(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112778
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】変位規制装置
(51)【国際特許分類】
E01D 19/04 20060101AFI20230807BHJP
E01D 11/02 20060101ALN20230807BHJP
E01D 22/00 20060101ALN20230807BHJP
【FI】
E01D19/04 Z
E01D11/02
E01D22/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014696
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】509338994
【氏名又は名称】株式会社IHIインフラシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諸戸 桂一
(72)【発明者】
【氏名】山下 翔真
(72)【発明者】
【氏名】宮城 圭汰
(72)【発明者】
【氏名】福原 慶太
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 裕一
(72)【発明者】
【氏名】上甲 宏
(72)【発明者】
【氏名】川森 泰一郎
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA31
2D059BB06
2D059GG05
2D059GG39
(57)【要約】
【課題】下部側構造物に支持された上部側構造物の水平方向への変位を規制することができるとともに、地震時における下部側構造物の応力超過を防止することができ、更には既設構造物への設置も容易に行うことのできる変位規制装置を提供する。
【解決手段】補剛桁6側に固定された下沓8bに変位規制装置10の移動規制部材11を当接することにより、補剛桁6に対する床組5の水平方向への変位を規制するとともに、床組5側から補剛桁6側に加わる水平方向の力が補剛桁6の許容応力よりも小さい力で変位規制部材11による変位規制が解除されるようにしたので、地震時における補剛桁6の応力超過を生ずることがない。また、移動規制部材11が可動支承8の下沓8bに当接するように取り付けられるので、可動支承8を固定支承や免震ゴム支承に交換する必要がない。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部側構造物が下部側構造物に水平方向に移動可能に支持された構造物に用いられ、下部側構造物に対する上部側構造物の水平方向の変位を規制する変位規制装置において、
前記上部側構造物に取り付けられ、下部側構造物側の所定の部材に水平方向に当接することにより下部側構造物に対する上部側構造物の水平方向への変位を規制する変位規制部材を備え、
上部側構造物から下部側構造物に加わる水平方向の力が下部側構造物の許容応力よりも小さい力で変位規制部材による変位規制が解除されるように構成した
ことを特徴とする変位規制装置。
【請求項2】
前記下部側構造物側の所定の部材は可動支承の下沓である
ことを特徴とする請求項1記載の変位規制装置。
【請求項3】
前記上部側構造物に対する変位規制部材の水平方向への変位を摩擦力によって規制するとともに、上部側構造物から加わる水平方向の力により摩擦力に抗して変位規制部材の変位規制を解除するように構成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の変位規制装置。
【請求項4】
前記上部側構造物に固定された摩擦部材を備え、変位規制部材と摩擦部材とを締結部材で圧接させることにより変位規制部材と摩擦部材との間に摩擦力が生ずるように構成した
ことを特徴とする請求項3記載の変位規制装置。
【請求項5】
前記上部側構造物に変位規制部材を固定することにより上部側構造物に対する変位規制部材の水平方向への変位を規制するとともに、上部側構造物から加わる水平方向の力によって変位規制部材を破断させることにより変位規制部材の変位規制を解除するように構成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の変位規制装置。
【請求項6】
前記変位規制部材の所定部分の断面積を他の部分よりも小さく形成することにより前記所定部分で変位規制部材が破断するように構成した
ことを特徴とする請求項5記載の変位規制装置。
【請求項7】
前記上部側構造物に固定される部材に変位規制部材を溶接することにより上部側構造物に対する変位規制部材の水平方向への変位を規制するとともに、上部側構造物から加わる水平方向の力によって変位規制部材の溶接部を破断させることにより変位規制部材の変位規制を解除するように構成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の変位規制装置。
【請求項8】
前記溶接部は変位規制部材の変位方向に沿って隅肉溶接されている
ことを特徴とする請求項7記載の変位規制装置。
【請求項9】
前記上部側構造物に固定される部材及び変位規制部材に互いに上部側構造物の変位方向に係止する係止部を設け、上部側構造物から加わる水平方向の力によって各係止部の一方を破断させることにより変位規制部材の変位規制を解除するように構成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の変位規制装置。
【請求項10】
前記各係止部を互いに橋軸方向に隙間を有するように形成し、変位規制部材を下部側構造物の前記所定の部材側に変位させた状態で各係止部間の隙間にスペーサを介在させた
ことを特徴とする請求項9記載の変位規制装置。
【請求項11】
前記変位規制部材の下面側に配置され、上部側構造物に取り付けられる板状の取付部材を備え、
取付部材は係止部の下方を覆うように形成されている
ことを特徴とする請求項9または10記載の変位規制装置。
【請求項12】
前記変位規制部材の下面側に配置され、上部側構造物に取り付けられる板状の取付部材を備え、
取付部材には係止部を外部から目視可能な点検孔が設けられている
ことを特徴とする請求項9または10記載の変位規制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば吊橋等の橋梁において、補剛桁に対する床組の水平方向の変位を規制する変位規制装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、海峡部や山岳部等に設けられる吊橋は、主塔間にメインケーブルを張設し、床版、床組、補剛桁等からなる吊構造部を複数のワイヤーロープによってメインケーブルから吊り下げる構造となっている。このような吊橋としては、複数の縦桁からなる床組の上に床版を設置し、可動支承を介して床組を補剛桁で支持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記吊橋では、補剛桁に対する床組の橋軸方向への変位が可動支承によって吸収されるようになっているが、縦断勾配や温度変化による鋼材の伸縮等の影響により、床組が補剛桁に対して橋軸方向一方に移動してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、このような問題への対策として、一部の可動支承を固定支承に変更することにより床組の移動を規制する方法が考えられるが、この場合は、地震時に水平力が固定支承に集中するため、揺れの大きい地震が発生した際には固定支承部の補剛桁が応力超過になるおそれがあった。更に、既設の吊橋では、支承の取り替えに大掛かりな作業が必要になるという問題点もあった。
【0006】
また、可動支承を免震ゴム支承に変更すれば地震時における支承部の応力超過を防止することができるが、この場合も既設橋では支承の取り替えに大掛かりな作業が必要になるとともに、既設の吊橋における補剛桁と床組の遊間、即ち支承の高さ方向の設置スペースが小さいため、高さ寸法の大きい免震ゴム支承の設置スペースを確保することが困難であった。
【0007】
更に、橋梁端部等の補剛桁の剛性の高い部分と床組とをケーブルで連結し、ケーブルの張力によって補剛桁に対する床組の移動を規制する方法もあるが、この場合は、補剛桁、床組及びケーブルの温度変化による伸縮により、常に一定の張力をケーブルに付与することが困難である。このため、ケーブルの張力が可動支承の静止摩擦力を下回る場合があり、このような場合は補剛桁に対する床組の変位を規制することができなくなるという問題点があった。
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、下部側構造物に支持された上部側構造物の水平方向への変位を規制することができるとともに、地震時における下部側構造物の応力超過を防止することができ、更には既設構造物への設置も容易に行うことのできる変位規制装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記目的を達成するために、上部側構造物が下部側構造物に水平方向に移動可能に支持された構造物に用いられ、下部側構造物に対する上部側構造物の水平方向の変位を規制する変位規制装置において、前記上部側構造物に取り付けられ、下部側構造物側の所定の部材に水平方向に当接することにより下部側構造物に対する上部側構造物の水平方向への変位を規制する変位規制部材を備え、上部側構造物から下部側構造物に加わる水平方向の力が下部側構造物の許容応力よりも小さい力で変位規制部材による変位規制が解除されるように構成している。
【0010】
これにより、下部側構造物側の所定の部材に移動規制部材が当接することにより、下部側構造物側に対する上部側構造物の水平方向への変位が規制されるとともに、上部側構造物から下部側構造物に加わる水平方向の力が下部側構造物の許容応力よりも小さい力で変位規制部材による変位規制が解除されることから、地震時における下部側構造物の応力超過を生ずることがない。また、変位規制部材を下部側構造物側の所定の部材に水平方向に当接させることにより構造物に取り付けられることから、構造物側の部材を交換する必要がない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、下部側構造物側に対する上部側構造物の水平方向への変位を規制することができるので、上部側構造物を下部側構造物に対して所定の位置に保持することができるとともに、地震時における下部側構造物の応力超過を生ずることなく変位規制部材による変位規制を解除することができ、下部側構造物の損傷を防止することができる。また、構造物側の部材を交換することなく取り付けることができるので、既設構造物への設置を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図9】変位規制装置の動作を示すB-B線矢視方向断面図
【
図11】本発明の第2の実施形態を示す変位規制装置の底面図
【
図14】変位規制装置のD-D線矢視方向分解断面図
【
図15】変位規制装置の動作を示すC-C線矢視方向断面図
【
図16】変位規制装置の動作を示すC-C線矢視方向断面図
【
図17】本発明の第3の実施形態を示す変位規制装置の底面図
【
図20】変位規制装置のE-E線矢視方向分解断面図
【
図21】変位規制装置の動作を示すE-E線矢視方向断面図
【
図23】本発明の第4の実施形態を示す変位規制装置の底面図
【
図26】変位規制装置のF-F線矢視方向分解断面図
【
図27】変位規制装置のF-F線矢視方向分解断面図
【
図29】変位規制装置の動作を示すG-G線矢視方向断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至
図10は本発明の第1の実施形態を示すもので、例えば構造物としての吊橋において、下部側構造物に対する上部側構造物の移動を規制するための変位規制装置を示すものである。
【0014】
同図に示す吊橋1は、主塔2の間にメインケーブル3が張設され、床版4、床組5、補剛桁6等からなる吊構造部が複数のワイヤーロープ7によってメインケーブル3から吊り下げられている。即ち、床組5が本発明における上部側構造物をなし、補剛桁6が下部側構造物をなす。
【0015】
床組5は橋軸方向に延びる複数の縦桁5aからなり、各縦桁5aは互いに橋軸直角方向に間隔をおいて配置されている。床組5の上には床版4が設置され、床組5はトラス構造の補剛桁6に可動支承8を介して支持されている。可動支承8は、縦桁5aの下フランジ5bに固定された板状の上沓8aと、補剛桁6の横桁6aに固定された板状の下沓8bとからなり、上沓8aと下沓8bは互いに水平方向に摺動するようになっている。
【0016】
本実施形態では、一対の変位規制装置10を可動支承8の橋軸方向両側にそれぞれ設置することにより、各変位規制装置10によって補剛桁6に対する床組5の橋軸方向への移動を規制するようになっている。また、本実施形態の変位規制装置10は、既設の吊橋1に取り付けられる。
【0017】
変位規制装置10は、下沓8bに橋軸方向に当接する板状の移動規制部材11と、移動規制部材11の上面側に配置される摩擦部材としての第1の取付部材12と、移動規制部材11の下面側に配置される摩擦部材としての第2の取付部材13とからなり、移動規制部材11及び各取付部材12,13は締結部材としての複数のボルト14及びナット15によって縦桁5aの下フランジ5bの下面に取り付けられるようになっている。
【0018】
移動規制部材11は、橋軸方向に延びる板状の鋼材からなり、下フランジ5bよりもやや大きい幅寸法に形成され、長手方向一端を下沓8bに当接するようになっている。移動規制部材11の幅方向両側には橋軸方向に延びる複数のボルト挿通用の長孔11aが設けられ、各長孔11aは移動規制部材11の長手方向複数箇所に設けられている。移動規制部材11の上面及び下面には移動規制部材11の長手方向に延びる補強板11b,11cがそれぞれ設けられ、各補強板11b,11cは移動規制部材11の幅方向両端側に配置されている。
【0019】
第1の取付部材12は、橋軸方向に延びる板状の鋼材からなり、下フランジ5bと同等の幅寸法に形成されている。第1の取付部材12の幅方向両側には複数のボルト挿通用の孔12aが設けられ、各孔12aは第1の取付部材12の長手方向複数箇所に設けられている。
【0020】
第2の取付部材13は、第1の取付部材12と同一形状の板状の鋼材からなり、第1の取付部材12の各孔12aに対応する複数のボルト挿通用の孔13aを有している。
【0021】
以上の構成からなる変位規制装置10は、
図8に示すように、移動規制部材11の上面側に第1の取付部材12を配置し、移動規制部材11の下面側に第2の取付部材13を配置するとともに、各長孔11a及び各孔12a,13aを下方から挿通するボルト14を下フランジ5bに設けた複数の孔5cにそれぞれ挿通し、ボルト14にナット15を螺合することにより、縦桁5aの下フランジ5bの下面に取り付けられる。
【0022】
その際、移動規制部材11は各長孔11aに沿って橋軸方向に移動可能であるが、長手方向一端を下沓8bに当接または下沓8bと僅かな隙間をおいた位置に保持される。また、ボルト14及びナット15を締め付けることにより、移動規制部材11と第1及び第2の取付部材12,13が互いに圧接し、それぞれの接触面(
図6の着色部分)に摩擦力が発生し、この摩擦力によって移動規制部材11の橋軸方向への移動(変位)が規制される。この場合、摩擦力の大きさは、ボルト14及びナット15の締め付け力、移動規制部材11と各取付部材12,13との接触面の面積及び摩擦係数によって設定されるが、本実施形態では、下沓8b側から移動規制部材11に橋軸方向の力が加わると、縦桁5aからの水平力に対する補剛桁6の許容応力よりも小さい力で移動規制部材11が摩擦力(最大静止摩擦力)に抗して移動可能な大きさに設定されている。尚、移動規制部材11の長手方向一端側の長孔11a内には、上沓8aを下フランジ5bに固定するボルト8cの頭部が配置されている。
【0023】
本実施形態では、一対の変位規制装置10を可動支承8の橋軸方向両側にそれぞれ設置することにより、可動支承8の下沓8bに対する縦桁5aの橋軸方向一方への変位が一方の変位規制装置10によって規制され、橋軸方向他方への変位が他方の変位規制装置10によって規制される。また、揺れの大きい地震が発生し、下沓8bを介して移動規制部材11に加わる縦桁5a側の水平力が移動規制部材11と第1及び第2の取付部材12,13との間の最大静止摩擦力を超えると、
図9及び
図10に示すように、摩擦力に抗して移動規制部材11が縦桁5aに対して橋軸方向に変位する。尚、図では一方の変位規制装置10のみを示したが、他方の変位規制装置10も同様に動作する。
【0024】
これにより、変位規制装置10による変位規制が解除され、縦桁5aが補剛桁6の横桁6bに対して橋軸方向に変位することから、補剛桁6側に許容応力以上の応力を生じさせる水平力が縦桁5a側から補剛桁6側に加わることがない。
【0025】
このように、本実施形態によれば、変位規制装置10を床組5の縦桁5aに取り付けるとともに、補剛桁6側に固定された下沓8bに変位規制装置10の移動規制部材11を当接することにより、補剛桁6に対する床組5の水平方向への変位を規制するようにしたので、縦断勾配や温度変化による鋼材の伸縮の影響を受けることなく床組5を補剛桁6に対して所定の位置に保持することができる。
【0026】
また、床組5側から補剛桁6側に加わる水平方向の力が補剛桁6の許容応力よりも小さい力で変位規制部材11による変位規制が解除されるようにしたので、地震時における補剛桁6の応力超過を生ずることがなく、補剛桁6の損傷を防止することができる。
【0027】
更に、変位規制装置10は、移動規制部材11が可動支承8の下沓8bに当接するように取り付けられるので、可動支承8を固定支承や免震ゴム支承に交換する必要がなく、既設橋への設置を極めて容易に行うことができる。
【0028】
また、本実施形態では、縦桁5aに対する変位規制部材11の水平方向への変位を摩擦力によって規制するとともに、縦桁5aから加わる水平方向の力により摩擦力に抗して変位規制部材11の変位規制を解除するようにしているので、複雑な構造を必要とすることがなく、製造及び設置を容易に行うことができる。
【0029】
この場合、縦桁5aに固定された第1及び第2の取付部材12,13と変位規制部材11とをボルト14及びナット15の締め付けで圧接させることにより、変位規制部材11と各取付部材12,13との間に摩擦力が生ずるようにしたので、ボルト14及びナット15の締め付け力、移動規制部材11と各取付部材12,13との接触面の面積及び摩擦係数によって摩擦力の大きさを任意に設定することができ、構造物としての橋梁の規模に応じた摩擦力の設定が可能となる。
【0030】
尚、前記実施形態では、第1及び第2の取付部材12,13によって移動規制部材11の厚さ方向両面に摩擦力を生じさせるようにしたものを示したが、移動規制部材11の厚さ方向一方の面のみに面接触する摩擦部材を用いるようにしてもよい。
【0031】
図11乃至
図16は本発明の第2の実施形態を示すもので、前記実施形態と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0032】
本実施形態の変位規制装置20は、下沓8bに橋軸方向に当接する板状の移動規制部材21と、移動規制部材21の上面側に配置される取付部材22とからなり、移動規制部材21及び取付部材22は複数のボルト23及びナット24によって縦桁5aの下フランジ5bの下面に取り付けられるようになっている。
【0033】
移動規制部材21は、橋軸方向に延びる板状の鋼材からなり、下フランジ5bよりも小さい幅寸法に形成され、長手方向一端を下沓8bに当接するようになっている。移動規制部材21の長手方向他端側には複数のボルト挿通用の孔21aが設けられ、各長孔21aは移動規制部材21の幅方向両側に配置されている。また、移動規制部材21の上面及び下面には破断誘発用の切り欠き部21bがそれぞれ設けられている。各切り欠き部21bは移動規制部材21の長手方向略中央に設けられ、それぞれ断面三角形状に形成されている。これにより、移動規制部材21は、各切り欠き部21bの断面積が他の部分の断面積よりも小さくなるように形成されている。
【0034】
取付部材22は、移動規制部材21の他端部に対応する長さの板状の鋼材からなり、下フランジ5bと同等の幅寸法に形成されている。取付部材22の幅方向両側には複数のボルト挿通用の孔22aが設けられ、各孔22aは取付部材22の長手方向複数箇所に設けられている。
【0035】
以上の構成からなる変位規制装置20は、
図14に示すように、移動規制部材21の長手方向他端部の上面側に取付部材22を配置するとともに、各孔21a,22aを下方から挿通するボルト23を下フランジ5bに設けた複数の孔5cにそれぞれ挿通し、ボルト23にナット24を螺合することにより、縦桁5aの下フランジ5bの下面に取り付けられる。
【0036】
その際、移動規制部材21の長手方向一端は下沓8bに溶接により固定され、下沓8b側から移動規制部材21に橋軸方向の引張力または圧縮力が加わると、縦桁5aからの水平力に対する補剛桁6の許容応力よりも小さい力で移動規制部材21が切り欠き部21bで破断するようになっている。
【0037】
本実施形態では、一対の変位規制装置20を可動支承8の橋軸方向両側にそれぞれ設置することにより、可動支承8の下沓8bに対する縦桁5aの橋軸方向一方及び他方への変位が各変位規制装置20によって規制される。また、揺れの大きい地震が発生し、下沓8bを介して移動規制部材21に加わる縦桁5a側の水平力が移動規制部材21の許容引張応力または許容圧縮応力を超えると、
図15に示すように引張側の一方の移動規制部材21では切り欠き部21bで破断し、
図16に示すように圧縮側の他方の移動規制部材21では切り欠き部21bで座屈して破断する。
【0038】
これにより、変位規制装置20による変位規制が解除され、縦桁5aが補剛桁6の横桁6bに対して橋軸方向に変位することから、補剛桁6側に許容応力以上の応力を生じさせる水平力が縦桁5a側から補剛桁6側に加わることがない。
【0039】
このように、本実施形態によれば、変位規制装置20の移動規制部材21を床組5の縦桁5aに取り付けるとともに、補剛桁6側に固定された下沓8bに移動規制部材21を当接することにより、補剛桁6に対する床組5の水平方向への変位を規制するようにしたので、前記実施形態と同様、縦断勾配や温度変化による鋼材の伸縮の影響を受けることなく床組5を補剛桁6に対して所定の位置に保持することができる。
【0040】
また、前記実施形態と同様、床組5側から補剛桁6側に加わる水平方向の力が補剛桁6の許容応力よりも小さい力で変位規制部材21による変位規制が解除されるようにしたので、地震時における補剛桁6の応力超過を生ずることがなく、補剛桁6の損傷を防止することができる。
【0041】
更に、変位規制装置20は、移動規制部材21が可動支承8の下沓8bに当接するように取り付けられるので、前記実施形態と同様、可動支承8を固定支承や免震ゴム支承に交換する必要がなく、既設橋への設置を極めて容易に行うことができる。
【0042】
また、床組5側から補剛桁6側に加わる水平方向の力によって変位規制部材21を破断させることにより変位規制部材21の変位規制を解除するようにしたので、複雑な構造を必要とすることがなく、製造及び設置を容易に行うことができる。
【0043】
この場合、変位規制部材21に切り欠き部21aを設け、切り欠き部21aにおける変位規制部材21の断面積が他の部分よりも小さくなるようにしたので、常に切り欠き部21aで変位規制部材21を破断させることができ、破断させる力の大きさを切り欠き部21aに対応する部分の断面積に応じて設定することができる。
【0044】
図17乃至
図22は本発明の第3の実施形態を示すもので、前記実施形態と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0045】
本実施形態の変位規制装置30は、下沓8bに橋軸方向に当接する板状の移動規制部材31と、移動規制部材31の上面側に配置される第1の取付部材32と、移動規制部材31の下面側に配置される第2の取付部材33と、移動規制部材31の上面側に溶接される第3の取付部材34とからなり、移動規制部材31及び各取付部材32,33,34は複数のボルト35及びナット36によって縦桁5aの下フランジ5bの下面に取り付けられるようになっている。
【0046】
移動規制部材31は、橋軸方向に延びる板状の鋼材からなり、下フランジ5bよりもやや大きい幅寸法に形成され、長手方向一端を下沓8bに当接するようになっている。移動規制部材31の幅方向両側には橋軸方向に延びる複数のボルト挿通用の長孔31aが設けられ、各長孔31aは移動規制部材11の長手方向複数箇所に設けられている。移動規制部材31の上面及び下面には移動規制部材31の長手方向に延びる補強板31b,31cがそれぞれ設けられ、各補強板31b,31cは移動規制部材31の幅方向両端側に配置されている。また、移動規制部材31の長手方向他端側には橋軸方向に延出する延出部31dが設けられ、延出部31dは移動規制部材31の長手方向一端側よりも幅寸法が小さくなるように形成されている。
【0047】
第1の取付部材32は、橋軸方向に延びる板状の鋼材からなり、下フランジ5bと同等の幅寸法に形成されている。第1の取付部材32の幅方向両側には複数のボルト挿通用の孔32aが設けられ、各孔32aは第1の取付部材32の長手方向複数箇所に設けられている。
【0048】
第2の取付部材33は、第1の取付部材32と同一形状の板状の鋼材からなり、第1の取付部材32の各孔32aに対応する複数のボルト挿通用の孔33aを有している。この場合、移動規制部材31の長手方向他端側は、第1及び第2の取付部材32,33よりも橋軸方向に延出するように配置されている。
【0049】
第3の取付部材34は、下フランジ5bと同等の幅寸法の板状部材からなり、幅方向両側には複数のボルト挿通用の孔34aがそれぞれ設けられている。第3の取付部材34の下面側には移動規制部材31の延出部31dが配置され、延出部31dの幅方向両側が隅肉溶接により長さLに亘って第3の取付部材34に溶接されている。
【0050】
以上の構成からなる変位規制装置30は、
図20に示すように、移動規制部材31の上面側に第1の取付部材32を配置し、移動規制部材31の下面側に第2の取付部材33を配置するとともに、各長孔31a及び各孔32a,33aを下方から挿通するボルト35を下フランジ5bに設けた複数の孔5cにそれぞれ挿通し、ボルト35にナット36を螺合することにより、縦桁5aの下フランジ5bの下面に取り付けられる。また、第3の取付部材34は、各孔34aを下方から挿通するボルト35を下フランジ5bの各孔5cにそれぞれ挿通し、ボルト35にナット36を螺合することにより、下フランジ5bの下面に固定される。
【0051】
その際、移動規制部材31は、長手方向一端を下沓8bに当接または下沓8bと僅かな隙間をおいた位置に配置される。移動規制部材31は各長孔31aに沿って橋軸方向に移動可能であるが、延出部31dと第3の取付部材34との溶接部34bにより橋軸方向への移動規制部材31の移動(変位)が規制される。この場合、下沓8b側から移動規制部材31に橋軸方向の力が加わると、縦桁5aからの水平力に対する補剛桁6の許容応力よりも小さい力で溶接部34bがせん断力により破断するようになっている。
【0052】
本実施形態では、一対の変位規制装置30を可動支承8の橋軸方向両側にそれぞれ設置することにより、可動支承8の下沓8bに対する縦桁5aの橋軸方向一方への変位が一方の変位規制装置30によって規制され、橋軸方向他方への変位が他方の変位規制装置30によって規制される。また、揺れの大きい地震が発生し、下沓8bを介して移動規制部材31に加わる縦桁5a側の水平力が溶接部34bの許容せん断応力を超えると、溶接部34bが破断し、
図21及び
図22に示すように移動規制部材31が縦桁5aに対して橋軸方向に移動する。尚、図では一方の変位規制装置30のみを示したが、他方の変位規制装置30も同様に動作する。
【0053】
これにより、変位規制装置30による変位規制が解除され、縦桁5aが補剛桁6の横桁6bに対して橋軸方向に変位することから、補剛桁6側に許容応力以上の応力を生じさせる水平力が縦桁5a側から補剛桁6側に加わることがない。
【0054】
このように、本実施形態によれば、変位規制装置30を床組5の縦桁5aに取り付けるとともに、補剛桁6側に固定された下沓8bに変位規制装置30の移動規制部材31を当接することにより、補剛桁6に対する床組5の水平方向への変位を規制するようにしたので、縦断勾配や温度変化による鋼材の伸縮の影響を受けることなく床組5を補剛桁6に対して所定の位置に保持することができる。
【0055】
また、床組5側から補剛桁6側に加わる水平方向の力が補剛桁6の許容応力よりも小さい力で変位規制部材31による変位規制が解除されるようにしたので、地震時における補剛桁6の応力超過を生ずることがなく、補剛桁6の損傷を防止することができる。
【0056】
更に、変位規制装置30は、移動規制部材31が可動支承8の下沓8bに当接するように取り付けられるので、可動支承8を固定支承や免震ゴム支承に交換する必要がなく、既設橋への設置を極めて容易に行うことができる。
【0057】
また、床組5の下フランジ5bに固定される第3の取付部材34に変位規制部材31を溶接し、床組5側から補剛桁6側に加わる水平方向の力によって溶接部34bを破断させることにより変位規制部材31の変位規制を解除するようにしたので、複雑な構造を必要とすることがなく、製造及び設置を容易に行うことができる。
【0058】
この場合、変位規制部材31を変位方向に沿って隅肉溶接するようにしたので、破断させる力の大きさを溶接部34bの溶接長さLまたは溶接脚長に応じて設定することができる。
【0059】
図23乃至
図29は本発明の第4の実施形態を示すもので、前記実施形態と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0060】
本実施形態の変位規制装置40は、下沓8bに橋軸方向に当接する板状の移動規制部材41と、移動規制部材41の上面側に配置される第1の取付部材42と、移動規制部材41の下面側に配置される第2の取付部材43と、移動規制部材41の幅方向両側に配置される一対の第3の取付部材44とからなり、各取付部材42,43,44は複数のボルト45及びナット46によって縦桁5aの下フランジ5bの下面に取り付けられるようになっている。
【0061】
移動規制部材41は、橋軸方向に延びる板状の鋼材からなり、下フランジ5bよりも小さい幅寸法に形成され、長手方向一端を下沓8bに当接するようになっている。移動規制部材41は長手方向略中央から幅方向外側に向かって側方に突出する一対の凸部41aを有し、凸部41aは第3の取付部材44に係止する係止部をなす。また、移動規制部材41は長手方向両端側には、幅方向外側に向かって側方に突出するストッパ部41bがそれぞれ設けられている。
【0062】
第1の取付部材42は、橋軸方向に延びる板状の鋼材からなり、下フランジ5bと同等の幅寸法に形成されている。第1の取付部材42の幅方向両側には複数のボルト挿通用の孔42aが設けられ、各孔42aは第1の取付部材42の長手方向複数箇所に設けられている。また、第1の取付部材42には、各第3の取付部材44を下フランジ5bに固定するための一対のボルト挿通用の孔42bが設けられている。
【0063】
第2の取付部材43は、第1の取付部材42と同一外形の板状の鋼材からなり、第1の取付部材42の各孔42aに対応する複数のボルト挿通用の孔43aを有している。また、第2の取付部材43には厚さ方向に貫通する四角形状の点検孔43bが設けられ、点検孔43bは移動規制部材41の凸部41aに対応する部分に位置し、移動規制部材41の幅寸法よりもやや大きい幅寸法に形成されている。
【0064】
各第3の取付部材44は、移動規制部材41と同等の厚さ寸法の板状部材からなり、幅方向両側には第1の取付部材42の各孔42aに対応する複数のボルト挿通用の孔44aがそれぞれ設けられている。また、第3の取付部材44には下フランジ5bに固定するための一対のボルト挿通用の孔44bが設けられ、孔44bはボルトの頭部が第3の取付部材44の表面よりも埋没するように段差状に形成されている。第3の取付部材44の幅方向一側面には移動規制部材41の凸部41aが係止する係止部としての凹部44cが設けられ、凹部44cは移動規制部材41の長手方向における幅寸法W1 が凸部41aの幅寸法W2 よりも大きくなるように形成されている。
【0065】
以上の構成からなる変位規制装置40を縦桁5aの下フランジ5bに取り付ける場合は、まず、
図26に示すように第1の取付部材42の下面側に各第3の取付部材44を配置し、各孔42a,44bを下方から挿通するボルト47を下フランジ5bに設けた複数の孔5dにそれぞれ挿通し、ボルト47にナット48を螺合することにより、下フランジ5bの下面に第1の取付部材42及び各第3の取付部材44を取り付ける。
【0066】
次に、
図27に示すように第1の取付部材42の下面側に各第3の取付部材44を互いに幅方向に間隔をおいて配置するとともに、各第3の取付部材44の間に移動規制部材41を配置する。その際、各第3の取付部材44は移動規制部材41の幅寸法よりもやや大きい間隔をおいて配置されるとともに、各第3の取付部材44の凹部44c内に移動規制部材41の各凸部41aが配置される。続いて、移動規制部材41の長手方向一端を下沓8bに当接させる。この場合、
図28に示すように凹部44cの幅寸法W1 は凸部41aの幅寸法W2 よりも大きいため、移動規制部材41の長手方向一端を下沓8bに当接させると、凸部41aと凹部44cの幅方向一端との間に幅寸法W3 の隙間が形成され、この隙間に同等の幅寸法のスペーサ49を配置する。そして、移動規制部材41及び各第3の取付部材44の下面側に第2の取付部材43を配置するとともに、各孔42a,43a,44aを下方から挿通するボルト45を下フランジ5bに設けた複数の孔5cにそれぞれ挿通し、ボルト45にナット46を螺合することにより、変位規制装置40が下フランジ5bの下面に取り付けられる。その際、各凹部44cの下方は第2の取付部材43によって覆われるが、第2の取付部材43の点検孔43bは移動規制部材31の移動規制部材41の幅寸法よりもやや大きい幅寸法に形成されているので、各凸部41aの基端側が点検孔43bから目視可能となっている。
【0067】
前記変位規制装置40において、移動規制部材41は各取付部材42,43,44間を橋軸方向に移動可能であるが、各凸部41aがスペーサ49を介して各凹部44cの幅方向一端に係止することにより、移動規制部材41の橋軸方向への移動(変位)が規制される。この場合、下沓8b側から移動規制部材41に橋軸方向の力が加わると、補剛桁6の許容応力よりも小さい力で各凸部41aがせん断力により破断するようになっている。
【0068】
本実施形態では、一対の変位規制装置40を可動支承8の橋軸方向両側にそれぞれ設置することにより、可動支承8の下沓8bに対する縦桁5aの橋軸方向一方への変位が一方の変位規制装置40によって規制され、橋軸方向他方への変位が他方の変位規制装置40によって規制される。また、揺れの大きい地震が発生し、下沓8bを介して移動規制部材41に加わる縦桁5a側の水平力が各凸部41aの許容せん断応力を超えると、各凸部41aが基端側から破断し、
図29に示すように移動規制部材41が縦桁5aに対して橋軸方向に移動する。尚、図では一方の変位規制装置40のみを示したが、他方の変位規制装置40も同様に動作する。
【0069】
これにより、変位規制装置40による変位規制が解除され、縦桁5aが補剛桁6の横桁6bに対して橋軸方向に変位することから、補剛桁6側に許容応力以上の応力を生じさせる水平力が縦桁5a側から補剛桁6側に加わることがない。その際、各凹部44cの下方が第2の取付部材43によって覆われているので、破断した各凸部41aが変位規制装置40の下方に落下することがない。また、移動規制部材41の長手方向両端側にはそれぞれストッパ部41bが設けられているので、各第3の取付部材44の長手方向一端または他端に各ストッパ部41bが当接することにより、変位規制装置40からの移動規制部材41の脱落が阻止される。
【0070】
このように、本実施形態によれば、変位規制装置40を床組5の縦桁5aに取り付けるとともに、補剛桁6側に固定された下沓8bに変位規制装置40の移動規制部材41を当接することにより、補剛桁6に対する床組5の水平方向への変位を規制するようにしたので、縦断勾配や温度変化による鋼材の伸縮の影響を受けることなく床組5を補剛桁6に対して所定の位置に保持することができる。
【0071】
また、床組5側から補剛桁6側に加わる水平方向の力が補剛桁6の許容応力よりも小さい力で変位規制部材41による変位規制が解除されるようにしたので、地震時における補剛桁6の応力超過を生ずることがなく、補剛桁6の損傷を防止することができる。
【0072】
更に、変位規制装置40は、移動規制部材41が可動支承8の下沓8bに当接するように取り付けられるので、可動支承8を固定支承や免震ゴム支承に交換する必要がなく、既設橋への設置を極めて容易に行うことができる。
【0073】
また、床組5の下フランジ5bに固定される第3の取付部材44及び変位規制部材41に互いに床組5の変位方向に係止する凹部44c及び凸部41aを設け、床組5から加わる水平方向の力によって凸部41aを破断させることにより変位規制部材41の変位規制を解除するようにしたので、複雑な構造を必要とすることがなく、製造及び設置を容易に行うことができる。
【0074】
この場合、凹部44cを橋軸方向における幅寸法W1 が凸部41aの幅寸法W2 よりも大きくなるように形成し、変位規制部材41を下沓8bに変位させた状態で凸部41aと凹部44cとの間の隙間にスペーサ49を介在させるようにしたので、凸部41aと凹部44cとの隙間に応じた大きさのスペーサ49を用いることにより、移動規制部材41の橋軸方向の位置を下沓8bとの相対位置に応じて調整することができ、上沓8aと下沓8bとの中心の位置ずれが生じていても常に移動規制部材41を下沓8bとの当接位置に配置することができる。
【0075】
また、凹部44cの下方を第2の取付部材43によって覆うようにしたので、破断した凸部41aが変位規制装置40から落下することがなく、落下物の発生を確実に防止することができる。
【0076】
更に、第2の取付部材43に外部から凸部41aの基端側を目視可能な点検孔43bを設けたので、凸部41aが破断しているか否かを容易に確認することができ、地震後の点検作業を効率よく行うことができる。
【0077】
尚、前記実施形態は本発明の一実施例であり、本発明は前記実施形態に記載されたものに限定されない。
【0078】
また、前記各実施形態では、吊橋1の補剛桁6に対する床組5の変位を規制するようにしたものを示したが、上部側構造物が下部側構造物に水平方向に移動可能に支持された構造物であれば、吊橋以外の構造物にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…吊橋、5…床組、6…補剛桁、8…可動支承、10…変位規制装置、11…移動規制部材、12…第1の取付部材、13…第2の取付部材、14…ボルト、15…ナット、20…変位規制装置、21…移動規制部材、22…第1の取付部材、23…第2の取付部材、21b…切り欠き部、30…変位規制装置、31…移動規制部材、32…第1の取付部材、33…第2の取付部材、34…第3の取付部材、34b…溶接部、40…変位規制装置、41…移動規制部材、41a…凸部、42…第1の取付部材、43…第2の取付部材、43b…点検孔、44…第3の取付部材、44c…凹部。