(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113008
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】制御装置、インターホンシステム、制御方法、プログラム、共同玄関装置
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20230807BHJP
H04J 3/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
H04M9/00 H
H04J3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015083
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】多留 康介
(72)【発明者】
【氏名】水田 友昭
【テーマコード(参考)】
5K028
5K038
【Fターム(参考)】
5K028AA11
5K028DD01
5K028DD02
5K028EE02
5K028EE03
5K028HH00
5K028LL01
5K038AA05
5K038CC12
5K038EE03
5K038EE13
5K038EE16
(57)【要約】
【課題】インターホンシステムにおける通信の効率を向上する技術を提供する。
【解決手段】占有幹線通信部560は、複数の情報端末のそれぞれと通信する。制御部540は、占有幹線通信部560を制御する。占有幹線通信部560は、複数の情報端末のうちの1つ以上に通信スロットを割り当てることによってTDMA(Time Division Multiple Access)通信を実行可能な第1期間、複数の情報端末のうちの1つ以上とCSMA(Carrier Sense Multiple Access)通信を実行可能な第2期間、複数の情報端末のうちの1つ以上とCSMA通信を実行可能な第3期間とを含むサイクルを規定する。第2期間と第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合施設に設けられるインターホンシステムにおいて、共同玄関装置と、複数の施設のそれぞれに設けられる情報端末との間の通信を制御する制御装置であって、
複数の前記情報端末のそれぞれと通信する通信部と、
前記通信部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、複数の前記情報端末のうちの1つ以上に通信スロットを割り当てることによってTDMA(Time Division Multiple Access)通信を実行可能な第1期間、複数の前記情報端末のうちの1つ以上とCSMA(Carrier Sense Multiple Access)通信を実行可能な第2期間、複数の前記情報端末のうちの1つ以上とCSMA通信を実行可能な第3期間とを含むサイクルを規定し、
前記第2期間と前記第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用される制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記共同玄関装置から前記情報端末の呼出要求を受けつけた場合、前記共同玄関装置と前記情報端末との通話を実行させるために、前記第1期間における前記通信スロットを前記情報端末に割り当てる請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
複数の前記情報端末は、第1情報端末と第2情報端末とを含み、
前記通信部は、前記第1情報端末から前記第2情報端末の呼出要求を前記第2期間において受信し、
前記制御部は、前記第1情報端末と前記第2情報端末との通話を実行させるために、前記第1情報端末と前記第2情報端末とのそれぞれに対して、前記第1期間における互いに異なった前記通信スロットを割り当てる請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記通信部は、非通話の情報を前記第3期間において受信する請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記サイクルにおける前記第1期間と前記第2期間と前記第3期間のそれぞれの長さは可変であり、
前記通信部は、前記サイクルにおいて、前記第1期間と前記第2期間と前記第3期間の前に、前記第1期間と前記第2期間と前記第3期間のそれぞれの長さに関するサイクル情報を送信する請求項1から4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信スロットを割り当てるべき前記情報端末が存在しない場合、前記サイクルから前記第1期間をなくし、
前記通信部から送信される前記サイクル情報は、前記第1期間がないことを示す請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記共同玄関装置と、
前記複数の施設のそれぞれに設けられる前記情報端末と、
請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置とを備えるインターホンシステム。
【請求項8】
集合施設に設けられるインターホンシステムにおいて、共同玄関装置と、複数の施設のそれぞれに設けられる情報端末との間の通信を制御する制御装置における制御方法であって、
複数の前記情報端末のうちの1つ以上に通信スロットを割り当てることによってTDMA(Time Division Multiple Access)通信を実行可能な第1期間、複数の前記情報端末のうちの1つ以上とCSMA(Carrier Sense Multiple Access)通信を実行可能な第2期間、複数の前記情報端末のうちの1つ以上とCSMA通信を実行可能な第3期間とを含むサイクルを規定し、
前記第2期間と前記第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用される制御方法。
【請求項9】
集合施設に設けられるインターホンシステムにおいて、共同玄関装置と、複数の施設のそれぞれに設けられる情報端末との間の通信を制御する制御装置において実行されるプログラムであって、
複数の前記情報端末のそれぞれと通信するステップと、
前記通信を制御するステップとを備え、
前記制御するステップは、複数の前記情報端末のうちの1つ以上に通信スロットを割り当てることによってTDMA(Time Division Multiple Access)通信を実行可能な第1期間、複数の前記情報端末のうちの1つ以上とCSMA(Carrier Sense Multiple Access)通信を実行可能な第2期間、複数の前記情報端末のうちの1つ以上とCSMA通信を実行可能な第3期間とを含むサイクルを規定し、
前記第2期間と前記第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用されることをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
集合施設に設けられるインターホンシステムにおいて、複数の施設のそれぞれに設けられる情報端末との間の通信を制御する共同玄関装置であって、
複数の前記情報端末のそれぞれと通信する通信部と、
前記通信部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、複数の前記情報端末のうちの1つ以上に通信スロットを割り当てることによってTDMA(Time Division Multiple Access)通信を実行可能な第1期間、複数の前記情報端末のうちの1つ以上とCSMA(Carrier Sense Multiple Access)通信を実行可能な第2期間、複数の前記情報端末のうちの1つ以上とCSMA通信を実行可能な第3期間とを含むサイクルを規定し、
前記第2期間と前記第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用される共同玄関装置。
【請求項11】
請求項10に記載の共同玄関装置と、
前記複数の施設のそれぞれに設けられる前記情報端末とを備えるインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信技術に関し、特に複数の情報端末と通信する制御装置、インターホンシステム、制御方法、プログラム、共同玄関装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合施設に設置されるインターホンシステムにおいて、共同玄関装置は、来訪者により操作されると呼出要求を送信する。呼出要求は、制御装置を介して、呼出対象となる施設の情報端末に受信される。当該施設の居住者が情報端末を操作して呼出に応答すると、制御装置を経由した共同玄関装置と情報端末との通話が開始される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
集合住宅に含まれる複数の施設のそれぞれにおける情報端末は制御装置に接続される。制御装置と情報端末との間では、共同玄関装置と情報端末との通話のための通信(以下、「呼出通話」という)に加えて、2つ以上の情報端末間の通話のための通信(以下、「施設間通話」という)もなされる。さらに、情報端末から制御装置への非通話の情報の送信(以下、「非通話通信」という)もなされる。このような状況において、制御装置と情報端末との間における通信の効率化が求められる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、インターホンシステムにおける通信の効率を向上する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の制御装置は、集合施設に設けられるインターホンシステムにおいて、共同玄関装置と、複数の施設のそれぞれに設けられる情報端末との間の通信を制御する制御装置であって、複数の情報端末のそれぞれと通信する通信部と、通信部を制御する制御部とを備える。制御部は、複数の情報端末のうちの1つ以上に通信スロットを割り当てることによってTDMA(Time Division Multiple Access)通信を実行可能な第1期間、複数の情報端末のうちの1つ以上とCSMA(Carrier Sense Multiple Access)通信を実行可能な第2期間、複数の情報端末のうちの1つ以上とCSMA通信を実行可能な第3期間とを含むサイクルを規定し、第2期間と第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用される。
【0007】
本開示の別の態様は、制御方法である。この方法は、集合施設に設けられるインターホンシステムにおいて、共同玄関装置と、複数の施設のそれぞれに設けられる情報端末との間の通信を制御する制御装置における制御方法であって、複数の情報端末のうちの1つ以上に通信スロットを割り当てることによってTDMA(Time Division Multiple Access)通信を実行可能な第1期間、複数の情報端末のうちの1つ以上とCSMA(Carrier Sense Multiple Access)通信を実行可能な第2期間、複数の情報端末のうちの1つ以上とCSMA通信を実行可能な第3期間とを含むサイクルを規定し、第2期間と第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用される。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、共同玄関装置である。この装置は、集合施設に設けられるインターホンシステムにおいて、複数の施設のそれぞれに設けられる情報端末との間の通信を制御する共同玄関装置であって、複数の情報端末のそれぞれと通信する通信部と、通信部を制御する制御部とを備える。制御部は、複数の情報端末のうちの1つ以上に通信スロットを割り当てることによってTDMA(Time Division Multiple Access)通信を実行可能な第1期間、複数の情報端末のうちの1つ以上とCSMA(Carrier Sense Multiple Access)通信を実行可能な第2期間、複数の情報端末のうちの1つ以上とCSMA通信を実行可能な第3期間とを含むサイクルを規定し、第2期間と第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用される。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、インターホンシステムにおける通信の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例に係るインターホンシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図2(a)-(b)は、
図1の共同玄関装置、情報端末の構成を示す図である。
【
図4】
図4(a)-(b)は、
図1の制御装置において規定されるサイクルの構成を示す図である。
【
図5】
図1のインターホンシステムによる通信手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示を具体的に説明する前に、概要を述べる。実施例は、マンション、アパート等の集合施設に設置されるインターホンシステムに関する。集合施設には、住居等の施設が複数集合しているとともに、少なくとも1つの共同玄関において人の出入りが可能である。共同玄関に設置されたロビーインターホン等の共同玄関装置を来訪者が操作することによって、来訪先の施設に設置された情報端末が呼び出される。情報端末は、例えば施設親機である。呼出に応じて、当該施設の居住者は情報端末を操作して応答すると、共同玄関装置と情報端末との間で呼出通話が実行される。呼出通話を実現するために、共同玄関装置と複数の情報端末は、制御装置に接続される。このようなインターホンシステムでは、前述のごとく、施設間通話、非通話通信が実行されることもある。施設間通話では、制御装置を介して2つ以上の情報端末が通信を実行する。非通話通信では、情報端末から制御装置に非通話の情報が送信される。
【0013】
呼出通話、施設間通話、非通話通信を比較すると、次のことがいえる。呼出通話は、これらの中で最も優先度の高い通信であるので、高品質および低遅延の通信が求められる。また、呼出通話の開始トリガとなる呼出要求は制御装置から情報端末に送信される。施設間通話は、呼出通話よりも優先度の低い通信であるが、高品質および低遅延の通信が求められる。また、施設間通話の開始トリガとなる呼出要求は情報端末から制御装置に送信される。非通話通信は、リアルタイム性が要求されないので、最も優先度の低い通信である。各情報端末は、送信を独立して実行するので、送信が集中した場合にトラヒック量が急激に増加することもありえる。
【0014】
このような制御装置と情報端末との間の通信において、通信の効率を向上するために、本実施例では、一定期間を有するサイクルが繰り返し設けられる。サイクルは、第1期間、第2期間、第3期間に分割され、第1期間はTDMA通信を実行可能な期間であり、第2期間と第3期間はCSMA通信を実行可能な期間である。呼出通話は、第1期間に設けられた通信スロットを制御装置が情報端末に割り当てることによって実行される。また、施設間通話において呼出要求から開始される接続処理は第2期間において実行され、接続が完了した後、施設間通話は、第1期間に設けられた通信スロットを制御装置が情報端末に割り当てることによって実行される。さらに、非通話通信は、第3期間において実行される。
【0015】
図1は、インターホンシステム1000の構成を示す。集合施設100は、施設110と総称される第1施設110a、第2施設110b、第3施設110cを含む。インターホンシステム1000は、共同玄関装置200、制御装置300、集合施設GW(GateWay)310、ネットワーク320、サーバ330、共用部幹線350、占有幹線360、施設内ネットワーク380、情報端末400と総称される第1情報端末400a、第2情報端末400b、機器制御装置600と総称される第1機器制御装置600a、第2機器制御装置600bを含む。第1情報端末400a、第1機器制御装置600aは第1施設110aに設置され、第2情報端末400b、第2機器制御装置600bは第2施設110bに設置される。第3施設110cにも同様に第3情報端末400c(図示せず)、第3機器制御装置600c(図示せず)が設置される。集合施設100における施設110の数は「3」に限定されない。ここでは、(1)インターホンシステム1000の基本動作、(2)インターホンシステム1000における通信処理の詳細を順に説明する。
【0016】
(1)インターホンシステム1000の基本動作
集合施設100では、複数の施設110が集合している。集合施設100の一例はマンションであり、施設110の一例は住居である。集合施設100の共同玄関には、共同玄関装置200が設置される。共同玄関装置200は、例えば、マンションのロビーに設置されたロビーインターホンである。
図2(a)-(b)は、共同玄関装置200、情報端末400の構成を示す。
図2(a)は、共同玄関装置200の構成を示す。共同玄関装置200は、処理部210、操作部230、制御部240、通信部250を含み、処理部210は、撮像部212、マイク214、スピーカ218、モニタ220、IF部222を含む。
【0017】
ここでは、呼出通話をまず説明する。共同玄関装置200の操作部230は、来訪者の操作を受けつけるためのユーザインターフェースであり、例えば呼出ボタンである。操作部230は、訪問予定の施設110の番号を来訪者から受けつけると、呼出要求を制御部240に出力する。また、操作部230が来訪者によって操作されると、処理部210が動作する。
【0018】
撮像部212は、来訪者を撮影するためのものであり、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の固体撮像素子を備える。当該固体撮像素子は光電変換した映像信号をIF部222に出力する。IF部222は、撮像部212からの映像信号に対して種々の信号処理を実行する。種々の信号処理には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。IF部222は、信号処理を実行した映像信号(以下、これもまた「映像信号」という)を制御部240に出力する。
【0019】
マイク214とスピーカ218は、来訪者が居住者と通話するためのユーザインターフェースである。マイク214は来訪者の声を集音し、電気信号に変換してIF部222に出力する。スピーカ218は、IF部222からの電気信号を再生して音声出力する。IF部222は、マイク214からの電気信号を受けつけ、これを伝送するための形式の信号(以下、「音声信号」という)に変換する。IF部222は、音声信号を制御部240に出力する。一方、IF部222は、制御部240から音声信号を入力し、音声信号を電気信号に変換する。IF部222は、電気信号をスピーカ218に出力する。
【0020】
モニタ220は、メッセージ等を表示する。IF部222は、制御部240からメッセージ信号を入力し、メッセージ信号をモニタ220に出力する。メッセージ信号は、共同玄関装置200において生成されてもよい。制御部240は、共同玄関装置200の動作を制御する。制御部240は、通信部250に接続される。通信部250は、共用部幹線350を介して制御装置300に接続され、制御装置300を介して情報端末400との間の通信を実行する。具体的に説明すると、通信部250は、前述の呼出要求、映像信号、音声信号、メッセージ信号を情報端末400との間で送受信するが、送受信される信号はこれらに限定されない。
図1に戻る。
【0021】
共用部幹線350、占有幹線360は、共同玄関装置200からの呼出要求、情報端末400からの応答信号等を伝送するための伝送路である。共用部幹線350、占有幹線360には、前述の呼出要求、映像信号、音声信号、メッセージ信号が伝送される。
【0022】
制御装置300は、機械室や管理人室などの共用スペースに設置され、共同玄関装置200と複数の情報端末400との間の通信を制御する。例えば、制御装置300は、共同玄関装置200と情報端末400との間の信号を中継する。
図3は、制御装置300の構成を示す。制御装置300は、ネットワーク通信部520、制御部540、共用部幹線通信部550、占有幹線通信部560、記憶部570を含む。共用部幹線通信部550は、共用部幹線350を介して共同玄関装置200と通信する。占有幹線通信部560は、占有幹線360を介して複数の情報端末400と通信する。ネットワーク通信部520は、集合施設GW310に接続され、集合施設GW310を介してネットワーク320と通信する。
【0023】
制御部540は、ネットワーク通信部520、共用部幹線通信部550、占有幹線通信部560を制御する。例えば、制御部540は、共用部幹線通信部550が呼出要求を受信した場合、呼出要求に含まれた施設110の番号を抽出する。記憶部570は、施設110の番号と情報端末400の識別番号との対応が示されたデータベースを記憶しており、制御部540は、抽出した施設110の番号に対応した情報端末400の識別番号を記憶部570から取得する。制御部540は、取得した識別番号の情報端末400を宛先として呼出要求を占有幹線通信部560に送信させる。
図1に戻る。
【0024】
情報端末400は、施設110内に設置されており、住宅情報盤、住戸機、住戸端末、施設親機、居室親機、住宅親機とも呼ばれる。
図2(b)は、情報端末400の構成を示す。情報端末400は、処理部410、操作部430、制御部440、通信部450を含み、処理部410は、マイク414、スピーカ418、モニタ420、IF部422を含む。
【0025】
通信部450は、占有幹線360を介して制御装置300に接続され、制御装置300を介して共同玄関装置200との間の通信を実行する。通信部450には制御部440が接続され、制御部440は情報端末400の動作を制御する。制御部440にはIF部422、操作部430が接続され、IF部422にはマイク414、スピーカ418、モニタ420が接続される。ここで、マイク414、スピーカ418、IF部422、操作部430は、マイク214、スピーカ218、IF部222、操作部230と同様に構成される。モニタ420は、共同玄関装置200の撮像部212において撮像された映像を表示する。
【0026】
制御部440は、通信部450を介して共同玄関装置200からの呼出要求、映像信号、音声信号を受けつける。制御部440は、呼出要求を受けつけると、IF部422を介してスピーカ418から呼出音を出力させる。これに続いて、制御部440は、IF部422を介してモニタ420に、映像信号を再生した映像を表示させるとともに、IF部422を介してスピーカ418から、音声信号を再生した音声を出力させる。呼出音を聞いた居住者が操作部430を操作することによって呼出に応答した場合、制御部440は、通信部450に対して、共同玄関装置200との間の通信を実行させる。その結果、通信部250と通信部450との間で、映像信号、音声信号が通信されることによって、共同玄関装置200を操作する来訪者と、情報端末400を操作する居住者との間の通話が実行される。
図1に戻る。
【0027】
次に、施設間通話を説明する。ここでは、第1情報端末400aが第2情報端末400bを呼び出すことによって施設間通話がなされる状況を想定する。第1施設110aの居住者は、第2情報端末400bを呼び出すために第1情報端末400aの操作部430を操作する。操作部430は、操作を受けつけると呼出要求を制御部440に出力する。呼出要求には、第2情報端末400bの識別番号が含まれる。制御部440は呼出要求を通信部450に出力し、通信部450は、占有幹線360を介して制御装置300に呼出要求を送信する。
【0028】
制御装置300の占有幹線通信部560は、第1情報端末400aからの呼出要求を受信する。制御部540による制御によって、占有幹線通信部560は、呼出要求を第2情報端末400bに送信する。
【0029】
第2情報端末400bの通信部450は、呼出要求を受信する。制御部440は、呼出要求を受けつけると、IF部422を介してスピーカ418から呼出音を出力させる。呼出音を聞いた第2施設110bの居住者が操作部430を操作することによって呼出に応答した場合、制御部440は、通信部450に対して応答信号を送信させる。通信部450は、応答信号を制御装置300に送信する。
【0030】
制御装置300の占有幹線通信部560は、応答信号を第2情報端末400bから受信する。これに続いて、制御部540は、第1情報端末400aと第2情報端末400bとの接続処理を実行する。接続処理は、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)にしたがってなされればよいので、ここでは説明を省略する。接続処理の完了後、第1情報端末400aを操作する居住者と第2情報端末400bを操作する居住者との間の通話が実行される。
【0031】
さらに、非通話通信を説明する。情報端末400の通信部450は、占有幹線360だけではなく、施設内ネットワーク380にも接続される。施設内ネットワーク380は、各施設110内に設けられたネットワークであり、ルータ(図示せず)を介して機器制御装置600に接続される。機器制御装置600には、HAN(Home Area Network)により複数の機器(図示せず)が接続される。機器は、例えば、照明装置、エアーコンディショナである。機器制御装置600は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)コントローラとしての機能を有し、機器の動作を制御する。
【0032】
機器制御装置600は、機器の動作の指示をユーザから受けつけ、受けつけた指示をもとに、機器の動作を指示するための制御コマンドを生成する。ユーザからの指示は、例えばユーザインターフェース(図示せず)を介して受けられる。機器制御装置600は、機器に対して制御コマンドを送信する。機器は、機器制御装置600からの制御コマンドを受信すると、制御コマンドに応じた動作を実行する。例えば、制御コマンドに応じて機器は電源オンされたり、電源オフされたりする。
【0033】
機器制御装置600は、機器の状態を取得し、機器の状態を機器情報として情報端末400に送信する。機器情報には、施設110の番号と、機器の識別番号が含まれる。情報端末400の通信部450は、施設内ネットワーク380を介して機器制御装置600からの機器情報を受信する。制御部440による制御によって、通信部450は、占有幹線360を介して制御装置300に機器情報を送信する。
【0034】
制御装置300の占有幹線通信部560は、占有幹線360を介して情報端末400からの機器情報を受信する。制御部540による制御によって、ネットワーク通信部520は集合施設GW310に機器情報を送信する。機器情報には、集合施設100の識別番号がさらに含まれる。
【0035】
集合施設GW310は、集合施設100の内部の制御装置300と、集合施設100の外部のネットワーク320とを接続するための通信装置である。そのため、集合施設GW310は、集合施設100の内外にわたる通信を中継するといえる。ネットワーク320にはサーバ330が接続されるので、情報端末400の通信部450は、制御装置300、集合施設GW310、ネットワーク320を介してサーバ330と通信可能である。サーバ330は、機器情報を受信すると、集合施設100の識別番号、施設110の番号、機器の識別番号に対応づけて機器の状態を管理する。
【0036】
(2)インターホンシステム1000における通信処理の詳細
以下では、占有幹線360における制御装置300と複数の情報端末400との通信を詳細に説明する。占有幹線360における通信処理のために、一定期間を有するサイクルが規定されており、サイクルは繰り返される。
図4(a)-(b)は、制御装置300において規定されるサイクルの構成を示す。
図4(a)に示されるようにサイクルには、サイクル情報、第1期間、第2期間、第3期間が前から順に含まれる。サイクル情報は、当該サイクルに関する情報が含まれる。サイクルに関する情報は、例えば、第1期間と第2期間と第3期間のそれぞれの長さに関する情報である。また、サイクルに関する情報は、第1期間に含まれた1つ以上の通信スロットの対象となる情報端末400の情報が含まれてもよい。
【0037】
第1期間には、複数の通信スロットが含まれる。
図4(a)において複数の通信スロットは、第1スロットから第7スロットと示されるが、第1期間に含まれる通信スロットの数は「7」に限定されない。制御装置300の制御部540は、複数の情報端末400のうちの1つ以上に通信スロットを割り当てることによってTDMA(Time Division Multiple Access)通信を実行可能である。ここでは、第1情報端末400aが呼出通話を実行しており、第2情報端末400bと第3情報端末400cが施設間通話を実行している場合を想定する。また、制御装置300から情報端末400への通信の方向が下り(DL)であり、情報端末400から制御装置300への通信の方向が上り(UL)である。
【0038】
第1スロットには、制御装置300から第1情報端末400aへの映像信号が格納され、第2スロットには、制御装置300から第1情報端末400aへの音声信号が格納され、第5スロットには、第1情報端末400aから制御装置300への音声信号が格納される。このような割当の結果、制御装置300と共同玄関装置200との間の通話が実行される。第3スロットには、制御装置300から第2情報端末400bへの音声信号が格納され、第4スロットには、制御装置300から第3情報端末400cへの音声信号が格納される。また、第5スロットには、第2情報端末400bから制御装置300への音声信号が格納され、第6スロットには、第3情報端末400cから制御装置300への音声信号が格納される。このような割当の結果、第2情報端末400bと第3情報端末400cとの通話が実行される。ここで、呼出通話を開始する前に制御装置300から情報端末400に送信される呼出要求と、情報端末400から制御装置300に送信される応答信号も、通信スロットを使用して送信される。
【0039】
第2期間は、制御装置300と複数の情報端末400のうちの1つ以上とがCSMA(Carrier Sense Multiple Access)通信を実行可能な期間である。第2期間では、施設間通話において接続処理を実行するための信号がCSMAにより送信される。第3期間は、制御装置300と複数の情報端末400のうちの1つ以上とがCSMA通信を実行可能な期間である。第3期間では、非通話通信における信号、例えば機器情報がCSMAにより送信される。つまり、第2期間と第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用される。また、第3期間は第2期間よりも長くされてもよい。
【0040】
このようなサイクルが規定されている状況下において、制御装置300の制御部540は、共同玄関装置200から情報端末400への呼出要求を受けつけた場合、共同玄関装置200と情報端末400との通話を実行させるために、第1期間における通信スロットを情報端末400に割り当てる。また、占有幹線通信部560は、1つの情報端末400から別の情報端末400への呼出要求を第2期間において受信する。これに続いて、制御部540は、2つの情報端末400の間の接続処理を実行するための信号を第2期間において送信したり、受信したりする。制御部540は、接続処理の終了後、2つの情報端末400の間の通話を実行させるために、第1期間における通信スロットを情報端末400に割り当てる。さらに、占有幹線通信部560は、非通話の情報を第3期間において受信する。占有幹線通信部560は、非通話の情報を第3期間において送信してもよい。
【0041】
サイクルにおける第1期間と第2期間と第3期間のそれぞれの長さは可変である。例えば、呼出通話、施設間通話を実行する情報端末400の数が多くなると、通信スロットの数も多くなるので、第1期間が長くされる。その際、第2期間と第3期間の少なくとも1つが短くされる。一方、制御部540は、通信スロットを割り当てるべき情報端末400が存在しない場合、
図4(b)のごとく、サイクルから第1期間をなくしてもよい。この場合、サイクルでは、サイクル情報に続いて第2期間と第3期間が配置される。サイクル情報は第1期間がないことを示す。
【0042】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0043】
以上の構成によるインターホンシステム1000の動作を説明する。
図5は、インターホンシステム1000による通信手順、特に施設間通話の通信手順を示すシーケンス図である。第1情報端末400aは、第2期間においてCSMAにて制御装置300への呼出要求を送信する(S10)。制御装置300は、第2期間においてCSMAにて第2情報端末400bへの呼出要求を送信する(S12)。第2情報端末400bは、第2期間においてCSMAにて制御装置300への応答を送信する(S14)。
【0044】
制御装置300と第1情報端末400aとは、第2期間においてCSMAにて接続処理を実行し(S16)、制御装置300と第2情報端末400bとは、第2期間においてCSMAにて接続処理を実行する(S18)。制御装置300は、接続処理の終了後、第1情報端末400aと第2情報端末400bとに第1期間の通信スロットを割り当てる(S20)。第1情報端末400aと第2情報端末400bは、第1期間においてTDMAにて通話を実行する(S22、S24)。
【0045】
本実施例によれば、TDMA通信を実行可能な第1期間、CSMA通信を実行可能な第2期間、CSMA通信を実行可能な第3期間とを含むサイクルを規定するので、第1期間と第2期間と第3期間との間における信号の衝突の発生を抑制できる。また、第1期間と第2期間と第3期間との間における信号の衝突の発生が抑制されるので、インターホンシステムにおける通信の効率を向上できる。また、第2期間と第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用されるので、第3期間においてトラヒックが増加しても第2期間への影響を抑制できる。
【0046】
また、共同玄関装置200からの呼出要求を受けつけた場合、第1期間における通信スロットを情報端末400に割り当てるので、呼出通話を高品質かつ低遅延で実行できる。また、情報端末400からの呼出要求を受けつけた場合、第2期間において接続処理を実行してから、第1期間における通信スロットを情報端末400に割り当てるので、施設間通話を効率的に実行できる。また、第3期間において非通話の情報を受信するので、非通話通信を効率的に実行できる。
【0047】
また、サイクルにおける第1期間と第2期間と第3期間のそれぞれの長さは可変であるので、各期間におけるトラヒック量に応じて第1期間と第2期間と第3期間の長さを変更できる。また、各期間におけるトラヒック量に応じて第1期間と第2期間と第3期間の長さが変更されるので、通信の効率を向上できる。また、通信スロットを割り当てるべき情報端末400が存在しない場合、サイクルから第1期間をなくすので、通信の効率を向上できる。
【0048】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の制御装置(300)は、集合施設(100)に設けられるインターホンシステム(1000)において、共同玄関装置(200)と、複数の施設(110)のそれぞれに設けられる情報端末(400)との間の通信を制御する制御装置(300)であって、複数の情報端末(400)のそれぞれと通信する通信部(560)と、通信部(560)を制御する制御部(540)とを備える。制御部(540)は、複数の情報端末(400)のうちの1つ以上に通信スロットを割り当てることによってTDMA(Time Division Multiple Access)通信を実行可能な第1期間、複数の情報端末(400)のうちの1つ以上とCSMA(Carrier Sense Multiple Access)通信を実行可能な第2期間、複数の情報端末(400)のうちの1つ以上とCSMA通信を実行可能な第3期間とを含むサイクルを規定し、第2期間と第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用される。
【0049】
制御部(540)は、共同玄関装置(200)から情報端末(400)の呼出要求を受けつけた場合、共同玄関装置(200)と情報端末(400)との通話を実行させるために、第1期間における通信スロットを情報端末(400)に割り当てる。
【0050】
複数の情報端末(400)は、第1情報端末(400)と第2情報端末(400)とを含んでもよい。通信部(560)は、第1情報端末(400)から第2情報端末(400)の呼出要求を第2期間において受信し、制御部(540)は、第1情報端末(400)と第2情報端末(400)との通話を実行させるために、第1情報端末(400)と第2情報端末(400)とのそれぞれに対して、第1期間における互いに異なった通信スロットを割り当てる。
【0051】
通信部(560)は、非通話の情報を第3期間において受信してもよい。
【0052】
サイクルにおける第1期間と第2期間と第3期間のそれぞれの長さは可変であり、通信部(560)は、サイクルにおいて、第1期間と第2期間と第3期間の前に、第1期間と第2期間と第3期間のそれぞれの長さに関するサイクル情報を送信してもよい。
【0053】
制御部(540)は、通信スロットを割り当てるべき情報端末(400)が存在しない場合、サイクルから第1期間をなくし、通信部(560)から送信されるサイクル情報は、第1期間がないことを示す。
【0054】
共同玄関装置(200)と、複数の施設(110)のそれぞれに設けられる情報端末(400)と、制御装置(300)とを備えてもよい。
【0055】
本開示の別の態様は、制御方法である。この方法は、集合施設(100)に設けられるインターホンシステム(1000)において、共同玄関装置(200)と、複数の施設(110)のそれぞれに設けられる情報端末(400)との間の通信を制御する制御装置(300)における制御方法であって、複数の情報端末(400)のうちの1つ以上に通信スロットを割り当てることによってTDMA(Time Division Multiple Access)通信を実行可能な第1期間、複数の情報端末(400)のうちの1つ以上とCSMA(Carrier Sense Multiple Access)通信を実行可能な第2期間、複数の情報端末(400)のうちの1つ以上とCSMA通信を実行可能な第3期間とを含むサイクルを規定し、第2期間と第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用される。
【0056】
本開示のさらに別の態様は、共同玄関装置(200)である。この装置は、集合施設(100)に設けられるインターホンシステム(1000)において、複数の施設(110)のそれぞれに設けられる情報端末(400)との間の通信を制御する共同玄関装置(200)であって、複数の情報端末(400)のそれぞれと通信する通信部(250)と、通信部(250)を制御する制御部(240)とを備える。制御部(240)は、複数の情報端末(400)のうちの1つ以上に通信スロットを割り当てることによってTDMA(Time Division Multiple Access)通信を実行可能な第1期間、複数の情報端末(400)のうちの1つ以上とCSMA(Carrier Sense Multiple Access)通信を実行可能な第2期間、複数の情報端末(400)のうちの1つ以上とCSMA通信を実行可能な第3期間とを含むサイクルを規定し、第2期間と第3期間は、互いに異なった種類の情報の通信に使用される。
【0057】
共同玄関装置(200)と、複数の施設(110)のそれぞれに設けられる情報端末(400)とを備えてもよい。
【0058】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0059】
本実施例における制御装置300の機能が共同玄関装置200に搭載されてもよい。その際、共同玄関装置200は、占有幹線360に接続され、占有幹線360を介して複数の情報端末400に接続される。実施例における制御装置300の制御部540、占有幹線通信部560の処理は、共同玄関装置200の制御部240、通信部250において実行される。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0060】
100 集合施設、 110 施設、 200 共同玄関装置、 210 処理部、 212 撮像部、 214 マイク、 218 スピーカ、 220 モニタ、 222 IF部、 230 操作部、 240 制御部、 250 通信部、 300 制御装置、 310 集合施設GW、 320 ネットワーク、 330 サーバ、 350 共用部幹線、 360 占有幹線、 380 施設内ネットワーク、 400 情報端末、 410 処理部、 414 マイク、 418 スピーカ、 420 モニタ、 422 IF部、 430 操作部、 440 制御部、 450 通信部、 520 ネットワーク通信部、 540 制御部、 550 共用部幹線通信部、 560 占有幹線通信部、 570 記憶部、 600 機器制御装置、 1000 インターホンシステム。