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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112860
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】レベルシフタ
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0185 20060101AFI20230807BHJP
   H03K 19/0175 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
H03K19/0185 210
H03K19/0175 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014835
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 省治
【テーマコード(参考)】
5J056
【Fターム(参考)】
5J056AA37
5J056BB46
5J056BB51
5J056CC02
5J056DD13
5J056DD28
5J056DD55
5J056FF08
(57)【要約】
【課題】レベルシフタの内部素子を低耐圧化する。
【解決手段】レベルシフタ20は、例えば、第1電圧V21が印加される第1電圧ラインL21と、第2電圧V22が印加される第2電圧ラインL22と、第3電圧V23が印加される第3電圧ラインL23と、第1電圧ラインL21と第2電圧ラインL22との間に設けられるカレントミラー28と、第2電圧V22と第3電圧V23との間でパルス駆動される入力信号IN2(本図では反転入力信号IN2B)を受け付ける第1ノードn21と、カレントミラー28の出力端から出力信号OUTを引き出す第2ノードn22と、カレントミラー28の入力端と第2電圧ラインL22との間に設けられる第1抵抗26と、第1ノードn21と第2ノードn22との間に設けられる第2抵抗27と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧が印加されるように構成された第1電圧ラインと、
第2電圧が印加されるように構成された第2電圧ラインと、
第3電圧が印加されるように構成された第3電圧ラインと、
前記第1電圧ラインと前記第2電圧ラインとの間に設けられるように構成されたカレントミラーと、
前記第2電圧と前記第3電圧との間でパルス駆動される入力信号を受け付けるように構成された第1ノードと、
前記カレントミラーの出力端から出力信号を引き出すように構成された第2ノードと、
前記カレントミラーの入力端と前記第2電圧ラインとの間に設けられるように構成された第1抵抗と、
前記第1ノードと前記第2ノードとの間に設けられるように構成された第2抵抗と、
を備える、レベルシフタ。
【請求項2】
前記第1ノードと前記第2ノードとの間に設けられるように構成されたダイオード接続トランジスタをさらに備える、請求項1に記載のレベルシフタ。
【請求項3】
前記ダイオード接続トランジスタのゲート・ソース間電圧は、前記カレントミラーを形成するトランジスタのゲート・ソース間電圧よりも高い電圧値に設定されている、請求項2に記載のレベルシフタ。
【請求項4】
前記ダイオード接続トランジスタは、Nチャネル型である、請求項2又は3に記載のレベルシフタ。
【請求項5】
前記第2抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のレベルシフタ。
【請求項6】
単一の前記第1抵抗は、複数組の前記第1ノード、前記第2ノード及び前記第2抵抗に共有される、請求項1~5のいずれか一項に記載のレベルシフタ。
【請求項7】
前記第1電圧>前記第2電圧>前記第3電圧である、請求項1~6のいずれか一項に記載のレベルシフタ。
【請求項8】
前記第1電圧<前記第2電圧<前記第3電圧である、請求項1~6のいずれか一項に記載のレベルシフタ。
【請求項9】
前記第2電圧ラインと前記第3電圧ラインとの間に設けられて前記第1ノードに前記入力信号を出力するように構成されたインバータをさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のレベルシフタ。
【請求項10】
ゲートが前記第2ノードに接続されるように構成された出力トランジスタをさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のレベルシフタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、レベルシフタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なる電圧ドメイン間で信号を伝達するレベルシフタが種々のアプリケーションで用いられている。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-70333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のレベルシフタは、内部素子の低耐圧化(延いては小型化)について更なる検討の余地があった。
【0006】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記課題に鑑み、内部素子を低耐圧化することのできるレベルシフタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中に開示されているレベルシフタは、第1電圧が印加されるように構成された第1電圧ラインと、第2電圧が印加されるように構成された第2電圧ラインと、第3電圧が印加されるように構成された第3電圧ラインと、前記第1電圧ラインと前記第2電圧ラインとの間に設けられるように構成されたカレントミラーと、前記第2電圧と前記第3電圧との間でパルス駆動される入力信号を受け付けるように構成された第1ノードと、前記カレントミラーの出力端から出力信号を引き出すように構成された第2ノードと、前記カレントミラーの入力端と前記第2電圧ラインとの間に設けられるように構成された第1抵抗と、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に設けられるように構成された第2抵抗とを備える。
【0008】
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く発明を実施するための形態及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
【発明の効果】
【0009】
本明細書中に開示されている発明によれば、内部素子を低耐圧化することのできるレベルシフタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、レベルシフタの比較例を示す図である。
図2図2は、レベルシフタの第1実施形態を示す図である。
図3図3は、レベルシフタの第2実施形態を示す図である。
図4図4は、レベルシフタの第3実施形態を示す図である。
図5図5は、レベルシフタの第4実施形態を示す図である。
図6図6は、レベルシフタの第5実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<レベルシフタ(比較例)>
図1は、レベルシフタの比較例(=後出の実施形態と対比される一般的な構成)を示す図である。本比較例のレベルシフタ10は、インバータ11及び12と、トランジスタ13及び14(例えばNMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor])と、トランジスタ15~19(PMOSFET[P-channel type MOSFET])と、第1電圧ラインL11と、第2電圧ラインL12と、第3電圧ラインL13と、第4電圧ラインL14と、を備える。
【0012】
第1電圧ラインL11には、第1電圧V11(例えば20V)が印加される。第2電圧ラインL12には、第2電圧V12(例えば5V)が印加される。第3電圧ラインL13には、第3電圧V13(例えば0V)が印加される。第4電圧ラインL14には、第4電圧V14(例えば14V)が印加される。
【0013】
インバータ11は、第2電圧V12の供給を受けて動作し、入力信号IN1を論理反転して出力する。インバータ12は、インバータ11の出力信号を論理反転して出力する。
【0014】
トランジスタ13のゲートは、インバータ11の出力端に接続されている。トランジスタ14のゲートは、インバータ12の出力端に接続されている。トランジスタ13及び14それぞれのソースは、いずれも第3電圧ラインL13に接続されている。
【0015】
トランジスタ15のドレインは、トランジスタ13のドレインに接続されている。トランジスタ16のドレインは、トランジスタ14のドレインに接続されている。トランジスタ15及び16それぞれのゲートは、いずれも第4電圧ラインL14に接続されている。
【0016】
トランジスタ17のドレインとトランジスタ18のゲートは、いずれもトランジスタ15のソースに接続されている。トランジスタ18のドレインとトランジスタ17のゲートは、いずれもトランジスタ16のドレインに接続されている。トランジスタ17及び18それぞれのソースは、いずれも第1電圧ラインL11に接続されている。
【0017】
トランジスタ19のゲートは、トランジスタ18のドレイン(=出力信号OUT1の出力端に相当)に接続されている。
【0018】
本比較例のレベルシフタ10において、入力信号IN1がハイレベル(=V12)であるときには、出力信号OUT1がローレベル(=V14+Vgs16、ただしVgs16はトランジスタ16のゲート・ソース間電圧)となる。一方、入力信号IN1がローレベル(=V13)であるときには、出力信号OUT1がハイレベル(=V11)となる。
【0019】
すなわち、本比較例のレベルシフタ10は、低電圧ドメイン(例えば5V/0V)の入力信号IN1をレベルシフトして高電圧ドメイン(例えば20V/15V)の出力信号OUT1を生成する。
【0020】
ただし、本比較例のレベルシフタ10では、トランジスタ13~16それぞれのドレイン・ソース間に高電圧(=V11-V13)が印加され得る。そのため、トランジスタ13~16として高耐圧素子を用いる必要があり、マスク枚数の追加に繋がる。
【0021】
上記の考察に鑑み、以下では、レベルシフタの内部素子を低耐圧化することのできる新規な実施形態を提案する。
【0022】
<レベルシフタ(第1実施形態)>
図2は、レベルシフタの第1実施形態を示す図である。本実施形態のレベルシフタ20は、インバータ21と、トランジスタ22(例えばNMOSFET)と、トランジスタ23~25(例えばPMOSFET)と、第1抵抗26と、第2抵抗27と、第1電圧ラインL21と、第2電圧ラインL22と、第3電圧ラインL23と、第1ノードn21と、第2ノードn22と、を備える。
【0023】
第1電圧ラインL21には、第1電圧V21(例えば20V)が印加される。第2電圧ラインL22には、第2電圧V22(例えば5V)が印加される。第3電圧ラインL23には、第3電圧V23(例えば0V)が印加される。なお、本実施形態のレベルシフタ20では、V21>V22>V23が成立している。
【0024】
インバータ21は、第2電圧ラインL22と第3電圧ラインL23との間に設けられており、入力信号IN2の論理レベルを反転させた反転入力信号IN2Bを生成して第1ノードn21に出力する。なお、反転入力信号IN2Bは、入力信号IN2がハイレベルであるときにローレベル(=V23)となり、入力信号IN2がローレベルであるときにハイレベル(=V22)となる。このように、第1ノードn21は、第2電圧V22と第3電圧V23との間でパルス駆動される反転入力信号IN2Bを受け付けるための入力ノードに相当する。
【0025】
トランジスタ22のソースは、第1ノードn21(=反転入力信号IN2Bの印加端)に接続されている。トランジスタ22のゲート及びドレインは、互いに短絡されている。このように接続されたトランジスタ22は、第1ノードn21と第2ノードn22(=出力信号OUT2の印加端)との間に設けられるダイオード接続トランジスタに相当する。
【0026】
なお、レベルシフタ20の製造ばらつきに依ることなくトランジスタ25を確実にオフ状態とするためには、トランジスタ22のゲート・ソース間電圧Vgs22をトランジスタ23のゲート・ソース間電圧Vgs23よりも高い電圧値に設定することが望ましい。
【0027】
トランジスタ23及び24それぞれのソースは、いずれも第1電圧ラインL21に接続されている。トランジスタ23及び24それぞれのゲートは、いずれもトランジスタ23のドレインに接続されている。このように接続されたトランジスタ23及び24は、第1電圧ラインL21と第2電圧ラインL22との間に設けられてトランジスタ23のドレイン電流をトランジスタ24のドレイン電流としてミラーするカレントミラー28を形成している。なお、トランジスタ24のドレインは、第2ノードn22に接続されている。また、トランジスタ25(=出力トランジスタに相当)のゲートは、第2ノードn22に接続されている。このように、第2ノードn22は、カレントミラー28の出力端から出力信号OUT2を引き出すための出力ノードに相当する。
【0028】
第1抵抗26は、トランジスタ23のドレイン(=カレントミラー28の入力端)と第2電圧ラインL22との間に設けられている。第2抵抗27は、トランジスタ24のドレイン(=カレントミラー28の出力端に相当)とトランジスタ22のドレインとの間、延いては、第1ノードn21と第2ノードn22との間に設けられている。本実施形態のレベルシフタ20において、第1抵抗26及び第2抵抗27それぞれの抵抗値は同値であってもよい。例えば、第1抵抗26及び第2抵抗27それぞれの抵抗値は、いずれも5~10MΩ(1V当たり1MΩ程度)に設定してもよい。
【0029】
本実施形態のレベルシフタ20において、入力信号IN2がハイレベルであり、反転入力信号IN2Bがローレベル(=V23)であるときには、出力信号OUT2がローレベル(=V23+Vgs22+V27、ただしVgs22はトランジスタ22のゲート・ソース間電圧とし、V27は第2抵抗27の両端間電圧とする)となる。一方、入力信号IN2がローレベルであり、反転入力信号IN2Bがハイレベル(=V22)であるときには、出力信号OUT2がハイレベル(=V22+Vgs22+V27)となる。
【0030】
ここで、トランジスタ22のゲート・ソース間電圧Vgs22と第2抵抗27の両端間電圧V27との和(=Vgs22+V27)は、カレントミラー28の働きにより、トランジスタ23のゲート・ソース間電圧Vgs23と第1抵抗26の両端間電圧V26との和(=Vgs23+V26)と一致する。
【0031】
すなわち、第1ノードn21と第2ノードn22との間に印加される電圧(=OUT2-IN2B)は、第1電圧ラインL21と第2電圧ラインL22との間に印加される電圧(=V21-V22)と一致する。
【0032】
従って、出力信号OUT2のローレベルは、例えば15V(=V23+(V21-V22))となる。一方、出力信号OUT2のハイレベルは、例えば20V(=V22+(V21-V22))となる。
【0033】
このように、本実施形態のレベルシフタ20は、低電圧ドメイン(例えば5V/0V)の反転入力信号IN2Bをレベルシフトして高電圧ドメイン(例えば20V/15V)の出力信号OUT2を生成することができる。
【0034】
また、本実施形態のレベルシフタ20では、第1抵抗26及び第2抵抗27それぞれの両端間にのみ高電圧が印加される。逆に言うと、トランジスタ22及び23にはそれぞれのゲート・ソース間電圧Vgs22及びVgs23(それぞれ1V未満)しか印加されることがなく、トランジスタ24にも最高5V程度しか印加されない。
【0035】
従って、レベルシフタ20の内部素子を低耐圧化することができるので、先出の比較例(図1)よりもマスク枚数を減らして回路規模を縮小することが可能となる。
【0036】
なお、本実施形態のレベルシフタ20は、比較的低速なデバイス(不揮発メモリなど)に好適である。
【0037】
<レベルシフタ(第2実施形態)>
図3は、レベルシフタの第2実施形態を示す図である。本実施形態のレベルシフタ20は、先出の第1実施形態(図2)を基本としつつ、トランジスタ22が省略されている。そこで、既出の構成要素については、図2と同一の符号を付すことにより重複した説明を省略し、以下では、本実施形態の特徴部分についてのみ重点的に説明する。
【0038】
本構成を採用する場合、第2抵抗27の抵抗値は、第1抵抗26の抵抗値よりも高い値に設定すればよい。より具体的に述べると、第2抵抗27の抵抗値は、第2抵抗27の両端間電圧V27がトランジスタ23のゲート・ソース間電圧Vgs23と第1抵抗26の両端間電圧V26との和(=Vgs23+V26)に等しくなるように設定すればよい。
【0039】
本実施形態のレベルシフタ20であれば、先出の第1実施形態(図2)と同様の効果を享受しつつ、さらにトランジスタ22の省略分だけ回路規模を縮小することができる。
【0040】
<レベルシフタ(第3実施形態)>
図4は、レベルシフタの第3実施形態を示す図である。本実施形態のレベルシフタ20は、先出の第1実施形態(図2)を基本としつつ、Nチャネル型のトランジスタ22に代えて、Pチャネル型のトランジスタ29(例えばPMOSFET)が設けられている。そこで、既出の構成要素については、図2と同一の符号を付すことにより重複した説明を省略し、以下では、本実施形態の特徴部分についてのみ重点的に説明する。
【0041】
トランジスタ29のソースは、第2抵抗27に接続されている。トランジスタ29のゲート及びドレインは、いずれも第1ノードn21に接続されている。
【0042】
このように、Nチャネル型のトランジスタ22をPチャネル型のトランジスタ29に置換しても、先出の第1実施形態(図2)と同様の効果を享受することが可能である。ただし、Pチャネル型のトランジスタ29は、バックゲートとなるNウェルを他のNウェルから分離して形成する必要がある。そのため、Nチャネル型のトランジスタ22を用いる第1実施形態(図2)9よりもレイアウト面積が大きくなり易い点には留意が必要である。
【0043】
<レベルシフタ(第4実施形態)>
図5は、レベルシフタの第4実施形態を示す図である。本実施形態のレベルシフタ20は、先出の第1実施形態(図2)を基本としつつ、複数の入出力系統を備えている。本図に即して述べると、本実施形態のレベルシフタ20は、インバータ21x及び21yと、トランジスタ22x及び22yと、トランジスタ23と、トランジスタ24x及び24yと、トランジスタ25x及び25yと、第1抵抗26と、第2抵抗27x及び27yと、第1電圧ラインL21と、第2電圧ラインL22と、第3電圧ラインL23と、第1ノードn21x及びn21yと、第2ノードn22x及びn22yと、を備える。
【0044】
インバータ21xは、第2電圧ラインL22と第3電圧ラインL23との間に設けられており、入力信号IN2xの論理レベルを反転させた反転入力信号IN2xBを生成して第1ノードn21xに出力する。なお、反転入力信号IN2xBは、入力信号IN2xがハイレベルであるときにローレベル(=V23)となり、入力信号IN2xがローレベルであるときにハイレベル(=V22)となる。このように、第1ノードn21xは、第2電圧V22と第3電圧V23との間でパルス駆動される反転入力信号IN2xBを受け付けるための入力ノードに相当する。
【0045】
インバータ21yは、第2電圧ラインL22と第3電圧ラインL23との間に設けられており、入力信号IN2yの論理レベルを反転させた反転入力信号IN2yBを生成して第1ノードn21yに出力する。なお、反転入力信号IN2yBは、入力信号IN2yがハイレベルであるときにローレベル(=V23)となり、入力信号IN2yがローレベルであるときにハイレベル(=V22)となる。このように、第1ノードn21yは、第2電圧V22と第3電圧V23との間でパルス駆動される反転入力信号IN2yBを受け付けるための入力ノードに相当する。
【0046】
トランジスタ22xのソースは、第1ノードn21x(=反転入力信号IN2xBの印加端)に接続されている。トランジスタ22xのゲート及びドレインは、互いに短絡されている。このように接続されたトランジスタ22xは、第1ノードn21xと第2ノードn22x(=出力信号OUT2xの印加端)との間に設けられるダイオード接続トランジスタに相当する。
【0047】
トランジスタ22yのソースは、第1ノードn21y(=反転入力信号IN2yBの印加端)に接続されている。トランジスタ22yのゲート及びドレインは、互いに短絡されている。このように接続されたトランジスタ22yは、第1ノードn21yと第2ノードn22y(=出力信号OUT2yの印加端)との間に設けられるダイオード接続トランジスタに相当する。
【0048】
なお、レベルシフタ20の製造ばらつきに依ることなくトランジスタ25x及び25yをそれぞれ確実にオフ状態とするためには、トランジスタ22x及び22yそれぞれのゲート・ソース間電圧Vgs22x及びVgs22yをトランジスタ23のゲート・ソース間電圧Vgs23よりも高い電圧値に設定することが望ましい。
【0049】
トランジスタ23、24x及び24yそれぞれのソースは、いずれも第1電圧ラインL21に接続されている。トランジスタ23、24x及び24yそれぞれのゲートは、いずれもトランジスタ23のドレインに接続されている。このように接続されたトランジスタ23、24x及び24yは、第1電圧ラインL21と第2電圧ラインL22との間に設けられてトランジスタ23のドレイン電流をトランジスタ24x及び24yそれぞれのドレイン電流としてミラーするカレントミラー28を形成している。
【0050】
なお、トランジスタ24xのドレインは、第2ノードn22xに接続されている。トランジスタ25x(=出力トランジスタに相当)のゲートは、第2ノードn22xに接続されている。このように、第2ノードn22xは、カレントミラー28の第1出力端から出力信号OUT2xを引き出すための出力ノードに相当する。
【0051】
また、トランジスタ24yのドレインは、第2ノードn22yに接続されている。トランジスタ25y(=出力トランジスタに相当)のゲートは、第2ノードn22yに接続されている。このように、第2ノードn22yは、カレントミラー28の第2出力端から出力信号OUT2yを引き出すための出力ノードに相当する。
【0052】
第1抵抗26は、トランジスタ23のドレイン(=カレントミラー28の入力端)と第2電圧ラインL22との間に設けられている。一方、第2抵抗27xは、トランジスタ24xのドレイン(=カレントミラー28の第1出力端)とトランジスタ22xのドレインとの間、延いては、第1ノードn21xと第2ノードn22xとの間に設けられている。また、第2抵抗27yは、トランジスタ24yのドレイン(=カレントミラー28の第2出力端)とトランジスタ22yのドレインとの間、延いては、第1ノードn21yと第2ノードn22yとの間に設けられている。本実施形態のレベルシフタ20において、第1抵抗26と第2抵抗27x及び27yそれぞれの抵抗値は同値であってもよい。
【0053】
このように、複数の入出力系統を備えている場合には、単一の第1抵抗26を複数組の第1ノードn21x並びにn21y、第2ノードn22x並びにn22y、及び、第2抵抗27x並びに27yで共有するとよい。
【0054】
なお、本実施形態のレベルシフタ20において、第2実施形態(図3)に倣いトランジスタ22x及び22yを省略したり、第3実施形態(図4)のようにトランジスタ22x及び22yをNチャネル型からPチャネル型に置換してもよい。
【0055】
<レベルシフタ(第5実施形態)>
図6は、レベルシフタの第5実施形態を示す図である。本実施形態のレベルシフタ30は、インバータ31と、トランジスタ32~35(例えばNMOSFET)と、第1抵抗36と、第2抵抗37と、第1電圧ラインL31と、第2電圧ラインL32と、第3電圧ラインL33と、第1ノードn31と、第2ノードn32と、を備える。
【0056】
第1電圧ラインL31には、第1電圧V31(例えば-20V)が印加される。第2電圧ラインL32には、第2電圧V32(例えば-5V)が印加される。第3電圧ラインL33には、第3電圧V33(例えば0V)が印加される。なお、本実施形態のレベルシフタ30では、V31<V32<V33が成立している。
【0057】
インバータ31は、第2電圧ラインL32と第3電圧ラインL33との間に設けられており、入力信号IN3の論理レベルを反転させた反転入力信号IN3Bを生成して第1ノードn31に出力する。なお、反転入力信号IN3Bは、入力信号IN3がハイレベルであるときにローレベル(=V32)となり、入力信号IN3がローレベルであるときにハイレベル(=V33)となる。このように、第1ノードn31は、第2電圧V32と第3電圧V33との間でパルス駆動される反転入力信号IN3Bを受け付けるための入力ノードに相当する。
【0058】
トランジスタ32のゲート及びドレインは、いずれも第1ノードn31(=反転入力信号IN3Bの印加端)に接続されている。トランジスタ32のソースは、第2抵抗37に接続されている。このように接続されたトランジスタ32は、第1ノードn31と第2ノードn32(=出力信号OUT3の印加端)との間に設けられるダイオード接続トランジスタに相当する。
【0059】
なお、レベルシフタ30の製造ばらつきに依ることなくトランジスタ35を確実にオフ状態とするためには、トランジスタ32のゲート・ソース間電圧Vgs32をトランジスタ33のゲート・ソース間電圧Vgs33よりも高い電圧値に設定することが望ましい。
【0060】
トランジスタ33及び34それぞれのソースは、いずれも第1電圧ラインL31に接続されている。トランジスタ33及び34それぞれのゲートは、いずれもトランジスタ33のドレインに接続されている。このように接続されたトランジスタ33及び34は、第1電圧ラインL31と第2電圧ラインL32との間に設けられてトランジスタ33のドレイン電流をトランジスタ34のドレイン電流としてミラーするカレントミラー38を形成している。なお、トランジスタ34のドレインは、第2ノードn32に接続されている。また、トランジスタ35(=出力トランジスタに相当)のゲートは、第2ノードn32に接続されている。このように、第2ノードn32は、カレントミラー38の出力端から出力信号OUT3を引き出すための出力ノードに相当する。
【0061】
第1抵抗36は、トランジスタ33のドレイン(=カレントミラー38の入力端)と第2電圧ラインL32との間に設けられている。第2抵抗37は、トランジスタ34のドレイン(=カレントミラー38の出力端に相当)とトランジスタ32のソースとの間、延いては、第1ノードn31と第2ノードn32との間に設けられている。本実施形態のレベルシフタ30において、第1抵抗36及び第2抵抗37それぞれの抵抗値は同値であってもよい。
【0062】
本実施形態のレベルシフタ30において、入力信号IN3がハイレベルであり、反転入力信号IN3Bがローレベル(=V32)であるときには、出力信号OUT2がローレベル(=V32-Vgs32-V37、ただしVgs32はトランジスタ32のゲート・ソース間電圧とし、V37は第2抵抗37の両端間電圧とする)となる。一方、入力信号IN3がローレベルであり、反転入力信号IN3Bがハイレベル(=V33)であるときには、出力信号OUT3がハイレベル(=V33-Vgs32-V37)となる。
【0063】
ここで、トランジスタ32のゲート・ソース間電圧Vgs32と第2抵抗37の両端間電圧V37との和(=Vgs32+V37)は、カレントミラー38の働きにより、トランジスタ33のゲート・ソース間電圧Vgs33と第1抵抗36の両端間電圧V36との和(=Vgs33+V36)と一致する。
【0064】
すなわち、第1ノードn31と第2ノードn32との間に印加される電圧(=IN3B-OUT3)は、第1電圧ラインL31と第2電圧ラインL32との間に印加される電圧(=V32-V31)と一致する。
【0065】
従って、出力信号OUT3のローレベルは、例えば-20V(=V32-(V32-V31))となる。一方、出力信号OUT3のハイレベルは、例えば-15V(=V33-(V32-V31))となる。
【0066】
このように、本実施形態のレベルシフタ30では、低電圧ドメイン(例えば0V/-5V)の反転入力信号IN3Bをレベルシフトして高電圧ドメイン(例えば-15V/-20V)の出力信号OUT3を生成することができる。
【0067】
また、本実施形態のレベルシフタ30では、第1抵抗36及び第2抵抗37それぞれの両端間にのみ高電圧が印加される。逆に言うと、トランジスタ32及び33にはそれぞれのゲート・ソース間電圧Vgs32及びVgs33(それぞれ1V未満)しか印加されることがなく、トランジスタ34にも最高5V程度しか印加されない。
【0068】
従って、レベルシフタ30の内部素子を低耐圧化することができるので、先出の比較例(図1)よりもマスク枚数を減らして回路規模を縮小することが可能となる。
【0069】
なお、本実施形態のレベルシフタ30は、先出の第1実施形態(図2)におけるPチャネル型のトランジスタ23~25をNチャネル型に置き換えて極性反転することにより、負出力に対応した形であると言える。
【0070】
また、本実施形態のレベルシフタ30において、第2実施形態(図3)に倣いトランジスタ32を省略したり、第3実施形態(図4)のようにトランジスタ32をNチャネル型からPチャネル型に置換したり、或いは、第4実施形態(図5)と同様に入出力系統を複数備えることも任意である。
【0071】
<総括>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べる。
【0072】
本明細書中に開示されているレベルシフタは、第1電圧が印加されるように構成された第1電圧ラインと、第2電圧が印加されるように構成された第2電圧ラインと、第3電圧が印加されるように構成された第3電圧ラインと、前記第1電圧ラインと前記第2電圧ラインとの間に設けられるように構成されたカレントミラーと、前記第2電圧と前記第3電圧との間でパルス駆動される入力信号を受け付けるように構成された第1ノードと、前記カレントミラーの出力端から出力信号を引き出すように構成された第2ノードと、前記カレントミラーの入力端と前記第2電圧ラインとの間に設けられるように構成された第1抵抗と、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に設けられるように構成された第2抵抗とを備える構成(第1の構成)とされている。
【0073】
なお、上記第1の構成によるレベルシフタは、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に設けられるように構成されたダイオード接続トランジスタをさらに備える構成(第2の構成)にしてもよい。
【0074】
また、上記第2の構成によるレベルシフタにおいて、前記ダイオード接続トランジスタのゲート・ソース間電圧は、前記カレントミラーを形成するトランジスタのゲート・ソース間よりも高い電圧値に設定されている構成(第3の構成)にしてもよい。
【0075】
また、上記第2又は第3の構成によるレベルシフタにおいて、前記ダイオード接続トランジスタは、Nチャネル型である構成(第4の構成)にしてもよい。
【0076】
また、上記第1~第4いずれかの構成によるレベルシフタにおいて、前記第2抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値以上である構成(第5の構成)にしてもよい。
【0077】
また、上記第1~第5いずれかの構成によるレベルシフタにおいて、単一の前記第1抵抗は、複数組の前記第1ノード、前記第2ノード及び前記第2抵抗に共有される構成(第6の構成)にしてもよい。
【0078】
また、上記第1~第6いずれかの構成によるレベルシフタは、前記第1電圧>前記第2電圧>前記第3電圧である構成(第7の構成)にしてもよい。
【0079】
また、上記第1~第6いずれかの構成によるレベルシフタは、前記第1電圧<前記第2電圧<前記第3電圧である構成(第8の構成)にしてもよい。
【0080】
また、上記第1~第8いずれかの構成によるレベルシフタは、前記第2電圧ラインと前記第3電圧ラインとの間に設けられて前記第1ノードに前記入力信号を出力するように構成されたインバータをさらに備える構成(第9の構成)にしてもよい。
【0081】
また、上記第1~第9いずれかの構成によるレベルシフタは、ゲートが前記第2ノードに接続されるように構成された出力トランジスタをさらに備える構成(第10の構成)にしてもよい。
【0082】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲により規定されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0083】
10 レベルシフタ
11、12 インバータ
13、14 トランジスタ(NMOSFET)
15、16、17、18、19 トランジスタ(PMOSFET)
20 レベルシフタ
21、21x、21y インバータ
22、22x、22y トランジスタ(NMOSFET)
23、24、24x、24y、25、25x、25y、29 トランジスタ(PMOSFET)
26 第1抵抗
27、27x、27y 第2抵抗
28 カレントミラー
30 レベルシフタ
31 インバータ
32、33、34、35 トランジスタ(NMOSFET)
36 第1抵抗
37 第2抵抗
38 カレントミラー
L11、L21、L31 第1電圧ライン
L12、L22、L32 第2電圧ライン
L13、L23、L33 第3電圧ライン
L14 第4電圧ライン
n21、n21x、n21y、n31 第1ノード
n22、n22x、n22y、n32 第2ノード
図1
図2
図3
図4
図5
図6