(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113087
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】移動体及び報知方法
(51)【国際特許分類】
G08B 21/00 20060101AFI20230807BHJP
G01G 19/52 20060101ALI20230807BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20230807BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20230807BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
G08B21/00 U
G01G19/52 F
G01G19/52 G
G08B21/24
B62B3/00 F
B62B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015248
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城田 律子
【テーマコード(参考)】
3D050
5C086
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3D050AA04
5C086AA22
5C086AA43
5C086AA49
5C086AA52
5C086BA22
5C086CA06
5C086CA09
5C086CA12
5C086CA19
5C086CA21
5C086CB16
5C086CB27
5C086FA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カートに乗った子供が危険な状態にあることを検知し、危険を報知することにより、カートから子供が転落することを防止する移動体及び報知方法を提供する。
【解決手段】報知システム1において、モビリティ10は、対象物までの距離を計測するソナーセンサ13と、モビリティ制御装置11と、を有する。モビリティ10は、商品及び人(子供)を乗せることが可能な積載部が備えられたカート20と連結可能である。モビリティ10がカート20と連結された場合、モビリティ制御装置11は、積載部の積載重量を測定する重量センサ22から取得した測定値を基に、積載部に人が乗っていると判定し、かつ積載部に乗った人が危険な状態にあることを検知したとき、ユーザ(親)に危険を報知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物までの距離を計測するソナーセンサと、
移動体制御装置と、を有する移動体であって、
前記移動体は、商品及び人を乗せることが可能な積載部が備えられたカートと連結可能であって、
前記移動体が前記カートと連結された場合、前記移動体制御装置は、
前記積載部の積載重量を測定する重量センサから取得した測定値を基に、前記積載部に人が乗っていると判定し、かつ前記積載部に乗った人が危険な状態にあることを検知したとき、ユーザに危険を報知する
移動体。
【請求項2】
前記移動体制御装置は、前記重量センサの測定値、又は前記ソナーセンサのセンサ値の少なくともいずれかに基づき、前記積載部に乗った人が危険な状態にあることを検知する
請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記移動体制御装置は、前記ソナーセンサのセンサ値の変動幅が一定の範囲を超えた場合に、前記積載部に乗った人が危険な状態にあることを検知する
請求項2に記載の移動体。
【請求項4】
前記移動体制御装置は、前記積載部に乗せられた商品の個数の変動、及び前記重量センサの測定値の減少幅が条件を満たした場合に、前記積載部に乗った人が危険な状態にあることを検知する
請求項2に記載の移動体。
【請求項5】
前記移動体制御装置は、前記カートと連結された前記移動体の速度に応じた頻度で検知を行う
請求項2から4のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項6】
前記ソナーセンサの照射方向は、前記移動体と前記カートが連結されていない場合と、前記移動体と前記カートが連結され、かつ前記移動体制御装置により前記積載部に人が乗っていると判定された場合と、前記移動体と前記カートが連結され、かつ前記移動体制御装置により前記積載部に人が乗っていないと判定された場合とにおいて、互いに異なる
請求項1に記載の移動体。
【請求項7】
前記ソナーセンサが距離を計測する対象物は、前記移動体と前記カートが連結されている場合は前記積載部に乗った人であり、前記移動体と前記カートが連結されていない場合は前記ソナーセンサの照射方向にある障害物である
請求項6に記載の移動体。
【請求項8】
重量センサは、前記積載部に乗せられた商品の決済に用いられる
請求項6に記載の移動体。
【請求項9】
第1の移動体と連結された第2の移動体に備えられた積載部の測定された積載重量値を基に、前記積載部に人が乗っているか否かを判定し、
前記積載部に人が乗っていると判定され、かつ前記積載部に乗った人が危険な状態にあることが検知された場合に、危険を報知する
処理をコンピュータが実行する報知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体及び報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の重量を測定する重量センサ、及び商品のRFタグをスキャンするRFIDリーダを備えた買い物カートが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、買い物カートには、子供が着席可能な座席が設けられている場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術には、買い物カートから子供が転落することを防止することが難しいという問題がある。
【0006】
一方で、親が買い物カートを押しながら商品棚等に注目している間、親の注意が買い物カートに乗った子どもから逸れる場合がある。買い物カートに乗せられた子供は、立ち上がったり乗り出したりすることで転落する場合がある。
【0007】
従来の買い物カートには、子供の転落を防止するための機能は備えられていない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、買い物カートから子供が転落することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る移動体は、対象物までの距離を計測するソナーセンサと、移動体制御装置と、を有する。移動体は、商品及び人を乗せることが可能な積載部が備えられたカートと連結可能である。移動体がカートと連結された場合、移動体制御装置は、積載部の積載重量を測定する重量センサから取得した測定値を基に、積載部に人が乗っていると判定し、かつ積載部に乗った人が危険な状態にあることを検知したとき、ユーザに危険を報知する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、買い物カートから子供が転落することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、モビリティとカートの連結について説明する図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る報知システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るモビリティ制御装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るカート制御装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、モビリティ制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、センサ値の変動を説明する図である。
【
図7】
図7は、センサ値の変動を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する移動体及び報知方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
図1は、モビリティとカートの連結について説明する図である。
図1に示すように、本実施形態において、モビリティ10とカート20は連結し、報知システム1を構成する。
【0014】
モビリティ10は、バッテリにより駆動する、2輪又は4輪の車両である。また、モビリティ10には、例えば1人のユーザが乗ることができる。
【0015】
カート20は、商業施設等において利用される買い物用のカートである。カート20は、カート20の下部に車輪を備え、人力等の外部からの力により駆動する。
【0016】
また、カート20は積載部20aを有する。積載部20aは、かご201a及び座席202aを有する。かご201aには商品が収容される。座席202aには、人が座ることができる。座席202aは、例えば体重15kg以下の子供が座ることを目的として設けられている。
【0017】
モビリティ10とカート20は、モビリティ10とカート20の少なくともいずれかに備えられたフック、ワイヤー等の連結部により機械的に連結される。
【0018】
図1の例では、カート20には、人がカート20を押すためのハンドルが備えられている。そして、カート20のハンドルがモビリティ10に連結されている。
【0019】
一方で、カート20のモビリティ10と連結する部分は、ハンドルに限られない。連結されたカート20が駆動可能であれば、いずれの部分がモビリティ10と連結されてもよい。例えば、カート20の車輪の近傍の部分(例えばシャフト部)又は積載部20aがモビリティ10と連結されてもよい。
【0020】
モビリティ10とカート20が連結されている場合、カート20は、モビリティ10の動力により駆動する。
【0021】
また、モビリティ10とカート20が連結されている場合、カート20は、モビリティ10へのハンドル操作によって操舵される。
【0022】
ここで、親(以降、ユーザ)がモビリティ10に乗り、モビリティ10と連結されたカート20の座席202aに子供を乗せるという利用形態が考えられる。
【0023】
この場合、ユーザがモビリティ10のハンドルを手で持った状態で、モビリティ10を停止させ、商品棚等の商品を見る際に、子供への注意が逸れることが考えられる。
【0024】
そのとき、子供が立ち上がったり座席202aから乗り出したりする振動にユーザが気付かずに、カート20からの子供が転落してしまうということが発生し得る。
【0025】
本実施形態の報知システム1は、カート20に乗った子供が危険な状態にあることを検知し、危険を報知することにより、カート20から子供が転落することを防止することができる。
【0026】
図2を用いて、報知システム1の構成を説明する。
図2は、実施形態に係る報知システムの構成例を示す図である。
【0027】
図2に示すように、報知システム1は、モビリティ10及びカート20を有する。なお、
図1では、
図2に示すモビリティ10及びカート20の一部の機能部が省略されている。
【0028】
モビリティ10は、モビリティ制御装置11、入力装置12、ソナーセンサ13、速度センサ14及び音声出力装置15を有する。モビリティ制御装置11は、移動体制御装置の一例である。
【0029】
入力装置12は、ユーザからの入力を受け付けるボタン又はタッチパネル等の装置である。ソナーセンサ13は、対象物までの距離を計測し、計測した距離をセンサ値として出力する。速度センサ14は、モビリティ10の移動速度を測定する。音声出力装置15は、モビリティ制御装置11の制御に従って音声を出力するスピーカである。
【0030】
カート20は、カート制御装置21、重量センサ22、商品スキャナ23を有する。
【0031】
重量センサ22は、積載部20a(かご201a及び座席202a)の積載重量を計測する。例えば、重量センサ22は、かご201aに乗せられた商品及び座席202aに座った子供の総重量を計測する。
【0032】
なお、重量センサ22は、かご201aに乗せられた商品の決済に用いられる場合がある。すなわち、重量センサ22は、商品の決済及び危険な状態の検知の両方の目的で利用される。
【0033】
商品スキャナ23は、かご201aに入れられる商品の情報を読み取る。例えば、商品スキャナ23は、RFIDリーダ、QRコード(登録商標)リーダ又はバーコードリーダである。
【0034】
(モビリティ制御装置の構成)
図3を用いて、モビリティ制御装置11の構成を説明する。
図3は、実施形態に係るモビリティ制御装置の構成例を示す図である。モビリティ制御装置11は、統合ECU(Electronic Control Unit)及びマイコン等により実現される。
【0035】
図3に示すように、モビリティ制御装置11は、通信部111、記憶部112及び制御部113を有する。
【0036】
通信部111は、他の装置との間でデータの通信を行うための装置。例えば、通信部111は、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)用の無線モジュールである。また、通信部111は、有線通信用のモジュールであってもよい。
【0037】
記憶部112は、RAM(Random Access Memory)及びフラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部112は、重量情報1121、及び距離情報1122を記憶する。
【0038】
重量情報1121は、時刻と重量センサ22のセンサ値(以下、測定値と呼ぶ)とを対応付けた情報である。距離情報1122は、時刻とソナーセンサ13のセンサ値とを対応付けた情報である。
【0039】
制御部113は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、入出力ポート等を有するコンピュータや各種の回路により実現される。
【0040】
コンピュータのCPUは、例えばROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部113の取得部1131、判定部1132、検知部1133、報知部1134として機能する。
【0041】
なお、モビリティ制御装置11は、有線又は無線のネットワークで接続された他のコンピュータ又は可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0042】
制御部113の各部の処理内容を説明する。なお、取得部1131、判定部1132、検知部1133及び報知部1134による処理の主体は、制御部113と言い換えることができる。
【0043】
取得部1131は、各装置から情報を取得する。例えば、取得部1131は、カート制御装置21から商品情報2121を取得する。
【0044】
また、取得部1131は、重量センサ22の測定値を取得し、取得した測定値を時刻とともに重量情報1121に追加する。なお、重量センサ22の測定値は、積載重量値の一例である。
【0045】
また、取得部1131は、ソナーセンサ13のセンサ値を取得し、取得したセンサ値を時刻とともに距離情報1122に追加する。
【0046】
また、取得部1131は、速度センサ14のセンサ値を取得することができる。
【0047】
判定部1132は、カート20に備えられた積載部20aであって、商品及び人を乗せることが可能な積載部20aの積載重量を測定する重量センサ22の測定値を基に、積載部20aに人が乗っているか否かを判定する。
【0048】
特に、判定部1132は、モビリティ10がと連結されたカート20に備えられた積載部20aに人が乗っているか否かを判定することができる。これにより、既存のカート20の機能を利用して報知システム1を構成することができる。
【0049】
なお、モビリティ10は、第1の移動体の一例である。また、カート20は、第2の移動体の一例である。
【0050】
検知部1133は、重量センサの測定値、又はモビリティ10に備えられたソナーセンサ13のセンサ値の少なくともいずれかに基づき、積載部20aに乗った人が危険な状態にあることを検知する。
【0051】
モビリティ10がカート20と連結された場合、報知部1134は、積載部20aの積載重量を測定する重量センサ22から取得した測定値を基に、積載部20aに人が乗っていると判定し、かつ積載部20aに乗った人が危険な状態にあることを検知したとき、ユーザに危険を報知する。
【0052】
(カート制御装置の構成)
図4を用いて、カート制御装置21の構成を説明する。
図4は、実施形態に係るカート制御装置の構成例を示す図である。カート制御装置21は、統合ECU及びマイコン等により実現される。
【0053】
図4に示すように、カート制御装置21は、通信部211、記憶部212及び制御部213を有する。
【0054】
通信部211は、他の装置との間でデータの通信を行うための装置。例えば、通信部211は、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)用の無線モジュールである。また、通信部211は、有線通信用のモジュールであってもよい。
【0055】
記憶部212は、RAM及びフラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部212は、商品情報2121を記憶する。
【0056】
商品情報2121は、商品スキャナ23によって読み取られた、換言するとスキャンされた商品の情報である。商品情報2121には、ユーザによりスキャンされた商品の品種ごとの重量及び個数が含まれる。商品情報2121に情報が記録された商品は、かご201aに収容されていると推定される。
【0057】
一方で、ユーザが商品スキャナ23を使った商品のスキャンを行わずに商品をかご201aに入れることもあるので、商品情報2121に情報が記録された商品が、実際にかご201aに収容されている商品と一致しない場合もある。
【0058】
制御部213は、例えばCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート等を有するコンピュータや各種の回路により実現される。
【0059】
コンピュータのCPUは、例えばROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部213の取得部2131及び送信制御部2132として機能する。
【0060】
なお、カート制御装置21は、有線又は無線のネットワークで接続された他のコンピュータ又は可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0061】
制御部213の各部の処理内容を説明する。なお、取得部2131及び送信制御部2132による処理の主体は、制御部213と言い換えることができる。
【0062】
取得部2131は、各装置から情報を取得する。例えば、取得部2131は、商品スキャナ23によって読み取られた情報を取得し、取得した情報を商品情報2121に追加する。
【0063】
送信制御部2132は、商品情報2121に含まれる情報及び重量センサ22の測定値をモビリティ制御装置11に送信する。
【0064】
(処理の流れ)
図5を用いて、モビリティ制御装置11の処理の流れを説明する。
図5は、モビリティ制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0065】
まず、モビリティ制御装置11は、モビリティ10とカート20が連結されていることを認識し、連結フラグをONにする(ステップS101)。なお、記憶部112には、各処理で利用されるフラグが格納されているものとする。
【0066】
例えば、モビリティ制御装置11は、モビリティ10の連結部に備えられたスイッチ、連結時に開閉する開閉部、又はカート20の連結部分を把持する把持部等のモビリティ10の連結部に備えられたカート20との直結部分の動きによりカート20との連結を認識する。又は、モビリティ制御装置11はカート20との連結を検知するセンサを備え、センサから検知した旨の入力があった場合、カート20との連結を検知してもよい。
【0067】
次に、モビリティ制御装置11は、カート20内の重量を取得する(ステップS102)。ここでは、モビリティ制御装置11は、重量センサ22から取得した測定値が示す重量を現在重量とおき、以降の処理により子供の重量を確定させる。
【0068】
モビリティ制御装置11は、商品情報2121に示されるかご201a内の商品の個数が0である場合(ステップS103、Yes)、現在重量を子供の重量として確定させる(ステップS105)。
【0069】
一方、モビリティ制御装置11は、商品情報2121に示されるかご201a内の商品の個数が0でない場合(ステップS103、No)、商品情報2121から取得した商品の総重量を現在重量から引いた重量を(ステップS104)、子供の重量として確定させる(ステップS105)。
【0070】
ここで、モビリティ制御装置11は、確定した子供の重量を重量情報1121に追加し、子供の乗車有無判定フラグをONにする。モビリティ制御装置11は、確定した子供の重量が閾値以上(例えば1kg以上)あれば、子供の乗車有無判定フラグをONにするようにしてもよい(ステップS106)。
【0071】
また、カート20の機能により、スキャンされずにかご201aの重量が増加した場合、そのことが単にスキャンのし忘れと判定され、自動的に商品情報2121に商品の個数が追加されてしまい、上記の処理で子供の乗車有無判定フラグがONにされない場合がある。
【0072】
その場合、ユーザは、入力装置12を操作して手動で子供の乗車有無判定フラグをONにすることができる。モビリティ制御装置11は、入力装置12に対してボタン押下等の特定の操作が行われた場合、乗車有無判定フラグをONにする。
【0073】
ここで、ソナーセンサ13の画角の変更が行われる(ステップS107)。ソナーセンサ13は、モビリティ10がカート20と連結されていないときは、モビリティ10の移動における障害物の検知に利用される。この場合、ソナーセンサ13の照射方向は、モビリティ10の進行方向に向けれられる。
【0074】
一方で、モビリティ10がカート20と連結され、乗車有無判定フラグがONになった場合(換言すると、カート20の座席202aに子供が乗っているとモビリティ制御装置11又はユーザが判断した場合)、ソナーセンサ13は、座席202a方向の物体、すなわち子供の動きの検知に利用される。この場合、ソナーセンサ13の照射方向は、座席202aに向けられる。
【0075】
このように、ソナーセンサ13が距離を計測する対象物は、モビリティ10とカート20が連結されている場合は積載部20aに乗った人であり、モビリティ10とカート20が連結されていない場合はソナーセンサ13の照射方向にある障害物である。
【0076】
図2に示すように、座席202aに向けられたソナーセンサ13は、座席202aに座った子供までの距離dを測定することができる。
【0077】
また、モビリティ10がカート20と連結され、乗車有無判定フラグがONになっていない場合、ソナーセンサ13は、カート20の移動における障害物の検知に利用される。この場合、ソナーセンサ13の照射方向は、カート20の進行方向であって、カート20によって照射が遮られない方向に向けられる。
【0078】
このように、ソナーセンサ13の照射方向は、以下の場合のそれぞれにおいて、互いに異なる。
・モビリティ10とカート20が連結されていない場合。
・モビリティ10とカート20が連結され、かつ判定部1132により積載部20aに人が乗っていると判定された場合。
・モビリティ10とカート20が連結され、かつ判定部1132により積載部20aに人が乗っていないと判定された場合。
【0079】
これにより、モビリティ10及びカート20の状態に検知が不要なときに検知及びユーザへの報知が行われることを抑止することができる。
【0080】
照射方向の変更は、
図2に示すソナーセンサ13の画角θの変更によって行われてもよいし、ソナーセンサ13自体の向き及び高さをモータ等で機械的に変更することによって行われてもよい。また、照射方向の変更は、特定の方向からの反射波のみを距離の測定に用いることにより行われてもよい。
【0081】
乗車有無判定フラグがONになった場合に変更されるソナーセンサ13の画角θは予め
モビリティ制御装置11に記憶させておけばよい。あるいは、乗車有無判定フラグがONになると、積載部20aに乗った人を検知可能な画角が判定され、判定された画角にソナーセンサ13の画角が変更されてもよい。この場合、判定部1132により積載部20aに乗った人を検知可能な画角が判定されてもよく、あるいは積載部20aに乗った人を検知可能な画角を判定可能な別の構成要素が含まれていてもよい。
【0082】
続いて、モビリティ制御装置11は、速度センサ14からカート20の速度を取得する。なお、モビリティ10とカート20が連結されている場合、モビリティ10とカート20の速度は等しいということができる。
【0083】
モビリティ制御装置11は、カート20と連結されたモビリティ10の速度に応じた頻度で検知を行う。
【0084】
カート20の速度が0km/hである場合(ステップS108、Yes)、すなわちカート20が停止している場合のモビリティ制御装置11の処理を説明する。
【0085】
この場合、ユーザは、モビリティ制御装置11を停止させて商品棚等を見ていることが考えられ、座席202aへの注意が逸れている可能性がある。そのため、モビリティ制御装置11は、高頻度(例えば2秒ごと)で検知を行う(ステップS109)。
【0086】
また、カート20の速度が0km/hより大きく(ステップS108、No)、2km/h以下である場合(ステップS110、Yes)、すなわちカート20が低速で移動している場合のモビリティ制御装置11の処理を説明する。
【0087】
この場合、ユーザは、モビリティ制御装置11を低速で移動させ、座席202aに注意を払いつつも、商品棚等を見ていることが考えられ、座席202aへの注意がやや逸れている可能性がある。そのため、モビリティ制御装置11は、低頻度(例えば4秒ごと)で検知を行う(ステップS113)。
【0088】
また、カート20の速度が2km/hより大きい場合(ステップS110、No)、すなわちカート20が高速で移動している場合のモビリティ制御装置11の処理を説明する。
【0089】
この場合、ユーザは、モビリティ制御装置11を高速で移動させ、座席202aに注意を払っていると考えられる。そのため、モビリティ制御装置11は、検知を実施しない(ステップS111)。
【0090】
このように、ユーザの行動を想定しておくことで、無駄な検知及び報知が行われることを抑止することができる。
【0091】
ここで説明した速度の閾値(2km/h、4km/h)、及び検知の頻度(2秒ごと、4秒ごと)は一例であり、管理者によって任意の値が設定されてもよい。
【0092】
検知処理の内容を説明する。ステップS109及びS113では、モビリティ制御装置11は、最新の重量と前回の検知時に取得した重量との間の重量差を計算する。なお、モビリティ制御装置11は、時刻ごとの重量を重量情報1121から取得することができる。
【0093】
また、モビリティ制御装置11は、最新の商品の個数と前回の検知時に取得した商品の個数を取得する。なお、モビリティ制御装置11は、時刻ごとの商品の個数を商品情報2121から取得することができる。
【0094】
さらに、モビリティ制御装置11は、最新の距離と前回の検知時に取得した距離を比較する。なお、モビリティ制御装置11は、時刻ごとの商品の個数を商品情報2121から取得することができる。なお、距離はソナーセンサ13のセンサ値である。
【0095】
ここで、モビリティ制御装置11は、ソナーセンサのセンサ値が変動している場合(ステップS114、Yes)、ステップS115へ進む。
【0096】
図6及び
図7は、センサ値の変動を説明する図である。座席202aに座っている子供が大きく動いていない場合、ソナーセンサ13のセンサ値は、
図6のように安定していると考えられる。
【0097】
一方、座席202aに座っている子供が大きく動いている場合、ソナーセンサ13のセンサ値は、
図7のように変動すると考えられる。
【0098】
例えば、モビリティ制御装置11は、ソナーセンサ13のセンサ値の変動幅が一定の範囲を超えた場合に、積載部20aに乗った人が危険な状態にあることを検知する。これにより、モビリティ制御装置11に備えられたソナーセンサ13を利用して危険な状態の検知を行うことができる。一定の範囲とは、例えば、積載部20aに乗った人の動きが大きくなく、積載部20aから落下する危険がないと考えられる範囲であり、一定の範囲は予め設定しておけばよい。
【0099】
次に、モビリティ制御装置11は、計算した重量差が警告値定数(例えば1kg)を超えている場合(ステップS115、Yes)、ステップS116へ進む。これにより、少しの重量の変動による誤検知を防止することができる。
【0100】
そして、カート20内の商品の個数が変化していない場合(ステップS116、Yes)、すなわち最新の商品の個数と前回の検知時に取得した商品の個数が等しい場合、ステップS117へ進む。これにより、商品の出し入れにともなう重量の変化による誤検知を防止することができる。
【0101】
本実施形態では、カート20は商品スキャナ23を備えている例を記載しているが、カート20は商品スキャナ23を備えていなくてもよい。この場合、計算した重量差が警告値定数(例えば1kg)を超えている場合(ステップS115、Yes)、ステップS116を省略してステップS117へ移行する。
【0102】
また、ステップS114、S115、S116の判定がNoであった場合、モビリティ制御装置11は、ステップS108に戻る。
【0103】
ステップS117では、モビリティ制御装置11は、警告フラグをONに変更し、音声出力装置15に警告音を鳴らさせる。これにより、ユーザに対し危険を報知することができる。
【0104】
このように、モビリティ制御装置11は、積載部20aに乗せられた商品の個数の変動、及び重量センサ22の測定値の減少幅が条件を満たした場合に、積載部20aに乗った人が危険な状態にあることを検知する。これにより、カート20に備えられた商品スキャナ23及び重量センサ22を利用して危険な状態の検知を行うことができる。
【0105】
これまで説明してきたように、モビリティ制御装置11は、カート20に備えられた積載部20aであって、商品及び人を乗せることが可能な積載部20aの積載重量を測定する重量センサ22の測定値を基に、積載部20aに人が乗っているか否かを判定し、判定する処理によって積載部20aに人が乗っていると判定され、かつ積載部20aに乗った人が危険な状態にあることが検知された場合に、危険を報知する。
【0106】
このように、モビリティ制御装置11は、カート20に乗った人(子供)の危険を自動的に検知し、危険を報知する。その結果、本実施形態によれば、子供の見守りを実施し、買い物カートから子供が転落することを防止することができる。
【0107】
また、報知システム1は、既存の重量センサ22及び商品スキャナ23が備えられたカートを利用して実現可能である。また、ソナーセンサ13についても、既存のモビリティに備えられた障害物検知ようのセンサを利用可能である。
【0108】
さらに、超音波で障害物を検知するソナーセンサ13は、赤外線で障害物を検知する赤外線センサ等に置き換えられてもよい。
【0109】
また、モビリティ10は、2輪又は4輪の車両に限られず、複数の車輪(例えば3輪)を備える車両であればよい。
【0110】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 報知システム
10 モビリティ
11 モビリティ制御装置
12 入力装置
13 ソナーセンサ
14 速度センサ
15 音声出力装置
20 カート
20a 積載部
21 カート制御装置
22 重量センサ
23 商品スキャナ
111、211 通信部
112、212 記憶部
113、213 制御部
201a かご
202a 座席
1121 重量情報
1122 距離情報
1131 取得部
1132 判定部
1133 検知部
1134 報知部
2121 商品情報
2131 取得部
2132 送信制御部