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  • 特開-にんにくの熟成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113120
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】にんにくの熟成方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20230807BHJP
   A23B 7/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A23L19/00 C
A23B7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022210872
(22)【出願日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2022025133
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022200621
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596028871
【氏名又は名称】▲高▼木 征一
(71)【出願人】
【識別番号】511010646
【氏名又は名称】宮坂 寿広
(71)【出願人】
【識別番号】522066997
【氏名又は名称】本橋 重兵衛
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 征一
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 寿広
(72)【発明者】
【氏名】本橋 重兵衛
【テーマコード(参考)】
4B016
4B169
【Fターム(参考)】
4B016LC03
4B016LE02
4B016LE03
4B016LE04
4B016LG09
4B016LK03
4B016LK04
4B016LK06
4B016LP01
4B016LP03
4B016LP05
4B016LP10
4B016LP11
4B016LP13
4B169AB04
4B169CA01
4B169CA04
4B169CA05
4B169HA01
4B169KA01
4B169KB01
4B169KB03
4B169KC33
4B169KC34
4B169KD05
(57)【要約】
【課題】にんにくの熟成方法について、根止めの方法、熟成の方法について所要日数の短縮化、保管の方法については変色対策の改善が求められている。
【解決手段】根止めについては数日の冷凍、急速冷凍によって根止めが出来る。熟成の方法についてはカビ発生防止対策の上、常温で保管し熟成させ、1ケ月以内程度に短縮できる。保管については所謂メイラード反応による褐色化について、冷凍保管とし、酸素と遮断するため、酸素バリヤ包装袋に脱酸素剤を入れて包装を行い防止できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍または急速冷凍により根止めを行い、常温によって熟成を行うにんにくの熟成方法
【請求項2】
請求項1の常温による熟成方法において、根止め後の常温熟成の開始時において、約60℃の湯に短時間漬ける方法、熱風に短時間曝す方法、酢などの酸性液に短時間漬ける方法、重量パーセント70~80%のエタノールによる方法などによるカビ防止によるにんにくの熟成方法
【請求項3】
請求項2のカビ対策後はクリーンルームなどの清浄な雰囲気の中で、速やかにプラスチック袋に袋詰めを行う一連のライン機によるにんにくの熟成方法
【請求項4】
請求項1のにんにくの熟成方法により熟成したにんにくを冷凍保存するにんにく熟成方法
【請求項5】
請求項4において、にんにくの冷凍保管を酸素バリヤ性の高い袋に入れ、脱酸素剤を入れて真空密閉したにんにくの熟成方法
【請求項6】
請求項1のにんにくの熟成方法による熟成にんにくをパウダー加工を行い、これをカプセルに封入したカプセルまたはこれを成型加工した錠剤
【請求項7】
請求項1のにんにくの熟成法によったにんにくを擦りおろし、または刻んだ、オリーブ油などと混ぜ合わせ、チューブ詰めまたは瓶詰にした製品
【請求項8】
請求項1のにんにくの熟成法によったにんにくを摺りおろし、2時間待ってオリーブオイルなどの植物油を添加し、5日間静置して作るアホエンオイル
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明はにんにくの熟成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
にんにくは健康に有用な食材として種々の加工方法により、活用されている。近年、にんにくを加熱熟成させて、より有効な成分を生じさせる方法が行われている。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献】
【特許文献】実用新案出願公開 昭和57-182026 実用新案出願公開 昭和61-199261 特許公開 平成2-161078 特許60355477 特願2022-25133 令和4年11月29日提出の特許出願
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の黒にんにくの熟成方法は約80℃で約30日加熱熟成させる方法である。次に開発された琥珀にんにくは45℃~65℃の条件で1ないし2週間に渡って温蔵する方法である。黒人にんにくの熟成方法は、加熱熟成によりにんにくの有効成分である揮発性のアリシンは減少し、にんにく臭が無くなる。生にんにくを切るとアリナーゼ酵素が働いて発生するアリシンはナチュラルキラー細胞を活性化させる働きが認められている。従来の黒にんにくの熟成方法は、この成分が減少する。また、S-アリルテインの発生量は少ない。この対策として発明者等は冷凍、冷蔵による低温熟成の方法を考案し、特許60355477が認められた。しかしながら、にんにくの根止めについて、冷凍期間が1ケ月と長く、改善が必要であった。にんにくの熟成については特許60355477において、冷蔵保管による熟成方法であったが、数か月の冷蔵期間は長すぎるため、この改善が必要であった。低温熟成した方法で熟成製造した製品は在庫生産し、長期間保管したところ、褐色となり、乾燥して硬くなり、結局廃棄処分した。店頭販売したところ、褐色になり、カビが発生し、廃棄処分した。当時はこの対策について、解決法が無く、生産、販売上の重要なネックとなった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
冷凍による根止めについて、これまでと異なる条件下での実験を新たに重ねた結果、最短で1日の冷凍でもその後の熟成を開始することを確認した。熟成の方法については、特許60355477の発案の基となった冷蔵庫でのオレンジ色発色の発見という事実から抜け出せなかったが、これまでの固定した考えから抜け出し、新たにもっと高い温度での熟成の可能性に気づき、常温での熟成実験を開始した。その結果、驚いた事に、18℃~22℃程度の常温で、約10日間でオレンジ色への変化が始まり、約1ケ月以内に熟成が完了することを実験で発見した。綺麗なオレンジ色から褐色に変色する原因は熟成の途中で起こる糖とアミノ酸の間の科学反応「メイラード反応」(褐色反応)である。そして「褐色物質(メラノイジン)」を作り出す。メイラード反応を抑制する手段は低温と酸素の遮断である。即ち、常温熟成により、オレンジ色に発色した後、再び冷凍し、酸素を遮断するとメイラード反応は抑制できるのである。また真空包装用袋に脱酸素剤を入れて、酸素を遮断し、メイラード反応を抑制する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の熟成にんにくは綺麗なオレンジ色の発色となり、黒にんにくや琥珀にんにくとは全く異なる魅力的な熟成にんにくを作ることが出来る。
本発明の製造方法は、数日の冷凍により、根止めを行い、約1ケ月以内に常温熟成する方法であり、製造時間を大幅に短縮できる。常温熟成させてオレンジ色に発色させた後、脱酸素剤をいれた真空パックの袋にいれて冷凍する事によって、メイラード反応を強力に抑制する事が出来る。このため、製造過程における在庫品の劣化を防ぎ、物流、商流過程における劣化を防ぐ事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は本発明の製造工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
初めに根止め工程について述べる。にんにくの根止めの方法は冷凍による方法と急速冷凍による方法、加熱による方法が出来る。冷凍による方法は特許60355477に於いては零下10℃以下の温度条件で約1ケ月凍結と記載した。最新の実験により、約マイナス20℃の温度条件の冷凍で数日でも、その後の熟成する事を発見した。根止めの方法としては液体窒素などにより急速冷凍による方法も出来る。輸出品の製造の場合、植物の種、微小な昆虫の混入対策などで急速冷凍による方法が必要になる可能性があり、採用の可能性がある。特許60355477に於いては約10℃~11℃の冷蔵温度で約2ケ月熟成させる方法を記載した。この根止め後の熟成について、カビ発生対策の上、常温(約18℃~20℃)の条件下で約10日間で熟成を開始し、1ケ月以内にオレンジ色に熟成出来る事を発見した。常温熟成の際のリスクはカビの発生である。カビの発生対策としては、60℃以上の熱湯に短時間漬ける方法、熱風に曝す方法、酢などの酸性液に漬ける方法、重量パーセント70~80%のエタノールによる方法などがある。カビ対策後処理後はカビを含まない雰囲気の中で速やかにプラスチック袋に袋詰めが必要となる。酸素バリア性の高い真空パック袋を使用し、脱酸素剤を入れる事でカビ発生を防ぐ事ができる。袋入り餅は酸素バリア性の高い真空パック袋を使用し、脱酸素剤によってカビを防止している。大量生産の場合、カビ対策と袋詰めはクリーンルームなどの清浄な雰囲気の中での一連のライン機による製造が望ましい。60℃以上の空気雰囲気中でのライン作業の方法がある。次に在庫保管方法について述べる。特許60355477による製品化においては常温保管であった。しかし、褐色化が進み、乾燥による劣化も進み問題があった。この対策として、冷蔵庫保管によってこれらの対策とする。更にメイラード効果による褐色化を防止するため、脱酸素剤をいれた袋に密閉収納する。脱酸素剤(だつさんそざい)は、密閉容器の中を脱酸素状態にする薬剤である。鉄の酸化を利用して酸素を吸収するタイプが主流である。次に本発明の熟成方法による製品化について述べる。本発明の熟成方法による熟成にんにくをパウダー状に加工し、カプセルまたは錠剤にして提供する事が出来る。本発明の熟成にんにくを微塵切りやペースト状にしてオリーブ油等に入れると、熟成にんにくの変質を防ぐ事が出来、にんにく臭も減少する。これ等をチューブ容器や瓶詰にして提供できる。本発明の熟成にんにくを微塵切りやペースト状にした材料について、保健所にて細菌検査をしたところ、問題は無かった。65℃の湯に20~25分間、漬ける事で完全になるとの指導を受けた。前記のペースト状の材料に寒天などの食材を混練りしてゼリー状に加工し、納豆添付の醤油、味噌、ラーメンの麺、餃子の皮等に使用する。このオリーブ油付けの熟成にんにくをご飯に炊き込むと美味であり、免疫力を向上するご飯が出来る。にんにく卵黄に使用する事も出来る。黒酢に本発明工程による熟成にんにくを入れて黒酢にんにくも出来る。薬効成分アホエンを含むアホエンオイルという製品が提供されている。本発明の熟成にんにくを摺り下ろして2時間待って、その後にオリーブ等の植物オイルを添加し、室温で約5日間静置する方式で従来のアホエンオイルより更に薬効成分が高い製品を提供できる。
本発明の工程による熟成にんにくについて成分分析を行った結果を次に示す。
▲1▼ ジアルリトスルフイド
効能・ガン細胞の増殖を抑え、寿命のある正常な細胞に戻し、ガン細胞を消滅させる。
⇒本発明の熟成にんにくは生にんにくの3倍強に増加していた。
▲2▼ メチル・アリルリスルフイド
効能・血小板の凝集を最も強く抑える成分あり
発がんの抑制、ガン細胞の増殖を防ぐ
⇒本発明のにんにくは生にんにくの4倍強に増加していた。
▲3▼ ジアリルジスフイド
効能・ガン予防、抗血栓作用、血小板の凝集抑制、悪玉コレステロールの減少、血糖値を下げる、体力増強、疲労回復、免疫力を高めてウイルスを殺す
⇒本発明の熟成にんにくは生にんにくの3倍強に増加していた。
次に、にんにくのアリインは摺り下ろす事でアリシンに変化する。アリシンはオリーブ油など油性分と反応してアホエンというガン予防に効果のあるアホエンという薬効成分が出来る。
次に、最近注目されている薬効成分S-アリルステインの比較データは次の通りである。本発明の熟成方法による製品は「オレンジにんにく」として表示した。
図1