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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112842
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】可変ミラー付き表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20230807BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20230807BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230807BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
G02F1/13
G02F1/1347
G02F1/1335 510
G09F9/00 313
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014805
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】加藤 恵介
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H291
5G435
【Fターム(参考)】
2H088EA36
2H088EA42
2H088HA02
2H088HA07
2H088HA08
2H088HA18
2H088HA21
2H088HA28
2H088JA11
2H088KA17
2H088LA07
2H189AA22
2H189AA32
2H189CA36
2H189JA11
2H189KA13
2H189LA02
2H189LA05
2H189LA09
2H189LA10
2H189LA19
2H189LA20
2H189MA01
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA25X
2H291FA81Z
2H291FD09
2H291FD10
2H291FD15
2H291GA02
2H291GA08
2H291GA18
2H291GA19
2H291HA12
2H291MA06
2H291MA07
2H291NA03
2H291NA05
2H291PA68
5G435AA01
5G435BB05
5G435BB12
5G435CC09
5G435FF03
5G435FF05
5G435FF15
5G435GG09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可変ミラー付き表示装置の画像表示状態における外光の映り込み低減。
【解決手段】鏡状態と画像表示状態とを電気的に切り替え可能な可変ミラー付き表示装置であって、画像光を出射する表示ユニット10と、前記表示ユニットの光出射側に配置された反射型偏光板11と、前記反射型偏光板を挟んで前記表示ユニットと対向配置された液晶レンズ12と、前記表示ユニット及び前記液晶レンズの動作を制御する制御装置と、を含み、前記液晶レンズは、レンズ作用を奏する第1状態と当該レンズ作用を奏しない第2状態とを前記制御装置の制御により電気的に切り替え可能である、可変ミラー付き表示装置1。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡状態と画像表示状態とを電気的に切り替え可能な可変ミラー付き表示装置であって、
画像光を出射する表示ユニットと、
前記表示ユニットの光出射側に配置された反射型偏光板と、
前記反射型偏光板を挟んで前記表示ユニットと対向配置された液晶レンズと、
前記表示ユニット及び前記液晶レンズの動作を制御する制御装置と、
を含み、
前記液晶レンズは、レンズ作用を奏する第1状態と当該レンズ作用を奏しない第2状態とを前記制御装置の制御により電気的に切り替え可能である、
可変ミラー付き表示装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記画像光を出射させるように前記表示ユニットを制御する際に前記液晶レンズを前記第1状態に制御し、前記画像光を出射させないように前記表示ユニットを制御する際に前記液晶レンズを前記第2状態に制御する、
請求項1に記載の可変ミラー付き表示装置。
【請求項3】
前記表示ユニットは、液晶パネルと、当該液晶パネルを挟んで対向配置される第1偏光板及び第2偏光板を有しており、
前記第1偏光板は前記反射型偏光板と前記液晶パネルとの間に配置される、
請求項1又は2に記載の可変ミラー付き表示装置。
【請求項4】
前記第1偏光板及び前記第2偏光板の各々が吸収型直線偏光板である、
請求項3に記載の可変ミラー付き表示装置。
【請求項5】
前記液晶レンズは、入射する直線偏光を前記第1状態において屈折させ、前記第2状態において屈折させない直線偏光型液晶レンズであり、
前記反射型偏光板の透過軸と前記第1偏光板の透過軸とが略平行であり、
前記液晶レンズの配向処理方向と前記反射型偏光板の透過軸とが略直交である、
請求項4に記載の可変ミラー付き表示装置。
【請求項6】
鏡状態と画像表示状態とを電気的に切り替え可能な可変ミラー付き表示装置であって、
画像光を出射する表示ユニットと、
前記表示ユニットの光出射側に配置されたハーフミラーと、
前記反射型偏光板を挟んで前記表示ユニットと対向配置された液晶レンズと、
前記表示ユニット及び前記液晶レンズの動作を制御する制御装置と、
を含み、
前記液晶レンズは、レンズ作用を奏する第1状態と当該レンズ作用を奏しない第2状態とを前記制御装置の制御により電気的に切り替え可能である、
可変ミラー付き表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可変ミラー付き表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可変ミラー付き表示装置の従来例として、例えば特開2021-138195号公報(特許文献1)には、少なくとも鏡状態と画像表示状態とを切り替え可能な車両用ルームミラーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-138195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る具体的態様は、鏡状態と画像表示状態とを切り替え可能な可変ミラー付き表示装置の画像表示状態における外光の映り込みを低減可能な技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る一態様の可変ミラー付き表示装置は、(a)鏡状態と画像表示状態とを電気的に切り替え可能な可変ミラー付き表示装置であって、(b)画像光を出射する表示ユニットと、(c)前記表示ユニットの光出射側に配置された反射型偏光板と、(d)前記反射型偏光板を挟んで前記表示ユニットと対向配置された液晶レンズと、(e)前記表示ユニット及び前記液晶レンズの動作を制御する制御装置と、を含み、(f)前記液晶レンズは、レンズ作用を奏する第1状態と当該レンズ作用を奏しない第2状態とを前記制御装置の制御により電気的に切り替え可能な可変ミラー付き表示装置である。
【0006】
上記構成によれば、鏡状態と画像表示状態とを切り替え可能な可変ミラー付き表示装置の画像表示状態における外光の映り込みを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態の可変ミラー付き表示装置の構成を示す図である。
図2図2は、液晶レンズの動作原理を説明するための図である。
図3図3(A)、図3(B)は、可変ミラー付き表示装置の動作を説明するための図である。
図4図4(A)、図4(B)は、変形実施形態の可変ミラー付き表示装置の構成及び動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、一実施形態の可変ミラー付き表示装置の構成を示す図である。図示の可変ミラー付き表示装置1は、表示ユニット10、反射型偏光板11、液晶レンズ12、カバーガラス13、反射防止膜14を含んで構成されている。表示ユニット10は、バックライト10a、一対の偏光板10b、10d及び液晶パネル10cを含んで構成されている。なお、図1では各構成要素が分かりやすくなるように互いに分離して示しているが、実際には各構成要素は互いの間に隙間を設けずに密着させて配置されている。この可変ミラー付き表示装置1は、例えば車両の車室内に搭載されるルームミラーとして用いられるものであって、種々の画像表示を行う機能を運転者が後方を確認するためのミラーとしての機能を任意に切り替え可能なものである。
【0009】
表示ユニット10は、種々の画像を生成してその画像を構成する光(以下これを「画像光」という。)を出射するものである。図示の例の表示ユニット10は、一対の偏光板10b、10dの間に液晶パネル10cが配置されており、偏光板10bの側にバックライト10aが配置されている。そして、表示ユニット10は、バックライト10aから放出される面状の光が液晶パネル10cに入射すると、この光が液晶パネル10cにおいて適宜に変調され、偏光板10dを透過することで画像光が形成される。
【0010】
本実施形態では、偏光板10bの透過軸a1は図示のX方向に略平行であり、偏光板10dの透過軸a2はX方向と直交するY方向に略平行である。各偏光板10b、10dは、吸収型直線偏光板である。また、液晶パネル10cは、例えばマトリクス状に配置された複数の画素へ印加する電圧を当該各画素に対応づけて設けられた各薄膜トランジスタによって制御するアクティブマトリクス型の液晶パネルである。
【0011】
反射型偏光板11は、表示ユニット10の前面側(光出射面側)に配置されている。この反射型偏光板11は、例えば多数の金属細線からなるワイヤーグリッドを備えるもの、あるいは光学多層膜を備えるものである。本実施形態では、反射型偏光板11の透過軸a3は、Y方向に略平行である。なお、この反射型偏光板11によって偏光板10dの機能を兼ねるようにし、偏光板10dを省略することもできるが、反射型偏光板11と偏光板10dとを併せて用いることで透過光の偏光度をより向上させることができる。
【0012】
液晶レンズ12は、電圧により光透過状態とレンズ状態とを切り替え可能な素子である。このような液晶レンズ12としては、公知の種々の液晶レンズを利用可能であり、例えば特開2014-112157号公報、特開2018-101026号公報などの公知文献に記載のものを用いることができる。
【0013】
カバーガラス13は、表示ユニット10や液晶レンズ12などを保護するために液晶レンズ12の前面側(光出射面側)に配置されるガラス板である。反射防止膜14は、カバーガラス13の前面側(光出射面側)に配置されており、カバーガラス13での外光の反射を抑制するものである。制御装置15は、バックライト10a、液晶パネル10c、液晶レンズ12の各動作を制御するものである。
【0014】
図2を参照しながら液晶レンズ12の動作原理を説明する。図示の例の液晶レンズ12は、基板90に設けられており互いに隙間を空けて配置された電極101a、101bと、基板91に設けられており各電極101a、101bと対向配置された共通電極102と、各電極101a、101bと共通電極102との間に配置された液晶層103を備える。各電極101a、101bにはそれぞれ個別に外部から電圧印加が可能に構成されている。
【0015】
図示の例の液晶レンズ12では、例えば電極101aに電圧V1、電極101bに電圧V2(<V1)を印加したとすると、液晶層103の配向状態を変化させて屈折率分布を生じさせることができる。図示の例では、電極101aと共通電極102の間の電界がより大きいので、水平配向していた液晶層103の液晶分子がより大きく垂直方向へ配向変化する。この屈折率分布を生じた部分においてレンズの作用が得られる。図示の例では入射光Lが図中での左側へ偏向される。電圧V1と電圧V2の差によってこの偏向角度を制御できる。また、電圧V1と電圧V2の大小関係を逆にすれば入射光が偏向する方向も逆になる。各電極101a、101bと共通電極102との間に電圧を印加しない場合には液晶層103は一様分布となり、このような屈折率分布は生じない。従って、電圧印加の有無により、光透過状態とレンズ状態とを切り替え可能となる。また、屈折率分布を形成するための各電極101a、101bを設ける位置を変更すれば屈折する方向を調整することも可能となる。より多くの電極を形成すれば、いろいろな屈折率分布を生じさせることができる。
【0016】
基板90、91にはそれぞれ図示しない配向膜が設けられている。基板90における配向処理方向(例えばラビング処理方向)a4は、例えば図中の右向きであり、基板91における配向処理方向(例えばラビング処理方向)a5は、例えば図中の左向きである。これらの配向処理方向a4、a5は、図1に示す座標でいえばそれぞれX方向と略平行に配置されている。また、配向処理方向a4、a5は互いに反平行となっている。それにより、これら配向処理方向a4、a5と略平行な方向の偏光は上記した屈折作用を受けて進行方向が変化する。他方で、配向処理方向a4、a5と略直交する方向の偏光は屈折作用を受けず、よって進行方向が変化しない。ここで、液晶レンズ12の配向処理方向a4及びa5は、可変ミラー付き表示装置1を適用するデバイスや用途等によって、適宜変更することもできる。
【0017】
図3(A)、図3(B)は、可変ミラー付き表示装置1の動作を説明するための図である。なお、図3(A)及び図3(B)では、動作を分かりやすくするためにカバーガラス13、反射防止膜14及び制御装置15の図示を省略している。図3(A)は種々の画像表示を行う機能を発揮する際の動作を示し、図3(B)は運転者が後方を確認するためのミラーとしての機能を発揮する際の動作を示している。
【0018】
図3(A)に示すように、バックライト10aから出射して偏光板10bに入射した無偏向の光は、透過軸a1と同じ偏光方向a11の光成分が透過して液晶パネル10cに入射する。本実施形態では、液晶パネル10cに入射した光は、画像表示状態(ON)である液晶パネル10cにより偏光方向が90°回転して偏光板10dに入射する。この光の偏光方向a12は偏光板10dの透過軸a2と略平行であるので、偏光板10dを透過して反射型偏光板11に入射する。反射型偏光板11の透過軸a3は偏光方向a12と略平行であるので、この光は反射型偏光板11をそのまま出射する。この偏光方向a13の光は液晶レンズ12に入射する。この光の偏光方向a13は液晶レンズ12の配向処理方向a4、a5と略直交しているので進行方向が変わることなく出射する。液晶レンズ12から出射した光である画像光IMLの偏光方向a14は、図中のY方向と略平行となる。この画像光IMLによって表示画像が形成される。
【0019】
外部から液晶レンズ12に入射する無偏光の外光EXLは、液晶レンズ12を透過して反射型偏光板11に入射し、透過軸a3と同じ偏光方向の光が反射型偏光板11を透過し、さらに偏光板10d、液晶パネル11cを透過する。この液晶パネル10cを透過した光は、偏光板10bの透過軸a1とは偏光方向が略直交するので、バックライト10aまでは到達せずに偏光板10bに吸収される。また、反射型偏光板11に入射した光のうち透過軸a3と略直交する偏光方向の光は反射型偏光板11によって反射されて液晶レンズ12へ戻る。この液晶レンズ12へ戻った光は、偏光方向が液晶レンズ12の配向処理方向a4、a5と略平行であるので、電圧印加によってレンズ作用を奏する状態(第1状態)である液晶レンズ12によって屈折作用を受け、角度θで屈折して液晶レンズ12から出射する。この角度θは、液晶レンズ12の構成にもよるが、例えば10°以上の角度を得ることができる。すなわち、外光EXLによる反射光は、可変ミラー付き表示装置1の正面方向ではなく斜め方向へ進行する。
【0020】
本実施形態では、上記したようにバックライト10aから放出される面状の光が液晶パネル10cに入射すると、この光が液晶パネル10cにおいて適宜に変調され、偏光板10dを透過することで表示ユニット10によって画像光が形成される。この画像光は、反射型偏光板11をそのまま通過し、さらに液晶レンズ12もそのまま通過する画像光IMLとなり、これによって表示画像が形成される。一方、外光EXLの場合には、外光EXLの中で最も外光の映り込みの原因となる反射型偏光板11によって反射される外光成分が、液晶レンズ12を通過した後に反射型偏光板11によって反射されて液晶レンズ12に戻る。このとき、液晶レンズ12は、液晶レンズ12を透過する際に電圧印加によってレンズ作用を奏する状態(第1状態)であるので、光反射型偏光板11によって反射されて液晶レンズ12に戻ってきた光成分は、上記したように液晶レンズ12によって屈折作用を受け、角度θで屈折して液晶レンズ12から出射する。すなわち、画像光IMLと反射型偏光板11によって反射される外光成分の進行方向が異なるものとなる。換言すれば、画像光IMLと反射型偏光板11によって反射される外光成分との分離性がよくなる。つまり、表示画像に対する外光EXLによる写り込みを低減することができる。特に、ルームミラーとして用いる場合において、液晶レンズ12によって角度θで屈折して斜め方向へ進行する方向として、角度θがルームミラーを中心として運転者(表示装置1の観察者)側と異なる方向、例えば反対方向や、上側方向に向くように設定すれば、運転者に届く映り込み光を低減することができるので、例えば角度θが5°程度であっても外光EXLによる写り込みを実質的に無視できるようにすることができる。
【0021】
なお、上記した説明では、理解を容易とするために外光EXLの中で液晶レンズ12および反射型偏光板11を透過して表示パネル10に入射した光成分については、バックライト10aまでは到達せずに偏光板11bに吸収されるものとして説明した。しかしながら外光EXLの中で表示パネル10に到達する外光成分は、厳密には、表示パネル10の中で液晶パネル10cの影響も受ける。そのため、一部の光は液晶パネル10cにより偏光方向が90°回転して偏光板10bを透過し、バックライト10aに入射する。このとき、バックライト10aに到達した外光EXLの中の一部の光成分はバックライト10aによって反射される。バックライト10aは正反射面ではないため拡散反射が生じる。これにより、偏光板10bによって偏光成分の殆どが吸収される。すなわち、バックライト10aに入射した外光EXLの殆どの成分は、減衰して可変ミラー付き表示装置1の外に反射されない。つまり、反射型偏光板11を透過した外光成分についても写り込みを低減することができる。
【0022】
他方で、図3(B)に示すように、表示ユニット10が非画像表示状態(OFF)である場合には画像光IMLは形成されない。このとき、液晶レンズ12に入射する無偏光の外光EXLのうち、反射型偏光板11の透過軸a3を同じ偏光方向の光は上記と同様に偏光板10bまでは到達するがバックライト10aまでは到達せずに偏光板10bに吸収される。また、反射型偏光板11に入射した光のうち透過軸a3と略直交する偏光方向の光は反射型偏光板11によって反射されて液晶レンズ12へ戻るが、この液晶レンズ12へ戻った光は電圧無印加によりレンズ作用を奏しない状態(第2状態)である液晶レンズ12をそのまま透過する。すなわち、外光EXLによる反射光は、可変ミラー付き表示装置1の正面方向へ反射して進行する。従って、この反射光により運転者に対して後方の様子を視認させることができる。
【0023】
次に上記した実施形態の変形例について説明する。上記した実施形態の可変ミラー付き表示装置1において、反射型偏光板11が金属反射膜を透過する厚みで形成して構成されたハーフミラーに置き換えることができる。他の構成については上記した実施形態と同一としているのでここでの説明を省略し、上記した実施形態と同一の図面である図1を参照しながら当該変形例について説明する。画像光IMLの生成過程については上記した実施形態の可変ミラー付き表示装置1の場合と概ね同様であり、表示ユニット10から出射する光は偏光方向a12の光となる。この光がそのままハーフミラーを透過してから、液晶レンズ12を通過して画像光IMLを出射する。
【0024】
他方、外光EXLについては、液晶レンズ12を通過してその一部成分光がハーフミラーによって反射され、他の一部成分光がハーフミラーを透過して表示ユニット10に到達する。ハーフミラーによって反射された一部成分光は液晶レンズ12に戻る。このとき液晶レンズ12の配向処理方向a4、a5と略平行な偏光成分の光成分については、電圧印加状態(ON)の液晶レンズ12による屈折作用を受け、屈折して液晶レンズ12から出射する。すなわち、可変ミラー付き表示装置1の正面方向ではなく斜め方向へ進行する。また、ハーフミラーによって反射された一部成分光のうち、液晶レンズ12の配向処理方向a4、a5と略直交する偏光成分の光成分については、電圧印加状態(ON)の液晶レンズ12による屈折作用を受けない。すなわち、屈折せずにそのまま液晶レンズ12から出射する。すなわち、外光EXLの中で最も映り込みの原因となるハーフミラーによる反射光は、その反射光の概ね50%の光成分については可変ミラー付き表示装置1の正面方向ではなく斜め方向へ進行するので、画像光IMLとの分離性がよくなる。なお、ハーフミラーによる反射光の残りの概ね50%の光成分については液晶レンズ12による屈折作用を受けないため、上記した反射型偏光板11を用いた場合に比べて映り込み光の画像光IMLとの分離性は良くない。しかしながら、反射型偏光板11よりも安価なハーフミラーを用いて映り込み光をある程度低減できる。反射型偏光板11に比べて設置する際に透過軸の方向を考慮する必要がなく簡単に組立ができるというメリットもある。
【0025】
また、外光EXLの光成分の中で、ハーフミラーを通過する光はハーフミラーにより減衰する。さらに表示ユニット10に到達した光成分のうち、偏光板10bの透過軸a1と偏光方向が略直交する成分光は液晶素子10cまでは到達せずに偏光板10bに吸収される。また。偏光板10bの透過軸a1と偏光方向が略等しい成分光については、上記した実施形態と概ね同一であり、表示ユニット10によって吸収若しくは減衰される。これにより、外光EXLの光成分の中で、ハーフミラーを通過する光成分についても画像表示状態における外光の映り込みを低減することができる。
【0026】
図4(A)、図4(B)は、他の変形実施形態の可変ミラー付き表示装置1aの構成及び動作を説明するための図である。なお、図4(A)及び図4(B)では、動作を分かりやすくするためにカバーガラス13、反射防止膜14及び制御装置15の図示を省略している。図4(A)は種々の画像表示を行う機能を発揮する際の動作を示し、図4(B)は運転者が後方を確認するためのミラーとしての機能を発揮する際の動作を示している。
【0027】
可変ミラー付き表示装置1aは、上記した図1に示した実施形態の可変ミラー付き表示装置1と比較して、液晶レンズ12が2つの液晶レンズ12a、12bに置き換えられている点が異なっている。液晶レンズ12bは、反射型偏光板11の前面側(光出射側)に配置されている。液晶レンズ12aは、液晶レンズ12bの前面側(光出射側)に配置されている。液晶レンズ12aの各配向処理方向a4、a5はX方向と略平行であり、液晶レンズ12bの各配向処理方向a7、a8もX方向と略平行である。つまり、液晶レンズ12aの各配向処理方向a4、a5と液晶レンズ12bの各配向処理方向a7、a8とは略平行である。
【0028】
図4(A)に示すように、画像光IMLの生成過程については上記した実施形態の可変ミラー付き表示装置1の場合と概ね同様である。他方、外光EXLについては、2つの液晶レンズ12a、12bを透過し、反射型偏光板11によって反射されて液晶レンズ12bに入射し、液晶レンズ12bを出射して液晶レンズ12aに入射する。
【0029】
反射光のうち、液晶レンズ12aの配向処理方向a4、a5と略平行な偏光成分の光と液晶レンズ12bの配向処理方向a7、a8と略平行な偏光成分の光とが、電圧印加状態(ON)の各液晶レンズ12a、12bによる屈折作用を受け、屈折して液晶レンズ12aから出射する。2つの液晶レンズ12a、12bの配向処理方向を略平行としているので、配向処理方向a4、a5、a7、a8と略平行な偏光成分の光は、各液晶レンズ12a、12bによる屈折作用を受けて出射する。すなわち、外光EXLによる反射光は、可変ミラー付き表示装置1aの正面方向ではなく、1枚の液晶レンズを用いる場合に比べて斜め方向へより大きく屈曲して進行させることができる。よって、画像光IMLとの分離性がよくなる。つまり、表示画像に対する外光EXLによる写り込みを低減することができる。
【0030】
他方で、図4(B)に示すように、表示ユニット10が非画像表示状態(OFF)である場合には画像光IMLは形成されない。このとき、液晶レンズ12aに入射する無偏光の外光EXLのうちの一部成分は液晶レンズ12bを透過し、反射型偏光板11によって反射されて液晶レンズ12bへ戻る。この液晶レンズ12bへ戻った光は電圧無印加状態(OFF)である各液晶レンズ12a、12bをそのまま透過する。すなわち、外光EXLによる反射光は、可変ミラー付き表示装置1の正面方向へ反射して進行する。従って、運転者に対して後方の様子を視認させることができる。
【0031】
以上のような各実施形態によれば、少なくとも鏡状態と画像表示状態とを切り替え可能な可変ミラー付き表示装置の画像表示状態における外光の映り込みを低減することができる。
【0032】
なお、本開示は上記した各実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば上記した各実施形態では表示ユニットの一例として液晶パネルを用いたものを示していたが表示ユニットの構成はこれに限定されず、直線偏光ないし円偏光の画像光を出射する表示ユニットであればよく、例えば有機エレクトロルミネセンス素子を用いた表示ユニットであってもよい。また、上記した各実施形態では本開示に係る可変ミラー付き表示装置の用途例として車載ミラーを挙げていたが本開示の適用範囲はこれに限定されず、例えば住宅設備などの民生品に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1:可変ミラー付き表示装置、10:表示ユニット、10a:バックライト、10b、10d:偏光板、10c:液晶パネル、11:反射型偏光板、12:液晶レンズ、13:カバーガラス、14:反射防止膜、15:制御装置
図1
図2
図3
図4