(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112974
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】格点部材、鋼管柱、格点構造及び道路構造
(51)【国際特許分類】
E01C 1/00 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
E01C1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015025
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】591205536
【氏名又は名称】JFEシビル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】今川 亮
(72)【発明者】
【氏名】尾添 仁志
(72)【発明者】
【氏名】松永 聡
(72)【発明者】
【氏名】菅原 淳
(72)【発明者】
【氏名】栗原 康行
(72)【発明者】
【氏名】坂本 義仁
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AH01
2D051BA02
2D051BA03
2D051BA06
(57)【要約】
【課題】リブが設置された充填空間の充填材の充填不良を抑える、格点部材、鋼管柱、格点構造、及び道路構造を提供する。
【解決手段】本発明は、内部に充填材を充填されて鋼管柱の一部に固定される格点部材であって、鋼管柱の外側面を包囲する筒体を備え、筒体は、内周面から突出した複数の内側リブを備える。複数の内側リブのそれぞれは、中心軸方向の視点において長手方向が周方向に延び、周方向の一方の端部が他方の端部に対し筒体の中心軸方向にずれた位置に配置されている、格点部材である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に充填材を充填されて鋼管柱の一部に固定される格点部材であって、
前記鋼管柱の外側面を包囲する筒体を備え、
前記筒体は、
内周面から突出した複数の内側リブを備え、
前記複数の内側リブのそれぞれは、
中心軸方向の視点において長手方向が周方向に延び、周方向の一方の端部が他方の端部に対し前記筒体の中心軸方向にずれて位置するように傾斜して配置されている、格点部材。
【請求項2】
前記複数の内側リブは、
前記筒体の前記内周面に沿って螺旋状に配置されている、請求項1に記載の格点部材。
【請求項3】
中心軸方向において同じ高さに配置されている前記複数の内側リブは、
互いに傾斜方向が異なる、請求項1に記載の格点部材。
【請求項4】
内部に充填材を充填されて鋼管柱の一部に固定される格点部材であって、
前記鋼管柱の外側面を包囲する筒体を備え、
前記筒体は、
内周面に突出した内側リブを有し、
前記内側リブは、
同一円周上に複数の部分に分割されて配置されている、格点部材。
【請求項5】
地盤に立設され一部に格点部材が固定される鋼管柱であって、
外側面に突出した外側リブを有し、
前記外側リブは、
中心軸方向の視点において長手方向が周方向に延び、一方の端部が他方の端部に対し中心軸方向にずれて位置するように傾斜して配置されている、鋼管柱。
【請求項6】
前記外側リブは、
前記外側面に沿って螺旋状に形成されている、請求項5に記載の鋼管柱。
【請求項7】
前記外側リブは、
複数の外側リブを含む、請求項5又は6に記載の鋼管柱。
【請求項8】
中心軸方向において同じ高さに配置されている前記複数の外側リブは、
傾斜方向が異なるものを含む、請求項7に記載の鋼管柱。
【請求項9】
地盤に立設され一部に格点部材が固定される鋼管柱であって、
外側面に突出した外側リブを備え、
前記外側リブは、
同一円周上に複数の部分に分割されて配置されている、鋼管柱。
【請求項10】
格点部材の内部に充填材を充填して鋼管柱に固定されて形成された格点構造であって、
前記格点部材は、
前記鋼管柱の外側面を包囲する筒体を備え、
前記筒体は、
内周面に突出した内側リブを備え、
前記鋼管柱は、
前記外側面に突出した外側リブを備え、
前記内側リブ及び前記外側リブのそれぞれは、
中心軸方向の視点において長手方向が周方向に延び、周方向に沿った方向における一方の端部が、他方の端部に対し前記鋼管柱の中心軸方向にずれて位置するように傾斜して配置されている、格点構造。
【請求項11】
前記内側リブ及び前記外側リブは、
螺旋状に形成されている、請求項10に記載の格点構造。
【請求項12】
前記内側リブ及び前記外側リブは、
螺旋状の一部を部分的に除去された複数の部分からなる、請求項11に記載の格点構造。
【請求項13】
前記内側リブ及び前記外側リブは、
中心軸方向の単位長さあたりの巻数が等しく、巻方向が同じ螺旋状であり、回転方向に位相をずらして配置されている、請求項11又は12に記載の格点構造。
【請求項14】
前記外側リブは、
中心軸方向において並べられた2つの内側リブの間に配置されている、請求項11又は12に記載の格点構造。
【請求項15】
前記内側リブは、
複数の内側リブを含み、
前記複数の内側リブの一部は、
軸方向において同じ高さに配置されている、請求項10に記載の格点構造。
【請求項16】
軸方向において同じ高さに配置されている前記複数の内側リブは、
傾斜方向が異なるものを含む、請求項15に記載の格点構造。
【請求項17】
前記外側リブは、
複数の外側リブを含み、
前記複数の外側リブの一部は、
軸方向において同じ高さに配置されている、請求項10に記載の格点構造。
【請求項18】
軸方向において同じ高さに配置されている前記複数の外側リブは、
傾斜方向が異なるものを含む、請求項17に記載の格点構造。
【請求項19】
格点部材の内部に充填材を充填して鋼管柱に固定されて形成された格点構造であって、
前記格点部材は、
前記鋼管柱の外側面を包囲する筒体を備え、
前記筒体は、
内周面に突出した内側リブを備え、
前記鋼管柱は、
前記外側面に突出した外側リブを備え、
前記内側リブ及び前記外側リブのそれぞれは、
同一円周上に配置され、
前記外側リブは、
前記内側リブに対し、前記鋼管柱の中心軸方向にずれた位置に配置されている、格点構造。
【請求項20】
格点部材の内部に充填材を充填して鋼管柱に固定されて形成された格点構造であって、
前記格点部材は、
前記鋼管柱の外側面を包囲する筒体を備え、
前記筒体は、
内周面に突出した内側リブを備え、
前記鋼管柱は、
前記外側面に突出した外側リブを備え、
前記内側リブ及び前記外側リブのそれぞれは、
同一円周上に複数の部分に分割されて配置されている、格点構造。
【請求項21】
前記格点部材は、
前記筒体の内部に前記鋼管柱の先端と当接する支持部材を備える、請求項10~15の何れか1項に記載の格点構造。
【請求項22】
前記支持部材の上に載置される鋼管柱を更に備え、
前記格点部材は、
前記筒体の中央部に前記支持部材が配置される、請求項21に記載の格点構造。
【請求項23】
地盤に打設された複数の鋼管柱と、
請求項10~22の何れか1項に記載の格点構造と、を備える、道路構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路等を支持する支柱に設置される格点部材、鋼管柱、格点構造及び道路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、山間部に道路を構築する場合は、既存の斜面の道路面計画高さより高い部分は切土を行い、また、低い部分には盛土を行い、路面を平坦に成形した構造が用いられる。この場合、既存の斜面を改変するため、植栽及び生物の居住環境に及ぼす影響が大きく、環境保全の面で好ましくない場合が多い。また、谷合に橋梁を設置する場合には、大規模な橋脚を斜面に構築する必要があり、大規模な掘削及び基礎工事が必要である。この場合、環境に対する影響が大きいうえ、工期が長くなりコストも大きくなる。そこで、斜面に杭を設置し、その上に桁及び道路床版を設置する桟橋形式の道路構造が考案されている。
【0003】
道路等を構築するにあたり、山間部の斜面に複数の鋼管柱(鋼管杭)を打設し、隣接する鋼管柱の頭部に主桁と横桁を連結し、その上に床版を敷設する工法が行われている。このとき、鋼管柱の施工誤差が大きく、例えば、設計値に対して100mm程度の誤差(芯ずれ)を生じることがあるため、あらかじめ製作した桁部材では施工が困難である。この課題を解決するための構造として、鋼管柱の先端に格点部材(格点ブロック)を被せ、鋼管柱の中心軸と格点部材の中心軸とが偏心した状態で鋼管柱と格点部材とを接続できる格点構造が知られている。この格点構造は、鋼管柱と格点部材の筒体との間にコンクリートなどの充填材が充填されている。鋼管柱の外側面及び格点部材の筒体の内周面には、コンクリートが強固に付着するように、リブ(シアキー)が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
充填材が充填される充填空間の容積を低減させる観点から、格点構造の鋼管柱の外径と格点部材の筒体の内径との差は、小さいことが望ましい。しかし、鋼管柱の施工誤差により、鋼管柱と格点部材の筒体との中心軸の偏心が生じるため、鋼管柱の外側面と格点部材の筒体の内周面との隙間が、部分的に狭くなる。このとき、鋼管柱及び格点部材のそれぞれに設けられたリブ同士の隙間が狭くなる。リブ同士が近い部分は、充填材の流動が阻害され易い。また、充填材に含まれる骨材のうち粒子径が大きいものは、リブ同士の間に引っかかり、充填を阻害する場合もある。さらに、リブの下面には充填材に混入した気泡が上方に抜けきらずに滞留する場合がある。このような要因によってリブ同士が近い部分の周囲は、充填材に気泡が生じ、充填不良が発生する、という課題があった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであって、リブが設置された充填空間の充填材の充填不良を抑える、格点部材、鋼管柱、格点構造及び道路構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る格点部材は、内部に充填材を充填されて鋼管柱の一部に固定される格点部材であって、前記鋼管柱の外側面を包囲する筒体を備え、前記筒体は、内周面から突出した複数の内側リブを備え、前記複数の内側リブのそれぞれは、中心軸方向の視点において長手方向が周方向に延び、周方向の一方の端部が他方の端部に対し前記筒体の中心軸方向にずれて位置するように傾斜して配置されている。
【0008】
また、本発明に係る格点部材は、内部に充填材を充填されて鋼管柱の一部に固定される格点部材であって、前記鋼管柱の外側面を包囲する筒体を備え、前記筒体は、内周面に突出した内側リブを有し、前記内側リブは、同一円周上に複数の部分に分割されて配置されている。
【0009】
本発明に係る鋼管柱は、地盤に立設され一部に格点部材が固定される鋼管柱であって、外側面に突出した外側リブを有し、前記外側リブは、中心軸方向の視点において長手方向が周方向に延び、一方の端部が他方の端部に対し中心軸方向にずれて位置するように傾斜して配置されている。
【0010】
また、本発明に係る鋼管柱は、地盤に立設され一部に格点部材が固定される鋼管柱であって、外側面に突出した外側リブを備え、前記外側リブは、同一円周上に複数の部分に分割されて配置されている。
【0011】
本発明に係る格点構造は、格点部材の内部に充填材を充填して鋼管柱に固定されて形成された格点構造であって、前記格点部材は、前記鋼管柱の外側面を包囲する筒体を備え、前記筒体は、内周面に突出した内側リブを備え、前記鋼管柱は、前記外側面に突出した外側リブを備え、前記内側リブ及び前記外側リブのそれぞれは、中心軸方向の視点において長手方向が周方向に延び、周方向に沿った方向における一方の端部が、他方の端部に対し前記鋼管柱の中心軸方向にずれて位置するように傾斜して配置されている。
【0012】
本発明に係る格点構造は、格点部材の内部に充填材を充填して鋼管柱に固定されて形成された格点構造であって、前記格点部材は、前記鋼管柱の外側面を包囲する筒体を備え、前記筒体は、内周面に突出した内側リブを備え、前記鋼管柱は、前記外側面に突出した外側リブを備え、前記内側リブ及び前記外側リブのそれぞれは、同一円周上に配置され、前記外側リブは、前記内側リブに対し、前記鋼管柱の中心軸方向にずれた位置に配置されている。
【0013】
本発明に係る格点構造は、格点部材の内部に充填材を充填して鋼管柱に固定されて形成された格点構造であって、前記格点部材は、前記鋼管柱の外側面を包囲する筒体を備え、前記筒体は、内周面に突出した内側リブを備え、前記鋼管柱は、前記外側面に突出した外側リブを備え、前記内側リブ及び前記外側リブのそれぞれは、同一円周上に複数の部分に分割されて配置されている。
【0014】
本発明に係る道路構造は、地盤に打設された複数の前記鋼管柱と、上記の何れかの格点構造と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、鋼管柱と格点部材とが偏心しても、気泡又は粒子径の大きい骨材が抜け易いため、リブ同士が近くに配置されても、充填材の充填不良を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態1に係る道路構造100を側面から見た模式図である。
【
図2】
図1の道路構造100のA-A部の断面構造の説明図である。
【
図3】
図1の道路構造100のB-B部の断面構造の説明図である。
【
図4】
図1の道路構造100のC-C部の断面構造の説明図である。
【
図5】
図1の道路構造100の桁部材41の配置図である。
【
図6】実施の形態1に係る格点構造60aの断面構造の説明図である。
【
図7】実施の形態1に係る格点構造60aの上面図である。
【
図8】実施の形態1の仮接合工程に用いられる型枠治具70の構造の説明図である。
【
図10】実施の形態1に係る格点構造60aの比較例である格点構造160の断面構造の説明図である。
【
図12】実施の形態1に係る格点構造60aの変形例である格点構造60bの断面構造の説明図である。
【
図14】実施の形態1に係る格点構造60aの変形例である格点構造60cの断面構造の説明図である。
【
図15】実施の形態1に係る格点構造60cの変形例である格点構造60dの断面構造の説明図である。
【
図16】実施の形態2に係る格点構造260aの断面構造の説明図である。
【
図17】実施の形態2に係る格点構造260aの外側リブ213を逆巻きにした場合の断面構造の説明図である。
【
図18】
図17の外側リブ213と内側リブ254の位置関係を説明する斜視図である。
【
図19】実施の形態3に係る格点構造360aの断面構造の説明図である。
【
図20】実施の形態4に係る格点構造460aの断面構造の説明図である。
【
図21】実施の形態4に係る支持杭10又は格点部材50aを構成するリブ付き鋼帯の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。各図は模式的に示すものであって、各部材の相対的な大きさや板厚等は図示する寸法に限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0018】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る道路構造100を側面から見た模式図である。
図2は、
図1の道路構造100のA-A部の断面構造の説明図である。
図3は、
図1の道路構造100のB-B部の断面構造の説明図である。
図4は、
図1の道路構造100のC-C部の断面構造の説明図である。
図5は、
図1の道路構造100の桁部材41の配置図である。道路構造100は、山間部等の起伏が大きい地盤に設置されるものである。道路構造100は、例えば、山間部の斜面に沿って道路を設ける場合、斜面に沿って設けられた既設道路を拡幅する場合、又は山間部の沢部を跨いで道路を通す場合等に用いられる構造である。実施の形態1においては、一例として山間部の斜面に沿って設置された道路構造100について説明する。
【0019】
道路構造100は、地盤90に打設された複数の鋼管柱20を備える。鋼管柱20は、地盤90に設けられた孔に、杭頭12が地盤90の表面94から突出するように建てられる。地盤90は、ダウンザホールハンマ等によって堆積層92を貫通し、支持層93まで削孔されている。地盤90に設けられた孔に鋼管柱20を建て込み、孔にコンクリート又はモルタル等の充填材が充填されることにより、鋼管柱20は、地盤90に立設される。地盤90に立設された鋼管柱20は、支持杭10bとも称する。
【0020】
鋼管柱20は、道路が延びる方向である第1方向に並列して地盤90に複数打設される。
図5に示される様に、桁部材41が例えば斜面などに沿って曲がって配置されており、道路は、その桁部材41の上に道路床版99を設置して構成される。第1方向は、この道路に沿った方向である。道路構造100の複数の鋼管柱20は、第1鋼管柱20aと第2鋼管柱20bとを含む。第1鋼管柱20aは、上方に鋼管柱30が接続される。第2鋼管柱20bは、上端に上端格点部材50aが固定されるものである。
【0021】
鋼管柱30は、道路床版99及び桁部材41が設置される地盤90の表面94からの高さに応じて、第1鋼管柱20aの上端に接合されるものである。第1鋼管柱20aの上端に接合される鋼管柱30は、鋼管支柱とも称する。また、第1鋼管柱20aと鋼管柱30とが接続された構造を支持杭10aとも称する。
【0022】
図1中に示されている三角形の記号は、第1鋼管柱20aと鋼管柱30との接合部11を示している。接合部11においては、格点構造60d(
図15参照)により地盤90側に位置する鋼管柱20aとその上方に接合される鋼管柱30とが接合されている。なお、地盤90に立設された柱状の構造を総称して支持杭10と称する場合がある。特に、上述した第1鋼管柱20aと鋼管柱30とを接合した構造を、支持杭10aと称する場合がある。また、支持杭10に設けられている格点構造60a~60dなどを総称して格点構造60と称する場合がある。
【0023】
図1及び
図5に示す様に、上端格点部材50aは、第1方向において隣り合う上端格点部材50aと桁部材41により連結されている。第1方向に沿って設置されている桁部材41を特に縦桁41aと呼ぶ。第1方向は、道路が延びる方向であり、
図1においてはy軸方向に相当する。
【0024】
また、
図2~
図5に示す様に、上端格点部材50aは、第1方向に交差する第2方向に並列して隣り合う上端格点部材50aと桁部材41により連結されている。第2方向に沿って設置されている桁部材41を特に横桁41bと呼ぶ。第2方向は、
図2~
図4におけるx軸方向に相当する。
【0025】
図2に示される様に、地盤90に打設された鋼管柱20bは、第1方向に交差する第2方向に沿って2本並べられている。横桁41bは、第2方向に並べられた鋼管柱20bの杭頭12同士を上端格点部材50aを介して連結している。
図5に示されるように、隣合う鋼管柱20bは、第2方向においては横桁41b、第1方向においては縦桁41aで連結されている。
【0026】
図3に示される様に、鋼管柱30は、第1鋼管柱20aの杭頭21aと接合され上方に延びている。第1鋼管柱20aと鋼管柱30とにより構成された支持杭10aの杭頭12には上端格点部材50aが接合されている。上端格点部材50aは、鋼管柱30の杭頭12と接合され、格点構造60a(
図6参照)を形成している。
【0027】
地盤90に立設された第2鋼管柱20bは、杭頭12に上端格点部材50aが接続されている。上端格点部材50aは、第2鋼管柱20bの杭頭12と接合され、
図6に示す格点構造60aを形成している。
【0028】
第1鋼管柱20aと鋼管柱30とにより構成された支持杭10aの杭頭12に接合された上端格点部材50aは、第2方向に隣り合って配置された第2鋼管柱20bの杭頭12に接合された上端格点部材50aと横桁41bにより連結されている。
【0029】
図1の左側又は右側から1番目及び2番目に示されている第2鋼管柱20bのように、第2鋼管柱20bに接合されている上端格点部材50aは、支持杭10aに接合されている上端格点部材50aと同様に、第1方向及び第2方向に隣り合う上端格点部材50aと連結されている。なお、第2鋼管柱20bは、支持杭10bと称する場合がある。
【0030】
ここで、縦桁41a及び横桁41bを総称して桁部材41と称する。
図1~
図5に示される様に、桁部材41は、第1方向及び第2方向に沿って設置され、それぞれ支持杭10の杭頭12を上端格点部材50aを介して連結している。桁部材41及び上端格点部材50aの上面には、床版固定部材42(
図5参照)が設置されている。道路床版99は、床版固定部材42を介して桁部材41及び上端格点部材50aに固定される。なお、鋼管柱20は、第1方向に交差する第2方向に2本以上並べられていても良い。
【0031】
図5に示される様に、横桁41bは、中央部に連結部43を備えていても良い。連結部43には縦桁41aが接続されている。連結部43に接続されている縦桁41aは、第1方向において隣り合う横桁41bの連結部43同士を接続している。
【0032】
図1に示される様に、支持杭10aには中間格点部材50bが設けられている。実施の形態1において、中間格点部材50bは、支持杭10aのうち鋼管柱30の中央部に設置されている。つまり、中間格点部材50bは、道路構造100のうち、地盤90からの突出長さが多大な支持杭10aに設けられている。中間格点部材50bは、隣り合う鋼管柱30に設けられた中間格点部材50bと梁部材40により連結されている。第1方向に沿って設置されている梁部材40を、特に縦梁40aと呼ぶ。
【0033】
図4に示される様に、中間格点部材50bは、第1方向に交差する第2方向において隣り合う支持杭10に設置された中間格点部材50bと梁部材40により連結されている。第2方向に沿って設置されている梁部材40を、特に横梁40bと呼ぶ。
【0034】
梁部材40は、
図1及び
図3に示される様に傾斜して設置されていても良いし、
図4に示される様に水平に設置されていても良い。また、中間格点部材50bは、
図1及び
図4に示される様に鋼管柱30に設置されるものに限定されず、
図3に示される様に第2鋼管柱20bに設置されていても良い。中間格点部材50bによる格点構造60bについては後述する。
【0035】
(上端格点部材50aの構造)
図6は、実施の形態1に係る格点構造60aの断面構造の説明図である。
図7は、実施の形態1に係る格点構造60aの上面図である。上端格点部材50aと支持杭10の杭頭12とは、接合され格点構造60aを形成する。格点構造60aは、上端格点部材50aの一部と支持杭10の杭頭12とが組み合わさり、杭頭12に対する上端格点部材50aの位置を調整しつつ、上端格点部材50aと支持杭10とを接合するものである。格点構造60aは、上端格点部材50aを構成する筒体51aと杭頭12の外側面との間にコンクリート又はモルタルなどの充填材80を充填することにより、上端格点部材50aと支持杭10とを接合する。即ち、上端格点部材50aは、支持杭10と中心軸の位置がずれた状態であっても、支持杭10に接合できる。
【0036】
実施の形態1において、格点構造60aは、少なくとも上端格点部材50aを備える。上端格点部材50aは、筒体51aと支持部材55aとから構成される。筒体51aは、鋼管から形成されている。実施の形態1においては、筒体51aは、円筒形状になっている。筒体51aの内部の上部には支持部材55aが設置されている。支持部材55aは、円筒形状である筒体51aの中心軸Cを通り、板状の部材を十字形状に組み合わせて形成されている。
【0037】
図7に示す様に、上端格点部材50aは、桁部材41が接続される縦桁仕口52a及び横桁仕口53aを備える。縦桁仕口52a及び横桁仕口53aと桁部材41(
図5参照)とは、添接板44(
図5参照)により縦桁仕口52a又は横桁仕口53aの端部と桁部材41の端部とを挟みこみ、ボルト及びナットを用いて添接板44とそれぞれの部材の端部とを固定して接続される。
【0038】
上端格点部材50aは、上部に板状の部材が取り付けられており、上面57aが平坦になっている。上面57aは、例えば道路の傾斜に合わせて傾斜していてもよい。上面57aには、板状の部材である上部プレート58を貫通する充填孔56aが開口されている。充填孔56aは、杭頭12の外側面と筒体51aの内周面との間の空間に充填材80を注入するための孔であり、外部と筒体51aの内部の空間とを連通する。
【0039】
支持部材55aは、下面に支持杭10a又は10bの杭頭12の端面14が当接する。支持部材55aの下面と杭頭12の端面14とが当接することにより、上端格点部材50aは、支持杭10の中心軸方向の位置、即ち高さ方向の位置が決まる。筒体51aは、支持杭10の上端部の外周面を包囲している。充填材80が充填される前においては、筒体51aの内側面と支持杭10の外側面と間には隙間が形成されており、上端格点部材50aは、その隙間の分だけ支持杭10に対し水平方向に移動させることができる。
図7に示されるように、支持部材55aは、板状の部材を十字に組み合わせて形成されているが、その他の形態をとることもできる。支持部材55aは、上端格点部材50aを杭頭12の端面14上に載置でき、充填材80の注入の際に障害にならなければその他の構造であってもよい。
【0040】
支持杭10は、杭頭12の位置が想定した位置からずれる場合がある。地盤90の表面94からの突出量が多大である場合には、鋼管柱20及びその上端に接続された鋼管柱30の単品の精度並びにそれらの接合精度により、杭頭12の位置誤差が大きくなる場合がある。例えば、上端格点部材50aの筒体51aが円筒形状であり、杭頭12が円柱形状であり、筒体51aの内径が杭頭12の外径より200mm大きく設定された場合を想定する。この場合、上端格点部材50aは、杭頭12に最大で100mmの水平方向の位置の誤差があっても、その誤差を吸収して正しい位置に設置できる。
【0041】
充填材80は、上端格点部材50aの上面57aに開口している充填孔56aから筒体51aと杭頭12との隙間に充填される。筒体51aは、下方が開口されている。そのため、充填材80の充填工程において、下方から充填材80が漏れ出ないように、型枠治具70(
図8参照)を筒体51aの下端面に当接させて開口を塞ぐ。型枠治具70については、別途説明する。充填材80が充填される筒体51aと杭頭12との隙間を形成する筒体51aの内周面及び杭頭12の外側面は、リブ54及びリブ13が設けられている。筒体51aの内周面に突出しているリブ54を、内側リブ54と称する。また、支持杭10の外側面に突出しているリブ13を、外側リブ13と称する。リブ54及び13が固化した充填材80と噛み合うため、充填材80は、筒体51aの内側面及び杭頭12の外側面に沿った方向にずれることがなく、上端格点部材50aと支持杭10との間の荷重伝達を向上させることができる。
【0042】
リブ13及び54は、棒鋼、異形棒鋼、又は鋼板を曲げて形成され、溶接にて固定して形成される。リブ13及び54は、設置される現場以外において固定されていても良い。または、上端格点部材50aの筒体51aの内側リブ54の位置に合わせて、鋼管柱30の外側面に固定しても良い。
【0043】
図6に示す様に、支持杭10の杭頭12に設けられている外側リブ13は、支持杭10の中心軸C1方向に複数設けられている。外側リブ13のそれぞれは、外側面12aに沿って中心軸C1を中心とする同一円周上に配置されている。
図6においては、外側リブ13は、端面14から間隔をおいて3箇所に配置されているが、数量及び位置を適宜変更できる。
【0044】
格点部材50aの筒体51aの内周面に設けられている内側リブ54は、筒体51aの中心軸C2方向に複数設けられている。内側リブ54のそれぞれは、筒体51aの内周面に沿って中心軸C2を中心とする円周上に配置されている。
図6においては、内側リブ54は、支持部材55aから間隔をおいて3箇所に配置されているが、数量及び位置を適宜変更できる。なお、支持杭10の中心軸C1と格点部材50aの筒体51aの中心軸C2とは、水平方向にずれているが、支持杭10の杭頭12が設計上正しい位置にある場合は、一致する。また、中心軸C1と中心軸C2とは、実質的に平行である。
【0045】
外側リブ13と内側リブ54とは、高さ方向、即ち中心軸C1又はC2方向にずらして配置されている。外側リブ13は、中心軸C1方向において、上下に位置する内側リブ54の間に配置されている。
図6においては、外側リブ13は、上下に位置する内側リブ54の間の中央に配置されているが、これに限定されるものではなく、上下に位置する一方の内側リブ54側にずれて配置されていてもよい。
【0046】
(道路構造100及び格点構造60aの施工方法)
実施の形態1に係る格点構造60aの施工方法について説明する。
図1~
図4に示される様に、道路構造100は、まず道路が延びる第1方向及び第1方向に交差する第2方向に並列して地盤90に鋼管柱20が打設される。この工程を鋼管柱打設工程と呼ぶ。鋼管柱打設工程は、まず地盤90にダウンザホールハンマなどを用いて削孔し、鋼管柱20を建て込む孔を形成する。孔は、地盤90の表面94側にある堆積層92を貫通し、支持層93に達している。
【0047】
鋼管柱20は、道路構造100に複数用いられる。複数の鋼管柱20は、全て上記の鋼管柱打設工程により地盤90に打設される。
【0048】
次に、複数の鋼管柱20のうち第1鋼管柱20aは、格点構造60d(
図15参照)により、鋼管柱30が建て込まれる。複数の鋼管柱20のうち第1鋼管柱20aに鋼管柱30が仮接合され、支持杭10aが仮組立される。また、支持杭10aの杭頭12及び複数の鋼管柱20のうち第2鋼管柱20bの杭頭21bに上端格点部材50aが仮接合される。仮接合は、型枠治具70(
図8参照)を用いることにより、一時的に上端格点部材50aを第2鋼管柱20b又は鋼管柱30の杭頭12に設置する工程、中間格点部材150b(
図15参照)及び鋼管柱30を鋼管柱20aの杭頭12に設置することであり、この工程を仮接合工程と呼ぶ。以下に仮接合工程の詳細について説明する。
【0049】
図8は、実施の形態1の仮接合工程に用いられる型枠治具70の構造の説明図である。
図8においては、上端格点部材50aを鋼管柱20bの杭頭12に設置する場合の図を示しているが、なお、後に説明する中間格点部材50bを鋼管柱20aの杭頭12に設置する場合においても型枠治具70の使用方法は同じである。
【0050】
型枠治具70は、型枠板74を支持するブラケット71を備える。ブラケット71は、固定バンド73に接続されている。固定バンド73は、鋼管柱20の外側面を包囲する様にして鋼管柱20に着脱自在に固定され、ブラケット71の位置を固定する。固定バンド73により型枠治具70を鋼管柱20に設置する工程を特に型枠設置工程と呼ぶ。型枠設置工程は、仮接合工程に含まれる。
【0051】
図8の上端格点部材50aは、筒体51bの下端面に型枠治具70の型枠板74を当接させるように設置される。この工程を筒体設置工程と呼ぶ。筒体設置工程は、接合工程に含まれる。型枠板74は、上端格点部材50aの内部に注入される充填材80が漏れ出ないように設置される。
【0052】
ブラケット71は、調整ボルト75を備える。調整ボルト75の先端は、型枠板74の上に載置される上端格点部材50aの筒体51bの外周面に当接する。調整ボルト75は、ナット部材76と螺合しており、先端の位置を精度良く調整できるとともに、上端格点部材50aの筒体51bの位置を仮固定することができる。このように上端格点部材50aの筒体51aの水平位置を調整し固定する工程を固定工程と呼ぶ。固定工程は、仮接合工程に含まれる。
【0053】
実施の形態1に係る道路構造100は、上記のように型枠治具70を用いることにより、格点部材50に充填材80を注入しない状態で支持杭10a及び10bを仮組立することができる。そのため、仮組立した支持杭10a及び10bの上に覆工版399(
図9参照)を設置し、道路に沿った第1方向に次々に支持杭10a及び10bを立設することができる。つまり、鋼管打設工程と仮接合工程とは、交互に繰り返され、道路全長分又は所定の道路の長さの分の支持杭10a及び10bが建て終わるまで繰り返される。以上の工程をまとめて、支持杭立設工程と呼ぶ。
【0054】
支持杭立設工程により、支持杭10a及び10bが建てられ、支持杭10a及び10aの杭頭12に上端格点部材50aが仮固定された状態になったら、格点部材50の内部に充填材80が注入される。この工程を注入固化工程と呼ぶ。型枠治具70は、充填材80が固化したら撤去する。なお、格点部材50は、上端格点部材50a及び後に説明する中間格点部材50b、150bを総称したものである。注入固化工程は、道路全長分の仮組立状態の支持杭10a及び10bを立設した後に、全ての格点部材50について実施すると良い。
【0055】
型枠治具70を用いないで道路構造100を設置する場合、道路に沿った第1方向に最初の支持杭10を建て、格点部材50に注入された充填材80を固化させた後に覆工版を支持杭10の上に設置する。そして、設置された覆工版399の上に重機を載せ、次の支持杭10を建てる。このような工程の場合、支持杭10を建てるごとに充填材80の注入固化工程が必要となるため、工期が長くなってしまう。一方、道路構造100は、型枠治具70を用いることにより、充填材80の注入固化工程の回数を抑えることができるため、工期を短縮することができるという利点がある。
【0056】
道路構造100は、注入固化工程が完了した後に覆工版399が撤去され、道路床版99が設置される。
【0057】
図9は、覆工版の一例を示す側面図である。覆工版は、鋼管柱打設工程と仮接合工程とを繰り返している際に仮組立てされた支持杭10の上に載置されるものである。
図9に示される覆工版399は、仮設の杭頭ブロック350aを備えている。そのため、道路構造100の上端格点部材50aを設置せずに杭頭ブロック350aを杭頭12にはめ込み、覆工版399を設置できる様にしたものである。このような覆工版399を用いることにより、鋼管柱打設工程のみをまとめて実施することができるため、杭打機の拘束時間を短縮することができる。
【0058】
(比較例の格点構造160について)
図10は、実施の形態1に係る格点構造60aの比較例である格点構造160の断面構造の説明図である。比較例の格点構造160においては、支持杭10の外側面に設けられた外側リブ13と格点部材50aの筒体51aの内周面の内側リブ54とが、中心軸C1及びC2方向において同じ高さに配置されている。従って、支持杭10の杭頭12と格点部材50aとが偏心して配置された場合、外側リブ13と内側リブ54とが接近して配置される。または、外側リブ13と内側リブ54とが当接する場合も考えられる。
【0059】
図11は、
図10のD2部の拡大図である。上端格点部材50aと杭頭12との間の隙間に充填材80を充填する場合、充填孔56aから充填材80が注入される。
図11には示されていないが、充填材80の注入時には、
図8に示される様に、上端格点部材50aの下端に接する様に型枠治具70が設置されている。よって、充填孔56aから注入された充填材80は、型枠板74の上面から徐々に流動しながら上方に堆積していく。しかし、上端格点部材50aの内側リブ54と杭頭12の外側リブ13とは、部分的に距離が近い部分があり、その部分においては流動が阻害される場合がある。
【0060】
図11に示されている距離wは、比較例である格点構造160の外側リブ13と内側リブ54とが最も近づいた部分の隙間の寸法を示している。例えば、筒体51aの内径が700mm、杭頭12の外径が500mm、外側リブ13及び内側リブ54の外径が9mm、筒体51aと杭頭12の偏芯量が70mmである場合、距離wは12mmである。このとき、充填材80が、骨材81aの最大粒径が20mmのコンクリートであったとすると、例えば
図11の骨材81aのように外側リブ13及び内側リブ54の間に骨材81aが引っかかる。すると、外側リブ13と内側リブ54とが最も近づいた部分は、比較的粒子径の小さい骨材81b又はセメントなどが通過せず、例えば
図11に示されている領域Fにコンクリートが充填されない空間が生ずる。また、大きい骨材81aでなく、中程度の粒径の骨材であっても、複数の骨材が組み合わさって外側リブ13と内側リブ54との間に引っかかる場合も想定される。
【0061】
格点構造160において、充填材80が充填されない空隙があった場合、空隙を起点として充填材80の亀裂が生じる虞がある。また、空隙に溜まった水分などから、筒体51aを構成する鋼材の腐食が生じる場合がある。
【0062】
(実施の形態1の格点構造60aの作用)
実施の形態1に係る格点構造60aにおいては、外側リブ13と内側リブ54とが中心軸C1方向において離れた位置に配置されている。そのため、格点部材50aの筒体51a及び杭頭12が偏心しても、外側リブ13と内側リブ54との距離が近接することがない。したがって、格点部材50aの筒体51a及び杭頭12と充填材80の付着力を向上させつつ、充填材80の充填不良を抑制できる。また、比較例の格点構造160と比較して、格点部材50aと杭頭12との偏芯量を大きくとることができる。
【0063】
(変形例)
図12は、実施の形態1に係る格点構造60aの変形例である格点構造60bの断面構造の説明図である。
図13は、
図12のS-S部の断面図である。変形例に係る格点構造60bにおいては、格点部材50aの筒体51aに設けられた内側リブ54と杭頭12の外側リブ13とは、同じ高さに配置されている。しかし、内側リブ54と外側リブ13とは、部分的に除去されている。言い換えると、同一円周上に複数のリブ54又は13が形成されている。
【0064】
図13に示すように、内側リブ54及び外側リブ13は、4箇所に分割して配置されているが、分割する数、またリブ54又は13の切り欠き部54a又は13aの幅を適宜変更できる。このように構成することにより、格点部材50aと支持杭10とが偏心したときに、内側リブ54と外側リブ13とが近づいて、骨材が引っかかるような狭隘部の発生する確率が減少する。また、狭隘部が発生した場合であっても、近くの切り欠き部54a又は13aから気泡が抜けるため、充填材80の充填不良を抑えることもできる。
【0065】
図13においては、切り欠き部54aと切り欠き部13aの位置が周方向において同じ位置にならないようにされている。このようにすることで、格点部材50aと杭頭12との偏心がいかなる方向になったときも、充填不良を抑える効果が得られる。なお、より充填不良を抑える効果を向上させるためには、切り欠き部54a又は13aの数量を増やすか又は幅を広くすることが望ましい。
【0066】
なお、
図12の格点構造60bの内側リブ54及び外側リブ13は、中心軸C1及びC2方向に互いにずらして配置しても良い。この場合、格点構造60bは、
図6の格点構造60aの内側リブ54及び外側リブ13に切り欠き部54a及び13aを設けたものに相当する。このように構成することにより、格点構造60bは、内側リブ54及び外側リブ13の距離wが近づくことがない。さらに、内側リブ54及び外側リブ13は、切り欠き部54a及び13aを設けることにより充填材80の流動性を向上させ、気泡が抜けやすくなる。内側リブ54及び外側リブ13は、格点構造60a及び60bの内部の凹凸であり、充填材80の流動を妨げるものであるが、切り欠き部54a及び13aにより、それが緩和する。
【0067】
(中間格点部材50bの構造)
図14は、実施の形態1に係る格点構造60aの変形例である格点構造60cの断面構造の説明図である。中間格点部材50bと支持杭10とは、格点構造60cにより接合される。格点構造60cは、中間格点部材50bと支持杭10とが組み合わさり、支持杭10に対する中間格点部材50bの位置を調整しつつ支持杭10に固定するためのものである。即ち、中間格点部材50bは、格点構造60bにより、支持杭10と中心軸の位置がずれた状態であっても、支持杭10に接合することができる。
【0068】
実施の形態1において、格点構造60cは、少なくとも中間格点部材50bを構成する筒体51bから構成される。筒体51bは、鋼管から構成され、実施の形態1においては円筒形状になっている。支持杭10を包囲する筒体51bは、中心軸が支持杭10の中心軸とずれた状態で接合可能であり、特に第2格点構造と称する。
【0069】
中間格点部材50bは、梁部材40が接続される縦梁仕口52b及び横梁仕口53bを備える。縦梁仕口52bは、筒体51bから第1方向延び、横梁仕口53bは、筒体51bから第2方向に延びる。縦梁仕口52b及び横梁仕口53bと梁部材40とは、桁部材41と同様に添接板44により縦梁仕口52b又は横梁仕口53bの端部と梁部材40の端部とを挟みこみ、ボルト及びナットを用いて添接板44とそれぞれの部材の端部とを固定して接続される。
【0070】
中間格点部材50bは、筒体51bを支持杭10の杭頭12から落とし込んで設置される。または、筒体51bが分割されており、支持杭10の側方から分割した筒体51bを突き合わせて組み立てられ、溶接又はボルト固定により接合して設置しても良い。
【0071】
中間格点部材50bの筒体51bは、筒体であるため上下方向の端部が開口されている。従って、筒体51bと支持杭10との隙間の上端が、充填口56bとなり筒体51bと支持杭10との間の空間に充填材80を注入するための開口となっている。そして、筒体51bと支持杭10との隙間の上端は、外部と筒体51aの内部の空間とを連通している。
【0072】
充填材80が充填される前においては、筒体51bの内側面と支持杭10の外側面と間には隙間が形成されており、中間格点部材50bは、その隙間の分だけ支持杭10に対し、水平方向に移動させることができる。
図8に示される構造の場合、中間格点部材50bを上下方向に支持する構造が無いため、中間格点部材50bを支持杭10に取り付ける際に中間格点部材50bの下端面に型枠治具70(
図8参照)を当接させて下側から中間格点部材50bを支持する。型枠治具70は、充填材80を充填する際に下側の開口から充填材80が漏れ出ないようにする機能も有する。
【0073】
支持杭10は、杭頭12の位置が想定した位置からずれる場合がある。地盤90の表面94からの突出量が多大である場合には、鋼管柱20及び鋼管柱30の中間部部分においても、支持杭10の位置誤差が生じる場合がある。
【0074】
充填材80が充填される筒体51bと支持杭10との隙間を形成する筒体51bの内周面及び支持杭10の外側面は、上記で説明した格点構造60aと同様に、リブ54及び13が設けられている。リブ54及び13が固化した充填材80と噛み合うため、充填材80は、筒体51bの内側面及び支持杭10の外側面に沿った方向にずれることがなく、中間格点部材50bと支持杭10との間の荷重伝達を向上させることができる。
【0075】
図14に示されるように、格点構造60cにおいては、内側リブ54と外側リブ13とは、中心軸C1、C2方向において異なる位置に配置されている。これにより、支持杭10の中間部分における格点構造60cにおいても、杭頭12に設置された格点構造60aと同様に、充填材80の充填不良を抑えられる。
【0076】
また、格点構造60cにおいても、内側リブ54及び外側リブ13は、切り欠き部54a及び13aが設けられていても良い。また、格点構造60bと同様に、内側リブ54及び外側リブ13は、中心軸C1、C2方向における位置を合わせて配置されていても良い。この場合、内側リブ54及び外側リブ13は、切り欠き部54a及び13a(
図13参照)が設けられていても良い。
【0077】
(中間格点部材50bの変形例)
図15は、実施の形態1に係る格点構造60cの変形例である格点構造60dの断面構造の説明図である。中間格点部材150bは、筒体51bの内部に支持部材55bを設置することにより、例えば第1鋼管柱20aと鋼管柱30とを接合することができる。変形例の中間格点部材150bは、筒体51bの内部に上端格点部材50aが備える支持部材55aと同様の構造の支持部材55bを備える。
【0078】
支持部材55bは、下面に第1鋼管柱20aの杭頭21aの端面22aが当接する。支持部材55bの下面と杭頭21aの端面22aとが当接することにより、中間格点部材150bは、支持杭10の中心軸方向の位置、即ち高さ方向の位置が決まる。充填材80が充填される前においては、筒体51bの内側面と第2鋼管柱20bの外側面との間には隙間が形成されており、中間格点部材150bは、その隙間の分だけ第2鋼管柱20bに対し、水平方向に移動させることができる。
図7に示す支持部材55aと同様に、支持部材55bは、板状の部材を十字に組み合わせて形成されているが、その他の形態をとることもできる。支持部材55bは、中間格点部材150bを杭頭12の端面14上に保持できることができ、充填材80の注入の際に障害にならなければその他の構造であってもよい。
【0079】
支持部材55bは、上面に鋼管柱30の端面31が載置される。これを鋼管支柱建て込み工程と呼ぶ。鋼管支柱建て込み工程は、仮接合工程に含まれる。支持部材55bの上面と鋼管柱30の端面31とが当接することにより、鋼管柱30は、支持杭10の中心軸方向の位置、即ち高さ方向の位置が決まる。充填材80が充填される前においては、筒体51bの内側面と鋼管柱30の外側面と間には隙間が形成されており、鋼管柱30は、その隙間の分だけ筒体51bに対し、水平方向に移動させることができる。以上より、中間格点部材150bは、下方部材である第1鋼管柱20aと上方部材である鋼管柱30とを中心軸を偏心させた状態で接合させることができる。中間格点部材150bは、筒体51bと支持部材55aとを備え、上方部材及び下方部材とを接合する。筒体51b及び支持部材55aを特に第2格点構造と称する。
【0080】
格点構造60dにおいても、筒体51bの内周面に内側リブ54が設けられ、鋼管柱20a及び30に外側リブ13が設けられている。内側リブ54と外側リブ13とは、格点構造60aと同様に、中心軸C1及びC2方向にずらして配置されている。なお、格点構造60dにおいても、内側リブ54と外側リブ13とに切り欠き部54a、13aを設けても良い。また、格点構造60bと同様に、内側リブ54と外側リブ13とは、切り欠き部54a、13aを設けた上で、中心軸C1及びC2方向の位置を揃えて配置しても良い。
【0081】
以上のように、支持杭10の中間部分において、2つの鋼管柱20a及び30を接続する格点構造60dにおいても、杭頭12に設置された格点構造60aと同様に、充填材80の充填不良を抑えられる。
【0082】
中間格点部材150bは、筒体51bの外側から内部に向かってねじ込まれるボルト57を備えている。ボルト57は、支持杭10を構成する下方部材及び上方部材の筒体51bに対する位置を調整し、仮固定するものである。ボルト57は、少なくとも内側リブ54及び外側リブ13が配置されていない箇所に設けると良い。つまり、ボルト57は、内側リブ54及び外側リブ13に対し、中心軸C1、C2方向にずらした位置に配置されると良い。なお、中間格点部材50bの内部に充填材80が充填され固化した後は、ボルト57の頭は除去しても良い。
図15に示された、仮固定のためのボルト57は、格点構造60a、60b又は60cに適用できる。
【0083】
実施の形態2.
実施の形態2に係る格点構造260aは、実施の形態1に係る格点構造60aに対し、内側リブ54及び外側リブ13の構造を変更したものである。実施の形態2に係る格点構造260aにおいては、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。実施の形態2に係る格点構造260aの各部については、各図面において同一の機能を有するものは実施の形態1の説明で使用した図面と同一の符号を付して表示するものとする。
【0084】
図16は、実施の形態2に係る格点構造260aの断面構造の説明図である。格点構造260aの格点部材50aの内側リブ254及び杭頭12の外側リブ213は、螺旋状に形成されている。内側リブ254及び外側リブ213は、一本につながっており、一端が他端に対し中心軸C1、C2方向にずれた位置に配置されている。
【0085】
内側リブ254及び外側リブ213は、何れも中心軸C1、C2方向の単位長さあたりの巻数が同じ螺旋形状になっている。そして、外側リブ213は、中心軸C2を中心とする周方向における各部分が、内側リブ254の周方向の各部分と中心軸C1、C2方向における位置が一致しないようにされている。つまり、中心軸C1及びC2を含む平面で格点構造260の断面構造を見たときに、
図16に示すように、外側リブ213は、内側リブ254に対し断面の位置が中心軸C1方向にずれるように配置されている。言い換えると、外側リブ213は、内側リブ254に対し回転方向に位相をずらして配置されている。このように構成することにより、外側リブ213の螺旋形状に沿った各部位は、内側リブ254の螺旋形状に沿った各部位と中心軸C1、C2方向にずれる。したがって、格点部材50aが杭頭12対し偏心した場合であっても、外側リブ213と内側リブ254との距離wが狭まって狭隘部が発生するのを抑制できる。
【0086】
また、内側リブ254及び外側リブ213は、中心軸C1、C2方向の単位長さあたりの巻数が同じ螺旋形状であって、かつ位相が揃っていても、各部が中心軸C1、C2方向、すなわち重力方向に対し傾斜しているため、充填材80内に生じた気泡がその傾斜に沿って上側に移動して排出されやすい。そのため、仮に格点構造260aに狭隘部が発生したとしても、充填材80の充填不良を抑えられる。また、格点構造260aに狭隘部が発生しても、充填孔56aから充填材80が充填された際に、充填材80が外側リブ213又は内側リブ254に沿って重力方向に移動し易いため、充填不良を抑えられる。
【0087】
なお、格点構造260aの変形例として、内側リブ254又は外側リブ213の一部分を除去して切り欠き部54a及び13aを設けても良い。つまり、内側リブ254は、複数の内側リブ254から構成され、それらが筒体51aの内側面に沿った螺旋状の仮想線上に配置されていても良い。また、外側リブ213は、複数の外側リブ213から構成され、それらが杭頭12の外側面に沿った螺旋状の仮想線上に配置されていても良い。内側リブ254及び外側リブ213は、中心軸C1、C2に対し傾斜しているため、充填材80に気泡が生じた場合に傾斜に沿って抜けやすいばかりでなく、各部の切り欠き部54a又は13aからも気泡が抜ける。したがって、充填材80の充填不良を抑える働きが向上する。この場合、内側リブ254と外側リブ213とは、中心軸C1、C2周りの位相が一致していても良い。
【0088】
また、格点構造260aの外側リブ213は、内側リブ254に対し螺旋の巻方向を逆にしても良い。
【0089】
図17は、実施の形態2に係る格点構造260aの外側リブ213を逆巻きにした場合の断面構造の説明図である。
図18は、
図17の外側リブ213と内側リブ254の位置関係を説明する斜視図である。
図18においては、杭頭12及び筒体51aを単純な円筒として表示している。この場合は、格点構造260aを側面から見たときに、外側リブ213及び内側リブ254は、半巻きごとに1箇所ずつ交差する箇所ができるが、それ以外の部分はC1又はC2を中心とした半径方向において重ならない。
図18に示す斜視図において、G部及びH部は、外側リブ213及び内側リブ254に重なった部分を示している。
図18においては、格点部材50aの筒体51aと杭頭12とが偏心し、G部において外側リブ213及び内側リブ254が近接しているが、G部側及びH部側に偏心するのを避ければ格点構造260aに狭隘部が発生するのを抑えられる。
【0090】
以上のように、格点構造260aは、内側リブ254及び外側リブ213が傾斜することにより充填材80に発生した気泡の排出を促進でき、狭隘部の発生も抑えられる。したがって、格点構造260aは、充填材80の充填不良を抑えられる。なお、実施の形態2における内側リブ254及び外側リブ213の構造は、実施の形態1において説明した、支持杭10の中間部の格点構造60c及び60dにも適用できる。
【0091】
実施の形態3.
実施の形態2に係る格点構造360aは、実施の形態1に係る格点構造60aに対し、内側リブ54及び外側リブ13の構造を変更したものである。実施の形態3に係る格点構造360aにおいては、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。実施の形態3に係る格点構造360aの各部については、各図面において同一の機能を有するものは実施の形態1及び実施の形態2の説明で使用した図面と同一の符号を付して表示するものとする。
【0092】
図19は、実施の形態3に係る格点構造360aの断面構造の説明図である。格点構造360aの格点部材50aの内側リブ354及び杭頭12の外側リブ313は、周方向の一端が他端に対し中心軸C1方向にずれて配置されている。つまり、外側リブ313は、傾斜している。例えば、杭頭12は、同じ高さに複数の外側リブ313が配置されていてもよい。そして、杭頭12の同じ高さに配置された複数の外側リブ313は、傾斜方向が異なるものを含んでも良い。
【0093】
格点部材50aの内側リブ354も、周方向の一端が他端に対し中心軸C1方向にずれて配置されている。つまり、内側リブ354も、傾斜している。格点部材50aは、同じ高さに複数の内側リブ354が配置され、複数の内側リブ354は、傾斜方向が異なるものを含んでも良い。
【0094】
内側リブ354と外側リブ313とは、中心軸C1、C2方向にずれていても良いし、重なる位置に配置されていても良い。また、内側リブ354及び外側リブ313の配置される数は、中心軸C1、C2方向及び周方向において適宜変更できる。
【0095】
内側リブ354はそれぞれ周方向において複数設けられているが、隣合って配置されている内側リブ354同士は、互いに近接した端部同士の間に中心軸C2方向に連通する空間が形成されている。また、隣合って配置されている外側リブ313同士も、互いに近接した端部同士の間に中心軸C1方向に連通する空間が形成されている。形成された空間は、充填材80の骨材が通過する程度又は充填材80内に生じた気泡が上方に通過できる程度の幅に設けられていることが望ましい。
【0096】
また、近接している内側リブ354の端部同士又は外側リブ313の端部同士は、必ずしも同じ高さに配置されているものに限定されず、例えば中心軸C1、C2方向にずれて配置されている場合もある。端部同士が中心軸C1、C2方向にずれて配置されている場合は、端部同士が中心軸C1、C2方向に重なっていても、端部同士の間に充填材80に含まれる骨材又は気泡が通過する程度の空間が設けられていれば良い。
【0097】
以上のように、格点構造360aにおいては、内側リブ354及び外側リブ313は、周方向の一端が他端に対し中心軸C1、C2方向にずれて配置されていればよく、螺旋状に形成されていなくとも良い。また、内側リブ354は、中心軸C2方向において同じ高さに複数の内側リブ354が配置されていても良い。この場合は、内側リブ354の周方向の両端の高さ方向位置が揃っていなくても良い。また、内側リブ354及び外側リブ313は、それぞれ傾斜角度が異なっていても良い。このように構成されることにより、充填材80に気泡が発生しても、重力方向の上に位置する一端から気泡が抜けるため、格点構造360aは、充填不良を抑制できる。また、充填材80が充填される際においても、傾斜した内側リブ354及び外側リブ313に沿って充填材80が降下し易いため、充填不良を抑えることができる。
【0098】
実施の形態4.
実施の形態4に係る格点構造460aは、実施の形態2に係る格点構造260aを構成する支持杭10又は格点部材50aを構成する素材を変更したものである。実施の形態4に係る格点構造360aにおいては、実施の形態2に対する変更点を中心に説明する。
【0099】
図20は、実施の形態4に係る格点構造460aの断面構造の説明図である。
図21は、実施の形態4に係る支持杭10又は格点部材50aを構成するリブ付き鋼帯の断面図である。格点構造460aを構成する支持杭10及び格点部材50aの筒体51aの少なくとも一方は、予め表面にリブが形成されたリブ付き鋼帯を螺旋状に成形し、継ぎ目を溶接して製造されたリブ付き鋼管により構成されている。このリブ付き鋼管の製造法は、スパイラル造管とも呼ばれる。
【0100】
図21に示すように、リブ付き鋼帯の断面形状は、リブ413又は454となる突起がピッチP=40mm~50mmの間隔で配置され、リブの高さH=2.5mm以上に設定されている。支持杭10又は格点部材50aは、このようなリブ付き鋼帯を螺旋状に成形して製造されるため、40mm~50mm間隔で複数条の螺旋のリブ413又は454が付される。つまり、複数条の各リブ413及び454は、周方向の一端が他端に対し、中心軸C1、C2方向にずれて配置されていることになる。なお、格点部材50aの筒体51aは、
図21の断面形状のリブ付き鋼帯を中心軸C2の周りに螺旋状に巻いて形成された鋼管が用いられる。また、支持杭10は、
図21の
図21の断面形状のリブ付き鋼帯を中心軸C1の周りに螺旋状に巻いて形成された鋼管が用いられる。
【0101】
図20において、実線で示されているのは杭頭12の外側リブ413である。また、
図20において、一点鎖線で示されているのは格点部材50aの筒体51aの内側リブ454である。外側リブ413と内側リブ454とは、螺旋の巻方向を互いに逆向きにしても良いし、揃えても良い。外側リブ413及び内側リブ454は、中心軸C1、C2方向に傾斜しているため、充填材80に生じた気泡が滞留せず、上方に排出できる。また、リブ413及び内側リブ454は、予め鋼管に付されて精度良く多数設置されているため、充填材80と支持杭10及び格点部材50aとのずれを強固に抑えられる。
【0102】
また、実施の形態4に係る支持杭10及び格点部材50aは、鋼管にあとからリブを追加するよりも、容易にリブ付きの鋼管を製造できる。
【0103】
以上に本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態の構成のみに限定されるものではない。特に構成要素の組み合わせは、実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、各実施の形態に記載した構成要素の組み合わせは適宜変更することができる。いわゆる当業者が必要に応じてなす種々なる変更、応用、利用の範囲をも本発明の要旨(技術的範囲)に含むことを念のため申し添える。
【符号の説明】
【0104】
10 支持杭、10a 支持杭、10b 支持杭、11 接合部、12 杭頭、12a 外側面、13 外側リブ、13a 切り欠き部、14 端面、20 鋼管柱、20a (第1)鋼管柱、20b (第2)鋼管柱、21a 杭頭、21b 杭頭、22a 端面、30 鋼管柱、30b 第2鋼管柱、31 端面、40 梁部材、40a 縦梁、40b 横梁、41 桁部材、41a 縦桁、41b 横桁、42 床版固定部材、43 連結部、44 添接板、50 (中間)格点部材、50a (上端)格点部材、50b 中間格点部材、51a 筒体、51b 筒体、52a 縦桁仕口、52b 縦梁仕口、53a 横桁仕口、53b 横梁仕口、54 (内側)リブ、54a 切り欠き部、55a 支持部材、55b 支持部材、56a 充填孔、56b 充填口、57 ボルト、57a 上面、58 上部プレート、60 格点構造、60a (上端)格点構造、60b 格点構造、60c 格点構造、60d 格点構造、70 型枠治具、71 ブラケット、73 固定バンド、74 型枠板、75 調整ボルト、76 ナット部材、80 充填材、81a 骨材、81b 骨材、90 地盤、92 堆積層、93 支持層、94 表面、99 道路床版、100 道路構造、150b 中間格点部材、160 格点構造、213 外側リブ、254 内側リブ、260 格点構造、260a 格点構造、313 外側リブ、350a 杭頭ブロック、354 内側リブ、360a 格点構造、399 覆工版、413 (外側)リブ、454 内側リブ、460a 格点構造、C 中心軸、C1 中心軸、C2 中心軸、F 領域、H 高さ、P ピッチ、w 距離。