(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113135
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】カム位相調整システムにおけるバックラッシュ補償のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F01L 1/356 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
F01L1/356 C
F01L1/356 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023013760
(22)【出願日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】63/305,947
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515138399
【氏名又は名称】フスコ オートモーティブ ホールディングス エル・エル・シー
【氏名又は名称原語表記】HUSCO Automotive Holdings LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】マイケル クジャク
(72)【発明者】
【氏名】トッド ウォレンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ハイトホフ
【テーマコード(参考)】
3G018
【Fターム(参考)】
3G018AB02
3G018BA32
3G018CA13
3G018DA24
3G018DA83
3G018FA01
3G018FA07
3G018GA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カム位相調整システム内におけるバックラッシュを補償するシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】カム位相器12内におけるバックラッシュを考慮するために、所定量の追加的なアクチュエータ移動を命令することによりバックラッシュを補償する。幾つかの態様によれば、カム位相器12内にスプリングが提供されて、前記カム位相調整システム内の前記バックラッシュを一方向に吸収する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフトとカムシャフトとの間の回転関係を変化させるためのカム位相調整システムを制御する方法であって、
前記カム位相調整システムは、カム位相器を含み、
前記カム位相器は、クランクシャフトによって駆動されるスプロケット・ハブと、カムシャフトに結合されるクレードルロータと、前記クレードルロータと前記スプロケット・ハブとの間に備えられたスパイダロータと、前記スプロケット・ハブに対する前記クレードルロータの位相角を調整するように構成されたアクチュエータと、を備え、
前記方法は、
位相角命令を受信して、第1の位相器位置から第2の位相器位置に前記カム位相器を作動させることと、
前記第2の位相器位置に対応する前記アクチュエータの要求されているアクチュエータ位置を決定することと、
現在のアクチュエータ位置から前記要求されているアクチュエータ位置へ移動することに加え、所定量のアクチュエータ・オーバーシュートだけ移動するように、前記アクチュエータに命令することと、
を含む方法であって、
前記第1の位相器位置及び前記第2の位相器位置は、それぞれ、第1の位相角及び第2の位相角に対応し、
前記所定量のアクチュエータ・オーバーシュートは、前記カム位相調整システムでバックラッシュを補償するように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記所定量のアクチュエータ・オーバーシュートは、前記カム位相調整システム内における所定の大きさのバックラッシュに対応することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カム位相調整システムは、更に、前記スパイダロータと前記クレードルロータとの間に結合される付勢部材を含み、
前記付勢部材は、前記スパイダロータに対して第1の回転方向に前記クレードルロータを付勢するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記位相角命令が前記クレードルロータを前記第1の回転方向又は逆の第2の回転方向へ作動させることを必要としているかについて判定することと、
前記位相角命令が前記クレードルロータを前記第1の回転方向に作動させることを必要としていると判定したならば、前記現在のアクチュエータ位置から前記要求されているアクチュエータ位置へ移動することに加え、前記所定量のアクチュエータ・オーバーシュートだけ移動するように、前記アクチュエータに命令することと、
を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記位相角命令が前記クレードルロータを前記第2の回転方向に作動させることを必要としていると判定したならば、前記アクチュエータの追加オーバーシュートなしに、前記現在のアクチュエータ位置から前記要求されているアクチュエータ位置へ移動することを前記アクチュエータに命令する
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記現在のアクチュエータ位置と前記要求されているアクチュエータ位置との間のアクチュエータ位置決め誤差が所定の閾値よりも大きいか否かを判定することと、
前記アクチュエータ位置決め誤差が所定の閾値よりも大きいと判定したならば、前記現在のアクチュエータ位置から前記要求されているアクチュエータ位置へ移動することに加え、前記所定量のアクチュエータ・オーバーシュートだけ移動するように、前記アクチュエータに命令することと、
を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記現在のアクチュエータ位置と前記要求されているアクチュエータ位置との間のアクチュエータ位置決め誤差が所定の閾値よりも大きいか否かを判定することと、
前記アクチュエータ位置決め誤差が所定の閾値よりも小さいと判定したならば、前記所定量のアクチュエータ・オーバーシュートなしに、前記現在のアクチュエータ位置から前記要求されているアクチュエータ位置へ移動するように、前記アクチュエータに命令することと、
を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の回転方向は、前記クランクシャフトに対して前記カムシャフトを遅らせることに対応し、
前記第2の回転方向は、前記クランクシャフトに対して前記カムシャフトを進ませることに対応する
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記要求されているアクチュエータ位置を決定すること及び前記アクチュエータに命令することは、コントローラによって行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記コントローラからの命令の第1の部分に応答して前記アクチュエータを作動させて、前記現在のアクチュエータ位置から前記要求されているアクチュエータ位置に移動させること、
を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コントローラからの命令の第2の部分に応答して前記アクチュエータを作動させて、前記カム位相調整システム内に存在するバックラッシュの量に対応する大きさだけ前記要求されているアクチュエータ位置から前記アクチュエータを移動させること、
を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
クランクシャフトとカムシャフトとの間の回転関係を変化させるためのカム位相調整システムであって、
前記カム位相調整システムは、
クランクシャフトによって駆動されるスプロケット・ハブと、
カムシャフトに結合されるクレードルロータと、
前記スプロケット・ハブと前記クレードルロータとの間に備えられ、前記スプロケット・ハブと前記クレードルロータとの間の相対的回転を選択的にロック及びロック解除するように構成されたスパイダロータと、
前記スパイダロータと前記クレードルロータとの間に結合された付勢部材と、
を含むカム位相調整システムであって、
前記付勢部材は、前記スパイダロータに対して第1の回転方向に前記クレードルロータを付勢するように構成され、前記カム位相調整システム内のバックラッシュを単一方向に付勢することを特徴とするカム位相調整システム。
【請求項13】
前記第1の回転方向は、前記クランクシャフトに対して前記カムシャフトを遅らせることに対応する
ことを特徴とする請求項12に記載のカム位相調整システム。
【請求項14】
第2の回転方向は、前記クランクシャフトに対して前記カムシャフトを進ませることに対応する
ことを特徴とする請求項12に記載のカム位相調整システム。
【請求項15】
コントローラからの命令に応答して、前記カム位相調整システムの入力シャフトを係合させて、前記スプロケット・ハブに対して前記スパイダロータを選択的に回転させるように構成されるアクチュエータ
を更に含むことを特徴とする請求項12に記載のカム位相調整システム。
【請求項16】
前記入力シャフトの軸方向変位は、前記カム位相調整システムをロック状態から作動状態に遷移させ、
前記ロック状態においては、前記スプロケット・ハブに対する前記クレードルロータの回転はロックされており、
前記作動状態においては、前記クレードルロータと前記スプロケット・ハブとの間の回転はロック解除されている
ことを特徴とする請求項15に記載のカム位相調整システム。
【請求項17】
カム位相調整システムを制御する方法であって、
前記方法は、
コントローラからの命令に応答してアクチュエータを作動させて、第1の位置から第2の位置に移動させることと、
前記アクチュエータの移動に応答して、フォロワ部材を第1の回転位置から第2の回転位置に回転させることと、
を備える方法であって、
前記アクチュエータの作動の大きさは、前記フォロワ部材の回転の大きさに対応し、
前記フォロワ部材は、クレードルロータに対して前記第1の回転方向に付勢され、
前記フォロワ部材を前記第1の回転方向に回転させることは、前記第1の回転位置と前記第2の回転位置との間の第1の回転距離及び前記カム位相調整システムにおけるバックラッシュの量に対応する第2の回転距離だけ前記フォロワ部材を回転させることを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記フォロワ部材を前記第2の回転方向に回転させることは、前記カム位相調整システム内におけるバックラッシュに対応する前記第2の回転距離を含まない
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
現在のアクチュエータ位置と要求されているアクチュエータ位置との間のアクチュエータ位置決め誤差が所定の閾値よりも大きいか否かを判定することと、
前記アクチュエータ位置決め誤差が所定の閾値よりも大きいと判定したならば、前記現在のアクチュエータ位置から前記要求されているアクチュエータ位置へ移動することに加え、前記所定量のアクチュエータ・オーバーシュートだけ移動するように、前記アクチュエータに命令することと、
を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
現在のアクチュエータ位置と要求されているアクチュエータ位置との間のアクチュエータ位置決め誤差が所定の閾値よりも大きいか否かを判定することと、
前記アクチュエータ位置決め誤差が所定の閾値よりも小さいと判定したならば、前記所定量のアクチュエータ・オーバーシュートなしに、前記現在のアクチュエータ位置から前記要求されているアクチュエータ位置へ移動するように、前記アクチュエータに命令することと、
を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2022年2月2日に出願された米国仮特許出願第63/305,947の利益を主張するものであり、その全体は参照によりここに援用されているものとする。
【0002】
<連邦政府の支援による研究に関する言明>
該当無し。
【背景技術】
【0003】
一般に、カム位相調整システムは、クランクシャフトに結合された駆動部材(例えば、スプロケット)と、カムシャフトに結合され駆動部材によって回転駆動される被駆動部材(例えばロータ)と、を含むことができる。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、本開示は、クランクシャフトとカムシャフトとの間の回転関係を変化させるためのカム位相調整システムを制御する方法を提供する。前記カム位相調整システムは、カム位相器を含むことができ、前記カム位相器は、クランクシャフトによって駆動されるように構成されたスプロケット・ハブと、カムシャフトに結合されるように構成されたクレードルロータと、前記クレードルロータと前記スプロケット・ハブとの間に備えられたスパイダロータと、前記スプロケット・ハブに対する前記クレードルロータの位相角を調整するように構成されたアクチュエータと、を備える。前記方法は、位相角命令を受信して、第1の位相器位置から第2の位相器位置にカム位相器を作動させることを含むことができ、前記第1の位相器位置及び前記第2の位相器位置は、それぞれ、第1の位相角及び第2の位相角に対応する。前記方法は、更に、前記第2の位相器位置に対応する前記アクチュエータの要求されているアクチュエータ位置を決定することと、現在のアクチュエータ位置から前記要求されているアクチュエータ位置へ移動することに加え、所定量のアクチュエータ・オーバーシュートだけ移動するように、前記アクチュエータに命令することと、を含むことができる。前記所定量のアクチュエータ・オーバーシュートは、前記カム位相調整システムでバックラッシュを補償するように構成されることができる。
【0005】
別の態様によれば、本開示は、クランクシャフトとカムシャフトとの間の回転関係を変化させるためのカム位相調整システムを提供する。前記カム位相調整システムは、クランクシャフトによって駆動されるように構成されたスプロケット・ハブと、カムシャフトに結合されるように構成されたクレードルロータと、前記スプロケット・ハブと前記クレードルロータとの間に備えられたスパイダロータと、を含むことができる。前記スパイダロータは、前記スプロケット・ハブと前記クレードルロータとの間の相対的回転を選択的にロック及びロック解除するように構成されることができる。前記カム位相調整システムは、更に、前記スパイダロータと前記クレードルロータとの間に結合された少なくとも1つのスプリングを含むことができる。前記スプリングは、前記スパイダロータに対して第1の回転方向に前記クレードルロータを付勢するように構成され、前記カム位相調整システム内のバックラッシュを補償するように構成されることができる。
【0006】
別の態様によれば、本開示は、カム位相調整システムを制御する方法を提供する。前記方法は、コントローラからの命令に応答してアクチュエータを作動させて、第1の位置から第2の位置に移動させることを含むことができる。前記方法は、更に、前記アクチュエータの移動に応答して、フォロワ部材を第1の回転位置から第2の回転位置に回転させることを含むことができる。前記アクチュエータの作動の大きさは、前記フォロワ部材の回転の大きさに対応することができる。前記フォロワ部材は、クレードルロータに対して前記第1の回転方向に付勢されることができる。前記フォロワ部材を前記第1の回転方向に回転させることは、前記第1の回転位置と前記第2の回転位置との間の第1の回転距離及び前記カム位相調整システムにおけるバックラッシュの量に対応する第2の回転距離だけ前記フォロワ部材を回転させることを含む。
【0007】
本開示の上記及び他の態様及び利点は、下記の説明から明らかになる。説明では、本明細書の一部を形成し、本開示の好ましい構成を例として示す添付の図面を参照する。しかし、そのような構成は、必ずしも本開示の全範囲を表すものではなく、したがって、本開示の範囲を解釈するために特許請求の範囲及び本明細書が参照される。
【0008】
以下の詳細な説明を考慮すると、本発明はよりよく理解され、上記以外の特徴、態様、及び利点が明らかになるであろう。そのような詳細な説明は、以下の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一態様によるカム位相制御システムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のカム位相制御システムと共に使用できるカム位相器の概略図である。
【
図3】
図3は、カム位相調整システム内のバックラッシュを補償するために
図2のカム位相器を制御する方法を示す。
【
図4】
図4は、
図3の方法の実行中の位相角及びアクチュエータ位置の変化を示すグラフである。
【
図5】
図5は、カム位相器の回転方向に基づいてカム位相調整システム内のバックラッシュを補償するように
図2のカム位相器を制御する方法を示す。
【
図6】
図6は、
図5の方法の実行中における位相角及びアクチュエータ位置の変化を示すグラフである。
【
図7】
図7は、
図5のカム位相器を追加のオプションのステップで制御する方法を示す。
【
図8】
図8は、
図7の方法の実行中における経時的な位相角及びアクチュエータ位置の変化を示すグラフを示す。
【
図9】
図9は、軸方向変位アクチュエータを有する
図1の制御システムと共に使用するためのカム位相調整システムの非限定的な例を示す。
【
図10】
図10は、回転変位アクチュエータを有する
図1の制御システムと共に使用するためのカム位相調整システムの非限定的な例を示す。
【
図11】
図11は、バックラッシュ補償付勢要素を含む
図10のカム位相調整システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の議論は、当業者が本発明の実施形態を作成および使用することを可能にするために提供されている。説明される実施形態に対する様々な変形は、当業者には容易に明らかになり、本明細書の包括的な原理は、本発明の実施形態から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用可能である。従って、本発明の実施形態は、図示の実施形態に限定されることは意図されていないが、本明細書に開示の原理および特徴と調和する最も広い範囲に一致するものとする。以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるものとし、図中、異なる図における同様の部材は同様の参照符号を有する。図は必ずしも拡縮されている必要はなく、選択された実施形態を示すものであり、本発明の実施形態の範囲を限定することは意図されていない。当業者は、本明細書に提供された例には多くの有用な代替形態があり、本発明の実施形態の範囲内に含まれることを理解するであろう。
【0011】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその用途が、以下の詳細な説明に説明されるか、添付図面に図示された構造の詳細および構成部材の配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態にも適用可能であり、様々な方法で実行または実施することが可能である。また、本明細書に使用される言回しおよび用語は、説明を目的とするものであり、限定的なものとして介されるべきではないことを理解されたい。「含む(including)」、「備える(comprising)」、または「有する(having)」、およびそれらの変形の使用は本明細書において、その後ろに列挙されるアイテムおよびその均等、ならびに追加のアイテムの包含を意味する。別様に特定されるか限定されていない限り、「取り付けられる(mounted)」、「接続される(connected)」、「支持される(supported)」、および「結合される(coupled)」、ならびにそれらの変形は、広範囲に使用され、直接的と間接的との両方の取付け、接続、支持、および結合を包含している。さらに、「接続される」および「結合される」は、物理的または機械的な接続または結合に制限されない。
【0012】
本明細書で使用される「約(about)」という用語は、例えば、本明細書の開示の実施形態を含み得るフットウェア製品又は他の製造品に使用される典型的な測定及び製造手順、これらの手順における不注意による誤り、組成物又は混合物を製造する為又は方法を実行する為に使用される成分の製造、供給源、又は純度の違い、などによって生じ得る数値の変動を指す。本開示全体を通して、別段の記載がない限り、「ほとんど(near)」、「約(about)」、及び「およそ(approximately)」という用語は、その用語に先行する数値の±5%の値の範囲を指す。
【0013】
本明細書で使用される「軸方向」という用語及びその変形は、特定の構成要素又はシステムの対称軸、中心軸、又は伸長方向にほぼ沿って延びる方向を指す。例えば、構成要素の軸方向に延びる特徴は、その構成要素の対称軸又は伸長方向に平行な方向にほぼ沿って延びる特徴であってもよい。同様に、「半径方向」という用語及びその変形の本明細書での使用は、対応する軸方向に対してほぼ垂直な方向を指す。例えば、構成要素の半径方向に延びる構造は、一般に、その構成要素の長軸又は中心軸に垂直な方向に少なくとも部分的に沿って略延在してもよい。本明細書における「周方向」という用語及びその変形の使用は、物体の周方向に略延在する方向、又は特定の構成要素又はシステムの対称軸、中心軸、又は伸長方向周りに略延在する方向を指す。
【0014】
カム位相調整システムは、カム位相調整システムの部材間の遊び及び/又はバックラッシュを含む場合がある。バックラッシュは、カム位相調整システムの部材間の公差及び/又は適合によって引き起こされうる。非限定的な例では、バックラッシュは、駆動部材の移動が被駆動部材に対応する移動を生成するのを妨げる。このバックラッシュは、駆動及び/又は被駆動部材をより正確に位置決めするために駆動/被駆動部材を調整する際に考慮することができる。一例では、カムシャフトは、バックラッシュを含む可能性があり、例えば、カムシャフト部分間のカップリング(例えば、ラブジョイ(Lovejoy)カップリング、オルダム(Oldham)カップリングなど)を有する分割カムシャフト設計のカムシャフトは、バックラッシュを含む可能性がある。他の例によれば、カム位相調整システム内の、又はカム位相調整システムに関連する歯車列又はチェーン及びスプロケット・システムも、バックラッシュを含むことがある。カム位相調整システム内に存在するバックラッシュは、場合によっては、位相調整動作中にカム位相調整システムの制御が不正確になる可能性がある。例えば、場合によっては、カム位相調整システム内のバックラッシュが、目的の位相角を目標にしようとするときに、オーバー及び/又はアンダー・ポジショニング(つまり、オーバーシュート及び/又はアンダーシュート)を引き起こす可能性がある。本明細書で説明するシステム及び方法は、カム位相調整システム内のバックラッシュを補償する(例えば、1つまたは複数の要因に基づいて選択的に補償する)ことができ、カム位相調整システムのより正確な制御を提供する、カム位相調整システム及び制御方法を提供する。
【0015】
図1は、クランクシャフト16に対するカムシャフト14の位相角を制御するように構成されたカム位相調整システム10の一例を示す。カム位相調整システム10は、内燃機関のカムシャフト14とクランクシャフト16との間に結合されたカム位相器12を含むことができる。カム位相調整システム10は、カム位相器12と選択的に係合するように構成されたカム位相器アクチュエータ22を含むことができる。非限定的な例では、アクチュエータ22は、クランクシャフト16に対するカムシャフト14の回転位置を変更することによって、カムシャフト14の位相角を調整するように構成される。
【0016】
アクチュエータ22は、カム位相器12に軸方向及び/又は回転入力を提供するように構成することができる。幾つかの非限定的な例では、アクチュエータ22は、電流に応答して軸方向に変位するように構成されたリニア・アクチュエータ及び/又はソレノイドであり得る。幾つかの非限定的な例では、アクチュエータ22はまた、軸力及び/又は変位をカム位相器12に提供するための機械的リンケージ、油圧作動要素、及び/又は任意の実行可能な機構であり得る。別の非限定的な例によれば、アクチュエータ22は、例えば、電動モータ、リバース・ラック・アンド・ピニオン(reverse rack and pinion)、ウォーム・スクリュー(worm-screw)、及び/又は他の適切なロータリーアクチュエータなどの、カム位相器12にトルクを加えるように構成されたロータリーアクチュエータであってもよい。非限定的な例では、ロータリーアクチュエータは、固定子と、固定子に電磁気的に結合された回転子とを含んでもよい。一形態では、ロータリーアクチュエータに電流を印加して、所望のトルクで所望の方向にロータリーアクチュエータを回転させるように構成された回転出力を生成することができる。幾つかの非限定的な例では、ロータリーアクチュエータはブラシレスDC(BLDC)モータであってもよい。
【0017】
カム位相調整システム10は、プロセッサ26及びメモリ28を含むコントローラ24を含むことができる。メモリ28は、プロセッサ26によって実行可能なプログラム、ソフトウェア、及び/又は命令を記憶する、フラッシュメモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM)、及び/又は他のタイプのメモリなどの、非一時的コンピュータ可読媒体及び/又は他の形態のメモリであることができる。幾つかの非限定的な例によれば、コントローラ24は、エンジンのエンジン制御ユニット(ECU)に統合することができる。他の非限定的な例では、コントローラ24は、ECUから分離することができるが、ECUと電気的通信ができる状態にある。例えば、コントローラ24は、ECUから命令を受信し、これらの命令に基づいて命令を実行し、フィードバックをECUに提供することができる。幾つかの例によれば、コントローラ24及びアクチュエータ22が単一の一体型構成要素を形成するように、コントローラ24をアクチュエータ22のボディに組み込むことができる。
【0018】
図示の非限定的な例では、コントローラ24は、アクチュエータ22に命令を供給するために、アクチュエータ22と電気的通信ができる状態であることができる。コントローラ24はまた、アクチュエータ22の位置を測定/感知するように構成されたアクチュエータ位置センサ30と電気的通信ができる状態であることができる。幾つかの非限定的な例によれば、コントローラ24はまた、それぞれカムシャフト14及びクランクシャフト16の回転位置を検出するように構成されたカムシャフト位置センサ32及びクランクシャフト位置センサ34と電気的通信ができる状態であることができる。コントローラ24は、カムシャフト及びクランクシャフト位置センサ32、34から信号を受信して、クランクシャフト16に対するカムシャフト14の位相角を計算することができる。場合によっては、カムシャフト及びクランクシャフトの速度及び加速度は、カムシャフト位置センサ32及びクランクシャフト位置センサ34から決定することもできる。従って、コントローラ24は、アクチュエータの位置、カムシャフトの位置、及び/又はクランクシャフトの位置を同時に監視することができる。アクチュエータ、カムシャフト、及び/又はクランクシャフトの位置に基づいて、コントローラは、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対位置が変更されるように、アクチュエータに位置を変更するように命令することができる。
【0019】
図1及び2を参照すると、カム位相器12は、カムシャフト14に結合されたクレードルロータ52と、クランクシャフト16によって駆動されるスプロケット・ハブ54とを含む。非限定的な例では、クレードルロータ52は、カムシャフト14に結合され、クレードルロータ52の回転が対応する回転をカムシャフト14に与える。スプロケット・ハブ54は、クランクシャフト16の作動がスプロケット・ハブ54の回転を生成するように、クランクシャフト16によって駆動され得る。スプロケット・ハブ54及びクランクシャフト16は、ベルト及び/又はプーリ・システム、チェーン及びスプロケット・システム、及び/又は、ギア・トレイン・アセンブリを介して接続されてもよい。スプロケット・ハブ54は、クランクシャフト16の速度に比例する速度(例えば、クランクシャフト16の速度の半分)で駆動される。クレードルロータ52、スプロケット・ハブ54、カムシャフト14、及びクランクシャフト16の相対的な結合のための代替構成も可能である。例えば、幾つかの非限定的な例によれば、クランクシャフトをクレードルロータに結合することができ、カムシャフトをスプロケット・ハブに結合することができる。
【0020】
図示の非限定的な例では、カム位相器12は、スプロケット・ハブ54とクレードルロータ52との間に配置されたフォロワ機構56を更に含む。フォロワ機構56は、スプロケット・ハブ54とクレードルロータ52との間の相対回転を選択的にロック及びロック解除するように構成することができる。
図2に示すように、アクチュエータ22は、フォロワ機構56に直接及び/又は間接的に係合するように構成することができる。幾つかの非限定的な例では、フォロワ機構56はベアリングケースの形態である。幾つかの非限定的な例では、フォロワ機構56は、スパイダロータとして構成することができる。フォロワ機構56は、フォロワ機構56の回転がクレードルロータ52に対応する回転を引き起こし、それによってカムシャフト14の回転を引き起こすように、クレードルロータ52に結合することができる。別の言い方をすれば、フォロワ機構56は、クレードルロータ52とスプロケット・ハブ54との間の回転関係を変更し、それによってカムシャフト14とクランクシャフト16との間の回転関係を変更してもよい。
【0021】
図示の非限定的な例では、カム位相器12は、フォロワ機構56とクレードルロータ52との間に配置された少なくとも1つの付勢要素58を含む。付勢要素58は、クレードルロータ52の一定のアイドル位置が維持されるように、フォロワ機構56に対してクレードルロータ52を(回転的に)付勢することができる。バックラッシュの補償を支援するために、付勢要素は、フォロワ機構56に対してクレードルロータ52を第1の回転方向に一方向に付勢することができ、これにより、カムシャフト14とフォロワ機構56との間にトルクが生成される。他の非限定的な例によれば、付勢要素58’は、スプロケット・ハブ54とフォロワ機構56との間に代替的及び/又は追加的に配置することができる。幾つかの非限定的な例によれば、付勢要素58は、例えばコイルスプリングなどのスプリングとして構成することができ、又は、例えばゴムダンパなどの別のタイプの弾性部材として構成することができる。他の非限定的な例によれば、付勢要素58はねじりばねとして構成することができる。
【0022】
付勢要素58によって提供される(一方向の)トルクは、カム位相調整システム10内のバックラッシュをカム位相調整システム内の特定の(例えば、所定の)位置及び/又は場所に付勢し(例えば、吸収し)、バックラッシュを正確に考慮することができる。例えば、付勢された方向と反対に移動する場合、カム位相器12を付勢方向とは反対の方向(例えば、第2の回転方向)に作動させると、(例えば、システムにバックラッシュが存在しないかのように)システムに対するバックラッシュの影響が軽減される。対照的に、カム位相器12が付勢された方向(例えば、第1の回転方向)に作動されるとき、作動中にカム位相調整システム10内のすべてのバックラッシュが存在する。第1回転方向の回転ではバックラッシュがすべて発生し、第2回転方向の回転ではバックラッシが発生せず、システム内のバックラッシュの総量が(例えば、製造前及び/又は製造後の測定及び/又は計算によって)既知であるので、カムシャフトの位相角を正確に調整するために、システムのバックラッシュを考慮して制御ストラテジーを実装できる。
【0023】
図3及び
図4は、カム位相調整システム10を制御してシステム内のバックラッシュを補償する方法100を示す。例えば、カム位相器12の作動中のバックラッシュの影響を補償するため。ステージ102で、コントローラ24は、位相角命令150を受け取ることができる。位相角命令150は、カム位相器12を第1の位相器位置から第2の位相器位置に移動するようアクチュエータに命令することができる。例えば、コントローラ24は、ECUから位相角命令150を受信し、それに応答して、アクチュエータ22に出力するための適切な命令を生成することができる。
図4に示される非限定的な例では、第1の位相器位置は第1の位相角152に対応し、第2の位相器位置は第2の位相角154に対応する。
【0024】
ステージ104で、コントローラ24は、位相角命令150に基づいて要求されているアクチュエータ位置156を決定することができる。非限定的な例では、要求されているアクチュエータ位置156は、第2の位相器位置に対応してもよい。理解されるように、アクチュエータ位置は、カムシステムの位相角に対応する関係を有する。例えば、アクチュエータの各角度及び/又は軸方向位置は、カムシステムの位相角に対応し得る。その結果、コントローラ24は、現在の位相角に基づいてアクチュエータ位置を決定する、及び/又は現在のアクチュエータ位置から現在の位相角を決定することができる。これらの対応する値は、既知の位置へのアクチュエータの移動が位相角の既知の変化に対応するように、コントローラのメモリ28内に格納することができる。幾つかの非限定的な例によれば、カム位相器12は、アクチュエータ22(例えば、アクチュエータ22の出力シャフト)の回転又は軸方向変位(すなわち、変位位置)の大きさと、クレードルロータ52とスプロケット・ハブ54との間の相対回転の大きさと、の間の比例関係を定義することができる。
【0025】
コントローラ24は、現在のアクチュエータ位置158から、決定され要求されているアクチュエータ位置まで、アクチュエータ22に移動するように命令することができる。幾つかの非限定的な例では、コントローラ24は、システム内のバックラッシュに等しい量に対応する、追加の所定の大きさだけ移動するようにアクチュエータ22に命令することができる。理解されるように、システム内のバックラッシュの量は、バックラッシュの量がコントローラ24のメモリ28に保存され得るように、システムの製造中及び/又は製造後に事前に計算され得る。従って、コントローラ24は、バックラッシュの量に等しい量だけ移動するようにアクチュエータ22に命令することができる。これにより、カム位相調整システムの不適切なポジショニングのリスクが軽減される。コントローラ24からの命令は、単一の命令を含んでもよく、及び/又は第1の部分160及び第2の部分162などの複数の命令部分を含んでもよい。第1の部分160は、(例えば、あたかもバックラッシュがないかのように)、現在のアクチュエータ位置158から、要求されているアクチュエータ位置までの作動に対応する大きさだけ、アクチュエータ22を移動させることに対応することができる。第2の部分162は、システム内のバックラッシュの量に対応する追加の大きさだけアクチュエータ22を移動させることに対応することができる。
【0026】
図示の非限定的な例によれば、コントローラ24は、所定の大きさのアクチュエータ・オーバーシュートに加えて、現在のアクチュエータ位置158から、要求されているアクチュエータ位置156までアクチュエータ22に移動するように命令することができる。例えば、第1の部分160は、現在のアクチュエータ位置から、要求されているアクチュエータ位置への移動に対応し、第2の部分162は、所定量のオーバーシュートに対応する移動に対応してもよい。オーバーシュート命令(すなわち、第2の部分162)は、アクチュエータがオーバーシュート命令の位置に近づくまで(例えば、アクチュエータがオーバーシュート量として示される量だけ移動するまで)、期間164の間持続してもよい。その期間の後及び/又はその前に、コントローラ24はアクチュエータ22に要求されているアクチュエータ位置156までの移動を命令することができる。従って、オーバーシュート命令は、アクチュエータがシステムに存在するバックラッシュの量に近づくか、及び/又は移動するまでの間のみ、アクティブになる。
【0027】
本明細書で説明するように、付勢要素58は、すべてのバックラッシュが単一の回転方向(例えば、第1の回転方向)に配置されるようにカム位相調整システム10を付勢する一方向のトルク及び/又は付勢力を加えることができる。
図5は、システム内のバックラッシュが単一の回転方向に付勢されるように、カム位相調整システム10を制御する方法200を示している。上述のように、ステージ102で、コントローラ24は、位相角命令150を受信して、カム位相器12を第1の位相器位置から第2の位相器位置に作動させることができる。次にコントローラ24は、ステージ104で第2の位相器位置に対応する、要求されているアクチュエータ位置156を(例えば、メモリ28に保存された1つ又は複数の所定の基準値を介して)決定することができる。
【0028】
図4~
図6を参照し、ステージ208で、コントローラ24は、位相角命令が付勢方向(例えば、クレードルロータ52の第1の回転方向への作動)又は付勢方向と反対の方向(例えば、クレードルロータ52の第2の回転方向への作動)の位相角の変化を必要とするかどうかを判定することができる。ステージ210において、コントローラ24は、命令された回転及び/又は位相角の変化が、付勢された方向と反対の方向(例えば、第2の回転方向)への作動を必要とするかどうかを判定することができる。コントローラ24が、命令が付勢された方向とは反対の作動を必要とすると判断した場合、コントローラ24は、システム内のバックラッシュに対応する追加のアクチュエータの移動なしに、ステージ212において現在のアクチュエータ位置158から、要求されているアクチュエータ位置156までアクチュエータ22に移動するように命令することができる。別の言い方をすれば、付勢された方向と反対の方向に移動するとき、付勢部材はシステム内のバックラッシュを吸収するので、アクチュエータ22の移動はシステム内における追加のバックラッシュを考慮しない。幾つかの非限定的な例によれば、カム位相調整システム10の弾性のために、微量の追加のアクチュエータの移動が依然として発生する可能性がある。
【0029】
ステージ210において、位相角命令が付勢方向(例えば、第1の回転方向)への位相角変化(すなわち、移動)を必要とするとコントローラ24が判断した場合、コントローラ24は、ステージ106において、現在のアクチュエータ位置158から、要求されているアクチュエータ位置156まで移動することに加え、システム内の所定の大きさのバックラッシュだけ移動をするように、アクチュエータ22に命令することができる。従って、カム位相器12が付勢された方向と反対の方向に作動されるとき、作動中にバックラッシュは存在しないか、及び/又は、最小限のバックラッシュが存在する。対照的に、カム位相器12が付勢された方向に作動されると、作動中にカム位相調整システム10内のすべてのバックラッシュが存在する。その結果、バックラッシュは、アクチュエータの作動中にコントローラによって考慮及び補償され、カム位相調整のエラーにつながる可能性があるアクチュエータ位置のエラーを軽減することができる。
【0030】
上述の非限定的な例では、第1の回転方向(例えば、付勢方向)は、カム位相調整中のカムシャフトの遅角方向に対応することができ、第2の回転方向(例えば、付勢方向の反対)は、カム位相調整中のカムシャフトの前進方向に対応することができる。例えば、上述の非限定的な例では、バックラッシュは、カム位相器12を遅角方向に作動させるときにのみ補償する必要がある。他の非限定的な例では、付勢方向は、カム位相調整中のカムシャフトの前進方向に対応し、非付勢方向は、カムシャフト位相調整中のカムの遅角方向に対応してもよい。
【0031】
図7は、
図5の方法200を示し、カム位相調整システム10を制御するための追加のオプションのプロセスを含む。
図5の方法と同様に、コントローラ24はステージ102で位相角命令150を受け取ることができる。次に、コントローラはアクチュエータに命令して、カム位相器12を第1の位相器位置から第2の位相器位置に作動させ、次いでコントローラ24は、ステージ104で第2の位相器位置に対応する、要求されているアクチュエータ位置156を決定することができる。
【0032】
ここで
図7を参照すると、幾つかの非限定的な例では、ステージ210において位相角命令が付勢方向(例えば、第1の回転方向)への移動(例えば、位相角の変化)を必要とするとコントローラ24が判断した場合、コントローラ24はステージ214に進むことができる。ステージ214で、コントローラ24は、命令アクチュエータ速度及び/又はカム位相器ドリフト速度を決定することができる。命令されたアクチュエータ速度は、命令された位置の微分に基づくことができる。例えば、命令されたアクチュエータ速度は、現在のアクチュエータ位置から以前のアクチュエータ位置を引き算したものを、現在の命令と以前のアクチュエータ命令との間に経過した時間で割ることによって定義することができる。カム位相器ドリフト速度は、カム位相器12の位相変化(例えば、移動)の速度に基づくことができ、これは、エンジン要因(エンジン速度など)及び付勢要素58から加えられるトルクに依存する可能性がある。別の言い方をすれば、付勢要素58は、カム位相器のカム位相器ドリフト速度でフォロワ機構56とクレードルロータ52とを相対的に移動させるために付勢力を加える。ステージ216で、命令されたアクチュエータ速度がカム位相器ドリフト速度よりも大きいとコントローラ24が判断した場合、コントローラ24は、
図4に示され上記説明したように、所定の大きさのアクチュエータ・オーバーシュートに加えて、現在のアクチュエータ位置158から、要求されているアクチュエータ位置156までアクチュエータ22に移動するように命令することができる。幾つかの例によれば、命令されたアクチュエータ速度は、高速ランプ命令の間、カム位相器のドリフト速度よりも大きくなり得る(例えば、
図8を参照)。
【0033】
引き続き
図7を参照すると、命令アクチュエータ速度がカム位相器ドリフト速度よりも大きくないとコントローラ24が判断した場合、コントローラ24はブロック218に進み、アクチュエータ位置決め誤差を決定することができる。アクチュエータ位置決め誤差は、現在のアクチュエータの位置(例えば、
図4のライン158)と、命令されている又は要求されているアクチュエータ位置(例えば、
図4のライン156)との差として定義できる。別の言い方をすれば、アクチュエータ位置決め誤差は、現在のアクチュエータ位置と意図したアクチュエータ位置との差であり、これにより、アクチュエータ位置決め誤差は、アクチュエータの現在の位置と命令された位置との差を表す。例えば、ステップ応答中に大きなアクチュエータ誤差が発生する可能性がある。別の例によれば、低速ランプ中に小さなアクチュエータ誤差が発生する可能性がある。非限定的な例では、大きいアクチュエータ誤差は5度を超え、小さいアクチュエータ誤差は5度未満であってもよい。
【0034】
ブロック220で、アクチュエータ誤差が所定の閾値より大きいとコントローラ24が判断した場合、コントローラ24はステージ106に進み、現在のアクチュエータ位置158から、要求されているアクチュエータ位置156まで移動することに加え、システム内のバックラッシュを補償するための所定量の追加移動を行うようにアクチュエータ22に命令することができる。アクチュエータ誤差が所定の閾値より大きくないとコントローラ24が判断した場合、次に、コントローラ24はステージ212に進み、システム内のバックラッシュを補償するための追加動作を提供することなく、現在のアクチュエータ位置158から、要求されているアクチュエータ位置156までアクチュエータ22に移動するように命令することができる。幾つかの非限定的な例によれば、所定の誤差閾値は、0度から50度の間であり得る。
【0035】
カム位相器の例
【0036】
図9及び10は、上記の説明と一致するカム位相調整システム内のバックラッシュを補償するように構成された付勢要素を含むことができるカム位相器の非限定的な例を示す。前述のように、アクチュエータは、出力シャフトを軸方向に変位させることができるリニア・アクチュエータとすることができる。代替的又は追加的に、アクチュエータは、出力シャフトを回転変位させてカム位相器を作動させることができるロータリーアクチュエータであってもよい。軸方向変位アクチュエータの一例は、シュミット(Schmitt)らの米国特許第10,072,537号明細書に記載されており、その内容の全体は本明細書に参照により援用される。ロータリーアクチュエータの一例は、「相対回転運動を制御するためのシステム及び方法」というタイトルのVan Weeldenらによる米国特許出願公開第2022/0195898号明細書に記載されており、その内容の全体は本明細書に参照により援用される。
【0037】
図9は、内燃機関のカムシャフト1013に結合されたカム位相調整システム1010を示す。
図9に示すように、カム位相調整システム1010は、カムシャフトに結合されるように構成されたクレードルロータ1052、クランクシャフトに結合されたスプロケット・ハブ1054、クレードルロータ1052に選択的に結合されたスパイダロータ1056(例えば、フォロワ機構)、及びヘリックスロッド1080の形態の入力シャフトを含むことができる。スプロケット・ハブ1054、クレードルロータ1052、スパイダロータ1056、及びヘリックスロッド1080は、組み立てられると、それぞれ共通の中心軸1011を共有することができる。スプロケット・ハブ1054は、スプロケット・ハブ1054の外径に接続された(又は一体的に形成された)スプロケット1057を含むことができる。スプロケット1057は、クランクシャフトの速度に比例する速度でスプロケット・ハブ1054を回転させることができる内燃エンジンのクランクシャフトに結合することができる。
【0038】
アクチュエータ1022は、ヘリックスロッド1080を作動させるために、ヘリックスロッド1080と選択的に係合してもよい。例えば、アクチュエータ1022は、中心軸1011に平行又はそれに沿った方向にヘリックスロッド1080に軸力を加えることができる。アクチュエータ1022は、リニア・アクチュエータ、機械的リンケージ、油圧作動要素、及び/又はヘリックスロッド1080に軸力及び/又は変位を提供することができる任意の実行可能な機構であってもよい。すなわち、アクチュエータ1022は、スパイダロータ1056の所望の回転変位に対応する既知の位置まで軸方向にヘリックスロッド1080を変位させるように構成することができる。アクチュエータ1022は、コントローラ(例えば、コントローラ24)によって制御され電力供給されることができる。
【0039】
ヘリックスロッド1080は、スパイダロータ1056のヘリカル特徴1084と係合するように構成されたヘリカル部分1082を含む。ヘリックスロッド1080のヘリカル部分1082とスパイダロータ1056のヘリカル特徴1084との間の相互作用は、スプロケット・ハブ1054に対してスパイダロータ1056を回転させる。例えば、アクチュエータ1022によって加えられるヘリックスロッド1080の軸方向変位は、スパイダロータ1056を回転させる。
図9に示されるように、組み立てられると、スパイダロータ1056は、軸方向に変位できないように拘束されることができる。従って、アクチュエータ1022によってヘリックスロッド1080に加えられる軸方向の変位に応じて、スパイダロータ1056は、時計回り又は反時計回りに既知の量だけ(例えば、第1の方向又は第2の方向に)回転する。すなわち、スパイダロータ1056は、ヘリックスロッド1080のヘリカル部分1082とスパイダロータ1056のヘリカル特徴1084との間の相互作用により、スプロケット・ハブ1054に対して回転する。
【0040】
カムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変更するために、コントローラ(例えば、
図1のコントローラ24)は、アクチュエータ1022に命令して、ヘリックスロッド1080を第1の位置から第2の位置まで軸方向に変位させる。ヘリックスロッド1080を軸方向に変位させる信号が送られると、カム位相調整システム1010は、クレードルロータ1052とスプロケット・ハブ1054との間の回転がロックされているロック状態から、クレードルロータ1052とスプロケット・ハブ1054との間の回転がロック解除される作動状態に移行することができる。ヘリックスロッド1080の変位は、軸方向の変位の方向に応じて、時計回り又は反時計回りのいずれかの方向に、スパイダロータ1056の往復回転を生成する。前述のように、スパイダロータ1056の回転は、ヘリックスロッド1080のヘリカル部分1082とスパイダロータ1056のヘリカル特徴1084との間の相互作用によって引き起こされることができる。
【0041】
スパイダロータ1056は、1つ又は複数のロックアセンブリとともに、スプロケット・ハブ1054とクレードルロータ1052との間の相対回転を選択的にロック及び/又はロック解除するように構成される。例えば、スパイダロータ1056の回転は、スパイダロータ1056を、スプロケット・ハブ1054とクレードルロータ1052との間に配置されたロックアセンブリに係合させることができる。スパイダロータ1056の回転は、ロックアセンブリをロック解除し、カム位相調整システム1010をロック状態から作動状態にする。作動状態では、クレードルロータとスプロケット・ハブとの間の相対回転が可能になり、一方、ロック状態では、クレードルロータとスプロケット・ハブとの間の相対回転が不可能になる。カム位相調整システム1010が作動状態にある場合、クレードルロータ1052は、スパイダロータ1056が回転したのと同じ方向に(例えば、クレードルロータ1052に加えられるカムトルクパルスを収集することによって)スパイダロータ1056に回転的に追従する。クレードルロータ1052は、クレードルロータ1052がヘリックスロッド1080の軸方向変位の大きさ及びヘリカル特徴1084の角度に相関する回転位置に到達するまで、回転し続ける。別の言い方をすれば、ヘリックスロッド1080の特定の軸方向変位は、スパイダロータ1056を介したクレードルロータ1052の所定量の回転に相当する。
【0042】
一般に、カム位相調整システム1010の設計は、相対回転が望まれるときに、アクチュエータ1022からヘリックスロッド1080に入力される力のみを必要とする(例えば、アクチュエータ1022は、複数の固定位置の間で変位し、それらの固定位置は、カムシャフトとクランクシャフトとの間の既知の位相角に相関する)。
【0043】
図10は、遊星アクチュエータ2001を含むカム位相調整システム2010の非限定的な例を示している。図示の非限定的な例では、機械的カム位相調整システム2010は、カムシャフトに結合されるように構成されたクレードルロータ2052、クランクシャフトに結合されたスプロケット・ハブ2054、ベアリングケージ及び/又はスパイダロータ2056(例えば、フォロワ機構)を含む)、複数のロッキングアセンブリ2090、及び遊星アクチュエータ2001を含む。非限定的な例では、遊星アクチュエータ2001、スプロケット・ハブ2054、クレードルロータ2052、及びベアリングケージは、組み立てられると、共通の中心軸2011をそれぞれ共有することができる。
【0044】
図示の非限定的な例では、機械的カム位相調整システム2010は、ロータリーアクチュエータの形態のアクチュエータ2022を含む。幾つかの非限定的な例では、ロータリーアクチュエータ2022は、固定子と、固定子に電磁的に結合された回転子とを含み得る。電流がロータリーアクチュエータ2022に印加されて、ロータリーアクチュエータ2022によって提供される回転力出力をもたらしてもよい。幾つかの非限定的な例では、ロータリーアクチュエータ2022は、ブラシレスDC(BLDC)モータの形態であってもよい。
【0045】
遊星アクチュエータ2001は、第1のリング歯車2200と、第1の太陽歯車2202と、キャリア・アセンブリ2204と、第2のリング歯車2206と、第2の太陽歯車2208と、入力シャフト2080とを含む。キャリア・アセンブリ2204は、第1の遊星歯車群2222と、第2の遊星歯車群2224と、キャリア・プレート2226とを含む。第1の遊星歯車群2222及び第2の遊星歯車群2224は、キャリア・プレート2226の軸方向の両側に備えられていてもよい。図示された非限定的な例においては、第1の遊星歯車群2222は第1の太陽歯車2202と噛み合い、第2の遊星歯車群2224は第2の太陽歯車2208と噛み合う。
【0046】
第1のリング歯車2200は、望まれる方向に第2のリング歯車2206に対して選択的に回転させられてもよい。第2のリング歯車2206に対する第1のリング歯車2200の回転を容易にするために、ロータリーアクチュエータ2022に回転するように結合された入力シャフト2080は第1の方向に回転させられてもよい。第1の方向への入力シャフト2080の回転は、第1の方向への第1の太陽歯車2202の回転を発生させる。第1の方向への第1の太陽歯車2202の回転は、第1の方向とは逆の第2の方向への第1の遊星歯車群2222の遊星歯車の回転を発生させ、これにより第2の方向に第1のリング歯車2200を回転させる。第2の太陽歯車2208が回転に関して固定されると、第1の太陽歯車2202のこの選択的回転、更にそれによる第1のリング歯車2200の回転は、第2の方向に第2のリング歯車2206に対して第1のリング歯車2200を回転させることを可能にする。入力シャフトが第2の、つまり逆の、方向に回転させられるならば、逆もまた然りである。
【0047】
スプロケット・ハブ2054は、その外周に備えられるスプロケット2057を含んでもよく、スプロケット2057は、例えば、ベルト、チェーン、及び/又は歯車列アセンブリを介して、内燃機関のクランクシャフトに結合されてもよい。クレードルロータ2052は、カムボルト2092を介して内燃機関のカムシャフトに取り付けられていてよい。一般的に、クレードルロータ2052は、ロッキングアセンブリ2090に係合していてもよい。
【0048】
図示された非限定的な例においては、ロータリーアクチュエータ2022の回転が入力シャフト2080を回転するように、入力シャフト2080はロータリーアクチュエータ2022に結合されてもよい。第2の太陽歯車2208は、ロータリーアクチュエータ2022に回転に関して固定されており、回転が防止されている。ロータリーアクチュエータ2022は、第1の太陽歯車2202に結合され、第1の太陽歯車の回転を制御している。一般的に、第2のリング歯車2206がスプロケット・ハブ2054とともに回転するように、第2のリング歯車2206はスプロケット・ハブ2054に回転的に結合されてもよい。
【0049】
動作において、ロータリーアクチュエータ2022は、第1のリング歯車2200の既知の回転変位量を達成するように、トルクを第1の太陽歯車2202に与えるように構成されてよい。第1のリング歯車2200の変位量は、スパイダロータ2056の既知の望まれる回転方向の変位量に対応する遊星アクチュエータ2001の歯車比に基づく。ロータリーアクチュエータ2022は、コントローラ(例えば、コントローラ24)によって制御され駆動されてよい。
【0050】
動作の最中、スプロケット・ハブ2054は、内燃機関のクランクシャフトに結合されることができ、内燃機関のカムシャフトは、クレードルロータ2052に固定されることができる。従って、クランクシャフトの半分の速度でカムシャフトが回転するように、機械的カム位相調整システム2010を介して、カムシャフト及びクランクシャフトは、共に回転するように結合されてよい。エンジンが運転中であり、カムシャフトの回転/位置調整が望まれない場合、機械的カム位相調整システム2010は、カムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係をロックするロック状態になってよい。このロック状態において、ロータリーアクチュエータ2022は、遊星アクチュエータ2001の入力シャフト2080を回転させない。これにより、第1のリング歯車2200及び第2のリング歯車2206のそれぞれは、スプロケット・ハブ2054と一体に回転する。従って、フォロワ機構は、スプロケット・ハブ2054に対して回転させられず、これによって、ロッキングアセンブリ2090は、クレードルロータ2052とスプロケット・ハブ2054との間の相対的な回転をロックする。結果として、カムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係は維持される。
【0051】
クランクシャフトに対してカムシャフトを進ませる又は遅らせる(すなわち、カムシャフトの位相角を調整する)ために、ロータリーアクチュエータ2022は、遊星アクチュエータ2001の入力シャフト2080にトルクを提供する。非限定的な例では、入力シャフト2080の回転の方向及び大きさは、第2のリング歯車2206に対する第1のリング歯車2200の対応する既知の回転に関連付けられることができる。第2のリング歯車2206はスプロケット・ハブ2054に回転的に結合しているので、第1のリング歯車2200は、スプロケット・ハブ2054に対して回転させられてもよい。第1のリング歯車2200に加えられる回転は、第1のリング歯車と追従機構との間のカップリングを介して、追従機構(例えばベアリングケージ)の対応する大きさ及び方向の移動を生成してもよい。非限定的な例では、クレードルロータ2052がスプロケット・ハブ2054に対して望まれる回転位置に達するまで、カップリングは、スパイダロータ2056に与えられる力を保持するように構成される。望まれる回転位置は、ロータリーアクチュエータ2022によって提供される回転入力変位/力及び遊星アクチュエータ2001の歯車比によって決定される。非限定的な例では、スパイダロータ2056の回転は、ロッキングアセンブリ2090を係合させ、カム位相調整システム2010をアクチュエーション状態にさせることができる。
【0052】
作動状態では、クレードルロータ2052は、スパイダロータ2056が回転するのと同じ回転方向に回転する。例えば、第1のリング歯車2200がスパイダロータ2056を時計回りに回転させる非限定的な例では、クレードルロータ2052も時計回りに回転することができる。一般に、遊星アクチュエータ2001を介してスパイダロータ2056に加えられる所与の回転入力に応じて、クレードルロータ2052は、スパイダロータ2056に回転的に追従する。クレードルロータ2052は、スパイダロータ2056の所定の回転位置に到達するまで、スパイダロータ2056に追従する。スパイダロータ2056の所定の位置は、入力シャフト2080の回転の大きさ及び遊星アクチュエータ2001のギア比に基づいてコントローラによって決定される。
【0053】
スプロケット・ハブ2054に対するクレードルロータ2052の回転は、カムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変えることができる。ロータリーアクチュエータ2022の所与の回転に対するスパイダロータ2056の回転量は、第1の太陽歯車2202と第1のリング歯車2200との間のギア比に基づいて計算される。一例では、機械的カム位相調整システム2010は、クレードルロータ2052がスパイダロータ2056と同じ方向にのみ回転することを可能にすることができる。このように、エンジン運転中は、機械的カム位相調整システム2010は、カムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変えることができる。
【0054】
一般に、カム位相調整システム2010の設計は、カムシャフトに対するカムシャフトの回転(例えば、それらの間の位相角を変更するため)が望まれるときに、ロータリーアクチュエータ2022を介した入力シャフト2080の回転のみを必要とする。
【0055】
図11及び12は、カム位相調整システム内のバックラッシュを補償するように構成された付勢要素2058を含む、
図10のカム位相器の非限定的な例を示す。アクチュエータ2022は、スパイダロータ2056の回転位置を正確に制御するために、カム位相器2012のスパイダロータ2056と直接的及び/又は間接的に係合することができる。上述のように、スパイダロータは、クレードルロータ2052スパイダロータの対応する移動を引き起こすように構成され、これは、クレードルロータ2052とスプロケット・ハブ2054との間の回転関係を変更する。その結果、カムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係も変更される。
【0056】
一例では、付勢要素2058はコイルスプリング(例えば、リニア又はプログレッシブ・スプリング)である。付勢要素2058は、スパイダロータ2056とクレードルロータ2052との間に一定の付勢力を加えることができ、これにより、スパイダロータとクレードルロータが互いに接触するように付勢される。1つの非限定的な例では、スパイダロータ2056とクレードルロータ2052との間の相対回転位置は、カム位相器2012のロック及びロック解除中の構成要素間のわずかな回転を除いて、実質的に固定される。
【0057】
図11に示すように、付勢要素2058は、クレードルロータ2052とスパイダロータ2056との間に配置される。クレードルロータ2052は、クレードルロータ2052内に軸方向に延びる第1の凹部2300aを含む。スパイダロータ2056は、半径方向内側に延在し、凹部2300a内に受け入れられる半径方向突出部2302aを含む。付勢要素2058aは、凹部の端部2304aと半径方向突出部2302との間に配置される。
【0058】
図12に示されるように、カム位相器2012は、例えば、第1の付勢要素2058a及び第2の付勢要素2058bを含む2つの付勢要素2058などの、2つ以上の付勢要素を含むことができる。図示された非限定的な例では、第2の付勢要素2058bは、第2の凹部2300b内に配置される。第2の凹部2300bは、第1の凹部2300aと円周方向に反対にある(例えば、第1及び第2の凹部2300a、2300bは円周方向に180度離れている)。従って、スパイダロータ2056は、第1の半径方向突出部2302aと円周方向の反対側の第2の半径方向突出部2302bを含む。第2の半径方向突出部は、半径方向内側に延在し、第2の凹部2300b内に受け入れられる。第2の付勢要素2058bは、第2の凹部2300bの端部2304bと第2の半径方向突出部2302bとの間に配置される。
【0059】
他の非限定的な例によれば、付勢要素(例えば、付勢要素58’)は、スプロケット・ハブ2054とスパイダロータ2056との間に配置することができる。この代替構成では、付勢要素によって加えられるトルクは、カムシステムの位相角に比例する。例えば、位相角が増加又は減少すると、スプロケット・ハブ2054とスパイダロータ2056との間の相対回転位置が変化するにつれて、加えられる付勢力が増加又は減少する。幾つかの非限定的な例によれば、複数の付勢要素を従動機構の周りに円周方向に配置することができる。
【0060】
本明細書において、実施形態は、明確かつ簡潔な明細書を記述できるように記載されているが、本発明から離れることなく、実施形態を様々に組み合わせたり分離したりできることが意図されており理解されるであろう。例えば、本明細書に記載されたすべての好ましい特徴は、本明細書に記載された本発明のすべての態様に適用可能であることを理解されたい。
【0061】
従って、本発明は特定の実施形態および実施例に関連して上記に説明されたが、本発明は必ずしもそのように限定されるのではなく、複数の他の実施形態、実施例、使用、修正形態、ならびに実施形態、実施例および使用から逸脱する形態が、本明細書に添付される特許請求の範囲によって包含される。本明細書に列挙される各特許文献および文献の全体の開示が、そのような特許文献または文献のそれぞれが本明細書に参照によって独立して援用されるものとして、参照によって援用されている。
【0062】
本発明の様々な特徴及び利点は、特許請求の範囲に記載されている。
【外国語明細書】