(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113090
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】折り畳み自転車の折り畳み構造
(51)【国際特許分類】
B62K 15/00 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
B62K15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015260
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】722000704
【氏名又は名称】神之田 大知
(72)【発明者】
【氏名】神之田 大知
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BA05
3D212BA07
(57)【要約】
【課題】折り畳み自転車において、折り畳み収納時の大きさを、効率よく小さくするための折り畳み構造を提供する。
【解決手段】螺旋状の摺動面4をもったコイル形状又は円筒形状をそれぞれ有した第1・第2部品1・2は互いの摺動面4が向き合うように配置され、枢動軸3によって枢動可能に接続される。第1・第2部品1・2のどちらか一方を円周方向に作動させると、第1・第2部品1・2の互いの摺動面4が干渉し合い、作動させた部品が軸方向へ移動することによって、折り畳み時にフレーム同士の干渉を効率よく回避することが出来る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み自転車の折り畳み構造であって、
可動軸に対し周方向と軸方向へ同時に作動させる枢動可能な可動部を有し、
枢動可能に接続される第1構成部品と第2構成部品の少なくとも2つの構成部品を含み、
前記第1構成部品と前記第2構成部品のどちらか一方は螺旋形状の可展曲面又は三次元曲面を有する第1摺動面を有し、
前記第1構成部品と前記第2構成部品のどちらかもう一方は前記第1摺動面と同じような特徴又は前記可動部が枢動する際に前記第1摺動面と干渉することによって前記第1摺動面に追従できるような突出面を有する第2摺動面を有し、
前記可動部において前記第1構成部品と前記第2構成部品は互いの摺動面が向き合うように配置され、
前記可動部が可動軸に対し周方向に作動した際に第1摺動面と第2摺動面が直接的又は間接的に干渉し合うことで前記可動軸に対し軸方向に同時に作動する、
ことを特徴とした折り畳み構造。
【請求項2】
前記可動部は円柱又は円筒形状の枢動軸を有し、
前記第1構成部品と前記第2構成部品は共に円筒形状であり前記第1摺動面と同じような特徴を有した端面を有し、
前記可動部において前記第1構成部品と前記第2構成部品の端面が互いに向き合うように配置され、
前記第1構成部品と前記第2構成部品が共に前記枢動軸によって枢動可能に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の折り畳み構造。
【請求項3】
前記可動部は円柱又は円筒形状の枢動軸を有し、
前記第1構成部品と前記第2構成部品は共に前記第1摺動面と同じような摺動面を有したコイル状の形状を有し、
前記可動部において前記第1構成部品と前記第2構成部品の摺動面が互いに向き合うように配置され、
前記第1構成部品と前記第2構成部品が共に前記枢動軸によって枢動可能に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の折り畳み構造。
【請求項4】
前記枢動軸及び前記第1構成部品及び前記第2構成部品の摺動面又は前記構成部品と枢動軸の接続箇所において、
各接合箇所に鋼球又は樹脂材等の摺動時の摩擦抵抗を低減させる効果のある部品を備えた請求項1~3のいずれか項1に記載の折り畳み構造。
【請求項5】
折り畳み可能な自転車であって、
フロントホイールと接続されるフロントフォークと、
リアホイールと接続されるリアフレームと、
前記フロントフォークと前記リアフレームを保持するメインフレームを有し、
前記メインフレームと前記リアフレームの接合部において請求項1~4のいずれか1項に記載の折り畳み構造を備えた折り畳み自転車
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み自転車に使用される折り畳み構造であって、収納時の大きさをできるだけ小さくするため、折り畳み時におけるフレームとタイヤ又はフレーム同士の干渉をより効率的に回避させることを可能とする、折り畳み自転車の折り畳み構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の折り畳み自転車に多く採用されている折り畳み構造には、メインフレームに折り畳みヒンジを設け横方向に2つ折りにされる構造と、メインフレームとリアフレームの間に取り付けられたヒンジによってリアフレームを下方から前方に枢動させ折りたたむ構造の2つがある。
【0003】
この2つの構造を比較すると、2つ折り構造はホイールとメインフレームの距離が折り畳み時でも変化しないため、折り畳み収納時の大きさを小さくする点において不利であるが、リアフレームを枢動させ折り畳む構造は、リアホイールとメインフレームの距離を縮めることが出来るため、2つ折り構造よりも収納時の大きさを比較的小さくすることが出来る。
【0004】
リアフレームを枢動させ折り畳む構造において、メインフレームとリアフレームの間にあるヒンジの枢動軸がメインフレーム長手方向に対し直角に取り付けられた場合、リアフレームの枢動軌道上にメインフレームが重なり、メインフレームとリアフレームが必ず干渉することになるため、リアフレームを枢動させ折り畳む構造を持った折り畳み自転車は収納時の大きさが高さ方向に大きくなる問題がある。
【0005】
この問題を解決するため、特許文献1のようにヒンジの枢動軸をメインフレーム長手方向に対し斜めに配置することにより、リアフレームの枢動軌道上からメインフレームを逸らすことで干渉を避けることが出来るが、ヒンジの枢動軸を斜めに配置することで、収納状態においてメインフレームとリアホイールの角度が横方向に開いてしまうため、収納時の大きさが横方向に大きくなる問題がある。
【0006】
これらの問題を解決するため、特許文献2ではメインフレームとリアフレームの間のヒンジに円筒状の外部材と横方向に摺動可能な内部材を設けることで、メインフレームとリアホイールの角度を維持しつつリアフレームの枢動を可能にし、さらに、各部材に設けた螺旋状の溝と突出部によって、軸方向と円周方向の同時操作を容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-91586号公報
【特許文献2】特表2017-525498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記折り畳みにおける干渉の問題と収納時の大きさの問題は、特許文献2に記載の折り畳み構造でおおよそ解決されているが、螺旋状の溝と突出部との接触面積が小さいことから、摩耗による部品寿命の低下が想定される。
【0009】
本発明は上記折り畳みにおける干渉の問題と収納時の大きさの問題を解決することに加え、摩耗による部品寿命の低下を抑えた折り畳み構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る折り畳み構造は、第1・第2部品1・2と枢動軸3の3つの部品によって構成される。
【0011】
第1・第2部品1・2は
図1に示すように螺旋状の摺動面4をもったコイル形状又は円筒形状であり、第1・第2部品1・2はそれぞれ折り畳み構造によって分割される第1・第2フレーム5・6が任意の位置に接続される。
【0012】
第1・第2部品1・2は
図2のように互いの摺動面4が向き合うように配置され、枢動軸3によって枢動可能に接続される。
【発明の効果】
【0013】
図2に示すような状態から第1・第2部品1・2のどちらか一方を円周方向に作動させると、第1・第2部品1・2の互いの摺動面4が干渉し合い、
図3に示すように、作動させた部品が軸方向へ移動することによって、折り畳み時にフレーム同士の干渉を効率よく回避することが出来る。
【0014】
第1・第2部品1・2が
図1に示す形状の場合、第1・第2部品1・2は常に1周分以上の摺動面4が接触しているため、折り畳み操作時にヒンジにかかる荷重を効率よく分散させ、摩耗による部品寿命の低下を防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る第1・第2部品の構造を示すアイソメ図である。
【
図2】本発明に係る折り畳み構造の組付け図である。
【
図3】
図2の状態からの作動後の状態を示すアイソメ図である。
【
図4】実施形態の例における第1部品の形状を示すアイソメ図である。
【
図5】実施形態の例における第2・第3部品の形状を示すアイソメ図である。
【
図6】実施形態の例における折り畳み構造の組み付け図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の折り畳み構造を折り畳み自転車におけるメインフレームとリアフレームの間に取り付けることを想定した場合に考えられる形状の一例を説明する。
【0017】
ここで説明する折り畳み構造は第1・第2・第3部品11・12・13と枢動軸14の、4つの部品によって構成される。
【0018】
第1部品11は
図4に示すように、螺旋形状の端面17を両端面に有する円筒形状であり、第1部品11はメインフレーム15と接続される。
【0019】
第2・第3部品12・13はそれぞれ
図5に示すように、螺旋形状の端面17を片方に有する円筒形状であり、互いの螺旋形状の端面17が向かい合うように配置され、リアフレーム16と接続されることで、その位置関係が拘束される。
【0020】
図6に示すように、第1部品11は第2・第3部品12・13の間に収まるように配置され、枢動軸14よって枢動可能に接続される。
【0021】
これにより、第1部品11と第2・第3部品12・13が円周方向に作動すると、それぞれの螺旋形状の端面17が干渉し合い、円周方向と同時に軸方向への作動が可能となる。
【符号の説明】
【0022】
1 第1部品
2 第2部品
3 枢動軸
4 摺動面
5 第1フレーム
6 第2フレーム
11 実施形態の例における第1部品
12 実施形態の例における第2部品
13 実施形態の例における第3部品
14 実施形態の例における枢動軸
15 実施形態の例におけるメインフレーム
16 実施形態の例におけるリアフレーム
17 実施形態の例における螺旋形状の端面