(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112797
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】電圧生成回路、および不揮発性メモリ装置
(51)【国際特許分類】
G05F 3/24 20060101AFI20230807BHJP
G05F 1/10 20060101ALI20230807BHJP
G11C 16/30 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
G05F3/24 B
G05F1/10 303B
G11C16/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014737
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 省治
【テーマコード(参考)】
5B225
5H410
5H420
【Fターム(参考)】
5B225CA01
5B225EG08
5B225EG12
5B225FA02
5H410BB04
5H410CC02
5H410DD02
5H410EA11
5H410EB37
5H410FF03
5H410FF23
5H410HH01
5H410KK02
5H420BB04
5H420BB12
5H420CC02
5H420DD02
5H420EA12
5H420EA39
5H420EB37
5H420FF03
5H420FF23
5H420HJ01
(57)【要約】
【課題】不揮発性メモリ素子用の電源回路に供給するソフトスタートのための電圧を効果的に生成することが可能となる電圧生成回路を提供する。
【解決手段】電圧生成回路(15)は、不揮発性メモリ素子(17)用の電源回路(16)に供給する出力電圧(Vout)を生成可能に構成される電圧生成回路であって、定電流回路(1)と、第1MOSトランジスタ(10)と、を備え、前記定電流回路により生成される出力電流(Iout)により前記第1MOSトランジスタのゲート容量を充電可能に構成され、前記第1MOSトランジスタのゲート電圧が前記出力電圧として出力可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリ素子用の電源回路に供給する出力電圧を生成可能に構成される電圧生成回路であって、
定電流回路と、
第1MOSトランジスタと、を備え、
前記定電流回路により生成される出力電流により前記第1MOSトランジスタのゲート容量を充電可能に構成され、前記第1MOSトランジスタのゲート電圧が前記出力電圧として出力可能である、電圧生成回路。
【請求項2】
前記第1MOSトランジスタは、NMOSトランジスタにより構成され、
前記NMOSトランジスタのドレインおよびソースは、グランド電位の印加端に接続可能である、請求項1に記載の電圧生成回路。
【請求項3】
前記定電流回路は、
少なくとも1段の第2MOSトランジスタを有するトランジスタ段と、
前記トランジスタ段に発生する電圧を一定に制御する定電圧回路と、を有し、
前記トランジスタ段に流れる第1電流と、前記出力電流は、相関を有する、請求項1または請求項2に記載の電圧生成回路。
【請求項4】
前記定電流回路は、
駆動トランジスタと、
前記トランジスタ段に発生する電圧と、第1基準電圧との差分に基づき前記駆動対象トランジスタを駆動する差動アンプと、
前記駆動トランジスタの制御により流れる第2電流を前記第1電流にミラーリングする第1カレントミラーと、
前記第2電流を前記出力電流にミラーリングする第2カレントミラーと、
を有する、請求項3に記載の電圧生成回路。
【請求項5】
前記定電流回路は、前記第2電流をミラーリングして前記駆動トランジスタに流れる第3電流とするミラーリング回路を有する、請求項4に記載の電圧生成回路。
【請求項6】
前記定電流回路は、温度傾斜を有する前記第1基準電圧を生成する温特傾斜回路を有する、請求項4または請求項5に記載の電圧生成回路。
【請求項7】
前記温特傾斜回路は、
第2基準電圧の印加端に接続可能なベースを有するNPNトランジスタと、
第2基準電圧の印加端に接続可能な第1端を有する第1抵抗と、
前記第1抵抗の第2端に接続される第1端を有する第2抵抗と、
前記NPNトランジスタのエミッタに接続される第1端を有する第3抵抗と、
前記第3抵抗の第2端に接続される第1端を有する第4抵抗と、
前記第1抵抗の第2端と前記第3抵抗の第2端との間に接続される第5抵抗と、
を有する、請求項6に記載の電圧生成回路。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電圧生成回路と、
前記電圧生成回路から出力される前記出力電圧を供給される電源回路と、
前記電源回路から出力される電源電圧を供給される不揮発性メモリ素子と、
を備える、不揮発性メモリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電圧生成回路、および不揮発性メモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DC/DCコンバータにおいて、エラーアンプに入力させる基準電圧をソフトスタートのために生成する基準電圧源が設けられることが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、不揮発性メモリ装置においては、不揮発性メモリ素子に書き込みを行うために上記不揮発性メモリ素子に電源電圧を印加させる電源回路(チャージポンプなど)が設けられる。不揮発性メモリ素子の耐圧を下げるため、あるいは不揮発性メモリ素子の故障率を下げるためには、上記電源回路の起動時にはソフトスタートが行われることが必要となる。当該ソフトスタートの起動時間は、短縮されることが要望される。
【0005】
本開示は、不揮発性メモリ素子用の電源回路に供給するソフトスタートのための電圧を効果的に生成することが可能となる電圧生成回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本開示に係る電圧生成回路は、不揮発性メモリ素子用の電源回路に供給する出力電圧を生成可能に構成される電圧生成回路であって、
定電流回路と、
第1MOSトランジスタと、を備え、
前記定電流回路により生成される出力電流により前記第1MOSトランジスタのゲート容量を充電可能に構成され、前記第1MOSトランジスタのゲート電圧が前記出力電圧として出力可能である構成としている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る電圧生成回路によれば、不揮発性メモリ素子用の電源回路に供給するソフトスタートのための電圧を効果的に生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、比較例に係る電圧生成回路の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、比較例に係る電圧生成回路により生成される出力電圧の波形例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係る不揮発性メモリ装置の構成を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、本開示に係る電圧生成回路により生成される出力電圧の波形例を示す図である。
【
図5】
図5は、定電流回路の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<1.比較例>
ここでは、本開示の実施形態について説明する前に、比較例について説明する。比較例を説明することで、本開示の実施形態の意義が明らかになる。
【0011】
図1は、比較例に係る電圧生成回路105の構成を示す図である。電圧生成回路105は、電源回路110に供給する出力電圧Voutを生成する回路である。電源回路110は、DC/DCコンバータにより構成され、図示しないエラーアンプおよび出力コンデンサなどを有する。出力電圧Voutが上記エラーアンプに入力されることで、電源回路110においてソフトスタートが行われる。
【0012】
電圧生成回路105は、定電流回路100と、コンデンサ101と、を備える。定電流回路100により生成される出力電流Ioutによりコンデンサ101が充電される。コンデンサ101の充電により、定電流回路100とコンデンサ101とが接続されるノードN10に発生する出力電圧Voutが上昇する。
【0013】
図2は、電圧生成回路105により生成される出力電圧Voutの波形例を示す図である。このように、出力電圧Voutは、一定の上昇速度(Voutの時間に対する傾き)で直線的に上昇して、時間に対して一定となる電圧(定常的な電圧)に到達する。これにより、電源回路110における出力コンデンサへ供給される電流が一定となり、ラッシュ電流の発生を抑制できる。
【0014】
しかしながら、このような比較例では、出力電圧Voutが上昇して定常的な電圧に到達するまでの起動時間Ts1(
図2)が長くなる課題があった。
【0015】
<2.不揮発性メモリ装置>
図3は、本開示の実施形態に係る不揮発性メモリ装置18の構成を概略的に示す図である。不揮発性メモリ装置18は、半導体装置(半導体IC)に設けられる。
【0016】
不揮発性メモリ装置18は、電圧生成回路15と、内部電源回路16と、メモリ素子17と、を備える。メモリ素子17は、例えばMOSトランジスタにより構成され、データを書き込むこと(プログラム動作)が可能である。書き込みは、例えばホットキャリアのサイドウォールへのトラップによりトランジスタの特性を変化させたり、あるいは、フローティングゲートに電子を注入することでトランジスタの特性をさせることで実行される。
【0017】
内部電源回路16は、電源電圧VHを生成する。メモリ素子17に電源電圧VHが印加されることで、書き込みが実行される。内部電源回路16は、例えばチャージポンプにより構成される。チャージポンプは、電圧生成回路15により生成される出力電圧Voutを所定の倍率で昇圧して電源電圧VHを生成する。
【0018】
電圧生成回路15は、定電流回路1と、MOSトランジスタ10と、を備える。MOSトランジスタ10は、NMOSトランジスタ(Nチャネル型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor))により構成される。定電流回路1は、MOSトランジスタ10のゲートとノードN1で接続される。MOSトランジスタ10のドレインおよびソースは、グランド電位の印加端に接続される。
【0019】
定電流回路1により生成される出力電流Ioutは、MOSトランジスタ10のゲートに供給される。これにより、MOSトランジスタ10のゲート容量が充電され、ノードN1に発生する出力電圧Voutが上昇する。
【0020】
図4は、電圧生成回路15により生成される出力電圧Voutの波形例を示す図である。なお、
図4において、電圧生成回路15により生成される出力電圧Voutを実線で示し、比較例に係る構成を用いた場合の出力電圧Voutを破線で示す。
【0021】
MOSトランジスタ10のゲート容量は、ゲート電圧がVth(ゲート閾値電圧)に到達するまでは小さい容量値である。これにより、
図4の実線で示すように、初期には出力電圧Voutは、速い上昇速度(傾き大)で上昇する。ゲート電圧がVthを超えると、ゲート容量の容量値が指数関数的に増加する。これにより、
図4の実線で示すように、出力電圧Voutは、徐々に上昇速度が低下しつつ(傾きが緩やかになりつつ)上昇する。そして、出力電圧Voutは、定常的な電圧に達する。
【0022】
メモリ素子17の耐圧を下げたり、あるいはメモリ素子17の故障率を下げるためには、内部電源回路16においてソフトスタートを行う必要がある。ただし、起動時の初期で電源電圧VHが低い期間では、ソフトスタートを行う必要がないため、本実施形態のように出力電圧Voutは初期で上昇速度を速めている。これにより、出力電圧Voutの起動時間Ts2(
図4)を短くしている。そして、電源電圧VHが高い期間ではソフトスタートを行うため、出力電圧Voutの上昇速度を途中から徐々に低下させている。すなわち、本実施形態によれば、起動時間の短縮とソフトスタートを両立させることを可能としている。
図4に示すように、比較例に係る構成を用いた場合の起動時間Ts1よりも本実施形態では起動時間を短縮できる。
【0023】
<3.定電流回路>
図5は、定電流回路1の構成例を示す回路図である。定電流回路1は、差動アンプ2と、駆動トランジスタ3と、カレントミラー4と、トランジスタ段5と、カレントミラー6と、カレントミラー7と、カレントミラー8と、温特傾斜回路9と、を有する。
【0024】
差動アンプ2は、入力トランジスタ21,22と、NMOSトランジスタ23,24と、を有する。入力トランジスタ21,22は、いずれもPMOSトランジスタ(Pチャネル型MOSFET)により構成される。
【0025】
入力トランジスタ21のゲートには、基準電圧Vref2が印加される。基準電圧Vref2は、後述する温特傾斜回路9により生成される。入力トランジスタ21のドレインは、NMOSトランジスタ23のドレインに接続される。NMOSトランジスタ23のゲートとドレインは、短絡される。NMOSトランジスタ23のソースは、グランド電位の印加端に接続される。NMOSトランジスタ23のゲートと、NMOSトランジスタ24のゲートは接続される。NMOSトランジスタ24のソースは、グランド電位の印加端に接続される。入力トランジスタ22のドレインは、NMOSトランジスタ24のドレインに接続される。NMOSトランジスタ23,24によりカレントミラーが構成される。入力トランジスタ21,22のドレイン同士は、PMOSトランジスタPM5のドレインに接続される。PMOSトランジスタPM5のソースは、電源電圧VDDの印加端に接続される。
【0026】
駆動トランジスタ3は、NMOSトランジスタにより構成される。NMOSトランジスタ24とPMOSトランジスタ22とが接続されるノードN2は、駆動トランジスタ3のゲートに接続される。カレントミラー4は、入力側のPMOSトランジスタPM1と、出力側のPMOSトランジスタPM2と、を有する。駆動トランジスタ3のドレインは、PMOSトランジスタPM1に接続される。なお、PMOSトランジスタPM1とPMOSトランジスタPM5は、カレントミラーを構成する。このようなカレントミラーを設けることで、差動アンプ2のための定電流源を別途設ける必要がなくなる。
【0027】
トランジスタ段5は、NMOSトランジスタ51を複数段接続して構成される。各NMOSトランジスタ51のゲートは、ノードN2に接続される。最も高電位側のNMOSトランジスタ51のドレインは、PMOSトランジスタPM2のドレインとノードN3で接続される。最も低電位側のNMOSトランジスタ51のソースは、グランド電位の印加端に接続される。ノードN3は、入力トランジスタ22のゲートに接続される。これにより、ノードN3に発生するセンス電圧Vsnsが入力トランジスタ22のゲートに印加される。トランジスタ段5における最も高電位側のNMOSトランジスタ51を除くNMOSトランジスタ51により、後述するNMOSトランジスタ82のドレイン・ソース間電圧に相当する電圧を生成している。
【0028】
差動アンプ2は、センス電圧Vsnsと基準電圧Vref2との差分に基づき駆動トランジスタ3を駆動する。駆動トランジスタ3の駆動によりPMOSトランジスタPM1に流れる電流I4が制御される。電流I4は、カレントミラー4によりミラーリングされて電流I5とされる。電流I5は、トランジスタ段5を流れる。トランジスタ段5のオン抵抗と電流I5により、センス電圧Vsnsが発生する。これにより、センス電圧Vsnsが基準電圧Vref2と一致するように帰還制御される。すなわち、差動アンプ2、駆動トランジスタ3、カレントミラー4、およびトランジスタ段5により、センス電圧Vsnsを一定に制御する定電圧回路が構成される。
【0029】
カレントミラー6は、入力側のPMOSトランジスタPM1と、出力側のPMOSトランジスタPM3と、を有する。PMOSトランジスタPM3は、MOSトランジスタ10のゲートにノードN1で接続される。電流I4は、カレントミラー6によりミラーリングされて出力電流Ioutとされる。
【0030】
このように、電流I5と出力電流Ioutはともに、電流I4をミラーリングして生成され、電流I5と出力電流Ioutは相関を有する。すなわち、電流I5と出力電流Ioutは、同じであるか、または比例する。
【0031】
ここで、MOSトランジスタ10の酸化膜の厚みは、不揮発性メモリ装置18ごとにばらつく。MOSトランジスタ10の酸化膜の厚みが大きいと、MOSトランジスタ10のゲート容量は小さくなる。また、MOSトランジスタ10の酸化膜の厚みが大きいと、トランジスタ段5におけるNMOSトランジスタ51の酸化膜の厚みも大きくなり、NMOSトランジスタ51のオン抵抗が大きくなる。センス電圧Vsnsは一定に制御されるため、トランジスタ段5を流れる電流I5は、小さくなる。従って、MOSトランジスタ10のゲート容量が小さいと、出力電流Ioutが小さく制御される。このように、MOSトランジスタ10のゲート容量に応じて出力電流Ioutが制御されるため、MOSトランジスタ10の酸化膜の厚みのばらつきによる出力電圧Voutの上昇速度のばらつきを抑制できる。
【0032】
なお、センス用のトランジスタ段5と電流出力用の駆動トランジスタ3は、共通の一つのトランジスタとしてもよい。しかしながら、この場合、電流出力用のトランジスタは電流能力が必要となるが、そのためにはセンス用のトランジスタのオン抵抗値(すなわちセンス電圧Vsns)が低くなりすぎ、差動アンプ2による制御を行いにくい。そこで、
図5に示す構成のように、電流出力用の駆動トランジスタ3とセンス用のトランジスタ51を分け、トランジスタ51を複数段接続することでオン抵抗値を高くしている。また、制御される電流I5と、MOSトランジスタ10のゲート容量の充電に使用する出力電流Ioutをともに電流I4をミラーリングしたものとすることで、電源電圧VDDの変動によりPMOSトランジスタPM2,PM3のドレイン・ソース間電圧が変動することによる電流変動の影響を受ける状況がI5とIoutで同じとなるため、出力電流Ioutの精度を向上できる。
【0033】
また、カレントミラー7は、入力側のPMOSトランジスタPM1と、出力側のPMOSトランジスタPM4と、を有する。PMOSトランジスタPM4は、カレントミラー8における入力側のNMOSトランジスタ81に接続される。カレントミラー8における出力側のNMOSトランジスタ82は、駆動トランジスタ3のソースに接続される。これにより、電流I4がカレントミラー7,8によりミラーリングされて駆動トランジスタ3に流れる電流I3とされる。従って、シンク電流である電流I3は、電流I4と同じとなる(I3=I4)。これにより、I3=I5となり、駆動トランジスタ3のVgs(ゲート・ソース間電圧)とNMOSトランジスタ51のVgsを合わせることができる。駆動トランジスタ3とNMOSトランジスタ51のサイズを同じにすると、Vgsを合わせることでオン抵抗値を合わせることができる。
【0034】
温特傾斜回路9は、抵抗91~95と、NPNトランジスタ96と、を有する。抵抗91の一端は、基準電圧Vrefの印加端に接続される。抵抗91の他端は、抵抗95の一端とともに抵抗92の一端に接続される。抵抗92の他端は、グランド電位の印加端に接続される。NPNトランジスタ96のベースは、基準電圧Vrefの印加端に接続される。NPNトランジスタ96のコレクタは、電源電圧VDDの印加端に接続される。NPNトランジスタ96のエミッタは、抵抗93の一端に接続される。抵抗93の他端は、抵抗95の他端とともに抵抗94の一端に接続される。抵抗94の他端は、グランド電位の印加端に接続される。抵抗91と抵抗92とが接続されるノードN4は、入力トランジスタ21のゲートに接続される。
【0035】
これにより、基準電圧Vrefと、NPNトランジスタ96における順電圧Vfに基づき、ノードN4に基準電圧Vref2が生成される。順電圧Vfの温度特性により、基準電圧Vref2は、温度傾斜を有する。従って、トランジスタ段5におけるNMOSトランジスタ51のオン抵抗の温度特性による影響を補正することができる。
【0036】
<4.その他>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0037】
<5.付記>
以上のように、例えば、本開示に係る電圧生成回路(15)は、不揮発性メモリ素子(17)用の電源回路(16)に供給する出力電圧(Vout)を生成可能に構成される電圧生成回路であって、
定電流回路(1)と、
第1MOSトランジスタ(10)と、を備え、
前記定電流回路により生成される出力電流(Iout)により前記第1MOSトランジスタのゲート容量を充電可能に構成され、前記第1MOSトランジスタのゲート電圧が前記出力電圧として出力可能である構成としている(第1の構成)。
【0038】
また、上記第1の構成において、前記第1MOSトランジスタ(10)は、NMOSトランジスタにより構成され、前記NMOSトランジスタのドレインおよびソースは、グランド電位の印加端に接続可能である構成としてもよい(第2の構成)。
【0039】
また、上記第1または第2の構成において、前記定電流回路(1)は、
少なくとも1段の第2MOSトランジスタ(51)を有するトランジスタ段(5)と、
前記トランジスタ段に発生する電圧(Vsns)を一定に制御する定電圧回路と、を有し、
前記トランジスタ段に流れる第1電流(I5)と、前記出力電流(Iout)は、相関を有する構成としてもよい(第3の構成)。
【0040】
また、上記第3の構成において、前記定電流回路(1)は、
駆動トランジスタ(3)と、
前記トランジスタ段(5)に発生する電圧(Vsns)と、第1基準電圧(Vref2)との差分に基づき前記駆動対象トランジスタを駆動する差動アンプ(2)と、
前記駆動トランジスタの制御により流れる第2電流(I4)を前記第1電流(I5)にミラーリングする第1カレントミラー(4)と、
前記第2電流を前記出力電流(Iout)にミラーリングする第2カレントミラー(6)と、を有する構成としてもよい(第4の構成)。
【0041】
また、上記第4の構成において、前記定電流回路(1)は、前記第2電流(I4)をミラーリングして前記駆動トランジスタ(3)に流れる第3電流(I3)とするミラーリング回路(7,8)を有する構成としてもよい(第5の構成)。
【0042】
また、上記第4または第5の構成において、前記定電流回路(1)は、温度傾斜を有する前記第1基準電圧(Vref2)を生成する温特傾斜回路(9)を有する構成としてもよい(第6の構成)。
【0043】
また、上記第6の構成において、前記温特傾斜回路(9)は、
第2基準電圧(Vref)の印加端に接続可能なベースを有するNPNトランジスタ(96)と、
第2基準電圧の印加端に接続可能な第1端を有する第1抵抗(91)と、
前記第1抵抗の第2端に接続される第1端を有する第2抵抗(92)と、
前記NPNトランジスタのエミッタに接続される第1端を有する第3抵抗(93)と、
前記第3抵抗の第2端に接続される第1端を有する第4抵抗(94)と、
前記第1抵抗の第2端と前記第3抵抗の第2端との間に接続される第5抵抗(95)と、を有する構成としてもよい(第7の構成)。
【0044】
また、本開示の一態様は、上記いずれかの構成の電圧生成回路(15)と、
前記電圧生成回路から出力される前記出力電圧(Vout)を供給される電源回路(16)と、
前記電源回路から出力される電源電圧(VH)を供給される不揮発性メモリ素子(17)と、を備える不揮発性メモリ装置(18)である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示は、例えば、各種の半導体装置に搭載される不揮発性メモリ装置に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 定電流回路
2 差動アンプ
3 駆動トランジスタ
4 カレントミラー
5 トランジスタ段
6 カレントミラー
7 カレントミラー
8 カレントミラー
9 温特傾斜回路
10 MOSトランジスタ
15 電圧生成回路
16 内部電源回路
17 メモリ素子
18 不揮発性メモリ装置
21,22 入力トランジスタ
23,24 NMOSトランジスタ
24 NMOSトランジスタ
51 NMOSトランジスタ
81 NMOSトランジスタ
82 NMOSトランジスタ
91~95 抵抗
96 NPNトランジスタ
100 定電流回路
101 コンデンサ
105 電圧生成回路
110 電源回路
PM1~PM5 PMOSトランジスタ