(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113130
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】サドル付分水栓及びボルトの製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 41/02 20060101AFI20230807BHJP
F16B 35/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
F16L41/02
F16B35/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012055
(22)【出願日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2022015197
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000201593
【氏名又は名称】前澤給装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直也
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019BA03
3H019BB02
3H019BB08
3H019BD05
(57)【要約】
【課題】ボルトにナットを捻じ込む際に、ナットがボルトから落下し難く、施工性がよいサドル付分水栓を提供すること。
【解決手段】サドル付分水栓Sは、配水管P1の外周に配置されて配水管P1に固定するためのフランジ部2bを有するサドル2と、配水管P1を挟んでサドル2に対向配置されて配水管P1に固定するためのフランジ部3bを有するバンド3と、サドル2とバンド3とを配水管P1に連結固定するためのボルトB1及びナットN1と、を備えている。サドル2及びバンド3のフランジ部2b,3bは、挿通孔2c,3cをそれぞれ有し、ボルトB1に螺合されたナットN1を締め付けることで配水管P1の外周に取り付けられる。バンド3のボルト挿通孔3cと、サドル2のボルト挿通孔3cと、に挿通されるボルトB1の先端部には、突出部Bdが形成されており、突出部Bdは、例えば、均一な径で伸びるストレート部B1dである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配水管の外周に配置されて前記配水管に固定するための一対のフランジ部を有するサドルと、
前記配水管を挟んで前記サドルに対向配置されて前記配水管に固定するための一対のフランジ部を有するバンドと、
前記サドルと前記バンドとを前記配水管に連結固定するためのボルト及びナットと、を備え、
前記サドルの一対のフランジ部、及び、前記バンドの一対のフランジ部は、前記ボルトが挿通されるボルト挿通孔をそれぞれ有し、前記ボルトに螺合された前記ナットを締め付けることで前記配水管の外周に取り付けられるサドル付分水栓であって、
前記バンドの一対のフランジ部のボルト挿通孔に挿通されると共に、前記サドルの一対のフランジ部のボルト挿通孔にそれぞれ挿通される前記ボルトの先端部には、突出部が形成されており、
前記突出部は、
均一な径で伸びるストレート部、
あるいは、先端側に向かって縮径する縮径部、
あるいは、丸みを帯びた凸部、
あるいは、前記ストレート部と当該ストレート部の先端に設けられた縮径部、
あるいは、前記ストレート部と当該ストレート部の先端に設けられた突起、
あるいは、前記凸部と当該凸部の先端に設けられた突起、である、
サドル付分水栓。
【請求項2】
前記ストレート部の直径は、使用する前記ナットのねじ山径よりも小径である、
請求項1に記載のサドル付分水栓。
【請求項3】
前記ストレート部の長さは、使用する前記ナットの頭高の1/4から頭高である、
請求項1または請求項2に記載のサドル付分水栓。
【請求項4】
前記ボルトのねじ部は、前記ナットの締め付けが完了した際に、前記ナットの上端から出る、
請求項1または請求項2に記載のサドル付分水栓。
【請求項5】
配水管の外周に配置されて前記配水管に固定するための一対のフランジ部を有するサドルと、
前記配水管を挟んで前記サドルに対向配置されて前記配水管に固定するための一対のフランジ部を有するバンドと、
を備えているサドル付分水栓に使用されて、前記サドルと前記バンドとを前記配水管に連結固定するためのナットに螺合されて締め付けられるボルトの製造方法であって、
前記ボルトのねじ部を転造で形成し、
前記ねじ部の先端側に形成されて、均一な径で伸びるストレート部を鍛造で形成する、
ボルトの製造方法。
【請求項6】
配水管の外周に配置されて前記配水管に固定するための一対のフランジ部を有するサドルと、
前記配水管を挟んで前記サドルに対向配置されて前記配水管に固定するための一対のフランジ部を有するバンドと、
を備えているサドル付分水栓に使用されて、前記サドルと前記バンドとを前記配水管に連結固定するためのナットに螺合されて締め付けられるボルトの製造方法であって、
前記ボルトのねじ部と、前記ねじ部の先端側に形成されて、均一な径で伸びるストレート部と、を転造で形成する、
ボルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道本管等の配水管から給水管を分岐する箇所に設置されるサドル付分水栓及びボルトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、サドル付分水栓は、水道本管等の配水管から各住宅等に水を供給する給水管を分岐する際に使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、一般に使用されているサドル付分水栓S100を示す一部断面を有する正面図である。
図7は、サドル付分水栓S100に使用されているボルトB100を示す拡大正面図である。
【0004】
図6に示すように、従来、サドル付分水栓S100は、分水栓本体100に設けられたサドル200と、バンド300と、で配水管P100を挟持し、サドル200とバンド300とを、ボルトB100とナットN100で締結することで、配水管P100に固定している。ボルトB100は、サドル付分水栓S100の下側のバンド300のボルト挿通孔300cに挿入し、サドル200のボルト挿通孔200cを通して、ねじ部B100cにナットN100を捻じ込むことで締結される。
【0005】
作業者は、ボルトB100にナットN100を締結させる際に、一方の手で金属製の重いバンド300とボルトB100を支えながら、他方の手でナットN100を捻じ込む。このため、ボルトB100にナットN100を締結させる作業は、片手で行われるので、締結作業が行い難く、作業中にナットN100が落ち易い。
【0006】
ボルトB100とナットN100とを締結する作業は、地中に埋設された水道本管付近の地面を掘削して溝を形成し、この狭い掘削溝の中で作業が行われる。このため、ボルトB100にナットN100を締め付ける際、ナットN100を締め付ける作業が行い難い。ボルトB100にナットN100を係合させて締め付け作業を行う際に、ナットN100を掘削溝に落下させた場合は、掘削溝が狭くナットN100を拾い難い。また、ナットN100を掘削溝の泥や泥水の中に落下した場合は、落としたナットN100を見つけ難く、ナットN100に泥や泥水が付着するので、締結作業が行い難くなる。
【0007】
一般に、ボルトB100は、日本産業規格JIS B 1180の六角ボルトが使用されている。ねじ部B100cは、円柱状に形成された胴部B100bの先端からボルトB100の先端部まで形成されている。このため、ボルトB100の先端部にナットN100を螺合させる際、ボルトB100の先端部は、ナットN100が引っ掛かるような部位が無いので、ナットN100が螺合し難く、落下し易い形状になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のサドル付分水栓及び
図6に示すサドル付分水栓S100は、ボルトB100にナットN100を捻じ込む際に、初めからナットN100の雌ねじ部がボルトB100のねじ部B100cに噛み合わないと、ナットN100がボルトB100から落下し易い。このため、従来のサドル付分水栓S100は、ボルトB100にナットN100に締結し難く、施工性が悪いという問題点があった。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するために創作されたものであって、ボルトにナットを捻じ込む際に、ナットがボルトから落下し難く、施工性がよいサドル付分水栓及びボルトの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、配水管の外周に配置されて前記配水管に固定するための一対のフランジ部を有するサドルと、前記配水管を挟んで前記サドルに対向配置されて前記配水管に固定するための一対のフランジ部を有するバンドと、前記サドルと前記バンドとを前記配水管に連結固定するためのボルト及びナットと、を備え、前記サドルの一対のフランジ部、及び、前記バンドの一対のフランジ部は、前記ボルトが挿通されるボルト挿通孔をそれぞれ有し、前記ボルトに螺合された前記ナットを締め付けることで前記配水管の外周に取り付けられるサドル付分水栓であって、前記バンドの一対のフランジ部のボルト挿通孔に挿通されると共に、前記サドルの一対のフランジ部のボルト挿通孔にそれぞれ挿通される前記ボルトの先端部には、突出部が形成されており、前記突出部は、均一な径で伸びるストレート部、あるいは、先端側に向かって縮径する縮径部、あるいは、丸みを帯びた凸部、あるいは、前記ストレート部と当該ストレート部の先端に設けられた縮径部、あるいは、前記ストレート部と当該ストレート部の先端に設けられた突起、あるいは、前記凸部と当該凸部の先端に設けられた突起である。
【0012】
また、本発明は、配水管の外周に配置されて前記配水管に固定するための一対のフランジ部を有するサドルと、前記配水管を挟んで前記サドルに対向配置されて前記配水管に固定するための一対のフランジ部を有するバンドと、を備えているサドル付分水栓に使用されて、前記サドルと前記バンドとを前記配水管に連結固定するためのナットに螺合されて締め付けられるボルトの製造方法であって、前記ボルトのねじ部を転造で形成し、前記ねじ部の先端側に形成されて、均一な径で伸びるストレート部を鍛造で形成する。
ここで、「鍛造」とは、水平に配置したボルトの軸線に対して横方向(水平方向)から圧力をかけて成形する手法と、水平に配置したボルトの軸線に対して上下方向(鉛直方向)から圧力をかけて成形する手法と、の両方を含む。なお、前者と後者を区別する場合に、便宜的に前者を「圧造」と呼ぶ場合がある。
また、「鍛造」は、材料を加熱して高温で鍛造する熱間鍛造と、材料を加熱せずに鍛造する冷間鍛造と、の両方を含む。
【0013】
また、本発明は、配水管の外周に配置されて前記配水管に固定するための一対のフランジ部を有するサドルと、前記配水管を挟んで前記サドルに対向配置されて前記配水管に固定するための一対のフランジ部を有するバンドと、を備えているサドル付分水栓に使用されて、前記サドルと前記バンドとを前記配水管に連結固定するためのナットに螺合されて締め付けられるボルトの製造方法であって、前記ボルトのねじ部と、前記ねじ部の先端側に形成されて、均一な径で伸びるストレート部と、を転造で形成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ボルトにナットを捻じ込む際に、ナットがボルトから落下し難く、施工性がよいサドル付分水栓及びボルトの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るサドル付分水栓の一部断面を有する正面図である。
【
図2】ボルト及びナットの設置状態を示す要部拡大正面図である。
【
図4A】ボルトの突出部の第1変形例を示す拡大正面図である。
【
図4B】ボルトの突出部の第2変形例を示す拡大正面図である。
【
図4C】ボルトの突出部の第3変形例を示す拡大正面図である。
【
図4D】ボルトの突出部の第4変形例を示す拡大正面図である。
【
図4E】ボルトの突出部の第5変形例を示す拡大正面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るサドル付分水栓のその他の変形例を示す要部拡大正面図である。
【
図6】一般に使用されているサドル付分水栓を示す一部断面を有する正面図である。
【
図7】従来のサドル付分水栓に使用されているボルトを示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図3Bを参照して本発明の実施形態に係るサドル付分水栓Sを説明する。なお、方向を説明する際は、
図1に示すサドル付分水栓S側を上、一対のボルトB1及びナットN1側を左右、配水管P1の延びる方向を前後方向として説明する。
なお、サドル付分水栓Sは、分水栓本体1の給水管接続用雄ねじ部1e、及び、栓棒13を除いて、全体が左右対称形状に形成されているため、左右の一方側を主に説明して他方側の説明は適宜省略する。また、同じ構成のものは、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0017】
<サドル付分水栓>
図1に示すサドル付分水栓Sは、水道本管等の金属製の配水管P1から各住宅等に水を供給するための給水管(図示省略)を分岐するのに使用される。サドル付分水栓Sは、分水栓本体1と、左右にフランジ部2bを有するサドル2と、左右にフランジ部3bを有するバンド3と、一対のボルトB1と、一対のボルトB1にそれぞれ螺着されるナットN1と、を備えて成る。換言すると、サドル付分水栓Sは、分水栓本体1に設けられた止水機構10と、サドル2、バンド3、一対のボルトB1、及び、一対のナットN1から成るサドル機構20と、を主に備えて成る。サドル付分水栓Sは、配水管P1の材質や径の大きさに合わせて、適宜大きさ、材質、形状を変えたものが使用される。
【0018】
サドル付分水栓Sは、サドル2のフランジ部2bのボルト挿通孔2cと、バンド3のフランジ部3bのボルト挿通孔3cとを介してボルトB1を挿通し、ボルトB1に螺合されたナットN1を締め付けることで、配水管P1の外周に取り付けられる。
なお、サドル付分水栓Sに取り付けられる配水管P1は、鋳鉄、ステンレス鋼等の金属製のものに限定されず、塩化ビニール、ポリエチレン等の樹脂製のものであってもよい。
【0019】
<分水栓本体>
図1に示すように、分水栓本体1は、止水機構10の外ケースを形成する筐体である。分水栓本体1は、縦孔1aと、横孔1bとを有し、正面視して略十字形状に形成された金属製の中空部材から成る。分水栓本体1には、前記縦孔1aと、前記横孔1bと、雄ねじ部1cと、サドル連結用雄ねじ部1dと、給水管接続用雄ねじ部1eと、コア挿設孔1fと、が形成されている。分水栓本体1は、縦孔1aと、横孔1bと、縦孔1a及び横孔1bの中央部に配置された球弁12と、横孔1bの右端部に設けられた栓棒13と、によって止水機構10を主に構成している。
【0020】
縦孔1aは、分水栓本体1の軸心線に沿って上下方向に貫通して形成されている。縦孔1aの中央部には、球弁12が配置されている。縦孔1aの上側開口部の外周部には、キャップ11を螺着するための雄ねじ部1cが形成されている。縦孔1aの下側のコア挿設孔1fには、コア7が装着されている。そのコア挿設孔1fは、サドル連結用雄ねじ部1dの軸心側に軸心線に沿って形成されている。
【0021】
また、配水管P1にコア7を取り付けるための穿孔孔P1aを配水管P1に穿孔する場合は、穿孔機(図示省略)が使用される。穿孔機は、
図1に示すサドル機構20を配水管P1に締結することで、配水管P1に取り付けられたサドル付分水栓Sの縦孔1aに、上側開口から挿入される。その穿孔機(図示省略)によって配水管P1に穿孔孔P1aが穿孔される。穿孔孔P1aが穿孔された後、縦孔1aの下端部のコア挿設孔1fには、前記コア7が装着される。コア挿設孔1fの外側には、サドル連結用雄ねじ部1dが形成されている。サドル連結用雄ねじ部1dには、サドル2に形成された分水栓連結用雌ねじ部2dが螺着される。
【0022】
横孔1bは、縦孔1aに直交するように分水栓本体1の上下方向中央部に左右方向に形成されている。横孔1bの左端部の外側には、給水管接続用雄ねじ部1eが形成されている。その給水管接続用雄ねじ部1eには、給水管(図示省略)を分水栓本体1に取り付けるための給水支管継手(図示省略)が螺着される。横孔1bの右端部には、球弁12に連結された栓棒13が装着されている。
【0023】
<サドル機構>
サドル機構20は、サドル2とバンド3とを配水管P1の周囲に取り付けるための機構である。サドル機構20は、サドル2と、バンド3と、ボルトB1と、ナットN1と、絶縁体上5と、絶縁体下6と、平座金8と、を備えて主に構成されている。サドル機構20は、ボルトB1を、バンド3のフランジ部3bのボルト挿通孔3cに挿通し、さらに、サドル2のフランジ部2bのボルト挿通孔2cに挿通して、ボルトB1の先端側のナットN1と螺合させて成る。
【0024】
<サドル>
図1に示すように、サドル2は、配水管P1の上側外周部を抱持するように、配水管P1の外周に配置された上側半体である。サドル2は、分水栓本体1の下端部に取り付けられている。サドル2は、抱持部2aと、フランジ部2bと、ボルト挿通孔2cと、分水栓連結用雌ねじ部2dと、段差部2eと、を有している。サドル2は、平面視して左右方向に延びる帯状の金属から成り、中央部に分水栓連結用雌ねじ部2dを有し、左右両端部にボルト挿通孔2cをそれぞれ有している。サドル2は、正面視して略Ω字状に形成されて、中央部の抱持部2aが円弧状に形成されて、両端部のフランジ部2bが平板状に形成されている。
【0025】
抱持部2aは、配水管P1を片側(上側)から抱持する部分である。抱持部2aは、正面視して円弧状に形成されている。
フランジ部2bは、抱持部2aの左右両端部から外方向に突出形成された左右一対の平板状部分である。
ボルト挿通孔2cは、ボルトB1のねじ部B1cが挿入される孔である。ボルト挿通孔2cは、左右一対のフランジ部2bにそれぞれ形成されている。
分水栓連結用雌ねじ部2dは、分水栓本体1のサドル連結用雄ねじ部1dが螺着されるねじ孔である。分水栓連結用雌ねじ部2dは、抱持部2aの上側中央部に形成されている。
段差部2eは、絶縁体上5の係止爪5cが係止する箇所である。段差部2eは、フランジ部2b内のボルト挿通孔2cの下側に連続して形成されている。
【0026】
<バンド>
バンド3は、配水管P1を挟んでサドル2に対向配置されて、サドル2とで配水管P1を抱持するための下側半体である。バンド3は、正面視して円弧状に形成された抱持部3aと、抱持部3aの左右両端部から外方向に突出形成された一対のフランジ部3bと、一対のフランジ部3bにそれぞれ形成されたボルト挿通孔3cと、フランジ部3b内に形成された段差部3eと、を有している。バンド3は、サドル2に対して、正面視して略対称な形状に形成されている。バンド3は、正面視して略逆Ω字状に形成されて、中央部の抱持部3aが円弧状に形成され、左右両端部のフランジ部3bが平板状に形成されている。バンド3は、平面視して左右方向に延びる帯状の金属から成り、左右両端部にボルト挿通
孔3cをそれぞれ有している。
【0027】
<ナット>
図2または
図3Bに示すナットN1は、ボルトB1のねじ部B1cに螺合させて締め付けることで、ねじ部B1cがナットN1の上端(雌ねじ部N1aの上側開口端)から突出するまで締め付けて、サドル2をバンド3に固定するための締結具である。ナットN1は、市販の六角ナットから成る。ナットN1は、サドル2のボルト挿通孔2cに内嵌された絶縁体上5と、絶縁体上5の上に載置された平座金8と、を挿通したボルトB1のねじ部B1cに螺着される。ナットN1は、スパナ等の締付工具で締め付けた際に、ナットN1の下面が平座金8を介在して絶縁体上5に当接した状態で、ボルトB1のねじ部B1cが予め設定した所定の長さL2だけ突出する位置まで締め込むことで、予め設定した設定トルク(標準締付トルク)で締め付けることができるようになっている。
【0028】
<ボルト>
図1、
図2あるいは
図3Aに示すように、ボルトB1は、サドル2とバンド3とを配水管P1の外周部に連結固定するための左右一対の締結部材である。ボルトB1は、頭部B1aと、円柱形状の胴部B1bと、胴部B1bの先端側に形成された雄ねじから成るねじ部B1cと、突出部Bdと、を有している。ボルトB1は、一般に市販されているボルトに対して、ボルトの先端部に突出部Bdを形成している点で相違している。ボルトB1は、絶縁体ガイド9と、バンド3のボルト挿通孔3cに装着された絶縁体下6と、を挿通し、さらに、サドル2のボルト挿通孔2cに装着された絶縁体上5を挿通し、平座金8を介在してナットN1と螺合される。
なお、サドル付分水栓Sに使用されるボルトB1は、呼び径がM16、M20が多いが、呼び径は特に限定されず、適宜な大きさのものでも適用可能である。ボルトB1の円柱形状の胴部B1b部も雄ねじとした全ねじボルトでも適用可能である。
【0029】
<突出部>
突出部Bdは、ナットN1をボルトB1のねじ部B1cに螺合させる際に、ナットN1の雌ねじ部N1a(
図3B参照)が突出部Bdに遊嵌してねじ部B1cに導かれ易くすると共に、ナットN1の落下を防止するための部位である。突出部Bdは、例えば、ボルトB1のねじ部B1cの先端部に連続して突出形成されて、均一な径で伸びる円柱形状のストレート部B1dから成る。
【0030】
<ストレート部>
図3Aまたは
図3Bに示すように、ストレート部B1dの直径d1は、使用するナットN1のねじ山径D1よりも小径である。
例えば、一例を挙げると、JIS B 1180六角ボルトの呼びM16を使用する場合、ねじ谷径からねじ山の高さを引いた範囲の直径とすることが好ましい。
(ねじ谷径)14.376mm-(ねじ山の高さ)0.812mm×2=12.752mmより、ストレート部B1dの直径d1は、12.752~14.376mmの範囲とするとよい。
【0031】
ストレート部B1dの長さL1は、使用するナットNの頭高H1の1/4から頭高H1である。ストレート部B1dの長さL1は、3.525mm以上とすることが好ましい。
例えば、一例を挙げると、JIS B 1181六角ナットの呼びM16で頭高H1の1/4から六角ナットの頭高分の長さとすることが好ましい。
(ナットN1の頭高最小)14.1mm×(1/4)=3.525mmから、3.525~14.8mmの範囲の直線部とするとよい。
図1または
図2に示すように、ボルトB1のねじ部B1cは、ナットN1の締め付けが完了した際に、ナットN1の上端から長さL2(
図2参照)出るように形成されている。
【0032】
<突出部の変形例>
ここで、突出部Bdの変形例を説明する。
図4Aは、ボルトB1の突出部Bdの第1変形例を示す拡大正面図である。
図4Aに示すように、前記したボルトB1の先端部のストレート部B1d(
図3A参照)から成る突出部Bdは、ねじ部B1cの先端から先端側に向かって縮径する縮径部B2dであってもよい。
かかる構成によれば、ボルトB2は、ねじ部B1cの先端部に、先端側に向かって縮径するように先細形状(せっ頭円錐形状、円錐台形状)に形成された縮径部B2dを有している。このため、ナットN1(
図1参照)は、ボルトB2のねじ部B1cに螺合させる際に、雌ねじ部N1a(
図3B参照)が縮径部B2dに引っ掛かるので、落下し難いため、締結作業をし易くすることができる。
また、ナットN1(
図3B参照)は、雌ねじ部N1aをボルトB2のねじ部B1cに捻じ込む際に、縮径部B2dにガイドされてスムーズにねじ部B1cに螺合させることができるため、サドル付分水栓S(
図1参照)の施工性を向上させることができる。
【0033】
図4Bは、ボルトB1の突出部Bdの第2変形例を示す拡大正面図である。
また、
図4Bに示すように、突出部Bdは、ねじ部B1cの先端から先端側に向かって突出した丸みを帯びた凸部B3dであってもよい。
かかる構成によれば、ボルトB3は、ねじ部B1cの先端部に、先端側に向かって突出した丸みを帯びた略半球状の凸部B3dを有している。このため、ナットN1(
図1参照)は、ボルトB3のねじ部B1cに螺合させる際に、雌ねじ部N1a(
図3B参照)が凸部B3dに引っ掛かるので、落下し難いため、締結作業をし易くすることができる。
また、ナットN1(
図3B参照)は、雌ねじ部N1aをボルトB2のねじ部B1cに捻じ込む際に、凸部B3dにガイドされてスムーズにねじ部B1cに螺合させることができるため、サドル付分水栓S(
図1参照)の施工性を向上させることができる。
【0034】
図4Cは、ボルトB1の突出部Bdの第3変形例を示す拡大正面図である。
また、
図4Cに示すように、突出部Bdは、ねじ部B1cの先端から先端側に向かって均一な径で伸びる円柱形状のストレート部B4dと、ストレート部B4dの先端に先端側に向かって縮径するように先細形状(せっ頭円錐形状)に設けられた縮径部B4eと、を形成したものであってもよい。
かかる構成によれば、ボルトB4は、ねじ部B1cの先端部に、先端側に向かって均一な径で伸びるストレート部B4dと、ストレート部B4dの先端に先端側に向かって縮径した形状の縮径部B4eと、を有している。このため、ナットN1(
図1参照)は、ボルトB4のねじ部B1cに螺合させる際に、雌ねじ部N1a(
図3B参照)がストレート部B4dに引っ掛かるので、落下し難いため、締結作業をし易くすることができる。
また、ナットN1(
図3B参照)は、雌ねじ部N1aをボルトB4のねじ部B1cに捻じ込む際に、縮径部B4e及びストレート部B4dにガイドされてスムーズにねじ部B1cに螺合させることができるため、サドル付分水栓S(
図1参照)の施工性を向上させることができる。
【0035】
図4Dは、ボルトB1の突出部Bdの第4変形例を示す拡大正面図である。
また、
図4Dに示すように、突出部Bdは、ねじ部B1cの先端から先端側に向かって均一な径で伸びる円柱形状のストレート部B5dと、ストレート部B5dの先端から先端側に向かって突設された突起B5eと、を形成したものであってもよい。
かかる構成によれば、ボルトB5は、ねじ部B1cの先端部に、先端側に向かって均一な径で伸びるストレート部B5dと、ストレート部B5dの先端に突設されてストレート部B5dよりも小径の突起B5eと、を有している。このため、ナットN1(
図1参照)は、ボルトB5のねじ部B1cに螺合させる際に、雌ねじ部N1a(
図3B参照)がストレート部B5dあるいは突起B5eに引っ掛かるので、落下し難い。その結果、締結作業をし易くなり、施工性をよくすることができる。
また、ナットN1(
図3B参照)は、雌ねじ部N1aをボルトB5のねじ部B1cに捻じ込む際に、突起B5e及びストレート部B5dにガイドされてスムーズにねじ部B1cに螺合させることができる。このため、サドル付分水栓S(
図1参照)の施工性を向上させることができる。
【0036】
図4Eは、ボルトB1の突出部Bdの第5変形例を示す拡大正面図である。
また、
図4Eに示すように、突出部Bdは、ねじ部B1cの先端から突出した凸部B6dと、凸部B6dの先端から先端側に向かって突設された突起B6eと、を形成したものであってもよい。
かかる構成によれば、ボルトB6は、ねじ部B1cの先端部に突設された略半球形状の凸部B6dと、凸部B6dの先端に凸部B6dよりも小径の略棒状の突起B6eと、を有している。このため、ナットN1(
図1参照)は、ボルトB6のねじ部B1cに螺合させる際に、雌ねじ部N1a(
図3B参照)が突起B6eあるいは凸部B6dに引っ掛かるので、落下し難いため、締結作業をし易くすることができる。
また、ナットN1(
図3B参照)は、雌ねじ部N1aをボルトB6のねじ部B1cに捻じ込む際に、突起B6e及び凸部B6dにガイドされてスムーズにねじ部B1cに螺合させることができる。このため、サドル付分水栓S(
図1参照)の施工性を向上させることができる。
【0037】
<絶縁体上>
図1に示すように、絶縁体上5は、ボルト挿通孔2c内に押し込んで装着されて、ボルト挿通孔2cの内壁及び開口縁周辺部に配置される弾性絶縁体である。絶縁体上5は、円筒状に形成された円筒部5aと、円筒部5aの上端部に形成された鍔部5bと、円筒部5aの下端部に形成された係止爪5cと、が一体形成された樹脂製の筒状部材から成る。
【0038】
円筒部5aは、ボルト挿通孔2cの内壁に内嵌するように配置された円筒部分である。
鍔部5bは、円筒部5aの上端の開口縁から径方向外側に延設された円環状の板部である。鍔部5bは、平座金8がサドル2に直接触れるのを防ぐ機能を有している。
係止爪5cは、段差部2eに係止されて、絶縁体上5がサドル2から容易に離脱しないように保持するための係止部分である。
【0039】
<絶縁体下>
絶縁体下6は、絶縁体上5と同様、ボルト挿通孔3c内に押し込んで装着されて、ボルト挿通孔3cの内壁及び開口縁周辺部に配置される弾性絶縁体である。絶縁体下6は、円筒状に形成された円筒部6aと、円筒部6aの下端部に形成された鍔部6bと、円筒部6aの上端部に形成された係止爪6cと、鍔部6bの前端及び後端から下方向に突出した突出片から成るガイド覆着部6dと、が一体形成された樹脂製の略筒状部材から成る。
【0040】
<絶縁体ガイド>
図1に示すように、絶縁体ガイド9は、絶縁体下6を側面視して逆凹形状に折曲形成された鍔部6b及びガイド覆着部6d内に装着される部材である。絶縁体ガイド9は、ステンレス鋼板等の金属板によって形成されている。絶縁体ガイド9は、不図示のボルト挿入孔を有する座金部9aと、座金部9aの前端及び後端から下方向に突出した折曲片9bと、を有して成る。前後の折曲片9b間には、ボルトB1の頭部B1aが挿着される。
【0041】
<平座金>
平座金8は、市販のものから成る。平座金8は、ナットN1の下面と、絶縁体上5の鍔部5bとの間に介在されている。
【0042】
<コア>
図1に示すように、コア7は、配水管P1内と、サドル付分水栓Sの縦孔1aの下端のコア挿設孔1fに取付けられ、穿孔孔P1aの錆による縮小を抑制する略円筒形状の部材である。コア7の下端部は、サドル付分水栓Sの縦孔1a内に挿入した穿孔機(図示省略)によって穿孔された穿孔孔P1aに挿着されている。コア7の上端部は、コア挿設孔1fに装着されている。
【0043】
[サドル付分水栓の作用]
次に、
図1~
図3Bを参照して、本発明の実施形態に係るサドル付分水栓S及びボルトB1の製造方法の作用を説明する。
【0044】
まず、
図1に示すサドル付分水栓Sに使用されて、サドル2とバンド3とを配水管P1に連結固定するためのナットN1に螺合されて締め付けられるボルトB1の製造方法の一例(突出部Bdがストレート部B1dから成る場合)を説明する。
まず、鍛造で段付きに形成された金属素材を使用して、
図3Aに示す頭部B1a、胴部B1b及びストレート部B1dを鍛造で形成する。次に、ねじ部B1cを転造で形成する。
【0045】
ボルトB1の製造方法の一例の詳細は、以下のような手順となる。
(1)頭部B1a及び胴部B1bを冷間圧造で形成する。
(2)頭部B1a及び先端のストレート部B1dを冷間圧造で形成する。
(3)頭部B1a及びねじ部B1cを冷間圧造で形成する。
(4)頭部B1aを六角形に打抜く(トリミングする)。
(5)材料の表面に残っているコーティング剤等を除去する(磨き工程)。
(6)ねじ転造機で、ねじ部B1cにねじ立て(ねじ加工)を行う。
このようにして、ボルトB1は、製造される。
このボルトB1の製造方法は、製造方法の一例であり、順序は問わない。
【0046】
なお、上記の説明中、(1)-(3)の冷間圧造は、熱間圧造、冷間鍛造又は熱間鍛造であってもよい。
また、ねじ部B1cを転造した後のストレート部B1dには、ねじ条痕がついていてもよい。
【0047】
ちなみに、鍛造(狭義の鍛造)よりも圧造の方が寸法精度がよく、また、熱間よりも冷間の方が寸法精度がよい。
【0048】
そのボルトB1を取り付ける場合は、まず、
図1に示すように、一方の手でバンド3を支えながら、他方の手でボルトB1を持って、ストレート部B1dをバンド3のボルト挿通孔3cに装着した絶縁体下6に下側から挿入する。
【0049】
次に、そのストレート部B1dを、サドル2に装着した絶縁体上5に下側から挿入し、さらに、平座金8をねじ部B1cに嵌め込む。続いて、ストレート部B1dに、ナットN1を係合させると共に、そのナットN1をねじ部B1cに嵌める。
【0050】
図3Aまたは
図3Bに示すように、ボルトB1の先端部(上端部)には、ねじ部B1cのねじ山径d2よりも小径で、ナットN1のねじ山径D1よりも小径の円柱形状のストレート部B1dが形成されて先細形状になっている。このため、ナットN1は、容易にストレート部B1dに係合させて引っ掛けることができる。ストレート部B1dに係合されたナットN1は、ストレート部B1dから容易に落ちることがないので、締結作業が行い易く、楽に行えるため、締結作業の作業性を向上させることができる。
【0051】
また、ストレート部B1dは、ナットN1をねじ部B1cに捻じ込むときのガイドとなるので、ナットN1の雌ねじ部N1aが、ボルトB1のねじ部B1cにガタツキなく正しく噛み合うので、スムーズに捻じ込むことができる。このため、作業者は、ナットN1を落下させることなく、締結作業を迅速に、容易に行うことができるので、狭い掘削溝の中で作業する場合であっても、サドル付分水栓Sの施工性を向上させることができる。
【0052】
このように、ナットN1を落下し難くしたことで、作業者が、掘削溝の中のナットN1を落下して無くしたり、落下して泥や砂等が付着したナットN1をボルトB1に捻じ込んだり、落下したナットN1を拾う際にケガしたりするのを予防することができる。
【0053】
ナットN1は、スパナ等の工具によって、
図2に示すように、ねじ部B1cの上端から予め設定した所定の長さL2だけ突出した位置まで締め付ける。このように構成することで、作業者は、ナットN1の締付が完了する位置がわかるため、トルクレンチを使わずに、スパナ等の工具であっても、所定の締結力(トルク)でナットN1を締め付けることが可能となる。このため、サドル付分水栓Sを配水管P1に取り付ける際のナットN1の締付トルクの管理が不要となり、取付作業を簡素化することができると共に、締結力不足で、地震発生時にサドル付分水栓Sがずれたり、緩んだりするのを解消することができる。
【0054】
なお、ボルトB1~B6の突出部Bdは、
図4A~
図4Eに示すようなストレート部B1d以外の突出部Bdにすることで、スレート部B1dよりもさらにナットN1の雌ねじ部N1aを係合し易くすることが可能である。
【0055】
以上のように、本発明は、
図1、
図2、
図3Aあるいは
図3Bに示すように、配水管P1の外周に配置されて配水管P1に固定するための一対のフランジ部2bを有するサドル2と、配水管P1を挟んでサドル2に対向配置されて配水管P1に固定するための一対のフランジ部3bを有するバンド3と、サドル2とバンド3とを配水管P1に連結固定するためのボルトB1~B6(
図4A~
図4E参照)及びナットN1と、を備え、サドル2の一対のフランジ部2b、及び、バンド3の一対のフランジ部3bは、ボルトB1が挿通されるボルト挿通孔2c,3cをそれぞれ有し、ボルトB1に螺合されたナットN1を締め付けることで配水管P1の外周に取り付けられるサドル付分水栓Sであって、バンド3の一対のフランジ部3bのボルト挿通孔3cに挿通されると共に、サドル2の一対のフランジ部2bのボルト挿通孔2cにそれぞれ挿通されるボルトB1~B6(
図4A~
図4E参照)の先端部には、突出部Bdが形成されており、突出部Bdは、均一な径で伸びるストレート部B1d、あるいは、先端側に向かって縮径する縮径部B2d(
図4A参照)、あるいは、丸みを帯びた凸部B3d(
図4B参照)、あるいは、ストレート部B4d(
図4C参照)と当該ストレート部B4dの先端に設けられた縮径部B4e(
図4C参照)、あるいは、ストレート部B5d(
図4D参照)と当該ストレート部B5d(
図4D参照)の先端に設けられた突起B5e(
図4D参照)、あるいは、凸部B6d(
図4E参照)と当該凸部B6dの先端に設けられた突起B6e(
図4E参照)である。
【0056】
かかる構成によれば、本発明のサドル付分水栓SのボルトB1~B6(
図4A~
図4E参照)の先端部には、ナットN1をボルトB1~B6(
図4A~
図4E参照)に捻じ込む際に、ナットN1の雌ねじ部N1aが引っ掛かるストレート部B1d、縮径部B2d(
図4A参照)、凸部B3d(
図4B参照)、ストレート部B4d(
図4C参照)と縮径部B4e(
図4C参照)、ストレート部B5d(
図4D参照)と突起B5e(
図4D参照)、凸部B6d(
図4E参照)と突起B6e(
図4E参照)、のいずれかの突出部Bdが突出形成されている。このため、ナットN1は、ボルトB1~B6(
図4A~
図4E参照)に捻じ込む際に、ボルトB1~B6(
図4A~
図4E参照)から落下し難く、締結作業が行い易いため、サドル付分水栓Sの施工性を向上させることができる。特に、丸みを帯びた凸部B3d(
図4B参照)を有する場合は、凸部B3dにナットN1の雌ねじ部N1aがスムーズに係合するので、さらに、ナットN1を落下し難くすることができる。
また、本発明は、ナットN1がボルトB1~B6(
図4A~
図4E参照)から落下するのを予防できるので、ナットN1が落下して泥、砂等が付着するのを解消したり、ナットN1を拾う作業を解消したりすることが可能である。
【0057】
また、
図3A及び
図3Bに示すように、ストレート部B1dの直径d1は、使用するナットN1のねじ山径D1よりも小径である。
【0058】
かかる構成によれば、ボルトB1のストレート部B1dの直径d1は、使用するナットN1のねじ山径D1よりも小径に形成されている。このため、ナットN1は、ボルトB1のねじ部B1cに捻じ込む際に、ナットN1の雌ねじ部N1aをストレート部B1dに引っ掛かり易くすることができるので、さらに、落下し難くするができる。
また、ナットN1は、ストレート部B1dに係合させることで、ストレート部B1dにガイドされてボルトB1のねじ部B1cに螺合するため、ねじ部B1cに容易に捻じ込むことができるので、締結作業の作業性を向上させることができる。
【0059】
また、
図3A及び
図3Bに示すように、ストレート部B1dの長さL1は、使用するナットN1の頭高H1の1/4から頭高H1である。
【0060】
かかる構成によれば、ボルトB1は、ストレート部B1dの長さL1が、使用するナットN1の頭高H1の1/4から頭高H1であることで、ナットN1を締結する際に、ストレート部B1dが、ナットN1に引っ掛かり易く、かつ、他の物に干渉しない最適な長さにすることができる。このため、ボルトB1は、ストレート部B1dを形成したとしても、サドル付分水栓Sの施工に支障を来すことがない。
【0061】
また、
図1及び
図2に示すように、ボルトB1のねじ部B1cは、ナットN1の締め付けが完了した際に、ナットN1の上端から出る。
【0062】
ボルトB1は、ナットN1の締め付けが完了した際に、ナットN1の上端から出る位置まで締め付けて固定されることで、ナットN1をボルトB1に締結される位置が定められるので、常に締結力を一定にさせることができる。この場合、作業者は、ナットN1を締め付けた際に、ナットN1の上端から突出するねじ部B1cの長さL2(
図2参照)を、常に、予め設定した適切な寸法にすることで、所定の締結力でナットN1を締め付けることが可能となる。このため、ナットN1の上端から突き出たねじ部B1cは、ボルトB1とナットN1を締結する際の締め付けの目印となるので、トルクレンチ(専用工具)を使わずにスパナで締め付けたとしても、配水管P1をサドル2とバンド3とで挟持する締付力を所定の締結力(トルク)で、常に安定した力で保持することができる。
【0063】
このように、本発明は、ボルトB1に対してナットN1の締付力を一定にすることができるので、サドル付分水栓Sと配水管P1の孔軸とのずれによるコア挿入の施工ミスや、分水栓通水部と配水管P1の孔軸とのずれによる通水量の低下(圧力損失の増加)が発生するのを防止することができる。
さらには、本発明は、配水管P1にサドル付分水栓Sを取り付ける場合、締付力が弱くて、管周方向のずれや、管軸方向のずれが発生するのを解消することができる。また、地震等発生時に、サドル付分水栓Sの配水管P1からの取付け位置のずれが発生するのを抑止することができる。
また、本発明は、ボルトB1に対してナットN1の締付力が強くて、サドル付分水栓S、配水管Pが変形したり、破損したりするのを解消することができる。
また、本発明は、ボルトB1に対するナットN1の締め付けが強くなりすぎるのを防止することができるので、サドル付分水栓Sや配水管P1に負荷が掛かり、製品寿命の短縮や性能低下を招くのを解消することが可能となる。
【0064】
また、本発明は、
図1及び
図3Aに示すように、配水管P1の外周に配置されて配水管P1に固定するための一対のフランジ部2bを有するサドル2と、配水管P1を挟んでサドル2に対向配置されて配水管P1に固定するための一対のフランジ部3bを有するバンド3と、を備えているサドル付分水栓Sに使用されて、サドル2とバンド3とを配水管P1に連結固定するためのナットN1に螺合されて締め付けられるボルトB1の製造方法であって、ボルトB1のねじ部B1cを転造で形成し、ねじ部B1cの先端側に形成されて、均一な径で伸びるストレート部B1dを鍛造で形成する。
【0065】
かかる構成によれば、本発明のボルトB1の製造方法は、ボルトB1のねじ部B1cを転造で形成し、ストレート部B1dを鍛造で形成することで、一般のボルトを製造するときと同じコストで製造することができる。
【0066】
[第1変形例]
以上、本実施形態に係るサドル付分水栓Sについて、
図1~
図3Aを参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0067】
実施形態で説明したボルトB1の製造方法は、
図3Aに示すボルトB1のねじ部B1cを転造で形成し、ストレート部B1dをで形成することに限定されるものではない。本発明は、ボルトB1のねじ部B1cと、ストレート部B1dと、を転造で形成してもよい。
【0068】
つまり、本発明は、
図1及び
図3Aに示すように、配水管P1の外周に配置されて配水管Pに固定するための一対のフランジ部2bを有するサドル2と、配水管P1を挟んでサドル2に対向配置されて配水管P1に固定するための一対のフランジ部3bを有するバンド3と、を備えているサドル付分水栓Sに使用されて、サドル2とバンド3とを配水管P1に連結固定するためのナットN1に螺合されて締め付けられるボルトB1の製造方法であって、ボルトB1のねじ部B1cと、ねじ部B1cの先端側に形成されて、均一な径で伸びるストレート部B1dと、を転造で形成してもよい。
【0069】
この場合、ボルトB1は、ねじ部B1c及びストレート部B1dを転造で形成する。このようにして、ボルトB1は、製造してもよい。
【0070】
かかる構成によれば、本発明のボルトB1の製造方法は、ボルトB1のねじ部B1cと、ストレート部B1dと、を転造で形成するので、作業工程及びコストを増加させることなく製造することができる。
【0071】
[第2変形例]
図5は、本発明の実施形態に係るサドル付分水栓Sのその他の変形例を示す要部拡大正面図である。
【0072】
また、サドル付分水栓Sは、
図1に示すように、サドル2及びバンド3の左右一対のフランジ部2b,3bを水平に設置し、サドル2及びバンド3のボルト挿通孔2c,3cとボルトB1とを垂直に配置したものに限定されるものではない。
【0073】
図5に示すように、サドル付分水栓SAは、サドル2A及びバンド3Aの左右一対のフランジ部2Ab,3Abを先端側が下がるように斜めに設置し、サドル2及びバンド3のボルト挿通孔2Ac,3AcとボルトB1とを上方向に対して左右方向に斜めに配置したものであってもよい。
【0074】
つまり、サドル付分水栓SAは、バンド3をボルトB1とナットN1とで、サドル2に取り付けるものであれば、その形式は特に限定されず、前記した実施形態のサドル付分水栓Sと同様な作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0075】
1 分水栓本体
2,2A サドル
2b,3b,2Ab,3Ab フランジ部
2c,3c,2Ac,3Ac ボルト挿通孔
3,3A バンド
B1,B2,B3,B4,B5,B6 ボルト
B1d,B4d,B5d ストレート部
B1c ボルトのねじ部
B2d 縮径部
B3d,B6d 凸部
B4e 縮径部
B5e,B6e 突起
Bd 突出部
D1 ナットのねじ山径
d1 ストレート部の直径
H1 ナットの頭高
L1 ストレート部の長さ
N1 ナット
N1a 雌ねじ部
P1 配水管
S,SA サドル付分水栓