(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113052
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】ウェブ会議を支援するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20230807BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015171
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊之
(72)【発明者】
【氏名】内海 幸治
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 憲行
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】ウェブ会議の目的達成に寄与するウェブ会議支援を提供する。
【解決手段】システムが、記憶装置と、記憶装置に接続されたプロセッサとを備える。記憶装置は、ウェブ会議毎の録画データを記憶する。録画データ毎に、当該録画データが表すウェブ会議での話題の種別が記憶装置において紐付けられている。プロセッサは、録画データの各々について、当該録画データに記録されている少なくとも一人の参加者の表情、動作及び発話内容に基づく評価値である注目度を算出する。また、プロセッサは、ユーザから一つの録画データの指定を受け付けた場合、当該指定された録画データと話題の種別が同じであり、当該指定された録画データとの注目度の差が所定範囲内の録画データを記憶装置から取得し、取得した録画データに関する情報を表示する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置と、
記憶装置に接続されたプロセッサと
を備え、
前記記憶装置は、ウェブ会議毎の録画データを記憶し、
録画データ毎に、当該録画データが表すウェブ会議での話題の種別が前記記憶装置において紐付けられており、
前記プロセッサは、
録画データの各々について、当該録画データに記録されている少なくとも一人の参加者の表情、動作及び発話内容に基づく評価値である注目度を算出し、
ユーザから一つの録画データの指定を受け付けた場合、
当該指定された録画データと話題の種別が同じであり、当該指定された録画データとの注目度の差が所定範囲内の録画データを前記記憶装置から取得し、
取得した録画データに関する情報を表示する
ウェブ会議支援システム。
【請求項2】
前記取得した録画データに、当該録画データと同じ時系列にあり、当該録画データが表すウェブ会議の後に開催された一つ以上の連続したウェブ会議である一つ以上の後続ウェブ会議のうちの少なくとも一つの後続ウェブ会議の録画データが紐付けられている場合、前記取得した録画データに関して表示される情報は、前記少なくとも一つの後続ウェブ会議の録画データに関する情報を含む
請求項1に記載のウェブ会議支援システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、録画データの各々について、
当該録画データに紐付けられている話題の種別と、当該録画データについて算出された注目度とを含むデータである会議情報データを生成し、
当該録画データが紐付けられた当該会議情報データを前記記憶装置に格納し、
前記取得した録画データに関して表示される情報は、当該録画データに紐付けられている会議情報データが表す情報を含む
請求項2に記載のウェブ会議支援システム。
【請求項4】
録画データの各々について、
当該録画データに紐付けられている会議情報データが、当該録画データが表すウェブ会議の開始時刻から終了時刻までの会議時間を表す時間情報をさらに含み、
当該会議時間における時点毎に、注目度が紐付けられており、
前記プロセッサは、前記取得した録画データに紐付けられている会議情報データに基づいて、時間を尺度とする第1の軸と注目度の値を尺度とする第2の軸とからなる時系列チャートを表示する
請求項3に記載のウェブ会議支援システム。
【請求項5】
録画データの各々について、当該録画データに紐付けられている会議情報データが、当該録画データに記録されている参加者の類型を示す情報をさらに含み、
前記プロセッサは、前記取得した録画データに関する情報として、当該録画データに記録されている参加者の類型を示す情報を表示する
請求項3に記載のウェブ会議支援システム。
【請求項6】
録画データの各々について、当該録画データに紐付けられている会議情報データが、下記の(A)及び(B)のうちの少なくとも一つをさらに含む、
(A)当該録画データが表すウェブ会議と同じ時系列にあり、当該ウェブ会議の後に開催されるウェブ会議である後続のウェブ会議において使用した場合、使用しなかった場合よりも高い注目度が当該後続のウェブ会議の録画データについて算出される蓋然性が高い単語、
(B)当該録画データが表すウェブ会議と同じ時系列にあり、当該ウェブ会議の後に開催されるウェブ会議である後続のウェブ会議において使用した場合、使用しなかった場合よりも低い注目度が当該後続のウェブ会議の録画データについて算出される蓋然性が高い単語、
請求項3に記載のウェブ会議支援システム。
【請求項7】
録画データの各々について、当該録画データに紐付けられている会議情報データが、当該録画データが表すウェブ会議と同じ時系列にあり、当該ウェブ会議の後に開催されるウェブ会議である後続のウェブ会議において使用した場合、使用しなかった場合よりも高い注目度が当該後続のウェブ会議の録画データについて算出される蓋然性が高い資料を示す情報である重要資料情報をさらに含む
請求項3に記載のウェブ会議支援システム。
【請求項8】
録画データの各々について、
当該録画データに紐付けられている会議情報データが、当該録画データが表すウェブ会議における提案対象に関する情報である提案対象情報をさらに含み、
前記プロセッサは、当該ウェブ会議の参加者に対して訴求力を有する蓋然性が高い提案対象であるレコメンド対象を当該会議情報データに基づいて抽出し、
当該抽出したレコメンド対象に関する情報を表示する
請求項3に記載のウェブ会議支援システム。
【請求項9】
コンピュータが、ウェブ会議毎の録画データを記憶し、
録画データ毎に、当該録画データが表すウェブ会議での話題の種別が紐付けられて記憶されており、
コンピュータが、録画データの各々について、当該録画データに記録されている少なくとも一人の参加者の表情、動作及び発話内容に基づく評価値である注目度を算出し、
コンピュータが、ユーザから一つの録画データの指定を受け付けた場合、
当該指定された録画データと話題の種別が同じであり、当該指定された録画データとの注目度の差が所定範囲内の録画データを前記記憶した録画データのデータセットから抽出し、
抽出した録画データに関する情報を表示する
ウェブ会議支援方法。
【請求項10】
ウェブ会議毎の録画データを記憶し、
録画データ毎に、当該録画データが表すウェブ会議での話題の種別が紐付けられて記憶されており、
録画データの各々について、当該録画データに記録されている少なくとも一人の参加者の表情、動作及び発話内容に基づく評価値である注目度を算出し、
ユーザから一つの録画データの指定を受け付けた場合、
当該指定された録画データと話題の種別が同じであり、当該指定された録画データとの注目度の差が所定範囲内の録画データを前記記憶した録画データのデータセットから抽出し、
抽出した録画データに関する情報を表示する
ことをコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ウェブ会議の支援のためのコンピュータ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、インターネットを介して参加者同士が直接対面せずに会談を行う会議であるウェブ会議が、さまざまな事業分野において急速に普及しつつある。
【0003】
ウェブ会議の普及が進む事業分野の具体的な一例としては、商品やサービスの営業活動の一環としてオンラインで実施される商談が挙げられる。
【0004】
また、かねてより、商品やサービスの営業活動を支援するための種々のシステムが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ウェブ会議の場合、会議を録画することにより、会議の録画データから話者の感情や発話内容等に関する各種デジタルデータを容易に抽出し生成することができる。そのため、斯様な技術をオンラインでの営業活動やその他の目的でのウェブ会議の支援に役立てることが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
システムが、記憶装置と、記憶装置に接続されたプロセッサとを備える。記憶装置は、ウェブ会議毎の録画データを記憶する。録画データ毎に、当該録画データが表すウェブ会議での話題の種別が記憶装置において紐付けられている。プロセッサは、録画データの各々について、当該録画データに記録されている少なくとも一人の参加者の表情、動作及び発話内容に基づく評価値である注目度を算出する。また、プロセッサは、ユーザから一つの録画データの指定を受け付けた場合、当該指定された録画データと話題の種別が同じであり、当該指定された録画データとの注目度の差が所定範囲内の録画データを記憶装置から取得し、取得した録画データに関する情報を表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ウェブ会議の目的達成に寄与するウェブ会議支援を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態に係るウェブ会議支援システムの構成例を示す。
【
図9】実施形態で行われる処理全体の流れの一例を示す。
【
図14】差分ポイント計算処理の流れの一例を示す。
【
図19】レコメンド対象抽出処理の流れの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザーインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0011】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0012】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0013】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0014】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0015】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0016】
また、以下の説明では、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムを主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。また、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0017】
また、以下の説明では、「xxxテーブル」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のテーブルでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部又は一部が一つのテーブルであってもよい。
【0018】
また、以下の説明では、「ウェブ会議支援システム」は、一つ以上の物理的な計算機で構成されたシステムでもよいし、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。ウェブ会議支援システムが表示用情報を「表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。
また、以下の実施形態の説明は、一人の顧客と一人の営業担当者とが周知のウェブ会議ツールを用いてオンラインで実施する、商品やサービスの売買契約を目的とした商談を例に行う。
【0019】
この場合において、商談は、通常、複数のウェブ会議を重ねることにより漸次進められて、最終的に成約に至るものとする。
【0020】
すなわち、各商談は、一つ以上のウェブ会議を含む。また、各商談が、同一の時系列において連続して行われる複数のウェブ会議を含んでいてもよい。この場合、ある一つのウェブ会議の開催後に開催される一つ以上のウェブ会議を、後続のウェブ会議と称する。
【0021】
図1は、実施形態の概要を示す。なお、以下の説明では、「UI」は、User Interfaceの略であるが、典型的にはGUI(Graphical User Interface)である。
【0022】
ウェブ会議支援システムは、インターフェース装置(不図示)、記憶装置10及びそれらに接続されたプロセッサ(不図示)を有する。
【0023】
記憶装置10は、少なくともウェブ会議支援プログラムを記憶する。ウェブ会議支援プログラムは、ウェブ会議の支援のためのコンピュータプログラムである。
【0024】
ウェブ会議支援プログラムがプロセッサにより実行されることで、動画解析処理、会議情報抽出処理、参考情報抽出処理及びレコメンド対象抽出処理といった処理が行われる。これらの処理の詳細は後述するが、
図1を参照すると、概要は下記の通りである。
【0025】
商談において、営業担当者と顧客とのウェブ会議が録画され、その録画データがデータ格納部104に格納される。ウェブ会議支援システムは、その録画データの解析処理である動画解析処理を行う。ウェブ会議支援システムは、動画解析の結果を基に会議情報を抽出する会議情報抽出処理を行う。
【0026】
抽出された会議情報はデータ格納部104に格納される。商談を構成する各ウェブ会議は、一つ以上の話題を含む。また、話題は、内容同士の関連性が高い一つ以上の発話の纏りにより構成される。すなわち、各話題は、一人の顧客と一人の営業担当者との少なくともいずれか一方による、一つ以上の発話を含む。ウェブ会議支援システムは、録画データに記録されている少なくとも顧客の表情、動作及び発話内容に基づく評価値である注目度を算出し、当該録画データが関連付けられている会議情報に含める。データ格納部104には、少なくとも一つの商談について、同一の商談(同一の時系列の一例)において連続して行われた複数のウェブ会議の録画データが格納されている。
【0027】
ウェブ会議支援システムは、営業担当者から一つの録画データの指定を受け付けた場合、参考情報抽出処理を行う。すなわち、ウェブ会議支援システムは、当該指定された録画データと話題の種別が同じであり、当該指定された録画データとの注目度の差が所定範囲内の録画データをデータ格納部104から取得し、当該取得した録画データに関する情報である参考情報を営業担当者向けに表示する。参考情報は、当該取得された録画データが表すウェブ会議の後に開催された少なくとも一つの後続ウェブ会議の録画データに関する情報を含んでいてよい。
【0028】
また、ウェブ会議支援システムは、当該取得した録画データを基に顧客情報を特定した場合、当該顧客情報を基にレコメンド対象(例えば、商品又はサービス)を特定するレコメンド対象抽出処理を行ってよい。ウェブ会議支援システムは、特定されたレコメンド対象に関する情報を、営業担当者向けに表示してよい。以下、本実施形態を詳細に説明する。
【0029】
図2は、ウェブ会議支援システム100を含むシステム全体の構成例を示す。
【0030】
なお、以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0031】
ウェブ会議支援システム100は、データ処理部102、データ格納部104、ユーザーインターフェース部106及び通信部108を含む。
【0032】
ユーザーインターフェース部106は、タッチパネルを介してユーザからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力等、ユーザーインターフェースに関する処理を担当する。通信部108は、インターネット290(通信ネットワークの一例)を介してサーバや端末等の他の機器との通信を担当する。データ格納部104は、各種データを格納する。データ処理部102は、ユーザーインターフェース部106や通信部108により取得されたデータ、データ格納部104に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部102は、ユーザーインターフェース部106、通信部108及びデータ格納部104のインターフェースとしても機能する。
【0033】
データ処理部102は、動画解析部121、会議情報抽出部122、参考情報抽出部123及びレコメンド対象抽出部124を含む。
【0034】
動画解析部121は、動画であるウェブ会議の録画データを解析する。動画解析部121がウェブ会議の録画データを解析する処理を動画解析処理と称する。動画解析処理の詳細は、
図10に関連して後述する。
【0035】
会議情報抽出部122は、動画解析部121が行った動画解析処理の結果に基づいて、解析対象の録画データが表すウェブ会議に関する各種属性情報を示すデータである会議情報データを生成する。会議情報抽出部122が会議情報データを生成する処理を会議情報抽出処理と称する。会議情報抽出処理の詳細は、
図11に関連して後述する。
【0036】
会議情報抽出部122は、顧客タイプ分類部201、話題分割部202、感情割合計算部203、注目度計算部204。重要/NGワード計算部205及び利用資料抽出部206を含む。
【0037】
顧客タイプ分類部201は、対象となる顧客を複数の顧客タイプのうちの該当の顧客タイプに分類する。話題分割部202は、動画解析部121が行った動画解析処理の結果に基づいて、対象となる録画データが表すウェブ会議で挙がった話題を特定する(例えば、録画データを話題毎に分割する)。感情割合計算部203は、動画解析部121が行った動画解析処理の結果に基づいて、会議中の顧客の感情割合を計算する。注目度計算部204は、動画解析部121が行った動画解析処理の結果に基づいて、対象となる録画データの注目度を計算する。注目度とは、対象となる録画データに記録されている少なくとも一人の参加者(例えば、顧客)の表情、動作及び発話内容に基づいて当該参加者の関心度を定量的に評価した評価値のことである。重要/NGワード計算部205は、動画解析部121が行った動画解析処理の結果に基づいて、重要ワード及び又はNGワードを計算する。重要ワードとは、対象となる録画データが表すウェブ会議において使用された結果、注目度を向上させた単語のことである。また、NGワードとは、対象となる録画データが表すウェブ会議において使用された結果、注目度を低下させた単語のことである。利用資料抽出部206は、動画解析部121が行った動画解析処理の結果に基づいて、利用資料を抽出する。
【0038】
参考情報抽出部123は、会議情報抽出部122とそれに含まれる各機能部(201~206)とが行った会議情報抽出処理の結果に基づいて、参考情報を抽出する。参考情報は、ウェブ会議の目的達成を支援するためにユーザに提示する情報であり、具体的には、録画データが表す動画及び会議情報データが表す会議情報の少なくともいずれか一つを含む。参考情報抽出処理の詳細は、
図13に関連して後述する。
【0039】
また、参考情報抽出部123は、差分ポイント計算処理を行う。差分ポイントは、複数の参考情報が存在する場合に、ユーザに提示する順序を決定するための評価値である。参考情報抽出処理の詳細は、
図14に関連して後述する。
【0040】
レコメンド対象抽出部124は、レコメンド対象を抽出する。レコメンド対象とは、ウェブ会議の参加者である顧客に対して提案した場合に、訴求力を有する蓋然性が高い商品又はサービスのことである。レコメンド対象抽出処理の詳細は、
図19に関連して後述する。
【0041】
ユーザーインターフェース部106は、ユーザからの入力を受け付ける入力部161と、ユーザに対して動画や画像、文書等の各種情報を出力する出力部162を含む。
【0042】
なお、
図2が示す構成要素と
図1が示す構成要素との対応関係は、例えば次の通りである。すなわち、
図2に示した動画解析部121により、
図1に示した動画解析処理が実行される。
図2に示した会議情報抽出部122に含まれる顧客タイプ分類部201、話題分割部202、感情割合計算部203、注目度計算部204、重要/NGワード計算部205及び利用資料抽出部206の各機能部により、
図1に示した会議情報抽出処理が実行される。
図2に示した参考情報抽出部123により、
図1に示した参考情報抽出処理が実行される。
図2に示したレコメンド対象抽出部124により、
図1に示したレコメンド対象抽出処理が実行される。
【0043】
データ格納部104は、録画データ格納部141、動画解析結果格納部142、感情類型データ格納部143、会議情報データ格納部144及び顧客情報データ格納部145を含む。
【0044】
録画データ格納部141は、ウェブ会議毎の録画データを格納する。動画解析結果格納部142は、動画解析部121が行った動画解析処理の結果を表すデータである動画解析結果データを格納する。感情類型データ格納部143は、ウェブ会議中の話者の表情と所定の感情類型との対応関係を定義した定義集である感情類型データを格納する。会議情報データ格納部144は、会議情報抽出部122が生成した会議情報データを格納する。顧客情報データ格納部145は、顧客の属性に関する情報である顧客情報として格納する。
【0045】
データ格納部104に含まれる録画データ格納部141、動画解析結果格納部142、感情類型データ格納部143、会議情報データ格納部144及び顧客情報データ格納部145の各機能部は、
図3~
図7に例示するテーブルによって表されるデータをそれぞれ格納する。
【0046】
【0047】
図3は、録画データ格納部141が格納する動画管理テーブルの構成例を示す。
【0048】
動画管理テーブル300は、ウェブ会議毎の録画データを管理するためのテーブルである。動画管理テーブル300は、録画データ毎にレコードを有する。レコードは、録画データの識別番号である動画IDと、録画データが表すウェブ会議の開始日時及び終了日時と、当該ウェブ会議に参加した顧客及び営業担当者のそれぞれの氏名(顧客名及び担当者名)と、当該ウェブ会議の目的である商談をそれぞれ管理するための識別番号である商談IDと、当該ウェブ会議が商談全体のうち何回目の打合せであるかを表す商談回数と、当該ウェブ会議において俎上に載った話題とを表す。すなわち、動画管理テーブル300は、レコード毎に、録画データを識別する動画IDと、当該録画データが表すウェブ会議の各種構成要素とを紐付けて記録することにより、各録画データが表すウェブ会議の内容を概略的に表すものである。
図3に示す例によれば、動画管理テーブル300には、「220106001」という動画IDを付与された録画データが表すウェブ会議の構成要素として、「0001」という商談IDを付与された商談全体における1回目の会議であることと、2022年1月6日の14時に開始されて15時40分に終了したことと、顧客の甲及び営業担当者のPが参加者であることと、A、B、C、Dという4つの話題が会議の俎上に載ったこととが記録されている。
【0049】
なお、各録画データから話題を抽出する方法は、
図11に関連して後述する。
【0050】
図4は、動画解析結果格納部142が格納する動画解析結果テーブルの構成例を示す。
【0051】
動画解析結果テーブル400は、録画データ毎に、動画解析部121による動画解析処理の結果を表すデータである動画解析結果データを記録するためのテーブルである。
図4は、説明の簡単のため、任意の一つの録画データについての動画解析処理の結果を表すテーブルを模式的に示している。すなわち、
図4に例示した動画解析結果テーブル400は、録画データ毎に存在する。動画解析結果テーブル400は、各録画データが表すウェブ会議中の発話毎にレコードを有する。レコードは、各発話を特定するための識別番号である発話IDと、各発話がそれぞれ解析対象の録画データ中のどの時間帯になされたかを表す時間と、各発話の具体的な内容をテキスト形式に変換して記録した発話内容と、各発話内容から抽出された個々の単語であるワードと、抽出されたワードのうちポジティヴな属性を有するポジティヴワードと、抽出されたワードのうちネガティヴな属性を有するネガティヴワードと、各発話の話者と、各発話を発した際の話者の感情と、各発話を発した際に話者がみせた仕草やジェスチャー等の動作とを表す。すなわち、動画解析結果テーブル400は、レコード毎に、発話を識別する発話IDと、当該発話の各種構成要素とを紐付けて記録することにより、各録画データが表すウェブ会議中の各発話の内容を詳細に表すものである。
図4が示す例によれば、動画解析結果テーブル400には、「220106001-005」という発話IDを付与された発話について、下記の事項を表すデータが記録されている。
・当該発話は、解析対象の録画データの開始から2分40秒から2分55秒までの時間帯に当該ウェブ会議の参加者である顧客が発した「そうなんですね。そういうこと聞くと、やっぱり備えておくって大事ですよね。」という内容の発話であること。
・当該発話には、「そうなんですね/聞くと/備えておく/大事」という4つのワードが含まれており、このうち「そうなんですね」というワードはポジティヴな属性を有すること。
・当該顧客はこの発話を、驚きを意味する「Surprise」に区分される感情を伴って「うなずき」の動作を交えながら行ったこと。
【0052】
図5は、感情類型データ格納部143が格納する感情類型テーブルの構成例を示す。
【0053】
感情類型テーブル500は、各種表情と各種感情の類型との対応関係を予め定義した定義集であり、動画解析部121が動画解析処理を行う際に参照する感情類型データを記録するためのテーブルである。感情類型テーブル500は、表情毎にレコードを有する。レコードは、各種表情の典型を表す画像と、表情の各類型と、感情の各類型と、各感情類型が分類される属性とを表す。すなわち、感情類型テーブル500は、レコード毎に、各種表情の典型を表す画像と、当該表情の類型と、当該表情類型と対応関係にある感情の類型と、当該感情類型の属性とを紐付けて記録したものである。
図5が示す例によれば、動画管理テーブル300には、発話中の話者の表情が「笑顔」の表情類型に含まれる場合に発話中の話者の感情は「Happy」であり、「Happy」の感情類型はポジティヴな感情属性に分類されることが定義されている。
【0054】
図6は、会議情報データ格納部144が格納する会議情報管理テーブルの構成例を示す。
【0055】
会議情報管理テーブル600は、会議情報抽出部122が会議情報抽出処理により抽出した会議情報データを記録するためのテーブルである。
図6は、説明の簡単のため、任意の一つの録画データが表すウェブ会議についてのテーブルを模式的に示している。すなわち、
図6に例示した会議情報管理テーブル600は、録画データが表すウェブ会議毎、つまり録画データ毎に存在する。会議情報管理テーブル600のレコードは、対応する録画データの動画IDと、ウェブ会議に参加した顧客の氏名、各種属性及びタイプと、顧客への提案内容と、ウェブ会議の目的である商談の現時点のステータスと、ウェブ会議中に頻出した単語を表す頻出ワードと、ウェブ会議中の重要ワード及びNGワードと、ウェブ会議で俎上に載った話題と、ウェブ会議で説明に利用された資料である利用資料とを表す。動画IDは、録画データが表すウェブ会議を識別するための識別番号としても使用される。
【0056】
各レコードのうち、顧客属性に関するデータが記録されるフィールドには、性別や年齢等の顧客の各種属性を表すデータが属性毎に記録される。この顧客の各種属性を表すデータは、後述する顧客管理テーブル700に記録されているデータと同等である。
【0057】
各レコードのうち、提案内容に関するデータが記録されるフィールドには、具体的な商品やサービスの名称とその種別とが記録される。
【0058】
各レコードのうち、話題に関するデータが記録されるフィールドには、話題毎に、当該話題が俎上に載った時間帯と、当該話題に関する会談中の顧客の感情割合と、当該話題に関する会談中の顧客の注目度とが記録される。感情割合は、感情毎の、ウェブ会議中に顧客が当該感情を抱いていた時間の総和がウェブ会議の開催時間全体に占める割合を指す。
【0059】
各レコードのうち、利用資料に関するデータが記録されるフィールドには、資料毎に、当該資料を構成しているスライドの頁数と、当該資料を顧客に提示していた時間の長さと、当該資料の提示中の顧客の注目度とが記録される。
【0060】
すなわち、会議情報管理テーブル600は、レコード毎に、動画解析部121による動画解析処理及び会議情報抽出部122による会議情報抽出処理の結果抽出されたウェブ会議に関する各種情報を、当該ウェブ会議を識別する動画IDと紐付けて一元的に記録することにより、各ウェブ会議の内容を詳細に表すものである。
図6に示す例によれば、会議情報管理テーブル600には、「220106001」という動画IDにより識別されるウェブ会議について、下記の事項を表すデータが一元的に記録されている。
・当該ウェブ会議は、甲という名の若年女性の顧客に対して定期保険の一種である平準定期保険を提案する商談を構成するウェブ会議であること。
・当該ウェブ会議の目的である商談は、当該ウェブ会議又は後続のウェブ会議により最終的に成約に至っていること。
・当該ウェブ会議中に、「お金」、「保険」、「治療費」、「メリット」、「ガン」、「リスク」、「保障内容」、「健康」、「解約」等の単語が頻繁に使用されたこと。
・当該ウェブ会議における重要ワードは、「お金」、「治療費」、「メリット」、「ガン」等であったこと。
・当該ウェブ会議におけるNGワードは、「リスク」、「健康」、「解約」等であったこと。
・当該ウェブ会議中に、少なくともA、Bという二つの話題が俎上に載ったこと。
・話題Aが会談の俎上に載っていた当該ウェブ会議の開始から3分20秒までの時間帯の注目度は30%であり、当該時間帯の顧客の感情の割合は、無表情50%、笑顔31%、驚き2%、納得17%及び怒り0%であったこと。
・当該ウェブ会議中に、少なくともAAAA、BBBB、CCCCという3種類の資料が説明に利用されたこと。
・このうちAAAAという資料については、スライドの12頁が21分15秒に渡って顧客に提示され、この間の注目度が46%であったこと。
【0061】
なお、本実施形態では、ウェブ会議中の頻出ワードを記録するためのカラムを会議情報管理テーブル600が備えるものとして説明したが、当該カラムを含めずに会議情報管理テーブルを構成してもよい。また、会議情報管理テーブルの各レコードは、会議情報を構成しうる他の要素を記録するための一つ以上のフィールドを含んでいてもよい。
【0062】
図7は、顧客情報データ格納部145が格納する顧客管理テーブルの構成例を示す。
【0063】
顧客管理テーブル700は、各商談の対象である顧客の顧客情報データを管理するためのテーブルである。顧客管理テーブル700は、顧客毎にレコードを有する。レコードは、顧客の氏名、性別及び年齢と、配偶者の有無及び子供の人数と、就業状況及び前年度の年収と、顧客タイプとを表す。すなわち、顧客管理テーブル700は、レコード毎に、顧客を識別する顧客名と当該顧客の各種属性を表すデータとを紐付けて記録することにより、各顧客の人物像を概略的に表すものである。
図7に示す例によれば、顧客管理テーブル700には、甲という名の顧客について、配偶者及び1人の子供がいる23歳の女性であることと、前年度の年収が500万円の会社員であることと、顧客タイプが「エミアブル」であることとが記録されている。
【0064】
【0065】
顧客タイプは、感情表現の豊かさを表す「感情表現度」という指標と、自己主張の多寡を表す「自己主張度」という指標との2種類の評価指標を組み合わせることにより、顧客の性格を予め定義した4種類のタイプに分類するものである。
【0066】
図8に示す例によれば、感情表現度が低く自己主張度が高い顧客は「ドライビング」に、感情表現度も自己主張度も高い顧客は「エクスプレッシブ」に、感情表現度が高く自己主張度が低い顧客は「エミアブル」に、感情表現度も自己主張度も低い顧客は「アナリティカル」に、それぞれ分類される。
【0067】
既述の通り、各顧客の顧客タイプを表すデータは、会議情報管理テーブル600及び顧客情報テーブル700に要素として記録される。このうち、会議情報データ格納部144が格納する会議情報管理テーブル600の内容は、後述するように、レコード毎にユーザに視覚情報として提示される。対応する顧客の顧客タイプの違いにより、同じ場面で同じ発話を行ったり、同じ資料を提示したりしても、反応が大きく異なる場合が生じうる。しかし、ウェブ会議支援システム100によれば、ユーザは、担当する顧客の顧客タイプを念頭に置いて適宜に商談を進めることができる。その結果、当該ユーザは、ウェブ会議の目的を達成しやすくなる。
【0068】
なお、顧客タイプの分類方法は、
図11に関連して後述する。
【0069】
以上が、録画データ格納部141、動画解析結果格納部142、感情類型データ格納部143、会議情報データ格納部144及び顧客情報データ格納部145の各機能部がそれぞれ格納するテーブルの例の説明である。
【0070】
なお、本実施形態では、ウェブ会議支援システム100が感情類型データ格納部143及び顧客情報データ格納部145を含むものとして説明した。しかしながら、感情類型データ格納部143及び顧客情報データ格納部145を含めずにウェブ会議支援システムを構成してもよい。この場合、ウェブ会議支援システムは、顧客管理テーブル700及び感情類型テーブル500により表される各種データを、他の機器(不図示)から通信部108を介して取得し、各処理を実行してもよい。
【0071】
また、本実施形態では、会議情報管理テーブル600が顧客管理テーブル700に記録されている顧客情報を重複して含むものとして説明した。しかしながら、当該顧客情報は、会議情報管理テーブル600の記録対象に含めなくてもよい。この場合、ウェブ会議支援システムは、会議情報をユーザに視覚情報として提示する際に、会議情報抽出部122が会議情報データ格納部144及び顧客情報データ格納部145からデータを取得して会議情報データを生成してもよい。
【0072】
本実施形態では、ウェブ会議支援システム100の各機能が一台のコンピュータ装置により一体的に実現されているものとして説明したが、これらの各機能は、相互に接続された複数のコンピュータ装置又はサーバ装置によって実現されてもよい。また、ラップトップPC等の汎用コンピュータと、これにインストールされたウェブブラウザを含む構成であってもよいし、ウェブサーバを含む構成であってもよい。
【0073】
以下、本実施形態で行われる処理の例を説明する。
【0074】
図9は、本実施形態で行われる処理全体の流れの一例を示す。
【0075】
本実施形態において、ウェブ会議支援システム100は、入力部161又は通信部108を介してユーザ(例えば営業担当者)から動画の指定を受け付けると(S901)、指定された動画の録画データを録画データ格納部141から取得して解析する(S902)。前述した動画解析処理は、このS902で行われる処理を指す。動画解析処理の詳細は、
図10に関連して後述する。
【0076】
次いで、ウェブ会議支援システム100は、動画解析結果格納部142から取得した動画解析結果データに基づいて会議情報を抽出する(S903)。前述した会議情報抽出処理は、このS903で行われる処理を指す。会議情報抽出処理の詳細は、
図11に関連して後述する。
【0077】
なお、S903で行われる会議情報抽出処理は、注目度計算処理を含む。注目度計算処理の詳細は、
図12に関連して後述する。
【0078】
次いで、ウェブ会議支援システム100は、会議情報データ格納部144から取得した会議情報に基づいて参考情報を抽出し(S904)、出力部162又は通信部108を介して抽出結果をユーザに視覚情報として提示する(S905)。前述した参考情報抽出処理は、このうちS904で行われる処理を指す。参考情報抽出処理の詳細は、
図13に関連して後述する。
【0079】
また、本実施形態でウェブ会議支援システム100が行うその他の処理の例として、差分ポイント計算処理及びレコメンド対象抽出処理がある。差分ポイント計算処理は、複数の参考情報同士の序列の決定に使用する差分ポイントを計算する処理のことである。また、レコメンド対象抽出処理は、ウェブ会議の顧客に提案するレコメンド対象を抽出する処理のことである。差分ポイント計算処理の詳細は、
図14に関連して後述する。また、レコメンド対象抽出処理の詳細は、
図19に関連して後述する。
【0080】
【0081】
動画解析部121は、解析対象の録画データを録画データ格納部141から取得し(S1001)、当該録画データに記録されている顧客の感情情報を抽出する(S1002)。
【0082】
感情情報は、ウェブ会議中に顧客がどのような感情を抱いていたかを表す情報である。話者が顧客のときは当該顧客が自身の発話中に抱いていた感情を表す。話者が営業担当者のときは、当該担当者の発話中に顧客が抱いた感情を表す。すなわち、抽出された顧客の感情情報は、話者が顧客と営業担当者とのいずれかに拘らず、各発話に関する情報と紐付けられて動画解析結果格納部142に格納される。
【0083】
感情情報は、例えば、ウェブ会議中の顧客の表情や動作を既知の映像解析手法によって抽出し、感情類型データ格納部143に格納されている感情類型データを参照して抽出結果を適宜に分類する方法により抽出できる。この際、動画解析部121は、抽出した顧客の表情や動作を予め定められた基準により定量的に評価してもよい。また、動画解析部121は、顧客が発する声から当該顧客の感情情報を抽出してもよい。この場合、動画解析部121は、録画データに含まれる音声情報を、既知の音声解析手法を用いて解析すればよい。
【0084】
次いで、動画解析部121は、既知の音声解析手法を用いて話者の発話内容を発話毎にテキスト形式に変換する(S1003)。このとき、動画解析部121は、発話毎に話者を特定し、発話内容を表すテキストデータの各々に当該発話の話者情報を付与する。
【0085】
次いで、動画解析部121は、形態素解析等の方法により、各発話中に話者が使用した単語を抽出する(S1004)。
【0086】
その後、動画解析部121は、S1002~S1004の各処理の結果に基づいて動画解析結果データを生成し(S1005)、動画解析結果格納部142へ格納して、動画解析処理を完了する。
【0087】
動画解析処理の結果、録画データに記録されている顧客の感情情報や話者の発話内容が、既知のデータ解析手法を用いた解析が容易なデータ形式で抽出される。これにより、ウェブ会議支援システム100は、後述する会議情報抽出処理を実行できる。
【0088】
また、動画解析処理の結果、発話毎に話者が特定される。これにより、ウェブ会議中になされた全ての発話から顧客の発話のみを抽出できるため、ウェブ会議支援システム100は、後述する注目度計算処理を実行できる。
【0089】
【0090】
会議情報抽出部122が処理対象の動画解析結果データを動画解析結果格納部142から取得する(S1101)。このとき、会議情報抽出部122は、録画データ格納部141も参照し、動画管理テーブル300中の対応するレコードから顧客名を表すデータを取得する。
【0091】
次いで、顧客タイプ分類部201が、動画解析結果に基づいて、顧客を4種類の顧客タイプのいずれかに分類する(S1102)。
【0092】
顧客タイプの分類方法は次の通りである。先ず、顧客タイプ分類部201は、動画解析結果データに含まれる顧客の感情情報に基づいて、当該顧客の感情表現度を計算する。その結果、ウェブ会議の開催時間中、顧客が感情を明確に表現していた時間の総和が占める割合である感情表現率が30%未満の場合、当該顧客を、感情表現を抑えるタイプであると判定する。他方、感情表現率が30%以上の場合、当該顧客を、感情表現が豊かなタイプであると判定する。次に、顧客タイプ分類部201は、動画解析結果データに含まれる話者の発話情報に基づいて、顧客の自己主張度を計算する。その結果、ウェブ会議においてなされた全ての発話の発話時間の総和中、顧客による発話の発話時間が占める割合である発話率が30%未満の場合、当該顧客を、自己主張度が低く他者の意見を聞くタイプであると判定する。他方、発話率が30%以上の場合、自己を強く主張するタイプであると判定する。
【0093】
なお、本実施形態では、感情表現度及び自己主張度を判定する際の閾値がそれぞれ30%であるとして説明したが、感情表現度及び自己主張度の判定基準は適宜に変更してもよい。
【0094】
次いで、話題分割部202が、動画解析結果データに含まれる話者の発話情報に基づいて、発話内容を話題毎の纏りに分類する(S1103)。各話題は、例えば、発話中の単語の出現率や単語同士の共起度を分析し、分析結果を周知の類語データベースと照合する方法により抽出できる。また、例えば、発話中の単語の出現率や単語同士の共起度を発話毎に比較し、話題が転換した箇所の前後で複数の発話の纏り同士に分ける方法により、発話内容を話題毎の纏りに分類できる。
【0095】
次いで、感情割合計算部203が、動画解析結果データに含まれる顧客の感情情報に基づいて、当該顧客の感情割合を計算する(S1104)。感情割合は、例えば、ウェブ会議中に顧客が表した全ての表情について、表情毎に、当該表情の表出時間の総和が会議時間全体に占める割合をそれぞれ計算し、さらに感情類型テーブル500を参照して、各表情についての計算結果が、当該表情の類型と対応関係にある感情についての計算結果であると擬制する方法により計算できる。
【0096】
次いで、注目度計算部204が、動画解析結果データに含まれる顧客の感情情報及び話者の発話情報に基づいて、注目度を計算する(S1105)。前述した注目度計算処理は、このS1105で行われる処理を指す(
図12に関連して詳細後述)。
【0097】
次いで、重要/NGワード抽出部205が、動画解析結果データに含まれる顧客の感情情報及び話者の発話情報に基づいて、ウェブ会議における重要ワード及びNGワードの少なくともいずれか一方を抽出する(S1106)。重要ワードは、例えば、話題毎又は発話毎に注目度を算出し、注目度が上昇したタイミングの直前に使用された単語を特定して、特定された単語が注目度の上昇に寄与する再現性を検証する方法により抽出できる。また同様に、NGワードは、例えば、話題毎又は発話毎に注目度を算出し、注目度が低下したタイミングの直前に使用された単語を特定して、特定された単語が注目度の低下に寄与する再現性を検証する方法により抽出できる。
【0098】
なお、S1106に関連して、重要/NGワード抽出部205が、動画解析結果データに含まれる話者の発話情報を解析し、発話内容中の単語の出現率に基づいて頻出ワードを抽出してもよい。この場合、頻出ワードと重要ワード及びNGワードとが包含関係にあるとして、抽出した頻出ワードを絞り込む方法で重要ワード及びNGワードを抽出してもよいし、頻出ワードと重要ワード及びNGワードとを相互に無関係なものとしてそれぞれ別個に抽出してもよい。
【0099】
次いで、利用資料抽出部206が、ウェブ会議中に利用された利用資料を抽出する(S1107)。利用資料の抽出方法は、映像解析や音声解析等の周知技術により録画データを解析してもよいし、利用資料抽出部206が通信部108を介してウェブ会議に使用された端末のシステムログを参照してもよい。また、利用資料抽出部206は、ユーザやシステム管理者からの利用資料の登録操作を入力部161又は通信部108を介して受け付け可能であってよい。
【0100】
その後、会議情報抽出部122は、S1101~S1107の各処理の結果に基づいて会議情報データが生成し、会議情報データ格納部144へ格納して、会議情報抽出処理を完了する。
【0101】
【0102】
注目度計算部204は、先ず、ウェブ会議中に顧客が表した全ての表情中、ポジティヴな属性に分類される表情が占める割合と、ネガティヴな属性に分類される表情が占める割合とを、各表情の表出時間を基準にそれぞれ計算し(S1201)、計算結果を次の要領でそれぞれポイント化する(S1202)。例えば、ポジティヴな属性に分類される表情を示していた時間の総和が会議時間全体の20%を占める場合、表情に関するポイントは「20ポイント」と評価される。また同様に、ネガティヴな属性に分類される表情を示していた時間の総和が会議時間全体の5%を占める場合、表情に関するポイントは「-5ポイント」と評価される。
【0103】
次いで、注目度計算部204は、ウェブ会議中に顧客が行ったポジティヴな属性に分類される動作の回数と、ネガティヴな属性に分類される動作の回数とをそれぞれ計算し(S1203)、計算結果を次の要領でそれぞれポイント化する(S1204)。例えば、ウェブ会議中にポジティヴな属性に分類される動作を顧客が5回行った場合、動作に関するポイントは、動作1回あたりのポイントを表す定数「+5」に動作回数を表す変数「5」を乗じた数である「25」である。また同様に、ウェブ会議中にネガティヴな属性に分類される動作を顧客が2回行った場合、動作に関するポイントは、動作1回あたりのポイントを表す定数「-5」に動作回数を表す変数「2」を乗じた数である「-10」である。
【0104】
次いで、注目度計算部204は、ウェブ会議中に顧客が使用したポジティヴな属性に分類される単語の回数と、ネガティヴな属性に分類される単語の回数とをそれぞれ計算し(S1205)、計算結果を次の要領でそれぞれポイント化する(S1206)。例えば、ウェブ会議中にポジティヴな属性に分類される単語を顧客が4回使用した場合、単語に関するポイントは、使用1回あたりのポイントを表す定数「+5」に使用回数を表す変数「4」を乗じた数である「20」である。また同様に、ウェブ会議中にネガティヴな属性に分類される単語を顧客が1回使用した場合、単語に関するポイントは、使用1回あたりのポイントを表す定数「-5」に使用回数を表す変数「1」を乗じた数である「-5」である。
【0105】
注目度計算部204は、S1201~S1206の各処理を完了後、表情に関するポイント、動作に関するポイント及び単語に関するポイントを全て合算して注目度を計算する(S1207)。例えば、表情に関するポイントが「20」及び「-5」であり、動作に関するポイントが「25」及び「-10」であり、単語に関するポイントが「20」及び「-5」である場合、その注目度は「45」である。S1207の終了後、注目度計算部204は、注目度計算処理を完了する。
【0106】
なお、本実施形態では、動作回数及び単語の使用回数1回あたりのポイントを表す定数が「+5」又は「-5」であるとしたが、これらの定数は適宜に変更してもよい。また、各ポイントの算出方法も、適宜に変更してよい。
【0107】
また、本実施形態では、注目度を録画データ毎、すなわち録画データが表すウェブ会議毎に算出するとして説明したが、注目度は、ウェブ会議中の話題毎に算出してもよいし、ウェブ会議中の発話毎に算出してもよい。また、発話中に含まれる語句を一単位として注目度を算出してもよい。例えば、会議情報管理テーブル600の説明に用いた
図6は、話題Aが俎上に載っていた時間帯の注目度が「30%」、話題Bが俎上に載っていた時間帯の注目度が「52%」と、注目度を話題毎に算出した場合の一例である。また、例えば、
図11に関連して前述した重要ワード及びNGワードの抽出方法についての説明は、注目度が話題毎又は発話毎に算出される場合の一例である。
【0108】
発話に対する話題及びウェブ会議や話題に対するウェブ会議等、包含関係でより大きい対象について注目度を計算する場合、例えば、相対的に小さい単位の計算対象(例えば、発話)の各々についてS1201~S1207の各処理を行った上で、算出した各注目度の平均値や総和を相対的に大きい計算対象(例えば、話題)についての注目度としてもよい。
【0109】
さらに、本実施形態では、
図11に例示したように、注目度算出処理が会議情報抽出処理に含まれるものとして説明したが、注目度算出処理は会議情報抽出処理に含まれなくてもよい。この場合、ウェブ会議支援システムは、会議情報抽出処理を実行せずに注目度算出処理のみを実行してもよい。
【0110】
注目度算出処理の結果、ウェブ会議における顧客の注目度が算出される。注目度は、顧客のウェブ会議中の表情、動作及び発話内容に基づいて当該顧客の関心度を定量的に評価した評価値である。ウェブ会議支援システム100は、少なくとも注目度の近似度及び話題の一致度という二つの定量的な評価基準に基づいて、他のウェブ会議の録画データや会議情報データを参考情報として抽出する。すなわち、これにより、ウェブ会議支援システム100は、参考情報を抽出するための処理(
図13に関連して詳細後述)を実行できる。
【0111】
また、仮に話題の一致度のみに基づいて参考情報を抽出する場合、例えば、「心配」、「備え」、「保険」、「契約」と会議中に俎上に載った話題は一致していても成約に向けて前進したウェブ会議や交渉が決裂したウェブ会議があるように、内容や趨勢がまちまちなウェブ会議の情報が一緒くたに参考情報として抽出される、という問題が生じる。しかしながら、話題の一致度に加えて、注目度の近似度に基づいて参考情報を抽出すれば、よりユーザの要望に沿う参考情報が抽出可能になる。すなわち、これにより、二つの定量的な評価基準に基づいて参考情報を精度よく抽出できるようになるため、ウェブ会議支援システム100は、ウェブ会議の目的達成に寄与するウェブ会議支援を提供しやすくなる。
【0112】
また、会議情報抽出処理の結果、録画データ毎に、当該録画データが表すウェブ会議の会議情報データが抽出される。会議情報データは、対応するウェブ会議の内容を詳細に表すものであり、ユーザの求めに応じて視覚情報として当該ユーザに提示される。これにより、ユーザは、提示された会議情報データが表すウェブ会議の内容を詳細に把握することができるため、提示された情報を今後の参考にすることによってウェブ会議の目的を達成しやすくなる。
【0113】
【0114】
参考情報抽出部123は、入力部161又は通信部108を介してユーザからの動画または会議情報の指定を受け付けると(S1301)、指定された対象が会議情報か否かを判定する(S1302)。指定対象が会議情報の場合(S1302:YES)、指定された会議情報を表す会議情報データを会議情報データ格納部144から取得する(S1304)。
【0115】
他方、指定対象が会議情報でない場合(S1302:NO)、指定された対象は動画、すなわち録画データである。この場合、指定された録画データが表すウェブ会議に関する会議情報を自動指定し(S1303)、自動指定した会議情報が表す会議情報データを会議情報データ格納部144から取得する(S1304)。
【0116】
次いで、参考情報抽出部123は、少なくとも話題の一致度及び注目度の近似度に基づいて、取得した会議情報データと内容が近い一つ以上の会議情報データを会議情報データ格納部144から抽出する(S1305)。
【0117】
次いで、参考情報抽出部123は、抽出した会議情報データに対応する動画、すなわち録画データを録画データ格納部141から取得する(S1306)。参考情報抽出部123は、S1306の終了後、取得した会議情報データ及び録画データの少なくとも一方を参考情報として、出力部162又は通信部108を介してユーザに提示する(S1307)。S1307の終了後、参考情報抽出部123は、参考情報抽出処理を完了する。
【0118】
なお、S1301~S1306の各処理の結果として抽出された録画データ及び会議情報データについて、これらのデータが表すウェブ会議と同一の商談を構成している後続のウェブ会議が既に開催されている場合、参考情報抽出部123は、開催済の後続のウェブ会議を表す録画データ及び会議情報データの少なくともいずれか一つを録画データ格納部141又は会議情報データ格納部144から取得して、参考情報としてユーザに提示してもよい。
【0119】
開催済の後続のウェブ会議が複数存在する場合、その全てについて録画データ等を取得してもよいし、後続のウェブ会議のうち開催日時が最も早いウェブ会議のみについて録画データ等を取得してもよい。また、斯様な場合に、後続の複数のウェブ会議のうちどのウェブ会議の録画データ等を取得するかユーザが選択可能であってよい。この場合、選択可能なウェブ会議の数は任意に設定すればよい。
【0120】
S1305~S1307の処理において、参考情報抽出部123は、ユーザに参考情報として提示する録画データ及び会議情報データを、少なくとも話題の一致度及び注目度の近似度に基づいて抽出する。
【0121】
話題の一致度は、例えば、指定した録画データ又は会議情報データと同じ話題を含む数について閾値を設定し、判定処理を行う。
図6に例示した動画管理テーブル600の記載内容を題材に説明すると、仮に動画ID「220106001」の録画データをユーザが指定し、話題の一致度の判定基準として設定した話題数が「3」である場合、参考情報抽出部123が参考情報として抽出する録画データは、動画IDが「220222013」及び「220106002」の二つである。
【0122】
また、注目度の近似度は、例えば、ユーザが指定した録画データ又は会議情報データの注目度との注目度の差について許容範囲を設定し、注目度の差が許容範囲内に含まれるか否か判定処理を行う。仮に注目度が「45」の会議情報データをユーザが指定し、注目度の差が許容範囲内と判定されるための閾値が「+5」及び「-5」であり、他にそれぞれ注目度が「48」、「37」、「64」、「12」、「44」の5つの会議情報データがある場合、参考情報抽出部123が参考情報として抽出する会議情報データは、注目度の差が「+3」である注目度が「48」の会議情報データと、注目度の差が「-1」である注目度が「44」の会議情報データとの二つである。
【0123】
なお、本実施形態では、他の任意の録画データ及び会議情報データの内容が、ユーザが指定した録画データ又は会議情報データと類似しているか否かを、少なくとも話題の一致度及び注目度の近似度に基づいて判定するものとして説明した。しかしながら、
図3に例示した動画管理テーブル300又は
図6に例示した会議情報管理テーブル600の各レコードの記録事項のうち少なくともいずれか一つを、他の任意の録画データ及び会議情報データと、ユーザが指定した録画データ又は会議情報データとの類似度の判定基準に加えてもよい。この場合、参考情報抽出部123は、録画データ格納部141又は会議情報データ格納部144を参照してデータを適宜に取得し、類似度の判定に利用すればよい。
【0124】
また、参考情報抽出部123は、参考情報として複数の録画データ又は会議情報データを参考情報としてユーザに提示する場合、提示する録画データ等毎に差分ポイントとよばれる二つのデータ間の注目度の差分の評価値を求め、差分ポイントが小さい順に複数の録画データ等をユーザに提示してもよい。
【0125】
図14は、差分ポイント計算処理の流れの一例を示す。
【0126】
なお、
図14は、比較する二つのデータがいずれも会議情報データであり、注目度を話題毎に計算する場合の処理を例示している。
【0127】
参考情報抽出部123は、先ず、他の会議の会議情報データを一つ選択する(S1401)。
【0128】
次いで、参考情報抽出部123は、ユーザが指定した会議情報データから話題を一つ抽出し(S1402)、他の会議の会議情報データからも話題を一つ抽出して(S1403)、二つの話題間の単語の一致率を計算(S1404)する。
【0129】
次いで、参考情報抽出部123は、他の会議の会議情報データに未処理の話題が残っている場合(S1405:YES)、S1403~S1404の各処理を再び行う。この処理は、他の会議の会議情報データに未処理の話題が残っていない状態になるまで繰り返す。
【0130】
他の会議の会議情報データに未処理の話題が残っていない場合(S1405:NO)、単語の一致率が最も高い話題について、二つの話題間の注目度の差分をポイント化する(S1406)。例えば、他の会議の会議情報データが話題A、話題B及び話題Cという三つの話題を含んでおり、ユーザが指定した会議情報データの話題Pとの各々の単語の一致率が、話題Aが80%、話題Bが45%、話題Cが15%の場合、参考情報抽出部123は話題Aを選択する。そして、他の会議の会議情報データの話題Aについての注目度が「40」であり、ユーザが指定した会議情報データの話題Pについての注目度が「30」の場合、参考情報抽出部123は、二つの話題間の差分を「10」と計算する。
【0131】
次いで、参考情報抽出部123は、ユーザが指定した会議情報データに未処理の話題が残っている場合(S1407:YES)、S1402~S1406の各処理を再び行う。この処理は、当該会議情報データに未処理の話題が残っていない状態になるまで繰り返す。例えば、ユーザが指定した会議情報データが話題P、話題Q及び話題Rの三つの話題を含む場合、話題P、話題Q及び話題Rの全てについてS1402~S1406の各処理を行う。
【0132】
当該会議情報データに未処理の話題が残っていない場合(S1407:NO)、差分ポイントを計算する(S1408)。差分ポイントは、話題毎の注目度の差分の合計値を会議情報データに含まれる話題の総数で割ることにより算出される。例えば、話題Pについて話題Aとの注目度の差分が「10」、話題Qについて話題Bとの注目度の差分が「30」、話題Rについて話題Cとの注目度の差分が「20」の場合の差分ポイントは、「(10+30+20)÷3=20ポイント」である。
【0133】
参考情報抽出部123は、他の会議の会議情報データが複数ある場合、その各々について、S1401~S1408の各処理を行う。S1401~S1408の各処理は、未処理の他の会議の会議情報データがなくなるまで繰り返す。
【0134】
参考情報抽出部123は、処理対象の全ての他の会議の会議情報データについてS1401~S1408の各処理を完了後、これらの会議情報データを差分ポイントが低い順に整列し、参考情報としてユーザに提示する(S1409)。例えば、差分ポイントが「20ポイント」の会議情報データα及び「15ポイント」の会議情報データβの二つの会議情報データが存在する場合、参考情報抽出部123は、会議情報データβ、会議情報データαの順に整列し、出力部161又は通信部108を介してユーザに提示する。
【0135】
S1409の終了後、参考情報抽出部123は、差分ポイント計算処理を完了する。
【0136】
差分ポイント計算処理の結果、参考情報としてユーザに提示する複数の録画データ又は会議情報データの各々について、ユーザが指定した録画データ又は会議情報データとの差分ポイントが算出される。差分ポイントは二つのデータ間の注目度の差を表す値であり、差分ポイントが低いほどユーザが指定した録画データ等との内容の類似度が高い録画データ等であると評価できる。すなわち、これにより、ウェブ会議支援システム100は、参考情報としてユーザに提示する録画データ等が複数存在する場合、より類似度が高い録画データ等を優先的にユーザに提示できる。
【0137】
【0138】
参考情報抽出処理の結果、
図15に例示したように、録画データが表すウェブ会議に関する各種情報がユーザに提示される。
図15の場合、それぞれ「220218001」、「150726001」及び「200726001」という動画IDにより特定される三つの会議情報データが、差分ポイントが低い順に参考情報として表示されている。これらの会議情報データを表す文字列の各々についてユーザが選択操作を行うと、画面が遷移して、選択した会議情報データの詳細な内容が例えば
図6に示した要領で表示される。また、これらの会議情報データが表すウェブ会議に一つ以上の後続のウェブ会議が存在する場合、参考情報抽出部123は、後続のウェブ会議についての会議情報データの詳細な内容を参考情報として表示させることもできる。
【0139】
また、会議情報データと、当該会議情報データが表すウェブ会議の録画データとは相互に紐付けられて録画データ格納部141及び会議情報データ格納部143に格納されているため、参考情報抽出部123は、対応する録画データを参考情報として表示させることもできる。
【0140】
前述したように、参考情報として抽出される録画データ又は会議情報データは、少なくとも話題の一致度と注目度の近似度との二つの定量的な評価基準に基づいて精度よく抽出されることから、ユーザが指定した録画データ又は会議情報データと内容がきわめて近い可能性が高い。そのため、抽出された録画データ又は会議情報データが表すウェブ会議に一つ以上の後続のウェブ会議が存在する場合、それらの複数のウェブ会議による商談の過程や帰趨についての情報は、ユーザが指定した録画データ又は会議情報データが表すウェブ会議の未開催の後続のウェブ会議について事前準備を行う際に有用である。したがって、ユーザは、指定した録画データ又は会議情報データが表すウェブ会議の未開催の後続のウェブ会議に事前準備を行う際に、参考情報抽出部123が抽出した録画データ又は会議情報データの内容を適宜参考にすることにより、ウェブ会議の目的を達成しやすくなる。これにより、ウェブ会議支援システム100は、ウェブ会議の目的達成に寄与するウェブ会議支援を提供できる。
【0141】
以上の実施形態を、例えば下記のように総括することができる。
【0142】
ウェブ会議支援システム100は、録画データ格納部141と、注目度算出部204と、参考情報抽出部123と、会議情報データ格納部143と、入力部161と、出力部162と、通信部108とを備える。録画データ格納部141は、ウェブ会議毎の録画データを記憶する。録画データ格納部141において、録画データ毎に、当該録画データが表すウェブ会議での話題の種別が紐付けられている。注目度算出部204は、録画データの各々について、当該録画データに記録されている少なくとも一人の参加者の表情、動作及び発話内容に基づく評価値である注目度を算出する。また、参考情報抽出部123は、入力部161又は通信部108を介してユーザから一つの録画データの指定を受け付けた場合、当該指定された録画データと話題の種別が同じであり、当該指定された録画データとの注目度の差が所定範囲内の録画データ又は会議情報データを録画データ格納部141又は会議情報データ格納部143から取得し、取得した録画データ又は会議情報データに関する情報を出力部162又は通信部108を介してユーザに提示する。その結果、ユーザは、指定した録画データが表すウェブ会議の未開催の後続のウェブ会議に事前準備を行う際に、参考情報抽出部123が抽出した録画データ又は会議情報データの内容を適宜参考にすることにより、ウェブ会議の目的を達成しやすくなる。これにより、ウェブ会議支援システム100は、ウェブ会議の目的達成に寄与するウェブ会議支援を提供できる。
【0143】
録画データ格納部141又は会議情報データ格納部143において、参考情報抽出部123が取得した録画データ又は会議情報データに、当該録画データ又は会議情報データと同じ時系列にあり、当該録画データ又は会議情報データが表すウェブ会議の後に開催された一つ以上の連続したウェブ会議である一つ以上の後続ウェブ会議のうちの少なくとも一つの後続ウェブ会議の録画データ又は会議情報データが紐付けられていてよい。この場合、参考情報抽出部123が取得した録画データ又は会議情報データに関して表示される情報は、少なくとも一つの後続ウェブ会議の録画データ又は会議情報データに関する情報を含んでよい。この場合、ユーザは、上記の後続ウェブ会議の録画データ又は会議情報データに関する情報を参考にして、自身が指定した録画データが表すウェブ会議の未開催の後続のウェブ会議について事前準備を行うことにより、ウェブ会議の目的をより達成しやすくなる。
【0144】
ウェブ会議支援システム100は、会議情報抽出部122を備えてよい。会議情報抽出部122は、録画データの各々について、当該録画データに紐付けられている話題の種別と、当該録画データについて算出された注目度とを含むデータである会議情報データを生成し、当該録画データが紐付けられた当該会議情報データを会議情報データ格納部143に格納してよい。参考情報抽出部123が取得した録画データに関して表示される情報は、当該録画データに紐付けられている会議情報データが表す情報を含んでよい。
会議情報データは、対応するウェブ会議の内容を詳細に表すデータであり、ユーザに文字情報として提示される。そのため、ユーザは、自身が指定した録画データ又は会議情報データが表すウェブ会議の未開催の後続のウェブ会議について、迅速かつ要点を押さえた事前準備を行いやすくなり、ウェブ会議の目的をより達成しやすくなる。これにより、ウェブ会議支援システム100は、ウェブ会議の目的達成に寄与するウェブ会議支援を提供できる。
【0145】
録画データの各々について、当該録画データに紐付けられている会議情報データが、当該録画データが表すウェブ会議の開始時刻から終了時刻までの会議時間を表す時間情報をさらに含んでよい。当該会議時間における時点毎に、注目度が紐付けられていてよい。参考情報抽出部123は、取得した録画データに紐付けられている会議情報データに基づいて、時間を尺度とする第1の軸と注目度の値を尺度とする第2の軸とからなる時系列チャートを出力部162又は通信部108を介してユーザに提示してもよい。
【0146】
【0147】
図16に例示した時系列チャートは、時刻と注目度との対応関係を表す。
図16に示した表示例によれば、ユーザは、時間毎の注目度の大小や度合を容易に視認できる。また、本構成によれば、
図16に例示したように、注目度の上昇や下降が観察された時点の話者の発話の内容や顧客の感情及び動作などの情報が、時系列チャート上に表示されるため、ユーザは、会議情報データが表すウェブ会議のポイントを容易かつ直感的に把握することができる。これにより、ユーザはより確度の高い事前準備を実施できるため、ウェブ会議支援システム100は、ウェブ会議の目的達成に寄与するウェブ会議支援を提供できる。
【0148】
録画データの各々について、当該録画データに紐付けられている会議情報データが、当該録画データに記録されている参加者の類型を示す情報をさらに含んでよい。参考情報抽出部123は、取得した録画データに関する情報として、当該録画データに記録されている参加者の類型を示す情報を出力部162又は通信部108を介してユーザに提示してよい。これにより、ユーザがウェブ会議の参加者である顧客の性向を踏まえてより確度の高い事前準備を実施できる。
【0149】
録画データの各々について、当該録画データに紐付けられている会議情報データが、下記の(A)及び(B)のうちの少なくとも一つ、
(A)当該録画データが表すウェブ会議と同じ時系列にあり、当該ウェブ会議の後に開催されるウェブ会議である後続のウェブ会議において使用した場合、使用しなかった場合よりも高い注目度が当該後続のウェブ会議の録画データについて算出される蓋然性が高い単語、
(B)当該録画データが表すウェブ会議と同じ時系列にあり、当該ウェブ会議の後に開催されるウェブ会議である後続のウェブ会議において使用した場合、使用しなかった場合よりも低い注目度が当該後続のウェブ会議の録画データについて算出される蓋然性が高い単語、
をさらに含んでよい。
【0150】
【0151】
図17に示した表示例では、参考情報として提示される会議情報データが表すウェブ会議中で使用された単語のうち注目度の上下に寄与した単語が、頻出度に応じた文字の大きさで表示されている。また、注目度の上昇に寄与した重要ワードと注目度の低下に寄与したNGワードとは異なる色で表示される。重要/NGワード抽出部205が抽出したこれらの単語は、ユーザが指定した録画データ又は会議情報データが表すウェブ会議の未開催の後続のウェブ会議においても、重要ワードやNGワードになる蓋然性が高い。そのため、本構成によれば、ユーザは、今後行うウェブ会議において重要ワードやNGワードになる蓋然性が高い単語を事前に把握することができ、これらを念頭に置いた事前準備を実施できる。
【0152】
録画データの各々について、当該録画データに紐付けられている会議情報データが、当該録画データが表すウェブ会議と同じ時系列にあり、当該ウェブ会議の後に開催されるウェブ会議である後続のウェブ会議において使用した場合、使用しなかった場合よりも高い注目度が当該後続のウェブ会議の録画データについて算出される蓋然性が高い資料を示す情報である重要資料情報をさらに含んでよい。
【0153】
【0154】
図18に示した表示例では、参考情報として提示される会議情報データが表すウェブ会議中で利用された資料のうち注目度の上下に寄与した資料が、閲覧時間や注目度と紐付けられて表示されている。利用資料抽出部206が抽出したこれらの資料は、ユーザが指定した録画データ又は会議情報データが表すウェブ会議の未開催の後続のウェブ会議において使用した場合、同程度の有用度である蓋然性が高い。そのため、本構成によれば、ユーザは、今後行うウェブ会議において有用な資料を事前に把握することができ、これを念頭に置いた事前準備を実施できる。
【0155】
ウェブ会議支援システム100は、レコメンド対象抽出部124を備えてよい。録画データの各々について、当該録画データに紐付けられている会議情報データが、当該録画データが表すウェブ会議における提案対象に関する情報である提案対象情報をさらに含んでよい。一例として、提案対象は、商談を目的としたウェブ会議において顧客に提案するための商品又はサービスであってよい。レコメンド対象抽出部124は、当該ウェブ会議の顧客に対して訴求力を有する蓋然性が高い提案対象であるレコメンド対象を当該会議情報データに基づいて抽出し、参考情報抽出部123は、当該抽出したレコメンド対象に関する情報を表示してよい。
【0156】
図19は、レコメンド対象抽出処理の流れの一例を示す。
【0157】
レコメンド対象抽出部124は、会議情報データ格納部143に格納されている会議情報データを参照して、差分ポイントが所定の基準値より低い録画データ又は会議情報データが表す他のウェブ会議の顧客を特定する(S1901)。S1901の処理で特定した顧客を、他の顧客と称する。次いで、レコメンド対象抽出部124は、他の顧客の顧客情報データを顧客情報データ格納部145から取得する(S1902)。なお、顧客情報データは、顧客の購入履歴に関する情報を表すデータを含んでいてもよい。この場合に、レコメンド対象抽出部124は、取得した顧客情報データに基づいて、他の顧客の購入履歴に含まれる商品又はサービスをレコメンド対象として抽出する(S1903)。
【0158】
次いで、レコメンド対象抽出部124は、S1902の処理で取得した顧客情報データに基づいて、S1903の処理でレコメンド対象として抽出した商品又はサービスを他の顧客が購入した年齢を特定することにより、参考購入年齢を計算する(S1904)。
【0159】
次いで、レコメンド対象抽出部124は、S1902の処理で取得した顧客情報データに基づいて、S1903の処理でレコメンド対象として抽出した商品又はサービスを他の顧客が購入した時期を特定することにより、参考購入時期を計算する(S1905)。
【0160】
次いで、レコメンド対象抽出部124は、S1902の処理で取得した顧客情報データに基づいて、S1903の処理でレコメンド対象として抽出した商品又はサービスを購入した時期に他の顧客に発生したイベントを特定することにより、参考購入イベントを計算する(S1906)。
【0161】
レコメンド対象抽出部124は、S1903の処理でレコメンド対象として抽出した商品又はサービスについての情報と、S1904~S1906の各処理でそれぞれ計算した参考購入年齢、参考購入時期及び参考購入イベントについての情報とを、出力部162又は通信部108を介してレコメンド情報としてユーザに提示する(S1907)、処理が終了する。
【0162】
レコメンド対象抽出処理の結果、ユーザが担当する顧客へのレコメンド対象が抽出される。レコメンド対象抽出処理では、比較する二つの録画データ又は会議情報データ同士の差分ポイントの低さに基づいて、ユーザが担当する顧客と性向が近い他の顧客を特定する。そのため、他の顧客の購入履歴に含まれる商品又はサービスは、ユーザが担当する顧客に対しても訴求力を有する蓋然性が高い。すなわち、ウェブ会議支援システム100のユーザは、例えばウェブ会議の目的である商談において、担当する顧客に対して訴求力を有する蓋然性が高い商品又はサービスを提案可能になる。これにより、ウェブ会議支援システム100によれば、ウェブ会議の目的達成に寄与するウェブ会議支援を提供できる。
【0163】
以上、一実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。
【符号の説明】
【0164】
100:ウェブ会議支援システム