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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113004
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】戸開閉制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/56 20060101AFI20230807BHJP
   G01S 13/34 20060101ALI20230807BHJP
   E05F 15/73 20150101ALI20230807BHJP
   E05F 15/632 20150101ALI20230807BHJP
   E05F 15/665 20150101ALI20230807BHJP
【FI】
G01S13/56
G01S13/34
E05F15/73
E05F15/632
E05F15/665
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015078
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】317006258
【氏名又は名称】オプテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大庭 浩之
(72)【発明者】
【氏名】田邉 裕彰
【テーマコード(参考)】
2E052
5J070
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052AA04
2E052EA14
2E052EA15
2E052EC01
2E052EC02
2E052GA07
2E052GB02
2E052GC02
2E052GC06
2E052GD03
2E052GD07
5J070AB17
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AC16
5J070AD06
5J070AE09
5J070AF01
(57)【要約】
【課題】1つのセンサで検知した対象の移動状況に応じて戸の開閉制御を行うとともに、明るさの影響を受けず、静音性および耐久性に優れる戸開閉制御装置を実現する。
【解決手段】本開示の一態様の戸開閉制御装置は、FMCW方式の送信電磁波を送信する1以上の送信素子(22)と、対象により反射された反射波を受信する2以上の受信素子(23)と、送信電磁波および受信電磁波を用いて、前記対象までの距離、前記対象の移動速さ、および前記対象の前記センサに対する角度を算出する算出部(24)と、を含む検出器(20)を備える。さらに、戸開閉制御装置は、検出器(20)で検出した対象の移動方向を算出する移動方向算出部(32)と、前記対象の移動方向および移動速さを用いて、第1スライドドア(11)および第2スライドドア(12)の開閉を制御するドア開閉制御部(35)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域全体をセンシングする1つのセンサであって、
FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式の送信電磁波を送信する1以上の送信素子と、
前記送信電磁波が、対象により反射された反射電磁波を受信する2以上の受信素子と、
前記送信電磁波および前記反射電磁波を用いて、前記対象までの距離、および前記対象の移動速さ、および前記対象の前記センサに対する角度を算出する算出部と、を含むセンサと、
前記センサで検出した対象の移動方向を算出する移動方向算出部と、
前記対象の前記移動方向および前記移動速さを用いて、戸の開閉を制御する戸開閉制御部と、を備えた戸開閉制御装置。
【請求項2】
前記戸開閉制御部は、前記対象の前記移動方向および前記移動速さに応じて、前記戸の開閉タイミングを異ならせる、請求項1に記載の戸開閉制御装置。
【請求項3】
前記戸開閉制御部は、前記対象の位置に応じて、前記戸の開閉幅を異ならせる、請求項1または2に記載の戸開閉制御装置。
【請求項4】
前記戸は、上下に開閉するものであり、
前記戸開閉制御部は、前記対象の位置としての当該対象の高さに応じて、前記戸の開閉幅を異ならせる、請求項3に記載の戸開閉制御装置。
【請求項5】
前記センサで同時に検出した対象の数を算出する数算出部と、
前記移動方向算出部が算出した移動方向を用いて、前記戸から中に入る前記対象なのか、または前記戸から外に出た前記対象なのかを判断し、前記戸から中に入る前記対象の数と、前記戸から外に出た前記対象の数とを出力する通過対象数出力部と、を備えた、請求項1~4のいずれか1項に記載の戸開閉制御装置。
【請求項6】
前記センサで検出した対象の数を算出する数算出部を備え、
前記戸開閉制御部は、前記対象の数に応じて、前記戸の開閉幅を異ならせる、請求項1~5のいずれか1項に記載の戸開閉制御装置。
【請求項7】
前記戸開閉制御部は、前記戸を開制御した後、前記対象の移動方向が前記戸に近づかない移動方向の場合、前記戸の開制御を中止する、請求項1~6のいずれか1項に記載の戸開閉制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアなどの戸の開閉を制御する開閉制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
センサによる対象の検出結果に基づき、戸の開閉動作を制御する戸開閉制御装置が広く普及している。例えば、特許文献1には、半導体レーザを用いて対象との距離を測定する測距装置を備えたドア制御装置が開示されている。また、特許文献2には、CCDを用いて撮像された画像に基づいて物体の位置、移動方向および移動速度の情報を把握し、自動ドアの開閉を制御する自動ドア装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-142288号公報
【特許文献2】特開2006-225874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、レーザを用いているため、検知領域を変更するためには、モータにより偏向ミラーを回転または揺動させる必要がある。そのため、モータから騒音が発生し、センサの静音性が悪いという問題がある。また、変更ミラーを回転または駆動させると可動部が消耗するため、耐久性が悪くなるという問題がある。また、特許文献2の技術では、CCDを用いて撮像しているため、太陽等の強い光が当たると飽和して正常な検出ができない、および、暗闇ではそもそも検出できないという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、1つのセンサで検知した対象の移動状況に応じて戸の開閉制御を行うとともに、明るさの影響を受けず、静音性および耐久性に優れた戸開閉制御装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る戸開閉制御装置は、検出領域全体をセンシングする1つのセンサであって、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式の送信電磁波を送信する1以上の送信素子と、前記送信電磁波が、対象により反射された反射電磁波を受信する2以上の受信素子と、前記送信電磁波および前記受信電磁波を用いて、前記対象までの距離、前記対象の移動速さ、および前記対象の前記センサに対する角度を算出する算出部と、を含むセンサと、前記センサで検出した対象の移動方向を算出する移動方向算出部と、前記対象の前記移動方向および前記移動速さを用いて、戸の開閉を制御する戸開閉制御部と、を備える。
【0007】
前記の構成によれば、1つのセンサで検知した対象の移動状況に応じて戸の開閉制御を行うことができる。また、明るさの影響を受けることなく、静音性および耐久性に優れた戸開閉制御装置を実現できる。
【0008】
本発明の一態様に係る戸開閉制御装置では、前記戸開閉制御部は、前記対象の前記移動方向および前記移動速さに応じて、前記戸の開閉タイミングを異ならせてもよい。
【0009】
前記の構成によれば、前記移動方向および前記移動速さに応じた、適切なタイミングで戸の開閉動作を行うことができる。
【0010】
本発明の一態様に係る戸開閉制御装置では、前記戸開閉制御部は、前記対象の位置に応じて、前記戸の開閉幅を異ならせてもよい。
【0011】
前記の構成によれば、対象の位置に応じた、適切な開閉幅で戸の開閉を行うことができる。
【0012】
本発明の一態様に係る戸開閉制御装置では、前記戸は、上下に開閉するものであり、前記戸開閉制御部は、前記対象の位置として当該対象の高さに応じて、前記戸の開閉幅を異ならせてもよい。
【0013】
前記の構成によれば、対象の高さに応じた、適切な開閉幅で戸の開閉を行うことができる。
【0014】
本発明の一態様に係る戸開閉制御装置では、前記センサで同時に検出した対象の数を算出する数算出部と、前記移動方向算出部が算出した移動方向を用いて、前記戸から中に入る前記対象なのか、または前記戸から外に出た前記対象なのかを判断し、前記戸から中に入る前記対象の数と、前記戸から外に出た前記対象の数とを出力する通過対象数出力部と、を備えていてもよい。
【0015】
前記の構成によれば、外部装置において、通過対象数出力部から出力された対象の数を用いて利用人数の管理などの種々の管理を行うことができる。
【0016】
本発明の一態様に係る戸開閉制御装置では、前記センサで検出した対象の数を算出する数算出部を備え、前記戸開閉制御部は、前記対象の数に応じて、前記戸の開閉幅を異ならせてもよい。
【0017】
前記の構成によれば、対象の数に応じた、適切な開閉幅で戸の開閉を行うことができる。
【0018】
本発明の一態様に係る戸開閉制御装置では、前記戸開閉制御部は、前記戸を開制御した後、前記対象の移動方向が前記戸に近づかない移動方向の場合、前記戸の開制御を中止してもよい。
【0019】
前記の構成によれば、対象が戸を通過しない場合に、戸が不要に開くことを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示の一態様によれば、1つのセンサで検知した対象の移動状況に応じて戸の開閉制御を行うとともに、明るさの影響を受けず、静音性および耐久性に優れる戸開閉制御装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の実施形態1に係る自動ドアシステムの要部構成を示すブロック図である。
図2】上記自動ドアシステムの外観図である。
図3】検出器が有する設定パターンの例を示す図である。
図4】検出領域設定部による検出領域の設定の一例を示す図である。
図5】ドア開閉制御部が、移動方向算出部によって算出された移動方向に基づいて、第1スライドドアおよび第2スライドドアの開閉を制御する様子を示す図である。
図6】ドア開閉制御部が、移動方向算出部によって算出された移動方向に基づいて、第1スライドドアおよび第2スライドドアの開閉を制御する様子を示す図である。
図7】ドア開閉制御部が、領域判定部によって算出された対象の位置に応じて、第1スライドドアおよび第2スライドドアの開閉幅を制御する様子を示す図である。
図8】ドア開閉制御部が、領域判定部によって算出された対象の位置に応じて、第1スライドドアおよび第2スライドドアの開閉幅を制御する様子を示す図である。
図9】ドア開閉制御部が、数算出部が算出した対象の数に応じて、第1スライドドアおよび第2スライドドアの開閉幅を制御する様子を示す図である。
図10】ドア開閉制御部が、数算出部が算出した対象の数に応じて、第1スライドドアおよび第2スライドドアの開閉幅を制御する様子を示す図である。
図11】第1スライドドアおよび第2スライドドアを開制御した後、対象の移動方向が自動ドアに近づかない方向である場合における、第1スライドドアおよび第2スライドドアの開閉を制御する様子を示す図である。
図12】本開示の実施形態2に係るシャッター開閉システムの要部構成を示すブロック図である。
図13】上記シャッター開閉システムの外観図である。
図14】シャッター開閉制御部が、位置決定部により決定された対象の高さに応じて、シャッターの開閉幅を制御する様子を示す図である。
図15】シャッター開閉制御部が、位置決定部により決定された対象の高さに応じて、シャッターの開閉幅を制御する様子を示す図である。
図16】本開示の実施形態3に係る自動ドアシステムの要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態における自動ドアシステム1(戸システム)の要部構成を示すブロック図である。図2は、自動ドアシステム1の外観図である。図2は、自動ドア10を外部側から見た図であり、後述する第1スライドドア11および第2スライドドア12が閉状態となっている様子を示す図を示している。
【0023】
自動ドアシステム1は、図1および図2に示すように、自動ドア10と、検出器20(センサ)と、制御部30と、警報部40とを備えている。
【0024】
自動ドア10は、両引スライドドアとしての第1スライドドア11(戸)および第2スライドドア12(戸)と、第1スライドドア11が開状態において第1スライドドア11が位置する第1戸袋13と、第2スライドドア12が開状態において第2スライドドア12が位置する第2戸袋14とを備えている。
【0025】
検出器20は、検出部21と、検出領域設定部26とを備えている。検出部21は、1以上の送信素子22と、2以上の受信素子23と、算出部24と、位置決定部25とを備えている。検出器20は、自動ドア10の上部に設けられている。
【0026】
送信素子22は、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式の送信電磁波を送信する。具体的には、送信素子22は、チャープと呼称される、時間の経過に応じて周波数が直線的に変化するように変調を行った送信電磁波を送信する。
【0027】
受信素子23は、送信素子22から送信された送信電磁波が人または物により反射された反射電磁波を受信する。以降では、検出器20による検知の対象となる人または物を「対象」と呼称する。受信素子23は、送信電磁波の波長をλとしたときに、λ/2の間隔で配置される場合が多い。
【0028】
ここで、受信素子23の数Nと理論角度分解能θ(rad)とは、以下の式(1)で示される関係に近似されることが知られている。
θ=2/N ・・・(1)
式(1)からわかるように、受信素子23の数Nが多いほど分解能が向上するため、受信素子23の数は4以上であることが好ましい。
【0029】
また、上述のように、受信素子23は、λ/2の間隔で配置されることが多いため、送信電磁波の波長が短いほど、換言すれば、周波数が高いほど検出器20を小型化できる。そのため、送信電磁波の周波数は、55GHz以上であることが好ましい。
【0030】
検出器20は、上記の送信素子22および受信素子23を有するため、対象を検出できる範囲が大きく、図2に示すように、検出器20は、領域D1、領域D2、領域D3および領域D4を含む領域を検知可能領域とすることができる。検出器20は、検出領域全体をセンシングする。
【0031】
領域D1は、第1スライドドア11および第2スライドドア12がスライドする方向における範囲が第1スライドドア11および第2スライドドア12が閉状態の場合に第1スライドドア11および第2スライドドア12が位置する範囲であり、スライド方向に垂直な方向の範囲が自動ドア10から所定の距離までの範囲である領域である。領域D1は、対象が自動ドア10を通過するために通過する領域である。以降では、第1スライドドア11および第2スライドドアがスライドする方向(すなわち、図2における左右方向)をスライド方向と称し、スライド方向に垂直な方向(すなわち、図2における上下方向)を奥行き方向と称する。
【0032】
領域D2は、第1戸袋13近傍の領域であり、スライド方向の範囲が、第1戸袋13が位置する範囲であり、奥行き方向が自動ドア10から上記所定の距離までの範囲である領域である。領域D3は、第2戸袋14近傍の領域であり、スライド方向の範囲が、第2戸袋14が位置する範囲であり、奥行き方向が自動ドア10から上記所定の距離までの範囲である領域である。領域D4は、スライド方向の範囲が第1戸袋13の外側端部から第2戸袋14の外側端部まで範囲であり、奥行き方向が、領域D1~D3よりも所定の距離分だけ外側の範囲である。領域D1~D4は、高さ方向にも所定の範囲を有している。なお、これらの領域D1~D4は、自動ドア10が設置される現場に応じてスライド方向の範囲および奥行方向の範囲が調整される。
【0033】
算出部24は、送信素子22から送信された送信電磁波、および、受信素子23により受信した反射電磁波を用いて、検出器20から対象までの距離、対象の移動速さ、および、反射電磁波の到来角(換言すれば、検出器20に対する対象の角度)を算出する。
【0034】
具体的には、算出部24は、所定の時間間隔で、送信電磁波を示す信号と反射電磁波を示す信号とを混合し、中間周波数信号を生成する。算出部24は、複数の受信素子23のそれぞれに対応する中間周波数信号を生成する。
【0035】
算出部24は、生成した中間周波数信号に現れる送信電磁波と反射電磁波との位相差に基づいて、検出器20から対象までの距離を算出する。また、算出部24は、上記所定の時間間隔で生成された中間周波数信号の位相差から、対象の移動速さを算出する。また、算出部24は、複数の受信素子23に対応させて生成した複数の中間周波数信号間の位相差に基づいて、反射電磁波の到来角を算出する。
【0036】
算出部24は、算出した、検出器20から対象までの距離、対象の移動速さ、および、反射電磁波の到来角を位置決定部25および制御部30に出力する。
【0037】
位置決定部25は、算出部24が算出した、検出器20から対象までの距離、および、反射電磁波の到来角を用いて、対象の位置を決定する。
【0038】
検出領域設定部26は、対象を検出可能な検出可能範囲である領域D1~D4のうち、位置決定部25が算出した対象の位置を含む所定の領域を検出領域として設定する。検出領域設定部26は、設定した検出領域を検出部21に出力する。検出部21は、検出領域設定部26が設定した検出領域で検出を行う。
【0039】
本開示の一態様では、検出領域設定部26は、検出可能領域に対象が複数存在する場合、複数の領域を検出領域として設定する事ができる。
【0040】
本開示の一態様では、検出器20は、予め検出領域の設定パターンを1または複数有していてもよい。当該設定パターンは、検出領域として複数の検出領域が設定されていてもよい。この場合、検出領域設定部26は、例えば、時間、曜日、外部からの入力などの条件に基づき、設定パターンを切り替えて、検出領域を設定してもよい。図3は、検出器20が有する設定パターンの例を示す図である。図3に示すように、検出器20は、例えば、領域D1および領域D4を検出領域とする設定パターンP1と、領域D1、領域D2および領域D4を検出領域とする設定パターンP2とを有していてもよい。
【0041】
本開示の一態様では、検出領域設定部26は、検出領域として、検出器20の検出可能領域の中心に対して非対称な領域を設定してもよい。例えば、検出領域設定部26は、位置決定部25が算出した対象の位置に基づいて検知した、自動ドア10が設置される現場における人流の多さに応じて、検出器20の検出可能領域の中心に対して非対称な検出領域を設定してもよい。図4は、検出領域設定部26による検出領域の設定の一例を示す図である。検出領域設定部26は、図4に示すように第2スライドドア12側よりも第1スライドドア11側に人流が多い場合、第1スライドドア11側の領域の検出領域が広くなるように、検出領域として領域D4を設定してもよい。これにより、第1スライドドア11側の領域のおける検出精度を向上させることができるので、より安全な自動ドアシステムの提供が可能となる。
【0042】
以上のように、検出器20では、対象を検出可能な検出可能範囲のうち、位置決定部25が算出した対象の位置を検出領域として設定し、当該検出領域で検出部21が検出を行うので、対象が存在する位置の変化に応じて検出器の向きを変化させる必要がなく、検出領域を変更するための部材を取り付ける必要がない。さらに、検出器20では、検出感度を変更することなく、検出領域を設定することができる。
【0043】
制御部30は、自動ドアシステム1の各部の動作を制御する。制御部30は、領域判定部31と、移動方向算出部32と、数算出部33と、通過対象数出力部34、ドア開閉制御部35(戸開閉制御部)と、を備えている。
【0044】
領域判定部31は、検出器20から出力された情報、すなわち、検出器20の算出部24の算出結果を用いて、検出器20が検出した対象が存在する区分領域を判定する。より詳細には、領域判定部31は、算出部24が算出した、検出器20から対象までの距離、および、反射電磁波の到来角を用いて、対象が存在する区分領域を判定する。領域判定部31は、検出器20の検出領域が領域D1~D4の複数の区分領域に分かれている場合、領域D1~D4のうち、対象が存在する区分領域を判定してもよい。
【0045】
移動方向算出部32は、検出器20で検出した対象の移動方向を算出する。具体的には、移動方向算出部32は、所定の時間間隔で位置決定部25が判定した対象の位置から対象の移動方向を算出する。
【0046】
数算出部33は、検出器20で検出した対象の数を算出する。具体的には、数算出部33は、検出器20の算出部24から出力された、検出器20から対象までの距離、対象の移動速さ、および、反射電磁波の到来角に基づいて対称の数を算出する。数算出部33は、検出器20で同時に検出した対象の数を算出してもよい。
【0047】
通過対象数出力部34は、移動方向算出部32が算出した対象の移動方向に基づいて、自動ドア10から中に入る対象(以降では、第1対象と称する)なのか、自動ドア10から外に出た対象(以降では、第2対象と称する)なのかを判断する。通過対象数出力部34は、上記第1対象の数と上記第2対象の数とを算出し、当該数を外部装置100に出力する。これにより、外部装置100は、通過対象数出力部34から出力された、上記第1対象の数と上記第2対象の数とを用いて、自動ドア10の利用人数の管理などの種々の管理を行うことができる。
【0048】
ドア開閉制御部35は、検出領域設定部26が設定した検出領域における、検出器20の検知結果に基づいて第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉を制御する。
【0049】
本開示の一態様において、ドア開閉制御部35は、検出器20の検知結果に基づいて領域判定部31により判定された対象が存在する区分領域毎に応じた制御を行ってもよい。例えば、ドア開閉制御部35は、所定の区分領域に対象が存在する場合、当該区分領域に対象が存在しない場合とは異なる第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉動作を行ってもよい。具体的には、ドア開閉制御部35は、領域D2(または領域D3)に対象が存在する場合に、領域D2(または領域D3)に対象が存在しない場合と比較して、第1スライドドア11(または第2スライドドア12)の開速度を遅くしてもよいし、また、第1スライドドア11(または第2スライドドア12)の開動作を停止してもよい。
【0050】
本開示の一態様において、ドア開閉制御部35は、検出器20の算出部24から出力された対象の移動速さ、および、移動方向算出部32によって算出された移動方向に基づいて、第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉を制御してもよい。
【0051】
図5および図6は、ドア開閉制御部35が、移動方向算出部32によって算出された移動方向に基づいて、第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉を制御する様子を示す図である。ドア開閉制御部35は、図5に示すように、対象の移動速さおよび移動方向から対象が自動ドア10に向かって速い速さで移動していることを検知した場合、第1スライドドア11および第2スライドドア12を通常よりも速い開速度で開くように制御してもよい。また、ドア開閉制御部35は、図6に示すように、対象の移動速さおよび移動方向から対象が自動ドア10に向かって遅い速さで移動していることを検知した場合、第1スライドドア11および第2スライドドア12を通常よりも遅い開速度で開くように制御してもよい。
【0052】
本開示の一態様において、ドア開閉制御部35は、検出器20の算出部24から出力された対象の移動速さ、および、移動方向算出部32によって算出された移動方向に応じて、第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉タイミングを異ならせてもよい。例えば、対象の移動速さおよび移動方向から対象がゆっくりとした速度で自動ドア10を通過していることを検知した場合、第1スライドドア11および第2スライドドア12を通常よりも遅い閉速度で閉じるように制御してもよい。当該態様においては、検出器20、移動方向算出部32、および、ドア開閉制御部35は、対象の移動方向および対象の移動速さを用いて、第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉を制御する戸開閉制御装置として機能する。
【0053】
本開示の一態様において、ドア開閉制御部35は、検出器20の検知結果に基づいて領域判定部31によって算出された対象の位置に応じて、第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉幅を異ならせてもよい。図7および図8は、ドア開閉制御部35が、領域判定部31によって算出された対象の位置に応じて、第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉幅を制御する様子を示す図である。ドア開閉制御部35は、図7に示すように、対象が自動ドア10の開閉エリアの中央部に位置する場合には、第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉幅が狭くなるように制御し、図8に示すように、対象が自動ドア10の開閉エリアの端に位置する場合には、第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉幅が広くなるように制御してもよい。
【0054】
本開示の一態様において、ドア開閉制御部35は、数算出部33が算出した対象の数に応じて、第1スライドドア11および第2スライドドア12に開閉幅を異ならせてもよい。図9および図10は、ドア開閉制御部35が、数算出部33が算出した対象の数に応じて、第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉幅を制御する様子を示す図である。ドア開閉制御部35は、図9に示すように、検知した対象の数が少ない場合に第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉幅が狭くなるように制御し、図10に示すように、検知した対象の数が多い場合に第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉幅が広くなるように制御してもよい。
【0055】
本開示の一態様において、ドア開閉制御部35は、図11に示すように、第1スライドドア11および第2スライドドア12を開制御した後、移動方向算出部32によって算出された対象の移動方向が自動ドア10に近づかない移動方向である場合、第1スライドドア11および第2スライドドア12の開制御を中止してもよい。
【0056】
警報部40は、自動ドア10の近傍にいる対象に向けて警報を発する。警報部40は、音を出力することにより警報を発してもよいし、光を発報することにより警報を発してもよい。警報部40は、領域判定部31が領域D2または領域D3に対象が存在する場合に、自動ドア10の近傍にいる対象に向けて警報を発する。これにより、領域D2または領域D3に存在する人に対して、第1スライドドア11または第2スライドドア12が開いて当該人に衝突する危険があることを報知することができる。警報部40の制御は、制御部30によって行われる。
【0057】
本開示の一態様の自動ドアシステム1では、検出器20の検出領域として、対象が自動ドア10を通行するために通過する領域である領域D1に加え、2つの戸袋、すなわち、第1戸袋13および第2戸袋14近傍の領域である領域D2および領域D3を含む。これにより、1つの検出器20で2つの戸袋近傍の領域を含む領域に存在する対象の検出が可能となっている。
【0058】
本開示の一態様の戸開閉制御装置は、1つの検出器20と、移動方向算出部32と、対象の移動方向および対象の移動速さを用いて、第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉を制御するドア開閉制御部35とを備える。当該戸開閉制御装置では、対象の移動状況に応じて第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉を制御することができる。また、当該戸開閉制御装置では、1つの検出器20を用いて、第1スライドドア11および第2スライドドア12の開閉を制御できる。また、戸開閉制御装置では、検出器20が電磁波を用いたセンサであるため、レーザセンサのような駆動が不要であり、静音性および耐久性に優れる。
【0059】
また、特許文献2に記載の技術では、撮像画像を用いているため、画像内に検知対象となる個人が含まれることになる。このため、この画像から個人が特定できる可能性があり、近年のプライバシーに対する保護および規制の高まりに対して問題となる可能性がある。
【0060】
これに対し、本開示の一態様に係る戸開閉制御装置は、送信電磁波および反射電磁波を用いて、対象までの距離、対象の移動速さ、対象の角度を算出して、検出を行うものであり、人が視認できる撮像画像を用いて検出を行うものではなく、個人が特定されることはない。
【0061】
さらに、本開示の一態様の戸開閉制御装置では、特許文献2に記載されているCCD(Charge Coupled Device)のような、光の強度に応じて電気信号を出力することにより検出を行うという構成を用いていない。よって、地表に届く太陽光に含まれている波長以外の電磁波を用いれば、太陽光が直接当たるような強い光が差している場合、または、周囲の状況が暗い場合においても対象の移動状況を確実に検知することができる。なお、地表に届く太陽光に含まれる波長以外の電磁波ではなく、可視光線以外の電磁波を用いるものであってもよい。
【0062】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0063】
実施形態1では、検出器20を自動ドアシステムに適用する態様について説明したが、本実施形態では、検出器20をシャッター開閉システムに適用する態様について説明する。
【0064】
図12は、本実施形態におけるシャッター開閉システム50(開閉システム)の要部構成を示すブロック図である。図13は、シャッター開閉システム50の外観図である。シャッター開閉システム50は、図12および図13に示すように、シャッター51と、検出器20と、制御部30Aとを備えている。
【0065】
シャッター51は、上下に開閉可能となっている。シャッター51は、シャッター51を上方に移動させることにより、閉状態から開状態となる。
【0066】
本実施形態における検出器20は、図13に示すように、シャッター51の近傍の領域である領域D5と、奥行き方向が領域D5よりも所定の距離分だけ外側の領域である領域D6とを含む領域を検知可能領域とすることができる。
【0067】
制御部30Aは、実施形態1における制御部30のドア開閉制御部35に代えて、シャッター開閉制御部36を備えている。
【0068】
シャッター開閉制御部36は、検出器20の検知結果に基づいてシャッター51の開閉を制御する。
【0069】
本開示の一態様において、シャッター開閉制御部36は、位置決定部25により決定された対象の高さに応じて、シャッター51の開閉幅を異ならせてもよい。図14および図15は、シャッター開閉制御部36が、位置決定部25により決定された対象の高さに応じて、シャッター51の開閉幅を制御する様子を示す図である。シャッター開閉制御部36は、図12に示すように、対象の高さが低い場合には、シャッター51の開閉幅が狭くなるように制御し、図15に示すように、対象の高さが高い場合には、シャッター51の開閉幅が広くなるように制御してもよい。
【0070】
本開示の一態様において、シャッター開閉制御部36は、検出器20の算出部24から出力された対象の移動速さ、および、移動方向算出部32によって算出された移動方向に基づいて、シャッター51の開閉を制御してもよい。例えば、シャッター開閉制御部36は、対象の移動速さおよび移動方向から対象がシャッター51に向かって速い速さで移動していることを検知した場合、シャッター51を通常よりも速い開速度で開くように制御してもよい。
【0071】
本開示の一態様において、シャッター開閉制御部36は、検出器20の算出部24から出力された対象の移動速さ、および、移動方向算出部32によって算出された移動方向に応じて、シャッター51の開閉タイミングを異ならせてもよい。例えば、対象の移動速さおよび移動方向から対象がゆっくりとした速さでシャッター51を通過していることを検知した場合、シャッター51を通常よりも遅い閉速度で閉じるように制御してもよい。
【0072】
本開示の一態様において、シャッター開閉制御部36は、シャッター51を開制御した後、移動方向算出部32によって算出された対象の移動方向がシャッター51に近づかない方向である場合、シャッター51の開制御を中止してもよい。
【0073】
以上のように、本実施形態におけるシャッター開閉システム50は、対象を検出可能な検出可能範囲のうち、位置決定部25が算出した対象の位置を検出領域として設定できる検出器20と、検出器20の検出結果に基づいて開閉されるシャッター51とを含む。これにより、対象を検出可能な検出可能範囲のうち、位置決定部25が算出した対象の位置を検出領域として設定できるので、対象が存在する位置の変化に応じて検出器の向きを変化させる必要がなく、検出領域を変更するための部材を取り付ける必要がない。
【0074】
〔実施形態3〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0075】
図16は、本実施形態における自動ドアシステム1Aの要部構成を示すブロック図である。図16に示すように、自動ドアシステム1Aは、実施形態1における検出器20および制御部30に代えて、検出器20Aおよび制御部30Bを備えている。
【0076】
実施形態1における自動ドアシステム1では、領域判定部31、移動方向算出部32、数算出部33、および通過対象数出力部34は、制御部30が備える構成であった。これに対して、自動ドアシステム1Aでは、検出器20Aが、領域判定部61、移動方向算出部62、数算出部63、および通過対象数出力部64を備えている。領域判定部61、移動方向算出部62、数算出部63、および通過対象数出力部64の機能は、実施形態1における領域判定部31、移動方向算出部32、数算出部33、および通過対象数出力部34の機能と同様である。そのため、本実施形態における自動ドアシステム1Aにおいても、実施形態1における自動ドアシステム1と同様の効果を奏する。
【0077】
上述の実施形態1~3では、検出器20を自動ドアシステムまたはシャッター開閉システムに適用する態様について説明したが、検出器20は、例えば、ゲートの開閉を制御するゲート開閉システムなどの他の戸開閉システムに適用することもできる。
【0078】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1、1A 自動ドアシステム
10 自動ドア
11 第1スライドドア(両引スライドドア、戸)
12 第2スライドドア(両引スライドドア、戸)
13 第1戸袋
14 第2戸袋
20、20A 検出器(センサ)
21 検出部
22 送信素子
23 受信素子
24 算出部
25 位置決定部
26 検出領域設定部
30、30A、30B 制御部
31、61 領域判定部
32、62 移動方向算出部
33、63 数算出部
34、64 通過対象数出力部
35 ドア開閉制御部(戸開閉制御部)
36 シャッター開閉制御部(戸開閉制御部)
40 警報部
50 シャッター開閉システム(開閉システム)
51 シャッター(戸)
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
図11
図12
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図15
図16