IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 Toshinの特許一覧

<>
  • 特開-水道メータの流量読取装置の保持具 図1
  • 特開-水道メータの流量読取装置の保持具 図2
  • 特開-水道メータの流量読取装置の保持具 図3
  • 特開-水道メータの流量読取装置の保持具 図4
  • 特開-水道メータの流量読取装置の保持具 図5
  • 特開-水道メータの流量読取装置の保持具 図6
  • 特開-水道メータの流量読取装置の保持具 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112765
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】水道メータの流量読取装置の保持具
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20220101AFI20230807BHJP
   G01F 1/06 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
G01F1/00 Y
G01F1/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014672
(22)【出願日】2022-02-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】511178681
【氏名又は名称】株式会社 Toshin
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】乙黒 孝一
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CA02
2F030CC02
2F030CE09
2F030CE13
2F030CF20
(57)【要約】
【課題】メーカや機種によって寸法が異なる複数の水道メータに合わせて、装着部の寸法を任意に変更可能な流量読取装置の保持具を提供する。
【解決手段】水道メータMの上面に載置される流量読取装置1を保持する水道メータMの保持具2であって、水道メータMの上ケース4の外縁部45に装着されるリング状の下カバー21と、流量読取装置1を挟んで下カバー21に固定される上カバー22と、を備え、下カバー21には上ケース4の外縁部45に向けて押し込まれるストッパ30が配置され、ストッパ30は押し込まれた際に上ケース4の外縁部45に係止する係止片28を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道メータの上面に載置される流量読取装置を保持する水道メータの保持具であって、
水道メータの上ケースの外縁部に装着されるリング状の下カバーと、
前記流量読取装置を挟んで前記下カバーに固定される上カバーと、を備え、
前記下カバーには前記上ケースの外縁部に向けて押し込まれるストッパが配置され、
該ストッパは押し込まれた際に前記上ケースの外縁部に係止する係止片を有する水道メータの保持具。
【請求項2】
前記下カバーには前記ストッパを押し込む際のガイド部が設けられ、該ガイド部はストッパの押込み位置を規制する係合部を有する請求項1に記載の水道メータの保持具。
【請求項3】
前記ストッパには前記係止片を押し込み操作する押込み片が前記係止片と一体に形成される請求項1に記載の水道メータの保持具。
【請求項4】
前記係止片は前記押込み片から延びる腕部に設けられ、該腕部が下カバーの外縁部の形状に沿って延びる請求項3に記載の水道メータの保持具。
【請求項5】
前記ストッパには前記下カバーに設けられた係合部と係合する被係合部が設けられる請求項2に記載の水道メータの保持具。
【請求項6】
前記下カバーには、前記ストッパを引き出す際の引出孔が前記ガイド部に隣接して設けられている請求項1又は2に記載の水道メータの保持具。
【請求項7】
前記下カバーの外周面には雄ネジが設けられ、前記上カバーの内周面には前記雄ネジに螺合する雌ねじが設けられ、前記下カバーの雄ネジに上カバーの雌ネジをねじ込むことで前記ストッパの係止片が上ケースの外縁部を押圧して両者が固定される請求項1に記載の水道メータの保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道メータの上面に載置される流量読取装置の保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から水道メータの流量読取装置としては、装置内に収容されたカメラにより水道メータの流量表示部を撮影し、撮影した画像データを水の積算流量の数値データに変換し、変換された数値データを外部に送信する流量検出装置が知られている。流量読取装置は水道メータに固定されるが、既存の水道メータは、メーカや器種によって寸法や形状などが異なる。このため、流量検出装置の水道メータへの装着部を一部の製品に合わせて製作した場合、他の製品にはしっかりと固定できない場合があった。特許文献1に開示された流量読取装置は、水道メータの流量表示部を覆う透明板の上にカメラを内蔵した本体を配置し、本体の装着手段として水道メータの外周に回し込んだバンドを利用することにより、外周部の寸法が異なる水道メータへの固定を可能としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2020-12734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された流量検出装置にあっては、装着手段として水道メータの外周に回し込んだバンドを利用するため、流量検出装置を水道メータに適切な位置でしっかりと固定するのが難しかった。
【0005】
そこで出願人は、上記の問題を解決する一手段として、流量検出装置の水道メータへの装着部として、水道メータの外周部と係合する係止爪を設けて、係止爪が弾性変形することにより、外周部の寸法が異なる水道メータへの固定を可能とした流量読取装置の保持具を提案している(特許6803634参照)。
【0006】
上記特許文献2に記載された流量読取装置の保持具にあっては、係止爪が水道メータの外周部の半径方向へ弾性変形することにより、外周部の寸法が異なる水道メータへの固定が可能であるが、適応範囲は設計時の使用想定範囲内に限定される。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、メーカや機種によって寸法が異なる複数の水道メータに合わせて、装着部の寸法を任意に変更可能な流量読取装置の保持具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水道メータの保持具は、水道メータの上面に載置される流量読取装置を保持する水道メータの保持具であって、水道メータの上ケースの外周部に装着されるリング状の下カバーと、流量読取装置を挟んで下カバーに固定される上カバーと、を備え、下カバーには上ケースの外周部に向けて押し込まれるストッパが配置され、ストッパは押し込まれた際に上ケースの外周部に係止する係止片を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水道メータの保持具によれば、水道メータの上に流量読取装置を載置し、保持具を装着した後に、保持具の外側から水道メータの外周部に向けてストッパを押し込むことにより、水道メータへの固定部分の適応範囲を任意に変更できるため流量読取装置を適切な位置で確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の保持具によって流量読取装置が装着された状態の水道メータの斜視図である。
図2】本発明の実施形態の水道メータの保持具及び流量読取装置が水道メータに装着される前の状態の分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態の保持具によって流量読取装置が装着された状態の水道メータの断面図である。
図4】本発明の実施形態の下カバーおよびストッパの斜視図である。
図5】本発明の実施形態の下カバーにストッパを押し込む機構を説明するための図である。
図6】本発明の実施形態の上ケースとストッパの係止状態を示す部分断面斜視図である。
図7】本発明の実施形態の保持具を水道メータに装着する過程を(a)から(d)の順番で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の水道メータの保持具について、図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、水道メータ、その上面に装着される流量読取装置、流量読取装置を水道メータに装着するための保持具の構成部材および保持具の周辺部材を模式的に表したものであり、これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、重複説明は適宜省略する。
【0012】
図1には、水道メータMと、この水道メータMの上面に装着される流量読取装置1と、流量読取装置1を水道メータMに装着するための保持具2が示されている。図2には、保持具2の構成部材が詳細に示されている。また、図3には水道メータの内部構造が示されている。さらに、図5には下カバー21のガイド部29内に押し込まれるストッパ30が詳細に示されている。
【0013】
図3に示されるように、水道メータMは、下ケース3と上ケース4を備えている。下ケース3の両側には水の流入口3aと流出口3bが設けられている。下ケース3内の計量部5には羽根車6が設けられている。計量部5は水道水の流路であり、前記流入口3aと流出口3bとに連通している。計量部5を通過する水道水の流量の増減に応じて、羽根車6の回転速度も増減する。羽根車6の回転軸7の上部にはマグネット8が設けられ、マグネット8が羽根車7の回転に応じて回転する。上ケース4は、略円筒形状をしている。上ケース4の上端側には流量読取装置1が載置される。上ケース4の下端側は下ケース3にねじ込まれて固定される。上ケース4には、外周面4cと下端面4bとが設けられている。外周面4cには3つのリブ4aが設けられている。リブ4aは四角形状をしており、下ケース3に上ケース4をねじ込んで固定する際に用いられる。下端部4bは、外周面4cに対して直角に形成されている。下端部4bと下ケース3との間には、下ケース3に上ケース4がねじ込まれた状態において隙間ができるように設定されている。なお、本発明において外周面4cと下端面4bとを外縁部45と称する。
【0014】
上ケース4内には、前記マグネット8の回転に応じて回転するマグネット9及びその回転に連動する歯車列10と、流量を表示する表示部(以下流量表示部という。)11と、透明板12と、複数の数字車13と、が設けられる。下ケース3内の計量部5を水道水が通過することによって羽根車6が回転すると、この回転に応じて歯車列10も回転する。数字車13の周側面には、0から9の数字が表示されており、数字車13の回転に伴って、流量表示部11に表示される数字車13の数値が変化する。すなわち、流量表示部11は、水道水が計量部5を通過するときの羽根車6の回転に基づいて、水の積算流量を数字で表示する。透明板12は、流量表示部11を覆う透明の板状部材で、例えばガラス製である。なお、図2に示したように、流量表示部11に隣接して一対の円板14a,14bが配置されている。円板14a,14bは、水道水が計量部5を通過するときの羽根車6の回転に基づき、水の流量に応じて回転する。
【0015】
すなわち、羽根車6の回転運動は、マグネット8,9、歯車列10を介して、数字車13に伝達される。このため、流量表示部11は、水道水が計量部5を通過するときの羽根車6の回転に基づいて、水の積算流量を数字車13の数字で表示できる。
【0016】
流量読取装置1は、前記水道メータMの透明板12上に載置される。流量読取装置1は、前記透明板12とほぼ同じ形状の円盤状の容器15を備えており、密封された容器15内にカメラ16が収納されている。カメラ16は、容器15の透明な底板15a及び水道メータMの透明板12を通して流量表示部11の数字車13を斜め上方向から撮影できるように設定される。容器15内にはカメラ16で取得した数字車13の数字の画像データを水の積算流量の数値データに変換する変換部(図示せず)を備えている。また、前記カメラ16の近傍には、流量表示部11を照明するための照明装置(図示せず)が配置されている。照明装置の光源としては、例えばLEDなどが用いられる。なお、前記照明装置に代えてカメラ16の内部に照明用ランプを備えていてもよい。
【0017】
容器15の上面には、変換部で変換した数値データを外部に送信する送信部17が設けられている。外部への送信は、例えば無線機を使って外部に無線送信する場合、又は有線ケーブル18を用いて外部に有線送信する場合などが考えられる。この有線ケーブル18は、例えば、建物の外壁などに配置された流量表示装置に接続されており、この流量表示装置に表示された数値を視認して、水の積算流量を把握する。
【0018】
この実施形態において、容器15の外周面にはつば部19及び位置決め用歯車20が円周上に設けられている。つば部19は外周面の上部に位置し、位置決め用歯車20は外周面の下部に位置している。また、両者は互いに平行である。つば部19はケースの外周面からわずかに突出する平板状の突起であり、平坦な上面19aを有している。一方、位置決め用歯車20は、多数の小さな凹凸部20aが容器15の外周面に鋸刃状に連続して設けられたものである。位置決め用歯車20は、流量読取装置1を水道メータMに装着する際の位置決め用として有用である。
【0019】
この実施形態に係る保持具2は、図2に示されるように、水道メータMの上ケース4の外周に装着される下カバー21と、前記水道メータMの透明板12上に載置された流量読取装置1を挟んで前記下カバー21に固定される上カバー22と、下カバー21に配置されるストッパ30と、を備える。
【0020】
前記下カバー21は、樹脂材によってリング状に形成されている。水道メータMの上ケース4より大きな高さ幅を有し、取付けた状態では上ケース4の透明板12より上方に突出している。下カバー21の上部側の外周面には雄ネジ23が設けられる。また、下カバー21の上部側には円周上の対向する二か所に切欠き部24a,24bが設けられる。一方の切欠き部24aは、水道メータMの透明板12を覆う蓋体25のヒンジ部26に対応した位置に設けられる。他方の切欠き部24bは、蓋体25を開閉するための舌片25aに対応した位置に設けられる。これらの切欠き部24a,24bがあることによって、蓋体25を閉じた状態で水道メータMの上ケース4の外周に下カバー21を装着することができ、また下カバー21を装着したのちに蓋体25を開けることができる。
【0021】
図4に示されるように、下カバー21の下部側には円周上の3か所に、前記上ケース4の外周面に設けられたリブ4aを嵌め入れる収容部27が設けられる。この収容部27は下カバー21の内周面を凹設することによって形成される。収容部27は、上ケース4に設けられたリブ4aの位置及び形状にそれぞれ対応したものとなっている。上ケース4の外周に下カバー21を嵌め入れた時に、リブ4aを収容部27に嵌め入れることで、下カバー21は水平方向の回転位置が設定される。収容部27の下側からリブ4aを嵌め入れるため、収容部27の下面は開放されている。また、下カバー21の下部には、ガイド部29が形成されている。このガイド部29は、下カバー21の円周方向に沿って延びる細溝状の開口からなり、下カバー21を内部に向かって貫通している。なお、この実施形態では下カバー21の円周上の対向する二か所に配置されている。
【0022】
下カバー21は、ガイド部29が形成される部分の円周壁が他の部分より厚めに形成されている。そして、ガイド部29は、下カバー21の外周面から下カバーの内部に延びる3つの縦溝41a,41b,41cと、下カバー21の内周面側において円周方向に長く延びる一つの横溝42とからなる。3つの縦溝41と横溝42とは、ガイド部29の内部でつながっている。また、中央の縦溝41bと左右の縦溝41a、および41cとの間には、ストッパ30の脱落を防ぐための抜け止め部33が設けられている。この抜け止め部33は、下カバー21の外周面と面一の壁面部43からなる。また。壁面部43の一側面43aには、中央の縦溝41bに向かって突出する係合部33cが設けられている。この係合部33cは、後述するストッパ30と係合することで、ストッパ30の押込み位置を規制する。
【0023】
下カバー21には、上ケース4の下端部4bに向けて押し込まれるストッパ30が配置されている。なお、ストッパ30の押込み位置は上ケース4の外縁部45であればよく、この実施形態では図6に示されるような上ケース4の下端部4bを一例として挙げたが、これに限定されることなく、上ケース4の外周部4cなどであってもよい。ストッパ30は、コ字形状の押込み片30bと、この押込み30bの両側の基端部から左右方向にそれぞれ延びる一対の腕部30aとを備える。ストッパ30は、下カバー21に対して、押込み片30がガイド部29の中央の縦溝41b内に配置され、一対の腕部30aがガイド部29の横溝42内に配置される。そのため、押込み片30bの上部および一対の腕部30aは、下カバー21の外周面21aに沿った円弧形状をしている。なお、ストッパ30の全長寸法Lは、下カバー21の外周方向の長さの約1/4程度である。また、ストッパ30の横幅寸法Wは、下カバー21の縦溝41と横溝42を合わせた奥行きより長い。ストッパ30による固定の効果を確実に得るためである。
【0024】
前記ストッパ30の一対の腕部30aには係止片28が設けられている。この係止片28は、円弧形状の沿った腕部30aの内側縁に設けられており、図6に示されるように、前記ストッパ30が押し込まれた際に、腕部30aがガイド部29の横溝42内から前方に突出して上ケース4の下端部4bに差し込まれて係止する。
【0025】
また、前記ストッパ30の一対の腕部30aには、押込み部30bに近い側に被係合部44が、押込み部30bから離れた腕部30aの両端部分に支持部39がそれぞれ設けられている。被係合部44及び支持部39は、腕部30aから一定の幅で押込み片30b側に突出している。また、被係合部44及び支持部39は、押込み片30bと平行に延びている。さらに、被係合部44の一側面には、図5(b)に示されるように、ガイド部29に設けられた係合部33cと係合する凹凸部44aが設けられている。また、凹凸部44aには、軸方向に二か所の凹部44a’、44a’’が形成されており、係合凸部33cとはいずれか一方を選択的に係合させることでストッパ30の押込み位置を規制することができる。なお、被係合部44は弾性的に撓むため、係合凸部33cに確実に係合する。
【0026】
また、前記ストッパ30の腕部30aの両端に設けられた支持部39は、図5に示されるように、前記被係合部44と平行に延びる平板状のものであり、腕部30aからの突出長さは、ストッパ30が下カバー21に最も押し込まれた場合であっても、ガイド部29の内部に収まるように設定されている。従って、支持部39をガイド部29の内部に残したままの状態で、ストッパ30の係止片28を上ケース4の下端部4bに係止させることができる。支持部39の厚みは、円筒形状の下カバー21に周方向に形成されたガイド部29の上下方向の幅に合わせて形成され、支持部39がガイド部29に挿入された状態では、支持部39とガイド部29との間には上下方向において隙間が生じないように設定されている。このため支持部39は、ガイド部29の内部において半径方向には移動可能であるが、上下方向には移動しない。また、上下方向のがたつきも生じない。
【0027】
ストッパ30が上ケース4の外周部4bを係止している状態で保持具2に対して水道メータMから上方に抜かれる力が加わった場合は、ストッパ30すなわち円弧状の腕部30aには下方向に押される力が作用するが、上記のように腕部30aと一体に形成された支持部39は上下方向には移動しない。このため腕部30aの両端部分においても上ケース4の外周部4bを押圧することができ、保持具2が確実に固定される。また、円弧状のストッパ30の両端に支持部39を設け、係止片28を周方向に長く連続して配置したことにより、例えば係止片28を散点状に配置した場合と比較し、水道メータMから抜ける方向の力が保持具2に加わった場合における保持具2の水道メータMに対する傾きも効果的に防止できる。
【0028】
図5(b)に示されるように、ガイド部29の係合部33cに凹凸部44aの内側の凹部44a’’が係合する場合には、ストッパ30は下カバー21の外周面から突出した状態で固定される。このときストッパ30は、下カバー21のガイド部29の位置に対応した内周面から内側には突出していない。この状態では、水道メータMに対して保持具2を自由に着脱できる。一方、ガイド部29の係合部33cに凹凸部44aの外側の凹部44a’が係合する場合は、ストッパ30は下カバー21の外周面から没入した状態で固定されている。このときストッパ30は、下カバー21の前記内周面から内側に突出しており、保持具2が水道メータMに固定されている。
【0029】
図5(a)に示されるように、ストッパ30の奥行寸法Wは、下カバー21に設けられたガイド部29の縦溝41および横溝42の深さ寸法の合計より長く形成されている。このため、ストッパ30の係止片28もしくは押込み片30bのどちらか一方が下カバー21から突出している。押込み片30bが下カバー21の外周面から突出している状態は、ストッパ30が上ケース4の外周部4bを係止していない状態であり、係止片28が下カバー21内に収まっている。一方、押込み片30bが下カバー21内に没入している状態は、ストッパ30が下カバー21の前記内周面から突出し、上ケース4の外周部4bを係止している状態である。
【0030】
ストッパ30は、下カバー21とは別体に構成されているため、樹脂等によりストッパ30を製作した場合においても、変形による破断の心配なく下カバー21の前記内周面から突出させることができる。水道メータMの上ケース4の外径部寸法は各社の仕様により異なるが、下カバー21と別体で構成されたストッパ30を用いた場合は、下カバー21の前記内周面からの突出量を任意に設定できるため、多様な外径寸法の水道メータMに係止させることができる。
【0031】
図6に示されるようにガイド部29は、水道メータMに組付けたときの上ケース4の下端部4bよりも下側に配置されている。このため、ガイド部29に押し込まれたストッパ30の係止片28を、上ケース4の下端部4bよりも下側に係合させることができる。またガイド部29は、前述のように下カバー21の直径線に対し対称となるように配置されている。このため対向するストッパ30を水道メータMに向けて押し込んだとき、水道メータMの中心と下カバー21の中心を、おおよそ同一位置とすることができ、流量読取装置を水道メータの流量表示部の中心に固定できる。
【0032】
図1に示されるように、ガイド部29には、ストッパ30を引き出すために用いる引き出し具(図示せず)の引出孔40を設けることもできる。挿入孔40は、下カバー21の外周面に開口した上下方向の細溝であり、下カバー21の周方向に開口した細溝であるガイド部29と連続して開口している。すなわちガイド部29と挿入孔40とは、境界を設けずに連続して形成され、下カバー21の側面視においてT字形状となっている。このように挿入孔40は、横方向に伸びるガイド部29の中央部から下方に向かって形成されており、ガイド部29にストッパ30が挿入された状態では、挿入孔40の上部は覆い隠されている。
【0033】
挿入孔40の深さは、ストッパ30がガイド部29に挿入され且つ下カバー21の外周面から没入した状態において、コ字形状の押込み片30bよりも下カバー21の中心寄りまである。このため、押込み片30bの内側に引き出し具を引っ掛けることができる。例えばL字状の引き出し具(図示せず)を挿入孔から挿入し、押込み片30bの内側に引っ掛けることにより、下カバー21の外周面に没入して摘み出すことのできないストッパ30を外部に引き出すことができる。流量読取装置1または水道メータMのメンテナンスの際には、ストッパ30を引き出すための引き出し具および挿入孔40を用いることにより、保持具2を水道メータMから簡単に取り外すことができる。
【0034】
下カバー21の上部側の内周面には、対向する2か所に位置決め突起31が設けられている。この位置決め突起31は、前記流量読取装置1を水道メータMの透明板12上に載置する際、流量読取装置1の水平方向の回転位置を設定するのに用いられる位置決め部である。流量読取装置1の外周面に設けられた位置決め用歯車20の一つの凹凸部20aと位置決め突起31とを係合させることで、前記流量読取装置1が位置決めされる。これによって流量読取装置1のカメラ16をより適切な方向に向けて数字車13の数字を撮影することができる。なお、位置決め突起31の円周上の位置及び個数は特に限定されない。
【0035】
さらに下カバー21の横溝42の上部に位置する内周面には、前記凹み部27の両側において内側に突出する一対の突片32が設けられている。この突片32は、突片32の上下両側と側方のスリット38によって囲まれた弾性片34の側方に設けられ、弾性片34と共に外方へ弾性的に撓む。下カバー21が水道メータMの上ケース4の外周部4cに装着されたときに、弾性片34と突片32が半径方向に変位することで、水道メータMの上ケース4の外径寸法の違いを突片32と弾性片34とで吸収できる。この実施形態では、一対の弾性片34および突片32が下カバー21の直径線に対し対称となるように配置されている。このため、流量読取装置を水道メータの流量表示部の中心に固定できる。
【0036】
図2には、保持具2の上カバー22が示されている。この上カバー22は、前記下カバー21と同様、樹脂材によってリング状に形成されている。上カバー22の外周面には滑り止め用の縦リブ35が全周に設けられている。また、上カバー22の内周面には前記下カバー21の雄ネジ23にねじ込まれる雌ネジ36が設けられている。さらに上カバー22の上端には内側水平方向に張り出した押圧部37が全周に亘って設けられている。上カバー22を取付ける際、前記押圧部37が流量読取装置1のつば部19の上面19aを押圧することで流量読取装置1の下面を水道メータMの透明板12により確実に密着させることができる。
【0037】
図4および図7には水道メータMに流量読取装置1と保持具2を装着するための手順が示されている。先ず図4(a)に示されるように、ストッパ30を下カバー21の内周面側から外周面側に向けてガイド部29に挿入し、図4(b)に示されるようにカバー21の外周面から外側に突出した状態で固定する。次に、図7(a),(b)に示されるように、水道メータMの上ケース4の外周部4cにリング状の下カバー21を装着する。この際水道メータの蓋は閉じておく。また、際ストッパ30は下カバー21の外周側に突出させて、係合部33cにより固定しておく。下カバー21の収容部27に上ケース4のリブ4aが嵌まり込むように下カバー21を合わせ、また蓋体25のヒンジ部26と舌片25aに下カバー21の切欠き部24a,24bをそれぞれ合わせてから下カバー21を上ケース4に装着し、下カバー21の回転方向を位置決めする。
【0038】
次いで、図7(c)に示されるように、水道メータの蓋を開けて流量読読取装置1を透明板12の上に載置する。その際、前述したように、流量読取装置1を透明板12上で回転させながらカメラ16の向きを最適な位置に合わせる。流量読取装置1の回転位置が決まったら位置決め用歯車20の一つの凹凸部20aに位置決め突起31を係合させて流量読取装置1の位置決めを完了する。
【0039】
最後に、図7(d)に示されるように、流量読取装置1を挟んで上カバー22を下カバー21に装着し、ストッパ30の押込み片30bを下カバー21の外周面から没入するまで押し込み、上ケース4の下端部4bに係止片28を係止させる。次に、下カバー21の雄ネジ23に上カバー22の雌ネジ36をねじ込む。その際、図5(a)に示されるように、上カバー22の押圧部37で流量読取装置1のつば部19の上面19aを押しながらねじ込み、流量読取装置1の下面を水道メータMの透明板12に確実に密着させる。密着させた後もさらに上カバー22をねじ込んでいくと、下カバー21が引き上げられる。この時、ストッパ30の押込み片30bは、図5(b)に示されるような下カバー21の外周面から突出した状態ではなく、下カバー21の外周面から没入した状態になっている。このため、図5(c)に示されるように、ストッパ30の係止片28が上ケース4の下端部4bに係合した時点で上カバー22のねじ込みが完了する。これによって、下カバー21の上下方向が位置決めされると同時に、下カバー21と上カバー22とがしっかりと固定される。このようにして、流量読取装置1は、下面が透明板12に密着した状態で、また固定された下カバー21と上カバー22とに挟まれた状態で保持され、水道メータMに適切な位置で確実に装着されることになる。
【0040】
なお、固定された状態では、ストッパ30の押込み片30b全体が下カバー21の外周面から没入しているので、いたずら等による不要なストッパ30の取外しを防止できる。さらに前述のように、流量読取装置1または水道メータMのメンテナンスの際には、ストッパ30を引き出すための引き出し具および挿入孔40を用いることにより、保持具2を水道メータMから簡単に取り外すこともできる。
【符号の説明】
【0041】
1 流量読取装置
2 保持具
3 下ケース
3a 流入口
3b 流出口
4 上ケース
4a リブ
4b 上ケースの下端部
4c 上ケースの外周部
5 計量部
6 羽根車
7 回転軸
8,9 マグネット
10 歯車列
11 流量表示部(表示部)
12 透明板
13 数字車
14a,14b 円板
15 容器
15a 底板
15b 側壁部
16 カメラ
17 送信部
18 有線ケーブル
19 つば部
19a つば部の上面
20 位置決め用歯車
20a 凹凸部
21 下カバー
21a 下カバーの外周部
22 上カバー
23 雄ネジ
24a,24b 切欠き部
25 蓋体
25a 蓋体の舌片
26 ヒンジ部
27 収容部
28 係止片
29 ガイド部
30 ストッパ
30a 腕部
30b 押込み片
33 抜け止め部
33b 閉塞部
33c 係合部
33e スリット
34 弾性片
31 位置決め突起
32 突片
35 縦リブ
36 雌ネジ
37 押圧部
38 スリット
39 支持部
40 引出孔
41 縦溝
41a縦溝
41b縦溝
41c縦溝
42 横溝
43 壁面部
43a 一側面
44 被係合部
44a 凹凸部
45 外縁部
M 水道メータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道メータの上面に載置される流量読取装置を保持する水道メータの保持具であって、
水道メータの上ケースの外縁部に装着されるリング状の下カバーと、
前記流量読取装置を挟んで前記下カバーに固定される上カバーと
記下カバーに配置され、前記上ケースの外縁部に向けて押し込まれるストッパと、を備え、
該ストッパは押し込まれた際に前記上ケースの外縁部に係止する係止片と、該係止片と一体に形成され前記ストッパを押し込み操作する押込み片とを有し、
前記係止片が前記上ケースの外縁部に係止した状態で、前記押込み片が前記下カバー内に配置されている水道メータの保持具。
【請求項2】
前記下カバーには前記ストッパを押し込む際のガイド部が設けられ、該ガイド部はストッパの押込み位置を規制する係合部を有する請求項1に記載の水道メータの保持具。
【請求項3】
前記係止片は前記押込み片から延びる腕部に設けられ、該腕部が下カバーの外縁部の形状に沿って延びる請求項に記載の水道メータの保持具。
【請求項4】
前記ストッパには前記下カバーに設けられた係合部と係合する被係合部が設けられる請求項2に記載の水道メータの保持具。
【請求項5】
前記下カバーには、前記ストッパを引き出す際の引出孔が前記ガイド部に隣接して設けられている請求項2に記載の水道メータの保持具。
【請求項6】
前記下カバーの外周面には雄ネジが設けられ、前記上カバーの内周面には前記雄ネジに螺合する雌ねじが設けられ、前記下カバーの雄ネジに上カバーの雌ネジをねじ込むことで前記ストッパの係止片が上ケースの外縁部を押圧して両者が固定される請求項1に記載の水道メータの保持具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
【特許文献1】特開平2020-12734号公報
【特許文献2】特許第6803634号広報
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
そこで出願人は、上記の問題を解決する一手段として、流量検出装置の水道メータへの装着部として、水道メータの外周部と係合する係止爪を設けて、係止爪が弾性変形することにより、外周部の寸法が異なる水道メータへの固定を可能とした流量読取装置の保持具を提案している(特許文献2参照)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の水道メータの保持具は、水道メータの上面に載置される流量読取装置を保持する水道メータの保持具であって、水道メータの上ケースの外部に装着されるリング状の下カバーと、流量読取装置を挟んで下カバーに固定される上カバーと、下カバーに配置され、上ケースの外部に向けて押し込まれるストッパと、を備え、ストッパは押し込まれた際に前記上ケースの外部に係止する係止片と、係止片と一体に形成されストッパを押し込み操作する押込み片とを有し、係止片が上ケースの外縁部に係止した状態で、押込み片が前記下カバー内に配置されている
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
図4に示されるように、下カバー21の下部側には円周上のか所に、前記上ケース4の外周面に設けられたリブ4aを嵌め入れる収容部27が設けられる。この収容部27は下カバー21の内周面を凹設することによって形成される。収容部27は、上ケース4に設けられたリブ4aの位置及び形状にそれぞれ対応したものとなっている。上ケース4の外周に下カバー21を嵌め入れた時に、リブ4aを収容部27に嵌め入れることで、下カバー21は水平方向の回転位置が設定される。収容部27の下側からリブ4aを嵌め入れるため、収容部27の下面は開放されている。また、下カバー21の下部には、ガイド部29が形成されている。このガイド部29は、下カバー21の円周方向に沿って延びる細溝状の開口からなり、下カバー21を内部に向かって貫通している。なお、この実施形態では下カバー21の円周上の対向する二か所に配置されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
図4および図7には水道メータMに流量読取装置1と保持具2を装着するための手順が示されている。先ず図4(a)に示されるように、ストッパ30を下カバー21の内周面側から外周面側に向けてガイド部29に挿入し、図4(b)に示されるようにカバー21の外周面から外側に突出した状態で固定する。次に、図7(a),(b)に示されるように、水道メータMの上ケース4の外周部4cにリング状の下カバー21を装着する。この際水道メータの蓋は閉じておく。また、ストッパ30は下カバー21の外周側に突出させて、係合部33cにより固定しておく。下カバー21の収容部27に上ケース4のリブ4aが嵌まり込むように下カバー21を合わせ、また蓋体25のヒンジ部26と舌片25aに下カバー21の切欠き部24a,24bをそれぞれ合わせてから下カバー21を上ケース4に装着し、下カバー21の回転方向を位置決めする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
最後に、図7(d)に示されるように、流量読取装置1を挟んで上カバー22を下カバー21に装着し、ストッパ30の押込み片30bを下カバー21の外周面から没入するまで押し込み、上ケース4の下端部4bに係止片28を係止させる。次に、下カバー21の雄ネジ23に上カバー22の雌ネジ36をねじ込む。その際、図(a)に示されるように、上カバー22の押圧部37で流量読取装置1のつば部19の上面19aを押しながらねじ込み、流量読取装置1の下面を水道メータMの透明板12に確実に密着させる。密着させた後もさらに上カバー22をねじ込んでいくと、下カバー21が引き上げられる。この時、ストッパ30の押込み片30bは、図5(b)に示されるような下カバー21の外周面から突出した状態ではなく、下カバー21の外周面から没入した状態になっている。このため、図(c)に示されるように、ストッパ30の係止片28が上ケース4の下端部4bに係合した時点で上カバー22のねじ込みが完了する。これによって、下カバー21の上下方向が位置決めされると同時に、下カバー21と上カバー22とがしっかりと固定される。このようにして、流量読取装置1は、下面が透明板12に密着した状態で、また固定された下カバー21と上カバー22とに挟まれた状態で保持され、水道メータMに適切な位置で確実に装着されることになる。