(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112903
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】動物に対して吐水するための吐水装置
(51)【国際特許分類】
A01K 13/00 20060101AFI20230807BHJP
A01M 29/00 20110101ALI20230807BHJP
B05B 7/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A01K13/00 F
A01M29/00
A01K13/00 M
B05B7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014918
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】390029698
【氏名又は名称】テック大洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕一
【テーマコード(参考)】
2B121
4F033
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121DA62
2B121DA63
2B121DA70
4F033QA06
4F033QA10
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB15X
4F033QC06
4F033QC07
4F033QD02
4F033QD03
4F033QE15
4F033QE23
4F033QF01X
4F033QF02X
4F033QF02Y
4F033QF08X
4F033QF17Y
4F033QF23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】移動及び設置が容易であり、安定して動物に吐水する吐水装置を提供する。
【解決手段】吐水機構11、給水機構12、給気機構13、制御機構14、少なくとも3つの開閉弁、導水管31及び給気管32を備え、吐水機構11は、第1開閉弁を介して導水管31の第1端部と接続しており、給水機構12は、第2開閉弁を介して導水管31の第2端部と接続しており、給気機構13は、給気管32の第1端部と接続しており、給気管32の第2端部は、第3開閉弁を介して、導水管31における第1開閉弁と第2開閉弁の間の部位で接続しており、制御機構14は、吐水機構11、給水機構12、給気機構13、第1開閉弁、第2開閉弁及び第3開閉弁のうちの少なくとも1つと接続している吐水装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水機構、給水機構、給気機構、制御機構、少なくとも3つの開閉弁、導水管及び給気管を備え、
吐水機構は、第1開閉弁を介して導水管の第1端部と接続しており、
給水機構は、第2開閉弁を介して導水管の第2端部と接続しており、
給気機構は、給気管の第1端部と接続しており、
給気管の第2端部は、第3開閉弁を介して、導水管における第1開閉弁と第2開閉弁の間の部位で接続しており、
制御機構は、吐水機構、給水機構、給気機構、第1開閉弁、第2開閉弁及び第3開閉弁のうちの少なくとも1つと接続している、
動物に対して吐水するための吐水装置。
【請求項2】
給気管における第3開閉弁と給気機構の間に、気体清浄化機構を備える、請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
制御機構は、電気回路開閉部及び/又は検知部と接続している、請求項1又は2に記載の吐水装置。
【請求項4】
環境エンリッチメント用又は動物撃退用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物に対して吐水するための吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動物に対して吐水する吐水装置は、動物の飼育時における水洗や給水等の際や、動物の撃退・忌避等による獣害防止・動物忌避の際に用いられてきている。
このような吐水装置として、特許文献1には、複数本の逆U状管を前後して配し、鞍掛様に動物胴上に載架される注水枠を形成し、該枠に散水ノズルを取着した大型家畜水洗装置が開示されている。
また、特許文献2には、猫又は犬が砂場に近寄ると超音波を出力する装置において、超音波を無視して砂場に侵入することを防止するために、砂場に向け放水する放水装置を設けてもよいことが記載されている。
近年は、動物福祉の立場から、飼育されている動物の幸福な暮らしを実現するために、水浴等の手段が注目されている。例えば、動物園等では、放水ノズルやシャワー等により動物に対して放水して、ゾウ、サイ、ライオン、トラ、シカ、ゴリラ、ワニ等の大型動物の水浴が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55-12343号公報
【特許文献2】特開平10-146152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の大型家畜水洗装置は、実質的に水道等の水源に注水枠を連結しただけのものにすぎず、実質的に家畜の体の近傍から吐水するものである。また、動物の体を効率よく水洗するための装置であって、水浴び、飲水、人とのふれあい等の環境エンリッチメントの観点について考慮されたものではない。
特許文献2の放水装置は、その構成の詳細は何ら明らかにされておらず、放水装置の設置容易性、放水安定性、放水距離等の点に問題があると考えられる。
本発明が解決しようとする課題は、移動及び設置が容易であり、吐水目標まで距離があっても吐水を安定して行うことができる、動物に対して吐水する吐水装置を提供することである。
さらに、水浴び、飲水、人とのふれあい等の環境エンリッチメントに好適に用いることができ、動物だけでなく動物にかかわる人も楽しめる、動物に対して吐水する吐水装置を提供することである。
また、動物の撃退・忌避等を好適に行うことができ、獣害防止・動物忌避等に有用な、動物に対して吐水する吐水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、以下の構成を採用することで上記課題が解決できることを見いだし、本発明に到達した。
具体的な構成は、次のとおりである。
[項1]吐水機構、給水機構、給気機構、制御機構、少なくとも3つの開閉弁、導水管及び給気管を備え、
吐水機構は、第1開閉弁を介して導水管の第1端部と接続しており、
給水機構は、第2開閉弁を介して導水管の第2端部と接続しており、
給気機構は、給気管の第1端部と接続しており、
給気管の第2端部は、第3開閉弁を介して、導水管における第1開閉弁と第2開閉弁の間の部位で接続しており、
制御機構は、吐水機構、給水機構、給気機構、第1開閉弁、第2開閉弁及び第3開閉弁のうちの少なくとも1つと接続している、
動物に対して吐水するための吐水装置。
[項2]給気管における第3開閉弁と給気機構の間に、気体清浄化機構を備える、項1に記載の吐水装置。
[項3]制御機構は、電気回路開閉部及び/又は検知部と接続している、項1又は2に記載の吐水装置。
[項4]環境エンリッチメント用又は動物撃退用である、項1~3のいずれか1項に記載の吐水装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、移動及び設置が容易であり、吐水目標まで距離があっても吐水を安定して行うことができる、動物に対して吐水する吐水装置が提供される。
さらに、水浴び、飲水、人とのふれあい等の環境エンリッチメントに好適に用いることができ、動物だけでなく動物に関わる人も楽しめる、動物に対して吐水する吐水装置が提供される。
また、動物の撃退・忌避等を好適に行うことができ、獣害防止・動物忌避等に有用な、動物に対して吐水する吐水装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る吐水装置の一実施形態の回路概略図。
【
図2】本発明に係る吐水装置の一実施形態の側面概略図。
【
図3】本発明に係る吐水装置の一実施形態の上面概略図。
【
図4】本発明に係る吐水装置の別の一実施形態の回路概略図。
【
図5】本発明に係る吐水装置の別の一実施形態の外観概略図。
【
図6】本発明に係る吐水装置の一実施形態の設置概略図。
【
図7】本発明に係る吐水装置の別の一実施形態の設置概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る動物に対して吐水するための吐水装置の好適な一実施態様について説明するが、本発明は、以下の一実施態様に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲において適宜変更することが可能である。なお、異なる図面における同じ参照番号の使用は、類似または同一の項目または特徴を示す。
【0009】
[吐水装置]
図1は、本発明の動物に対して吐水するための吐水装置の一実施形態の回路概略図である。
本発明の動物に対する吐水装置Aは、少なくとも、吐水機構11、給水機構12、給気機構13、制御機構14、少なくとも3つの開閉弁(第1開閉弁21、第2開閉弁22及び第3開閉弁23)、導水管31及び給気管32を備えており、必要に応じて設けられる、任意の形状の筐体(
図1では図示されていない)内にこれらの1つ以上が収納されていてもよい。制御機構14は、吐水機構11、給水機構12、給気機構13、制御機構14、第1開閉弁21、第2開閉弁22及び第3開閉弁23の動作のいずれか1つ以上を制御するために、制御対象が制御可能となるように接続されている。
給水源91から導水管31に供給された水は、給水機構12で増圧され、給気機構13と連結している給気管32からの加圧空気と混合されて、吐水機構11から吐水される。また、吐水機構11と水・加圧空気混合位置との間に第1開閉弁21が、給水機構12と水・加圧空気混合位置との間に第2開閉弁22が、給気機構13と水・加圧空気混合位置との間に第3開閉弁23が、それぞれ設けられている。
【0010】
吐水機構11としては、導水管31の第1端部からの水を吐水する機能を有する機構であれば特に限定されない。例えば、吐水ノズル、放水ノズル、噴霧ノズル、蛇口、シャワーヘッド等が挙げられる。吐水機構11は、第1開閉弁21を介して導水管31の第1端部と接続している。
吐水機構11と水・加圧空気混合位置との間に設けられる第1開閉弁21としては、導水管31から吐水機構11への通水を制御するものであれば特に限定されない。開度を可変可能な制御弁であっても、開閉状態を「開」及び「閉」のいずれかに切替可能な制御弁であってもよい。例えば、電磁開閉弁、電動開閉弁、機械開閉弁、手動開閉弁等のいずれでもよい。本発明においては、第1開閉弁21として、電磁開閉弁を用いることが好ましい。第1開閉弁21を設けることで、吐水のON/OFF制御を確実に行うことが可能であり、吐水機構11からの漏水防止や故障防止に有効である。
本発明においては、第1開閉弁21と水・加圧空気混合位置との間に、適宜の容量の第1タンク41を設けてもよい。第1タンク41の形式等はとくに限定されない。第1タンク41を設けることにより、第1開閉弁21の負荷を軽減することができ、第1開閉弁21の耐久性を向上させることができ、また、止水時における吐水機構11からの漏水を防止することができる。
【0011】
本発明においては、必要に応じて、吐水装置A/吐水機構11の吐水角度及び吐水方向を変更する手段を設けることができる。例えば、吐水機構11としてのノズルを上下左右に移動させる手段や、吐水装置A自体を回転させる手段等を設けることで、吐水装置Aからの吐水方向を調整することができる。
本発明の吐水装置Aは、吐水機構11を1つ以上有することができる。また、第1開閉弁21は、2つ以上の開閉弁を組み合わせたものであってもよい。
【0012】
給水機構12としては、給水源91からの水を導水管31に供給(給水)する機能を有する機構であれば特に限定されない。例えば、ポンプ等が挙げられる。
給水源91としては、例えば、上水道、貯水槽、池、井戸、河川、海等が挙げられる。また、給水源91と給水機構12との間に、適宜の容量の第2タンク42を設けてもよい。第2タンク42の形式等は特に限定されず、例えば加圧タンクが好ましく用いられる。第2タンク42を設けることで、給水機構12から導水管31への給水を安定化することが可能である。
給水機構12により、導水管31に増圧した水を制御して供給することができ、吐水目標まで距離があっても吐水を安定して行うことができる。
給水機構12と水・加圧空気混合位置との間に設けられる第2開閉弁22は、給水機構12から導水管31へ供給される水量等を制御するものであれば特に限定されない。例えば、第1開閉弁21と同様のものがあげられる。本発明においては、第2開閉弁22として、電磁開閉弁を用いることが好ましい。第2開閉弁22を設けることで、給水機構12による導水管31への給水を制御下で行うことが可能となり、また、給水機構12の故障防止に有効である。
本発明においては、第2開閉弁22を迂回する第1迂回路33を設けることができる。第1迂回路33には、第1副開閉弁24が設けられており、第2開閉弁22の故障時等に操作することが可能とされている。第1副開閉弁24は、通水を制御するものであれば特に限定されず、開度を可変可能な制御弁であっても、開閉状態を「開」及び「閉」のいずれかに切替可能な制御弁であってもよい。例えば、電磁開閉弁、電動開閉弁、機械開閉弁、手動開閉弁等のいずれでもよいが、手動開閉弁であることが好ましい。
本発明の吐水装置Aは、給水機構12を1つ以上有することができる。また、第2開閉弁22は、2つ以上の開閉弁を組み合わせたものであってもよい。
【0013】
給気機構13としては、第3開閉弁23を介して給気管32により導水管31に加圧空気を供給する機能を有する機構であれば特に限定されない。例えば、コンプレッサ、ボンベ等が挙げられる。
給気機構13により、放水により減圧した導水管31内に加圧空気が供給されることとなり、これにより安定した吐水が可能となり、さらに、吐水目標まで距離があっても、吐水目標までの吐水を安定して行うことができる。
第3開閉弁23は、給気機構13からの給気管32を経由する導水管31への給気を制御するものであれば特に限定されない。例えば、第1開閉弁21と同様のものがあげられる。本発明においては、第3開閉弁23として、電磁開閉弁を用いることが好ましい。第3開閉弁23を設けることで、給気機構13による導水管31内への加圧空気の供給制御を効果的に行うことが可能となる。
【0014】
給気管32と導水管31との接続位置、水・加圧空気混合位置は、第1開閉弁21と第2開閉弁22の間の部位に設けられる。第1タンク41を有する場合には、第1タンク41と第2開閉弁22の間の部位に設けられる。
本発明においては、第3開閉弁23を迂回する第2迂回路34を設けることができる。第2迂回路34には、第2副開閉弁25が設けられており、第3開閉弁23の故障時等に操作することが可能とされている。第2副開閉弁25は、通気を制御するものであれば特に限定されず、開度を可変可能な制御弁であっても、開閉状態を「開」及び「閉」のいずれかに切替可能な制御弁であってもよい。例えば、電磁開閉弁、電動開閉弁、機械開閉弁、手動開閉弁等のいずれでもよいが、手動開閉弁であることが好ましい。
本発明の吐水装置Aは、給気機構13を1つ以上有することができる。また、第3開閉弁23は、2つ以上の開閉弁を組み合わせたものであってもよい。
【0015】
給気管32における第3開閉弁23と給気機構13の間には、気体清浄化機構51を設けることができる。気体清浄化機構51により、コンプレッサ等の給気機構13から供給される加圧空気中に含まれる油分等の汚染物質を除去することができる。これにより、導水管31を流れる水中に油分等の汚染物質が混入することが防止され、環境エンリッチメント用、動物の水浴びや飲水用の吐水装置とした場合に、動物に対する吐水を安心・安全に行うことができる。特に、吐水装置Aを環境エンリッチメント用とする際には、気体清浄化機構51を設けることが好ましい。気体清浄化機構51は、具体的にはストレーナーやフィルター等を適宜使用できる。
【0016】
制御機構14としては、吐水機構11、給水機構12、給気機構13、第1開閉弁21、第2開閉弁22及び第3開閉弁23の動作のいずれか1つ以上を制御するために、制御対象をそれぞれ独立して制御し得るように接続している。例えば、これらの機構及び/又は弁と電気的に接続することで、これらの機構及び/又は弁の動作(ON/OFF)をそれぞれ独立して(個別に)制御することが可能である。本発明においては、これらの機構及び/又は弁の制御に際しては、相互に動作が連携するように行うことができる。
【0017】
制御機構14は、電気回路開閉部61及び/又は検知部62と接続していてもよい。
制御機構14と電気回路開閉部61を接続することで、制御機構14のON/OFFに基づいて、吐水装置AのON/OFFを行うことができる。電気回路開閉部61としては、例えば、電源92と接続するとともに、電源92から吐水装置A(制御機構14)への通電をON/OFFできる自動又は手動のスイッチが挙げられる。
電気回路開閉部61の設置位置は、特に限定されない。吐水装置Aの筐体の内部、筺体の表面部外側、筺体とは別の位置のいずれでもよい。
制御機構14は、検知部62と接続することで、検知部62からの情報に基づき、吐水の開始や停止を制御することができる。検知部62としては、赤外線センサ、超音波センサ、画像センサ、光センサ、振動センサ等の、動物を検知可能な手段であれば特に限定されない。特に、赤外線センサは、動物の健康被害・ストレスを起こしにくいので、本発明の吐水装置Aにおいて好ましく用いられる。撃退装置として使用する場合は、超音波センサを使用することで侵入動物にストレスをかけ接近を防ぐ事もできる。
検知部62を設ける場所は、検知対象を検知したい場所であれば、とくに限定されない。例えば、吐水装置A(筐体)の内部、吐水装置Aの制御機構14と有線又は無線により接続可能な任意の位置とすることができる。例えば、
図4に示すように、例えば動物の形状の筐体における目の部分等に設けることが可能である。また、例えば、吐水装置Aから離れた位置であって、吐水対象を検知しやすい位置とすることができる。
【0018】
制御機構14は、タイマ等の計時機能や時計機能(図示されていない)を有していてもよい。これにより、決められた時間等に吐水装置Aの吐水動作を自動で発動させ自動で終了させることができる。
制御機構14は、電源92と接続されていてもよい。これにより、計時機能や時計機能の動作や、電気回路開閉部61の操作、検知部62の動作等を、電源92との通電の有無にかかわらず行うことができる。電源92としては、例えば、交流電源、直流電源、発電機、太陽電池、リチウム電池等が挙げられる。電源92を電池とすることで、電源の確保が困難な場所に設置することが可能となる。
制御機構14は、例えば、料金収受手段や読取手段(図示されていない)を設け、これと電気回路開閉部61(起動装置)とを連動させることで、来園者が任意のタイミングで吐水装置Aを起動させ得るようにすることができる。料金収受手段や読取手段を設けることで、園又は館の収入とすることができる。その際、例えばカプセルに入った景品等を払い出す手段と連動させることで、来園者が吐水装置Aを操作するインセンティブを付与することも可能である。
【0019】
本発明の動物に対して吐水するための吐水装置Aは、筐体(
図1では図示されていない)を備えていてもよい。
例えば、少なくとも、給水機構12、給気機構13、制御機構14、第1開閉弁21、第2開閉弁22、第3開閉弁23、給気管32、第1タンク41、第2タンク42、電気回路開閉部61を、筐体内に格納することができる。また、筺体から延出する導水管31の先端に接続する吐水機構11、電気回路開閉部61及び検知部62は、筐体外部に設けられていてもよい。
例えば、少なくとも、吐水機構11、給水機構12、給気機構13、制御機構14、第1開閉弁21、第2開閉弁22、第3開閉弁23、導水管31、給気管32及び気体清浄化機構51、第1タンク41、電気回路開閉部61及び検知部62を、筐体内に格納することができる。その際、電気回路開閉部61及び検知部62は、筐体外部に設けられていてもよい。
【0020】
筺体の形状は特に限定されず、設置場所や設置目的に応じて、適宜定められる。例えば、
図2、
図3及び
図6に示すように、機能的な形状等とすることができる。また、
図4、
図5及び
図7に示すように、例えばゾウの形状とすることで、動物園におけるゾウの水浴・飲用水供給や、環境エンリッチメント用とすることができる。
筺体を形成する材料等はとくに限定されない。例えば、金属、木材、プラスチック、セラミックス、これら1種類以上の複合体等が挙げられる。本発明においては、強度、耐久性、重量、コスト等の点から、金属やFRP(繊維強化プラスチック)等のプラスチックが好ましく用いられる。
【0021】
吐水装置A/筺体の設置方法等は特に限定されない。
例えば、
図2に示すように、吐水装置A/筺体71は、適宜の手段により固定して任意の場所に設置することができる。
例えば、
図4に示すように、吐水装置A/筺体71は、整地後に砕石層85を設け、砕石層85の上に設けられたコンクリート基礎84に、1本以上のオールアンカー(アンカーボルト)82により固定して設置することができる。その際、コンクリート基礎84内に、第2タンク42を設置することができる。また、第2タンク42を筐体71内に設け、第2タンク42が一体化された筺体71をコンクリート基礎84に、1本以上のオールアンカー82により固定して設置することができる。
また、コンクリート基礎84を車体等の移動装置とすることで、吐水装置A/筺体を容易に移動可能とすることが可能である。
【0022】
本発明の吐水装置Aは、動物(飼育動物;例えば、ゾウ)Bによる吐水装置Aの破壊防止のために、空堀(モート)80等の隔離スペースを超えて吐水可能とする場合もある。本発明の吐水装置Aは、給水機構12及び給気機構13による増圧した水を吐水できることから、例えば、5m以上離れた場所への吐水も可能である。
本発明の吐水装置Aにおける吐水機構11を筐体内に設けることができ、この際、筺体に設けられた孔部から吐水するように構成することができる。
本発明の吐水装置Aは、吐水機構11を1つ以上有することができる。また、第1開閉弁24は、2つ以上の開閉弁を組み合わせたものであってもよい。
【0023】
図2は、本発明に係る吐水装置Aを、環境エンリッチメント用として、動物園に設置した一実施形態を示す側面概略図である。
図2において、吐水装置Aは、動物飼育エリアを画定する空堀(モート)80と、人の移動エリアを画定する柵83との間に設けられている。
吐水装置Aの給水機構12、給気機構13、制御機構14、第1開閉弁21、第2開閉弁22及び第3開閉弁23は、吐水装置Aの筐体71内に収容されており、筺体71から導水管31が導出されるとともに先端に吐水機構11が接続されている。吐水機構11は、図示しない吐水方向調整装置により吐水方向を任意の方向に調製することが可能とされている。吐水機構11及び筐体71から導出された導水された導水管31は、保持部材72上に保持されるとともに、空堀(モート)80の上空に設置することができる。これらにより、吐水機構11から吐水された水Cは、空堀(モート)80を隔てた動物(飼育動物)Bに十分届くように構成されている。
また、保持部材72の先端部には、検知部62が設けられており、筐体71内の制御機構14と有線又は無線で接続している。
【0024】
保持部材72は、必要に応じて設けられるワイヤ支柱73及びそれから延出されているワイヤ74により、支持されていてもよい。これにより、保持部材72は、先端が下方に撓むこと等を防止することができる。保持部材72には第1ワイヤ接続部751を、ワイヤ支柱73には第2ワイヤ接続部752をそれぞれ設けることができ、ワイヤ74はこれらの接続部間を結ぶように構成されている。第1ワイヤ接続部751及び/又は第2ワイヤ接続部752は、ワイヤ74の巻取/繰出機能を有していてもよく、これにより、保持部材72を容易に回動させることが可能となる。また、保持部材72の根元部分に上下可動軸77を設けることで、保持部材72の先端部を容易に上下動させることが可能となる。
保持部材72は、空堀(モート)80の側壁81にオールアンカー82で固定された水平回転軸761及び水平回転軸支持部762を中心として回動し得るように構成することができる。保持部材72は、例えば水平回転ハンドル78等を手動又はモータ等の機械的手段により回動し得るように構成されている。モータ等の機械的手段により回動させる場合には、制御機構14と接続することで、保持部材72の回動を制御することができる。
保持部材72は、例えば水平回転軸761を上下動可能とすることで、高さ方向の位置を調整可能とすることができる。
【0025】
図3は、本発明に係る吐水装置Aを、環境エンリッチメント用又は動物撃退用として設置した一実施形態を示す上面概略図である。
図3において、吐水装置Aは、吐水対象(Target)となる動物が存在する又は存在・出没する可能性のある場所に設置されている。吐水対象(Target)となる動物としては、吐水装置Aを環境エンリッチメント用とする場合には、例えば、牧場、動物園、水族館等の飼育動物等が挙げられ、吐水装置Aを動物撃退用とする場合には、例えば、農作物等を荒らすイノシシ、シカ、クマ、アライグマ、ハクビシン、リス、サル、トリ等の野生動物・害獣等や、不法侵入者等のヒトが挙げられる。
吐水装置Aの基本的構造は、
図2に示したものと同様であり、例えば水平回転軸761を中心に保持部材72を回動可能とすることができ、また、例えば水平回転軸761を上下動可能とすることで保持部材72の高さを調整可能とすることができる。また、吐水機構11は、図示しない吐水方向調整装置により吐水方向を任意の方向に調製することが可能とされている。これらにより、所望の位置等に向けて吐水を行うことが可能である。
さらに、保持部材72の先端部に検知部62を設けることにより、吐水対象(Target)となる動物が検知された場合に、吐水装置Aが作動して吐水対象に向けて吐水されるように構成することができる。
【0026】
図4は、動物(ゾウ)の形状の筐体71に、吐水機構11、給水機構12、給気機構13、制御機構14、第1開閉弁21、第2開閉弁22、第3開閉弁23、導水管31、給気管32及び気体清浄化機構51、第1タンク41、電気回路開閉部61及び検知部62を格納した際の概略図である。なお、電気回路開閉部61及び検知部62は、筐体71外部に設けられていてもよい。
筺体71は、砕石層85上に設けられた、第2タンク42を含むコンクリート基礎84に、1本以上のオールアンカー82を用いて固定されている。
図5は、
図4に示される吐水装置Aの、側面概略図(a)、正面概略図(b)及び上面概略図(c)である。
【0027】
図6及び
図7は、本発明の吐水装置Aを、動物園に設置した際のイメージ図である。
本発明の吐水装置Aは、動物(飼育動物;例えば、ゾウ等の大型動物)Bによる吐水装置Aの破壊防止のために、空堀(モート)80等の隔離スペースを挟んで設置することができる。このような場合であっても、本発明の吐水装置Aは、給水機構12及び給気機構13による増圧した水が吐水されるため、例えば、5m以上離れた場所への吐水も可能である。
図6においては、来園(館)者が飼育動物を観察しやすいように、筺体71を小型化するとともに、シンプルに構成することで、風景に溶け込みやすくしたものである。
図7においては、筺体71を飼育動物等の形状とすることで、来園(館)者や飼育動物が親近感を持つようにしたものである。
【0028】
[吐水装置の使用態様]
本発明の動物に対して吐水するための吐水装置は、環境エンリッチメント用又は動物撃退用として用いることができる。
【0029】
<環境エンリッチメント用>
環境エンリッチメント(environmental enrichment)は、「動物福祉の立場から、飼育動物の“幸福な暮らし”を実現するための具体的な方策」を意味する。例えば、動物園や水族館等で飼育されている動物達が少しでも幸せに暮らしていけるような様々な取り組みのことである。
動物園や水族館等での飼育環境は、動物達の本来の生息地の環境と比較して、狭く、多様性に乏しく、単調である等の問題があり、動物達がストレスを感じるおそれがある。このため、環境エンリッチメントにより飼育環境等を改善・工夫し、動物達が置かれている環境(environmental)を豊かで充実(enrichment)したものにする試みである。
近年、日本国内の動物園・水族館等において、環境エンリッチメントへの要求等が強くなってきており、さらに、世界的に、環境エンリッチメントの取組みが強化されてきている。そして、環境エンリッチメントの一助となる装置等への要望等がなされてきている。
【0030】
本発明の環境エンリッチメント用の動物に対して吐水するための吐水装置Aは、動物の水浴・飲水に資する機能を備えることで、動物の心身の健康を向上させ、動物に楽しみを与えることで動物福祉を向上させ得るものである。例えば、気体清浄化機構51を設けることで、動物に対して吐水する水に、コンプレッサに由来する油分が混入することを防止し、油分に起因する動物の健康被害等を防止することができる。また、検知部62として赤外線センサを用いることで、超音波による動物の健康被害等を防止することができる。
【0031】
本発明の環境エンリッチメント用の動物に対して吐水するための吐水装置Aは、動物の水浴・飲水を通して飼育動物と人(来園(館)者)との関わりを作ることで、動物の心身の健康を向上させ、動物に楽しみを与え動物福祉を向上させ得るものである。
例えば、
図2、
図3及び
図6に示されるように、吐水装置Aは、動物(飼育動物;例えば、ゾウ)Bの水浴・飲水のために、空堀(モート)80を挟んだ位置に設置されて吐水している。
また、
図4、
図5及び
図7における吐水装置Aは、筐体71の形状が動物(ゾウ)の形状とされており、これにより、飼育動物(ゾウ)及び来園(館)者が、吐水装置Aに対して親しみを持って接することが可能である。筺体71の形状は、飼育動物及び/又は来園(館)者が興味や親しみを持つ形状であれば特に限定されず、動物、植物、地形、城等の建造物、ロボット等の構造物、アニメ等のキャラクター等のいずれであってもよい。例えば、吐水装置Aの筐体71の形状を、ゾウ、サイ、ライオン、トラ、シカ、ゴリラ、ワニ、キリン、シロクマ等の大型獣の形状とすることで、人が直接接触するコミュニケーションが困難な動物とのコミュニケーションを構築することが可能になると考えられる。
【0032】
このような用途に用いる場合には、吐水装置Aを、移動可能な設備に設置して、移動可能としてもよい。また、吐水装置A及び/又は吐水機構11を可動式とし、検知部62からの情報に基づいて、吐水の方向や角度を調製し得るようにしてもよい。さらに、吐水距離や吐水圧力を調製し得るようにしてもよい。
また、来園(館)者が吐水装置Aを起動又は操作可能として、来園(館)者の興味を引くことで、飼育動物と来園(館)者とのふれあい(コミュニケーション)を形成することができ、動物福祉を向上させ得ることができる。この際、来園(館)者が吐水装置Aを操作可能とすることで、来園(館)者が飼育動物とのふれあいを感じることができ、再度の来園(館)を促すことができる。
【0033】
<動物撃退用>
本発明の動物に対して吐水するための吐水装置Aは、例えば、農作物等を荒らすイノシシ、シカ、クマ、アライグマ、ハクビシン、リス、サル、トリ等の野生動物・害獣の撃退・忌避、不法侵入者等の撃退等のために用いることができる。これにより、獣害防止・動物忌避・不法侵入防止等を、動物を傷つけることなく効果的に行うことが可能である。
このような用途に用いる場合には、吐水装置Aを、移動装置に設置して、移動可能とし任意の場所に設置できるようにすることができる。また、吐水装置A及び/又は吐水機構11を可動式とし、検知部62からの情報に基づいて、吐水の方向や角度を調整し得るようにしてもよい。さらに、吐水距離や吐水圧力を調整し得るようにしてもよい。
また、吐水する水として、忌避剤等の動物が嫌う成分を添加した水や染料等のマーキング材料を含む水(防犯用のカラー水等)を用いることができる。
【0034】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、上記の構成において、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。したがって、上記の説明に含まれるか又は添付の図面に示される全ての事項は、例示的なものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0035】
A 吐水装置
B 動物
C 水
11 吐水機構
12 給水機構
13 給気機構
14 制御機構
21 第1開閉弁
22 第2開閉弁
23 第3開閉弁
24 第1副開閉弁
25 第2副開閉弁
31 導水管
32 給気管
33 第1迂回路
34 第2迂回路
41 第1タンク
42 第2タンク
51 気体清浄化機構
61 電気回路開閉部
62 検知部
71 筐体
72 保持部材
73 ワイヤ支柱
74 ワイヤ
751 第1ワイヤ接続部
752 第2ワイヤ接続部
761 水平回転軸
762 水平回転軸支持部
77 上下可動軸
78 水平回転ハンドル
80 空堀(モート)
81 側壁
82 オールアンカー
83 柵
84 コンクリート基礎
85 砕石層
91 給水源
92 電源