(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112912
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】電子機器及び電子機器の制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
G06F3/041 522
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014934
(22)【出願日】2022-02-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】上井 修智
(72)【発明者】
【氏名】高野 智輝
(72)【発明者】
【氏名】庄田 有作
(57)【要約】
【課題】タッチパネルの外周部に水滴が付着した場合でも、タッチパネルの誤動作を抑制できる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器100は、タッチパネル3と、タッチパネル3の外周に沿ってタッチパネルの周囲の少なくとも一部に設けられ、水滴WRを検出する水滴検出部60と、水滴検出部60により水滴WRが検出された場合、タッチパネル3の検出感度を低下させる制御部11と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
前記タッチパネルの外周に沿って前記タッチパネルの周囲の少なくとも一部に設けられ、水滴を検出する水滴検出部と、
前記水滴検出部により水滴が検出された場合、前記タッチパネルの検出感度を低下させる制御部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記水滴検出部により水滴が検出されなくなった場合、前記タッチパネルの検出感度を低下前の検出感度に復帰させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記水滴検出部は、前記タッチパネルの各端辺の近傍のそれぞれに、複数の水滴検出センサのそれぞれを含み、
前記制御部は、前記複数の水滴検出センサのうちの少なくとも1つの水滴検出センサが水滴を検出した場合、前記タッチパネルの検出感度を低下させる、
請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記水滴検出部は、前記タッチパネルの1つの端辺に沿って直列に配置された複数の水滴検出センサを含み、
前記制御部は、前記複数の水滴検出センサのうちの少なくとも1つの水滴検出センサが水滴を検出した場合、前記タッチパネルの検出感度を低下させる、
請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の水滴検出センサのうちの少なくとも2つの水滴検出センサが水滴を検出した場合、前記タッチパネルの検出感度を低下させる、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記水滴検出部により水滴が検出された場合、前記タッチパネルの中央部の検出感度を変更せず、前記タッチパネルの外周部の検出感度を低下させる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
タッチパネルと、前記タッチパネルの外周に沿って前記タッチパネルの周囲の少なくとも一部に設けられ、水滴を検出する水滴検出部と、を備える電子機器の制御方法であって、
前記水滴検出部により水滴が検出された場合、前記タッチパネルの検出感度を低下させるステップを有する、
電子機器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器及び電子機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指などの指示体による入力操作を検出するタッチパネルが知られている。タッチパネルは、一般的に、電子機器の表示装置上に取り付けられる。これにより、タッチパネルは、電子機器のユーザーインターフェースを提供する。タッチパネルの方式には、抵抗膜方式、静電容量方式などがある。
【0003】
従来のタッチパネルとして、複数の静電容量検出用配線が配設されるタッチスクリーン基板と、前記タッチスクリーン基板と重ねて配置され、その一方主面に指示体が接触する透明基板と、前記指示体が前記透明基板に接触した場合の、前記指示体と前記複数の静電容量検出用配線との間の静電容量の変化を検出し、前記透明基板上での前記指示体の接触位置を検出する静電容量検出回路と、を備え、前記透明基板は、前記タッチスクリーン基板のセンサ有効領域と重ならない領域に付加電極を有し、前記付加電極は、前記静電容量検出回路に電気的に接続されるものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチパネルを有する表示装置に水滴等が付着した場合、静電容量が変化してタッチパネルに誤動作が発生することがある。特にタッチパネルの外周部には電極が少ないので、タッチパネルにより検出された物体が指示体であるか水滴であるかの区別が困難であり、その結果タッチパネルの誤動作が発生し易い。特許文献1では、タッチパネルの外周部を加味して水滴付着に対するタッチパネルの誤動作を抑制することは考慮されていない。そのため、例えば、タッチパネルの外周部とタッチパネルが取り付けられる筐体との境界線上に水滴がたまることで、タッチパネルの誤動作が継続し、操作性が低下し得る。
【0006】
本開示は、タッチパネルの外周部に水滴が付着した場合でも、タッチパネルの誤動作を抑制できる電子機器及び電子機器の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、タッチパネルと、前記タッチパネルの外周に沿って前記タッチパネルの周囲の少なくとも一部に設けられ、水滴を検出する水滴検出部と、前記水滴検出部により水滴が検出された場合、前記タッチパネルの検出感度を低下させる制御部と、を備える電子機器である。
【0008】
本開示の一態様は、タッチパネルと、前記タッチパネルの外周に沿って前記タッチパネルの周囲の少なくとも一部に設けられ、水滴を検出する水滴検出部と、を備える電子機器の制御方法であって、前記水滴検出部により水滴が検出された場合、前記タッチパネルの検出感度を低下させるステップを有する、電子機器の制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、タッチパネルの外周部に水滴が付着した場合でも、タッチパネルの誤動作を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係るタッチパネルを備えた電子機器の全体構成図
【
図4】指示体による検出信号と水による検出信号とが逆相であることを示すイメージ図
【
図5】本開示の第1の実施形態に係る電子機器の制御方法を実行する手順を示すフローチャート
【
図6】本開示の第2の実施形態に係るタッチパネルを備えた電子機器の全体構成図
【
図7】本開示の第2の実施形態に係る電子機器の制御方法を実行する手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る電子機器及び電子機器の制御方法を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るタッチパネルを備えた電子機器の全体構成図である。
図2は、
図1におけるA-A線に沿った断面図である。各図では、X方向はタッチパネル面に沿う一方向(例えば短手方向)であり、Y方向はタッチパネル面に沿いX方向と垂直な方向(例えば長手方向)であり、Z方向はタッチパネル面に垂直な方向である。
【0013】
電子機器100は、筐体1と、保護板2と、タッチパネル3と、LCD(Liquid Crystal Display)モジュール4と、水滴検出部60と、を備える。水滴検出部60は、電子機器100は、例えば決済処理を行う決済処理装置である。
【0014】
筐体1は、電子機器100の外装を構成し、他の部品を収納する。保護板2は、例えばガラスであり、タッチパネル3の上面に配置され、タッチパネル3を保護する。
【0015】
タッチパネル3は、ユーザの指又はスタイラスペン等の指示体による入力操作を検出するユーザーインターフェースを提供する。タッチパネル3は、抵抗膜方式又は静電容量方式等の種々の方式のものがあるが、特にその種類は限定されない。タッチパネル3は、中止付近を含む中央部3aと、中央部3aよりも端部側にある外周部3bと、を含む。タッチパネル3では、外周部3bよりも中央部3aの方が、入力操作を検出する電極が多数存在する。そのため、タッチパネル3では、外周部3bよりも中央部3aの方がタッチパネル3に対する指示体による入力操作を検出し易い。
【0016】
LCDモジュール4はいわゆる液晶表示装置であり、液晶セル、偏光板など種々の部材を含むが、その種類は特に限定されない。また、LCDモジュール4の代わりに他の表示装置(例えば有機エレクトロルミネッセンス)を用いてもよい。
【0017】
電子機器100は固定された機器(据え置き型)であってもよいし、持ち運び可能な機器(可搬型、ハンドヘルド型)であってもよい。電子機器100は、例えばスマートフォンと同様のサイズでもよいし、タブレット端末であってもよい。
【0018】
水滴検出部60は、タッチパネル3の外周に沿って、タッチパネル3の周囲の少なくとも一部に設けられる。水滴検出部60は、1つ以上の水滴検出センサ6を含み、水滴WRを検出する。各水滴検出センサ6は、例えば、タッチパネル3の各端辺の近傍のそれぞれに配置される。水滴検出センサ6は、タッチパネル3上(保護板2上)の外周部3b(外縁部)に付着した水滴WRを検出する。水滴WRの検出対象であるタッチパネル3の外周部3bは、タッチパネル3内だけでなく、タッチパネル3の外側の部分を含んでもよい。水滴検出センサ6は、例えば、静電容量型センサ、光電センサ、又は超音波センサ等の種々の方式のものがあるが、特にその種類は限定されない。
【0019】
電子機器100は、
図1に示したように、筐体1が平面視で矩形であり、かつ、タッチパネル3も平面視で矩形であることが多い。水滴検出センサ6は、例えば、平面視で矩形のタッチパネル3の外周辺である4辺のそれぞれに沿って、4つの水滴検出センサ6(6a,6b,6c,6d)のそれぞれが配置される。4つの水滴検出センサ6のそれぞれが、水滴WRを検出する。よって、電子機器100は、例えば、4つの水滴検出センサ6によって、タッチパネル3の外周部3bにおけるいずれの位置(例えばX方向正側、X方向負側、Y方向正側、Y方向負側)に水滴WRが付着しても、水滴WRを検出可能である。
【0020】
なお、電子機器100における水滴検出センサ6の配置位置又は配置数等は、
図1に限られない。例えば、水滴検出センサ6の配置数が3つであり、
図1に示した4つの水滴検出センサ6のうち、Y方向負側でX方向に沿う水滴検出センサ6dが設けられなくてもよい。この場合、例えば電子機器100がハンドヘルド型であり、ユーザがY方向負側を把持した場合でも、ユーザの手や指と水滴WRとを誤検出することを抑制できる。
【0021】
また、
図2に示すように、Z方向正側(上方)から順に、保護板2、タッチパネル3、及びLCDモジュール4が配置される。また、保護板2のZ方向負側(下方)には、タッチパネル3の外側に水滴検出部60(水滴検出センサ6)が設けられている。
【0022】
また、
図2に示すように、タッチパネル3等が取り付けられる筐体1は、電子機器100の外周部においてZ方向正側に突出している。つまり、電子機器100の外周部による筐体1の部分に囲まれた内部は、筐体1よりもZ方向に一段低くなっている。つまり、電子機器100は、画面(タッチパネル3)周囲の筐体1を画面よりも高くすることで、堅牢性を確保し、画面割れし難くしている。一方、一段高い筐体1の部分と一段低い保護板2との部分には、水滴WRが溜まり易くなっている。例えば、電子機器100は、雨天時に使用された場合に、水滴WRが溜まり易く、水滴WRによりタッチパネル3の静電容量が変化してタッチパネルが誤動作し易い。したがって、電子機器100が、水滴WRを検出して、水滴WRの有無に応じてタッチパネルの検出を制御することで、タッチパネル3への入力の誤検出を抑制することは、有益である。
【0023】
図3は、電子機器100の構成例を示すブロック図である。電子機器100は、タッチパネル3と、LCDモジュール4と、水滴検出センサ6と、制御部11と、メモリ13と、を備える。
【0024】
制御部11は、例えばプロセッサにより構成される。プロセッサは、メモリ13に保持されたプログラムを実行することで、制御部11の各種機能を実現する。プロセッサは、MPU(Micro processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)等を含んでよい。プロセッサは、各種集積回路(例えばLSI(Large Scale Integration)又はFPGA(Field Programmable Gate Array))により構成されてもよい。制御部11は、電子機器100の各部を統括的に制御し、各種処理を行う。
【0025】
メモリ13は、各種データ、情報、又はプログラム等を記憶する。メモリ13は、一次記憶装置(例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory))を含み、例えばフラッシュメモリである。メモリ13は、一次記憶装置以外のメモリを備えてもよい。
【0026】
制御部11は、タッチパネル3の周囲に配置された複数の水滴検出センサ6のうち少なくとも1つが水滴WRを検出した場合、タッチパネル3の外周部3bに水滴WRが存在すると判定する。
【0027】
制御部11は、電子機器100の動作モードを設定する。電子機器100の動作モードは、水滴WRを加味しない通常時に検出感度を第1の検出感度とする通常モードと、水滴WRに加味して検出感度を第2の検出感度とする水滴対応モードと、を少なくとも含む。動作モードの設定情報は、メモリ13に保持される。第2の検出感度は、第1の検出感度よりも低い。つまり、水滴対応モードでの検出用の閾値は、通常モードでの検出用の閾値よりも高い。よって、水滴WRがある場合には、タッチパネル3が入力操作を検出し難い動作モードである水滴対応モードに設定され、タッチパネル3の誤動作を抑制可能である。
【0028】
通常モードでは、タッチパネル3の中央部3aと外周部3bとで、検出感度が一定でよい。ただし、外周部3bは、中央部3aよりも検出用の電極が少ないので、検出し難い。制御部11は、水滴対応モードでは、通常モードよりも検出感度を小さくする。この場合、制御部11は、タッチパネル3の中央部3aも外周部3bも検出感度を小さくしてもよいし、タッチパネル3の中央部3aでは検出感度を変更せずに、外周部3bのみ検出感度を小さくするよう変更してもよい。つまり、水滴対応モードでは、通常モードと比較して、外周部3bでは検出感度が小さく、中央部3aでは検出感度が同じでも小さくてもよい。
【0029】
制御部11は、タッチパネル3の外周部3bに水滴WRがあるか否かに応じて、動作モードを設定してよい。制御部11は、タッチパネル3の外周部3bに水滴WRがないと判定された場合、通常モードに設定する。制御部11は、タッチパネル3の外周部3bに水滴WRがあると判定された場合、水滴対応モードに設定する。よって、制御部11は、タッチパネル3の外周部3bに水滴WRがある場合、タッチパネル3の外周部3bに水滴WRがない場合と比較して、タッチパネル3の検出感度を小さくする。
【0030】
例えば、制御部11は、水滴検出センサ6により水滴WRが検出された状態から検出されない状態に変化した場合、動作モードを通常モードから水滴対応モードに変更するので、タッチパネル3の検出感度を小さくする(低下させる)。逆に、制御部11は、水滴検出センサ6により水滴WRが検出されない状態から検出された状態に変化した場合、動作モードを水滴対応モードから通常モードに変更するので、タッチパネル3の検出感度を大きくする。
【0031】
図4は、指示体による検出信号と水による検出信号とが逆相であることを示すイメージ図である。
【0032】
図4では、横軸は時間を表し、縦軸は信号振幅(信号レベル)を示しており、タッチパネル3による検出時の静電容量を示している。
図4では、タッチパネル3に指等の指示体が近接して生成された指示体信号と、タッチパネル3に水滴WRが付着して生成された水信号とが、それぞれの信号波形を参照すると、逆相となっていることが理解できる。タッチパネル3は、中央部3aでは、入力を検出するための電極が多数配置されているので、指示体信号と水信号とでいずれの信号であるかを容易に区別可能である。一方、タッチパネル3は、外周部3bでは、入力を検出するための電極が少ないので、指示体信号と水信号とでいずれの信号であるかを区別することが困難であり、物体の種別の区別の精度が低いことがあり得る。これに対し、本実施形態では、電子機器100が、タッチパネル3が有するセンサ(電極)とは別に水滴検出センサ6を備えることで、タッチパネル3の外周部におけるセンサを補完し、水滴WRの検出と指示体の検出との区別を容易にしている。このことは、第2の実施形態でも同様である。
【0033】
なお、水信号の信号波形のサンプルと水信号のサンプルとは、メモリ13に予め保持されていてよい。制御部11は、水滴検出センサ6により検出された検出信号とメモリ13に保持された各信号のサンプルとを比較することで、水滴検出センサ6が指示体等の水滴WR以外の物体を検出したか、水滴WRを検出したかを、判別可能である。
【0034】
次に、電子機器100の動作例について説明する。
【0035】
図5は、電子機器100の制御方法の一例を実行する手順を示すフローチャートである。制御部11が、制御方法の各工程を実行する。例えば制御部11は、メモリ13に記憶された電子機器100の制御プログラムを読み出し、制御方法を実行する。
図5の処理前には、動作モードが例えば通常モードに設定されている。
【0036】
制御部11は、水滴検出センサ6の検出状態を確認し(ステップS11)、水滴検出センサ6により水滴WRを検出したか否かを判定する(ステップS12)。例えば、制御部11は、タッチパネル3の周囲に配置された少なくとも1つの水滴検出センサ6が水滴WRを検出したか否かを判定する。水滴WRを検出していない場合、制御部11は、水滴検出センサによる検出状態の確認を繰り返す。
【0037】
水滴検出センサ6により水滴WRを検出した場合、制御部11は、タッチパネル3の動作モードを、水滴対応モードに設定(変更)する(ステップS13)。
【0038】
ステップS13の処理後、制御部11は、水滴検出センサ6の検出状態を再度確認し(ステップS14)、水滴検出センサ6により水滴WRを検出したか否かを判定する(ステップS15)。ステップS14,S15での水滴検出の方法は、ステップS11,S12での水滴検出の方法と同じでよい。水滴WRを検出した場合、制御部11は、水滴検出センサ6による検出状態の確認を繰り返す。この場合、タッチパネル3の外周部3bに水滴WRが付着している状態が継続していることを示している。そのため、水滴対応モードが継続されることで、水滴WRによるタッチパネル3の誤動作が抑制可能である。
【0039】
水滴検出センサ6により水滴WRを検出しなかった場合、制御部11は、タッチパネル3の動作モードを、通常モードに設定(変更)する(ステップS16)。つまり、水滴検出センサ6により水滴WRが検出されなくなった場合、制御部11は、タッチパネル3の検出感度を低下前の検出感度に復帰させる。つまり、水滴WRが付着した状態から、水滴WRが拭き取られたり電子機器100の外部に落下したり蒸発したりすることで、水滴WRが不在となったので、通常モードに設定される。この場合でも、水滴WRが不在であることで、タッチパネル3の誤動作が抑制可能である。そして、制御部11は、再びステップS11以降の工程を繰り返す。
【0040】
このように、電子機器100は、タッチパネル3の外側の周囲に複数の水滴検出センサ6を含む水滴検出部60を備える。これにより、電子機器100は、タッチパネル3のセンサ自身による外周部3bにおける水滴WRの検出のし難さを、水滴検出部60によって機能的に補填している。そのため、電子機器100は、水滴検出部60が水滴WRを検出した場合に、自動で水滴対応モードに変更でき、ユーザの操作性の劣化を抑制してタッチパネル3の検出感度を変更できる。つまり、電子機器100は、通常モードの設定時(通常時)のタッチパネル3の検出感度を下げることで、水滴WRが入力として誤検出されることを抑制できる。
【0041】
また、電子機器100は、水滴検出部60が水滴WRを検出しなくなった場合には、水滴対応モードを終了し、検出感度を上げる(復帰させる)。したがって、電子機器100は、タッチパネル3の本来の入力操作の検出感度が低い状態を迅速に解消し、検出感度を通常検出感度に復帰させることができる。つまり、電子機器100は、タッチパネル3に関し検出感度が低い状態を、なるべく短時間で済むようにしている。
【0042】
また、電子機器100は、水滴対応モードにおいて通常モードに比較して中央部3aの検出感度を低下させない場合には、中央部3aでは通常時と同様に入力操作の検出を継続でき、タッチパネル3による指示体等の検出に影響することを回避できる。
【0043】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、電子機器100Aをユーザが把持することを想定する。例えば、矩形の電子機器100Aの操作表示面(タッチパネル面)の一方向の端部(例えばY方向負側)が、電子機器100Aが把持されることが多い箇所である(
図6参照)。
【0044】
図6は、本実施形態のタッチパネルを備えた電子機器の全体構成図である。
図6の電子機器100Aにおいて、
図1に示した電子機器100の構成と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
図6では、水滴検出センサ6以外の構成については、
図1とほぼ同様である。
【0045】
電子機器100Aでは、水滴検出センサ6が、タッチパネル3の一方向の端部(例えばY方向負側)に沿って複数設けられる。各水滴検出センサ6は、例えば、タッチパネル3の1つの端辺に沿って直列に配置される。
図6では、3つの水滴検出センサ6(6d1,6d2,6d3)が、タッチパネル3のY方向負側の外側に直列に設けられている。
【0046】
制御部11は、複数の水滴検出センサ6の検出状態を確認し、タッチパネル3の外周部3bに付着した水滴WRの有無、又はこの外周部3bに付着した水滴WRの種別(水滴WRか汗か)を判定してよい。
【0047】
例えば、制御部11は、少なくとも1つの水滴検出センサ6で物体(水滴)の付着を検出し、この物体の検出信号が上述した水信号と一致する場合、タッチパネル3の外周部3bに水滴WRが付着していると判定してよい。
【0048】
例えば、制御部11は、少なくとも2つの水滴検出センサ6(例えば3つの水滴検出センサ6の全部)で物体(水滴)の付着を検出した場合、タッチパネル3の外周部3bに水滴WRが付着していると判定してよい。この場合、電子機器100Aは、例えば、ユーザの把持により1つの水滴検出センサ6ではユーザの手の汗を検出した場合でも、他の水滴検出センサ6により汗ではない本来の検出対象の水滴WRを検出し得る。このような場合でも、電子機器100Aは、複数の水滴検出センサ6による水滴WRの検出を加味して検出対象の水滴WRであると判別することで、水滴WRの検出精度を向上できる。
【0049】
電子機器100は、
図6に示したように、筐体1が平面視で矩形であり、かつ、タッチパネル3も平面視で矩形であることが多い。水滴検出センサ6は、例えば、平面視で矩形のタッチパネル3の外周辺である1辺に沿って、3つの水滴検出センサ6(6d1,6d2,6d3)のそれぞれが配置される。3つの水滴検出センサ6のそれぞれが、水滴WRを検出可能である。よって、電子機器100は、この3つの水滴検出センサ6によって、ユーザが電子機器100を把持した際に重力方向で下側に位置する一方向に集積した水滴WRを検出可能である。さらに、少なくとも2つの水滴検出センサ6により水滴WRを検出することで、汗と区別して検出対象の水滴WRを高精度に検出できる。なお、電子機器100Aにおける水滴検出センサ6の配置位置又は配置数等は、
図6に限られない。
【0050】
次に、電子機器100Aの動作例について説明する。
【0051】
図7は、電子機器100Aの制御方法の一例を実行する手順を示すフローチャートである。制御部11が、制御方法の各工程を実行する。例えば制御部11は、メモリ13に記憶された電子機器100Aの制御プログラムを読み出し、制御方法を実行する。
図7の処理前には、動作モードが例えば通常モードに設定されている。また、ここでは、電子機器100Aは、少なくとも2つの水滴検出センサ6によって水滴WRを検出することを例示するが、上述のように、1つの水滴検出センサ6によって水滴WRを検出してもよい。
【0052】
制御部11は、水滴検出センサ6の検出状態を確認し(ステップS21)、水滴検出センサ6により水滴WRを検出したか否かを判定する(ステップS22)。例えば、制御部11は、タッチパネル3の一方向の端部に沿って配置された少なくとも2つの水滴検出センサ6が水滴WRを検出したか否かを判定する。0個又は1つの水滴検出センサ6が水滴WRを検出しなかった場合、制御部11は、水滴検出センサ6による検出状態の確認を繰り返す。水滴WRが検出されていないか、水滴WRがユーザの汗である可能性があるためである。
【0053】
少なくとも2つの水滴検出センサ6が水滴WRを検出した場合、制御部11は、水滴検出センサ6により汗ではない水滴WRが検出されたと判定し、タッチパネル3の動作モードを、水滴対応モードに設定(変更)する(ステップS23)。
【0054】
ステップS23の処理後、制御部11は、水滴検出センサ6の検出状態を再度確認し(ステップS24)、水滴検出センサ6により水滴WRを検出したか否かを判定する(ステップS25)。ステップS24,S25での水滴検出の方法は、ステップS21,S22での水滴検出の方法と同じでよい。水滴WRを検出した場合、制御部11は、水滴検出センサ6による検出状態の確認を繰り返す。この場合、タッチパネル3の外周部3b(特にユーザが電子機器100Aを把持した場合の下端部)に水滴WRが付着している状態が継続していることを示している。そのため、水滴対応モードが継続されることで、水滴WRによるタッチパネル3の誤動作が抑制可能である。
【0055】
水滴検出センサ6により水滴WRを検出しなかった場合、制御部11は、タッチパネル3の動作モードを、通常モードに設定(変更)する(ステップS26)。つまり、水滴WRが付着した状態から、水滴WRが拭き取られたり電子機器100Aの外部に落下したり蒸発したりすることで、水滴WRが不在となったので、通常モードに設定される。この場合でも、水滴WRが不在であることで、タッチパネル3の誤動作が抑制可能である。そして、制御部11は、再びステップS21以降の工程を繰り返す。
【0056】
このように、電子機器100Aは、第1の実施形態の電子機器100と同様の効果を得ることができる。さらに、電子機器100Aは、複数の水滴検出センサ6によって水滴検出した場合に検出対象の水滴WRが検出されたと判定することで、ユーザの手の汗を区別して水滴WRの検出精度を向上できる。
【0057】
(他の実施形態)
次に、上記実施形態のバリエーションについて説明する。
水滴検出センサ6の形状及び数は、
図1又は
図6に例示した形状及び数に限らない。例えば、複数の水滴検出センサ6に、L字型の水滴検出センサ6が含まれ、L字型の水滴検出センサ6がタッチパネル3の周囲の一部を囲んでもよい。
【0058】
以上のように、本実施形態の電子機器100は、タッチパネル3と、タッチパネル3の外周に沿ってタッチパネルの周囲の少なくとも一部に設けられ、水滴WRを検出する水滴検出部60と、水滴検出部60により水滴WRが検出された場合、タッチパネル3の検出感度を低下させる制御部11と、を備える。
【0059】
これにより、電子機器100は、タッチパネル3のセンサとは別にタッチパネル3の周囲に水滴WRを検出する専用のセンサを含む水滴検出部60を設けることで、タッチパネル3の外周部3bにおいて検出感度が低下することを補うことができる。よって、タッチパネルの外周部3bにおいてタッチパネル3に対する入力を検出する電極が少なくても、指示体と水滴WRの区別の精度が高くなる。したがって、電子機器100は、タッチパネル3の外周部3bに水滴WRが付着した場合でも、タッチパネルの誤動作を抑制できる。
【0060】
また、制御部11は、水滴検出部60により水滴WRが検出されなくなった場合、タッチパネル3の検出感度を低下前の検出感度に復帰させてよい。
【0061】
これにより、電子機器100は、水滴WRが無くなり次第、自動的に検出感度を復帰させることで、タッチパネル3の検出感度が低下した期間を容易になるべく減らすことができる。
【0062】
また、水滴検出部60は、タッチパネル3の各端辺の近傍のそれぞれに、複数の水滴検出センサ6のそれぞれを含んでよい。制御部11は、複数の水滴検出センサ6のうちの少なくとも1つの水滴検出センサ6が水滴WRを検出した場合、タッチパネル3の検出感度を低下させてよい。
【0063】
これにより、電子機器100は、タッチパネル3の周囲の外周部3bのいずれかに水滴WRがあることが検出された場合、タッチパネル3の検出感度を低下させてタッチパネルの誤動作を抑制できる。
【0064】
また、水滴検出部60は、タッチパネル3の1つの端辺に沿って直列に配置された複数の水滴検出センサ6を含んでよい。制御部11は、複数の水滴検出センサ6のうちの少なくとも1つの水滴検出センサ6が水滴WRを検出した場合、タッチパネル3の検出感度を低下させてよい。
【0065】
これにより、電子機器100Aは、電子機器100Aの1つの端辺を含んでユーザが電子機器100Aを把持する場合、1つの水滴検出センサ6がユーザの指等で覆われる可能性がある。この場合でも、電子機器100Aは、例えば、ユーザが把持する側の端部に沿って配置された水滴検出センサ6のいずれかが水信号と指示体の信号とを区別して検出することで、水滴WRの有無を検出して、タッチパネル3の検出精度を的確に設定できる。
【0066】
また、制御部11は、複数の水滴検出センサ6のうちの少なくとも2つの水滴検出センサ6が水滴WRを検出した場合、タッチパネル3の検出感度を低下させてよい。
【0067】
電子機器100Aに配置された1つの水滴検出センサ6がユーザの指等で覆われた場合に、ユーザの汗を水滴WRとして誤検出する可能性がある。ユーザの指により把持される範囲は、1つの水滴検出センサ6が検出可能な範囲に収まることが多いと想定される。この場合でも、電子機器100Aは、少なくとも2つの水滴検出センサ6が水滴WRを検出した場合にタッチパネル3の検出感度を小さくすることで、ユーザの汗とは異なる水滴WRが検出されたことをトリガして、タッチパネル3の誤動作を抑制できる。
【0068】
また、制御部11は、水滴検出部60により水滴WRが検出された場合、タッチパネル3の中央部3aの検出感度を変更せず、タッチパネル3の外周部3bの検出感度を低下させてよい。
【0069】
これにより、電子機器100は、タッチパネル3の中央部3aでは、水滴検出された場合でも通常時と同じ検出感度でタッチパネル3の入力を検出できる。この場合でも、タッチパネル3の中央部3aでは水信号と指示体信号とを高精度に区別可能であるので、入力検出精度が低下し難い。また、電子機器100は、タッチパネル3の外周部3bについては検出感度を低下させることで、誤った入力検出に応じた誤動作を抑制できる。
【0070】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本開示は、タッチパネルの外周部に水滴が付着した場合でも、タッチパネルの誤動作を抑制できる電子機器及び電子機器の制御方法等に有用である。
【符号の説明】
【0072】
1 筐体
2 保護板
3 タッチパネル
3a 中央部
3b 外周部
4 LCDモジュール
6 水滴検出センサ
11 制御部
13 メモリ
60 水滴検出部
100,100A 電子機器
WR 水滴
【手続補正書】
【提出日】2022-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが把持する電子機器であって、
タッチパネルと、
前記タッチパネルの外周に沿って前記タッチパネルの周囲の少なくとも一部に設けられ、水滴を検出する複数の水滴検出部と、
前記水滴検出部により水滴が検出された場合、前記タッチパネルの検出感度を低下させる制御部と、
を備え、
前記複数の水滴検出部は、前記ユーザが把持する側の前記タッチパネルの1つの端辺に沿って直列に配置される、
電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数の水滴検出部の検出状態に応じて水滴の種別を判定し、
前記水滴が汗ではない水滴であると判定された場合には、前記タッチパネルの検出感度を低下させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の水滴検出部のうち少なくとも2つの水滴検出部が水滴を検出した場合には、検出された水滴が前記汗ではない水滴であると判定する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
タッチパネルと、ユーザが把持する側の前記タッチパネルの1つの端辺に沿って直列に配置され、水滴を検出する複数の水滴検出部と、を備える電子機器の制御方法であって、
前記複数の水滴検出部の検出状態に応じて水滴の種別を判定し、前記複数の水滴検出部のうち少なくとも2つの水滴検出部が水滴を検出した場合には、検出された水滴が汗ではない水滴であると判定するステップを有する、
電子機器の制御方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本開示の一態様は、ユーザが把持する電子機器であって、タッチパネルと、前記タッチパネルの外周に沿って前記タッチパネルの周囲の少なくとも一部に設けられ、水滴を検出する複数の水滴検出部と、前記水滴検出部により水滴が検出された場合、前記タッチパネルの検出感度を低下させる制御部と、を備え、前記複数の水滴検出部は、前記ユーザが把持する側の前記タッチパネルの1つの端辺に沿って直列に配置される、電子機器である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本開示の一態様は、タッチパネルと、ユーザが把持する側の前記タッチパネルの1つの端辺に沿って直列に配置され、前記タッチパネルの外周に沿って前記タッチパネルの周囲の少なくとも一部に設けられ、水滴を検出する複数の水滴検出部と、を備える電子機器の制御方法であって、前記複数の水滴検出部の検出状態に応じて水滴の種別を判定し、前記複数の水滴検出部のうち少なくとも2つの水滴検出部が水滴を検出した場合には、検出された水滴が前記汗ではない水滴であると判定するステップを有する、電子機器の制御方法である。