(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113040
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】走行支援方法、走行支援用プログラム、及び走行支援システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230807BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20230807BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230807BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/0969
G08G1/09 V
G01C21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015142
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明李 成博
(72)【発明者】
【氏名】吉松 祐香
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
(72)【発明者】
【氏名】御厨 裕
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129DD13
2F129DD19
2F129DD20
2F129DD53
2F129DD57
2F129DD65
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE81
2F129EE95
2F129FF12
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF62
2F129FF65
2F129FF72
2F129GG03
2F129GG04
2F129GG05
2F129GG06
2F129GG17
5H181AA01
5H181BB05
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】リスクを予め避ける予防的な車両行動が可能な走行支援方法、走行支援プログラム、及び走行経路支援システムを提供する。
【解決手段】自車両の現在地から目的地までの走行経路を表す経路情報を生成し、道路に面して配置された交通情報取得手段によって撮影された道路の画像において第1障害物を検知した場合に、第1障害物の属性の情報と、第1障害物が検知された走行車線の情報と、第1障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む物体情報を生成し、第1障害物の属性に対応する所定のリスク値を走行車線の情報及び位置情報に関連付けてリスクエリア情報を生成し、経路情報においてリスクエリア情報に含まれる部分を迂回するように他の走行車線を選択することで経路情報を更新する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在地から目的地までの走行経路を表すとともに、現在地から目的地までを直列に結ぶ複数の道路の情報と、各道路内で並列配置された複数の走行車線のうち前記走行経路に基づいて選択された一の前記走行車線の情報と、を含む経路情報を生成し、
前記道路に面して配置された交通情報取得手段によって撮影された前記道路の画像において第1障害物を検知した場合に、前記第1障害物の属性の情報と、前記第1障害物が検知された前記走行車線の情報と、前記第1障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む物体情報を生成し、
前記第1障害物の属性に対応する所定のリスク値を前記走行車線の情報及び前記位置情報に関連付けてリスクエリア情報を生成し、
前記経路情報において前記リスクエリア情報に含まれる部分を迂回するように他の前記走行車線を選択することで前記経路情報を更新する走行支援方法。
【請求項2】
前記第1障害物を同一の前記走行車線に進行方向に沿って2つ並んで検知した場合に、前記物体情報において進行方向で前段の前記第1障害物の位置から後段の前記第1障害物の位置までの前記位置情報に前記所定のリスク値を関連付けて前記リスクエリア情報を生成する請求項1に記載の走行支援方法。
【請求項3】
前記自車両が前記交通情報取得手段の前記第1障害物の検知可能範囲よりも前段となる位置を走行しているときに第2障害物を検知した場合に、前記第2障害物が検知された前記走行車線の情報と、前記第2障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む前記第2障害物の情報を前記物体情報に加算するとともに、前記第2障害物と前記第1障害物を同一の前記走行車線で検知した場合に、前記物体情報において前記第2障害物の位置から前記第1障害物の位置までの前記位置情報に所定のリスク値を関連付けて前記リスクエリア情報を生成する請求項1又は請求項2に記載の走行支援方法。
【請求項4】
前記走行経路上であって前記交通情報取得手段の前記第1障害物の検知可能範囲外となる位置で検知された第3障害物の情報を有し、前記自車両が前記交通情報取得手段の前記第1障害物の検知可能範囲よりも前段となる位置を走行しているときに第2障害物を検知した場合に、前記第2障害物が検知された前記走行車線の情報と、前記第2障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む前記第2障害物の情報と、前記第3障害物の情報と、を前記物体情報に加算するとともに、前記第2障害物と前記第3障害物を同一の前記走行車線で検知した場合に、前記物体情報において前記第2障害物の位置から前記第3障害物の位置までの前記位置情報に所定のリスク値を関連付けて前記リスクエリア情報を生成する請求項1又は請求項2に記載の走行支援方法。
【請求項5】
前記自車両とは異なる他車両が前記走行経路であって前記交通情報取得手段の前記第1障害物の検知可能範囲よりも前段となる位置で第4障害物を検知し、前記自車両が前記検知可能範囲外であって前記第4障害物よりも前段で第2障害物を検知した場合に、前記第2障害物が検知された前記走行車線の情報と、前記第2障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む前記第2障害物の情報と、前記第4障害物が検知された前記走行車線の情報と、前記第4障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む前記第4障害物の情報と、を前記物体情報に加算するとともに、前記第2障害物と前記第4障害物を同一の前記走行車線で検知した場合に、前記物体情報において前記第2障害物の位置から前記第4障害物の位置までの前記位置情報に所定のリスク値を関連付けて前記リスクエリア情報を生成する請求項1又は請求項2に記載の走行支援方法。
【請求項6】
前記第4障害物と前記第1障害物を同一の前記走行車線で検知した場合に、前記物体情報において前記第4障害物の位置から前記第1障害物の位置までの前記位置情報に所定のリスク値を関連付けて前記リスクエリア情報を生成する請求項5に記載の走行支援方法。
【請求項7】
前記自車両が走行している前記道路の次に進入する前記道路に関して前記リスクエリア情報を生成する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の走行支援方法。
【請求項8】
前記第1障害物が所定位置に滞在する推定滞在時間を前記第1障害物の属性及び前記第1障害物の位置に基づいて設定し、前記第1障害物の情報に関連付ける所定のリスク値のうち前記自車両が前記第1障害物に遭遇するまでの時間が前記推定滞在時間よりも長くなる当該第1障害物の情報に関連付ける所定のリスク値をゼロに設定する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の走行支援方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の走行支援方法により設定された前記走行経路に従って前記自車両の自動運転を実行する走行支援方法。
【請求項10】
自車両の現在地から目的地までの走行経路を表すとともに、現在地から目的地までを直列に結ぶ複数の道路の情報と、各道路内で並列配置された複数の走行車線のうち前記走行経路に基づいて選択された一の前記走行車線の情報と、を含む経路情報を生成する工程と、
前記道路に面して配置された交通情報取得手段により撮影された前記道路の画像において第1障害物を検知した場合に、前記第1障害物の属性の情報と、前記第1障害物が検知された前記走行車線の情報と、前記第1障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む物体情報を生成する工程と、
前記第1障害物の属性に対応する所定のリスク値を前記走行車線の情報及び前記位置情報に関連付けてリスクエリア情報を生成する工程と、
前記経路情報において前記リスクエリア情報に含まれる部分を迂回するように他の前記走行車線を選択することで前記経路情報を更新する工程と、を実行する走行支援用プログラム。
【請求項11】
自車両の現在地から目的地までの走行経路を表すとともに、現在地から目的地までを直列に結ぶ複数の道路の情報と、各道路内で並列配置された複数の走行車線のうち前記走行経路に基づいて選択された一の前記走行車線の情報と、を含む経路情報を生成する経路情報生成手段と、
前記道路に面して配置され前記道路の画像を撮影する交通情報取得手段と、
前記画像において第1障害物を検知した場合に、前記第1障害物の属性の情報と、前記第1障害物が検知された前記走行車線の情報と、前記第1障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む物体情報を生成する物体情報生成手段と、
前記第1障害物の属性に対応する所定のリスク値を前記走行車線の情報及び前記位置情報に関連付けてリスクエリア情報を生成するリスクエリア情報生成手段と、
前記経路情報において前記リスクエリア情報に含まれる部分を迂回するように他の前記走行車線を選択することで前記経路情報を更新する経路情報更新手段と、を含む走行支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援方法、走行支援用プログラム、及び走行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自車両の周囲の物体を属性と状態に応じて分類し、当該分類に応じた潜在リスクを当てはめることで潜在リスクマップを算出し、算出した潜在リスクマップに基づいて自車両に対して当該物体の回避等の制御を行う技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に係る技術では、周囲の物体を検出してから回避等の制御を行うため、リスクを予め避ける予防的な車両行動はできない。
【0005】
本発明は、リスクを予め避ける予防的な車両行動が可能な走行支援方法、走行支援用プログラム、及び走行経路支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による走行支援方法は、自車両の現在地から目的地までの走行経路を表すとともに、現在地から目的地までを直列に結ぶ複数の道路の情報と、各道路内で並列配置された複数の走行車線のうち走行経路に基づいて選択された一の走行車線の情報と、を含む経路情報を生成し、道路に面して配置された交通情報取得手段によって撮影された道路の画像において第1障害物を検知した場合に、第1障害物の属性の情報と、第1障害物が検知された走行車線の情報と、第1障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む物体情報を生成し、第1障害物の属性に対応する所定のリスク値を走行車線の情報及び位置情報に関連付けてリスクエリア情報を生成する。そして、経路情報においてリスクエリア情報に含まれる部分を迂回するように他の走行車線を選択することで経路情報を更新する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、障害物が存在する道路に到達する前に障害物の前後で障害物を迂回する形で走行車線を切り替えるように走行経路を更新することができ、リスクを予め避ける予防的な車両行動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の走行支援システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の走行支援方法の簡易制御フローである。
【
図3】
図3は、第1実施形態の走行支援システムの自車両、交通情報取得装置、サーバを介した制御フローである。
【
図4】
図4は、
図3のリスクエリア情報生成工程及び学習DB更新工程の詳細を示す制御フローである。
【
図5】
図5は、道路(R1)を左折して道路(R2)に進入する走行経路が設定されることで、道路(R1)において車線(L1)(左側車線)が初期的に選択され、道路(R2)において車線(L1)(左側車線)が初期的に選択される場合であって、
図5(a)は道路(R1)に第1障害物がない場合、
図5(b)は道路(R1)で第1障害物が2個存在し道路(R2)で第1障害物が1個存在する場合にすべての第1障害物を自車両が検知して第1障害物を回避するように走行車線の迂回動作を行う場合、
図5(c)は交通情報取得部を介して道路(R1)で第1障害物を2個検知し、交通情報取得部を介して道路(R2)で第1障害物を1個検知した場合に第1障害物を回避するように走行車線の迂回動作を行う場合を示す。
【
図6】
図6は、走行経路に従って生成される物体情報と経路情報の例であって、
図6(a)は
図5(a)に示すように第1障害物がない場合の物体情報と経路情報、
図6(b)は
図5(c)に示すように、交通情報取得装置を介して道路(R1)及び道路(R2)で第1障害物を検知した場合の物体情報と経路情報、
図6(c)は物体情報にリスク値を関連付けてリスクエリア情報を生成した状態を示す。
【
図7】
図7は、道路(R1)を左折して道路(R2)に進入する走行経路が設定されることで、道路(R1)において車線(L1)(左側車線)が初期的に選択され、道路(R2)において車線(L1)(左側車線)が初期的に選択される場合であって、
図7(a)は、学習データベースが道路(R1)の車線(L1)の後段に第3障害物が存在することを示す情報を予め有し、且つ第3障害物の前段の車線(L1)において自車両が第2障害物を検知した場合に、第2障害物及び第3障害物を回避するように車線を切り替える場合を示す図であり、
図7(b)は、物体情報に第2障害物の情報(位置)と第3障害物の情報(位置)を加算された状態を示し、
図7(c)は物体情報にリスク値を関連付けてリスクエリア情報を生成した状態を示す。
【
図8】
図8は、走行経路として道路(R1)、道路(R2)、道路(R3)の順に自車両が走行する場合に、経路情報の更新範囲を示す図であり、
図8(a)は自車両が道路(R1)を走行しているときに例えば道路(R2)の入り口まで物体情報を生成し、
図8(b)は例えば自車両が道路(R2)に入る直前で道路(R3)の入り口まで物体情報を生成する場合を示す。
【
図9】
図9は、第2実施形態の走行支援システムのブロック図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態の走行支援システムの自車両、交通情報取得部、サーバを介した制御フローである。
【
図11】
図11は、第3実施形態の走行支援システムのブロック図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態の走行支援システムの自車両、交通情報取得部、サーバ、他車両を介した制御フローである。
【
図13】
図13は、第3実施形態のリスクエリア情報生成工程の詳細を示す制御フローである。
【
図14】
図14は、道路(R1)を左折して道路(R2)に進入する走行経路が設定されることで、道路(R1)において車線(L1)(左側車線)が初期的に選択され、道路(R2)において車線(L1)(左側車線)が初期的に選択される場合であって、
図14(a)は、道路(R1)の車線(L1)の後段において他車両が第4障害物を検知し、且つ第4障害物の前段の車線(L1)において自車両が第2障害物を検知した場合に、第2障害物及び第4障害物を回避するように車線を切り替える場合を示す図であり、
図14(b)は、物体情報に第2障害物の情報(位置)と第4障害物の情報(位置)を加算した状態を示し、
図14(c)は物体情報にリスク値を関連付けてリスクエリア情報を生成した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の走行支援システムのブロック図である。第1実施形態の走行支援システムは、以下に示すように本願発明の走行支援方法を実現する構成を有する。
【0011】
走行支援システムは、道路に面して配置された交通情報取得部1と、自車両2と、サーバ3に実装されている。
【0012】
ここで、本実施形態(第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態)で用いられる「第1障害物」、「第2障害物」、「第3障害物」、及び後述の「第4障害物」は、道路で停止している車両等、自車両2にとって走行の障害になり得るものすべてを指す。「第1障害物」は、交通情報取得部1を介してサーバ3が検知する障害物であり、「第2障害物」は、自車両2が検知する障害物である。「第3障害物」は、交通情報取得部1の検知範囲外において自車両2や他車両4(
図11)が過去に検知した障害物であって情報として記録されたものである。「第4障害物」は他車両4が検知する障害物である。
【0013】
交通情報取得部1は、第1カメラ11と第1外部通信部12を含む。第1カメラ11は、道路(特に高速道路)を撮影して画像データ(所定の時間間隔で撮影する静止画、又は常時撮影する動画)をサーバ3に送信するものである。また、第1カメラ11は画像データに第1カメラ11の位置及び向きを含む付属情報を加算することができる。交通情報取得部1は、ドライバが設定した走行経路上の道路のほとんどを網羅するように配置されているが、未配置の場所もある。
【0014】
第1外部通信部12は、サーバ3との間、又は自車両2との間で双方向通信を行うものである。双方向通信としては、例えば狭域通信システム(Dedicated Short Range Communications)、LTE(Long Term Evolution)等の公知の技術を適用できる。第1外部通信部12は、自車両2の第2外部通信部203から経路情報が入力されるとこれをサーバ3に送信する。また第1外部通信部12は、サーバ3から物体情報が入力されるとこれを自車両2の第2外部通信部203に向けて送信する。
【0015】
自車両2は、内燃機関、及び/又は、電動機を駆動源として駆動する車両である。また自車両2には現在地から目的地までの走行経路を設定して、走行する道路及び当該道路中の車線をドライバに案内するナビゲーション装置、さらに目的地まで自動運転する自動運転装置(車両制御部211)を備えている。自動運転装置は、自車両2に搭載したカメラ等が走行先に障害物を検知した場合は障害物を回避する制御を自車両2に実行可能なものである。
【0016】
第1実施形態において、自車両2には、HDマップ201、経路生成部202、第2外部通信部203、データ解析部204、リスクエリア情報生成部205、学習データベース206、第2カメラ207、第2物体認識部208、第2物体情報計算部209、車線計画部210、車両制御部211を備える。
【0017】
HDマップ201は、高速道路、一般道路等の汎用マップ(例えばグーグルマップ(登録商標))が表示する道路を網羅するとともに、当該道路を構成する複数の走行車線の識別情報や各走行車線が占有する領域(幅方向の位置、進行方向の位置)の情報を有した高解像度のマップである。
【0018】
経路生成部202は、例えばドライバが目的地を指定すると、HDマップ201を参照して自車両2の現在地と目的地とを結ぶ走行経路となる経路情報を生成する。経路情報は、現在地から目的地まで自車両2が経由する道路の情報と当該道路において自車両2が走行する走行車線の情報が含まれる。
【0019】
ここで、本願発明が適用される道路は、少なくとも片側二車線となる走行車線を有するものを前提としている。そして、経路情報(走行経路)では、例えば次の交差点(ジャンクション)で左折する場合は左側の走行車線を優先的に選択し、次の交差点(ジャンクション)で右折する場合は右側の走行車線を優先的に選択する。
【0020】
第2外部通信部203は、交通情報取得部1の第1外部通信部12との間で双方向通信を行うものである。第2外部通信部203は、経路情報を交通情報取得部1の第1外部通信部12に向けて送信するとともに、後述のように第1外部通信部12から物体情報が送信される。
【0021】
データ解析部204は、交通情報取得部1から送信された物体情報を自車両2内のシステムが利用可能なフォームに変換するものである。
【0022】
第2カメラ207は、例えば自車両2の前方が視野となるように配置され、前方の道路(走行車線)を静止画、又は動画として撮影する。
【0023】
第2物体認識部208は、道路(車線)上で停止している物体(第2障害物)の属性(例えば、乗用車、バス、トラック、オートバイ等)、及び第2障害物の大きさ(及び向き)を判定する。
【0024】
第2物体情報計算部209は、カメラが撮影した物体(第2障害物)の属性及び大きさの情報、第2障害物が検知された道路の情報と走行車線の情報、走行車線が検知された第2障害物の進行方向上の位置情報を含む第2障害物の情報(後述の物体情報の一部)を経路情報に基づいて生成する。
【0025】
学習データベース206には、過去に検知された第3障害物の情報が格納されている。第3障害物の情報としては、第3障害物の属性、第3障害物の大きさ、第3障害物が検知された道路と走行車線の情報、検知された第3障害物の走行車線上の進行方向に沿った位置情報等が含まれる。
【0026】
学習データベース206は、第1障害物、第2障害物、第3障害物(及び後述の第4障害物)の属性に対応したリスク値(自車両2が遭遇する確率)が格納されている。例えば第1障害物、第2障害物、第4障害物のリスク値は1である。また、第3障害物は、過去に検知された障害物であるため、自車両2が遭遇しない場合もある。よって、第3障害物のリスク値は、例えば第3障害物が検知された道路を自車両2が通過した回数をNとし、自車両2が第3障害物に検知(遭遇)した回数をnとして、n/Nと設定される。
【0027】
さらに学習データベース206には付帯情報が格納されている。付帯情報とは、例えばバス停留所の位置、施設等の出入り口の位置、信号の位置等、車両が一時的に停止する位置とその属性の情報を含む。
【0028】
リスクエリア情報生成部205は、物体情報が入力されると、学習データベース206を参照して当該物体情報に関連する第3障害物の情報、すなわち走行経路上の障害物であって交通情報取得部1の取得範囲外にある過去の障害物の情報が存在する否かを判断し、存在する場合には当該第3障害物の情報を抽出する。
【0029】
また、リスクエリア情報生成部205は、物体情報に関連する第2障害物の情報及び第3障害物の情報がある場合は、これらの情報を物体情報に加算する。
【0030】
そして、リスクエリア情報生成部205は、学習データベース206を参照して第1障害物のリスク値、第2障害物のリスク値、第3障害物のリスク値を抽出して、物体情報において各障害物の情報に各リスク値を関連付ける。これにより、物体情報にリスクエリア情報5が生成される。リスクエリア情報5の詳細は後述する。
【0031】
車線計画部210は、経路情報に基づいて目的地の到着するまで自車両2が走行する走行車線を選択するとともに、走行車線を選択する際に自車両2が障害物に遭遇する確率(リスク値)が最も低い走行車線を選択する。また、車線計画部210は、自車両2が現在走行している道路から交差点(ジャンクション)を経由して次の道路に入る際に、交差点で左折する場合は左端の走行車線を優先的に選択し、右折する場合は右端の走行車線を優先的に選択する。また車線計画部210は、障害物を迂回するためにリスクエリア情報5に基づいて走行車線の切り替えることで経路情報を更新する。経路情報の更新については後述する。
【0032】
車両制御部211は、車線計画部210が更新して経路情報に基づいて自車両2の自動運転を実行するが、例えばドライバがハンドル操作した場合等に自動運転は解除される。
【0033】
サーバ3は、第1物体認識部31と、第1物体情報計算部32と、交通情報取得部位置データベース33を備える。
【0034】
第1物体認識部31は、交通情報取得部位置データベース33を参照して、交通情報取得部1のうち、経路情報中の道路に面して配置された交通情報取得部1の第1カメラ11が撮影した画像データを解析して道路(走行車線)で停止している物体(第1障害物)の有無を検知する。
【0035】
第1物体認識部31は、第1障害物が経路情報中の走行車線に停止した状態で存在する場合に、道路(車線)上で停止している第1障害物の属性、第1障害物の進行方向上の位置(例えば中心位置)と、第1障害物の大きさを判定する。
【0036】
第1物体情報計算部32は、第1物体認識部31から第1障害物の属性の情報、及び第1障害物の進行方向上の位置情報、大きさの情報が入力されると、画像データから第1障害物が検知された道路の情報と、第1障害物が検知された走行車線の情報、第1障害物が検知された進行方向上の位置情報を生成する。
【0037】
そして、第1物体情報計算部32は、第1障害物を撮影した時刻の情報、第1障害物の属性の情報、第1障害物の大きさの情報、第1障害物が存在する道路の情報、第1障害物が存在する走行車線の情報、走行車線に存在する第1障害物の進行方向上の位置情報を含む物体情報を経路情報に基づいて生成する。なお、物体情報は、第1カメラ11の撮影頻度に応じてリアルタイムで生成され、第2外部通信部203に向けて送信される。
【0038】
[簡易制御フロー]
図2は、本発明の走行支援方法の簡易制御フローである。本発明の走行支援方法を簡易的に説明すると以下のようになる。
【0039】
ステップS101において、経路生成部202はドライバが設定した走行経路に基づいて経路情報を生成する。
【0040】
ステップS102において、第1物体情報計算部32は経路情報に係る走行車線に第1障害物がある場合に物体情報を生成し、リスクエリア情報生成部205は経路情報に係る走行車線に第2障害物、第3障害物がある場合に、物体情報に第2障害物の情報及び第3障害物の情報を加算する。
【0041】
ステップS103において、リスクエリア情報生成部205は、物体情報に障害物(第1障害物、第2障害物、第3障害物)に応じたリスク値を関連付けて物体情報中にリスクエリア情報5を生成する。
【0042】
ステップS104において、車線計画部210は、経路情報のうちリスクエリア情報5に含まれる部分を迂回するように他の走行車線を選択することで経路情報を更新する。
【0043】
上記のように制御することで、障害物が存在する道路に到達する前に障害物の前後で障害物を迂回する形で走行車線を切り替えるように走行経路を更新することができ、リスクを予め避ける予防的な車両行動が可能となる。
【0044】
[第1実施形態の制御フロー]
図3は、第1実施形態の走行支援システムの自車両2、交通情報取得装置、サーバ3を介した制御フローである。
図4は、
図3のリスクエリア情報生成工程及び学習DB更新工程の詳細を示す制御フローである。第1実施形態の走行支援システムは、交通情報取得部1、自車両2、サーバ3の記憶媒体にインストールされたプログラムに従って実行される。
【0045】
ステップS201において、自車両2の経路情報生成部はドライバが設定した走行経路に基づいて経路情報を生成する。
【0046】
ステップS202において、自車両2の第2外部通信部203は経路情報を交通情報取得部1の第1外部通信部12に送信する。
【0047】
ステップS203において、自車両2の第2カメラ207は自車両2の前方の道路及び走行車線を監視(撮影)する。
【0048】
ステップS204において、自車両2の第2物体認識部208は第2カメラ207が撮影した画像データに第2障害物が停止した状態で存在する場合に当該第2障害物を検知してその属性を識別する。なお、第2物体認識部208は、例えば自車両2の車速と、画像データから推定される自車両2の第2障害物への接近速度と、が一致する場合に第2障害物は停止していると判断する。
【0049】
ステップS205において、第2物体認識部208は、第2障害物の進行方向上の位置(例えば中心位置)と大きさを推定する。
【0050】
ステップS206において、第2物体情報計算部209は、第2物体認識部208が判定した属性、位置、大きさに基づいて、第2障害物の属性及び大きさの情報、第2障害物が存在する道路の情報と走行車線の情報、走行車線に存在する第2障害物の進行方向上の位置情報を含む第2障害物の情報を経路情報に基づいて生成する。
【0051】
ステップS207において、交通情報取得部1の第1外部通信部12は経路情報を受信する。
【0052】
ステップS208において、交通情報取得部1の第1カメラ11は道路及び走行車線を監視(撮影)する。
【0053】
ステップS209において、サーバ3の第1物体認識部31は、交通情報取得部1のうち、経路情報中の道路に面して配置された交通情報取得部1の第1カメラ11が撮影した画像データを選択する。
【0054】
ステップS210において、第1物体認識部31は、画像データを解析して道路(走行車線)で停止している物体(第1障害物)の有無を検知し、第1障害物を経路情報中の走行車線に検知した場合に、第1障害物の属性を判断する。
【0055】
ステップS211において、第1物体認識部31は、第1障害物の進行方向上の位置及び大きさ(及び向き)を判定する。
【0056】
ステップS212において、第1物体情報計算部32は、前記のように第1障害物に関する物体情報を生成し、交通情報取得部1の第1外部通信部12を介して物体情報を自車両2の外部通信部に送信する。
【0057】
ステップS213において、自車両2の第2外部通信部203は、交通情報取得部1から送信された物体情報を受信する。またデータ解析部204は交通情報取得部1から送信された物体情報を自車両2内のシステムが利用可能なフォームに変換する。
【0058】
ステップS214において、リスクエリア情報生成部205は、学習データベース206を参照して物体情報(経路情報)に関連する第3障害物の情報を抽出する。
【0059】
ステップS215(
図4のステップS2151-ステップS2156)において、リスクエリア情報生成部205は、物体情報に第2障害物の情報及び第3障害物の情報を加算する。そして、リスクエリア情報生成部205は、学習データベース206から第1障害物のリスク値、第2障害物のリスク値、第3障害物のリスク値を抽出して各リスク値を物体情報中の各障害物の情報に関連付けることでリスクエリア情報5を包含する物体情報を生成する。
【0060】
図4に示すように、ステップS2151において、リスクエリア情報生成部205は、第1障害物の情報を包含する物体情報に第2障害物の情報及び第3障害物の情報を加算する。なお、第2障害物及び第3障害物が検知されない場合は、第2障害物の情報、第3障害物の情報の加算の前後で物体情報の内容に変化はない。
【0061】
ステップS2152において、リスクエリア情報生成部205は、第1障害物の属性、及び第1障害物の位置に基づいて学習データベース206から第1障害物が所定位置に滞在する推定滞在時間を抽出する。例えば第1障害物の属性が「バス」であり、第1障害物の停止位置が「バス停留所」である場合、第1障害物の当該推定滞在時間を所定時間(例えば5分)に設定する。同様に、例えば第1障害物の属性が「乗用車」であり、第1障害物の停止位置が「駐車場入口」である場合、第1障害物の当該推定滞在時間を所定時間(例えば5分)に設定する。上記のように、第1障害物が一時的に停止しているとは判断できない場合、第1障害物の当該推定滞在時間を自車両2が目的地に到達する時間よりも長い時間(例えば24時間)に設定する。
【0062】
ステップS2153において、リスクエリア情報生成部205は、第1障害物の位置情報と、自車両2の実際の位置情報(GPS等)と、自車両2の車速に基づいて自車両2が第1障害物に遭遇するまでの到達時間を算出する。
【0063】
ステップS2154において、リスクエリア情報生成部205は、学習データベース206を参照して、物体情報に第1障害物(前記の推定滞在時間が前記の到達時間以上となる第1障害物)に対応するリスク値(=1)、第1障害物(前記の推定滞在時間が前記の到達時間未満となる第1障害物)に対応するリスク値(=0)、第2障害物に対応するリスク値(=1)、第3障害物に対応するリスク値(=n/N)を関連付ける。
【0064】
ステップS2155において、リスクエリア情報生成部205は、物体情報(経路情報)を参照し、同一走行車線上に障害物(第1障害物(推定滞在時間≧到達時間)、第2障害物、第3障害物)を進行方向に並んで複数検知した判断し、YESであればステップS2156に移行し、NOであればステップS216(ステップS2161)に移行する。
【0065】
ステップS2156において、リスクエリア情報生成部205は、物体情報において同一走行車線上の最前段の障害物から再後段の障害物に係る位置情報に所定のリスク値を関連づけることで物体情報中にリスクエリア情報5を生成する。
【0066】
図3に示すように、ステップS216において、リスクエリア情報生成部205は、物体情報に基づいて学習データベース206を更新する。
【0067】
図4に示すように、ステップS2161において、リスクエリア情報5部は、第2障害物が第3障害物に一致するか否かを判断し、YESであればステップS2162に移行し、NOであればステップS2163に移行する。ここで、第2障害物の属性及び位置が、第3障害物の属性及び位置に一致する場合に、第2障害物が第3障害物に一致すると判断し、属性又は位置が一致しない場合に第2障害物は第3障害物に一致しないと判断する。
【0068】
ステップS2162において、リスクエリア情報生成部205は、(N+1)回目に走行する道路において自車両2が第3障害物を第2障害物として検知したと判断して第3障害物のリスク値を(n+1)/(N+1)に更新して学習データベース206に上書きする。
【0069】
ステップS2163において、リスクエリア情報生成部205は、(N+1)回目に走行する道路において自車両2が学習データベース206で記録された第3障害物を検知しなかったと判断して第3障害物のリスク値を(n)/(N+1)に更新して学習データベース206に上書きする。
【0070】
ステップS2164において、リスクエリア情報生成部205は、自車両2が新たな第3障害物を検知したと判断して新たな第3障害物の情報(第3(2)障害物の属性、第3(2)障害物を検知した道路、第3(2)障害物を検知した走行車線、第3(2)障害物の進行方向上の位置)を生成して学習データベース206に記憶するとともに、新たな第3障害物のリスク値(n/N=1/1)を学習データベース206に記憶する。
【0071】
図3に示すように、ステップS217において、車線計画部210は、各障害物を迂回するためにリスクエリア情報5に基づいて走行車線の切り替えることで経路情報を更新する。
【0072】
ステップS218において、車線計画部210(又は車両制御部211)は、自車両2が目的地に到達したか否かを判断し、YESであれば自動運転を終了し、NOであればステップS202に移行する。
【0073】
[経路情報の更新]
図5は、道路(R1)を左折して道路(R2)に進入する走行経路が設定されることで、道路(R1)において車線(L1)(左側車線)が初期的に選択され、道路(R2)において車線(L1)(左側車線)が初期的に選択される場合であって、
図5(a)は道路(R1)に第1障害物がない場合、
図5(b)は道路(R1)で第1障害物が2個存在し道路(R2)で第1障害物が1個存在する場合にすべての第1障害物を自車両2が検知して第1障害物を回避するように走行車線の迂回動作を行う場合、
図5(c)は交通情報取得部1を介して道路(R1)で第1障害物を2個検知し、交通情報取得部1を介して道路(R2)で第1障害物を1個検知した場合に第1障害物を回避するように走行車線の迂回動作を行う場合を示す。
【0074】
図5に示すように、自車両2が現在地から目的地に向けて走行経路(経路情報)に従って走行する場合であって、自車両2が道路(R1)を走行し、道路(R1)の終端にある交差点を左折して道路(R2)に進入する場合を考える。ここで、道路(R1)及び道路(R2)は片側が2車線(L1、L2)で計4車線であり、車線(L1)が左側に配置され、車線(L2)が右側に配置されている。
【0075】
この場合、
図5(a)に示すように、走行経路(経路情報)は、左折することを考慮して走行車線を選択するので、道路(R1)では車線(L1)を初期的に選択し、道路(R2)でも車線(L1)を初期的に選択する。よって、道路(R1)及び道路(R2)に第1障害物が存在しない場合、車両制御部211は、経路情報に従って道路(R1)の車線(L1)、道路(R2)の車線(L1)の順に走行する自動運転を実行する。
【0076】
一方、
図5(b)に示すように、道路(R1)の車線(L1)に第1障害物(A)(B)が進行方向に沿って2個並んで存在し、道路(R2)の車線(L1)に第1障害物(C)が存在する場合を考える。
【0077】
この場合、特許文献1等の従来技術では、自車両2が道路(R1)の車線(L1)で最初の第1障害物(A)を検知すると、車線(L1)の第1障害物(A)よりも前段となる位置で車線(L2)に移動し、第1障害物(A)の横を通過したのちに車線(L1)に戻り、自車両2が道路(R1)の車線(L1)で次の第1障害物(B)を検知すると、車線(L1)の第1障害物(B)よりも前段となる位置で車線(L2)に移動し、第1障害物(B)の横を通過したのちに車線(L1)に戻る。そして、自車両2が左折して道路(R2)の車線(L1)に入り、自車両2が道路(R2)の車線(L1)で第1障害物(C)を検知すると、車線(L1)の第1障害物(C)よりも前段となる位置で車線(L2)に移動し、第1障害(C)の横を通過したのちに車線(L1)に戻る。
【0078】
このように、従来技術では、自車両2が第1障害物(A)(B)(C)を順に検知するので、第1障害物を検知するたびに走行車線の迂回動作を行う必要がある。
図5(b)では走行車線の迂回動作を3回行っている。
【0079】
また、自車両2が第1障害物(A)よりも前段で走行しているときは、第1障害物(A)が死角となって自車両2からは第1障害物(b)の検知が困難であり、自車両2が道路(R1)を走行中に道路(R2)で停止している第1障害物(C)を検知することも困難である。
【0080】
一方、第1実施形態では、
図5(c)に示すように、自車両2が道路(R1)及び同労(R2)に進入する前に、道路(R1)に面して配置された交通情報取得部1が第1障害物(A)(B)を検知し、道路(R2)に面して配置された交通情報取得部1が第1障害物(C)を検知している。そして、本実施形態では、例えば走行車線の迂回(切替)回数が最も少なくなるように車線変更を行っている。
【0081】
図5(c)に示すように、第1実施形態では、同一走行車線で検知された第1障害物(A)と第1障害物(B)を含むリスクエリア51を形成し、この自車両2がリスクエリア51を回避するように車線の迂回動作を行っている。また、自車両2が道路(R2)で停止している第1障害物(C)に遭遇する前に第1障害物(C)が出発することが予測できる場合、すなわち自車両2が第1障害物(C)に遭遇するまでの到達時間が第1障害物(C)が所定位置に滞在する推定滞在時間よりも長い場合は、第1障害物(C)をリスクエリア51として認識せずに自車両2がそのまま通行する走行経路を設定できる。もちろん予測に反して第1障害物(C)が引き続き停止している場合、自車両2は第1障害物(C)を回避するように車線変更することもできる。よって、第1実施形態では従来技術と比較して、走行車線の迂回動作を1回(又は2回)に削減することができ、リスクを予め避ける予防的な車両行動が可能となる。
【0082】
図6は、走行経路に従って生成される物体情報と経路情報の例であって、
図6(a)は
図5(a)に示すように第1障害物がない場合の物体情報と経路情報、
図6(b)は
図5(c)に示すように、交通情報取得装置を介して道路(R1)及び道路(R2)で第1障害物を検知した場合の物体情報と経路情報、
図6(c)は、物体情報にリスク値を関連付けてリスクエリア情報5を生成した状態を示す。
図5等では、経路情報と物体情報をまとめて表示している。
【0083】
経路情報(Rn,D1,D2)は自車両2の現在地から目的地までを結ぶ道路(R1、R2、R3・・・Rn)及び当該道路を構成する走行車線(L1,L2)において、進行方向(図において左端から右端に向かう方向)の所定の分解能(例えば10[cm])でいずれの走行車線を選択するかを表すデータである。ここで、例えば(D1,D2)=(1,0)は、自車両2の走行車線として車線(L1)が選択され、(D1,D2)=(0,1)は、自車両2の走行車線として車線(L2)が選択されることを示す。
【0084】
物体情報(Rn,Ob1,Ob2)は自車両2の現在地から目的地までを結ぶ道路(R1、R2、R3・・・Rn)及び当該道路を構成する走行車線(L1,L2)において、進行方向の所定の分解能(例えば10[cm])ごとにいずれの走行車線に第1障害物が存在するかを表すデータである。ここで、例えば(Ob1,Ob2)=(1,0)は、車線(L1)に障害物があり、且つ車線(L2)に第1障害物がないことを示し、(Ob1,Ob2)=(0,1)は、車線(L1)に第1障害物はなく、且つ車線(L2)に第1障害物があることを示す。
【0085】
例えば、第1障害物(他の障害物でも同様)の進行方向の長さが2[m]であり物体情報の進行方向の分解能が10[cm]である場合は、物体情報(例えばOb1)において第1障害物の存在を示す「1」の数字が20個並ぶことになる。しかし、説明を簡単にするため、
図5等では第1障害物の長さを考慮せず、一つの第1障害物の存在を一つの「1」で表している。
【0086】
図6(a)は、
図5(a)に示すように、経路情報に基づき道路(R1)において車線(L1)が初期的に選択され、道路(R2)において車線(L1)が初期的に選択され、道路(R1)及び道路(R2)において第1障害物が存在しない状態を表している。この場合、道路(R1)及び道路(R2)において物体情報(Ob1,Ob2)=(0,0)であり、経路情報(D1,D2)と干渉しない。従って、経路情報は更新されることなく、道路(R1)及び道路(R2)において経路情報(D1,D2)=(1,0)となる。
【0087】
図6(b)は、
図5(c)に示すように、道路(R1)の車線(L1)において2つの第1障害物(A)(B)を検知し、道路(R2)の車線(L1)において第1障害物(C)を検知した場合を示す。すなわち、物体情報に関して、道路(R1)においてOb1=1となる位置が2か所存在し、道路(R2)においてOb1=1となる位置が1か所存在する。
【0088】
よって、経路情報を当該物体情報に基づいて更新すると、例えば、道路(R1)の最初の「Ob=1」の2個前となる位置まで(D1,D2)=(1,0)となるが、道路(R1)の最初の「1」の1個前となる位置から道路(R1)の最初の「Ob=1」の1個後となる位置まで(D1,D2)=(0,1)となり、道路(R1)の最初の「Ob=1」の2個後となる位置で(D1,D2)=(1,0)に戻る。経路情報に関して、同様の変化は道路(R1)の次の「Ob=1」と、道路(R2)の「Ob=1」となる位置でも発生する。
【0089】
図6(c)では、物体情報にリスク値(Risk)を関連付けてリスクエリア情報5を生成し、経路情報をリスクエリア情報5に基づいて更新している。前記のように道路(R1)の車線(L1)において2つの第1障害物(A)(B)を検知している。よって道路(R1)の進行方向において最初の「Ob=1」と次の「Ob=1」までの物体情報及び経路情報にはリスク値(=1)が関連付けられている。
【0090】
また、前記の道路(R2)において第1障害物(C)を検知しているため、道路(R2)の「Ob=1」となる位置には所定のリスク値が関連づけられる。しかし、前記のように自車両2が道路(R2)で検知された第1障害物に遭遇するまでの到達時間が当該第1障害物が所定位置に滞在する推定滞在時間よりも長い場合、道路(R2)の「Ob=1」となる位置にはリスク値(=0)を関連付けることができる。
【0091】
よって、経路情報をリスクエリア情報5に基づいて更新すると、例えば、道路(R1)の最初の「Ob=1」(A)の2個前となる位置まで(D1,D2)=(1,0)となるが、道路(R1)の最初の「1」の1個前となる位置から道路(R1)の次の「Ob=1」(B)の1個後となる位置まで(D1,D2)=(0,1)となり、道路(R1)の次の「Ob=1」(B)の2個後となる位置で(D1,D2)=(1,0)に戻る。そして、道路(R2)において(D1,D2)=(1,0)となる。
【0092】
図7は、道路(R1)を左折して道路(R2)に進入する走行経路が設定されることで、道路(R1)において車線(L1)(左側車線)が初期的に選択され、道路(R2)において車線(L1)(左側車線)が初期的に選択される場合であって、
図7(a)は、学習データベース206が道路(R1)の車線(L1)の後段に第3障害物が存在することを示す情報を予め有し、且つ第3障害物の前段の車線(L1)において自車両2が第2障害物を検知した場合に、第2障害物及び第3障害物を回避するように車線を切り替える場合を示す図であり、
図7(b)は、物体情報に第2障害物の情報(位置)と第3障害物の情報(位置)を加算した状態を示し、
図7(c)は物体情報にリスク値を関連付けてリスクエリア情報5を生成した状態を示す。
【0093】
図7(a)は道路(R2)では第1障害物が検知されていない。一方、道路(R1)ででは自車両2が走行車両(L1)を走行中に第2障害物(D)を検知するが第3障害物(E)が第2障害物(D)の死角に入っており、自車両2が第3障害物(E)を検知できない場合を示している。
【0094】
しかし、第1実施形態では、第2障害物(D)と第3障害物(E)を含む範囲でリスクエリア51を形成しており、自車両2がリスクエリア51を回避するように車線の迂回動作を行うことができる。
【0095】
図7(b)に示すように、道路(R1)の物体情報の最初に「Ob=1」(D)となる部分は自車両2が第3障害物として検知したものである。また、道路(R1)の物体情報の次に「Ob=1」(E)となる部分は第2障害物として学習データベース206から抽出したものである。よって、経路情報を当該物体情報に基づいて更新すると、例えば、道路(R1)の最初の「Ob=1」(D)の2個前となる位置まで(D1,D2)=(1,0)となるが、道路(R1)の最初の「Db=1」(D)の1個前となる位置から道路(R1)の最初の「Ob=1」(D)の1個後となる位置まで(D1,D2)=(0,1)となり、道路(R1)の最初の「Ob=1」(D)の2個後となる位置で(D1,D2)=(1,0)に戻る。そして、同様の変化が道路(R1)の「Ob=1」(E)の周囲で発生し、以後(D1,D2)=(1,0)となる。
【0096】
図7(c)では、物体情報にリスク値(Risk)を関連付けてリスクエリア情報5を生成し、経路情報をリスクエリア情報5に基づいて更新している。前記のように道路(R1)の車線(L1)において第2障害物(D)を検知し、第3障害物(E)の情報は事前に記憶している。よって物体情報において最初の「Ob=1」(D)となる位置にリスク値(=1)が関連付けられ、「Ob=1」(E)となる位置にリスク値(=n/N)が関連づけられる。そして、物体情報の最初の「Ob=1」(D)となる位置の次の位置から次の「Ob=1」(E)となる位置の一つ前の位置までリスク値(=n/N、又は1)が関連付けられることでリスクエリア情報5が生成される。
【0097】
よって、経路情報をリスクエリア情報5に基づいて更新すると、例えば、道路(R1)の最初の「Ob=1」(D)の2個前となる位置まで(D1,D2)=(1,0)となるが、道路(R1)の最初の「Ob=1」(D)の1個前となる位置から道路(R1)の「Ob=1」(E)の1個後となる位置まで(D1,D2)=(0,1)となり、道路(R1)の「Ob=1」(E)の2個後となる位置で(D1,D2)=(1,0)に戻り、以後道路(R2)において(D1,D2)=(1,0)を維持する。そして、道路(R2)においても(D1,D2)=(1,0)となる。
【0098】
なお、第1実施形態では、第1障害物、第2障害物、第3障害物(後述の第4障害物)のいずれかの2つを同一の走行車線で進行方向に並ぶように検知した場合、2つの障害物を包含する範囲でリスクエリア情報5を生成し、自車両2がリスクエリア51を回避するように走行車線の迂回動作を実行する。
【0099】
[経路情報の更新範囲]
図8は、走行経路として道路(R1)、道路(R2)、道路(R3)の順に自車両2が走行する場合に、経路情報の更新範囲を示す図であり、
図8(a)は自車両2が道路(R1)を走行しているときに例えば道路(R2)の入り口まで物体情報(リスクエリア常時法)を生成し、
図8(b)は例えば自車両2が道路(R2)に入る直前で道路(R3)の入り口まで物体情報(リスクエリア情報5)を生成する場合を示す。
【0100】
図8以外の例として、例えば自車両2が道路(R1)の終端から所定距離(例えば2[km])前となる位置に到達すると道路(R2)に関して物体情報(リスクエリア情報5)を生成し、道路(R2)の終端から所定距離前となる位置に到達すると道路(R3)に関して物体情報(リスクエリア情報5)を生成する、という制御を繰り替えすことも好適である。
【0101】
第1実施形態では、自車両2の現在地から目的地までの経路情報を同時にすべて更新することが可能である。しかし、上記のように、現在走行している道路の次の道路に関連する物体情報を得て次の道路の経路情報を更新する態様としてもよい。これにより、システム全体の通信量を削減してシステム全体を安定化させることができる。
【0102】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態の走行支援システムのブロック図である。
図10は、第2実施形態の走行支援システムの自車両2、交通情報取得部1、サーバ3を介した制御フローである。
【0103】
第2実施形態の走行支援システムでは、交通情報取得部1は第1カメラ11のみにより構成され、第1実施形態の第1外部通信部12がサーバ3に組み込まれている。よって、自車両2はサーバ3と直接通信することになる。制御フローに関しては、ステップS207とステップS212がサーバ3で実行されることを除き、第1実施形態と同様となる。
【0104】
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態の走行支援システムのブロック図である。第3実施形態の走行支援システムは、第2実施形態と比較して、学習データベース206とリスクエリア情報生成部205がサーバ3に組み込まれている点で相違し、さらにサーバ3は、自車両2のほかに他車両4とも通信可能となっている。
【0105】
第3実施形態では、自車両2が生成した経路情報をサーバ3を介して他車両4にも送信し、他車両4が経路情報に係る走行車線で障害物(第4障害物)を検知した場合に第4障害物の情報をサーバ3に送信する構成となっている。
【0106】
他車両4に搭載された第3カメラ41、第3物体認識部42、第3物体情報計算部43、第3外部通信部44は自車両2に搭載されたものと同様である。また、図示は省略されているが、他車両4もHDマップ201、経路生成部202、車線計画部210、車両制御部211を有し、自車両2と同様に経路情報、物体情報(リスクエリア情報5)を生成して自動運転が可能となっている。
【0107】
図12は、第3実施形態の走行支援システムの自車両2、交通情報取得部1、サーバ3、他車両4を介した制御フローである。
図13は、第3実施形態のリスクエリア情報5生成工程の詳細を示す制御フローである。第3実施形態の制御フローに関し、第2実施形態(第1実施形態)と共通するフローについては同一の符号を付し、必要な場合を除いて説明を省略する。
【0108】
ステップS201と、ステップS203乃至ステップS206は第2実施形態と同様である。
【0109】
第2実施形態のステップS202に代わり、第3実施形態のステップS202Aにおいて、自車両2の第2外部通信部203は経路情報及び第2障害物の情報をサーバ3の第1外部通信部12に送信する。
【0110】
第2実施形態のステップS207に代わり、第3実施形態のステップS207Aにおいて、第1外部通信部12は経路情報及び第2障害物の情報を受信する。第2障害物の情報は、後述のステップS215Aにおいて用いられる。
【0111】
ステップS207Bにおいて、第1外部通信部12は、経路情報を他車両4に向けて送信する。
【0112】
ステップS208からステップS211は第2実施形態と同様である。
【0113】
第2実施形態のステップS212に代わり、第3実施形態のステップS212Aにおいて、第1物体情報計算部32は、第1障害物に関する物体情報を生成する。
【0114】
ステップS207Aに引き続き、ステップS214において、リスクエリア情報生成部205は、学習データベース206を参照して物体情報(経路情報)に関連する第3障害物の情報を抽出する。
【0115】
ステップS301において、他車両4の第3カメラ41は当該他車両4の前方の道路及び走行車線を監視(撮影)する。
【0116】
ステップS302において、他車両4の第3外部通信部44は、サーバ3の第1外部通信部12(ステップS207B)から経路情報を受信する。
【0117】
ステップS303において、他車両4の第3物体認識部42は、当該他車両4が経路情報に係る道路を走行している場合であって、当該他車両4の第3カメラ41が撮影した画像データに第4障害物が存在する場合に当該第4障害物を検知してその属性を識別する。なお、当該他車両4が経路情報に係る道路を走行していない場合は、ステップS303のほか、以後のステップS304乃至ステップS307を実行しない。
【0118】
ステップS304において、第3物体認識部42は、第4障害物の属性と大きさを推定する。
【0119】
ステップS205において、第3物体情報計算部43は、第3物体認識部42が判定した属性、位置、大きさに基づいて、第4障害物の属性及び大きさの情報、第4障害物が存在する道路の情報と走行車線の情報、走行車線に存在する第4障害物の進行方向上の位置情報を含む第4障害物の情報を経路情報に基づいて生成する。
【0120】
ステップS306において、第3外部通信部44は、第4障害物の情報をサーバ3の第1外部通信部12に向けて送信する。
【0121】
ステップS307において、第1外部通信部12は第4障害物の情報を受信する。
【0122】
ステップS215Aにおいて、リスクエリア情報生成部205は、物体情報(第1障害物の情報)に第2障害物の情報、第3障害物の情報、第4障害物の情報を加算し、学習データベース206から各障害物のリスク値を参照してリスクエリア情報5を包含する物体情報を生成する。
【0123】
ステップS215Aは、第2(第1)実施形態のステップS215と同様であるが、
ステップS216は、第2(第1)実施形態と同様である。
【0124】
ステップS216Aにおいて、第1外部通信部12はリスクエリア情報5を包含する物体情報を自車両2の第2外部通信部203に向けて送信する。
【0125】
ステップS216Bにおいて、第2外部通信部203は、第1外部通信部12からリスクエリア情報5を包含する物体情報を受信する。
【0126】
ステップS217及びステップS218は第2(第1)実施形態と同様であるが、ステップS218の判断がNOの場合、ステップS202Aに移行する。
【0127】
図14は、道路(R1)を左折して道路(R2)に進入する走行経路が設定されることで、道路(R1)において車線(L1)(左側車線)が初期的に選択され、道路(R2)において車線(L1)(左側車線)が初期的に選択される場合であって、
図14(a)は、道路(R1)の車線(L1)の後段において他車両4が第4障害物を検知し、且つ第4障害物の前段の車線(L1)において自車両2が第2障害物を検知した場合に、第2障害物及び第4障害物を回避するように車線を切り替える場合を示す図であり、
図14(b)は、経路情報に第2障害物の情報(位置)と第4障害物の情報(位置)を関連付けて生成した物体情報、
図14(c)はリスクエリア情報生成部205が、物体情報及び学習データベース206に基づいてリスク値を関連付けてリスクエリア情報5を生成した状態を示す。
【0128】
図14(a)は、
図7(a)と類似の場面であって、
図7(a)の第2障害物が
図14(a)では第4障害物(F)となり、第4障害物(F)を自車両2よりも先行して走行する他車両4が検知する場合を示している。
図14(a)では、他車両4が車線(L1)を走行しているが、車線(L2)を走行した状態でもよい。いずれの場合であって、自車両2から見て第4障害物(F)は第2障害物(D)が死角となって検知することはできない。しかし、第3実施形態では、自車両2が検知した第2障害物(D)と他車両4が検知した第4障害物(F)を包含するようにリスクエリア情報5を生成し、自車両2がリスクエリア51を迂回するように経路情報を更新することができる。
【0129】
図14(b)に示すように、道路(R1)の物体情報の最初に「Ob=1」(D)となる部分は自車両2が第3障害物として検知したものである。また、道路(R1)の物体情報の次に「Ob=1」(F)となる部分は他車両4が第4障害物として検知したものである。よって、経路情報を当該物体情報に基づいて更新すると、
図7(b)と同様の経路情報となる。
【0130】
図14(c)では、物体情報にリスク値(Risk)を関連付けてリスクエリア情報5を生成し、経路情報をリスクエリア情報5に基づいて更新している。前記のように道路(R1)の車線(L1)の前段で第2障害物(D)を検知し後段で第4障害物(F)を検知している。よって物体情報において最初の「Ob=1」(D)となる位置に第2障害物のリスク値(=1)が関連付けられ、次の「Ob=1」(F)となる位置に第4障害物のリスク値(=1)が関連づけられる。そして、物体情報の最初の「Ob=1」(D)となる位置の次の位置から次の「Ob=1」(F)となる位置の一つ前の位置までリスク値(=1)が関連付けられることでリスクエリア情報5が生成される。このリスクエリア情報5に基づいて更新される経路情報は
図7(c)と同様となる。
【0131】
[本実施形態の効果]
本実施形態の走行支援方法によれば、自車両2の現在地から目的地までの走行経路を表すとともに、現在地から目的地までを直列に結ぶ複数の道路の情報と、各道路内で並列配置された複数の走行車線のうち走行経路に基づいて選択された一の走行車線の情報と、を含む経路情報を生成し、道路に面して配置された交通情報取得手段(交通情報取得部1)によって撮影された道路の画像において第1障害物を検知した場合に、第1障害物の属性の情報と、第1障害物が検知された走行車線の情報と、第1障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む物体情報を生成し、第1障害物の属性に対応する所定のリスク値を走行車線の情報及び位置情報に関連付けてリスクエリア情報5を生成し、経路情報においてリスクエリア情報5に含まれる部分を迂回するように他の走行車線を選択することで経路情報を更新する。
【0132】
上記方法により、障害物が存在する道路に到達する前に障害物の前後で障害物を迂回する形で走行車線を切り替えるように走行経路を更新することができ、リスクを予め避ける予防的な車両行動が可能となる。
【0133】
本実施形態において、第1障害物を同一の走行車線に進行方向に沿って2つ並んで検知した場合に、物体情報において進行方向で前段の第1障害物の位置から後段の第1障害物の位置までの位置情報に所定のリスク値を関連付けてリスクエリア情報5を生成する。これにより、第1障害物を2つまとめて回避する回避動作が可能となり、回避動作の回数を削減し、ドライバに対する心理的な負担を軽減できる。
【0134】
本実施形態において、自車両2が交通情報取得手段(交通情報取得部1)の第1障害物の検知可能範囲よりも前段となる位置を走行しているときに第2障害物を検知した場合に、第2障害物が検知された走行車線の情報と、第2障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む第2障害物の情報を物体情報に加算するとともに、第2障害物と第1障害物を同一の走行車線で検知した場合に、物体情報において第2障害物の位置から第1障害物の位置までの位置情報に所定のリスク値を関連付けてリスクエリア情報5を生成する。これにより、第2障害物と第1障害物をまとめて回避する回避動作が可能となり、回避動作の回数を削減し、ドライバに対する心理的な負担を軽減できる。
【0135】
本実施形態において、走行経路上であって交通情報取得手段(交通情報取得部1)の第1障害物の検知可能範囲外となる位置で検知された第3障害物の情報を有し、自車両2が交通情報取得手段(交通情報取得部1)の第1障害物の検知可能範囲よりも前段となる位置を走行しているときに第2障害物を検知した場合に、第2障害物が検知された走行車線の情報と、第2障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む第2障害物の情報と、第3障害物の情報と、を物体情報に加算するとともに、第2障害物と第3障害物を同一の走行車線で検知した場合に、物体情報において第2障害物の位置から第3障害物の位置までの位置情報に所定のリスク値を関連付けてリスクエリア情報5を生成する。これにより、第2障害物と第3障害物をまとめて回避する回避動作が可能となり、回避動作の回数を削減し、ドライバに対する心理的な負担を軽減できる。
【0136】
本実施形態において、自車両2とは異なる他車両4が走行経路であって交通情報取得手段(交通情報取得部1)の第1障害物の検知可能範囲よりも前段となる位置で第4障害物を検知し、自車両2が検知可能範囲外であって第4障害物よりも前段で第2障害物を検知した場合に、第2障害物が検知された走行車線の情報と、第2障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む第2障害物の情報と、第4障害物が検知された走行車線の情報と、第4障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む第4障害物の情報と、を物体情報に加算するとともに、第2障害物と第4障害物を同一の走行車線で検知した場合に、物体情報において第2障害物の位置から第4障害物の位置までの位置情報に所定のリスク値を関連付けてリスクエリア情報5を生成する。これにより、第2障害物と第4障害物をまとめて回避する回避動作が可能となり、回避動作の回数を削減し、ドライバに対する心理的な負担を軽減できる。
【0137】
本実施形態において、第4障害物と第1障害物を同一の走行車線で検知した場合に、物体情報において第4障害物の位置から第1障害物の位置までの位置情報に所定のリスク値を関連付けてリスクエリア情報5を生成する。これにより、第2障害物、第4障害物、第1障害物まとめて回避する回避動作が可能となり、回避動作の回数を削減し、ドライバに対する心理的な負担を軽減できる。
【0138】
本実施形態において、自車両2が走行している道路の次に進入する道路に関してリスクエリア情報5を生成する。これにより、システム全体の通信量を削減し、システム全体を安定化させることができる。
【0139】
本実施形態において、第1障害物が所定位置に滞在する推定滞在時間を第1障害物の属性及び第1障害物の位置に基づいて設定し、第1障害物の情報に関連付ける所定のリスク値のうち自車両2が第1障害物に遭遇するまでの時間が推定滞在時間よりも長くなる当該第1障害物の情報に関連付ける所定のリスク値をゼロに設定する。これにより、遭遇する可能性のない第1障害物をリスクエリア情報5から除外することで不用意な回避動作を回避することができる。
【0140】
本実施形態において、上記の走行支援方法により設定された走行経路に従って自車両2の自動運転を実行する。これにより、障害物が存在する道路に到達する前に障害物の前後で障害物を迂回する形で走行車線を切り替えるように走行経路を更新することができ、リスクを予め避ける予防的な車両行動を伴う自動運転を実現できる。
【0141】
本実施形態の走行支援用プログラムによれば、自車両2の現在地から目的地までの走行経路を表すとともに、現在地から目的地までを直列に結ぶ複数の道路の情報と、各道路内で並列配置された複数の走行車線のうち走行経路に基づいて選択された一の走行車線の情報と、を含む経路情報を生成する工程と、道路に面して配置された交通情報取得手段(交通情報取得部1)により撮影された道路の画像において第1障害物を検知した場合に、第1障害物の属性の情報と、第1障害物が検知された走行車線の情報と、第1障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む物体情報を生成する工程と、第1障害物の属性に対応する所定のリスク値を走行車線の情報及び位置情報に関連付けてリスクエリア情報5を生成する工程と、経路情報においてリスクエリア情報5に含まれる部分を迂回するように他の走行車線を選択することで経路情報を更新する工程と、を実行する。上記構成によれば、障害物が存在する道路に到達する前に障害物の前後で障害物を迂回する形で走行車線を切り替えるように走行経路を更新することができ、リスクを予め避ける予防的な車両行動を実現するプログラムとなる。
【0142】
本実施形態走行支援システムによれば、自車両2の現在地から目的地までの走行経路を表すとともに、現在地から目的地までを直列に結ぶ複数の道路の情報と、各道路内で並列配置された複数の走行車線のうち走行経路に基づいて選択された一の走行車線の情報と、を含む経路情報を生成する経路情報生成手段(経路生成部202)と、道路に面して配置され道路の画像を撮影する交通情報取得手段(交通情報取得部1)と、画像において第1障害物を検知した場合に、第1障害物の属性の情報と、第1障害物が検知された走行車線の情報と、第1障害物が検知された進行方向上の位置情報と、を含む物体情報を生成する物体情報生成手段(第1物体情報計算部32)と、第1障害物の属性に対応する所定のリスク値を走行車線の情報及び位置情報に関連付けてリスクエリア情報5を生成するリスクエリア情報生成手段(リスクエリア情報生成部205)と、経路情報においてリスクエリア情報5に含まれる部分を迂回するように他の走行車線を選択することで経路情報を更新する経路情報更新手段(車両制御部211)と、を含む。上記構成によれば、障害物が存在する道路に到達する前に障害物の前後で障害物を迂回する形で走行車線を切り替えるように走行経路を更新することができ、リスクを予め避ける予防的な車両行動を実現するシステムとなる。
【0143】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0144】
1 交通情報取得部,5 リスクエリア情報,32 第1物体情報生成部,202 経路生成部,205 リスクエリア情報生成部,210 車線計画部