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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113095
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】止血装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/132 20060101AFI20230807BHJP
   A44B 99/00 20100101ALI20230807BHJP
【FI】
A61B17/132
A44B99/00 611M
A44B99/00 601Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015267
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】300021013
【氏名又は名称】オルバヘルスケアホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】322000018
【氏名又は名称】美濃島工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142136
【弁理士】
【氏名又は名称】深澤 潔
(72)【発明者】
【氏名】美濃島 正浩
(72)【発明者】
【氏名】本田 佳範
(72)【発明者】
【氏名】樋口 高志
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD42
4C160DD43
(57)【要約】
【課題】駆血の際に締め付け力の調整を容易にすることができる止血装置を提供すること。
【解決手段】
止血帯10は、人体に接する面11Aを有する基部11と、基部11に一端が接続されて一方向に伸びる第一ベルト12と、基部11に一端が接続され、他端側が第一ベルト12の反対側へ伸びる第二ベルト13と、基部11の面11Aの反対側に突出して配された固定ラチェット部15と、固定ラチェット部15に対して一方向のみに回転可能な回転ラチェット部16と、を有するラチェット機構17と、第一端部18aが第一ベルト12及び第二端部18bが第二ベルト13とそれぞれ接続され、途中部分が回転ラチェット部16に巻回される締付ベルト18と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に接する面を有する基部と、
該基部に一端が接続されて一方向に伸びる第一ベルトと、
前記基部に一端が接続され、他端側が前記第一ベルトの反対側へ伸びる第二ベルトと、
前記基部の前記面の反対側に突出して配された固定ラチェット部と、該固定ラチェット部に対して一方向のみに回転可能な回転ラチェット部と、を有するラチェット機構と、
第一端部が前記第一ベルト及び第二端部が前記第二ベルトとそれぞれ接続され、途中部分が前記回転ラチェット部に巻回される締付ベルトと、
を備えた止血装置。
【請求項2】
前記固定ラチェット部が頂部を有する円柱状に形成されるとともに固定側ラチェット爪が前記頂部の周方向に配され、
前記回転ラチェット部が前記頂部と対向する底部を有した円筒状に形成されるとともに、前記固定側ラチェット爪と噛合される回転側ラチェット爪が前記底部の回転中心まわりに配された請求項1に記載の止血装置。
【請求項3】
前記底部の回転中心に凸部が配され、
前記頂部に前記凸部が嵌合される凹部が配された請求項1又は2に記載の止血装置
【請求項4】
前記回転ラチェット部に一対の取付部が形成され、
前記締付ベルトが、前記第一ベルトと接続された前記第一端部に対して他端側が一方の前記取付部と接続された第一締付ベルトと、前記第二ベルトと接続された前記第二端部に対して他端側が他方の前記取付部と接続された第二締付ベルトと、を備える請求項1から3の何れか一つに記載の止血装置。
【請求項5】
前記締付ベルトが券回される溝が前記回転ラチェット部の外周面に沿って配された請求項1から4の何れか一つに記載の止血装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止血装置に関する。
【背景技術】
【0002】
足や腕等の肢に素早く装着して外傷等による失血を最小限に抑える止血帯として、患者の肢まわりにループを形成し、大まかな周囲長調整を行った後、バックル機構により患者の肢を囲う止血帯のループの張力を維持するものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この止血帯20によれば、巻取部材58をねじり棒として用い、リボン状部材50をよじって巻き上げ、少なくともバックル26とループ29との間においてリボン状部材50を実質的に短縮することにより、バックルのピン40が1対の穴34に嵌まってベースライン量の張力が生じた後にさらに止血帯20を締め上げることによって駆血することができる。この際、巻取部材58を回転してリボン状部材50を巻き上げた際、保持具60に固定することによって巻取部材58が巻き戻されないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2019-535363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の駆血による止血帯20の場合、巻取部材58を保持具60に固定する際、ストラップ22に沿う方向にしか固定することができず、駆血部位によっては締め付け力が過大又は過少となる場合がある。また、締め付け力が過大になった場合、これを解除するにも過大な力が必要となる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、駆血の際に締め付け力の調整を容易にすることが可能な止血装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る止血装置は、人体に接する面を有する基部と、該基部に一端が接続されて一方向に伸びる第一ベルトと、前記基部に一端が接続され、他端側が前記第一ベルトの反対側へ伸びる第二ベルトと、前記基部の前記面の反対側に突出して配された固定ラチェット部と、該固定ラチェット部に対して一方向のみに回転可能な回転ラチェット部と、を有するラチェット機構と、第一端部が前記第一ベルト及び第二端部が前記第二ベルトとそれぞれ接続され、途中部分が前記回転ラチェット部に巻回される締付ベルトと、を備えている。
【0008】
また、本発明に係る止血装置は、前記固定ラチェット部が頂部を有する円柱状に形成されるとともに固定側ラチェット爪が前記頂部の周方向に配され、前記回転ラチェット部が前記頂部と対向する底部を有した円筒状に形成されるとともに、前記固定側ラチェット爪と噛合される回転側ラチェット爪が前記底部の回転中心まわりに配されている。
【0009】
また、本発明に係る止血装置は、前記底部の回転中心に凸部が配され、前記頂部に前記凸部が嵌合される凹部が配されている。
【0010】
また、本発明に係る止血装置は、前記回転ラチェット部に一対の取付部が形成され、前記締付ベルトが、前記第一ベルトと接続された前記第一端部に対して他端側が一方の前記取付部と接続された第一締付ベルトと、前記第二ベルトと接続された前記第二端部に対して他端側が他方の前記取付部と接続された第二締付ベルトと、を備えている。
【0011】
また、本発明に係る止血装置は、前記締付ベルトが券回される溝が前記回転ラチェット部の外周面に沿って配されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、駆血の際に締め付け力の調整を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る止血帯の概要を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る止血帯の固定ラチェット部を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る止血帯の回転ラチェット部を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る止血帯の回転ラチェット部を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る止血帯の回転ラチェット部への締付ベルトの取付状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る一実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
本実施形態に係る止血帯(止血装置)10は、不図示の人体に接する面11Aを有する基部11と、基部11に一端が接続されて一方向に伸びる第一ベルト12と、基部11に一端が接続され、他端側が第一ベルト12の反対側へ伸びる第二ベルト13と、基部11の面11Aの反対側に突出して配された固定ラチェット部15と、固定ラチェット部15に対して一方向のみに回転可能な回転ラチェット部16と、を有するラチェット機構17と、第一端部18aが第一ベルト12及び第二端部18bが第二ベルト13とそれぞれ接続され、途中部分が回転ラチェット部16に巻回される締付ベルト18と、を備える。
【0015】
基部11は、平板状に形成され、人体の部位に接する面11Aとその反対側の固定ラチェット部15が載置された面11Bとが表裏それぞれに配されている。基部11は、締付時に固定ラチェット部15が沈降しない程度及び部位に接した状態で人体に痛みを与えない程度の硬さの材質が選定される。
【0016】
第一ベルト12の他端側にはコキ20が設けられている。一方、第二ベルト13の他端側は自由端となっている。第二ベルト13の表面には面ファスナー21が配されており、第二ベルト13がコキ20を貫通して折り返された状態で面ファスナー21同士が接着することにより第二ベルト13の他端側が自身に固定されるようになっている。面ファスナー21の基部11側には、第二ベルト13と面ファスナー21との間に締付ベルト18が挿通可能な開口部21Aが形成されている。
【0017】
固定ラチェット部15は、略円柱状に形成されている。この頂部15Aには、複数の固定側ラチェット爪22が周方向に配されている。各固定側ラチェット爪22は、頂部15A側から見たときに中心を一つの頂点とする三角形状に、また、側面側からみて頂部側にかつ回転方向側に漸次突出していく形状に形成されている。
【0018】
回転ラチェット部16は、固定ラチェット部15の頂部15Aと対向する底部16Aを有した円筒状に形成されている。底部16Aには、固定側ラチェット爪22と噛合される回転側ラチェット爪23が底部16Aの回転中心Cまわりに固定側ラチェット爪22と同数配されている。各回転側ラチェット爪23は、固定側ラチェット爪22に対応するように、回転中心Cを一つの頂点とする三角形状に、また、側面側からみて底部16A側にかつ回転方向側に漸次没入していく形状に形成されている。
【0019】
底部16Aの回転中心Cには凸部25が配され、固定ラチェット部15の頂部15Aには、凸部25が嵌合した状態で回転ラチェット部16が固定ラチェット部15に対して回転可能に凹部26が配されている。また、回転ラチェット部16には、スリット状の一対の取付部27が形成されている。
【0020】
回転ラチェット部16の外周面には、締付ベルト18が巻回可能な溝16Bが周方向に配されている。回転ラチェット部16の表面には、不図示の駆動棒が挿入される孔28Aが配された係合部28が配されている。
【0021】
締付ベルト18は、第一ベルト12と接続された第一端部18aに対して他端側が一方の取付部27と接続された第一締付ベルト30と、第二ベルト13と接続された第二端部18bに対して他端側が他方の取付部27と接続された第二締付ベルト31と、を備えている。
【0022】
第一締付ベルト30は第一ベルト12よりも幅細に形成されている。同様に、第二締付ベルト31は第二ベルト13の開口部21Aに挿通可能なように第二ベルト13よりも幅細に形成されている。第一締付ベルト30の第一端部18aは、第一ベルト12の表面に接続されている。第二締付ベルト31の第二端部18bは、開口部21Aから面ファスナー21内に挿通されて第二ベルト13の表面に接続されている。
【0023】
次に、本実施形態に係る止血帯10の作用について使用方法とともに説明する。
まず、押圧すべき部位の表面に基部11の面11Aを配置した後、第二ベルト13の他端を第一ベルト12のコキ20に通して折り返し、十分締め付けた状態で面ファスナー21同士を接着させて固定する。
【0024】
次に、回転ラチェット部16の凸部25を固定ラチェット部15の凹部26に嵌合するとともに、固定側ラチェット爪22と回転側ラチェット爪23とを噛合する。続いて、不図示の駆動棒を係合部28の孔28Aに挿入した状態で回転中心Cまわりに回転ラチェット部16を固定ラチェット部15に対して回転する。このとき、第一締付ベルト30が第一ベルト12を及び第二締付ベルト31が第二ベルト13をそれぞれ基部11側に牽引しながら回転ラチェット部16の溝16Bに巻回される。
【0025】
ここで、締付ベルト18の張力により、回転ラチェット部16が逆方向に回転しようとするものの、回転側ラチェット爪23と固定側ラチェット爪22とが噛合されることによって回転ラチェット部16の逆方向への回転が規制され、締め付け状態が維持される。こうして駆動棒を係合部28から取り外して駆血が完了する。
【0026】
駆血の必要がなくなり圧力を解放する場合には、不図示の駆動棒を係合部28の孔28Aに挿入した状態で回転ラチェット部16を回転中心C方向に引き抜いて固定ラチェット部15から取り外すことにより、回転側ラチェット爪23と固定側ラチェット爪22との噛合状態が解消されて締め付け状態を解除する。
【0027】
この止血帯10によれば、回転ラチェット部16を固定ラチェット部15に取り付けた状態で一方向に回転させることにより、締付力を発生して部位への締め付け状態を維持することができ、駆血することができる。
【0028】
この際、固定側ラチェット爪22が固定ラチェット部15の頂部の周方向に配され、回転側ラチェット爪23が回転ラチェット部16の底部16Aの回転中心まわりに配されているので、回転ラチェット部16を固定ラチェット部15に取り付けて回転中心Cまわりに回転させる操作だけで止血帯としての機能を発揮させることができる。また、解除の際も回転ラチェット部16を固定ラチェット部15から取り外すだけで行うことができる。
【0029】
さらに、凸部25と凹部26とが嵌合された状態で回転ラチェット部16を固定ラチェット部15に取り付けられるので、回転途中で回転ラチェット部16が固定ラチェット部15に対してずれたり脱落したりするのを好適に抑えることができる。
【0030】
また、締付ベルト18が第一ベルト12と第二ベルト13とに分割されているので、取り扱いやメンテナンスを容易にすることができる。
【0031】
また、締付ベルト18券回される溝16Bが回転ラチェット部16の外周面に沿って配されるので、操作時に締付ベルト18が邪魔にならないようにすることができる。
【0032】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、締付ベルト18が、第一締付ベルト30と第二締付ベルト31とを備えているがこれに限らない。例えば、締付ベルトが連続して構成され、固定ラチェット部15に対して回転ラチェット部を回転可能に回転ラチェット部を貫通するよう設けられていてもよい。この場合も回転ラチェット部を回転することによって、上記実施形態と同様の作用効果を生じることが可能となる。
【0033】
また、回転側ラチェット爪23及び固定側ラチェット爪22の数や高さ/深さは、必要な締付力や調整度合いに応じて決定される。さらに、駆血時に不図示の駆動棒を係合部28の孔28Aに挿入した状態で回転中心Cまわりに回転ラチェット部16を固定ラチェット部15に対して回転するとしているが、駆動棒によらず例えば筆記具を挿通させる等、他の方法で回転ラチェット部16を回転させても構わない。また、必要に応じて第一ベルト12の表面に面ファスナー21が配されていても構わない。
【符号の説明】
【0034】
10 止血帯
11 基部
12 第一ベルト
13 第二ベルト
15 固定ラチェット部
15A 頂部
16 回転ラチェット部
16A 底部
17 ラチェット機構
18 締付ベルト
18a 第一端部
18b 第二端部
22 固定側ラチェット爪
23 回転側ラチェット爪
25 凸部
26 凹部
27 取付部
30 第一締付ベルト
31 第二締付ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る止血装置は、人体に接する面を有する基部と、該基部に一端が接続されて一方向に伸びる第一ベルトと、前記基部に一端が接続され、他端側が前記第一ベルトの反対側へ伸びる第二ベルトと、前記基部の前記面の反対側に突出して配された固定ラチェット部と、該固定ラチェット部に対して一方向のみに回転可能な回転ラチェット部と、を有するラチェット機構と、第一端部が前記第一ベルト及び第二端部が前記第二ベルトとそれぞれ接続され、途中部分が前記回転ラチェット部に巻回される締付ベルトと、を備え、前記基部と前記第一ベルトと前記第二ベルトとが一体に形成され、前記締付ベルトが前記第一ベルト及び前記第二ベルトよりも幅細の帯状に形成されている
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
人体に接する面を有する基部と、
該基部に一端が接続されて一方向に伸びる第一ベルトと、
前記基部に一端が接続され、他端側が前記第一ベルトの反対側へ伸びる第二ベルトと、
前記基部の前記面の反対側に突出して配された固定ラチェット部と、該固定ラチェット部に対して一方向のみに回転可能な回転ラチェット部と、を有するラチェット機構と、
第一端部が前記第一ベルト及び第二端部が前記第二ベルトとそれぞれ接続され、途中部分が前記回転ラチェット部に巻回される締付ベルトと、
を備え
前記基部と前記第一ベルトと前記第二ベルトとが一体に形成され、
前記締付ベルトが前記第一ベルト及び前記第二ベルトよりも幅細の帯状に形成されている止血装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
前記底部の回転中心に凸部が配され、
前記頂部に前記凸部が嵌合される凹部が配された請求項に記載の止血装置