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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112892
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20230807BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
H01L21/30 569F
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014899
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸川 勤博
【テーマコード(参考)】
2H197
5F146
【Fターム(参考)】
2H197AA06
2H197CA06
2H197DA02
2H197DC02
2H197HA03
2H197JA05
5F146AA12
5F146BA04
5F146CA08
5F146DA02
5F146LA14
5F146LA19
(57)【要約】
【課題】レジストパターンの倒れや位置ズレを抑制しつつ、基板の大型化を抑制できる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、半導体基板10にフォトレジストを塗布することと、フォトレジストに光を照射することにより、非変質部と、変質部とを形成することと、非変質部および変質部のどちらかを現像液に溶解させることにより、一方向に間隔を空けて複数配列されるラインパターン42と、互いに隣り合うラインパターン42同士の間に配置されているとともにラインパターン42および半導体基板10に接続されている支持パターン44と、を有するレジストパターン40を形成することと、ラインパターン42をマスクとして用いて、互いに隣り合うラインパターン42同士の間に形成される開口部45および支持パターン44を介して半導体基板10にイオンを注入することによりイオン注入層を形成することと、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板(10)にフォトレジスト(20)を塗布することと、
前記フォトレジストに光を照射することにより、前記フォトレジストのうち光が照射されていない部分である非変質部(22)と、前記フォトレジストのうち光が照射された部分である変質部(24)とを形成することと、
前記非変質部および前記変質部のどちらかを現像液に溶解させることにより、一方向に間隔を空けて複数配列されるラインパターン(42)と、互いに隣り合う前記ラインパターン同士の間に配置されているとともに前記ラインパターンおよび前記半導体基板に接続されている支持パターン(44)と、を有するレジストパターン(40)を形成することと、
前記ラインパターンをマスクとして用いて、互いに隣り合う前記ラインパターン同士の間に形成される開口部(45)および前記支持パターンを介して前記半導体基板にイオンを注入することによりイオン注入層(50)を形成することと、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記レジストパターンを形成する際に、前記半導体基板の厚さ方向における前記支持パターンの長さ(Ts)は、前記半導体基板の厚さ方向における前記ラインパターンの長さ(Tp)の半分以下とすることを含む請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記非変質部および前記変質部のどちらかを現像液に溶解させる時間である現像時間(Xd)の長さに基づいて、前記半導体基板の厚さ方向における前記支持パターンの長さ(Ts)を制御することを含む請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記非変質部は、前記ラインパターンに対応するライン部(222)と、前記支持パターンに対応する支持部(224)と、を有し、
前記フォトレジストに光を照射する際に、前記フォトレジストに光を照射する時間である露光時間(Xe)の長さに基づいて、前記半導体基板の厚さ方向における前記支持部の長さ(Ts_R)を制御することと、
前記レジストパターンを形成する際に、前記変質部を現像液に溶解させることにより、前記レジストパターンを形成することと、
を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記非変質部は、前記ラインパターンに対応するライン部(222)と、前記支持パターンに対応する支持部(224)と、を有し、
前記フォトレジストに光を照射する際に、前記フォトレジストに照射する光の光量の大きさに基づいて、前記半導体基板の厚さ方向における前記支持部の長さ(Ts_R)を制御することと、
前記レジストパターンを形成する際に、前記変質部を現像液に溶解させることにより、前記レジストパターンを形成することと、
を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、レジスト塗布工程と、露光工程と、現像工程と、現像液除去工程と、イオン注入工程とによって製造される半導体装置の製造方法が知られている。レジスト塗布工程では、基板にレジストが塗布される。露光工程では、パターン形成されたマスクを通してレジストに光が照射される。現像工程では、レジストに現像液が塗布されて、レジストの一部が溶かされる。現像液除去工程では、基板が回転することにより現像液が除去されることで、レジストパターンが形成される。イオン注入工程では、レジストパターンがマスクとして用いられて基板にイオン注入がされる。また、現像液除去工程により、レジストパターンは、ラインパターンと、島状に複数設けられた倒れ防止パターンとを有する。倒れ防止パターンにより、基板が回転するときにおける現像液がラインパターンに及ぼす力が緩和される。これにより、ラインパターンの倒れや位置ズレが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-198295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された半導体装置の製造方法では、倒れ防止パターンは、基板上におけるラインパターンの領域の外側に形成されている。このため、倒れ防止パターンを基板上に配置する面積が必要となることから、基板の大きさが大きくなる。
【0005】
本開示は、レジストパターンの倒れや位置ズレを抑制しつつ、基板の大型化を抑制できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、半導体基板(10)にフォトレジスト(20)を塗布することと、フォトレジストに光を照射することにより、フォトレジストのうち光が照射されていない部分である非変質部(22)と、フォトレジストのうち光が照射された部分である変質部(24)とを形成することと、非変質部および変質部のどちらかを現像液に溶解させることにより、一方向に間隔を空けて複数配列されるラインパターン(42)と、互いに隣り合うラインパターン同士の間に配置されているとともにラインパターンおよび半導体基板に接続されている支持パターン(44)と、を有するレジストパターン(40)を形成することと、ラインパターンをマスクとして用いて、互いに隣り合うラインパターン同士の間に形成される開口部(45)および支持パターンを介して半導体基板にイオンを注入することによりイオン注入層(50)を形成することと、を含む半導体装置の製造方法である。
【0007】
これにより、支持パターンが形成されていない場合と比較して、レジストパターンと半導体基板との接触面積が増加する。このため、レジストパターンと半導体基板との密着性が向上する。したがって、レジストパターンが支持される力が増加することから、現像液を除去する際にラインパターンの倒れや位置ズレが抑制される。さらに、支持パターンは、互いに隣り合うラインパターン同士の間に配置されていることにより、半導体基板上において、ラインパターンが形成されている領域の内側に位置する。このため、半導体基板上において、ラインパターンが形成されている領域の外側に、ラインパターンの倒れや位置ズレを抑制するパターンを形成する必要がなくなる。したがって、そのパターン分の面積を半導体基板の面積から削減できることから、半導体基板の大型化が抑制される。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の半導体装置の製造方法における工程フロー図。
図2】半導体装置の製造方法におけるレジスト塗布工程を示す図。
図3】半導体装置の製造方法における露光工程を示す図。
図4】半導体装置の製造方法における現像工程を示す図。
図5】現像時間および支持パターン厚みの関係を示す図。
図6】半導体装置の製造方法における現像液除去工程を示す図。
図7】半導体装置の製造方法におけるレジストパターンが形成されたときを示す図。
図8】半導体装置の製造方法におけるイオン注入工程を示す図。
図9】半導体装置の製造方法におけるレジスト除去工程を示す図。
図10】レジストパターンのラインパターンの位置ズレを示す上面図。
図11】レジストパターンのラインパターンの位置ズレを示す斜視図。
図12】第2実施形態の半導体装置の製造方法における露光工程を示す図。
図13】露光時間および支持厚みの関係を示す図。
図14】第3実施形態の半導体装置の製造方法における露光工程を示す図。
図15】露光工程の光の量および支持厚みの関係を示す図。
図16】半導体装置の製造方法における現像工程を示す図。
図17】他の実施形態の半導体装置の製造方法におけるレジストパターンが形成されたときを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態の半導体装置の製造方法では、SiCやSi等で形成されたn型の半導体基板10に対して、後述するレジストパターン40がマスクとして用いられてイオン注入が行われる。また、この場合に用いられる半導体基板10の表面は、例えば、(0001)Si面になっている。また、半導体基板10のオフ方向は、例えば、<11-20>方向になっている。さらに、半導体基板10のn型不純物濃度は、例えば、1.0×1019/cmになっている。なお、n型不純物は、例えば、窒素やリン等である。
【0012】
第1実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。第1実施形態の製造方法は、図1に示すように、レジスト塗布工程、露光工程、現像工程、現像液除去工程、イオン注入工程およびレジスト除去工程等を含む。
【0013】
レジスト塗布工程において、図2に示すように、回転台15に載置された半導体基板10が用意される。その後、回転台15とともに半導体基板10を回転させながら半導体基板10の表面にフォトレジスト20が塗布される。これにより、遠心力にて半導体基板10に均一なフォトレジスト20が形成される。
【0014】
続いて、露光工程において、図3に示すように、被転写対象となるフォトレジスト20に対して露光によってパターン転写を行うためのレチクル25がフォトレジスト20の上方に配置される。この状態で、例えば、波長の短い遠紫外線等の光Leがレチクル25を通してフォトレジスト20に照射される。これにより、フォトレジスト20のうち光Leが照射されていない部分である非変質部22と、フォトレジスト20のうち光Leが照射された部分である変質部24とが形成される。なお、図3は、概念図であって、図3において、レチクル25を通過した光Leを所定割合に縮小してフォトレジスト20に投光する投影レンズ等を備えた投影光学系の記載は、省略されている。
【0015】
非変質部22は、後述の現像工程における現像液30に溶解されにくくなっている。また、変質部24は、後述の現像工程における現像液30に溶解されやすくなっている。なお、図3において、非変質部22と変質部24との境界が2点鎖線で模式的に示されている。さらに、ここでは、フォトレジスト20は、ポジ型であるところ、ポジ型であることに限定されないで、ネガ型であってもよい。また、フォトレジスト20がネガ型である場合、非変質部22は、後述の現像工程における現像液30に溶解されやすくなり、変質部24が後述の現像工程における現像液30に溶解されにくくなる。
【0016】
続いて、現像工程において、図4に示すように、現像液30がフォトレジスト20に塗布される。これにより、変質部24の一部が溶解される。このとき、非変質部22に対応するラインパターン42と、変質部24の残りに対応する支持パターン44とを有するレジストパターン40が形成される。
【0017】
ラインパターン42は、半導体基板10の面方向の一方向に間隔を空けて複数配列されている。さらに、ラインパターン厚みTpは、ラインパターン幅Wpよりも大きくなっている。これにより、後述のイオン注入工程においてラインパターン42の直下の半導体基板10にイオンが注入されることを阻止する能力である阻止能が向上している。なお、ラインパターン厚みTpは、半導体基板10の厚み方向におけるラインパターン42の長さである。ラインパターン幅Wpは、ラインパターン42の配列方向Dsにおけるラインパターン42の長さである。
【0018】
支持パターン44は、互いに隣り合うラインパターン42同士の間に配置されている。また、支持パターン44は、ラインパターン42の半導体基板10と接する接触部420と配列方向Dsに接続されている。さらに、支持パターン44は、配列方向Dsに延びていることにより、互いに隣り合う接触部420の双方と接続されている。また、支持パターン44は、半導体基板10と半導体基板10の厚み方向に接続されている。これにより、支持パターン44が形成されていない場合と比較してレジストパターン40と半導体基板10との接触面積が増加する。このため、レジストパターン40と半導体基板10との密着性が向上する。したがって、レジストパターン40が支持される力が増加することから、後述するように、現像液除去工程においてラインパターン42の倒れや位置ズレが抑制される。
【0019】
また、図5に示すように、現像時間Xdが長くなることに伴って、変質部24の溶解される部分の厚みが大きくなるため、支持パターン厚みTsが薄くなる。そして、ここでは、支持パターン厚みTsがラインパターン42の厚みの半分以下となるように、実験やシミュレーション等によって現像時間Xdが調整される。なお、現像時間Xdは、変質部24を溶解させる時間である。また、支持パターン厚みTsは、半導体基板10の厚み方向における支持パターン44の長さである。さらに、支持パターン厚みTsは、ラインパターン厚みTpの半分以下になっているところ、ラインパターン42の阻止能、後述のイオン注入の際のイオンの加速電圧や必要な注入深さ等によって設定されてもよい。
【0020】
続いて、現像液除去工程において、図6に示すように、水等の液体を流しながら回転台15とともに半導体基板10を回転させることによって、現像液30および水が半導体基板10の中心から離れる方向に流れる。これにより、現像液30は、洗い出されることで、半導体基板10上から除去される。このとき、ラインパターン42が現像液30および水から力を受けるところ、上記支持パターン44による支持力増加によって、ラインパターン42の倒れや位置ズレが抑制されている。したがって、図7に示すように、それぞれのラインパターン42の形状が維持されたまま、レジストパターン40が残る。また、このとき、互いに隣り合うラインパターン42同士の間の空間である開口部45が形成される。
【0021】
続いて、イオン注入工程において、図8に示すように、イオンの加速電圧や必要な注入深さ等が設定され、ラインパターン42がマスクとして用いられて、イオンが開口部45および支持パターン44を介して半導体基板10に注入される。これにより、半導体基板10の表層部のうち支持パターン44と接続されている位置にイオン注入層50が形成される。なお、図8において、イオンの移動方向が矢印で模式的に示されている。
【0022】
ここで、イオン注入層50は、例えば、活性層である。活性層としては、例えば、MOSFETにおけるp型ベース領域、nソース領域、p型コンタクト領域、FLR、ディープ層等が挙げられる。また、イオン注入層50は、活性層であることに限定されないで、例えば、半導体基板10がSiCで形成されている場合に半導体基板10よりも炭素濃度が高い炭素高濃度層等であってもよい。すなわち、イオン注入層50は、イオン注入種にかかわらずイオン注入が行われた領域であり、p型不純物、n型不純物がイオン注入された領域であってもよいし、不活性なCやSiが注入された領域であってもよい。なお、p型不純物は、例えば、アルミニウムやボロン等である。また、n型不純物は、例えば、窒素やリン等である。さらに、FLRは、Field Limiting Ringの略である。また、ディープ層は、電界緩和層と呼ばれることもある。
【0023】
続いて、レジスト除去工程において、SPM洗浄またはアッシングが行われる。これにより、図9に示すように、レジストパターン40が剥離されて除去される。その後、半導体装置の製造方法として、デバイス形成のための各種工程が行われることにより、例えば、nチャネルMOSFET等が形成されて、半導体装置が製造される。なお、SPMは、Sulfuric acid-hydrogen Peroxide Mixture cleaningの略である。また、ここでは、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたnチャネルMOSFETが形成されるところ、nチャネルMOSFETであることに限定されないで、各構成要素の導電型を反転させたpチャネルMOSFETが形成されてもよい。さらに、MOSFETが形成されることに限定されないで、IGBT等の他の素子が形成されてもよい。
【0024】
以上のように、第1実施形態の製造方法が行われる。この製造方法により、レジストパターン40の倒れや位置ズレが抑制されつつ、半導体基板10の大型化が抑制される。以下、このことについて説明する。
【0025】
ここで、現像液除去工程において、現像液30および水の流れにより、ラインパターン42は、現像液30および水から力を受ける。このとき、支持パターン44が形成されていない場合、レジストパターン40と半導体基板10との密着性が低いため、図10および図11に示すように、ラインパターン42の位置ズレが発生することがある。なお、図10は、ラインパターン42が位置ズレしたときの上面図である。また、図11の斜視図において、位置ズレしていないラインパターン42が破線で示されており、位置ズレしたときのラインパターン42が実線で示されている。
【0026】
これに対して、本実施形態の半導体装置の製造方法では、現像工程においてレジストパターン40を形成する際に、ラインパターン42および支持パターン44が形成される。この支持パターン44は、ラインパターン42および半導体基板10に接続されている。これにより、支持パターン44が形成されていない場合と比較して、レジストパターン40と半導体基板10との接触面積が増加する。このため、レジストパターン40と半導体基板10との密着性が向上する。したがって、レジストパターン40が支持される力が増加することから、現像液除去工程においてラインパターン42の倒れや位置ズレが抑制される。
【0027】
さらに、支持パターン44は、互いに隣り合うラインパターン42同士の間に配置されている。これにより、支持パターン44は、半導体基板10上において、ラインパターン42が形成されている領域の内側に位置する。このため、半導体基板10上において、ラインパターン42が形成されている領域の外側に、ラインパターン42の倒れや位置ズレを抑制するパターンを形成する必要がなくなる。したがって、そのパターン分の面積を半導体基板10の面積から削減できることから、半導体基板10の大型化が抑制される。
【0028】
また、第1実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0029】
[1-1]ここで、特許文献1に記載された半導体装置の製造方法による倒れ防止パターンは、基板上におけるラインパターンの領域の外側に形成されている。このため、ラインパターンの領域外の基板上にイオン注入されると、倒れ防止パターンがイオンの移動を阻害するため、倒れ防止パターン直下の基板と倒れ防止パターン直下でない基板とでイオン注入層の深さが不均一になる。
【0030】
これに対して、本実施形態の半導体装置の製造方法では、支持パターン44は、半導体基板10上において、ラインパターン42が形成されている領域の内側に位置する。このため、ラインパターン42の領域外の半導体基板10上において、イオン注入されてもイオンの移動を阻害するものがないため、イオン注入層の深さが不均一となることが抑制される。
【0031】
[1-2]レジストパターン40が形成される際に、支持パターン厚みTsは、ラインパターン厚みTpの半分以下とされている。これにより、支持パターン厚みTsがラインパターン厚みTpの半分よりも大きい場合と比較して、イオン注入の際に、開口部45を通過して半導体基板10に向かって移動するイオンが支持パターン44により阻害されにくくなる。このため、半導体基板10にイオンが注入されやすくなることから、イオン注入層50が形成されやすくなる。
【0032】
[1-3]レジストパターン40が形成される際に、現像時間Xdの長さに基づいて、支持パターン厚みTsを制御する。これにより、現像時間Xdを調整することで、支持パターン厚みTsを調整して支持パターン44を形成することができる。このため、既存の設備を利用することができる。したがって、既存の設備の改造や新しい設備の導入等を行う必要がないことから、半導体装置のコストが削減される。
【0033】
(第2実施形態)
第2実施形態では、露光工程および現像工程が第1実施形態と異なる。これら以外は、第1実施形態と同様である。このため、第2実施形態における露光工程および現像工程について説明することとし、レジスト塗布工程、現像液除去工程、イオン注入工程およびレジスト除去工程についての説明は省略する。
【0034】
レジスト塗布工程に続く露光工程において、図12に示すように、被転写対象となるフォトレジスト20に対して露光によってパターン転写を行うためのレチクル25がフォトレジスト20の上方に配置される。この状態で、光Leがレチクル25を通してフォトレジスト20に照射される。これにより、非変質部22と、変質部24とが形成される。非変質部22は、現像工程における現像液30に溶解されにくくなっている。また、変質部24は、現像工程における現像液30に溶解されやすくなっている。なお、図12において、非変質部22と変質部24との境界が2点鎖線で模式的に示されている。また、図12は、概念図であって、図12において、レチクル25を通過した光Leを所定割合に縮小してフォトレジスト20に投光する投影レンズ等を備えた投影光学系の記載は、省略されている。
【0035】
さらに、第2実施形態では、非変質部22は、ライン部222と支持部224とを含む。ライン部222は、後工程の現像工程によりラインパターン42となる部分である。また、ライン部222は、半導体基板10の面方向の一方向に間隔を空けて複数配列される。さらに、ライン厚みTp_Rは、ライン幅Wp_Rよりも大きくなっている。なお、ライン厚みTp_Rは、半導体基板10の厚み方向におけるライン部222の長さであって、ラインパターン厚みTpに対応する。ライン幅Wp_Rは、ライン部222の配列方向Dsにおけるライン部222の長さであって、ラインパターン幅Wpに対応する。また、図12において、ライン部222と支持部224との境界が2点鎖線で示されている。
【0036】
これにより、ラインパターン厚みTpがラインパターン幅Wpよりも大きくなる。このため、後工程のイオン注入工程において、ライン部222に対応するラインパターン42の直下の半導体基板10にイオンが注入されることを阻止する能力である阻止能が向上している。
【0037】
支持部224は、現像工程により支持パターン44となる部分であって、互いに隣り合うライン部222同士の間に配置されている。また、支持部224は、ライン部222の半導体基板10と接する接触部226と配列方向Dsに接続されている。さらに、支持部224は、配列方向Dsに延びていることにより、互いに隣り合う接触部226の双方と接続されている。また、支持部224は、半導体基板10と半導体基板10の厚み方向に接続されている。
【0038】
また、光Leの量を一定とした場合、図13に示すように、露光時間Xeが長くなることに伴って、変質部24の厚さが大きくなるため、支持厚みTs_Rが薄くなる。そして、ここでは、支持厚みTs_Rがライン厚みTp_Rの半分以下となるように、実験やシミュレーション等によって露光時間Xeが調整される。これにより、後工程の現像工程において、支持パターン厚みTsがラインパターン厚みTpの半分以下となる。なお、露光時間Xeは、フォトレジスト20に光Leが照射される時間である。また、支持厚みTs_Rは、半導体基板10の厚み方向における支持部224の長さであって、支持パターン厚みTsに対応する。さらに、支持厚みTs_Rは、ライン厚みTp_Rの半分以下になっているところ、支持パターン厚みTsと同様に、ラインパターン42の阻止能、後述のイオン注入の際のイオンの加速電圧や必要な注入深さ等によって設定されてもよい。
【0039】
続いて、現像工程において、現像液30がフォトレジスト20に塗布されることにより、変質部24の全部が溶解される。このとき、図4に示すように、ライン部222に対応するラインパターン42と、支持部224に対応する支持パターン44とを有するレジストパターン40が形成される。したがって、第1実施形態と同様のレジストパターン40が形成されるため、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0040】
[2]露光工程において、露光時間Xeの長さに基づいて、支持厚みTs_Rを制御する。これにより、露光時間Xeを調整することで、支持厚みTs_Rを調整することができる。このため、支持パターン厚みTsを調整して支持パターン44を形成できることから、既存の設備を利用することができる。したがって、既存の設備の改造や新しい設備の導入等を行う必要がないため、半導体装置のコストが削減される。
【0041】
(第3実施形態)
第3実施形態では、露光工程および現像工程が第1実施形態および第2実施形態と異なる。これら以外は、第1実施形態と同様である。このため、第3実施形態における露光工程および現像工程について説明することとし、レジスト塗布工程、現像液除去工程、イオン注入工程およびレジスト除去工程についての説明は省略する。
【0042】
レジスト塗布工程に続く露光工程において、図14に示すように、被転写対象となるフォトレジスト20に対して露光によってパターン転写を行うためのレチクル25がフォトレジスト20の上方に配置される。
【0043】
また、第3実施形態では、レチクル25が第1透過部251および第2透過部252を有する。第1透過部251および第2透過部252は、所望のパターンで形成されているとともに光Leを透過する。さらに、第2透過部252の透過率は、第1透過部251の透過率よりも小さくなっている。これにより、第2透過部252を通る光Leの量は、第1透過部251を通る光Leの量よりも小さくなっている。なお、図14において、光Leの量が矢印の大きさで示されている。また、図14は、概念図であって、図14において、レチクル25を通過した光Leを所定割合に縮小してフォトレジスト20に投光する投影レンズ等を備えた投影光学系の記載は、省略されている。
【0044】
この状態で、光Leがレチクル25を通してフォトレジスト20に照射される。これにより、非変質部22と、変質部24とが形成される。非変質部22は、現像工程における現像液30に溶解されにくくなっている。また、変質部24は、現像工程における現像液30に溶解されやすくなっている。なお、図14において、非変質部22と変質部24との境界が2点鎖線で模式的に示されている。
【0045】
さらに、第3実施形態では、非変質部22は、第2実施形態と同様に、ライン部222と、支持部224とを含む。ライン部222は、後工程の現像工程によりラインパターン42となる部分であって、上記第2実施形態と同様に形成される。このため、ライン部222の詳細な説明は省略する。なお、図14において、ライン部222と支持部224との境界が2点鎖線で示されている。
【0046】
支持部224は、第2透過部252を通る光Leにより変質されなかったフォトレジスト20の部分である。また、支持部224は、後工程の現像工程により支持パターン44となる部分であって、互いに隣り合うライン部222同士の間に配置されている。さらに、支持部224は、ライン部222の半導体基板10と接する接触部226と配列方向Dsに接続されている。また、支持部224は、配列方向Dsに延びていることにより、互いに隣り合う接触部226の双方と接続されている。さらに、支持部224は、半導体基板10と半導体基板10の厚み方向に接続されている。
【0047】
また、露光時間Xeを一定とした場合、図15に示すように、光Leの光量が大きくなることに伴って、変質部24の厚さが大きくなるため、支持厚みTs_Rが薄くなる。そして、ここでは、支持厚みTs_Rがライン厚みTp_Rの半分以下となるように、実験やシミュレーション等によって光Leの量に対応するレチクル25の透過率が調整される。これにより、後工程の現像工程において、支持パターン厚みTsがラインパターン厚みTpの半分以下となる。
【0048】
続いて、現像工程において、現像液30がフォトレジスト20に塗布されることにより、変質部24の全部が溶解される。このとき、図16に示すように、ライン部222に対応するラインパターン42と、支持部224に対応する支持パターン44とを有するレジストパターン40が形成される。したがって、第1実施形態と同様のレジストパターン40が形成されるため、第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第3実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0049】
[3]露光工程において、光Leの光量の大きさに基づいて、支持厚みTs_Rを制御する。これにより、光Leの光量を調整することで、支持厚みTs_Rを調整することができる。このため、支持パターン厚みTsを調整して支持パターン44を形成できることから、既存の設備を利用することができる。したがって、既存の設備の改造や新しい設備の導入等を行う必要がないため、半導体装置のコストが削減される。
【0050】
また、配列方向Dsにおける第1透過部251および第2透過部252の位置を調整することで、支持部224毎に支持厚みTs_Rを調整することができる。このため、支持部224毎に支持部224の大きさを調整できることから、支持パターン44毎に支持パターン44の大きさを調整することができる。
【0051】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0052】
上記各実施形態では、半導体基板10の厚さ方向および配列方向Dsと平行な方向における断面において、支持パターン44は、長方形状に形成されている。また、支持パターン44は、互いに隣り合う接触部420の双方と接続されている。これに対して、支持パターン44は、この形状に形成されることに限定されない。例えば、図17に示すように、半導体基板10の厚さ方向および配列方向Dsに平行な方向における断面において、支持パターン44は、三角形状に形成されてもよい。さらに、支持パターン44は、互いに隣り合う接触部420の片方のみと接続されてもよい。
【0053】
上記各実施形態は、適宜組み合わされてもよい。
【0054】
なお、結晶の方位を示す場合、本来ならば所望の数字の上にバー(-)を付すべきであるところ、電子出願に基づく表現上の制限が存在するため、本明細書においては、所望の数字の前にバーが付されている。
【符号の説明】
【0055】
10 半導体基板
20 フォトレジスト
22 非変質部
222 ライン部
224 支持部
24 変質部
40 レジストパターン
42 ラインパターン
44 支持パターン
50 イオン注入層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
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図16
図17