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特開2023-112928通信装置、通信プログラム、通信方法、及び通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112928
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】通信装置、通信プログラム、通信方法、及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20230807BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20230807BHJP
【FI】
H04W52/02 130
H04W4/38
H04W52/02 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014960
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】迫水 和仁
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 友博
(72)【発明者】
【氏名】金谷 正章
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA41
5K067AA43
5K067BB21
5K067CC22
(57)【要約】
【課題】 通信コストの安価な公衆の通信回線を使用しつつも、外部からの意図せぬパケットによるバッテリー消耗を防ぐことができる通信装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、低電力広域通信網を介してセンシングデータを収集するサーバに接続する通信装置であって、前記センシングデータを生成し出力するセンシングデータ生成部と、自装置を駆動するバッテリーの過負荷を検出して過負荷信号を出力する過負荷検出部と、前記過負荷信号が入力された場合に非通信状態指示信号を出力する状態管理部と、前記非通信状態指示信号が入力されると、一時的に一切のパケットの送受信ができない状態である非通信状態に遷移する広域通信コア部とを有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低電力広域通信網を介してセンシングデータを収集するサーバに接続する通信装置であって、
前記センシングデータを生成し出力するセンシングデータ生成部と、
自装置を駆動するバッテリーの過負荷を検出して過負荷信号を出力する過負荷検出部と、
前記過負荷信号が入力された場合に非通信状態指示信号を出力する状態管理部と、
前記非通信状態指示信号が入力されると、一時的に一切のパケットの送受信ができない状態である非通信状態に遷移する広域通信コア部と
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記広域通信コア部は、消費電力が低いスリープ状態及び消費電力の高いアクティブ状態の通信状態が定義され、パケットの有無に従いアクティブ状態とスリープ状態に遷移することで低消費電力を実現する回線を用いて、上りデータを送受信データの一つとして送信し、下りデータを送受信データの一つとして受信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記過負荷検出部は、前記バッテリーから供給される電流をモニタリングし、当該電流が第1の閾値よりも高い場合に前記過負荷信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記過負荷検出部は、前記回線がアクティブ状態であるかスリープ状態であるかをモニタリングし、前記回線のアクティブ状態が第2の閾値よりも連続して長く続いた場合に前記過負荷信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記過負荷検出部は、前記回線がアクティブ状態であるかスリープ状態であるかに加えて前記広域通信コア部が前記非通信状態であるかをモニタリングし、過去N秒間(Nは正の実数)においてスリープ状態と前記非通信状態とを合計した時間である非アクティブ時間に対するアクティブ時間の割合が第3の閾値以上になった場合に前記非通信状態指示信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記センシングデータ生成部は、前記センシングデータと共に警戒情報も出力し、
前記状態管理部は、前記過負荷信号と前記警戒情報とを用いて前記非通信状態指示信号の出力要否を判定する
ことを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
前記状態管理部は、前記警戒情報が非警戒状態であることを示し、且つ前記過負荷信号が入力された場合にのみ、前記非通信状態指示信号を出力することを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記広域通信コア部は、
前記状態管理部から前記非通信状態指示信号が入力された場合には非通信通知を前記送受信データの一つとして前記サーバに送信した上で前記非通信状態に遷移し、
前記非通信状態時に発生した上りデータについては、バッファリングし、
前記状態管理部から前記非通信状態指示信号が入力された場合には前記非通信通知を前記送受信データの一つとして前記サーバに送信した上で、前記前記非通信状態に遷移し、
前記非通信状態の場合、所定のタイミングで前記通信状態に復帰すると共に、前記サーバに前記通信状態に復帰するタイミングを知らせる通信通知を前記送受信データの一つとして送信し、
前記通信状態に復帰後、バッファリングされた上りデータを送信する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記所定のタイミングは、前記非通信状態になってから予め定めた時間が経過したタイミングであることを特徴する請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記所定のタイミングは、過去M秒間(Mは正の実数)において非アクティブ時間に対するアクティブ時間の割合が第4の閾値以下になったタイミングであることを特徴する請求項8に記載の通信装置。
【請求項11】
前記所定のタイミングは、前記警戒情報が警戒状態であることを示したタイミングであることを特徴する請求項8に記載の通信装置。
【請求項12】
前記広域通信コア部は、
前記非通信状態に遷移した回数を記録部に記録し、前記非通信状態に遷移した回数が第5の閾値を超えた場合には前記非通信状態に遷移する回数を抑えることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の通信装置。
【請求項13】
前記広域通信コア部は、前記非通信状態に遷移した回数が前記第5の閾値を超えた場合に、警告するための電子データを送信することを特徴とする請求項12に記載の通信装置。
【請求項14】
前記当該広域通信は、外部からの意図せぬパケットを受信し得る通信回線に接続され、環境発電との組み合わせを含めた前記バッテリーで駆動することを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の通信装置。
【請求項15】
低電力広域通信網を介してセンシングデータを収集するサーバに接続する通信装置に搭載されるコンピュータを、
前記センシングデータを生成し出力するセンシングデータ生成部と、
自装置を駆動するバッテリーの過負荷を検出して過負荷信号を出力する過負荷検出部と、
前記過負荷信号が入力された場合に非通信状態指示信号を出力する状態管理部と、
前記非通信状態指示信号が入力されると、一時的に一切のパケットの送受信ができない状態である非通信状態に遷移する広域通信コア部と
して機能させることを特徴とする通信プログラム。
【請求項16】
低電力広域通信網を介してセンシングデータを収集するサーバに接続する通信装置に使用する通信方法であって、
センシングデータ生成部は、前記センシングデータを生成し出力し、
過負荷検出部は、自装置を駆動するバッテリーの過負荷を検出して過負荷信号を出力し、
状態管理部は、前記過負荷信号が入力された場合に非通信状態指示信号を出力し、
広域通信コア部は、前記非通信状態指示信号が入力されると、一時的に一切のパケットの送受信ができない状態である非通信状態に遷移する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項17】
通信装置と、サーバとを有する通信システムであって、
前記通信装置は、請求項1~14のいずれかに記載の通信装置である
ことを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信プログラム、通信方法、及び通信システムに関し、例えば、LTE(Long Term Evolution)/4Gなどの公衆網を用いてセンシングデータを集約するセンサーネットワークに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)関連技術の発展が進む中、例えば、ゲートウェイ配下にセンサーノードが配置されるセンサーネットワークが数多く提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
図3は、特許文献1に代表されるセンサーネットワークの構成例を示すものである。図3において、センサーネットワーク100は、例えば3G/4G/5Gなどの移動通信サービスを使用して、上りデータを送受信データの一つとして送信し、下りデータを送受信データの一つとして受信する広域通信ノードZ1と、送受信データの一つとして、上りデータの受信および下りデータの送信を行い、上りデータに含まれるセンシングデータを、DB(Database)に保存したり、可視化したりするDBサーバZ2とを有する。
【0004】
ここで、センシングデータとは、設置環境の状態をセンシングする電子デバイスから取得した電子データを示すものである。例えば、センシングデータは、加速度センサー、温度センサー、湿度センサー、照度センサー、変位センサー、電圧や電流をセンシングやするセンサーなどから取得した電子データ(これらの電子データを信号処理により加工したものも含む)である。
【0005】
また、上りデータとは、例えば、生成されたセンシングデータである。一方、下りデータとは、例えば、広域通信ノードZ1がどのように動作すべきかの設定を格納したデータであったり、パケットの再送を要求するデータであったりする。
【0006】
広域通信ノードZ1は、センシングデータを生成し出力するセンシングデータ生成部B11と、上りデータ(センシングデータ)を送受信データの一つとして送信し、下りデータを送受信データの一つとして受信する広域通信部B12とを有する。
【0007】
図3では、センシングデータをどのように生成されるかは具体的に示していないが、例えば、広域通信ノードZ1と有線接続された設置環境の状態をセンシングする電子デバイスから電子データを取得しセンシングデータとする場合や、920MHz帯を活用した自営無線通信システムを使用して集めたデータをセンシングデータとする場合などが考えられる。
【0008】
センサーネットワークというと、一般的には後者の構成を指すことが多く、前述の従来例でも、後者の構成となっている。後者の構成では、広域通信ノードZ1はゲートウェイとしての役割を果たすことになる。
【0009】
広域通信ノードZ1が、有線接続された設置環境の状態をセンシングする電子デバイスから電子データを取得したデータと、自営無線通信システムを使用して集めたデータを共にセンシングデータとする構成であっても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2016-122310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
設置環境の状態をセンシングする機能については、従来例の構成で期待通り実現される。
【0012】
しかしながら、広域通信ノードZ1を、バッテリー単体で動作させたり、ソーラーパネル等の環境発電と組み合わせたバッテリーで動作させたりすることを想定した場合、例えば、LTEカテゴリーM1のように、アクティブ状態とスリープ状態が定義された低消費電力を特徴とする移動通信サービスを、広域通信ノードZ1をDBサーバZ2に接続するための回線として利用することが考えらえる。なお、LTEカテゴリーM1は、IoT向けの無線通信技術であるLPWA(Low Power Wide Area)の1つである。
【0013】
また、LTEカテゴリーM1は、スリープ状態では消費電力が低く、受信パケット又は送信パケットがあったときのみ消費電力の高いアクティブ状態に遷移し、受信パケットおよび送信パケットを全て掃きとった後に再びスリープ状態へ遷移できる。スリープ状態のときに受信パケットが存在するか否かは、eDRX(extended Discontinuous Reception)という仕組みを用いて、あらかじめ設定された間隔で確認している。具体的には、一定の周期(DRX周期)に1回、端末はネットワークからの下りメッセージの受信を試みる。自身宛のメッセージがある場合、端末はスリープ状態を解除し、アクティブ状態に遷移する。
【0014】
アクティブ状態とスリープ状態が定義された低消費電力を特徴とする移動通信サービスを、広域通信ノードZ1をDBサーバZ2に接続するための回線として利用する場合、外部から意図せぬパケットが届き続けた場合に、当該パケットによってアクティブ状態の時間が増大し、広域通信ノードZ1のバッテリーが消耗するという問題が発生する。
【0015】
本課題に対する効果的な対処として、意図せぬパケットの送受信が発生しないプライベートLTE等にて接続するという方法も考えられるが、通信コストの増加につながる。
【0016】
そのため、通信コストの安価な公衆の通信回線を使用しつつも、外部からの意図せぬパケットによるバッテリー消耗を防ぐことができる通信装置、通信プログラム、通信方法、及び通信システムが望まれている。
本発明で解決する課題である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の本発明は、低電力広域通信網を介してセンシングデータを収集するサーバに接続する通信装置であって、(1)前記センシングデータを生成し出力するセンシングデータ生成部と、(2)自装置を駆動するバッテリーの過負荷を検出して過負荷信号を出力する過負荷検出部と、(3)前記過負荷信号が入力された場合に非通信状態指示信号を出力する状態管理部と、(4)前記非通信状態指示信号が入力されると、一時的に一切のパケットの送受信ができない状態である非通信状態に遷移する広域通信コア部とを有することを特徴とする。
【0018】
第2の本発明の通信プログラムは、低電力広域通信網を介してセンシングデータを収集するサーバに接続する通信装置に搭載されるコンピュータを、(1)前記センシングデータを生成し出力するセンシングデータ生成部と、(2)自装置を駆動するバッテリーの過負荷を検出して過負荷信号を出力する過負荷検出部と、(3)前記過負荷信号が入力された場合に非通信状態指示信号を出力する状態管理部と、(4)前記非通信状態指示信号が入力されると、一時的に一切のパケットの送受信ができない状態である非通信状態に遷移する広域通信コア部として機能させることを特徴とする。
【0019】
第3の本発明は、低電力広域通信網を介してセンシングデータを収集するサーバに接続する通信装置に使用する通信方法であって、(1)センシングデータ生成部は、前記センシングデータを生成し出力し、(2)過負荷検出部は、自装置を駆動するバッテリーの過負荷を検出して過負荷信号を出力し、(3)状態管理部は、前記過負荷信号が入力された場合に非通信状態指示信号を出力し、(4)広域通信コア部は、前記非通信状態指示信号が入力されると、一時的に一切のパケットの送受信ができない状態である非通信状態に遷移することを特徴とする。
【0020】
第4の本発明は、通信装置と、サーバとを有する通信システムであって、前記通信装置は、第1の本発明の通信装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、通信コストの安価な公衆の通信回線を使用しつつも、外部からの意図せぬパケットによるバッテリー消耗を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係るセンサーネットワーク(センサネットワークシステム)の構成例を示すものである。
図2】実施形態に係る広域通信ノードの広域通信部の特徴動作を示すフローチャートである。
図3】従来のセンサーネットワーク(センサネットワークシステム)の構成例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る通信装置、通信プログラム、通信方法、及び通信システムの実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(A-1)実施形態の構成
図1は、実施形態に係るセンサーネットワーク(センサネットワークシステム)の構成例を示すものである。
【0025】
図1において、センサーネットワーク1は、広域通信ノードA1及びDBサーバA2を有する。以下では、広域通信ノードA1及びDBサーバA2について、前述の広域通信ノードZ1及びDBサーバZ2と異なる点を中心に説明を行う。
【0026】
[広域通信ノード]
広域通信ノードA1は、センシングデータを生成し出力するセンシングデータ生成部B11と、上りデータを送受信データの一つとして送信し、下りデータを送受信データの一つとして受信すると共に、広域通信ノードA1のバッテリーに対する負荷に応じて通信状態も制御する広域通信部B12とを有する。
【0027】
実施形態に係る広域通信ノードは、図1に示す各構成部を搭載した専用のICチップ等のハードウェアとして構成しても良いし、又は、CPUと、CPUが実行するプログラムを中心としてソフトウェア的に構成して良いが、機能的には、図1で表すことができる。
【0028】
広域通信部B12は、広域通信ノードA1のバッテリーに対する過負荷を検出し過負荷信号を出力する過負荷検出部C121と、過負荷信号が入力された場合に非通信状態指示信号を出力する状態管理部C122と、アクティブ状態とスリープ状態が定義され、パケットの有無に従いアクティブ状態とスリープ状態を遷移することで低消費電力にすることを特徴とする回線を用いて、上りデータを送受信データの一つとして送信し、下りデータを送受信データの一つとして受信すると共に、非通信状態指示信号が入力されると一時的に非通信状態に遷移する広域通信コア部C123とを有する。
【0029】
ここで、バッテリーに対する過負荷とは、バッテリーによる駆動時間の設計値を満足できなくなるレベルでバッテリーが消耗している状況を指し示すものである。また、非通信状態とは、一切のパケットの送受信ができない状態であり、例えばOSI階層モデルにおける最下層の物理層(physical layer)を担う電子デバイスへの給電を止めた状態である。一方、回線がアクティブ状態又はスリープ状態であることを通信状態と呼ぶことにする。
【0030】
過負荷検出部C121は、種々様々な検出方法を適用できるが、例えば以下の方法で負荷を検出する。第1に過負荷検出部C121が広域通信ノードA1のバッテリーから供給される電流をモニタリングし、電流が閾値よりも高い場合に過負荷信号を出力する方法である。広域通信ノードA1のバッテリー容量と設計動作時間により、許容可能な消費電流は設計値として定まるため、例えばこの設計値を閾値として使用する。消費電流のモニタリングについては、消費電流と相関を持つバッテリー電圧のモニタリングで代替し、バッテリー仕様と比較する構成でも良い。バッテリー電圧のモニタリングはアナログ-デジタル変換回路で実現できる。
【0031】
第2に過負荷検出部C121が、回線がアクティブ状態であるかスリープ状態であるかをモニタリングし、回線のアクティブ状態が閾値よりも連続して長く続いた場合に過負荷信号を出力する方法である。例えば、DoS攻撃・DDoS攻撃などを受けた場合、通信回線はいつまで経ってもスリープ状態に入ることができず、バッテリーを消耗し続けることになる。このような場合でも、アクティブ状態が閾値以上続いたことを契機に過負荷信号を出力することで回避することができる。
【0032】
第3に過負荷検出部C121が、回線がアクティブ状態であるかスリープ状態であるかと広域通信コア部C123が非通信状態であるかをモニタリングし、過去N秒間(Nは正の実数)において非アクティブ時間に対するアクティブ時間の割合Rが閾値以上になった場合に過負荷信号を出力する方法である。ここで非アクティブ時間とは、回線がスリープ状態であるときと、広域通信コア部C123が非通信状態であるときを合計した時間である。仕様を満たせる割合Rの限界値が、例えば、広域通信ノードA1のバッテリー容量と設計動作時間により定められるため、その限界値を閾値として使用する。広域通信ノードA1が環境発電も組み合わせて動作している場合は、割合Rの限界値は、例えば、広域通信ノードA1のバッテリー容量と設計動作時間の他、設置場所の発電量や、非通信時間として許容可能な時間によっても定められるため、その限界値を閾値として使用する。
【0033】
[センシングデータ生成部、状態管理部等の補足説明]
センシングデータ生成部B11は、図1に示すように、センシングデータと共に警戒情報も出力するようにしても良い。この場合、広域通信部B12は、警戒情報に従って通信状態を制御することとしても良い。つまり、状態管理部C122は、過負荷信号と警戒情報を用いて非通信状態指示信号の出力要否を判定するようにしても良い。具体的には、状態管理部C122は、警戒情報が非警戒状態であることを示していて、且つ過負荷信号が入力された場合にのみ非通信状態指示信号を出力する方法がある。
【0034】
警戒情報は、例えばセンシシグデータ等から導き出される情報で、例えばセンシングデータが水位であるときには、平時は非警戒状態を示し、増水時、つまり水位が一定のレベルを超えた場合には警戒状態を示す情報であり、例えばセンシングデータが傾斜であるときには、平時は非警戒状態を示し、地滑り等が起きている可能性がある場合、つまり傾斜が一定のレベルを超えて変化した場合には警戒状態を示す情報であったりし、種々の組み合わせが考えられる。
【0035】
増水や地滑りが起きているなどの警戒状態であった場合、例えばバッテリーに過負荷がかかって設計値よりも短い動作時間しか確保できなくなるのだとしても、低遅延でタイムリーな情報を必要とする場合がある。状態管理部C122が警戒情報も参照して非通信状態指示信号の出力要否を判定することで、タイムリーな情報を必要とする場面において、上りデータや下りデータを低遅延で伝送することができる。
【0036】
[DBサーバ]
DBサーバA2は、送受信データを内部送受信データとして中継する送受信部B21と、内部送受信データの一つとして、上りデータの受信および下りデータの送信を行い、上りデータに含まれるセンシングデータを、DBに保存したり、可視化したりするDBサーバコア部B22とを有する。詳細は動作の項で述べるが、本実施形態では広域通信部B12が通信を切断することがあり、その場合に、送受信部B21は下りデータをバッファリングする。
【0037】
(A-2)実施形態の動作
次に、実施形態に係るセンサーネットワーク1の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
図2は、実施形態に係る広域通信ノードの広域通信部の特徴動作を示すフローチャートである。以下では、広域通信ノードA1の処理に加えて、DBサーバA2の処理も適宜説明する。
【0039】
<S101、S102>
過負荷検出部C121は、広域通信ノードA1のバッテリーに対する過負荷を検出し、過負荷信号を状態管理部C122に出力する。過負荷の検出方法は、例えば、構成の項で述べた方法である。
【0040】
<S103、S104>
状態管理部C122は、非通信状態指示信号の出力要否を決定する。状態管理部C122は、過負荷検出部C121から過負荷信号が入力された場合に非通信状態指示信号を広域通信コア部C123に出力する。前述のとおり、警戒情報も入力されている場合には、状態管理部C122は、過負荷信号と警戒情報に従って非通信状態指示信号の出力要否を決定する。
【0041】
<S105>
広域通信コア部は、状態管理部C122から非通信状態指示信号が入カされた場合には非通信通知を送受信データの一つとしてDBサーバA2の送受信部B21に送信した上で非通信状態に遷移する。なお、非通信通知を確実に届けた後に広域通信コア部C123を非通信状態に遷移させるため、広域通信コア部C123は、送受信部B21からの非通信通知に対する応答を受け取ってから非通信状態に遷移しても良い。
【0042】
<S106>
広域通信コア部C123では、非通信状態時に発生した上りデータについては、広域通信コア部C123にてバッファリングする。一方、DBサーバA2の送受信部B21において、非通信通知を受けた後の下りデータについては送受信部B21にバッファリングする。
【0043】
<S107、S108>
広域通信コア部C123は、非通信状態になっている場合、所定のタイミングで通信状態に復帰する。DBサーバA2の送受信部B21にも通信状態への復帰タイミングを知らせるため、広域通信コア部C123は、復帰を知らせる通信通知を送受信データの一つとしてDBサーバA2の送受信部B21に送信する。
【0044】
<S109、S110>
通信状態に復帰すると、広域通信コア部C123は、広域通信コア部C123にバッファリングされた上りデータを送信する。一方、DBサーバA2の送受信部B21は、通信通知を受けて、バッフアリングされた下りデータを送信し、広域通信コア部C123は当該下りパケットを受信する。
【0045】
前述の通信状態に復帰する所定のタイミング(前述のステップS107の復帰タイミング)とは、例えば非通信状態になってから予め定めた時間が経過したタイミングとする方法や、例えば、過去M秒間(Mを正の実数)において非アクティブ時間に対するアクティブ時間の割合Sが復帰閾値以下になったタイミングとする方法などがある。
【0046】
また、これらの方法と合わせて、センシングデータ生成部B11から広域通信コア部C123に入力されるセンシングデータに前述の警戒情報も含め、警戒情報が警戒状態であることを示したタイミングでも復帰するようにしても良い。この派生例として、警戒情報が警戒状態であることを示したタイミングでのみ復帰するようにすることでも一定の効果はある。
【0047】
なお、送信通知については、パケットロスのリスクは高まるが、非通信通知と同時に復帰予定時刻を通知することによってDBサーバA2の送受信部B21に復帰を知らせることでも本実施形態の一定の効果は得られる。
【0048】
広域通信ノードA1は、ステップS110の後(通信状態に復帰後)は、再度ステップS101に戻り、負荷をモニタリングする。
【0049】
(A-3)実施形態の効果
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0050】
広域通信ノードA1は、通信コストの安価な公衆の通信回線を使用しつつも、外部からの意図せぬパケットによるバッテリー消耗を防ぐことができ、さらには警戒情報を活用する場合にはタイムリーな情報を必要とする場面において上りデータや下りデータを低遅延で伝送することができる。
【0051】
バッテリーの消耗を防ぐことができることで、広域通信ノードA1は、バッテリー単独で長時間動作させたり、ソーラーパネル等の環境発電と組み合わせたバッテリーで動作させたりすることが可能となる。また、広域通信ノードA1は、ソーラーパネルと組み合わせる場合には、ソーラーパネルを小型化することが可能となる。
【0052】
(B)他の実施形態
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0053】
(B-1)上記実施形態において、広域通信コア部C123は、非通信状態指示信号を受けて非通信状態になり得る。しかし、物理層(physical layer)を担う電子デバイスによっては、通信切断時にフラッシュROM等の不揮発性だが書き換え回数に上限のある記録部品に基地局情報などを記録するものがあり、このような電子部品を使用していた場合、過度に非通信状態に遷移すると、機器寿命を縮めることになる。
【0054】
そのため、非通信状態に遷移した回数をRAM等の書き換え回数の上限がない記録部品にて記録し、非通信状態に遷移した回数が閾値を超えた場合には、非通信状態に遷移するまでの時間を長くするために非通信状態に遷移するための条件を厳しくしたり、通信状態に復帰するまでの時間を長くするために通信状態に遷移するための条件を厳しくしたり、非通信状態への制限を禁止してしまったりすることで、非通信状態に遷移する回数を抑えることで、この問題を解消しても良い。
【0055】
(B-2)また、非通信状態に遷移した回数が閾値を超えた場合には、上りデータの一つとして広域通信ノードA1の管理者に警告するための電子データを送信しても良い。
【0056】
(B-3)上記実施形態において、センシングデータ生成部B11は、警戒情報を出力していたが、変形例としてこの警戒情報を出力しなくても良い。この場合、状態管理部C122では警戒情報を処理する内容は不要となる。
【符号の説明】
【0057】
1、100…センサーネットワーク、A1…広域通信ノード、A2…DBサーバ、B11…センシングデータ生成部、B12…広域通信部、B21…送受信部、B22…DBサーバコア部、C121…過負荷検出部、C122…状態管理部、C123…広域通信コア部、Z1…広域通信ノード、Z2…DBサーバ。
図1
図2
図3