(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113041
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】ダクト構造及びそれを備えた空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/06 20060101AFI20230807BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20230807BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
F24F13/06 C
F24F1/02 411A
F24F7/007 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015145
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】504027657
【氏名又は名称】株式会社イーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】前川 高徳
【テーマコード(参考)】
3L051
3L080
【Fターム(参考)】
3L051BJ01
3L080BE11
(57)【要約】
【課題】取り付け取り外しが容易で、移動式の空気調和装置で冷却または加熱された空気を空調対象空間に効率良く送ることができるダクト構造及びそれを備えた空気調和装置を提供する。
【解決手段】ダクト構造は、空調対象空間の外部に載置された移動式の空気調和装置1に接続され空気調和装置1で冷却または加熱された空気を空調対象空間に導く給気ダクト35と、空調対象空間の内部に挿入された給気ダクト35の端部近傍に設けられ給気ダクト35を空調対象空間の内面に着脱自在に固定する支持部材37と、を具備する。このような構成により、給気ダクト35を空調対象空間の壁面等に容易に取り付けて、移動式の空気調和装置1で冷却または加熱された空気を空調対象空間の内部に効率良く送ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象空間の外部に載置された移動式の空気調和装置に接続され前記空気調和装置で冷却または加熱された空気を前記空調対象空間に導く給気ダクトと、
前記空調対象空間の内部に挿入された前記給気ダクトの端部近傍に設けられ前記給気ダクトを前記空調対象空間の内面に着脱自在に固定する支持部材と、を具備することを特徴とするダクト構造。
【請求項2】
前記支持部材は、磁力によって前記給気ダクトを前記空調対象空間の内面に固定することを特徴とする請求項1に記載のダクト構造。
【請求項3】
前記空調対象空間は、貨物搬送用のコンテナの内部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のダクト構造。
【請求項4】
前記空気調和装置は、利用側ハウジング内に利用側熱交換器及び利用側送風ファンが設けられた利用側ユニットと、熱源側ハウジング内に熱源側熱交換器及び熱源側送風ファンが設けられた熱源側ユニットと、を具備し、前記利用側ユニット及び前記熱源側ユニットが一つの架台上に載置されており、
前記給気ダクトは、前記利用側熱交換器で冷却または加熱され前記利用側送風ファンで送られた空気を前記空調対象空間に導くよう前記利用側ユニットに着脱自在に接続されることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のダクト構造。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のダクト構造が設けられることを特徴とする空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置のダクト構造及びそのダクト構造が設けられる空気調和装置に関し、特に、利用側ユニットと熱源側ユニットが一体的に設けられた移動可能な空気調和装置のダクト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルを利用する空気調和装置であって、移動自在な一つの架台上に利用側ユニットと熱源側ユニットが設けられた移動式の空気調和装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、室内熱交換器と、該室内熱交換器を流れる空気を室内に送り出す室内送風ファンと、を有する室内ユニットと、室内熱交換器に冷媒循環可能に接続された室外熱交換器と、該室外熱交換器を流れる空気を送り出す室外送風ファンと、を有する室外ユニットと、移動可能に車輪を有し室内熱交換器の吸込口と室外熱交換器の吸込口とが対向するように室内ユニットと室外ユニットが載置された架台と、を具備する空気調和機が開示されている。
【0004】
この種の空気調和装置は、通常の空気調和機を設置することが難しい大空間、例えば、工場、作業場、倉庫、体育館等において、作業者等の近傍に冷風や温風を送って作業空間を効率良く冷房または暖房するスポット空調等に利用される。
【0005】
また例えば、特許文献2には、この種の空気調和装置に接続される風導管接続構造であって、室外に載置された空気調和機で冷却または加熱された空気を室内に導く給気ダクトと、室内の空気を空気調和機に導く還気ダクトと、給気ダクトが接続される給気口と還気ダクトが接続される還気口とが形成された風導管接続板と、を具備し、風導管接続板が、室内につながる開口部に取り外し自在に載置される風導管接続構造が開示されている。
【0006】
このような構成により、室外に載置された空気調和機によって冷却または加熱された空気を、給気ダクト及び還気ダクトを介して効率良く室内に循環させることができる。よって、屋外に利用側ユニットと熱源側ユニットが一体的に置かれた移送式の空気調和装置であっても、室内ユニットが室内に設置され室外ユニットが屋外に設置された一般的な空気調和機のように、高効率な循環冷房または循環暖房を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-11984号公報
【特許文献2】特開2021-173444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来技術の移動式の空気調和装置では、移動、設置を容易にすると共に、空調対象空間への送風性能を高めて冷房または暖房の効率を更に向上させるために改善すべき点があった。
【0009】
具体的には、特許文献1に開示された空気調和機は、例えば工場等の大空間における冷房運転において、利用側ユニットとしての室内ユニットから利用者等に向かって冷風を強力に吹き付けることができる優れた空調性能を有する。しかしながら、空調対象空間によっては、空気調和機からの冷風または温風を、空調を必要とする作業者等に好適に供給することが困難な場合もあった。
【0010】
例えば、貨物搬送用のコンテナの内部等を空調対象空間とする場合、従来技術の空気調和装置では、空調対象空間の奥まで冷風または温風を十分に供給することが難しかった。具体的には、貨物の積み込み積み下ろし作業の邪魔になるので、コンテナ等の内部に空気調和装置を載置することはできない。
【0011】
また、空気調和装置をコンテナ等の内部に入れても積荷、荷下作業等の邪魔にならない場合であっても、コンテナ等の内部床面は一般的に地面よりも高い位置にあるので、空気調和装置をコンテナ等に入れる作業は容易ではない。
【0012】
そのため、空気調和装置をコンテナ等の外部に載置して冷房等の運転を行うことになるが、空気調和装置から吹き出される冷風または温風をコンテナの内部に送ることが難しく、空調を必要とする作業者等の近傍を十分に冷却または加熱できないことがあった。
【0013】
また、特許文献2に開示された風導管接続構造を採用することにより、空調対象空間の外部に載置された空気調和装置からの冷風または温風を空調対象空間の内部に送ることができる。
【0014】
しかしながら、このような風導管接続構造は、給気ダクト、還気ダクト、風導管接続板等の部材が必要であると共に、これら部材の組み立て作業が必要である。また、風導管接続板等を空調対象空間の開口部等に取り付ける作業及び取り外す作業等も必要である。また、風導管接続板によって空調対象空間の開口部が塞がれると、積み込み積み下ろし作業の邪魔になるという問題点もある。
【0015】
そのため、貨物搬送用のコンテナ等の荷積み時または荷下ろし時の冷房等のように、空調対象空間を短時間で変える空気調和運転においては、ダクト構成の部品数が少なく、ダクト部材の取り付け取り外し、及び空気調和装置の移動、設置等の作業を容易に行うことができ、且つ貨物作業の邪魔にならない空気調和装置が求められていた。
【0016】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取り付け取り外しが容易で、移動式の空気調和装置で冷却または加熱された空気を空調対象空間に効率良く送ることができるダクト構造及びそれを備えた空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のダクト構造は、空調対象空間の外部に載置された移動式の空気調和装置に接続され前記空気調和装置で冷却または加熱された空気を前記空調対象空間に導く給気ダクトと、前記空調対象空間の内部に挿入された前記給気ダクトの端部近傍に設けられ前記給気ダクトを前記空調対象空間の内面に着脱自在に固定する支持部材と、を具備することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の空気調和装置は、前記ダクト構造を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のダクト構造は、空調対象空間の外部に載置された移動式の空気調和装置に接続されるダクト構造であって、空気調和装置で冷却または加熱された空気を空調対象空間に導く給気ダクトと、空調対象空間の内部に挿入された給気ダクトの端部近傍に設けられ給気ダクトを空調対象空間の内面に着脱自在に固定する支持部材と、を具備する。このような構成により、給気ダクトを空調対象空間の壁面等に容易に取り付けて、移動式の空気調和装置で冷却または加熱された空気を空調対象空間の内部に効率良く送ることができる。
【0020】
また、本発明のダクト構造によれば、前記支持部材は、磁力によって前記給気ダクトを前記空調対象空間の内面に固定しても良い。これにより、給気ダクトの取り付け取り外しが容易になる。即ち、作業者は、短時間で給気ダクトを好適な位置に固定することができ、また、容易に固定を解除して取り外すことができる。このような磁力を利用した給気ダクトの容易な固定作業によって、冷房または暖房を要求する作業者等の近くに好適な冷風または温風を送ることができる。
【0021】
また、本発明のダクト構造によれば、前記空調対象空間は、貨物搬送用のコンテナの内部であっても良い。これにより、コンテナの内部に挿入され支持部材で固定された給気ダクトから、空気調和装置で冷却または加熱された好適な温度の空気をコンテナの内で作業を行う作業者等に効率良く送ることができる。また、空気調和装置は貨物搬送用のコンテナの外部に載置され、冷風または温風は給気ダクトを介してコンテナの内部に供給されるので、空気調和装置は、荷積み荷下ろし作業の邪魔にならない。
【0022】
また、本発明のダクト構造によれば、前記空気調和装置は、利用側ハウジング内に利用側熱交換器及び利用側送風ファンが設けられた利用側ユニットと、熱源側ハウジング内に熱源側熱交換器及び熱源側送風ファンが設けられた熱源側ユニットと、を具備し、前記利用側ユニット及び前記熱源側ユニットが一つの架台上に載置されており、前記給気ダクトは、前記利用側熱交換器で冷却または加熱され前記利用側送風ファンで送られた空気を前記空調対象空間に導くよう前記利用側ユニットに着脱自在に接続されても良い。このような構成により、空気調和装置に給気ダクトを容易に取り付けることができ、高効率な冷暖房運転によって得られる冷風または温風をダクト構造を介して空調対象空間の内部に強力に吹き出すことができる。よって、空調対象空間の内部において、冷暖房を必要とする作業者等に好適な冷風または温風を供給することができる。
【0023】
また、本発明の空気調和装置は、前記ダクト構造が設けられることを特徴とする。これにより、空気調和装置で冷却または加熱された空気を、冷暖房を必要とする空調対象空間の内部の奥まで効率良く供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気調和装置の概略構成を示す側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る空気調和装置の使用状態の一例を示す側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る空気調和装置の使用状態の一例を示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る空気調和装置の使用状態における給気ダクトの端部近傍を示す正面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る空気調和装置の使用状態における給気ダクトの端部近傍を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る空気調和装置1を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和装置1の概略構成を示す側面図である。
図1に示すように、空気調和装置1は、利用側ユニット10と熱源側ユニット20が架台30の上に一体的に設けられた移動可能な強力スポットエアコンである。
【0026】
空気調和装置1は、通常のパッケージエアコン等の空気調和機を設置することが難しい大空間を冷房または暖房可能な装置である。空気調和装置1は、例えば、荷積みまたは荷下ろし作業中の貨物輸送用のコンテナ40(
図2参照)の内部の冷暖房に利用されても良い。また、空気調和装置1は、その他の工場、作業場、倉庫、体育館等の空気調和に利用されても良い。
【0027】
利用側ユニット10は、主として利用側の空気を冷却または加熱して供給する装置である。利用側ユニット10は、一般的なパッケージエアコンの室内機に相当する構成を有する。
【0028】
具体的には、利用側ユニット10は、金属板材等から形成された略箱状の筐体である利用側ハウジングとしてのハウジング11を有し、ハウジング11の内部に冷凍サイクルを構成する部品である利用側熱交換器12と利用側送風ファン13が設けられている。
【0029】
熱源側ユニット20は、主として冷媒から外部の空気に対して放熱または吸熱する装置である。熱源側ユニット20は、一般的なパッケージエアコンの室外機に相当する構成を有する。
【0030】
具体的には、熱源側ユニット20は、金属板材等から形成された略箱状の筐体である熱源側ハウジングとしてのハウジング21を有し、ハウジング21の内部に冷凍サイクルを構成する部品である熱源側熱交換器22と熱源側送風ファン23が設けられている。
【0031】
利用側ユニット10の利用側熱交換器12は、冷媒配管28を介して熱源側ユニット20の熱源側熱交換器22に連結されている。詳しくは、利用側熱交換器12及び熱源側熱交換器22は、低圧の冷媒を圧縮して高圧にする図示しない圧縮機、高圧の冷媒を膨張させて低圧にする図示しない膨張弁、冷媒配管28及びその他の図示しない冷媒配管等を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成している。冷凍サイクルで用いられる冷媒は、例えば、HFC冷媒等である。
【0032】
利用側ユニット10のハウジング11には、空気を吸引する吸込口15と、風路に空気を吹き出す吹出口16が形成されている。吸込口15の内側には、ハウジング11の外部から吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換を行う利用側熱交換器12が設けられている。これにより、例えば、冷房運転の際には、利用側熱交換器12が蒸発器となり、外部から吸い込まれた空気は、利用側熱交換器12内で蒸発する冷媒によって冷却される。
【0033】
吹出口16には、利用側熱交換器12と熱交換したハウジング11内の空気を外側に吹き出す利用側送風ファン13が設けられている。利用側送風ファン13は、例えば、プロペラファン等であり、図示しないモータによって回転駆動される。
【0034】
本実施形態に係る空気調和装置1では、特に強力な利用側送風ファン13が装着されている。具体的には、利用側送風ファン13は、吹出口16から風速8m/sで空気を吹き出す強力な送風能力を有している。これにより、冷却または加熱された空気を遠くまで届けることができ、広い室内を効率良く冷房または暖房することができる。
【0035】
また、空気調和装置1には、利用側ユニット10で冷却または加熱された空気を空調対象空間に導くダクト構造を構成する風道管である給気ダクト35が設けられている。これにより、給気ダクト35を介して、必要とされる冷風または温風を空調対象空間の内部に効率良く送ることができる。
【0036】
具体的には、給気ダクト35は、例えば、アルミニウム等から形成された可撓性を有するフレキシブルダクト等である。即ち、給気ダクト35は、折り曲げ可能に構成されている。また、給気ダクト35の外周は、合成樹脂等からなる断熱材に覆われていても良い。
【0037】
給気ダクト35は、利用側ユニット10に着脱自在に接続される。具体的には、吹出口16には、給気ダクト35を接続するためのダクト接続筒14が設けられている。ダクト接続筒14は、合成樹脂材料等から形成され、利用側送風ファン13の外周を囲む、例えば、略円筒状の形態を成す部材である。ダクト接続筒14で囲まれた内部は、吹出口16から給気ダクト35につながる風路を構成する。
【0038】
なお、ダクト接続筒14は、利用側送風ファン13によって送られる空気の流れ方向を調整する風向ガイドとして利用されても良い。即ち、ダクト接続筒14の内部には、空気の流れを調整する図示しない可変式の風向調整板が設けられても良い。このような構成により、利用側熱交換器12で冷却または加熱された空気を、給気ダクト35または空調対象空間に向けて効率良く流すことができる。
【0039】
吹出口16に設けられたダクト接続筒14には、接続管17を介して給気ダクト35が接続される。接続管17は、例えば、金属板材料からなるレジューサ管等の異径継手である。接続管17は、その一端である大径部がダクト接続筒14に嵌合し、他端の小径部が給気ダクト35に嵌合する。
【0040】
ダクト接続筒14に接続された給気ダクト35は、他方の端部近傍、即ち冷風または温風を吹き出す給気口36の近傍が、空調対象空間の内部に着脱自在に固定される。具体的には、給気ダクト35の端部近傍には、給気ダクト35を空調対象空間の内面に着脱自在に固定する支持部材37が設けられている。
【0041】
支持部材37は、例えば、磁力によって給気ダクト35を空調対象空間の内面に固定する磁石であっても良い。支持部材37としての磁石は、例えば、強力な磁力を持つネオジム磁石が好ましい。なお、支持部材37として、その他の永久磁石を採用することもできる。
【0042】
給気ダクト35の給気口36側の端部近傍に支持部材37が設けられていることにより、給気ダクト35を空調対象空間の壁面等に容易に取り付けて、移動式の空気調和装置1で冷却または加熱された空気を空調対象空間の内部に効率良く送ることができる。
【0043】
なお、図示を省略するが、支持部材37は、例えば、合成樹脂製のカバー材等に覆われるように設けられても良い。即ち、支持部材37は、給気ダクト35を覆うカバー材等の内部等に設けられても良い。また、支持部材37は、図示しないダクト固定バンドや管継手部材等を介して給気ダクト35に固定されても良い。
【0044】
熱源側ユニット20のハウジング21には、空気を吸引する吸込口25と、空気を吹き出す吹出口26が形成されている。吸込口25の内側には、外部から吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換を行う熱源側熱交換器22が設けられている。これにより、例えば、冷房運転の際には、熱源側熱交換器22内の冷媒は、吸込口25から流入する空気によって冷却される。換言すれば、吸込口25から吸い込まれた空気は、熱源側熱交換器22内の冷媒と熱交換して加熱される。
【0045】
吹出口26には、熱源側熱交換器22と熱交換したハウジング21内の空気を外側に吹き出す熱源側送風ファン23が設けられている。熱源側送風ファン23は、例えば、プロペラファン等であり、図示しないモータによって回転駆動される。熱源側送風ファン23は、例えば、上下に2つ設けられている。
【0046】
また、吹出口26には、熱源側送風ファン23によって送られる空気の吹き出し方向を調整するための風向ガイド24が設けられても良い。風向ガイド24は、熱源側送風ファン23の外周を囲むような、例えば、略四角形状の形態を成す外枠部を有し、金属板材料や樹脂製板材料等から形成されている。風向ガイド24は、上下に分けて2つ配置された熱源側送風ファン23に対応して、例えば、上下に一対配置されている。
【0047】
架台30は、利用側ユニット10及び熱源側ユニット20を一体的に支える台である。架台30は、例えば、山形鋼、溝形鋼、その他の鋼材等から形成されている。架台30の下部には、外周が上面視で略矩形枠状の形態を成す基台31が形成されている。熱源側ユニット20は、基台31の上部に固定されている。
【0048】
架台30には、利用側ユニット10を設置する利用側ユニット設置台32が形成されている。利用側ユニット設置台32は、利用側ユニット10の底部を熱源側ユニット20の底部よりも高い位置で支持できるよう、基台31の上部から上方に突出するよう形成されている。
【0049】
基台31の上部に利用側ユニット設置台32が設けられることにより、利用側ユニット10は高い位置に固定される。また、利用側ユニット10の上面部と、熱源側ユニット20の上面部とは、略同じ高さになる。このように利用側ユニット10が高い位置に設けられることにより、利用側ユニット10の吹出口16の位置が高くなり、空調用の冷風や温風を作業空間に対して広く効率的に吹き流すことができる。
【0050】
利用側ユニット10の上部と熱源側ユニット20の上部とは、連結支持材33によって連結固定されている。この連結支持材33によって、利用側ユニット10の上部と熱源側ユニット20の上部が支持され、搬送時や使用時の振動等による空気調和装置1の変形が抑えられる。
【0051】
利用側ユニット10及び熱源側ユニット20の下方には、図示しないドレンパンが設けられても良い。ドレンパンは、利用側ユニット10の利用側熱交換器12または熱源側ユニット20の熱源側熱交換器22に付着して滴下する水分を受け止めて図示しない配水管に排水するための部材である。ドレンパンが設けられることにより、利用側熱交換器12または熱源側熱交換器22から滴下する水分を集めて好適に排水することができ、作業空間に水分が飛散することを防止することができる。
【0052】
基台31の下部の角部近傍には、車輪34が設けられている。車輪34は、例えば、ゴム車輪等を有するキャスタであり、一方の端辺側が所定の一方向に向かって移動可能な固定車、他方の端辺側が方向変更可能な自在車であっても良い。車輪34が設けられることにより、架台30は、利用側ユニット10及び熱源側ユニット20を一体的に支持した状態で移動可能に構成される。
【0053】
利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、それぞれが空気を吸引する吸込口15と吸込口25が対向するように架台30上に設けられている。即ち、利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、利用側熱交換器12側と熱源側熱交換器22側が対向するよう配設されている。
【0054】
換言すれば、利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、それぞれが逆方向に空気を吹き出すよう、利用側ユニット10の吹出口16と熱源側ユニット20の吹出口26とが逆方向を向くよう背中合わせに配設されている。
【0055】
上記のように、吹出口16と吹出口26が逆方向に空気を吹き出すよう、吸込口15と吸込口25を対向させて、利用側ユニット10と熱源側ユニット20が背中合わせに配設されることにより、冷風と温風が逆方向に吹き出され、物流倉庫、大規模工場、体育館等に対する効率的な空気調和が実現する。
【0056】
即ち、利用側ユニット10の吹出口16から、冷却または加熱された空気を空調対象空間に向かって効率良く強力に吹き出すことができる。そして、利用側ユニット10の吹出口16に対して反対側を向く熱源側ユニット20の吹出口26から、空調用の排熱空気を、空気調和を必要とする空間から離れた空間に吐き出すことができる。
【0057】
なお、利用側ユニット10の吹出口16と熱源側ユニット20の吹出口26との間には、図示を省略するが、合成樹脂製または金属製の板状の部材等から形成された仕切板が設けられても良い。例えば仕切板は、利用側ユニット10のハウジング11と熱源側ユニット20のハウジング21との間に設けられても良い。このような仕切板が設けられることにより、利用側ユニット10側の空調空気と熱源側ユニット20側の排熱空気とが混ざり合うことによる空調効率の低下を抑制することができる。
【0058】
図2は、空気調和装置1の使用状態の一例を示す側面図である。
図2に示すように、空気調和装置1は、空調対象空間を、例えば、貨物搬送用のコンテナ40の内部として利用されても良い。具体的には、空気調和装置1は、コンテナ40の後部等に載置され、給気ダクト35の先端近傍がコンテナ40の内部に挿入される。
【0059】
給気ダクト35の先端近傍がコンテナ40の内部に挿入されることにより、空気調和装置1で冷却または加熱された空気を空調対象空間であるコンテナ40の内部に好適に送ることができる。即ち、空気調和装置1の利用側ユニット10からの冷風または温風がコンテナ40の外部に漏れることが抑制され、好適な温度の空気が冷暖房を必要とする作業者等の近傍に供給される。よって、高効率な冷暖房運転が可能となる。
【0060】
また、空気調和装置1は、コンテナ40の外部に載置され、且つ、熱源側ユニット20の吹出口26は、利用側ユニット10の吹出口16の反対側を向いている。これにより、熱源側ユニット20から排出される温風または冷風がコンテナ40の内部に直接的に流れ込むことはない。よって、排熱空気がコンテナ40の内部に流入することを抑制し、給気ダクト35を介して冷暖房空気のみのコンテナ40の内部に効率良く供給することができる。これにより、熱損失の少ない高効率な冷暖房運転が実現する。
【0061】
給気ダクト35は、折り曲げ自在なフレキシブルダクトである。そのため、コンテナ40の床面41が空気調和装置1が載置される設置面46よりも高い位置にあっても、コンテナ40の内部に給気ダクト35を容易に挿入することができる。即ち、空気調和装置1を、コンテナ40の床面41の位置まで高く持ち上げて設置する必要はない。
【0062】
図3は、空気調和装置1の使用状態の一例を示す平面図である。
図3に示すように、空気調和装置1は、コンテナ40の扉45を開けた開口部44の後部から左右外側に外れた位置に載置されても良い。即ち、給気ダクト35は右方向または左方向に湾曲傾斜するよう曲折されても良い。前述のとおり、給気ダクト35は、可撓性を有するフレキシブルダクトであるので、給気ダクト35を曲げて空気調和装置1を好適な位置に移動させることは容易である。
【0063】
このように空気調和装置1は、移動が容易で、設置位置を容易に調整することができる。空気調和装置1をコンテナ30後部の好適な位置に配置することにより、コンテナ40に貨物を搬送するフォークリフト等が移動可能な領域を確保することができる。よって、空気調和装置1によってコンテナ40への積み込み作業及び積み下ろし作業が阻害されないようにし、作業者は、効率的な作業を行うことができる。
【0064】
図4は、使用状態における給気ダクト35の端部近傍を示す正面図である。即ち、
図4は、コンテナ40の内部から見た給気ダクト35の給気口36近傍を示している。
図4に示すように、コンテナ40の内部に挿入された給気ダクト35は、例えば、コンテナ40の下角部近傍の内面に固定される。これにより、給気ダクト35は、コンテナ40に貨物を搭載する作業及び下す作業の邪魔にならない。
【0065】
図5は、使用状態における給気ダクト35の端部近傍を示す平面図である。
図4及び
図5に示すように、開口部44からコンテナ40の内部に挿入された給気ダクト35の先端近傍は、支持部材37によって、例えば、コンテナ40の壁面42に固定される。
【0066】
なお、給気ダクト35の端部近傍は、支持部材37によって、コンテナ40の床面41に固定されても良い。また、給気ダクト35の端部近傍は、床面41から離れた高い位置に設けられても良く、例えば、支持部材37によって天井面43(
図2参照)に固定されても良い。
【0067】
このように給気ダクト35の先端近傍がコンテナ40の壁面42、床面41、天井面43等に固定されることにより、給気口36から強力な風を吹き出しても、給気ダクト35は風力によって振られることなく壁面42等に支持される。よって、空気調和装置1で冷却または加熱された空気を給気口36から強く吹き出し、コンテナ40の内部奥にいる作業者等の近くに供給することができる。
【0068】
また、前述のとおり、支持部材37は、磁力によって給気ダクト35を壁面42等に固定する。そのため、作業者は、給気ダクト35の取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。即ち、作業者は、短時間で給気ダクト35を好適な位置に固定することができ、また、容易に固定を解除して取り外すことができる。
【0069】
例えば、一つのコンテナ40について荷積み作業または積み下ろし作業が完了したら、コンテナ40から給気ダクト35を取り外し、コンテナ40または空気調和装置1を移動させた後、給気ダクト35を次のコンテナ40に容易に取り付けることができる。このように作業者は、コンテナ40の積み荷、荷下ろし作業を効率良く行うことができる。
【0070】
また、作業者は、作業場所の近くに好適な冷風または温風が届くよう、給気ダクト35の端部近傍の固定位置を容易に調整することもできる。このような支持部材37の磁力を利用した給気ダクト35の容易な固定作業によって、冷房または暖房を要求する作業者等の近くに好適な冷風または温風を送ることができる。
【0071】
以上、本実施形態に係る空気調和装置1が貨物輸送用のコンテナ40の空調に利用される例を説明したが、空気調和装置1の利用は、これに限定されるものではない。空気調和装置1は、給気ダクト35の取り付け取り外し、移動、設置が容易であり、他の場所に移動してスポット空調等に利用することができる。
【0072】
具体的には、空気調和装置1は、工場、作業場、倉庫、体育館等の内部に設置されて利用されても良い。このような場所で利用されても、空気調和装置1は、利用側ユニット10で冷却または加熱された空気を給気ダクト35を介して空調対象空間の空調が必要な場所に好適に供給することができる。
【0073】
これにより、給気ダクト35の給気口36から吹き出される空調用空気と、熱源側ユニット20から吹き出される排熱空気と、の混合が抑制され、高効率なスポット空調運転が可能となる。
また、給気ダクト35は取り外しが容易であるので、空気調和装置1は、給気ダクト35を取り外して、給気ダクト35がない状態でスポット空調に利用されても良い。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 空気調和装置
10 利用側ユニット
11 ハウジング
12 利用側熱交換器
13 利用側送風ファン
14 ダクト接続筒
15 吸込口
16 吹出口
17 接続管
20 熱源側ユニット
21 ハウジング
22 熱源側熱交換器
23 熱源側送風ファン
24 風向ガイド
25 吸込口
26 吹出口
28 冷媒配管
30 架台
31 基台
32 利用側ユニット設置台
33 連結支持材
34 車輪
35 給気ダクト
36 給気口
37 支持部材
40 コンテナ
41 床面
42 壁面
43 天井面
44 開口部
45 扉
46 設置面