(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113069
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】カーシェア管理サーバおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0645 20230101AFI20230807BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20230807BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230807BHJP
B60R 25/102 20130101ALI20230807BHJP
B60R 25/01 20130101ALI20230807BHJP
【FI】
G06Q30/06 350
E05B49/00 J
G06Q50/10
B60R25/102
B60R25/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015205
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕司
(72)【発明者】
【氏名】坂倉 悠太
(72)【発明者】
【氏名】飯野 克彦
【テーマコード(参考)】
2E250
5L049
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250DD02
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH02
2E250JJ03
5L049BB68
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】 カーシェア車両の解錠または施錠のために携帯通信端末を会員ユーザが操作する煩わしさを省くための技術を提供する。
【解決手段】 端末位置データを会員IDとともに受信する端末位置データ受信手段と、車両位置データを車両IDとともに受信する車両位置データ受信手段と、端末位置データおよび車両位置データと保管されるべきカーシェアステーションの位置データとが所定距離以内であるか否か、を判断することで解錠または施錠の許諾が可能か否かを判断する解錠施錠判断手段と、を備えたカーシェア管理サーバとする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーシェアリングに用いるカーシェア車両とカーシェアリングを利用するために会員登録した会員ユーザに係る携帯通信端末とに対して、会員ユーザによる予約データに基づいたマッチングを検証するカーシェア管理サーバであって、
カーシェア車両の解錠施錠を可能とするカーシェア車両用キーアプリケーションをダウンロードした会員ユーザに係る携帯通信端末の位置である端末位置データを会員IDとともに受信する端末位置データ受信手段と、
所定のカーシェア車両の位置データである車両位置データを車両IDとともに受信する車両位置データ受信手段と、
カーシェア車両毎に車両ID、保管されるべきカーシェアステーション、および利用予約データを格納している車両管理データベースと、
会員ユーザ毎に会員IDおよび利用予約データを格納している会員データベースと、
前記の車両位置データ受信手段の受信した車両IDに紐付いた利用予約データが前記の車両管理データベースにおいて解錠または施錠の対象であるか否か、
前記の端末位置データ受信手段の受信した会員IDに紐付いた利用予約データが前記の会員データベースにおいて解錠または施錠の対象であるか否か、
および前記の車両位置データ受信手段の受信した車両位置データと保管されるべきカーシェアステーションの位置データとが所定距離以内であるか否か、
を判断することで解錠または施錠の許諾が可能か否かを判断する解錠施錠判断手段と、
その解錠施錠判断手段による判断結果を前記のカーシェア車両へ送信する判断結果送信手段と、
を備えたカーシェア管理サーバ。
【請求項2】
前記の解錠施錠判断手段は、前記の端末位置データと前記の車両位置データとが所定距離以内であるか否か、を更に判断することとした
請求項1に記載のカーシェア管理サーバ。
【請求項3】
カーシェアリングに用いるカーシェア車両とカーシェアリングを利用するために会員登録した会員ユーザに係る携帯通信端末とに対して、会員ユーザによる予約データに基づいたマッチングを検証するカーシェア管理サーバを制御する制御プログラムであって、
カーシェア車両の解錠施錠を可能とするカーシェア車両用キーアプリケーションをダウンロードした会員ユーザに係る携帯通信端末の位置である端末位置データを会員IDとともに受信する端末位置データ受信手順と、
所定のカーシェア車両の位置データである車両位置データを車両IDとともに受信する車両位置データ受信手順と、
カーシェア車両毎に車両ID、保管されるべきカーシェアステーション、および利用予約データを予め車両管理データベースに格納している車両管理データ蓄積手順と、
会員ユーザ毎に会員IDおよび利用予約データを予め会員データベースに格納している会員データ蓄積手順と、
前記の車両位置データ受信手段の受信した車両IDに紐付いた利用予約データが前記の車両管理データベースにおいて解錠または施錠の対象であるか否か、
前記の端末位置データ受信手段の受信した会員IDに紐付いた利用予約データが前記の会員データベースにおいて解錠または施錠の対象であるか否か、
および前記の車両位置データ受信手段の受信した車両位置データと保管されるべきカーシェアステーションの位置データとが所定距離以内であるか否か、
を判断することで解錠または施錠の許諾が可能か否かを判断する解錠施錠判断手順と、
その解錠施錠判断手順による判断結果を前記のカーシェア車両へ送信する判断結果送信手順と、
を前記のカーシェア管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記の解錠施錠判断手順においては、前記の端末位置データと前記の車両位置データとが所定距離以内であるか否か、を更に判断することとした
請求項3に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
カーシェアリングに用いるカーシェア車両とカーシェアリングを利用するために会員登録した会員ユーザに係る携帯通信端末とが、会員ユーザによる予約データに基づいてカーシェア管理サーバにおいてマッチングを検証する場合における前記の携帯通信端末にて実行されるアプリケーションプログラムであって、
前記の会員ユーザによるカーシェアリングの予約遂行の直前になったら前記の携帯通信端末に係る位置データ取得を可能とする位置データ取得準備手順と、
その位置データ取得準備手順に基づいて、当該携帯通信端末に係る位置データ取得を開始する位置データ取得手順と、
その位置データ取得手順が取得した端末位置データを前記のカーシェア管理サーバへ送信する端末位置データ送信手順と、
前記のカーシェア管理サーバが受信した端末位置データ等に基づいて解錠または施錠の許諾が可能か否かを判断した結果を受信する判断結果受信手順と、
その判断結果受信手順が受信した結果を出力する判断結果出力手順と、
を前記の携帯通信端末に実行させることとした
コンピュータプログラム。
【請求項6】
カーシェアリングの利用予約を完了している場合において、その利用予約に係る利用開始時刻の直前となったら、前記のカーシェア管理サーバから予約遂行直前連絡を受信する予約遂行直前受信手順を前記の携帯通信端末に実行させることとした
請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記の判断結果出力手順は、解錠または施錠の許諾が可能である場合には、前記のカーシェア車両に対する解錠または施錠を前記のカーシェア管理サーバに会員ユーザが要求するボタンを出力することとした
請求項5または請求項6のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業としてのカーシェアリングにおいて、事業者が提供するシェアリング用の車両(以下、「カーシェア車両」)を解錠施錠するためのキーを電子化した場合に、その電子化キーの利便性を確保するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
事業としてのカーシェアリングは、予め会員登録した会員ユーザに対し、カーシェアステーションと呼ばれる所定の駐車場所に駐車してあるカーシェア車両を貸し出すサービスである。会員ユーザに対して発行したICカードをキーとし、そのICカードの読み込みリーダを備えたカーシェア車両の解錠施錠を会員ユーザが実行している。
【0003】
一方、携帯通信端末として最も普及しているいわゆるスマートフォンは、電話やデータ通信が可能であるだけではなく、短距離無線通信が可能な機能も備えていることから、いわゆる電子キーが様々な場面で使われるようになった。
【0004】
さて、様々な場面で用いられているキーは、解錠施錠される物(たとえば、住居や部屋)は、解錠施錠されるキーを保有している人との関係が、長期間に渡って不変であることを前提としている。したがって、解錠施錠される物がカーシェア車両であり、解錠施錠されるキーを保有している人は、予約に係る時間帯によって次々と変化する。したがって、その変化する関係を踏まえた電子キーでなければ、採用することができない。
【0005】
特許情報プラットフォームにおいて、以下の検索式を用いて先行技術文献を調査した。
[アプリ/SP]*[鍵/CL+錠/CL+キー/CL]*[車/CL]*[カーシェア/SP]*[返却/SP]
この結果、47件がヒットし、以下の特許文献を検証した。
【0006】
特許文献1には、カーシェアリングに用いる移動体の解錠をキーレスエントリーのように行う情報システムが開示されている。
【0007】
特許文献2には、カーシェア車両に必要とされる設備を単純化することに関する技術が開示されている。
すなわち、カーシェア車両に備えていたICカードリーダや、グローブボックスにて保管するカーシェア車両運転用キーを簡略化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6853724号公報
【特許文献2】特許第6908451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
事業としてのカーシェアリングにおいて解錠施錠を可能とするには、特定であるが多数の会員ユーザによる予約データと、特定であるが多数のカーシェア車両とをマッチングさせる必要がある。
ここで記している「解錠施錠」とは、一般の車両におけるドアロックの意味ではなく、「解錠」はカーシェア車両の予約遂行を開始する際のドアロック解除を、「施錠」はカーシェア車両の利用終了時におけるドアロック完了を、それぞれ意味する。
【0010】
特許文献1,2のいずれも、会員ユーザによる操作を強いるなど、ユーザにとっての使い勝手には、改善の余地がある。
本発明が解決しようとする課題は、会員ユーザが自らの携帯通信端末に予めインストールしたアプリケーションプログラムのみでカーシェア車両の解錠および施錠を実行可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述したように、事業としてのカーシェアリングにおいて解錠施錠を可能とするには、特定であるが多数の会員ユーザによる予約データと、特定であるが多数のカーシェア車両とをマッチングさせる必要がある。そのマッチング検証のため、所定のカーシェア車両とその車両に対して予約データで紐付けられた会員ユーザとを、それぞれの位置データがGPSの誤差を見越して一致したことの確認に基づく、という手法を案出した。
【0012】
前述した課題を解決するため、カーシェアリングにおける車両および会員の情報管理を実行するサーバに係る第一の発明、第一の発明に係るサーバを制御するコンピュータプログラムに係る第二の発明、および第一の発明に係るサーバと通信する通信端末で実行されるコンピュータプログラムに係る第三の発明を提供する。
【0013】
(第一の発明)
第一の発明は、カーシェアリングに用いるカーシェア車両とカーシェアリングを利用するために会員登録した会員ユーザに係る携帯通信端末とに対して、会員ユーザによる予約データに基づいたマッチングを検証するカーシェア管理サーバに係る。
カーシェア車両の解錠施錠を可能とするカーシェア車両用キーアプリケーションをダウンロードした会員ユーザに係る携帯通信端末の位置である端末位置データを会員IDとともに受信する端末位置データ受信手段と、
所定のカーシェア車両の位置データである車両位置データを車両IDとともに受信する車両位置データ受信手段と、
カーシェア車両毎に車両ID、保管されるべきカーシェアステーション、および利用予約データを格納している車両管理データベースと、
会員ユーザ毎に会員IDおよび利用予約データを格納している会員データベースと、
前記の車両位置データ受信手段の受信した車両IDに紐付いた利用予約データが前記の車両管理データベースにおいて解錠または施錠の対象であるか否か、
前記の端末位置データ受信手段の受信した会員IDに紐付いた利用予約データが前記の会員データベースにおいて解錠または施錠の対象であるか否か、
および前記の車両位置データ受信手段の受信した車両位置データと保管されるべきカーシェアステーションの位置データとが所定距離以内であるか否か、
を判断することで解錠または施錠の許諾が可能か否かを判断する解錠施錠判断手段と、
その解錠施錠判断手段による判断結果を前記のカーシェア車両へ送信する判断結果送信手段と、
を備えたカーシェア管理サーバである(
図2参照)。
【0014】
(用語説明)
「カーシェア車両」は、カーシェア管理サーバとの双方向のデータ通信が可能であるように形成されている。具体的には、車両の位置をGPSにて取得し、定期的に、あるいは命令に応じて位置データをカーシェア管理サーバへ送信する。また、カーシェア管理サーバから送信される解錠/施錠データを受信し、ドアロックやドアロック解除を実行できる。
【0015】
「携帯通信端末」とは、代表的には、いわゆるスマートフォンである。端末の位置データをGPSにて取得し、必要に応じてその位置データを提供(送信)できる。たとえば、カーシェア管理サーバに対し、カーシェア車両の利用開始時や利用終了時に、端末の位置データはカーシェア管理サーバに送信される。
【0016】
「車両位置データと保管されるべきカーシェアステーションの位置データとの『所定距離』」とは、GPSの精度誤差を考慮して設定する。そのため、カーシェアステーションの地理的な位置、カーシェアステーションの周囲の環境(ビルや高架道路などの建築物が多いかどうか等)によって異なる。
【0017】
(作用)
会員ユーザ毎に会員IDおよび利用予約データを会員データベースが格納しており、カーシェア車両毎に車両ID、保管されるべきカーシェアステーション、および利用予約データを車両管理データベースが格納している。
【0018】
カーシェア車両の解錠施錠を可能とするカーシェア車両用キーアプリケーションをダウンロードした会員ユーザに係る携帯通信端末の位置である端末位置データを会員IDとともに端末位置データ受信手段が受信する。また、所定のカーシェア車両の位置データである車両位置データを車両IDとともに車両位置データ受信手段が受信する。
【0019】
解錠施錠判断手段は、以下のような判断をすることで、解錠または施錠の許諾が可能か否かを判断する。すなわち、前記の車両位置データ受信手段の受信した車両IDに紐付いた利用予約データが前記の車両管理データベースにおいて解錠または施錠の対象であるか否か、
前記の端末位置データ受信手段の受信した会員IDに紐付いた利用予約データが前記の会員データベースにおいて解錠または施錠の対象であるか否か、
および前記の車両位置データ受信手段の受信した車両位置データと保管されるべきカーシェアステーションの位置データとが所定距離以内であるか否か、を判断する。
解錠施錠判断手段による判断結果は、判断結果送信手段が前記のカーシェア車両へ送信する。
【0020】
以上のように、会員ユーザに係る携帯通信端末の位置データを提供するだけでカーシェア車両の解錠または施錠を可能としているので、会員ユーザは、カーシェア車両の解錠または施錠のために携帯通信端末を操作する煩わしさから解放される。
【0021】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の解錠施錠判断手段は、前記の端末位置データと前記の車両位置データとが所定距離以内であるか否か、を更に判断することとするのである(
図3参照)。
【0022】
(作用)
車両位置データを取得するカーシェア車両のGPSと、端末位置データを取得する携帯通信端末のGPSとは異なる機器であり、誤差が生じる可能性があるため、完全一致をしなくても解錠または施錠を実行できるようにするためである。
【0023】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明に係るカーシェア管理サーバを制御するためのコンピュータプログラムに係る。
すなわち、カーシェアリングに用いるカーシェア車両とカーシェアリングを利用するために会員登録した会員ユーザに係る携帯通信端末とが、会員ユーザによる予約データに基づいてカーシェア管理サーバにおいてマッチングを検証する場合における前記の携帯通信端末にて実行されるアプリケーションプログラムであって、
前記の会員ユーザによるカーシェアリングの予約遂行の直前になったら前記の携帯通信端末に係る位置データ取得を可能とする位置データ取得準備手順と、
その位置データ取得準備手順に基づいて、当該携帯通信端末に係る位置データ取得を開始する位置データ取得手順と、
その位置データ取得手順が取得した端末位置データを前記のカーシェア管理サーバへ送信する端末位置データ送信手順と、
前記のカーシェア管理サーバが受信した端末位置データ等に基づいて解錠または施錠の許諾が可能か否かを判断した結果を受信する判断結果受信手順と、
その判断結果受信手順が受信した結果を出力する判断結果出力手順と、
を前記の携帯通信端末に実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0024】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のようにすることが可能である。
すなわち、前記の解錠施錠判断手順にておいは、前記の端末位置データと前記の車両位置データとが所定距離以内であるか否か、を更に判断することとするのである。
【0025】
(第三の発明)
第三の発明は、カーシェアリングに用いるカーシェア車両とカーシェアリングを利用するために会員登録した会員ユーザに係る携帯通信端末とが、会員ユーザによる予約データに基づいてカーシェア管理サーバにおいてマッチングを検証する場合における前記の携帯通信端末にて実行されるアプリケーションプログラムに係る。
そのアプリケーションプログラムは、前記の会員ユーザによるカーシェアリングの予約遂行の直前になったら前記の携帯通信端末に係る位置データ取得を可能とする位置データ取得準備手順と、
その位置データ取得準備手順に基づいて、当該携帯通信端末に係る位置データ取得を開始する位置データ取得手順と、
その位置データ取得手順が取得した端末位置データを前記のカーシェア管理サーバへ送信する端末位置データ送信手順と、
前記のカーシェア管理サーバが受信した端末位置データ等に基づいて解錠または施錠の許諾が可能か否かを判断した結果を受信する判断結果受信手順と、
その判断結果受信手順が受信した結果を出力する判断結果出力手順と、
を前記の携帯通信端末に実行させることとしたコンピュータプログラムである(
図7参照)。
【0026】
なお、
図7においては、携帯通信端末における機能を示すため、「~手順」ではなく「~手段」と表記している。
【0027】
前記のアプリケーションプログラムは、前記の携帯通信端末に予めダウンロードして用いる場合の他、ウェブ上の所定サイトにアクセスすることによって当該端末において一時的に実行する場合もある。
【0028】
「位置データ取得準備手順」において「携帯通信端末に係る位置データ取得を可能とする」とは、携帯通信端末におけるプライバシー設定において、位置データの取得を実施していない場合や位置データの提供を許可していない場合には、会員ユーザによる設定操作によって位置データの取得を実施および位置データの提供許諾を設定していることが前提となる。
【0029】
(第三の発明のバリエーション1)
第三の発明は、カーシェアリングの利用予約を完了している場合において、その利用予約に係る利用開始時刻の直前となったら、前記のカーシェア管理サーバから予約遂行直前連絡を受信する予約遂行直前受信手順を前記の携帯通信端末に実行させることとしてもよい(
図7参照)。
【0030】
(第三の発明のバリエーション2)
第三の発明は、その判断結果出力手順を、解錠または施錠の許諾が可能である場合には、前記のカーシェア車両に対する解錠または施錠を前記のカーシェア管理サーバに会員ユーザが要求するボタンを出力することとしてもよい(
図5、
図6参照)。
【0031】
第二および第三の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。
ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータまたはカーシェア管理サーバの制御コンピュータから、通信回線を通じて別のカーシェア管理サーバの制御コンピュータへ伝送することも可能である。
【発明の効果】
【0032】
第一の発明によれば、カーシェア車両の解錠または施錠のために携帯通信端末を会員ユーザが操作する煩わしさを省けるカーシェア管理サーバを提供することができる。
第二の発明によれば、カーシェア車両の解錠または施錠のために携帯通信端末を会員ユーザが操作する煩わしさを省けるカーシェア管理サーバ制御用コンピュータプログラムを提供することができる。
第三の発明によれば、カーシェア車両の解錠または施錠のために携帯通信端末を会員ユーザが操作する煩わしさを省ける携帯通信端末用アプリケーションプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】現状のカーシェアリングにおけるカーシェア車両とカーシェアステーションとの位置関係等を示した概念図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態を示したブロック図である。
【
図3】本発明の第二の実施形態を示したブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態で用いている代表的なアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図5】会員ユーザに係る通信端末における利用開始時の操作画面と、その操作を実行した際のカーシェア管理サーバ側の情報処理を示すブロック図である。
【
図6】会員ユーザに係る通信端末における利用終了時の操作画面と、その操作を実行した際のカーシェア管理サーバ側の情報処理を示すブロック図である。
【
図7】会員ユーザに係る通信端末における利用開始時の機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、図面(
図1から
図7)を参照して説明する。本発明は、実施形態に限定されるものではなく、本発明を解釈するための形態である。
【0035】
(
図1)
図1は、本願発明とは直接関係ないが、比較のために説明する。カーシェアリングサービスを利用するために予め会員登録した会員ユーザに会員IDを含んだカードキーを配布し、そのカードキーから会員IDを読み出せるカードリーダを備えたカーシェア車両との関係を示している。
【0036】
会員ユーザは、カーシェア車両を利用したい日時、返却予定時刻、カーシェアステーションを決定し、予約データとして予約を入れる。
図示を省略したカーシェア管理サーバにおいては、会員ユーザにおける登録情報の他、前記の予約データを会員データベースに蓄積している。加えて、カーシェア車両について、車両毎の車両IDや予約データを車両管理データベースに蓄積している。
【0037】
カーシェア車両には、その車載機として、カーシェア管理サーバとのデータ通信を実行するための通信機器、車両の位置データを取得するためのGPS、通信やGPSにて取得したデータを格納するストレージなどを備えている(図示は省略)
【0038】
。
会員ユーザが予約を遂行するためにカーシェアステーションに出向き、カードキーをカーシェア車両のカードリーダにかざした場合、カーシェア車両に予め送信済みの予約データとの一致が確認できたら、カーシェア車両のドアロックを解除する。
【0039】
利用終了時には、会員ユーザが所定のカーシェアステーションへカーシェア車両を駐車させる。そして、カードキーをカーシェア車両のカードリーダにかざすと、予約データとの一致を確認し、施錠(ドアロック)をして利用を終了する。
【0040】
カーシェア車両にはGPSを搭載しており、カーシェア管理サーバは、カーシェア車両からの車両位置データを定期的に受信している。その車両位置データが、返却されるべきカーシェアステーションの位置データと所定距離(
図1では1キロメートルと例示)が離れている場合、返却ステーションでの返却とはならないと判断し、施錠はできないようにしている(解錠も同様)。
【0041】
車両位置データとカーシェアステーションの位置データとが完全に一致しなくても施錠解錠を可能としているのは、GPSの誤差を考慮したためである。
【0042】
(
図2)
図2は、
図1に示したカードキーに代わって、GPS機能のある携帯通信端末を使う場合を示している。この図において、実線の矢印は有線通信、二点破線の矢印は無線通信を示している。
【0043】
携帯通信端末には、カーシェア管理サーバの会員用アプリダウンロード装置から「カーシェア車両キーアプリケーション(アプリキー)」を予めダウンロードして用いることを前提としている。カーシェア管理サーバが用意したウェブ上の専用ページなどで前記のアプリケーションプログラムを実行することとしても良い。
【0044】
カーシェア車両からは、定期的に車両IDと車両位置データがカーシェア管理サーバへ送信されており、カーシェア管理サーバにおける車両位置データ受信手段が受信している。カーシェア車両に対しては、その車両に紐付いた予約データがある場合には、その予約データが予めカーシェア車両に送信されている。
【0045】
会員ユーザは、カーシェアリングの予約時刻になったら、アプリキーをダウンロード済みの携帯通信端末を持参し、予約に係るカーシェアステーションに出向く。アプリキーがカーシェア管理サーバから予約開始時刻に近づいた旨を受信し、端末の画面に出力するなどして報知させることとしてもよい(
図7参照)。
【0046】
カーシェアステーションに到着すると、カーシェア管理サーバの端末位置データ受信手段が会員に係る通信端末から会員IDおよび端末位置データを取得する。
なお、携帯通信端末におけるプライバシー設定において、位置データの取得を実施していない場合や位置データの提供を許可していない場合には、会員ユーザによる設定操作によって位置データの取得を実施および位置データの提供許諾を設定しておく必要がある。ただし、カーシェア管理サーバが端末位置データを要求するのは、利用開始時および返却時の一時的な要求に留めている。携帯通信端末のバッテリ消耗を最小限とするためである。
【0047】
車両IDおよび会員IDは、車両管理データベースおよび会員データベースに基づいて、解錠施錠判断手段が予約データとの一致を検証するのに用いる。
車両位置データおよび端末位置データは、予約に係るカーシェアステーションの位置データとの距離がそれぞれ300メートル以内であるか否かを、解錠施錠判断手段が判断する。なお、この「300メートル」という数値は、通信環境を主とした様々な要件によってカーシェアステーション毎に異なる。具体的には、50メートルから500メートルである。
【0048】
解錠施錠判断手段の判断結果、施錠または解錠が可能である場合には、カーシェア車両に対して施錠または解錠を命令する施錠/解錠データを送信する。
施錠または解錠を許諾できない場合には、施錠/解錠の拒否データを会員に係る携帯通信端末へ送信する。
【0049】
(
図3)
図3は、カーシェア車両とカーシェアステーション、携帯通信端末とカーシェアステーション、それぞれの位置関係のみならず、カーシェア車両と携帯通信端末の位置関係をも、解錠施錠判断手段が判断する場合について示している。
【0050】
カーシェア車両とカーシェアステーションとの距離は、1キロメートル以内であることが解錠施錠の一つ目の条件である。二つ目の条件は、カーシェア車両と携帯通信端末との距離が500メートル以内であることとしている。なお、ここでも一つ目の条件である「1キロメートル」や二つ目の条件である「500メートル」という数値は、通信環境を主とした様々な要件によってカーシェアステーション毎に異なる。
【0051】
なお、
図2、
図3に示した条件は、アンド(and)条件とする場合、オア(or)条件とする場合のほか、それぞれ独立させることとする場合もある。
【0052】
(
図4)
図4に示したのは、
図2および
図3に示した条件を、オア条件とした場合のフローチャートである。カーシェア管理サーバにおける解錠施錠判断手段が実行する。
【0053】
まず、会員の携帯通信端末が取得している端末位置データをカーシェア管理サーバにおける端末位置データ受信手段が受信する(S1)。そして、その端末位置データが予約に係るカーシェアステーションの位置から300メートル以内であるか否かを判断する(S2)。
【0054】
端末位置データが予約に係るカーシェアステーションの位置から300メートル以内ではない場合、車両位置データがカーシェアステーションから1キロメートル以内であり、且つ端位置データがカーシェア車両から500メートル以内であるか否か、を判断する(S3)。
【0055】
端末位置データが予約に係るカーシェアステーションの位置から300メートル以内であれば、解錠施錠を許諾する(S4)。
端末位置データが予約に係るカーシェアステーションの位置から300メートル以内ではない場合、車両位置データがカーシェアステーションから1キロメートル以内であり、且つ端位置データがカーシェア車両から500メートル以内であれば、解錠施錠を許諾する(S4)。
【0056】
車両位置データがカーシェアステーションから1キロメートル以内ではなく、または端位置データがカーシェア車両から500メートル以内ではない場合には、解錠施錠を拒否する(S6)。
許諾、拒否、いずれの場合も許否結果を送信する(S5)。許諾の場合にはカーシェア車両への解錠または施錠命令のデータ、許否の場合には会員に係る携帯通信端末に対する通知データとなる。
【0057】
(
図5)
図5は、会員に係る携帯通信端末において、利用開始時にどのような操作画面が出力されているか、をカーシェア管理サーバとの関係にて示している。この図に示す状態は、カーシェア管理サーバにおいては、車両位置データおよび端末位置データの取得によって、解錠を許諾する判断をしてある。図示は省略しているが、解錠を許諾する旨の通知がこの携帯通信端末に送信されており、アプリキーは、この画面を表示している。
【0058】
画面の上半分には、解錠する対象となる車両に係る車両のナンバーが表示されている。会員ユーザは、利用を開始しようとしている目の前にある車両ナンバーを目視し、その目視した車両ナンバーと、端末に出力されている車両ナンバーとが一致していることを確認する。そして、利用開始(解錠)という部位(利用開始ボタン)をタップする。
【0059】
利用開始ボタンが押されると、会員IDを伴った解錠要求データがカーシェア管理サーバに送信され、カーシェア管理サーバにおける解錠要求データ受信手段が受信する。
受信した解錠要求データが適正な物か否か、会員データベースおよび車両管理データベースを用いて確認しても良いが、ここでは、既に解錠を許諾する判断をしているので、再び解錠の許諾を判断しないこととしてもよい。その意味を込めて、会員データベースから得る予約データおよび車両管理データベースから得る車両IDに関する矢印を破線で示している。解錠拒否データを会員に係る携帯通信端末へ送信する矢印についても同様である。
【0060】
判断手段を介して(判断をしない場合には直接)解錠データ送信手段がカーシェア車両に対して解錠データを送信する。この解錠データを受信したカーシェア車両は、車載機におけるデータ処理に基づき、ドアロックを解除する。会員ユーザは、カーシェア車両に乗り込むことができ、予約利用を開始する。
【0061】
なお、解錠データ送信手段は、車両管理データベースに対して予約遂行開始データを送信し、車両管理データベースのデータを更新する。会員データベースに対しても同様、予約遂行開始データを送信し、会員データベースのデータを更新する。
【0062】
(
図6)
図6は、会員に係る携帯通信端末において、利用終了時にどのような操作画面が出力されているか、をカーシェア管理サーバとの関係にて示している。この図に示す状態もまた、カーシェア管理サーバにおいては、車両位置データおよび端末位置データの取得によって、施錠を許諾する判断をしてある。図示は省略しているが、施錠を許諾する旨の通知がこの携帯通信端末に送信されており、アプリキーは、この画面を表示している。
【0063】
画面の上半分には、利用を終了し、シェアカー車両を離れる場合の注意事項が表示されている。会員ユーザは、忘れ物がないか、ライトの消し忘れがないかを確認する。そして、シェアカー車両の外に出てから、返却(施錠)という部位(返却ボタン)をタップする。
【0064】
返却ボタンが押されると、会員IDを伴った施錠要求データがカーシェア管理サーバに送信され、カーシェア管理サーバにおける施錠要求データ受信手段が受信する。
受信した施錠要求データが適正な物か否か、会員データベースおよび車両管理データベースを用いて確認しても良いが、ここでは、既に施錠を許諾する判断をしているので、再び施錠の許諾を判断しないこととしてもよい。その意味を込めて、会員データベースから得る予約データおよび車両管理データベースから得る車両IDに関する矢印を破線で示している。施錠拒否データを会員に係る携帯通信端末へ送信する旨は、図示を省略している。
【0065】
判断手段を介して(判断をしない場合には直接)施錠データ送信手段がカーシェア車両に対して施錠データを送信する。この施錠データを受信したカーシェア車両は、車載機におけるデータ処理に基づき、ドアロックする。会員ユーザは、カーシェア車両に対してすべきことが終わり、利用を終了する。
【0066】
なお、施錠の終了後、次の予約がなければ、施錠後も1回だけ解錠ができるようにしている。忘れ物の回収を可能とするためである。会員ユーザは、忘れ物の回収後、再び返却ボタンを押すこととなる。
【0067】
(
図7)
図7では、会員ユーザに係る形態通信端末における利用開始時の機能を、カーシェア管理サーバとの関係で示している。なお、返却時もほぼ同様の機能であるので、図示およびその説明は省略している。
【0068】
会員ユーザに係る携帯通信端末は、会員ユーザによるカーシェアリングの予約遂行の直前になったら携帯通信端末に係る位置データ取得を可能とする位置データ取得準備手段と、 その位置データ取得準備手段に基づいて、当該携帯通信端末に係る位置データ取得を開始する位置データ取得手段と、 その位置データ取得手段が取得した端末位置データを前記のカーシェア管理サーバへ送信する端末位置データ送信手段(図示を省略)と、
前記のカーシェア管理サーバが受信した端末位置データ等に基づいて解錠または施錠の許諾が可能か否かを判断した結果を受信する判断結果受信手段と、 その判断結果受信手順が受信した結果を出力する判断結果出力手段(図示を省略)と、アプリキーに基づいて実現している。
【0069】
前記の位置データ取得準備手段は、携帯通信端末における位置データ取得が可能ではないと検証した場合、可能であるように会員に対する指示を出力する。
判断結果出力手段は、「予約車両を解錠しました。乗車して下さい。」といった画面出力をしたり、スピーカから音声を出力させたりする。
【0070】
カーシェアリングの利用予約を完了している場合、その利用予約に係る予約データは、カーシェア管理サーバが管理している。そのため、予約遂行の直前の時刻となったら、その予約データに係る会員IDに紐付けられた携帯通信端末に対して、予約遂行直前連絡を送信する。携帯通信端末は、その予約遂行直前連絡を予約遂行直前受信手段が受信し、画面出力させるなどして会員ユーザに注意を喚起する。
【0071】
カーシェア管理サーバからの予約遂行直前連絡を受け取らない場合であって、予約データを携帯通信端末の内部に格納している場合には、内部時計の時刻データから予約遂行の直前である旨を画面出力させるなどして会員ユーザに注意を喚起することとしてもよい。
【0072】
前述してきた実施形態によれば、会員IDを格納した会員カードを用いなくても、カーシェアリングの予約遂行時に必要なシェアカー車両の解錠、および予約完了時に必要なシェアカー車両の施錠を実行できる。
【0073】
カーシェアステーションに停めたカーシェア車両とカーシェア管理サーバとの通信状態が良好である、という環境を確保できる場合には、
図1に示したカードキーおよびカーシェア車両側に備えるカードリーダ(図示は省略)をなくすことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、カーシェアリング事業、カーシェアリング事業の設備製造業、カーシェアリング事業やレンタカー事業を支える通信機器の製造業、データ通信におけるデータ管理業、カーシェア理サーバや会員が用いる携帯通信端末におけるソフトウェアの開発業、などにおいて利用可能性を有する。