフトウェアプログラムを、更新用記憶領域に記憶された最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムに切り換えることができる。
具体的には、例えば、制御ソフトウェア管理部113は、例えば管理者からの指示に基づいて又はリセットリスタート時に、当該水処理装置1のリセット(動作の停止と再起動)を行う。そうすることで、制御ソフトウェア管理部113は、制御ソフトウェア稼働中に最新バージョンの制御ソフトウェアをインストールし、リセットリスタート時に水処理装置1の制御ソフトウェアを最新バージョンに切り換えることができる。
【0039】
水処理データ送信部114は、水処理ネットワーク7Aを介して、自身(当該水処理装置1)の少なくとも状態情報及び制御データのいずれかを含むデータを、監視装置としての水処理装置1に送信する。状態情報には、例えば、各水処理装置1の型式、自身(当該水処理装置1)を制御している、稼働中の制御ソフトウェアプログラムのバージョン情報、各水処理装置1におけるモニタ情報、例えば温度等のセンサ情報、制御状態、出力状態、異常発生時の異常情報等を含むことができる。
なお、水処理システムとしての純水システム100Aにおいては、EDI装置22が監視装置に相当する。また、水処理データ送信部114は、状態情報を後述するエッジ装置5に送信するようにしてもよい。
【0040】
監視装置としての水処理装置1(例えば、EDI装置22)は、前述した機能部(ソフトウェア判定部111、データ取得部112、制御ソフトウェア管理部113、及び水処理データ送信部114)に加えて、マスターとなる水処理装置1としての機能部である、状態取得部116と、状態処理部117と、を備える。
状態取得部116は、スレーブとなる水処理装置1から送信される当該水処理装置1の状態情報を取得する。
状態処理部117は、状態取得部116により取得された状態情報を処理し、処理された状態情報を記憶部12に記憶する。
以上、水処理装置1の機能について説明した。次にエッジ装置5の本発明に係る機能について説明する。
【0041】
エッジ装置5は、水処理ネットワーク7Aを介して、純水システム100Aに含まれる各水処理装置1に対して、当該水処理装置1の型式毎に当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンをマルチキャスト又はブロードキャストする。詳細については、後述する。なお、エッジ装置5は、クラウドサーバ(図示せず)に、通信網(図示せず)を介して、各水処理装置1の状態情報等を送信するようにしてもよい。そうすることで、クラウドサーバ(図示せず)は、例えば水処理システム100に含まれる各水処理装置1の稼働状態等を分析することができる。
【0042】
図4は、エッジ装置5の概略構成を示す図である。図4に示すように、エッジ装置5は、制御部51と、記憶部52と、通信部53と、表示部55と、入力部56と、を備える。
【0043】
制御部51は、例えば、CPU、ROM、RAM、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)メモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
制御部51は、エッジ装置5の全体を制御する中央処理装置(CPU)である。制御部51は、記憶部52に記憶されているオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
なおプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、ROM(Read Only Memory)、EEOPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的(non-transitory)情報記録媒体に記録することができる。制御部51の詳細については後述する。
【0044】
記憶部52は、制御部51が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するための記憶部52は、制御部51が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するための、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、又はHDDハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。記憶部52は、プログラム記憶部521と、制御ソフトウェア記憶部522と、を備える。
【0045】
プログラム記憶部521は、制御部51が、後述する制御部51の各機能を実行するためのプログラムを記憶している。
【0046】
制御ソフトウェア記憶部522は、各水処理装置1の型式毎に、当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョン情報、及び当該型式の最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムを記憶している。なお、制御ソフトウェア記憶部522は、予め、1つの型式に対応する制御ソフトウェアプログラムを、当該型式の水処理装置1の制御ソフトウェア記憶部121の記憶領域のデータアドレスに対応して分割して、記憶するようにしてもよい。
また、純水システム100Aに、通信可能に接続された水処理装置群に対して予めマルチキャストアドレスを設定するようにしてもよい。例えば、同じ型式の水処理装置1に対してマルチキャストアドレスを設定するようにしてもよい。
【0047】
通信部53は、水処理装置1及びクラウドサーバ(図示せず)との間で通信を行うための通信インタフェースである。
【0048】
表示部55は、例えば、液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスパネル等の表示デバイスにより構成される。表示部55は、制御部51からの指示を受けて画像を表示する。
入力部56は、例えば、テンキーと呼ばれる物理スイッチや表示部55の表示面に重ねて設けられたタッチパネル、また、情報記録媒体等のリーダ等の入力装置(図示を省略する。)等で構成される。
【0049】
次に、制御部51について説明する。
図4に示すように、制御部51は、記憶部52に記憶されているオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、ハードウェアと協働することで、制御ソフトウェア更新部511と、制御ソフトウェア配信部512と、を構成する。
【0050】
制御ソフトウェア更新部511は、水処理装置1の型式毎に当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを管理する。制御ソフトウェア更新部511は、制御ソフトウェア記憶部522に記憶している型式に対応する水処理装置1の制御ソフトウェアの最新バージョンプログラムを取得した場合、制御ソフトウェア記憶部522に記憶している、当該型式に対応する制御ソフトウェアの最新バージョン情報を更新するとともに、最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムを更新する。なお、制御ソフトウェア更新部511は、例えば、クラウドサーバ(図示せず)から最新バージョンの制御ソフトウェアをダウンロードするようにしてもよい、また、入力部56を介して最新バージョンの制御ソフトウェアを取得するようにしてもよい。
【0051】
制御ソフトウェア配信部512は、水処理装置1の型式毎に当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを管理し、当該型式、及び当該制御ソフトウェアの最新バージョンを識別する識別情報とともに、当該型式の最新バージョンの制御ソフトウェアを、水処理ネットワーク7Aを介してマルチキャスト又はブロードキャストする。なお、制御ソフトウェア配信部512は、水処理ネットワーク7Aに接続されている各水処理装置1から所定の周期で送信される状態情報を取得することで、水処理ネットワーク7Aに接続され、稼働中の水処理装置1を把握することができる。前述したように、状態情報には、各水処理装置1の型式、自身(当該水処理装置1)を制御している、稼働中の制御ソフトウェアプログラムのバージョン情報、各水処理装置1におけるモニタ情報、例えば温度等のセンサ情報、制御状態、出力状態、異常発生時の異常情報等を含むことができる。
【0052】
制御ソフトウェア配信部512は、制御ソフトウェア更新部511により制御ソフトウェア記憶部522に記憶している型式に対応する水処理装置1の制御ソフトウェアが更新された場合、前述したように、当該型式に対応する水処理装置1の最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムを、当該水処理装置1の記憶部12に含まれる制御ソフトウェア記憶部121の記憶領域を構成するアドレスブロック単位に分割したプログラムデータを当該アドレスブロックのデータアドレスとともに、配信することができる。具体的には、制御ソフトウェア配信部512は、型式と、制御ソフトウェアプログラムのバージョンと、データアドレスと、所定の長さ(例えば256バイト)に分割されたプログラムデータと、を含むデータを配信する。
そうすることで、前述したように、水処理装置1は、制御ソフトウェア記憶部121の記憶領域を構成するアドレスブロック単位に、データを取得したか否かを容易に確認することができる。
制御ソフトウェア配信部512は、1つの型式毎に、当該型式に対応する最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムをアドレスブロック単位に分割したプログラムデータを当該アドレスブロックのデータアドレスとともに、順次アドレスを進めながら、予め設定される所定の周期(例えば、4秒毎)で、水処理ネットワーク7Aを介してマルチキャスト又はブロードキャストするようにしてもよい。
制御ソフトウェア配信部512は、1つの型式に対応する最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムの配信が終わると、次の型式に対応する最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムの配信を開始するようにしてもよい。
制御ソフトウェア配信部512は、1つの型式に対応する最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムを定期的に繰り返して配信するようにしてもよい。
【0053】
なお、制御ソフトウェア配信部512は、管理者から、入力部56を介して水処理装置1の制御ソフトウェアの最新バージョンを配信するよう指示された場合に、指定された型式に対応する水処理装置1の最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムをアドレスブロック単位に分割したプログラムデータを当該アドレスブロックのデータアドレスとともに、順次予め設定される所定の周期(例えば、4秒毎)で、水処理ネットワーク7Aを介してマルチキャスト又はブロードキャストするようにしてもよい。
【0054】
また、制御ソフトウェア配信部512は、予め設定された時刻に、制御ソフトウェア記憶部522に記憶している、型式に対応する水処理装置1の最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムをアドレスブロック単位に分割したプログラムデータを当該アドレスブロックのデータアドレスとともに、順次予め設定される所定の周期(例えば、4秒毎)で、水処理ネットワーク7Aを介してマルチキャスト又はブロードキャストするようにしてもよい。
このように、エッジ装置5は、所定の周期(例えば4秒)で1つの型式に対応する制御ソフトウェアプログラムを所定の長さ(例えば256バイト)に分割してデータ配信することから、最新の制御ソフトウェアプログラムのデータ配信に関わる水処理ネットワーク7Aへの負荷を軽減することができる。そうすることにより、水処理装置1の水処理データ(状態情報等)の送受信に影響が出ないようにすることができる。
また、前述したように、制御ソフトウェア稼働中に最新バージョンの制御ソフトウェアをインストールすることができる。そうすることで、リセット時に、水処理システム100に含まれるネットワーク機器全体のバージョンアップができる。
さらに、水処理システム100において同一機種が複数台あり、かつ少なくとも2台の水処理装置の制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、同一機種の水処理装置1は同時に最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムを受信することで、例えば機能追加、バグ修正等により改善した最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムを、同一機種に一括してバージョンアップすることできる。これにより、同一型式の水処理装置1が、異なるバージョンで動作する動作不均一状態を解消し、全て最新バージョンで動作することで、安定した運転を行うことができる。
例えば、水質監視装置3AやRO装置21のように、同じ型式に対応する複数の装置全てを同時に更新(バージョンアップ)することができ、同じ型式の水処理装置1が異なるバージョンの制御ソフトウェアにより制御されることによる不具合及び/又は異常発生を防ぐことができる。
以上、エッジ装置5の機能について説明した。
【0055】
次に、水処理システムとしての純水システム100Aに含まれる、水処理装置1における制御ソフトウェアの更新に係る処理フローについて説明する。図5A及び図5Bは、水処理装置1の処理を示すフローチャートである。なお、水処理装置1は、稼働開始時に更新管理テーブルを初期化するものとする。
【0056】
図5Aに記載のフローチャートを参照すると、ステップS10において、水処理装置1(ソフトウェア判定部111)は、制御ソフトウェア記憶部121の更新用記憶領域に係る更新管理テーブルを初期化する(例えば、全ての管理ビットをオフにする)。
【0057】
ステップS11において、水処理装置1(ソフトウェア判定部111)は、水処理ネットワーク7Aを介して、エッジ装置5からマルチキャスト又はブロードキャストされた制御ソフトウェアプログラムの型式が、自身の型式に一致するか否かを判定する。自身の型式に一致する場合(Yesの場合)ステップS12に移る。自身の型式に一致しない場合、ステップS11に移る。
【0058】
ステップS12において、水処理装置1(ソフトウェア判定部111)は、マルチキャスト又はブロードキャストされた制御ソフトウェアプログラムのバージョンが、自身の制御ソフトウェア記憶部121の記憶領域に記憶された、稼働中の制御ソフトウェアプログラムのバージョンと一致するか否かを判定する。稼働中の制御ソフトウェアプログラムのバージョンに一致する場合(Yesの場合)、ステップS11に移る。稼働中の制御ソフトウェアプログラムのバージョンに一致しない場合、ステップS13に移る。
【0059】
ステップS13において、水処理装置1(データ取得部112)は、マルチキャスト又はブロードキャストされたデータから、制御ソフトウェア記憶部121の更新用記憶領域のデータアドレスと、所定の長さ(例えば256バイト)に分割されたプログラムデータと、を取得する。
【0060】
ステップS14において、水処理装置1(データ取得部112)は、取得したデータアドレスに基づいて、制御ソフトウェア記憶部121の更新用記憶領域の当該データアドレスに分割されたプログラムデータを書き込む。
【0061】
ステップS15において、水処理装置1(データ取得部112)は、更新管理テーブルの当該データアドレスに対応する管理ビットをオンにする。
【0062】
ステップS16において、水処理装置1(制御ソフトウェア管理部113)は、更新管理テーブルに基づいて、更新用記憶領域の全てのデータアドレスに、分割されたプログラムデータが書き込まれた場合(Yesの場合)、ステップS17に移る。そうでない場合(Noの場合)、ステップS11に移る。
【0063】
ステップS17において、水処理装置1(制御ソフトウェア管理部113)は、更新用記憶領域の誤り検出を行い、誤りが検出されるか否かを判定する。誤りが検出された場合(Yesの場合)、ステップS19に移る。誤りが検出されない場合(Noの場合)、ステップS18に移る。
【0064】
ステップS18において、水処理装置1(制御ソフトウェア管理部113)は、制御ソフトウェアを更新されたことを、管理者に通知し、更新処理を終了する。
【0065】
ステップS19において、水処理装置1(制御ソフトウェア管理部113)は、更新制御ソフトウェアに誤り検知したことを、管理者に通知し、更新処理を終了する。なお、管理者は、誤り内容に基づき、誤り原因を除去したうえで、当該制御ソフトウェアプログラムをエッジ装置5から再度配信させるようにしてもよい。
以上により、1つの型式に対応する制御ソフトウェアプログラムの配信開始から配信終了までの制御ソフトウェアプログラムの記憶処理が実行される。なお、処理フローは上記の順序に限られない。例えば、ステップS16において、分割されたプログラムデータが全て書き込まれていない場合、次に配信されるデータを取得するステップS13´を設けて、ステップS13´に移り、その後ステップ14に移るようにしてもよい。
【0066】
次に、図5Bを参照しながら、水処理装置1のリセットリスタート時における制御ソフトウェアの切り換え処理フローについて説明する。
図5Bに記載のフローチャートを参照すると、ステップS20において、水処理装置1のリセットリスタートがなされる。
【0067】
ステップS21において、水処理装置1(制御ソフトウェア管理部113)は、制御ソフトウェア記憶部121の更新用記憶領域に最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムが記憶されているか否かを判定する。最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムが記憶されていると判定した場合(Yesの場合)ステップS22に移る。そうでない場合(Noの場合)、ステップS23に移る。
【0068】
ステップS22において、水処理装置1(制御ソフトウェア管理部113)は、更新用記憶領域を動作中記憶領域として切換える。
【0069】
ステップS23において、水処理装置1は、リセットリスタート処理を実行する。
以上により、制御ソフトウェアプログラムを配信された最新バージョンの制御ソフトウェアプログラムにより切換えることができる。
【0070】
以上、本実施形態に係る水処理システム100としての純水システム100Aの構成、エッジ装置5及び水処理装置1について説明した。なお、上記の説明において、マスターとなる監視装置であるEDI装置22及びエッジ装置5を別装置として記載したが、マスターとなる監視装置であるEDI装置22と、エッジ装置5と、を一体の装置として構成するようにしてもよい。例えばマスターとなる監視装置であるEDI装置22がエッジ装置5の機能を備えるようにしてもよい。
本発明の水処理システム100は、純水システム100Aに限られず、任意の水処理システムに適用できる。次に、第2実施形態として、蒸気ボイラ等を水処理装置とする、水処理システム100としてのボイラシステム100Bについて説明する。
図6は、第2実施形態に係るボイラシステム100Bの全体概略図である。図6に示すように、ボイラシステム100Bは、地下水等の原水及び/又は水道水を注水ラインL7に配置された水処理装置1としての塔式ろ過装置11B、水処理装置1としての軟水装置13B、水処理装置1としての脱酸素装置15B、水処理装置1としての水質監視装置3B、及び脱酸素装置15Bから出力された給水を貯留する給水タンク(図示せず)を介して供給される給水を燃焼ガスにより加熱して蒸気を生成する水処理装置1としての蒸気ボイラ21Bと、蒸気ボイラ21Bの燃焼状態を制御する水処理装置1としての台数制御装置22Bと、蒸気ボイラ21Bで生成された蒸気を貯留し、蒸気供給ラインL1を介して負荷機器(図示せず)に供給する蒸気ヘッダ23Bと、エッジ装置5と、通信ネットワーク7としての水処理ネットワーク7Bと、を含む。また、遠隔地で集中管理するための集中管理装置24B、排水時に排水を中和するための中和装置25B、及び蒸気の送気開始と停止をスケジュール制御する蒸気自動送気システム26Bを備えてもよい。
なお、台数制御装置22Bは、マスターとなる監視装置として、所定の周期(例えば4秒毎)でスレーブとなる他の各水処理装置1の稼働情報を含む状態情報を取得している。また、台数制御装置22Bは、各蒸気ボイラ21Bとの間で、台数制御情報を所定の周期毎(例えば、0.5秒毎)で送受信している。
【0071】
以下、ボイラシステム100Bに含まれる各機器の固有の機能の概要について簡単に説明する。なお、ボイラシステム100Bに含まれる各機器の固有の機能については、当業者にとって公知であり詳細な説明は省略する。
【0072】
注水ラインL7には、塔式ろ過装置11B、軟水装置13B、及び脱酸素装置15Bが配置され、地下水等の原水及び/又は水道水を補給水として注水ラインL7を介して供給する。
【0073】
塔式ろ過装置11Bは、例えば、除鉄除マンガン装置(図示せず)、砂ろ過装置(図示せず)、又は活性炭ろ過装置(図示せず)等により構成され、例えば、地下水等の原水に含まれる鉄、マンガン分、残留塩素、有機物等を除去した第1処理水を生成し、軟水装置13Bに供給される。
【0074】
軟水装置13Bは、水道水又は第1処理水に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)を陽イオン交換樹脂によりナトリウムイオンと交換する。そうすることで、軟水装置13Bは、第2処理水から硬度成分を除去し、第2処理水(硬度成分が除去された原水)を生成し、脱酸素装置15Bに供給する。
【0075】
脱酸素装置15Bは、軟水装置13Bで得られた軟水中に含まれる溶存酸素を機械的に除去するためのものである。
【0076】
塔式ろ過装置11Bと軟水装置13Bとの間、軟水装置13Bと脱酸素装置15Bとの間、及び脱酸素装置15Bと給水タンク(図示せず)との間には、それぞれ水質監視装置3Bが設けられ、それぞれの装置により処理された水質を監視するようにしてもよい。
例えば、軟水装置13Bと脱酸素装置15Bとの間に設けられた水質監視装置3Bは軟水装置13Bの異常の有無又は硬度漏れ等を監視し、マスターとなる監視装置としての台数制御装置22Bに対して、軟水装置13Bの異常の有無又は硬度漏れ等に係る情報を提供することができる。
【0077】
台数制御装置22Bは、前述したように、マスターとなる監視装置として、スレーブとなる他の各水処理装置1から、所定の周期(例えば4秒毎)で、各水処理装置1の稼働情報を含む状態情報を取得している。そうすることで、台数制御装置22Bは、マスターとなる監視装置として、ボイラシステム100Bに係る状態であるシステム状態を監視することができる。例えば、軟水装置13Bの異常の有無に係るシステム状態、蒸気ボイラ群の燃焼状態が低負荷であるか又は高負荷であるかを示す負荷に係るシステム状態等の監視を行うことができる。
また、台数制御装置22Bは、水処理装置1としての各蒸気ボイラ21Bとの間で、台数制御情報を所定の周期毎(例えば、0.5秒毎)で送受信する。
このようにすることで、台数制御装置22Bは、蒸気ヘッダ23Bの内部の蒸気圧の値であるヘッダ圧力値に基づいて各蒸気ボイラ21Bの燃焼状態を制御することができる。また、蒸気ボイラ21Bは、システム状態情報を台数制御装置22Bから受信することで、蒸気ボイラ21Bにおける固有の所定の制御(例えば、濃縮ブロー制御、連続パイロット制御、薬注供給量制御等)を行うことができる。なお、ヘッダ圧力値に基づいて各蒸気ボイラ21Bの燃焼状態を制御する構成及び蒸気ボイラ21Bにおける固有の所定の制御については、当業者にとって公知であり、詳細な説明は省略する。
なお、本発明に係る水処理装置1としての機能については、第1実施形態で説明した水処理装置1の備える機能と同じであり、監視装置としての水処理装置であるEDI装置22を、監視装置としての水処理装置である台数制御装置22Bに読み換えることで、説明することができる。
【0078】
以上、水処理システム100としてのボイラシステム100Bに含まれる塔式ろ過装置11B、軟水装置13B、脱酸素装置15B、水質監視装置3B、給水タンク(図示せず)、蒸気ボイラ21B、及び蒸気ボイラ21Bの燃焼状態を制御する台数制御装置22Bのそれぞれの固有の機能概要、及び水処理装置1として備える本発明に係る共通の機能について説明した。
【0079】
エッジ装置5については、第1実施形態で説明したエッジ装置5において、純水システム100Aをボイラシステム100Bに読み換え、また、同じ型式に対応する複数の装置として、例えば水質監視装置3B、及び蒸気ボイラ21Bを例示することで、説明することができる。
こうすることで、ボイラシステム100Bにおいては、蒸気ボイラ21Bのように、同じ型式に対応する複数の装置全てを同時に更新(バージョンアップ)することができ、同じ型式の蒸気ボイラ21Bが異なるバージョンの制御ソフトウェアにより制御されることによる不具合及び/又は異常発生を防ぐことができる。
なお、第2実施形態に係るボイラシステム100Bにおいても、第1実施形態と同様に、マスターとなる監視装置である台数制御装置22B及びエッジ装置5を別装置として記載したが、マスターとなる監視装置である台数制御装置22Bと、エッジ装置5と、を一体の装置として構成するようにしてもよい。例えばマスターとなる監視装置である台数制御装置22Bがエッジ装置5の機能を備えるようにしてもよい。
【0080】
上述した水処理システム100によれば、以下のような効果が奏される。
本発明の水処理システム100は、複数の水処理装置1を含む水処理装置群と、当該水処理装置群に含まれる水処理装置1を制御している制御ソフトウェアに対応する、最新バージョンとなる制御ソフトウェアを記憶するエッジ装置5と、当該水処理装置群と、エッジ装置5と、を通信可能に接続する水処理ネットワーク7と、を備え、エッジ装置5は、水処理装置1の型式毎に当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを管理し、当該型式及び当該制御ソフトウェアの最新バージョンを識別する識別情報とともに、水処理ネットワーク7を介してマルチキャスト又はブロードキャストする制御ソフトウェア配信部512を備え、水処理装置1は、さらに、エッジ装置5から水処理ネットワーク7を介してマルチキャスト又はブロードキャストされる制御ソフトウェアに係る識別情報に基づいて、水処理装置1が同じ型式でありかつ水処理装置1を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンであるかを判定するソフトウェア判定部111と、ソフトウェア判定部111により、水処理装置1が同じ型式でありかつ水処理装置1を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、配信される制御ソフトウェアを受信するデータ取得部112と、を備える。
これにより、通信可能に接続された水処理装置間でのデータ送受信処理を停止又は停滞させることなく、水処理制御をしながら、水処理装置の制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、バージョンアップすることができるとともに、同一型式の装置が複数台あり、かつ少なくとも2台の水処理装置1の制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、同一型式の他の水処理装置1も、同時に最新バージョンの制御ソフトウェアを受信することができる。このため、機能追加、又は改善された制御ソフトウェアの最新バージョンを、同一型式の装置に一括でバージョンアップすることができることから、同一型式の装置が、異なるバージョンでの動作をすることの動作不均一問題を解消し、最新バージョン同士での安定した運転を行うことができる。
【0081】
また、本発明の水処理システム100に含まれる水処理装置1は、さらに、水処理ネットワーク7を介して、当該水処理装置1の少なくとも状態情報及び制御データのいずれかを含むデータを送信する水処理データ送信部114を備え、エッジ装置5の備える制御ソフトウェア配信部512は、さらに、型式毎に当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを所定のデータ長に分割し、分割された分割データを、順次、予め設定される所定の周期で、水処理ネットワーク7を介してマルチキャスト又はブロードキャストし、水処理装置1の備えるソフトウェア判定部111は、さらに、エッジ装置5から水処理ネットワーク7を介してマルチキャスト又はブロードキャストされる分割データに係る前記識別情報に基づいて、水処理装置1の型式が同じ型式でありかつ水処理装置1を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンであるかを判定し、データ取得部112は、さらに、水処理装置1の型式が同じ型式でありかつ水処理装置1を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、分割データを順次受信する。
これにより、最新の制御ソフトウェアのデータ配信に関わる水処理ネットワーク7への負荷が、分割してデータ配信することで、データ配信にて水処理ネットワーク7が占有されることがなくなり、水処理装置1の水処理データの送信に影響が出ないようにすることができる。
【0082】
また、所定の周期は、水処理装置1それぞれが備える水処理データ送信部114により送信されるデータ量及びその頻度に基づいて設定される。
これにより、最適な周期を設定することができる。
【0083】
また、本発明の水処理システム100に含まれる水処理装置群は、少なくとも1台の監視装置を含み、監視装置は、水処理装置1から送信される当該水処理装置1の状態情報を取得する状態取得部116と、状態取得部116により取得された状態情報を処理する状態処理部117と、状態処理部117で処理された状態情報を記憶する記憶部12と、を備えるようにしてもよい。
これにより、監視装置としての水処理装置1が、他の水処理装置1からそれぞれ当該水処理装置1の状態情報を受信する場合であっても、最新の制御ソフトウェアのデータ配信に関わる水処理ネットワーク7への負荷が、分割してデータ配信することで、データ配信にて水処理ネットワーク7が占有されることがなくなり、水処理装置1の水処理データの送信に影響が出ないようにすることができる。
【0084】
また、本発明の水処理システム100に含まれる水処理装置群は、所定の水質に処理された給水を加熱して蒸気を発生する蒸気ボイラ21B及び監視装置としての台数制御装置22Bを水処理装置1として含む。
これにより、ボイラシステムにおいて、監視装置としての台数制御装置22Bが、蒸気ボイラ21Bからそれぞれ状態情報を受信する場合であっても、最新の制御ソフトウェアのデータ配信に関わる水処理ネットワーク7への負荷が、分割してデータ配信することで、データ配信にて水処理ネットワーク7が占有されることがなくなり、蒸気ボイラ21Bの水処理データの送信に影響が出ないようにすることができる。
【0085】
また、本発明の水処理システム100に含まれる、監視装置としての水処理装置1と、エッジ装置5と、を一体の装置として構成してもよい。例えば監視装置としての水処理装置1がエッジ装置5の機能を備えるようにしてもよい。
これにより、エッジ装置5を別途設置することなく、監視装置としての水処理装置1によりエッジ装置の機能を実現することができる。
【0086】
また、本発明の水処理システム100に含まれる水処理装置1は、制御ソフトウェアを記憶する制御ソフトウェア記憶部121として少なくとも2面の記憶領域を有し、一方の記憶領域には稼働中の制御ソフトウェアを記憶し、他方の記憶領域には、稼働中の制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合に、エッジ装置5から水処理ネットワーク7を介してマルチキャスト又はブロードキャストされた制御ソフトウェアの分割データを順次記憶する。
これにより、水処理装置1が稼働中の場合であっても、制御ソフトウェアの最新バージョンをインストールすることができる。
【0087】
本発明の水処理システム100に含まれる水処理装置1は、制御ソフトウェア記憶部121における記憶領域を、複数個の、所定の長さのアドレスブロックから構成し、アドレスブロックを、それぞれ一意のデータアドレスにより管理する制御ソフトウェア管理部113を備え、所定の長さはエッジ装置5の制御ソフトウェア配信部512により配信される分割データの長さに対応するとともに、分割データは、アドレスブロックのデータアドレスとともに、配信され、データ取得部112は、さらに、水処理装置1を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合に、エッジ装置5から配信される分割データを順次、他方の記憶領域のデータアドレスのアドレスブロックに記憶し、全ての分割データが他方の記憶領域に書き込まれたか否かを判定し、制御ソフトウェア管理部113は、データ取得部112により全ての分割データが他方の記憶領域に書き込まれたと判定された場合、当該記憶領域の誤り検出を行い、誤りが検出されない場合、水処理装置1を制御する制御ソフトウェアを、他方の記憶部に記憶された最新バージョンの制御ソフトウェアに切り換える。
これにより、複数台の水処理装置1を含めてネットワーク機器全体のバージョンアップが可能になる。
【0088】
また、本発明のエッジ装置5は、複数の水処理装置1を含む水処理装置群と水処理ネットワーク7を介して通信可能に接続され、水処理装置1の型式毎に当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを記憶し、型式及び制御ソフトウェアの最新バージョンを識別する識別情報とともに、水処理ネットワーク7を介してマルチキャスト又はブロードキャストする制御ソフトウェア配信部512を備え、制御ソフトウェア配信部512は、さらに、型式毎に当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを所定のデータ長に分割し、分割したデータを、順次、予め設定される所定の周期で、水処理ネットワーク7を介してマルチキャスト又はブロードキャストする。
これにより、同一型式の水処理装置1が複数台あり、かつ少なくとも2台の水処理装置1の制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、同一型式の他の水処理装置1に対しても、同時に最新バージョンの制御ソフトウェアを配信することができる。
【0089】
また、本発明の水処理装置1は、エッジ装置5と水処理ネットワーク7を介して通信可能に接続された水処理装置群を構成し、エッジ装置5から水処理ネットワーク7を介して、水処理装置1の型式及び当該型式の制御ソフトウェアの最新バージョンを識別する識別情報とともに、マルチキャスト又はブロードキャストされる、当該型式の制御ソフトウェアに対して、制御ソフトウェアに係る識別情報に基づいて、水処理装置1が同じ型式でありかつ当該水処理装置1を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンであるかを判定するソフトウェア判定部111と、ソフトウェア判定部111により、水処理装置1が同じ型式でありかつ水処理装置1を制御している制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、制御ソフトウェアを受信するデータ取得部112と、を備える。
これにより、同一型式の水処理装置1が複数台あり、かつ少なくとも2台の水処理装置1の制御ソフトウェアが最新バージョンでない場合、同一型式の他の水処理装置1も、同時に最新バージョンの制御ソフトウェアを受信することができる。
【0090】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られることなく、種々の形態で実施することができる。
【0091】
例えば、上述した実施形態では、水処理システム100に含まれる水処理装置群に対してマルチキャストアドレスを設定したが、予め選択された水処理装置の集合に対してマルチキャストアドレスを設定するようにしてもよい。具体的には、例えば、型式に基づいてマルチキャストアドレスを設定するようにしてもよい。同一型式の水処理装置が1個の場合は、例えば、そのような水処理装置を含む複数の集合に対して、マルチキャストアドレスを設定するようにしてもよい。また、同一型式の水処理装置が1個の場合は、ユニキャストとしてもよい。
【0092】
また、上述した実施形態では、エッジ装置5(制御ソフトウェア配信部512)は、型式と、制御ソフトウェアプログラムのバージョンと、データアドレスと、所定の長さ(例えば256バイト)に分割されたプログラムデータと、を含むデータを順次配信する際に、制御ソフトウェアプログラムをデータアドレス毎(例えば256バイト毎)に順次分割して、配信するようにしてもよい。又は、制御ソフトウェア記憶部522に制御ソフトウェアプログラムを記憶する際に、制御ソフトウェアプログラムをデータアドレス毎(例えば256バイト毎)に分割して記憶しておくことで、制御ソフトウェア記憶部522から、データを順次取得して配信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0093】
100 水処理システム
100A 純水システム
10A 水処理装置群
1A 前処理装置群
11A 除鉄除マンガン装置
12A 活性炭ろ過装置
13A 軟水装置
14A カートリッジフィルタ
2A 純水ユニット
21a RO装置
21b RO装置
22 EDI装置
3A 水質監視装置
4A 純水タンク
7A 水処理ネットワーク
100B ボイラシステム
11B 塔式ろ過装置
13B 軟水装置
15B 脱酸素装置
3B 水質監視装置
7B 水処理ネットワーク
100B ボイラシステム
10B 水処理装置群
21B 蒸気ボイラ
22B 台数制御装置
23B 蒸気ヘッダ
24B 集中管理装置
25B 中和装置
26B 蒸気自動送気システム
L7 注水ライン
L6 給水ライン
L1 蒸気供給ライン
1 水処理装置
11 制御部
111 ソフトウェア判定部
112 データ取得部
113 制御ソフトウェア管理部
114 水処理データ送信部
116 状態取得部
117 状態処理部
12 記憶部
121 制御ソフトウェア記憶部
1211 更新管理テーブル
10 水処理装置群
13通信部
5 エッジ装置
51 制御部
511 制御ソフトウェア更新部
512 制御ソフトウェア配信部
52 記憶部
521 プログラム記憶部
522 制御ソフトウェア記憶部
53 通信部
55 表示部
56 入力部
7 通信ネットワーク
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6