(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113123
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】自己遮蔽設計と付加製造部品を有するプリペイシェントコリメータ
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
A61B6/03 320H
A61B6/03 320M
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023004814
(22)【出願日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】17/591,099
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシュワナス・ナヤック
(72)【発明者】
【氏名】サイーシュ・シュリヤカント・ライカール
(72)【発明者】
【氏名】サンジェイ・ディアワ・パティル
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA32
4C093CA36
4C093EA14
4C093EA20
4C093FA16
(57)【要約】
【課題】自己遮蔽設計と付加製造部品を有するプリペイシェントコリメータを提供する。
【解決手段】CT撮像システム(10)のためのプリペイシェントコリメータ(13)は、複数の壁(74、76、78、80)の各壁(74、76、78、80)に沿って可変の厚さを有する複数の壁(74、76、78、80)を有する付加製造されたハウジング(62)を含む。プリペイシェントコリメータ(13)はまた、CT撮像システム(10)のX線源(14)から受信したX線ビームのサイズを決定するように構成された可変厚さと複数の開口部(140)を有する付加製造開口搬送プレート(64)を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮像装置用のプリペイシェントコリメータであって、
複数の壁を有し、複数の壁の各壁が可変の厚さを有する、付加製造されたハウジングと、
CT撮像システムのX線源から受信したX線ビームのサイズを決定するように構成された可変厚さと複数の開口部を有する付加製造された開口キャリアプレートと、
を含む、プリペイシェントコリメータ。
【請求項2】
複数の壁のうち少なくとも1つの壁は、内部に格子構造を有する、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項3】
複数の壁のうちの少なくとも1つの壁は、内部に中実構造を構成する、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項4】
複数の壁のうち少なくとも1つの壁は、内部に格子構造と中実構造の両方を含む、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項5】
複数の壁が、付加製造されたハウジングに取り付けられた追加の減衰材料なしに、統合されたギャップのないX線遮蔽を提供するように構成され、ギャップのないX線遮蔽が、複数の開口のうちの開口を通る以外にX線がプリペイシェントコリメータから出ないように構成される、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項6】
付加製造されたハウジングが、付加製造されたハウジングと一体の複数のリブを含み、付加製造されたハウジングに沿って均一な応力分布及び均一なたわみを提供するように構成される、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項7】
複数のリブは、複数の壁のうちの少なくとも2つの壁の少なくとも1つの縁に沿って延びる少なくとも1つのリブを含む、請求項6に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項8】
複数のリブは、X線源に直接面するように構成された複数の壁の壁に一体化されたリブのセットを含み、リブのセットは、X線源の回転中の遠心力によるたわみ及び応力を低減するように構成されている、請求項6記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項9】
複数の壁が、X線源に面するように構成された第1の壁と、第1の壁を挟む第2の壁及び第3の壁と、第1の壁に隣接して第2の壁と第3の壁との間に延びる第4の壁とを備え、
付加製造されたハウジングが、付加製造されたハウジングの内部空間に延び、第2及び第3の壁と一体化した第1の組の側部構造であって、プリペイシェントコリメータの機能部品に結合し支持するように構成された第1の組の側部構造を備え、
付加製造されたハウジングが、付加製造されたハウジングの内部空間に延び、第4の壁と一体化した追加の側部構造であってボウタイフィルタに結合するよう構成された追加の側部構造を備える、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項10】
付加製造された開口キャリアプレートが、複数のアパーチャを有するプレート部分と、プレート部分の長手方向端部にそれぞれ位置する複数の取付ブラケットとを含む、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項11】
各取付ブラケットは、プレート部分に対して垂直に延びる第1の部分と、プレート部分に対して平行に延びる第2の部分とを含む、請求項10に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項12】
各取付ブラケットの第2部分は、内部に格子構造を含む、請求項11に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項13】
プレート部分が内部に中実構造を構成する、請求項11に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項14】
プレート部がX線減衰材料を含む、請求項13に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項15】
付加製造された開口キャリアプレートが、センサプレートに直接結合するように構成される、請求項11に記載のプリペイシェントコリメータ。
【請求項16】
コンピュータ断層(CT)撮像システム用のプリペイシェントコリメータのコリメータハウジングであって、
複数の壁を備え、
複数の壁は、
プリペイシェントコリメータがCT撮像システムに結合されたときにX線源に面するように構成された第1の壁と、
第1の壁を挟む第2の壁及び第3の壁と、
第1壁に隣接する第2壁と第3壁の間に延在する第4壁と、
を含み、
コリメータハウジングは、一体型として付加製造される、コリメータハウジング。
【請求項17】
複数の壁のうち少なくとも1つの壁が内部に中実構造を含み、複数の壁のうち少なくとも1つの壁が内部に格子構造を含む、コリメータハウジング。
【請求項18】
複数の壁が、コリメータハウジングに取り付けられた追加の減衰材料なしに一体化された隙間のないX線遮蔽を提供するように構成され、隙間のないX線遮蔽が、CT撮像システムのX線源から受け取ったX線ビームのサイズを決定するための開口を介して、X線がプリペイシェントコリメータの開口以外から出ないように構成される、請求項16に記載のコリメータハウジング。
【請求項19】
コリメータハウジングに沿って均一な応力分布及び均一な撓みを提供するように構成された複数のリブを含む、請求項16に記載のコリメータハウジング。
【請求項20】
コンピュータ断層撮像システム用のプリペイシェントコリメーターの開口キャリアプレートであって、
X線源から受光したX線ビームのサイズを決定するように構成された複数の開口を有するプレート部と、
プレート部分の長手方向両端にそれぞれ配置された取付ブラケットと、
を備え、
プレート部分は内部に中実構造を含み、
各取付ブラケットは内部に格子構造を含み、
開口キャリアプレートは一体として付加製造される、開口キャリアプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用画像処理システムに関し、より詳細には、付加製造部品(additively manufactured components)を有するプリペイシェントコリメータ(pre-patient collimator)に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮像(CT)では、X線が被写体(患者など)に照射され,その一部が検出器に入射して画像データが収集される。デジタルX線システムでは、光検出器が、検出器表面の個別のピクセル領域に照射された放射線の量または強度を表す信号を生成する。この信号を処理して画像を生成し、それを表示して確認することができる。このようなシステムによって生成された画像では、患者の体内の構造および器官を識別し、検査することが可能である。CTシステムでは、一連の検出器要素またはセンサーを含む検出器アレイが、ガントリーが患者の周りを変位する際に様々な位置を通して同様の信号を生成し、体積の再構成を得ることができるようになっている。
【0003】
CT撮像システムは、関心のある被写体が意図された線量を受けることを保証するために、プリペイシェントコリメータを含むことができる。プリペイシェントコリメータのコリメータブレードは、オペレータによって設定されるように、スキャンのためにX線を透過させる適切な開口部又はアパーチャを形成するようにX線源の前で調整される。一般的なコリメータは、多数の金属および非金属の部品が連結またはボルト止めされたアセンブリで構成されている。低価格のCT撮像システム用のコリメータは、質量が大きく、製造コストが高く、設置面積も大きくなっている。そのため、コリメータは、鋳造、機械加工、板金加工といった従来の製造工程で製造され、精密さが要求され、複雑な組み立てが必要とされている。コリメーターの特性上、機能的な制約から部品を一定に構成する必要があるため、組立時間が長く(例えば11時間)、製品コストが高く、形状が複雑になっている。
【発明の概要】
【0004】
出願時に請求された請求の範囲に相応する特定の実施形態が以下に要約される。これらの実施形態は、請求された主題の範囲を制限することを意図しておらず、むしろこれらの実施形態は、主題の可能な形態の簡単な要約を提供することのみを意図している。実際、主題は、以下に示す実施形態と類似していても異なっていてもよい、様々な形態を包含することができる。
【0005】
一実施形態では、CT撮像システムのためのプリペイシェントコリメータが提供される。プリペイシェントコリメータは、複数の壁の各壁に沿って可変の厚さを有する複数の壁を有する付加製造されたハウジングを含む。プリペイシェントコリメータはまた、CT撮像システムのX線源から受信したX線ビームのサイズを決定するように構成された可変厚さと複数の開口とを有する付加製造された開口キャリアプレートを含む。
【0006】
別の実施形態では、CT撮像システム用のプリペイシェントコリメータのコリメータハウジングが提供される。コリメータハウジングは、複数の壁を含む。複数の壁は、プリペイシェントコリメータがCT撮像システムに結合されるときにX線源に面するように構成された第1の壁を含む。複数の壁は、第1の壁を挟む第2の壁と第3の壁とを含む。複数の壁は、第1の壁に隣接する第2の壁と第3の壁との間に延在する第4の壁を含む。コリメータハウジングは、単一ピースとして付加製造される。
【0007】
更なる実施形態では、CT撮像システム用のプリペイシェントコリメータの開口キャリアプレートが提供される。開口キャリアプレートは、X線源から受信したX線ビームのサイズを決定するように構成された複数のアパーチャを有するプレート部分を含む。また、開口キャリアプレートは、プレート部分の長手方向端部にそれぞれ配置された取付ブラケットを含む。プレート部分は、内部に中実構造を含み、各取付ブラケットは、内部に格子構造を含む。開口キャリアプレートは、単一のピースとして付加製造される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読むとよりよく理解されるであろうが、図面全体にわたって同種の文字は同種の部品を表している。
【
図1】本明細書のコンピュータ断層(CT)撮像システムの組み合わされた絵画的な図およびブロック図である。
【
図2】本開示の態様による、X線源および多列X線検出器の概略図である(例えば、X-Y平面で見た場合)。
【
図3】本開示の態様による、X線源および多列X線検出器の概略図である(例えば、Y-Z平面で見た場合)。
【
図4】本開示の態様による、プリントベッド上に配置されたコリメータの付加製造された部品の透視図である。
【
図5】本開示の態様による、コリメーターの付加製造された部品の壁の一部(例えば、中実構造(ソリッド構造))の断面図である。
【
図6】本開示の態様による、コリメーターの付加製造された部品の壁の一部(例えば、格子構造の)の断面図である。
【
図7】本開示の態様に従った、付加製造されたコリメータハウジングの異なる透視図である。
【
図8】本開示の態様に従った、付加製造されたコリメータハウジングの異なる透視図である。
【
図9】本開示の態様に従った、付加製造されたコリメータハウジングの異なる透視図である。
【
図10】本開示の態様に従った、付加製造されたコリメータハウジングの異なる透視図である。
【
図11】本開示の態様に従った、
図7~
図10のコリメータハウジングの応力プロットである。
【
図12】本開示の態様に従った、
図7~
図10におけるコリメータハウジングの変形プロットである。
【
図13】本開示の態様による、付加製造された開口キャリアプレートの透視図である。
【
図14】
図13の付加製造された開口キャリアプレートの側面図である。
【
図15】
図13の付加製造された開口キャリアプレートの一部を線A-Aに沿って撮像した断面図である。
【
図16】
図13の付加製造された開口キャリアプレートの取付ブラケットの一部を示す透視図である。
【
図17】本開示の態様に従った、アクチュエータに結合された
図13の付加製造キャリアプレートの取付ブラケットの透視図である。
【
図18】本開示の態様に従った、アクチュエータに結合された
図13の付加製造キャリアプレートの別の取付ブラケットの透視図である。
【
図19】本開示の態様による、コリメータハウジング内でボウタイフィルタアセンブリを移動させるための内蔵型アライメント機構の分解斜視図である。
【
図20】本開示の態様による、ボウタイフィルタアセンブリを内部に有し、内蔵型アライメント機構に結合されたコリメータハウジングの透視斜視図である。
【
図21】ボウタイフィルタアセンブリを内部に備え、
図20の内蔵型アライメント機構に結合された(例えば、ボウタイフィルタアセンブリをコリメータハウジングの第2の壁により近づけた)コリメータハウジングの正面図である。
【
図22】ボウタイフィルタアセンブリが
図20の内蔵型アライメント機構内にあり結合されている(例えば、ボウタイフィルタアセンブリがコリメータハウジングの第3の壁により近い)コリメータハウジングの前面図である。
【
図23】本開示の態様による、ボウタイフィルタアセンブリを内部に備え、内蔵型アライメント機構に結合された(例えば、ボウタイフィルタアセンブリをスキャン平面内に有する)コリメータハウジングの断面側面図である。
【
図24】ボウタイフィルタアセンブリを内部に有し、
図23の内蔵型アライメント機構に結合された(例えば、スキャン平面内にボウタイフィルタセンブリを有する)コリメータハウジングの透視図である。
【
図25】ボウタイフィルタアセンブリを内部に有し、
図23の内蔵型アライメント機構に結合された(例えば、スキャン平面の外側にボウタイフィルタアセンブリを有する)コリメータハウジングの断面側面図である。
【
図26】ボウタイフィルタアセンブリを内部に有し、
図23の内蔵型アライメント機構に結合された(例えば、スキャン平面の外側にボウタイフィルタアセンブリを有する)コリメータハウジングの透視図である。
【
図27】本開示の態様に従った、組み立てられたプリペイシェントコリメーターの透視図である。
【
図28】本開示の態様による、コリメータハウジング内でボウタイフィルタアセンブリを移動させるための別の内蔵型アライメント機構の分解斜視図である。
【
図29】本開示の態様による、ボウタイフィルタアセンブリを内部に備え、内蔵型アライメント機構に結合されたコリメータハウジングの前面透視図である(例えば、ボウタイフィルタアセンブリの横断方向の動きを図示する)。
【
図30】本開示の態様による、ボウタイフィルタアセンブリを内部に備え、内蔵型アライメント機構に結合されたコリメータハウジングの背面透視図である(例えば、ボウタイフィルタアセンブリの水平方向の動きを図示する)。
【
図31】本開示の態様に従った、組み立てられたプリペイシェントコリメーターの透視図である。
【
図32】本開示の態様による、コリメータハウジング内でボウタイフィルタアセンブリを移動させるための別の内蔵型アライメント機構の分解斜視図である。
【
図33】本開示の態様による、
図32の内蔵型アライメント機構のガイドピンをロック位置とロック解除位置との間で操作する様子を示す概略図である。
【
図34】本開示の態様による、組み立てられたプリペイシェントコリメーターの透視図である;および
【
図35】本開示の態様に従った、ボウタイフィルタをセンタリングするための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、1つまたは複数の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するための努力として、実際の実装のすべての特徴が本明細書に記載されているわけではない。任意のエンジニアリングまたは設計プロジェクトにおけるように、任意のそのような実際の実装の開発において、システム関連およびビジネス関連の制約への準拠など、開発者の特定の目標を達成するために、多数の実装固有の決定を行わなければならず、それは実装ごとに異なる場合があることを理解されたい。さらに、そのような開発努力は複雑で時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する通常の技術者にとって、設計、製作、および製造の日常的な事業であることを理解されたい。
【0010】
本主題の様々な実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、その要素が1つ以上存在することを意味することが意図される。用語「comprising」、「including」、及び「having」は、包括的であることを意図し、記載された要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。さらに、以下の議論における任意の数値例は、非限定的であることを意図しており、したがって、追加の数値、範囲、及びパーセントは、開示される実施形態の範囲内である。
【0011】
以下の議論の側面は、医用画像処理の文脈で提供されるかもしれないが、本発明の技術は、そのような医用への適用に限定されないことが理解されるべきである。実際、そのような医学的コンテキストにおける例及び説明の提供は、現実の実装及び応用の例を提供することによって説明を容易にするためだけである。しかしながら、本アプローチは、製造された部品又は商品の非破壊検査(すなわち、品質管理又は品質審査用途)、及び/又はパッケージ、箱、荷物等の非侵襲検査(すなわち、セキュリティ又はスクリーニング用途)に用いられる産業用コンピュータ断層撮影(CT)用の断層画像再構成等の他の文脈でも利用され得る。一般に、本アプローチは、X線ビームのサイズを制御するためにコリメータを利用する任意の撮像又はスクリーニングの状況又は画像処理分野において有用であり得る。
【0012】
本開示は、軽量のモノリシック(単一)構造で放射線自己遮蔽(radiation self-shielding)を含む付加製造部品を有するプリペイシェントコリメータを提供する。特に、プリペイシェントコリメータは、以下の付加製造された構成要素:コリメータハウジング、開口キャリアプレート、モータ取付プレート、及びセンサプレートを含んでもよい。コリメータケースは、コリメータの機能的構成要素(例えば、アクチュエータ、レールガイドなど)を支持するコリメータケース内に統合された(例えば、コリメータケースと一体的に形成された)複数の機能的特徴を含んでよく、これによりコリメータのフットプリントが減少される。コリメータケースはまた、構造的完全性のための統合された構造的特徴(例えば、リブ)を含み、それは機械的応力の均一な分配を支持するものである。壁又は壁の一部は、X線がコリメータから望ましくない場所に逃げないようにするためにX線ブロッキングが必要な場所に応じて、中実構造及び/又は格子構造を含んでもよい。例えば、X線遮断が必要とされるところでは、壁部は中実で厚いものであってもよい。X線ブロッキングが必要でない他の壁部は、コリメータハウジングの重量を減らすために、壁部は格子構造を含んでもよい。さらに、開口キャリアプレートは、複数の開口を含むプレート部分と、プレート部分の長手方向端部にそれぞれ配置された取付ブラケットとの両方を含む単一ピースとして付加製造される。プレート部分が中実構造を含む一方で、取付ブラケットの部分は格子構造を含んでもよい。
【0013】
付加製造部品を利用することにより、大幅な質量低減(例えば、典型的なコリメータ(例えば、低コストのコリメータ)と比較して70%の質量低減)、組立時間の短縮(例えば、典型的なコリメータと比較して50%)、コスト低減(例えば、典型的なコリメータと比較して25%)及び部品数の効率化(例えば、典型的なコリメータと比較して81%の総数の減少)が達成され得る。さらに、付加製造部品によるコリメータの質量の減少は、CT回転ガントリーの質量を減少させ、これは、ガントリー駆動によって消費される電力がより少ないことに変換され、運用コストの著しい減少(例えば、典型的なコリメータと比較して17~18パーセント)につながる可能性がある。さらに、一般的なコリメータとは対照的に、付加製造部品を利用したコリメータの設計は、異なるCTガントリ構造(異なるガントリのサイズ、異なる速度、異なるスキャンモードなど)で利用するために拡張可能である。プリペイシェントコリメータは、CT撮像システムの文脈で議論されているが、プリペイシェントコリメータは、従来のX線撮像アプリケーションでも利用することができる。
【0014】
上述の事項を念頭に置き、
図1を参照すると、一例として、CT撮像システム10が示されている。CT撮像システムは、ガントリ12を含む。ガントリ12は、ガントリ12の反対側にある検出器アセンブリ15に向かってX線のビーム16を投射するX線源14を有している。X線源14は、X線ビーム16の大きさを決定するプリペイシェントコリメータ又はコリメータアセンブリ13を通してX線ビーム16を投射する。検出器アセンブリ15は、コリメータアセンブリ18(ポストペイシェントコリメータアセンブリ)、複数の検出器モジュール20(例えば、検出器要素又はセンサ)、及びデータ取得システム(DAS)32を含む。複数の検出器モジュール20は、患者22を通過する投影X線を検出し、DAS32は、その後の処理のためにデータをデジタル信号に変換する。従来のシステムにおける各検出器モジュール20は、入射X線ビームの強度を表すアナログ電気信号を生成し、従って、患者22を通過する際に減衰したビームを生成する。X線投影データを取得するための走査の間、ガントリ12及びそれに取り付けられた構成要素は、撮像ボリュームに対する多数のビュー角度から減衰データを収集するように、回転中心25(例えば、アイソセンタ)を中心に回転する。
【0015】
ガントリー12の回転及びX線源14の動作は、CTシステム10の制御機構(control mechanism)26によって支配される。制御機構26は、X線源14に電力及びタイミング信号を供給するX線コントローラ28、プリペイシェントコリメータ13の開口の幅(従って、X線ビーム16のサイズ)を制御するコリメータコントローラ29、及びガントリ12の回転速度と位置を制御するガントリモータコントローラ30を含む。画像再構成器34は、DAS32からサンプリングされデジタル化されたX線データを受信し、高速再構成を実行する。再構成された画像はコンピュータ36への入力として適用され、コンピュータ36は画像を大容量記憶装置38に格納する。コンピュータ36はまた、コンソール40を介してオペレータからコマンド及び走査パラメータを受け取る。関連するディスプレイ42によって、オペレータはコンピュータ36からの再構成された画像及び他のデータを観察することができる。オペレータが供給したコマンド及びパラメータは、コンピュータ36によって、DAS32、X線コントローラ28、コリメータコントローラ29、及びガントリモータコントローラ30に制御信号及び情報を提供するために使用される。さらに、コンピュータ36は、患者22及びガントリ12を位置決めするために電動テーブル46を制御するテーブルモータコントローラ44を動作させる。特に、テーブル46は、ガントリ開口部又はボア48を通して患者22の一部を移動させる。
【0016】
全体的な撮像システム10に関する前述の議論を念頭に置き、
図2及び
図3に目を向けると、X線源14及び検出器アセンブリ15(例えば、複数の列50を有するX線検出器)の一例が、それぞれX-Y平面(
図2)及びY-Z平面(
図3)において図示されている。説明の便宜上、X線源14を有する回転ガントリ12は、
図1に示す位置から`ガントリの上方(+Y方向)に回転される。描かれているように、プリペイシェントコリメータ13は、X線源14と検出器アセンブリ15との間に配置され、X線ビーム52の形状を決定する。特に、(
図3に描かれているように)プリペイシェントコリメータ13の一対のコリメータブレード56の間の開口又はアパーチャ54は、X線ビーム52を形成する。患者走査のために意図されたX線ビーム52のサイズに対応する視野(FOV:field of view)24及びビーム幅58も図示されている。コリメータブレード56の正しい位置決めは、患者が正しい放射線量を受け、正しい領域がスキャンされることを保証するのに重要である。ブレード56の形状は、
図2及び
図3において異なる向きで示されている。例として、ブレード56は、XY平面において一般に湾曲しており、ビームサイズを決定するYZ平面において円形の前縁を有する。XY平面におけるブレードの形状は、平面および角度を含む他の多くの可能な形状があり、YZ平面における前縁の形状も、例えば、矩形または三角形であってよい。
【0017】
図4は、プリントベッド60上に配置されたプリペイシェントコリメーターの付加製造された部品(コンポーネント)の透視図である。
図4に描かれているように、コリメータの付加製造された構成要素は、コリメータハウジング62、開口キャリアプレート64、モータ取付プレート66、及びセンサプレート68を含む。特定の実施形態では、コリメータの他の構成要素が付加製造されてもよい(例えば、ボウタイフィルタ、ボウタイフィルタを収容するためのプレート又はカバー、コリメータハウジング62のためのカバープレート等)。プリントベッド上の付加製造された構成要素のレイアウトは、コリメータの構成要素の付加製造又は3次元(3D)印刷のためのレイアウト構成の一例である。他のレイアウト構成が利用されてもよい。各付加製造された構成要素は、(例えば、鉛の存在によって課せられる作業上の危険性を軽減するために)鉛を含まない材料で作られる。特定の実施形態において、構成要素は、金属材料で形成されてもよい(例えば、直接金属レーザー焼結を介して)。特定の実施形態では、付加製造部品の一部または全体は、
図5に描かれているように、中実構造(固体構造:solid structure)70で作られてもよい。例えば、センサプレート68の全体は、中実構造で作られている。中実構造体は、X線遮断において機能してもよい。特定の実施形態では、付加製造部品の一部または全体は、
図6に描かれているように、格子構造(lattice structure)72で作られてもよい。例えば、モータ取付プレート66の全体は、格子構造で作られている。格子構造により、軽量化を図ることができる。格子構造は、ハニカム構造等の格子構造を含んでいてもよい。以下に詳述するように、コリメータハウジング62および開口キャリアプレート64の一部は格子構造で作られており、他の部分は中実構造で作られている。
【0018】
図7~
図10は、付加製造されたコリメータハウジング62の異なる透視図である。コリメータハウジング62は、コリメータがガントリに結合されたときにX線源に面するように構成された第1の壁74、第1の壁74を挟む第2の壁76及び第3の壁78、並びに第1の壁74に隣接して第2の壁76と第3の壁78との間に延びる第4の壁80を含む複数の壁を含んでいる。各壁74、76、78、80は、壁74、76、78、80の少なくとも1つの縁(エッジ)84に沿って延びる構造リブ82(例えば、それぞれの壁74、76、78、80に一体化されている)を含む。例えば、第1の壁74は、縁部88の全体に沿って延在する単一の構造リブ86を含む。第2の壁76は、第1の縁部92の全体に沿って延びる(かつリブ86から延びる)第1の構造リブ90と、第2の縁部96の全体に沿って延びる(かつリブ90から延びる)第2の構造リブ94とを含んでいる。第3の壁86は、第1の縁100の全体に沿って延びる(及びリブ86から延びる)第1の構造リブ98と、第2の縁104の全体に沿って延びる(及びリブ98から延びる)第2の構造リブ102と、を含む。第4の壁80は、第2の壁76及び第3の壁78に隣接する縁部106の一部に沿って延在するリブ94及び102を含む。構造リブ86は、撓みを低減し、コリメータハウジング62の角部における応力集中を解消する。さらに、リブ82は、カバーがコリメータハウジング62に結合するための取付面を提供する。
【0019】
追加の構造リブ108(例えば、第1の壁74と一体)は、第1の壁74の内面上に配置され、コリメータハウジング62の内部空間110に向かって延びている。構造リブ108は、コリメータがガントリ及びX線源に結合されたときにX線源からX線ビームを受けるための開口112の周囲に延在する。特に、構造リブ108は、コリメータハウジング62が締結具(ファスナ)を介してX線源に結合されることを可能にする構造物114(例えば、第1の壁74と一体)の間に延在する。構造物114はまた、内部空間110に向かって延びている。構造リブ108は、管(X線源)の遠心力に起因するたわみ(偏向:deflection)及び応力(stress)の両方を低減する。構造リブ108はまた、コリメータハウジング62の剛性に寄与する。構造リブ108の設計は、付加製造の間、自己支持(自立:self-supporting)を維持する。
【0020】
コリメータハウジング62のたわみ及び応力に対する構造リブ86、108の効果は、
図11及び
図12に描かれている。
図11及び
図12は、それぞれ、コリメータハウジング62がガントリに結合され、ガントリの回転中に様々な負荷力を受けたときの、コリメータハウジング62の応力及び変形のプロットである。リブ86、108は、
図11に描かれているように、小さな領域にわたる局所的な応力のみで、コリメータハウジング62全体に均一な応力分布を付与している。リブ86、108はまた、
図12に描かれているように、コリメータハウジング62に均一で対称的な撓みを付与する。
【0021】
図7~
図10に戻ると、第1の壁74の内面に配置されたレセプタクル116(例えば、第1の壁74と一体)は、開口112を挟み、ボウタイフィルタアセンブリの移動用ガイドがそれらを通して延びることができるように構成されている。また、レセプタクル116は、内部空間110に向かって延びている。
【0022】
さらに、補強材(スティフナ:stiffeners)118(例えば、第4の壁80と一体である)は、第4の壁80の内面に配置される。描かれているように、補強材118は、Xパターンを形成している。補強材118によって形成されるパターンは、様々であってよい。補強材118は、コリメータハウジング62に剛性を付加又は提供する。さらに、補強材118は、製造及び後処理操作の間、コリメータハウジング62が反り及び収縮を回避することを可能にする。補強材118は、コリメータハウジング62がガントリー軸受に結合されることを可能にする構造体120(例えば、第4の壁80と一体)の間に延在する。構造体120のいくつかは、第2の壁76又は第3の壁78のいずれかの内面にも部分的に配置されている。構造物120はまた、内部空間110に向かって延びている。第4の壁80の内面上の追加の構造物122(例えば、第4の壁80と一体)は、内部空間110に向かって延び、ボウタイフィルタアセンブリをコリメータハウジング62に結合するための締結具を受けるように構成される。
【0023】
さらに、第2の壁76の内面上の側部構造124(例えば、第2の壁76と一体である)は、内部空間110に向かって延びている。側面構造124は、開口キャリアプレートの移動のために、レールガイド(例えば、レールガイドに直接)及びアクチュエータ(例えば、レールガイドを介してアクチュエータに間接的に)に結合するように構成されている。第3の壁78の内面に配置された側面構造126(例えば、第3の壁78と一体である)は、内部空間110に向かって延びている。側面構造126はまた、開口キャリアプレートの移動のために、レールガイド(例えば、レールガイドに直接)及びアクチュエータ(例えば、レールガイドを介してアクチュエータに間接)に結合するように構成されている。
【0024】
特定の実施形態では、壁74、76、78、及び100の内面から延びる構造物の一部は、異なる領域に配置されてもよいし、存在しなくてもよい。さらに、縁部に沿ったリブ82と、壁74、76、78、80から内部空間110に向かって延びる他の構造とにより、各壁74、76、78、80のそれぞれの厚さ128はその長さに沿って変化してもよい。また、第4の壁80のように、構造物やリブが配置されていない領域における特定の壁については、
図10に例示されるように、第4の壁の厚さ128が変化している。さらに、各壁74、76、78、及び80のそれぞれの厚さ128は、(構造物又はリブが配置されていない領域において)約3.5ミリメートル(これは、典型的なコリメータハウジングの壁の厚さの約5~35パーセントである)であってよい。
【0025】
さらに、コリメータハウジング62のいくつかの部分は、(
図5に描かれるように)中実構造で作られ、コリメータハウジング62のいくつかの部分は、(
図6に描かれるように)ラティス構造で作られる。第1の壁74に関しては、構造体114及びリブ108は中実構造で作られており、リブ88、レセプタクル(receptacles)116及び第1の壁の残りの部分は格子構造で作られている。第2の壁76に関して、側部構造124及びリブ90、94の第1の部分130(例えば、レールガイドに直接結合する部分)は、格子構造で作られている。側面構造124の第2の部分132(例えば、第2の壁76の内面に最も近い部分)及び第2の壁76の残りは、中実構造で作られている。第3の壁78に関して、第3の壁78のリブ98、102、側部構造126、及び角部134は、格子構造とされる。第3の壁78の残りの部分は、中実構造にされている。第4の壁80に関して、縁106に沿ったリブ94,102の部分は、格子構造にされている。第4の壁80の残りの部分(補強材118、構造体120、及び構造体122を含む)は、中実構造で作られている。
【0026】
壁74、76、78、及び80の一部における中実構造の利用は、コリメータハウジング62に追加の減衰材料を取り付ける必要なしに、統合された隙間のないX線遮蔽を提供する。ギャップレスX線遮蔽は、開口キャリアプレート64のアパーチャを通さない限り、X線がプリペイシェントコリメータから出るのを防ぐ。格子構造の利用により、コリメータハウジング62及びコリメータを軽量化することができる。例えば、コリメータハウジング62は、典型的なコリメータハウジングの約23.5パーセントである約3.3キログラム(kg)の重量を有することができる。加えて、コリメータハウジング62及びコリメータのフットプリントが減少する。コリメータのフットプリント及び重量が減少しているため、コリメータは片手で取り扱うことができ、コリメータをガントリに結合する際に容易にトルクをかけることができる。
【0027】
図13及び
図14は、付加製造された開口キャリアプレート64の斜視図である。開口キャリアプレート64は、プレート部分136と取付ブラケット(取付金具)138とが一体化されたものを含む。プレート部分136は、異なる幅142を有する複数の開口部140を含む。どの開口部140が発光-放射中に利用されるかは、コリメータから放射されるX線ビームの大きさを決定する。プレート部分136は、その長さに沿って厚さ143が変化している。プレート部分136は、
図15に描かれているように、(X線減衰のための)中実構造で作られている。
図13及び
図14に戻ると、取付ブラケット138は、プレート部分136の長手方向の端部144、146に配置されている。各取付ブラケット138は、プレート部分136に対して垂直に延びる第1の部分148と、プレート部分136に対して平行に、かつ他方の取付ブラケット138に向かって延びる第2の部分150とを含む。これらの部分はX線減衰にとって重要ではないので、両部分148,150は格子構造で作られている。
図16は、取付ブラケット138の第2の部分150の格子構造を示す図である。
【0028】
取付ブラケット138の第2部分150は、開口キャリアプレート64をX線ビームの経路内及び経路外に移動させる(例えば、機械的又は電気的に)アクチュエータ及びレールガイドに取り付けるように構成される。
図17は、レールガイド156に結合されるアクチュエータ154に(例えば、締結具を介して)結合される取付ブラケット152(
図13及び
図14参照)の第2部分150を図示している。レールガイド156は、コリメータハウジング62内の側部構造124に結合されている。アクチュエータ154は、レールガイド56に沿って移動し、開口キャリアプレート64を移動させる。
図18は、レールガイド162に結合されているアクチュエータ160に(締結具を介して)結合された取付ブラケット158(
図13及び
図14参照)の第2部分50を示す。レールガイド162は、コリメータハウジング62内の側部構造126に結合されている。アクチュエータ160は、順番に、それぞれのレールガイド156、162に沿った両方のアクチュエータ154、160の移動、ひいては開口キャリアプレート64の移動を駆動するモータによって駆動されることができる。
【0029】
図13及び
図14に戻ると、付加製造された開口キャリアプレート64は、典型的なコリメータ内の典型的な開口キャリアプレートを形成する複数の構成要素の重量の約23パーセントである約0.3kgの重量を有し得る。付加製造されたキャリアプレート64は、典型的なコリメータ内の開口キャリアプレートの取り付けに典型的に利用されるスペーサブロック及びピンを排除する。
【0030】
付加製造部品を利用することにより、大幅な質量低減(例えば、典型的なコリメータ(例えば、低コストのコリメータ)と比較して70%の質量低減)、組立時間の短縮(例えば、典型的なコリメータと比較して50%)、コスト低減(例えば、典型的なコリメータと比較して25%)及び部品数の効率化(例えば、典型的なコリメータと比較して81%の総数の低減)が達成され得る。さらに、付加製造部品を利用するコリメータの低減された質量は、CT回転ガントリーの質量を低減し、これは、ガントリー駆動によって消費される電力が少ないことに変換され、運用コストの著しい低減(例えば、典型的なコリメータと比べて17~18パーセント)につながる可能性がある。
【0031】
付加製造された構成要素の他に、本明細書に開示されるプリペイシェントコリメータは、ボウタイフィルタアセンブリの位置決めを調整するための内蔵型アライメント機構を含む。
図19は、コリメータハウジング62内でボウタイフィルタアセンブリ166を移動させるための内蔵型アライメント機構(in-built alignment mechanism)164の分解斜視図である。ボウタイフィルタアセンブリ166は、ベースプレート又はフィルタ取付けプレート168、ボウタイフィルタ170(例えば、ポリテトラフルオロエチレン製)、及びカバー172(例えば、フロントカバー)を含む。ベースプレート168は、ボウタイフィルタ170と、内蔵されたアライメント機構164の構成要素とを支持する。ベースプレート168とカバー172は、ボウタイフィルタ170を内部に部分的に囲む。カバー172は、ボウタイフィルタ170の上部及び底部の周囲には延びていない。放射線遮蔽層(radiation shielding layer)174(例えば、タングステンベースのポリマー製)は、ボウタイフィルタ170と直接的にインターフェースするベースプレート168の表面に配置される。放射線遮蔽層176は、ボウタイフィルタ170と直接インターフェースするカバー172の表面上に配置される。ベースプレート168及びカバー172は、異なるタイプのボウタイフィルタ170を収容するように構成される。ボウタイフィルタ170は、ボウタイフィルタ170及びベースプレート168上の対応する開口を通過する締結具178(例えば、ねじ)を介してベースプレート168に結合されるか又は取り付けられる。カバー172は、カバー172及びベースプレート168上の対応する開口部を通過する締結具(図示せず、例えば、ねじ)を介してボウタイフィルタ170を囲むようにベースプレート168に結合されるか又は取り付けられる。
【0032】
内蔵型アライメント機構164は、ボウタイフィルタ170を第1の方向182(例えば、水平方向:lateral direction)及び第2の方向184(例えば、横断方向:transverse direction)に移動させるように構成された調整機構180を含む。水平方向182の移動は、横断方向184の移動とは独立である。水平方向182の移動は、コリメータハウジング62の第2の壁76と第3の壁78との間で生じる。横断方向184の移動は、コリメータハウジング62の第4の壁80に向かって及び第4の壁80から離れる方向に発生する。水平方向182は、横断方向184と直交している。
【0033】
調整機構180は、ベースプレート168の一部であり、ベースプレート168から延びるフレーム186を含む。単一のフレーム186は、水平方向182及び横断方向184の両方における運動を互いに独立させることを可能にする。フレーム186は、第2壁76及び第3壁78と平行な方向184に延びている。フレーム186は、スロット188と、一対の開口部190,192とを含む。スロット188は、開口部190,192よりもコリメータハウジング62の第4壁80に近い位置に配置されている。
【0034】
内蔵型アライメント機構164は、ボウタイフィルタアセンブリ166が沿って移動するためのポリマーガイド(polymers guides)194、196、198を含む。ポリマーガイド194、196のそれぞれの部分(例えば、ねじ部)は、ベースプレート168上の開口部を通って延び、ベースプレート168の裏側で締結具200(例えば、ナット)を介してベースプレート168に結合される。ポリマーガイド194、196は、第1の壁74上のレセプタクル116(
図8参照)を通って延びている。ポリマーガイド198は、第4の壁80上の構造物(例えば、
図8の構造物122)に結合されている。ポリマーガイド198は、ベースプレート168の開口部202を通って延びている。レセプタクル116及び開口部202は、ボウタイフィルタアセンブリ166の水平方向182への移動範囲を規定する。ポリマーガイド194、196の端部206(第4の壁80からさらに離れている)に結合された締結具204(例えば、取付ねじ)は、横断方向184におけるボウタイフィルタアセンブリ166の移動範囲を限定する。これらの締結具204はまた、動作中にボウタイフィルタ170をスキャン平面内にしっかりと保持する。特定の実施形態では、締結具204は、水平方向182における調節の前に緩められる。特定の実施形態では、締結具204は、横断方向184における調節の前に取り外される。
【0035】
調整機構180は、コリメータハウジング62内の水平方向182におけるボウタイフィルタアセンブリ166の移動を調整する調整ねじ208を含む。調整ねじ208は、ボウタイフィルタ170がX線ビームのアイソセンタにあるように、ボウタイフィルタアセンブリ166を調整することを可能にする。調整ねじ208の一部は、コリメータハウジング62の外側にあるナット210(例えば、ロックナット)を通って、コリメータハウジング62の内部空間110に(第2の壁76の開口を介して)延在している。コリメータハウジング62内では、調整ねじ208の部分がスロット188を通って延び、フレーム186に締結具212(例えば、ナット)を介して固定される。調整ねじ208の回転は、ボウタイフィルタアセンブリ166を水平方向182に移動させる。スロット188の各端部は、ボウタイフィルタアセンブリ166の横断方向184への移動に対する制限として作用する。調整が完了すると、ロックナット210を利用してボウタイフィルタアセンブリ166の位置を固定することができる。調整ねじ208の作動は、機械的に行われてもよい。特定の実施形態では、調整ねじ208の作動は、調整ねじ208に結合された電動アクチュエータ213(
図1のコリメータ制御装置29の処理回路からの制御信号に応答して)を介して自動的に生じてもよい。
図20に描かれているように、第4の壁80に向かって周方向218に調整ねじ208を回転させると、
図21に描かれているように、第2の壁76に向かって水平方向182(+X方向)にボウタイフィルタアセンブリ166を移動させることになる。
図20に描かれているように、第4の壁80から離れる周方向220への調節ねじ208の回転は、
図22に描かれているように、第3の壁78に向かう水平方向182(-X方向)のボウタイフィルタアセンブリ166の移動をもたらす。
【0036】
図19に戻ると、調整機構180はまた、コリメータハウジング62内の横断方向184におけるボウタイフィルタアセンブリ166の移動を調整するロックピンばね機構216に結合されたロックピン214を含む。ロックピンばね機構216は、コリメータハウジング62の外側に配置されている。ロックピン214は、コリメータハウジング62の外部からコリメータハウジング62の内部空間110内に(第2壁76の開口部を介して)延在している。ロックピン214の一部は、フレーム186の開口部190,192のうちの1つを貫通して延びている。ロックピン214が開口部190内に配置されると、ボウタイフィルタアセンブリ166は、
図23及び24に描かれているように、ボウタイフィルタ170がスキャン平面217内に(第1の壁74の開口部112を介して)整列するように位置決めされる。ロックピン214が開口部192に配置されると、ボウタイフィルタアセンブリ166は、
図25及び26に描かれているように、第4壁80に近く、スキャン平面217の外側に配置される。コリメータハウジング62から離れるロックピン機構216の移動は、ロックピン214が190、192のいずれの開口部に配置されていたとしても、ロックピン214を引き出し、ポリマーガイド194、196、198に沿って横断方向184にボウタイフィルタアセンブリ166を移動させることができるようにする。ロックピン機構216を解放すると、ロックピン214が所望の開口部190、192と整列したときにそれを通って延びることができる。ロックピン機構216の作動は、機械的に行われてもよいし、モータ駆動アクチュエータを介して自動的に行われてもよい。
【0037】
図27は、組み立てられたプリペイシェントコリメータ13の透視図である。コリメータ13は、上述した付加製造されたコリメータハウジング62、付加製造された開口キャリアプレート64、及び付加製造されたモータ取付プレート66を含む。さらに、コリメータ13は、内蔵されたアライメント機構164、調整機構180、及びモータ取付プレート66に結合され、(アクチュエータ及びレールガイドを介して)開口キャリアプレート64を移動するように構成されたモータ222を含んでいる。
【0038】
図28は、コリメータハウジング62内でボウタイフィルタアセンブリ166を移動させるための別の内蔵型アライメント機構224の分解斜視図である。内蔵型アライメント機構224は、ボウタイフィルタアセンブリ166に結合されたベースプレート226を含む。ボウタイフィルタアセンブリ166は、フィルタ取付プレート228、ボウタイフィルタ170(例えば、ポリテトラフルオロエチレン製)、及びカバー172(例えば、フロントカバー)を含む。ベースプレート168は、ボウタイフィルタアセンブリ166と、内蔵型アライメント機構224の構成要素を支持する。フィルタ取付プレート228とカバー172は、ボウタイフィルタ170を内部に部分的に囲む。カバー172は、ボウタイフィルタ170の上部及び底部の周りに延在していない。放射線遮蔽層174(例えば、タングステン系ポリマー製)は、ボウタイフィルタ170と直接インターフェースするフィルタ取付プレート228の表面に配置される。放射線遮蔽層176は、ボウタイフィルタ170と直接インターフェースするカバー172の表面上に配置される。フィルタ取付プレート228及びカバー172は、異なるタイプのボウタイフィルタ170を収容するように構成されている。ボウタイフィルタ170は、ボウタイフィルタ170及びフィルタ取付プレート228上の対応する開口を通過する締結具178(例えば、ねじ)を介してフィルタ取付プレート228に結合されるか、又は取り付けられる。カバー172は、カバー172及びフィルタ取付プレート228上の対応する開口を通過する締結具(図示せず、例えば、ねじ)を介して、ボウタイフィルタ170を囲むようにフィルタ取付プレート228に結合されるか、又は、フィルタ取付プレート228に取り付けられる。
【0039】
内蔵型アライメント機構224は、ボウタイフィルタアセンブリ166を第1の方向182(例えば、水平方向)及び第2の方向184(例えば、横断方向)に移動させるように構成された調整機構180を含む。水平方向182の移動は、横断方向184の移動とは独立である。水平方向182の移動は、コリメータハウジング62の第2の壁76と第3の壁78との間で生じる。横断方向184の移動は、コリメータハウジング62の第4の壁80に向かって及び第4の壁80から離れる方向に発生する。水平方向182は、横断方向184と直交している。
【0040】
内蔵型アライメント機構224は、ボウタイフィルタアセンブリ166及びベースプレート226が沿って移動するための表面接触レールガイド230、232を含む。表面接触レールガイド230、232は、コリメータハウジング62の第4の壁80に取り付けられる取付プレート234、236にそれぞれ結合される。ベースプレート226は、表面接触レールガイド230、232上に配置される。調整機構180は、アクチュエータねじ240と、アクチュエータねじ240に結合されたノブ242と、ねじ部を含むレセプタクル244とを含むアクチュエータねじアセンブリ238を含む。レセプタクル244は、レセプタクル244のねじ部のための開口を含むベースプレート226のレセプタクル部分246に取り付けられる。アクチュエータねじ240は、ボウタイフィルタアセンブリ166を表面接触レールガイド230、232に沿って横断方向184に(例えば、スキャン平面の中に及び外に)移動させるために、レセプタクルのねじ部分から出入りするように構成される。アクチュエータねじ240の作動は、機械的に行われてもよいし、モータ駆動アクチュエータを介して自動的に行われてもよい。
図29に矢印248で示すようにアクチュエータねじ240を(ノブ242を介して)作動させると、ボウタイフィルタアセンブリ166及びベースプレート226の横断方向184への移動が生じる。表面接触レールガイド230、232の端部206(第4の壁80からさらに離れている)に結合された締結具204(例えば、取付ねじ)は、ボウタイフィルタアセンブリ166の横断方向184への移動範囲を制限する。これらの締結具204はまた、動作中にボウタイフィルタ170をスキャン平面内にしっかりと保持する。
【0041】
調整機構180は、フィルタ取付プレート228の一部であり、フィルタ取付プレート228から延びるフレーム250を含む。フレーム250は、横断方向184の動きとは独立した水平方向182におけるボウタイフィルタアセンブリ166の動きを可能にする。フレーム250は、第2壁76及び第3壁78と平行に方向184に延びている。フレーム250は、スロット252を含む。
【0042】
調整機構180は、コリメータハウジング62内の水平方向182におけるボウタイフィルタアセンブリ166の移動を調整する(ベースプレート226の移動なしで)調整ねじ208を含む。調整ねじ208は、ボウタイフィルタ170がX線ビームのアイソセンタにあるように、ボウタイフィルタアセンブリ166を調整することを可能にする。調整ねじ208の一部は、コリメータハウジング62の外側にあるナット210(例えば、ロックナット)を通って、コリメータハウジング62の内部空間110に(第2の壁76の開口を介して)延在している。コリメータハウジング62内では、調整ねじ208の部分がスロット252を通って延び、締結具212(例えば、ナット)を介してフレーム250に固定される。調整ねじ208の回転は、ボウタイフィルタアセンブリ166を水平方向182に移動させる。スロット252の各端部は、ボウタイフィルタアセンブリ166の横断方向184への移動に対する制限として作用する。調整が完了すると、ロックナット210を利用してボウタイフィルタアセンブリ166の位置を固定することができる。調整ねじ208の作動は、機械的に行われてもよい。特定の実施形態では、調整ねじ208の作動は、調整ねじ208に結合された(
図1のコリメータコントローラ29の処理回路からの制御信号に応答して)電動アクチュエータ213を介して自動的に行われてもよい。
図30に描かれているように、第4の壁80に向かう円周方向(矢印254で示されている)の調整ねじ208の回転は、第2の壁76に向かう水平方向182のボウタイフィルターアセンブリ166の移動をもたらす一方、第4の壁80から離れる円周方向への調整ねじ208の回転は、第3の壁78に向かう水平方向182のボウタイフィルタアセンブリ166の移動をもたらす。
【0043】
図31は、組み立てられたプリペイシェントコリメータ13の透視図である。コリメータ13は、付加製造されたコリメータハウジング62、付加製造された開口キャリアプレート64、及び付加製造された上述のモータ取付プレート66を、いくつかの変更点を伴って含んでいる。例えば、開口キャリアプレート64は、取付ブラケットを欠いている。開口キャリアプレート64のプレート部分136は、コリメータハウジング62の一体型側面構造256、258に(例えば、ガイドレール及びアクチュエータを介して間接的に)結合される。側面構造256、258は、
図7~
図10のコリメータハウジング62における同様の側面構造と比較して、第1の壁74からさらに離れて配置されている。さらに、コリメータ13は、内蔵型アライメント機構224と、調整機構180と、モータ取付プレート66に結合され、(アクチュエータ及びレールガイドを介して)開口キャリアプレート64を移動するように構成されたモータ222とを含む。
【0044】
図32は、コリメータハウジング内でボウタイフィルタアセンブリ166を移動させるための別の内蔵型アライメント機構260の分解斜視図である。ボウタイフィルタアセンブリ166は、ベースプレート又はフィルタ取付けプレート262、ボウタイフィルタ170(例えば、ポリテトラフルオロエチレン製)、及びカバー172(例えば、フロントカバー)を含む。フィルタ取付プレート262とカバー172は、ボウタイフィルタ170を内部に部分的に囲む。カバー172は、ボウタイフィルタ170の上部及び底部の周囲に延在していない。特定の実施形態では、放射線遮蔽層(例えば、タングステン系ポリマー製)が、ボウタイフィルタ170と直接インターフェースするフィルタ取付プレート262の表面上に配置される。特定の実施形態では、放射線遮蔽層は、ボウタイフィルタ170と直接インターフェースするカバー172の表面上に配置される。フィルタ取付プレート262及びカバー172は、異なるタイプのボウタイフィルタ170を収容するように構成される。ボウタイフィルタ170は、ボウタイフィルタ170及びフィルタ取付プレート228上の対応する開口を通過する締結具178(例えば、ねじ)を介してフィルタ取付プレート262に結合されるか又は取り付けられる。カバー172は、カバー172及びフィルタ取付プレート262上の対応する開口部を通過する締結具(図示せず、例えば、ねじ)を介して、ボウタイフィルタ170を囲むようにフィルタ取付プレート262に結合されるか、又は、フィルタ取付プレート262に取り付けられる。
【0045】
内蔵型アライメント機構260は、ボウタイフィルタアセンブリ166を第1の方向182(例えば、水平方向)及び第2の方向184(例えば、横断方向)に移動させるように構成された調整機構180を含む。水平方向182の移動は、横断方向184の移動とは独立である。水平方向182の移動は、
図7~
図10におけるコリメータハウジング62の第2壁76と第3壁78との間で生じる。横断方向184の移動は、
図7~
図10において、コリメータハウジング62の第4の壁80に向かって及び第4の壁80から離れる方向に発生する。水平方向182は、横断方向184と直交している。
【0046】
内蔵型アライメント機構260は、ボウタイフィルタアセンブリ166が沿って移動するためのガイド264、266を含む。ガイド264、266は、フィルタ取付プレート262の一部である延長部268、270に結合され、横断方向184に(例えば、
図7~
図10の第4壁80から離れるように)延びている。ガイド264、266は、ボウタイフィルタアセンブリ166を支持する。ガイド264、266は、
図7~
図10においてコリメータハウジング62の第1の壁74上のレセプタクル116を通って延びている。
【0047】
調整機構180は、フィルタ取付プレート262のそれぞれのレセプタクル274を通って、支持パッド278内に配置されたそれぞれの1/4回転ブシュ276(例えば、耐磨耗材料製)内に延びる3つのガイドピン272を含んでいる。支持パッド278は、
図7~
図10において、締結具280を介してコリメータハウジング62の第4の壁80に結合される。レセプタクル274は、水平方向182及び横断方向184の両方におけるボウタイフィルタアセンブリ166の移動を可能にする。
図33に描かれているように、ガイドピン272は、ロック位置284とロック解除位置286との間で矢印280によって示されるようにいずれかの方向に1/4回転されるように構成されている。各ガイドピン272は、それぞれのガイドピン272に沿った異なる軸方向位置に、突起288の第1のセットと突起290の第2のセットとを含む。第1のセットの突起288及び第2のセットの突起290は、ボウタイフィルタアセンブリ166が横断方向184に移動されるための2つの異なる軸方向位置(ボウタイフィルタ170がスキャン平面内にある1つの位置及びボウタイフィルタ172がスキャン平面の外部にある1つの位置)を形成している。ロック解除位置では、第1の組の突起288及び/又は第2の組の突起290がレセプタクル274を通過して、ボウタイフィルタアセンブリ166の横断方向184への移動を可能にする。ロック位置では、第1の組の突起288又は第2の組の突起290のいずれかが、レセプタクル274を規定する壁とインターフェースして、横断方向184へのボウタイフィルタアセンブリ166の移動をブロックする。
【0048】
調整機構180は、フィルタ取付プレート262の一部であり、フィルタ取付プレート262から延びるフレーム292を含む。フレーム292は、横断方向184の動きとは独立した水平方向182におけるボウタイフィルタアセンブリ166の動きを可能にする。フレーム292は、
図7~
図10におけるコリメータハウジング162の第2壁76及び第3壁78と平行に方向184に延びている。フレーム292は、スロット294を含む。
【0049】
調整機構180は、
図7~
図10のコリメータハウジング62内の水平方向182におけるボウタイフィルタアセンブリ166の移動を調整する調整ねじ208を含む。調整ねじ208は、ボウタイフィルタ170がX線ビームのアイソセンタにあるように、ボウタイフィルタアセンブリ166を調整することを可能にする。調整ねじ208の一部は、コリメータハウジング62の外側にあるナット210(例えば、ロックナット)を通って、コリメータハウジング62の内部空間110に(第2の壁76の開口を介して)延在している。コリメータハウジング62内では、調整ねじ208の部分がスロット294を通って延び、締結具212(例えば、ナット)を介してフレーム292に固定される。調整ねじ208の回転は、ボウタイフィルタアセンブリ166を水平方向182に移動させる。スロット294の各端部は、ボウタイフィルタアセンブリ166の横断方向184への移動に対する制限として作用する。調整が完了すると、ロックナット210を利用してボウタイフィルタアセンブリ166の位置を固定することができる。調整ねじ208の作動は、機械的に行われてもよい。特定の実施形態では、調整ねじ208の作動は、調整ねじ208に結合された(
図1のコリメータコントローラ29の処理回路からの制御信号に応答して)電動アクチュエータを介して自動的に行われてもよい。第4の壁80に向かう円周方向への調整ねじ208の回転は、
図7~10において、コリメータハウジング62の第2の壁76に向かう水平方向182のボウタイフィルタアセンブリ166の移動をもたらす一方、第4の壁80から離れる円周方向への調整ねじ208の回転は、第3の壁78に向かう水平方向182のボウタイフィルタアセンブリ166の移動をもたらす。
【0050】
図34は、組み立てられたプリペイシェントコリメータ13の透視図である。コリメータ13は、上述した付加製造されたコリメータハウジング62、付加製造された開口キャリアプレート64、及び付加製造されたモータ取付プレート66を含んでいる。さらに、コリメータ13は、内蔵されたアライメント機構260、調整機構180、及びモータ取付プレート66に結合され、(アクチュエータ及びレールガイドを介して)開口キャリアプレート64を移動させるように構成されたモータ222を含んでいる。
【0051】
図35は、X線ビーム中心に対してボウタイフィルタをセンタリングするための方法296のフローチャートである。方法296は、
図1のCTシステム10の1つ以上の構成要素(例えば、コンピュータ36、コリメータ制御装置29等)を利用して実行することができる。方法296は、プリペイシェントコリメータ内のボウタイフィルタ(例えば、ボウタイフィルタアセンブリの一部として)をエアスキャンの前に視野外又はスキャン平面外に移動した状態でエアスキャンデータを得ることを含む(ブロック298)。ボウタイフィルタは、ボウタイフィルタアセンブリを横断方向に移動させるために上述した調整機構の1つを利用して、スキャン平面の外に移動させることができる。ボウタイフィルタは、ブロック298の間、コリメータから取り外されない。方法296はまた、ボウタイフィルタが(同じ調整機構を介して)スキャン平面内に横断方向に移動された後に、(例えば、中心体フィルタスキャンを介して)アライメントスキャンデータ(alignment scan data)を取得することを含む(ブロック300)。方法296は、エアスキャンデータ及びアライメントスキャンデータに基づいて、ビームライン経路の中心からのオフセット値又は距離を計算又は決定(例えば、処理回路を介して)することをさらに含む(ブロック302)。方法296は、さらに、オフセット値をボウタイフィルタの中心位置の許容範囲又は所望の範囲(例えば、ボウタイフィルタの中心がアイソセンタアライメントと一致する場合)と比較することを含む(ブロック304)。オフセット値が許容範囲外である場合、方法296は、所望の中心位置(例えば、許容範囲内)を達成するためにボウタイフィルタを水平方向に移動させる値又は距離を計算する(例えば、処理回路を介して)ことを含む(ブロック306)。方法296はさらに、ボウタイフィルタを、上述の調整機構の1つ(例えば、調整ねじ208)を利用して水平方向に計算値又は距離(例えば、ミリメートル単位の分数で)移動させることを含む(ブロック308)。水平方向におけるボウタイフィルタの調整は、ボウタイフィルタを水平方向に移動させるための調整機構(例えば、調整ねじ208)に結合されたアクチュエータへの制御信号(例えば、コリメータコントローラ29からの)に基づき自動的に発生してもよい。次いで、方法296は、ブロック298~304を繰り返す。オフセット値が許容範囲内である場合、方法296は終了する(ブロック310)。
【0052】
開示された実施形態の技術的効果は、付加製造された部品を有するプリペイシェントコリメータを提供することを含む。付加製造部品を利用することにより、大幅な質量低減(例えば、典型的なコリメータ(例えば、低コストのコリメータ)と比較して70%の質量低減)、組立時間の短縮(例えば、典型的なコリメータと比較して50%)、コスト低減(例えば、典型的なコリメータと比較して25%)及び部品数の効率化(例えば、典型的なコリメータと比較して81%の総数削減)が達成され得る。さらに、付加製造部品によるコリメータの質量の減少は、CT回転ガントリーの質量を減少させ、これは、ガントリー駆動によって消費される電力がより少ないことに変換され、運用コストの著しい減少(例えば、典型的なコリメータと比較して17~18パーセント)につながる可能性がある。さらに、典型的なコリメータとは対照的に、付加製造部品を利用するコリメータの設計は、異なるCTガントリ構造(異なるガントリのサイズ、異なる速度、異なるスキャンモードなど)とともに利用されるように拡張可能である。
【0053】
本明細書で提示され、請求された技術は、現在の技術分野を実証的に改善する実用的な性質の物質的対象および具体例に参照および適用されており、そのため、抽象的、無形または純粋に理論的なものではない。さらに、本明細書の末尾に付された請求項が、「[機能]を[実行]するための手段...」または「[機能]を[実行]するためのステップ...」として指定された一つ以上の要素を含む場合、かかる要素は、35 U.S.C. 112(f)に基づいて解釈されることが意図されている。しかし、他の方法で指定された要素を含む請求項については、そのような要素は35 U.S.C.112(f)に基づいて解釈されないように意図されている。
【0054】
この書面の説明は、最良の態様を含む本主題を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムの製造および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む本主題を当業者が実践することを可能にするために例を用いている。主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に思い浮かぶ他の例を含むことができる。そのような他の例は、それらが請求項の文字通りの言語と異ならない構造要素を有する場合、または請求項の文字通りの言語と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合に、請求項の範囲内にあることが意図される。
【符号の説明】
【0055】
10:CT撮像システム 12:ガントリ 13:プリペイシェントコリメータ 14:X線源 15:検出器アセンブリ 16:X線のビーム 18:ポストペイシェントコリメータ 20:検出器モジュール 22:患者 24:視野 25:回転中心 26:制御機構 28:X線コントローラ 29:コリメータコントローラ 30:ガントリモータコントローラ 32:DAS 34:画像再構成器 36:コンピュータ 38:大容量記憶装置 40:コンソール 42:ディスプレイ 44:テーブルモータコントローラ 46:テーブル 48:ガントリ開口部 50:列 52:X線ビーム 54:開口 56:コリメータブレード 58:ビーム幅 60:プリントベッド 62:コリメータハウジング 64:開口キャリアプレート 66:モータ取付プレート 68:センサプレート 70:中実構造 72:格子構造 74、76、78、80:壁 82:構造リブ 84:縁 86:構造リブ 110:内部空間 112:開口 114:構造物 116:レセプタクル 118:補強材 120:構造物 122:追加の構造物 124、126:側部構造 128:厚さ 130:第1の部分 132:第2の部分 134:角部 136:プレート部分 138:取付ブラケット 140:開口部 143:厚さ 144、146:長手方向の端部 148:第1の部分 150:第2の部分 152:取付ブラケット 154:アクチュエータ 156、158:レールガイド 160:アクチュエータ 162:レールガイド 164:内蔵型アライメント機構 166:ボウタイフィルタアセンブリ 168:ベースプレート 170:ボウタイフィルタ 172:カバー 174、176:放射線遮蔽層 178:締結具 180:調整機構 182:水平方向 184:横断方向 186:フレーム 188:スロット 190、192:開口部 194、196、198:ポリマーガイド 200:締結具 202:開口部 204:締結具 206:端部 208:調整ねじ 210:ロックナット 212:締結具 213:電動アクチュエータ 214:ロックピン 216:ロックピンばね機構 217:スキャン平面 218、220:周方向 222:モータ 224:内蔵型アライメント機構 226:ベースプレート 228:フィルタ取付プレート 230、232:表面接触レールガイド 234、236:取付プレート 238:アクチュエータねじアセンブリ 240:アクチュエータねじ 242:ノブ 244:レセプタクル 246:レセプタクル部分 248:矢印 250:フレーム 252:スロット 254:矢印 256、258:一体型側面構造 260:内蔵型アライメント機構 262:フィルタ取付プレート 264、266:ガイド 268、270:延長部 272:ガイドピン 274:レセプタクル 76:1/4回転ブシュ 278:支持パッド 280:締結具 284:ロック位置 286:ロック解除位置 288、290:突起 292:フレーム 294:スロット
【手続補正書】
【提出日】2023-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮像システム(10)用のプリペイシェントコリメータ(13)であって、
複数の壁(74、76、78、80)を有し、複数の壁(74、76、78、80)の各壁(74、76、78、80)が可変の厚さを有する、付加製造されたハウジング(62)と、
CT撮像システム(10)のX線源(14)から受信したX線ビームのサイズを決定するように構成された可変厚さと複数の開口部(140)を有する付加製造された開口キャリアプレート(64)と、
を含む、プリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項2】
複数の壁(74、76、78、80)のうち少なくとも1つの壁(74、76、78、80)は、内部に格子構造(72)を有する、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項3】
複数の壁(74、76、78、80)のうち少なくとも1つの壁(74、76、78、80)は、内部に中実構造(70)を構成する、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項4】
複数の壁(74、76、78、80)のうち少なくとも1つの壁(74、76、78、80)は、内部に格子構造(72)と中実構造(70)の両方を含む、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項5】
複数の壁(74、76、78、80)が、付加製造されたハウジング(62)に取り付けられた追加の減衰材料なしに、統合されたギャップのないX線遮蔽を提供するように構成され、ギャップのないX線遮蔽が、複数の開口(140)のうちの開口(140)を通る以外にX線がプリペイシェントコリメータ(13)から出ないように構成される、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項6】
付加製造されたハウジング(62)が、付加製造されたハウジング(62)と一体の複数のリブ(82)を含み、付加製造されたハウジング(62)に沿って均一な応力分布及び均一なたわみを提供するように構成される、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項7】
複数のリブ(82)は、複数の壁(74、76、78、80)のうちの少なくとも2つの壁(74、76、78、80)の少なくとも1つの縁に沿って延びる少なくとも1つのリブ(82)を含む、請求項6に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項8】
複数のリブ(82)は、X線源(14)に直接面するように構成された複数の壁(74、76、78、80)の壁(74、76、78、80)に一体化されたリブのセット(82)を含み、リブのセット(82)は、X線源(14)の回転中の遠心力によるたわみ及び応力を低減するように構成されている、請求項6記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項9】
複数の壁(74、76、78、80)が、X線源に面するように構成された第1の壁(74)と、第1の壁(74)を挟む第2の壁及び第3の壁(76、78)と、第1の壁(74)に隣接して第2の壁(76)と第3の壁(78)との間に延びる第4の壁(0)とを備え、
付加製造されたハウジング(62)が、付加製造されたハウジング(62)の内部空間に延び、第2及び第3の壁(76、78)と一体化した第1の組の側部構造(124、126)であって、プリペイシェントコリメータの機能部品に結合し支持するように構成された第1の組の側部構造(124、126)を備え、
付加製造されたハウジング(62)が、付加製造されたハウジング(62)の内部空間に延び、第4の壁と一体化した追加の側部構造(122)であってボウタイフィルタに結合するよう構成された追加の側部構造(122)を備える、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項10】
付加製造された開口キャリアプレート(64)が、複数のアパーチャ(140)を有するプレート部分(136)と、プレート部分の長手方向端部(144、146)にそれぞれ位置する複数の取付ブラケット(138)とを含む、請求項1に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項11】
各取付ブラケット(138)は、プレート部分(136)に対して垂直に延びる第1の部分(148)と、プレート部分(136)に対して平行に延びる第2の部分(150)とを含む、請求項10に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項12】
各取付ブラケット(138)の第2部分(150)は、内部に格子構造(72)を含む、請求項11に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項13】
プレート部分(136)が内部に中実構造(70)を構成する、請求項11に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項14】
プレート部(136)がX線減衰材料を含む、請求項13に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【請求項15】
付加製造された開口キャリアプレート(64)が、センサプレート(68)に直接結合するように構成される、請求項11に記載のプリペイシェントコリメータ(13)。
【外国語明細書】